(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レンズ駆動装置は、フォーカスレンズ群を有するレンズユニットと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能な中間レンズユニットであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る駆動装置を用いた中間レンズユニットを含むカメラシステムの構成を説明する図である。カメラシステム10は、
図1に示すように、ボディユニット100と、被写体の光学像を結像するための撮影レンズであるレンズユニット200と、ボディユニット100とレンズユニット200との間に配置される中間レンズユニット300とから構成されている。ボディユニット100と中間レンズユニット300との間、および、中間レンズユニットとレンズユニット200との間は、それぞれ着脱可能に構成されている。
【0019】
以下の説明において、ボディユニット100から被写体に向かう方向を前方と称し、その反対を後方と称する。また、レンズユニット200及び中間レンズユニット300が構成する撮像光学系の光軸O1と一致する軸をZ軸とし、Z軸に直交する平面上において互いに直交する2つの軸をX軸及びY軸とする。
【0020】
まず、このカメラシステムの詳細な構成について説明する。
図1に示すように、ボディユニット100に中間レンズユニット300を装着し、中間レンズユニット300にレンズユニット200を装着した状態で、レンズユニット200は、被写体の光学像を結像するための撮影レンズ202を有する。また、中間レンズユニットは、撮影レンズ202の後ろ側(結像面側)に中間レンズ302を有する。さらに、ボディユニット100は、撮影レンズ202と中間レンズ302で構成される撮像光学系の結像位置に、例えば、電荷結合素子(CCD)やCMOSセンサ等と称される撮像素子を具備してなる撮像部117を有している。なお、中間レンズユニット300は、例えば光学倍率等倍であり、中間レンズ302の可動レンズ302aを光軸方向に変位させると、被写体の光学像倍率は殆ど変化させずに結像位置を変位するように構成されている。
【0021】
本実施形態では、レンズユニット200の動作は、レンズユニット200に配設されたレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Lucom”と称する)201によって制御される。また、ボディユニット100の動作は、ボディユニット100に配設されたボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Bucom”と称する)101によって制御される。さらに、中間レンズユニット300の動作は、中間レンズユニット300に配設された中間レンズユニット制御用マイクロコンピュータ(以下、“Tucom”と称する)301によって制御される。但し、中間レンズユニット300にTucom301を設けずに、中間レンズユニット300の制御をBucom101、あるいはLucom201で行なっても良い。
【0022】
ボディユニット100に中間レンズユニット300を装着した状態において、Tucom301とBucom101とは、通信コネクタ102aを介して互いに通信可能に電気的に接続される。
【0023】
本実施形態ではボディユニット100に中間レンズユニット300が装着された状態では撮影可能な状態とはならないので、中間レンズユニット300の可動レンズ302aは電気的に非可動の状態で所定位置に保持されたままとなる(後で詳述)。
【0024】
さらにボディユニット100に中間レンズユニット300が装着された状態で、中間レンズユニット300にレンズユニット200を装着した状態において、Lucom201とTucom301は、通信コネクタ102bを介して互いに通信可能に電気的に接続される。そして、Tucom301およびLucom201は、Bucom101に従属的に協働しながら稼動するように構成されている。また、通信コネクタ102a,102bを通して各ユニットに必要な電力はボディユニット100に設置された電源回路135から供給される。
【0025】
なお、中間レンズユニット300は、ボディユニット100と一体に構成される形態であってもよいし、中間レンズユニット300の動作は、Bucom101のみによって制御される構成であってもよい。また、中間レンズユニット300は、レンズユニット200と一体に構成される形態であってもよいし、その場合、中間レンズユニット300の動作は、Lucom201のみによって制御される構成であってもよい。
【0026】
さらに、中間レンズユニット300とレンズユニット200は、ボディユニット100と一体に構成される形態であってもよい。その場合、中間レンズユニット300とレンズユニット200の動作は、Bucom101のみによって制御される構成であってもよい。
【0027】
撮像レンズ202は、レンズユニット200内に保持されている。レンズユニット200は、中間レンズユニット300の前側(被写体側)に設けられた不図示のボディマウントとレンズユニット200の後ろ側(撮像子側)に設けられた不図示のレンズマウントを介して着脱自在である。この着脱機構はいわゆるバヨネット形式であり、この構成により、カメラシステム10は、レンズユニット200を様々に交換して装着し、撮影することができる。例えば、後に述べるウォブリング機能を持ったレンズユニットや、持たないレンズユニットを装着することが可能で、中間レンズユニットのウォブリング機能を用いて、ウォブリング機能を持たないレンズユニットでの高速なコントラストオートフォーカスが可能となっている。そして、本実施形態では何れのレンズユニットを用いても高速、高精度なコントラストオートフォーカスを行なうことが可能となる。
【0028】
本実施形態では、撮影レンズ202は、フォーカスレンズ202aと変倍レンズ202bとによって構成されている。フォーカスレンズ202aは、レンズ駆動機構204内に設けられた図示しないステッピングモータやVCM等のアクチュエータによって駆動される。変倍レンズ202bは、ズーム駆動機構206内に設けられた図示しないステッピングモータやVCM等のアクチュエータによって駆動される。ここで、フォーカスレンズ202aあるいは変倍レンズ202bを駆動する駆動機構に本実施形態の可動枠の駆動機構を用いることができるのは勿論である。
【0029】
また、レンズユニット200のフォーカスレンズ202aと変倍レンズ202bとの間には、絞り203が配設されている。絞り203は、絞り駆動機構205内に設けられた図示しないステッピングモータ等のアクチュエータによって駆動される。撮影レンズ202の合焦距離、焦点距離、及び絞り値等のレンズユニット200の情報は、図示しない位置エンコーダ等によって検出され、Lucom201及び通信コネクタ102bを介して中間レンズユニット300に入力され、通信コネクタ102aを介して、Bucom101に入力される。一方、中間レンズユニット300の可動レンズ302aの位置等の情報は位置エンコーダ(後に詳述)によって検出され、通信コネクタ102aを介して、Bucom101に入力される。
【0030】
撮像部117は、後述する撮像部移動機構部159を介してボディユニット100内に保持されている。
【0031】
なお本実施形態では、撮像部117の前側には、ローパスフィルタ等の光学フィルタ118及び防塵フィルタ119が配設されている。防塵フィルタ119の周縁部には、圧電体120a,120bが取り付けられている。圧電体120a,120bは、防塵フィルタ制御回路121によって、防塵フィルタ119を寸法や材質によって定まる所定の周波数で振動させるように構成されている。圧電体120a,120bの振動によって、防塵フィルタ119に付着した塵埃を除去することができる。
【0032】
防塵フィルタ119の前側には、一般にフォーカルプレーンシャッタと称される形態を有するシャッタ108が配設されている。また、ボディユニット100内には、シャッタ108の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッターチャージ機構112と、これら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路113が設けられている。なお、光学フィルタ118、防塵フィルタ119及びシャッタ108は、必要に応じて適宜に配設されるものであり、カメラシステム10はこれらを具備しない構成であってもよい。
【0033】
撮像部117は、撮像部117の動作を制御する撮像部インターフェース回路122を介して画像処理部126に電気的に接続されている。画像処理部126は、撮像部117から出力される信号に基づいて画像を生成する構成を有する。
【0034】
画像処理部126は、SDRAM124やFlashROM125等の記憶領域を使用して、画像に対して所定の画像処理を行う構成を有する。画像処理部126は、いわゆるコントラスト検出方式によるオートフォーカスを行うために、フォーカスレンズ202aあるいは可動レンズ302aを変位させて生成した複数の画像について、所定の領域(フォーカスエリア)におけるコントラスト値を算出して、最良のコントラストとなる像位置を検出している。
【0035】
画像処理部126は、ボディユニット100の後方に配設されたLCDモニタ等の画像表示装置123に電気的に接続されており、画像表示装置123に画像を表示することができる。画像表示装置123は、カメラシステム10による撮影構図をリアルタイムに表示する、いわゆる電子ビューファインダとしても機能する。また、本実施形態では光学式のファインダを持たない構成となっているが、いわゆる一眼レフ形式の光学式ファインダを設けても良い。
【0036】
記録メディア127は、フラッシュメモリやHDD等の記録媒体であり、ボディユニット100内に着脱可能に設けられている。記録メディア127は、カメラシステム10で撮像された画像等(動画の場合は音声も含む)のデータを記録する。
【0037】
不揮発性メモリ128は、カメラシステム10の制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する、例えばEEPROMからなる記憶部である。不揮発性メモリ128は、Bucom101からアクセス可能に設けられている。
【0038】
Bucom101には、カメラシステム10の動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LED130と、カメラ操作SW131と、内蔵ストロボ132及び図示しない外部ストロボを駆動するストロボ制御回路133と、が接続されている。カメラ操作SW131は、例えばレリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなど、カメラシステム10を操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。
【0039】
さらに、該ボディユニット100内には、電源としての電池134と、該電池134の電圧を、当該カメラシステム10を構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路135が設けられ、また、外部電源から不図示のジャックを介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路(図示せず)も設けられている。
【0040】
本実施形態のカメラシステム10は、手ブレを補正するために撮像部117をX軸方向及びY軸方向に移動させることが可能に構成され、撮像部移動機構部159を具備している。撮像部移動機構部159を介して撮像部117を保持していることによって、本実施形態のカメラシステム10は、撮像部117を、X軸方向及びY軸方向に機械的に移動させることができる。
【0041】
具体的に撮像部移動機構部159は、X軸ジャイロ160、Y軸ジャイロ161、防振制御回路162、X軸アクチュエータ163、Y軸アクチュエータ164、X枠165、Y枠166、フレーム167、位置検出センサ168及びアクチュエータ駆動回路169を具備して構成されている。
【0042】
フレーム167は、ボディユニット100に固定されており、該フレーム167によって、X枠165がX軸方向に移動可能に支持されている。また、X枠165によって、撮像部117を保持するY枠166が、Y軸方向に移動可能に支持されている。そして、X軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164は、X枠165及びY枠166をそれぞれX軸方向及びY軸方向に駆動する構成を有する。X枠165及びY枠166の位置制御は、X枠165及びY枠166の位置を検出する位置検出センサ168と、X軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164の動作を制御するアクチュエータ駆動回路169によって行われる。
【0043】
なお、このX軸アクチュエータ163、Y軸アクチュエータ164は、それぞれX枠165をX軸方向に、Y枠166をY方向に直進駆動するので、これらのX軸アクチュエータ163およびY軸アクチュエータ164にも、本実施形態の駆動機構を適用することは可能である。
【0044】
X軸ジャイロ160は、カメラシステム10のX軸回りの回動(ブレ)の角速度を検出し、Y軸ジャイロ161は、カメラシステム10のY軸周りの回動の角速度を検出する。防振制御回路162は、検出されたカメラシステム10の角速度から、手ブレ補償量を演算し、第1撮像部117を、ブレを補償するように変位移動させる。なお、撮像部移動機構部159において、撮像部117を移動させるアクチュエータには、回転モータ、リニアモータ、超音波モータ等、種々のアクチュエータを利用することができる。
【0045】
以上のような構成により、撮像素子移動機構部159は、カメラシステム10の動きに応じて撮像部117を移動させることによって、カメラシステム10の動きに起因する撮像部117での被写体像のブレを抑制する機能、いわゆる撮像素子シフト方式の手振れ補正機能を有する。
【0046】
カメラシステム10のボディユニット100には、結合部180が設けられている。結合部180は、外部ストロボ装置(不図示)又は電子ビューファインダ(不図示)等を固定可能な、一般にアクセサリーシュー又はホットシュー等と称される形状を有する。
【0047】
本実施形態では、結合部180には、外部ストロボ装置と、ボディユニット100内に配設されたストロボ制御回路133とを電気的に接続するためのストロボ接点136が設けられている。
【0048】
次に中間レンズユニット300の詳細について、
図2から
図5を用いて説明する。
図2は
図1の中間レンズユニット300の可動レンズ312aを駆動する駆動装置の構成を説明する正面図である。図において、中間レンズ300の固定枠314a,314bおよび基板329を二点鎖線により示している。
図3は、
図1の中間レンズユニットの
図2に示したA−A線による断面図である。
図4は、
図2のボイスコイルモータ(VCM)350a,350bの構成を説明する図であり、
図4(a)はその正面図、
図4(b)は
図4(a)のB−B断面図である。
図5は、
図2の振動子324およびガイド軸318を含む部分を拡大して示す図であり、
図5(a)はその正面図、
図5(b)は
図5(a)のC−C断面図である。なお、第1部材は固定枠314a,314bを、第2部材は可動枠313を、ガイド部はガイド軸318を、駆動部はVCM314a,314bをそれぞれ含んで構成される。
【0049】
図2および
図3に示すように、固定枠314a,314bは、中間レンズユニット300の外筒を構成する部材である。また、可動枠313は、中間レンズユニット300内でレンズ312aを光軸方向に移動可能に保持する部材である。
【0050】
固定枠314aの前端には不図示のネジ等で、Bマウント315が固定されている。Bマウント315と、不図示のレンズユニット200のLマウント216が、いわゆるバヨネット機構により着脱自在に構成されている。なお、
図1の通信コネクタ102bは、
図3のレンズユニット200のL接点210に接続されるB接点310、および、B接点をレンズユニット200に向けて押圧する接点バネ311を含んで構成されている。接点バネ311は、
図3において不図示のTucom301が接続された基板329に接続されている。固定枠314aの前方中央部には、レンズ312bの外周部が接着等で固定保持されている。
【0051】
一方、固定枠314aの後端には不図示のネジ等で固定枠314bが固定され、固定枠314bの後端にはLマウント316が、不図示のネジ等で固定されている。Lマウント316にはボディユニット100のBマウント115が、バヨネット機構により着脱自在に構成されている。なお、
図1の通信コネクタ102aは、L接点317を含んで構成されている。固定枠314bの中央部にもレンズ312bと同様にレンズ312cが固定保持されている。
【0052】
中間レンズユニット300のウォブリング用のレンズ312aは正の屈折力を有し、物体側のレンズ312bと像側のレンズ312cとは、負の屈折力を有する。これによって、ウォブリングレンズに必要とされる正屈折力を確保しつつ、収差変動の低減に有利となる。さらに、中間レンズユニット300の光学的な倍率をほぼ等倍にすることが可能となり、中間レンズユニット300をレンズユニット200に装着してもレンズユニット200の焦点距離を変えることがない。
【0053】
また、固定枠314aと固定枠314bの凹部に、各端部が嵌合し、接着等の固定手段で固定された光軸方向O1に沿うガイド軸318、回転止軸319には夫々、可動枠313に設けられた穴313aと切り欠313bが挿通している。
【0054】
可動枠313の穴313aの内周側には、圧電体324aに接触体324bを取付けて構成した振動子324が、接触体324bを穴313aに突出させるように、可動枠313に接着等で固定されている(
図5参照)。また、可動枠313の外周端部に設けられた突起313cと固定枠314aに設けられた突起314cに引っ張りコイルバネである付勢バネ320がかけられ、接触体324bの円筒面(凹面)をガイド軸318の円筒面に押圧するように接触している。一方、付勢バネ320は、可動枠313が上記の接触体324bとの接触部回りに回転するモーメントが若干かかる方向に引張されており、切り欠313bの一方の壁が回転止軸319に押圧され、固定枠314aに対して可動枠313が位置決めされている。なお、付勢機構は付勢バネ320を含んで構成される。
【0055】
光軸O1に対称に2つのVCM350a,350bが配置され、可動枠313には、VCM350a,350bを構成するトラック形状に絶縁被服された銅線を巻いたコイル321a、321bの直線部が接着等で固定されている。一方、固定枠314aには折れ曲ってコの字形状をなす磁性体からなるヨーク322a、322bがビスで固定され、ヨーク322a、322bの内側には矩形板状の磁石323a、323bが接着固定されている。そして、コイル321a、321bの固定されていない直線部分が磁石323a、323bと対向するヨーク322a、322bに挟まれた空間に配置されている。ヨーク322a、322bのコの字形状の開放端には矩形板状の磁性体ヨーク322a2、322b2が取り付けられて、磁石323a、323bの発生する磁束がヨークが囲む空間以外の空間に漏れないようにいわゆる磁気回路を形成している(
図4参照)。ここでコイルは2つ用いられているが、前記ヨークが囲む空間にコイルが通過するようにレンズ312aの外周に、レンズ312aを囲むように銅線を巻いたものにしても良い。
【0056】
磁石323aの磁束のベクトルは
図4に示すように対向するヨーク322a1に向っている。一方、コイル321aにはこの磁束に直交する方向に電流が流れるので、コイル321aは磁石323aに対して、磁束のベクトルの方向と電流の方向に直交する方向、すなわち、光軸O1方向に力Fcを受ける。ここでは1つのVCM350aについて説明したが、他方のVCM350bについても同じ方向に力を受けるように磁石323bの磁束の向きとコイル323bに流れる電流の向きを決めると、コイル321a、321bは同じ向きに力を受け、それらが固着されている可動枠313が、その力Fc×2を受ける。
【0057】
その時、可動枠313は接触体324bの円筒面で、ガイド軸318に付勢バネ320の付勢力Fpで接触している。接触体324bとガイド軸320の接触面との摩擦係数をμとすれば、接触体324bとガイド軸320の間には摩擦力Ff=μ×Fpが生じており、Fc×2>Ffならば可動枠313はコイル321a、321bの受ける力の方向(駆動方向)に動く。
【0058】
さらに、可動枠313には重力が駆動方向にかかる場合が考えられ、その場合は可動枠313の重量Wk、重力加速度g(=9.8m/s
2)とするとFc×2>Ff+Wk×gであれば可動枠313を動かすことが可能となる。実際に可動枠313の位置を制御する場合には上記の駆動力の2倍以上の駆動力が発生するようにVCM350a,350bを構成するのが良い。
【0059】
本実施形態では、後に述べる方法で振動子324の振動方向340を付勢力Fpの加わる方向とほぼ一致させることにより、振動子324を振動させて接触体324bとガイド軸320に働く摩擦力Ffを小さくし、可動枠313をVCM350a,350bで制御可能とし、可動枠を移動させないときは、振動子324を振動させず、摩擦力Ffによって可動枠313がガイド軸320の所定の位置に保持されるように構成されている。
【0060】
可動枠313の光軸方向の位置は、可動枠313の一部に板状のセンサ突起313dを設け、センサ突起313dの所定位置を検出する絶対位置センサ325を固定枠314aに設けることで基準位置を検出している。ここに示したセンサ突起313dは遮光板であり、絶対位置センサ325はホトインターラプタであり、ホトインターラプタの発光素子の光線を遮光板で遮光する位置あるいは遮光を解除する位置を検出している。ここでは光センサを用いているが、磁気センサ、静電容量センサ等でも勿論良い。
【0061】
一方、可動枠313に取り付けられたスケール327と、固定枠314aに取り付けられたセンサ326は可動枠313の固定枠314aに対する光軸方向の相対位置を検出するもので、絶対位置センサ325よりも位置検出精度が高い。具体的にはスケール327は可動枠313の移動方向にN極、S極を同じ間隔で着磁された磁性体シートであり、センサ326はGMR(巨大磁気抵抗)素子であり、スケール327の着磁間隔で正弦波電圧を出力するものである。この時、着磁間隔は数μmから数100μmであり、着磁間隔より位置検出精度を上げる場合はセンサ326の制御回路に正弦波信号の逓倍回路を組み込むことにより、正弦波の1周期分を多分割して出力信号がでるようにして、より小さな間隔で位置検出ができる。
【0062】
絶対位置センサ325で可動枠313の基準位置を検出し、センサ326で基準位置からの相対位置を検出することで可動枠313の位置を高精度で検出することが可能となる。また、回路が動作していない状態で振動や衝撃などの外力により、可動枠313の位置が変化した場合でも、絶対位置センサ325に基準位置を通過させて基準位置を検出する動作を可動枠313に行なわせることにより、可動枠313の正確な位置を検出できる。
【0063】
図6(a)は圧電体324aの詳細を示す分解斜視図である。圧電体324aはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスで作られた圧電体単板を多数枚積み重ねて構成された積層圧電体からなっている。基本構成410は内部電極である電極C401cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板A401と内部電極である電極C402cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板B402がペアとなり、これらが複数ペア積層されている。各電極C401c、402cは異なる側面位置に引き出され、圧電体板A401、圧電体板B402が積層され、さらに内部電極を持たない圧電体板C401c,402cが積層されて焼成されたものの側面に形成された電極A401a,402a、および、電極B401b,402bにより圧電体板1枚おきに内部電極が接続され、最外面の圧電体板C403の表面に2つの電極、すなわち、電極A403a,電極B403bが形成されている。
図6(a)では圧電体単板を複数枚積み重ねているが、圧電体単板を折り畳んだ形態で製作しても同様な構成が可能である。
【0064】
このように形成された積層圧電体は電極A403a、電極B403b間に高電圧を印加することで各圧電体板A、Bが板厚方向で同じ方向に分極される。従って、
図6(b)に示すように分極された圧電体324aの電極A,電極Bの一方の配線406をグランドにつなぎ、他方を制御回路405の信号出力端子につなげて周波電圧を印加すると板厚方向に圧電体324aは伸び縮みする。
【0065】
次に、本実施形態の機構での接触体とガイド軸との間の摩擦力の低減について
図7、
図8、
図9を参照して説明する。
図7は、
図2のガイド軸に対して振動子を付勢する付勢機構の構成を説明する概念図であり、
図2、
図3の可動枠313および固定枠314a,314b並びに振動子324をガイド軸318へ付勢する機構を簡略化して示している。
図7では圧電体324aは非振動状態であり、接触体324bはガイド軸318と当接している。圧電体324aは、このガイド軸318と当接する方向、すなわち、圧電体324aとガイド軸318との当接面の法線方向に振動する。また、付勢バネ320は、接触体324bをガイド軸318に当接する方向に付勢している。
図8は、
図7の振動子による摩擦低減を説明する図であり、
図7で圧電体324aに周波電圧を与えて振動させた場合のガイド軸318と振動子324の様子を所定の時間T0〜T6ごとに表示している。
図9は
図8の(a)から(f)までに対応する各時間T0〜T6に対する圧電体324aへの入力電圧信号を示す図である。
【0066】
圧電体に正弦波の20kHz以上の電圧を加え、接触体324bのガイド軸318との接触面に1μm程度の振幅の超音波振動を発生させると、
図8に示すように接触体324bは殆どガイド軸318には接触しない状態となる。詳しく説明すると、圧電体324aに電圧が印加されない初期状態の
図8(a)では接触体324bはガイド軸318に付勢バネ320の付勢力で付勢されて接触している。圧電体324aを振動させると、接触体324bには超音波振動による数万m/s
2レベルの加速度が加わる。従って、接触体324bは剛性の高い金属やセラミックスが好ましく、可聴音の抑制のためには剛性の高いPPS等の樹脂にセラミック粉、ガラス繊維、炭素繊維等の材料を混ぜたものがより好ましい。また、接触体324bと圧電体324aの接合は剛性の高いエポキシ系の接着剤等で行なうのが良い。一方、接触するガイド軸318は剛性の高い金属にするのが好ましく、本実施形態の場合には近くにVCM350a,350bの磁石が配置されることから非磁性のステンレスなどがより好ましい。
【0067】
次に圧電体324aが伸びるように圧電体324aに電圧が印加されると圧電体324aが変位する加速度と可動枠313および振動子324の合計質量との積の力があらたに加わった状態で接触体324bはガイド軸318に付勢され、変位加速度は次第に減少して0となり、最大電圧が印加されて圧電体324aが最大に伸張した状態になる(
図8(b))。初期の発生加速度が非常に大きな場合は、条件によってはこの状態で接触体324bがガイド軸318に接触しない場合も発生する。
【0068】
最大に変形した後に圧電体324aは縮みはじめ、初期状態に戻る。この時、圧電体が発生した加速度による変位を付勢バネ320は充分引き戻すことは出来ない(圧電体は時定数が小さいが付勢バネは時定数が相対的に非常に大きいため応答遅れが生ずる)ので接触体324bはガイド軸318に接触しない状態が実現する(
図8(c))。
【0069】
圧電体324aには続いて圧電体324aを縮める方向の最大電圧印加状態でも接触体324bはガイド軸318には接触しない状態が継続する(
図8(d))。
【0070】
次に圧電体324aに印加される電圧は小さくなって0になり、圧電体324aは初期状態の変位に戻るが、接触体324bはガイド軸318に接触しない(
図8(e))。
【0071】
さらに圧電体324aに伸張する方向に電圧が加わり、圧電体324aが延びると所定のところで接触体324bはガイド軸318に接触し、可動枠313に接触体324bがガイド軸318から離れる方向に加速度が加えられる(
図8(f))。
【0072】
再び圧電体324aに縮む方向に電圧が加わり、圧電体324aが初期状態の変位に戻ると、接触体324bとガイド軸318は再び接触しない状態になる(
図8(g))。圧電体の振動時には、
図8の(c)から(g)までを1周期として圧電体324aの伸縮が繰り返されることになる。
図8(a)から(c)までは静止状態から定常振動発生までの過渡特性の状態となるので定常状態では
図8(c)から(g)が繰り返される。
【0073】
図8の(c)から(g)までの1周期で接触体324bがガイド軸318に接触するのは
図8(f)の付近の一瞬のみとなり、1周期の大部分の時間は非接触状態であり、その間は摩擦力Ffは0となる。従って1周期の平均の摩擦力Ffは非常に小さくなる。実際には非接触時にVCM350a,350bが動作すれば、摩擦力Ffは0で動作し、圧電体の振動周期の間隔で
図8(f)の状態のときに瞬間的に摩擦力が発生するが、振動周期が非常に小さいために摩擦力が定常的に小さくなったように滑らかに動作する。この動作からもわかるように、圧電体の振動振幅を変えることで、接触体324bのガイド軸318との接触時間が変化する。振動振幅を非常に小さくする(振幅を0に近い値とする)と接触体324bとガイド軸318は常時接触した状態と殆ど変わりなくなり、摩擦力Ff≒μFpとなる。ここで、μは接触体324bとガイド軸318の接触面の摩擦係数であり、Fpは付勢バネ320の付勢力である。
【0074】
図10は、カメラシステム10の中間レンズユニット300における圧電体324aの制御回路405の構成を概略的に示す回路図である。
図11は、
図10の制御回路405における各構成要素から出力される各信号を示すタイムチャートである。ここで制御回路405は
図1の可動枠駆動機構303の一部を構成している。
【0075】
ここに例示した制御回路405は
図10に示す如くの回路構成を有し、その各部において、
図11のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0076】
制御回路405は、
図10に例示の如く、N進カウンタ182、1/2分周回路183、インバータ184、複数のMOSトランジスタQ00,Q01,Q02、トランス185及び抵抗R00から構成されている。
【0077】
上記トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01及びMOSトランジスタQ02のON/OFF切替え動作によって、そのトランス185の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電体324aを駆動させ、
図8に示すような振動を発生させるようになっている。
【0078】
Tucom301は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このTucom301内部に存在するクロックジェネレータ186を介して制御回路405を次のように制御する。クロックジェネレータ186は、圧電体324aへ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ182へ出力する。この出力信号が、
図11中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ182へ入力される。
【0079】
N進カウンタ182は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が、
図11中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
【0080】
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路183を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は、
図11中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0081】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ01がONする。一方、MOSトランジスタQ02へはインバータ184を経由してこのパルス信号が印加される。従って、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ02がONする。トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01とMOSトランジスタQ02が交互にONすると、2次側には
図11中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
【0082】
トランス185の巻き線比は、電源回路135のユニットの出力電圧と圧電体324aの駆動に必要な電圧とから決定される。尚、抵抗R00はトランス185に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。また、電源回路135の出力電圧は通信コネクタ102aを通してボディユニット100から中間レンズユニット300に供給される。
【0083】
圧電体324aを駆動するに際しては、MOSトランジスタQ00がON状態にあり、且つ、電源回路135からトランス185のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。そして、この場合において、MOSトランジスタQ00のON/OFF制御は、Tucom301のIOポートP_PwContを介して行われるようになっている。N進カウンタ182の設定値“N”は、Tucom301のIOポートD_NCntから設定でき、よって、Tucom301は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電体324aの駆動周波数を任意に変更可能である。また、駆動周波数を振動子324の共振周波数として振動子324の振動振幅を拡大し、低い電圧で動作するようにしても良い。共振周波数とする場合は圧電体324aの振動状態を検出し、共振周波数を追尾する制御が必要となる。振動状態の検出は、例えば圧電体324aに入力される電流を検知することで検出可能である。
【0084】
このとき、次の(7)式によって周波数は算出可能である。即ち、
fdrv=fpls/2N …(7)
但し、NはN進カウンタ182への設定値、fplsはクロックジェネレータ186の出力パルスの周波数、fdrvは圧電体324aに印加される信号の周波数である。尚、この(7)式に基づいた演算は、Tucom301のCPU(制御手段)で行われる。
【0085】
また、fdrvは本実施形態では20kHz以上の周波数とするのが良い。圧電体324aは、fdrvの周波数で振動することになるが、この周波数帯は超音波領域であり、人間には聞こえない。カメラシステム10は動画の撮影にも使われるが、その時は音声を同時に記録する場合があり、駆動音が小さいことが求められる。超音波帯の音は人間の可聴域を超えるため、通常のマイクが検出することがない。さらに、本実施例形態では圧電体324に入力される印加電圧は正弦波であるが、矩形波や三角波などでも勿論良い。
【0086】
以下
図12および13のフローチャートを参照して、カメラシステム10の動作を説明する。
図12は、
図1のカメラシステムの動作を説明するフローチャートである。また、
図13は
図12の中のオートフォーカス(AF)の動作を説明するフローチャートである。
【0087】
図12に示すカメラシステムの撮影シーケンスの動作制御は、主にBucom101の制御によって行われる。
【0088】
まず、Bucom101は、カメラシステム10のカメラ操作SW131のパワーSWが操作されると、あらかじめ定められたカメラシステム起動時の初期設定シーケンスを実行する(ステップS101)。この初期設定シーケンスでは、Bucom101は、不揮発性メモリ128から必要な制御パラメータを読み出す。
【0089】
次に、Bucom101は、結合部180に接続されているストロボや電子ビューファインダ等の有無を検出する(ステップS102)。
【0090】
さらに、Bucom101は、カメラ操作SW131の各スイッチの状態を検出する(ステップS103)。状態を検出するスイッチとしては、録画・再生モードの切り替え、動画・静止画の切り替え等を行うスイッチを含む。なお、カメラ操作SWには、ハードウェアにより実現されるスイッチに限られず、ソフトウェア的に切り替えられるスイッチをも含む。
【0091】
その後、Bucom101は、カメラシステムが、再生モードと録画モードの何れであるかを検出し(ステップS104)、再生モードの場合には、動画または静止画の再生用プログラムが起動され、画像表示装置123に再生可能な画像の選択画面が表示され、使用者の指示に従って画像の再生を実行する(ステップS105)。再生モードの詳細は、本願に直接の関係がないので説明を省略する。
【0092】
次に、再生モードで無い場合は、静止画撮影モードと動画撮影モードのいずれのモードにあるかが検出される。具体的には、カメラ操作SW131のうち動画・静止画の切り換えを行うスイッチである動画ボタンのON/OFFが検出される(ステップS106)。動画ボタンがONされた場合は、動画が記録中か否かを示す記録中フラグが反転される(ステップS107)。すなわち、動画ボタンがONされる度に、記録中フラグのON/OFFが切り替わる。次に、記録中フラグが検出され(ステップS108)、ONの場合は、自動露光(AE)処理を行い(ステップS109)、その後、ウォブリングを用いたAF動作を行う(ステップS110)。
【0093】
図13は、
図12のAF動作(ステップS110およびS116)を説明するフローチャートである。このAF動作は、ウォブリング用レンズである中間レンズユニットの可動レンズ302aを光軸O1方向に微小移動させることが、フォーカスレンズ202aを光軸方向に微小移動させることと光学的に等価になるように撮像光学系を構成し、可動レンズ302aを光軸方向に微小移動した位置でのAF評価値(コントラスト値)により、フォーカシングレンズ202aの合焦位置が存在する方向を認識して、フォーカシングレンズ202aの移動を行うものである。
【0094】
まず、Bucom101は、カメラシステムがAFモード状態にあるか検出する(ステップS201)。AFモード状態に無い場合は、非AFモード用の動作を行う。非AFモード用処理は、本発明の内容と直接的に関連しないので省略する。
【0095】
カメラシステムがAFモード状態の場合は、次にAF開始状態にあるかが検出される(ステップS202)。このステップでは、例えば、静止画撮影の場合は、ファーストレリーズボタンがONの状態にあるか否か等を検出して、AF開始状態か否かが判定される。AF開始状態の場合は、Bucom101の指示により、Tucom301は、振動子324の圧電体324aを振動駆動させ、接触体324bとガイド軸320に働く摩擦力Ffを低減する。
【0096】
圧電体324aの駆動により摩擦力Ffが低減されると、Tucom301は可動枠駆動機構303によりVCM350a,350bを駆動して、可動レンズ302aのウォブリングを行う(ステップS204)。摩擦力Ffが低減された状態のため、可動レンズ302aの移動が容易に制御できる。
【0097】
Bucom101は、ウォブリングによりレンズ302aの位置を移動させ、撮像部117により複数回(例えば3回)の画像の取り込みを行う(ステップS205)。取り込んだ画像から、画像処理部126が各画像のコントラスト値を検出する(ステップS206)。コントラスト値の最大値と最小値との差異を許容値と比較し(ステップS207)、許容値より大きい場合、コントラスト値の差異によって、フォーカシングレンズ202aの合焦位置のある方向が分かるので、Bucom101は、Lucom201を介してレンズ駆動機構204によりフォーカシングレンズ202aを合焦位置の方向へ駆動させる(ステップS208)。これによって、フォーカシングレンズ202aを合焦位置に近づけることができる。
【0098】
Bucom101は、ステップS204〜ステップS208の処理を繰り返し行いつつ、得られたコントラスト値の差が所定の許容値以下になった場合(ステップS207)は、コントラストが最良の状態、すなわち合焦状態にあると判断してAF処理を終了する。このとき、Tucom301によりまずウォブリングが停止し(ステップS209)、すなわち、可動枠駆動機構303が停止され、VCM350a,350bが停止する。さらに、振動子324の圧電体324aの駆動も停止し(ステップS210)、接触体324bとガイド軸320との間に生じる摩擦力Ffにより、可動レンズ312aが、更なる電気入力無しに合焦位置で精密に保持される。
【0099】
次に
図12に示すように、AF動作(ステップS110)が完了すると、動画撮影(ステップS111)を行う。撮影された動画は、画像処理部126で処理され(ステップS112)、記録メディア127に記録される(ステップS113)。
【0100】
その後、電源OFF操作をしない限り、電源がONであることが判断され(ステップS121)、Bucom101の処理は、ステップS104に戻る。特段の操作を行わない場合は、ステップS104,S106,S108を経て、AE動作(ステップS109)から画像記録(ステップS113)までの動作が繰り返され、動画撮影が継続する。
【0101】
次に、上述の動画撮影モードから動画ボタンが操作されると、Bucom101は、動画ボタンがONになったことを検出し(ステップS106)、記録中フラグを反転させる(ステップS107)。これによって、動画記録状態ではないと判断され(ステップS108)、静止画撮影モードに移行し、動画の撮影・記録は終了する。ただし、画像表示装置は、ステップS121で電源OFFとなるまで動画表示(ライブビュー表示)を続ける。
【0102】
静止画撮影モードにおいて、Bucom101は、撮影者によりレリーズSWが半押し動作、すなわちファーストレリーズボタンがONに変化したかを検出する(ステップS114)。ファーストレリーズボタンがONになったことが検出されると、自動露光(AE)処理を行い(ステップS115)、その後、ウォブリングを用いたAF動作を行う(ステップS116)。ステップS116では、
図13に示したAF動作が行われる。その際、画像表示装置123には、ステップS205で取り込んだ画像が表示される。
【0103】
次に、
図12に示すように、AF動作(ステップS116)が完了すると、Bucom101は、電源OFFを検出するステップS117を経てステップS104に戻る。使用者がモードの変更をしない限り、ステップS104、ステップS106、ステップS108を経て、ステップS114で、再び1stレリーズボタンがONに変化したかが検出される。ここで、1stレリーズボタンは、既にONになっているので「NO」に分岐する。
【0104】
次に、Bucom101は、レリーズSWの全押し動作であるセカンドレリーズボタンの動作を検出し(ステップS117)、セカンドレリーズボタンがONされると、静止画像の撮影(ステップS118)を行う。ステップS118で撮像した画像データは、撮像部インターフェース回路122を介して画像処理部126で処理され(ステップS119)、画像表示装置123に表示されると共に記録メディア127に記録される(ステップS120)。
【0105】
一方、ステップS117において、セカンドレリーズボタンがOFFの場合は、ステップS121を経て、ステップS104に戻り、特段の操作をしない限り、ステップS104,S106,S108,S114,S117,S121の処理が繰り返される。静止画撮影モードでは、ファーストレリーズボタンがONの状態では、画像表示装置123にAF動作(ステップS116)により取り込んだ画像が表示され、セカンドレリーズボタンがONされる度に、1コマずつ静止画の撮影・記録(ステップS118〜S120)を実行する。
【0106】
カメラシステム10は、動画または静止画撮影における画像記録(ステップS113およびステップS120)後、電源OFFが検出されるまで(ステップS121)画像再生、静止画、動画の撮影を行う。
【0107】
以上説明したように本実施形態によれば、撮像装置のウォブリングによるAFを行う中間レンズユニットに、可動枠に固定された振動子と、この振動子をガイド軸に対して振動方向に付勢する付勢機構とを有する駆動装置を用いて、振動子を振動させた状態では、ガイド軸と可動枠との接触面の摩擦力が、振動部が振動していない状態よりも、小さくしたので、レンズの可動枠を高速かつ精密に駆動しできるとともに、電気入力無しに任意の位置に可動枠を保持し続けることができる。より具体的には撮影レンズのフォーカシングやズーミングを高速、精密に実現できるとともに、フォーカシング位置やズーミング位置を電気入力無しに任意の位置で持続的に、精密に保持することが可能で、非常に使い勝手の良いレンズを提供できる。
【0108】
(変形例)
図14は振動子A330と振動子B331とをガイド軸318に沿って配置したもので、2つの接触体330b、331bがガイド軸に安定して接触することになる。また、圧電体が複数になることでより大きな振動を低い電圧で発生することができる。さらに、振動子A330と振動子B331は付勢バネ320に対して対称に配置されているため、動作がより安定する。
【0109】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本願発明に係る駆動装置は、カメラシステムに限らず、可動部を有するプリンタやスキャナ等の種々の電子機器に適用することができる。
【0110】
また、上述の実施形態では、ウォブリング用のレンズに本発明に係る駆動機構を適用したが、その他のレンズ、例えばフォーカス用や変倍用のレンズに適用することも可能である。また、レンズの移動方向は、光軸方向に限られず、光軸と垂直方向に沿うガイド部を設け、これに沿ってレンズを駆動することも可能である。
【0111】
また、上述の実施の形態で、レンズと呼ぶものには、1枚のレンズに限られず、複数枚により構成されるレンズ群や、複数枚のレンズを接合して構成したレンズをも含むものとする。
【0112】
さらに、上記実施の形態では、第1部材を固定枠、第2部材を可動枠としたが、第1部材を可動枠、第2部材を固定枠とする構成も可能である。その場合、例えば、可動枠が固定枠の穴に挿通されたガイド軸を有し、固定枠には、このガイド軸に当接する方向に振動する振動子が固定される。また、駆動部により可動部は固定部に対して移動される。すなわち、固定部は可動部に対して相対移動される。
【0113】
また、中間レンズユニットは、レンズユニットと一体化されていてもよく、その場合、レンズユニットのレンズ制御用マイクロコンピュータは、カメラ本体から通信部を介して可動レンズをウォブリング動作させる指示を受け、駆動部により可動枠を光軸方向に往復移動させるとともに、前記可動枠の前記固定枠に対する位置を通信部からカメラ本体の制御用マイクロコンピュータへ送信する。カメラ本体の制御用マイクロコンピュータは、通信部を介して、レンズユニットのレンズ制御用マイクロコンピュータにフォーカスレンズ群を駆動させて、AF動作が実行される。