【実施例1】
【0025】
図面において、1は易開封性注出具であり、この易開封性注出具1(以下、単に「キャップ1」という)は、容器2の口部3に取り付け可能な装着部4並びに容器口部3を覆う閉鎖壁5及び内容物の注出筒6を有したものであり、注出筒6の下端内面を覆う閉鎖壁5は、注出筒6の下端から内方に延びる環状のフランジ部29とフランジ部29の内側に形成された開口予定部7とからなり、開口予定部7は開口形成用スコアー8によりフランジ部29から裂き取り可能に形成されている。開口予定部7には上方に延びるスコアー引裂用引張り部9(以下、単に「引張り部9」という)とを設けると共に、前記開口形成用スコアー8は、閉鎖壁5の環状フランジ部29に刻設した環状の外側スコアー10と、この外側スコアー10より内方に位置する弧状の内側スコアー11と、外側スコアー10から内側スコアー11に至る径方向連絡スコアー12(以下、単に「連絡スコアー12」という)とからなり、前記引張り部9は、内側スコアー11と外側スコアー10との間に設けられ、この引張り部9の基端部9a片側には、前記連絡スコアー12を刻設し、且つ内側スコアー11を連絡スコアー12から引張り部9側に向かって周方向所定角度αに刻設してなるものである。
【0026】
前記容器2は、その口部3にキャップ1の装着部4を打栓あるいは螺着若しくはパウチ容器や紙容器などに対する溶着などにより、装着でき且つ密封できるものであれば特に限定がなく、どのようなタイプ、材質でも良い。この実施例1の容器2では、その口部3にキャップ1の装着部4をあてがい打栓することで、口部3にキャップ1を取り付けることが可能であるものを想定している。
【0027】
このキャップ1は、天面20と、その天面20の周縁から垂下してなるスカート壁21とを有している。この天面20に前記注出筒6を設け、スカート壁21の上半部21aの外周面にネジ22を刻設して、後に詳述する上蓋23を螺着脱できるようにする一方、スカート壁21の中間部外周面から外方に外側壁24を張り出し形成して、この外側壁24は、スカート壁21の下半部21bと相俟って、前記装着部4を形成している。なお、外側壁24の下端部内周面に凸部25を設けて、容器口部3にキャップ1を打栓したあと、このキャップ1が容器口部3から絶対に脱落することがないようにしている。
【0028】
前記注出筒6は、その上端が外方に広がり内容物の注出に都合良く形成され、その底部にある閉鎖壁5のフランジ部29の内側端に開口予定部7が設けられ、この開口予定部7は、
図1に示すように、フランジ部29より上方に位置する下段頂板部30及び下段頂板部30より上方に位置する上段頂板部31とからなり、本実施例1では、何れの閉鎖壁も水平面となっている。また、スコアー引裂用引っ張り部9は、
図4、6に示すように下段頂板部30上面に設けられている。
そして、フランジ部29と下段頂板部31とは、
図5〜8に示すように、前記開口形成用スコアー8の環状の外側スコアー10により繋がり、下段頂板部30と上段頂板部31とは、
図4に示すように、前記連絡スコアー12から引張り部9側に向かって周方向所定角度α(実施例1では180度)の弧状の内側スコアー11と
図4、8に示すように、残りの部分を形成する連結部13とにより繋がり、さらに、これら外側スコアー10と内側スコアー11とは、
図4、5に示すように、開口予定部7の中心に向かって径方向に延びる径方向連絡スコアー12により繋がり、開封前の密封性を保持すると共に、開封を容易に出来るようにしている。
【0029】
実施例1においては、前記内側スコアー11は、その周方向所定角度αを180度としたが、これに限定せず前記連絡スコアー12から120度ないし270度であれば良く、この範囲であれば帯状に切り取り、それ以後外側スコアー10のみを切り裂いて開口予定部7を切り取っても、帯状に切り取られた閉鎖壁5の下段頂板部30による形状復元力が弱いから、開封時に内容物が外部に飛散することがない。
【0030】
本発明においては、内側スコアー11と外側スコアー10の形成位置は同一平面ではなく、いずれかが上方または下方に位置している。
内側スコアー11が外側スコアー10よりも上方に位置している場合は、開封の際、外側スコアー10の一部及び連絡スコアー12を引き裂いた後、残りの外側スコアー10及び上方にある内側スコアー11を切り裂くことになって、その切り裂く力を分散することなく集中して、開口予定部7を切り取る。したがって、開口予定部7を容易に切り取ることができて、開封しやすくな
り、しかも、金型成形性がより優れたものになる。
また、上記とは逆に、内側スコアー11が外側スコアー10よりも下方に位置する場合は、開封性や金型成形性が若干落ちるものの、上記した本発明の目的を充分果たすことが可能である。
【0031】
前記キャップ1の開口形成用スコアー8は、上記のように形成されて、開口予定部7を容易に切り取ることが出来て、開封が容易となっているから、その外側スコアー10は、注出筒6における横断面形状どおりに、すなわち、開封を容易にするために開口予定部7の形状を規制することがないから、相似形は無論のこと、自在に開口予定部7の形状を定めることが出来る。したがって、容器2の内容物が粘度の高いものであっても、注出筒6から内容物をスムーズに注出することが出来、且つ注出筒6からの内容物の取り出し量も最大限多くすることが可能となる。
【0032】
前記引張り部9は、既述のとおり、内側スコアー11と外側スコアー10との間、すなわち、下段頂板部30上に設けられ、この引張り部9の基端部9a片側には、
図4,5に示すように、前記連絡スコアー12が位置している。この引張り部9は、支柱32及びこの支柱32の上部から延設した指掛けリング33からなって、開封時に指掛けリング33に手指を掛け、引き上げることで、開口予定部7を切り取り、開封するものである。なお、
図1の34は手指のすべり止めである。
【0033】
前記上蓋23は、天板26とこの天板26の周縁から垂下する側壁27とで構成され、その天板26に、これから垂下し注出筒6の内周面に当接しシールするインナーリング28を形成し、且つ側壁27の内周面27aに、前記スカート壁21の上半部21a外周面に刻設したネジ22に螺合するネジ28を刻設してなる。この上蓋23は、開封前は注出筒6の裸出部分を外部汚染から守り、開封後も注出筒6の裸出部分や容器2内を外部汚染から守ると共に、容器2の内容物が外部に漏れるのを防ぐものである。
【0034】
次に、上記構成になる易開封性注出具1の利用方法について説明する。
まず、キャップ1に上蓋23を螺着して閉じた状態のキャップ1にし、容器2内に内容物を充填したあと、容器2の口部3にキャップ1を装着、すなわち、容器口部3にキャップ1の装着部4をあてがい打栓して、容器2内を密封する(
図3参照)。その後、必要に応じて上蓋23を冠したキャップ1付きの容器2を包装して最終製品とする。
【0035】
最終製品の消費に際しては、少なくともキャップ1部分を裸出し、キャップ1から上蓋23を開け得る状態にする。そして、上蓋23を螺脱して、引張り部9を裸出し、指掛けリング33に手指を掛け引き上げると、その力は開口形成用スコアー8の外側スコアー10及び連絡スコアー12の角部35に集中するから、その角部35から外側スコアー10及び連絡スコアー12を切り裂き始め、次いで内側スコアー11も周方向所定角度、例えば、180度まで外側スコアー10と共に切り裂いて、閉鎖壁5の下段頂板部30を180度まで帯状に切り裂くが、その後、内側スコアー11が無いから、外側スコアー10のみを切り裂くことになり、閉鎖壁5における開口予定部7を除去し、注出筒6を開封する。
【0036】
そして、容器2内の内容物を必要量だけ、注出筒6から希望する容器などに注ぎ込むことが出来る。その内容物を注ぎ終わった後、容器2に内容物が残っていれば、キャップ1に上蓋23を螺着し、注出筒6の内周面にインナーリング28を嵌合することになって、容器2の内容物が漏れないように密封される。以後、容器2の内容物を使い切るまで、上記した同じ動作を繰り返すことになる。
【0037】
以上、本発明の実施例1を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、例えば、フィルムによって構成された容器に取り付ける注出具や口栓にも適用出来、さらに本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は、適宜可能であることが理解されるべきである。また、フランジ部29より上方に位置する下段頂板部30及び下段頂板部30より上方に位置する上段頂板部31とからなる開口予定部7についても、本実施例1では、何れの閉鎖壁も水平面となっているが、傾斜面となっていても良い。