(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る遊技機の一例としてパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機/以下、「パチスロ機」と示す)に具体化した実施形態を、
図1〜
図25Bに基づき説明する。なお、以下の説明において「上」「下」「左」「右」「表(前)」「裏(後)」と記載した場合、特に断らない限り、パチスロ機10を機表側から見た場合(遊技場での設置状態において遊技者側から見た場合)の「上」「下」「左」「右」「表(前)」「裏(後)」を示すものとする。
【0025】
(遊技機概要)
まず実施形態にかかるパチスロ機10の概略構成について
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、実施形態にかかるパチスロ機10の概略正面図(前側から見た図)である。
図2は、実施形態にかかるパチスロ機10の概略平面(上面)図である。
図3は、実施形態にかかるパチスロ機10の概略右側面図である。
図4は、実施形態にかかるパチスロ機10の概略左側面図である。
【0026】
図1〜
図4に示すように、パチスロ機10は、前方から見て矩形に形成された機本体11および前扉12が組み合わされて構成されている。また、前扉12は、機本体11の前面側部に所定の間隔を開けて設けられたヒンジを介して機本体11に取り付けられている。例えば、
図2に示すように、機本体11における、左前の側縁部の上端近傍にはヒンジ11aが設けられており、また同様に、機本体11における、左前の側縁部の下端近傍にはヒンジ(不図示)が設けられている。前扉12は、この機本体11のヒンジ11a等に枢支されている。すなわち、前扉12は、機本体11に対して前後方向へ開閉可能に支持されている。
【0027】
また
図3および
図4に示すように、パチスロ機10を側方から見ると、前扉12は機本体11に対して平行でなく、上から下へ向かって前方側へ傾斜するようにして枢支されている。
【0028】
<前扉12の正面側>
前扉12には、遊技を行うための操作部や、演出・各種情報を表示する表示部、遊技性の向上に供される各種装飾部等が設けられている。例えば、
図1〜
図4に示す例においては、装飾、演出、および遊技情報の報知に用いられる、パネル板12a、図柄表示窓12b、情報表示部12c、演出表示部12dが設けられている。
【0029】
パネル板12aは、パチスロ機10の装飾等のための前扉12の前面略中央部に設けられ、各種装飾が施されている。さらにパネル板12aの中央には、図柄表示窓12bが設けられている。図柄表示窓12bは、遊技者がパチスロ機10の前側から、機本体11内に配設された回転リール19を視認可能とする。また、パネル板12aの下方には、遊技に関する各種情報を報知する情報表示部12cが、情報の種類に応じて設けられている。また、前扉12における前面略上部、すなわちパネル板12aの上側には、パチスロ機10の遊技状態に対応して、各種表示演出を行う演出表示部12d等が配設されている。
【0030】
また、前扉12の前面においてパネル板12aの右下方位置には、前扉12の前面側遊技媒体であるメダルを投入するメダル投入口13(
図1・
図2参照)等が設けられている。また、前扉12の前面において、パネル板12aの左下方位置であってメダル投入口13と略対称となる位置にはBETボタン14、MAXBETボタン15が並設され(
図1・
図2参照)、BETボタン14のやや下方にクレジットボタン16が、MAXBETボタン15のやや下方にスタートレバー17(
図1・
図3・
図4参照)が設けられている。また、パネル板12aの下方かつ前扉12の前面の略中央位置においてクレジットボタン16およびスタートレバー17と並設されるようにストップボタン18が3つ並設されている。また、メダル投入口13から機本体11側へ投入されるメダルの通路には、メダルセンサが配設されている。メダルセンサは、投入されたメダルの通過を検知する。
【0031】
パチスロ機10では、メダル投入口13から投入されたメダル、または遊技の結果、払い出された賞メダルを貯留データ(以下、「クレジット」と示す)として記憶する。また、BETボタン14およびMAXBETボタン15は、当該クレジットされた貯留データから、遊技者が任意に設定した賭率に合わせて、1ゲーム分のメダルを投入するための操作手段となるものである。
【0032】
図4に示すようにスタートレバー17は、前扉12の前面から遊技者側へ突出して設けられている。スタートレバー17は、遊技者等が操作することにより、操作位置と原位置との間を揺動可能に構成され、原位置の方向に付勢されている。このスタートレバー17には、レバースイッチ(図示省略)が設けられている。遊技者により付勢力に抗してスタートレバー17が揺動操作されるとレバースイッチがオンの状態となる。スタートレバー17が付勢力により原位置に戻るとレバースイッチがオフの状態都なる。
【0033】
3つの各ストップボタン18は、3つの各回転リール19にそれぞれ対応している。また、これらのストップボタン18それぞれに対応して押圧スイッチ(図示省略)が設けられている。ストップボタン18がそれぞれ押圧されると、各押圧スイッチから制御部(不図示)に信号が送信される。この信号により、制御部は、押圧されたストップボタン18に対応する回転リール19の回転をそれぞれ停止させる。
【0034】
また、
図1に示すように前扉12の前面における下部中央にはメダル排出口20が形成されている。また、前扉12には、メダル排出口20の開口と連続して受皿21が設けられている。
図3および
図4に示すように、受皿21は、前扉12から略前方に突出して設けられている。したがって、受皿21には、操作者の払い出し操作や遊技結果に応じて、メダル排出口20から排出されたメダルが貯留される。
【0035】
また、前扉12の前面における回動軸(ヒンジ側)側と反対側には、機本体11に対する前扉12の回動をロックする錠部材30が設けられている。
図1および
図3に示す例においては、前扉12の前面におけるパネル板12aの下方において、左から右へ順に、クレジットボタン16、スタートレバー17、ストップボタン18、錠部材30が並設されている。この錠部材30としては、シリンダ錠等が用いられる。錠部材30は、長手方向が機前後方向であり、この方向を軸に回転可能である。すなわち、店員等が錠部材30に鍵k(
図3参照)を挿して回転させると、後述のロック状態が解除され、機本体11に対する前扉12の回動が許容される。ロック状態およびロック状態の解除の詳細については、後述する。
【0036】
(回動動作および機本体11の概要)
次に実施形態にかかるパチスロ機10の内部(機本体11、前扉12背面)の概略構成および前扉12の回動動作について
図5〜
図8を参照して説明する。
図5は、実施形態にかかるパチスロ機10において前扉12を開放した状態を示す概略正面図である。
図6は、実施形態にかかるパチスロ機10において前扉12を開放した状態を上方から見た概略斜視図である。
図7は、実施形態にかかるパチスロ機10において前扉12を開放した状態を示す概略右側面図である。
図8は、実施形態にかかるパチスロ機10において前扉12を開放した状態を示す概略左側面図である。なお、
図5においては、
図1において図示を省略した回転リール19の概要を示している。また、
図7においては、表示制御基板の図示を省略している。
【0037】
<機本体11>
錠部材30に鍵kを挿して回転させると、ロック状態が解除され、機本体11に固定されていた、前扉12を前方へ回動させることが可能となる。
図5に示すように、前扉12を回動させると機本体11の内部へアクセス可能となる。機本体11側、すなわちパチスロ機10の内部には、
図5に示す主制御基板40、サブ統括制御基板、電源基板、駆動制御基板等、の各種制御部が設けられている。また、機本体11には、
図5および
図6に示す回転リール19、払出装置50、貯留部51、電源ユニット等が配設されている。
【0038】
払出装置50は、タンクとホッパー機構と、ホッパー機構を駆動するための駆動ユニットとを備えている。このタンクには、払出し用の遊技媒体や、投入された遊技媒体が貯留されており、貯留された遊技媒体が増加して、タンクから溢れ出た場合には、タンクに設けられたノズルを経て貯留部51に排出される。
【0039】
<前扉12の背面側>
図7に示すように、前扉12の背面側には、表示制御基板(図示省略)、投入メダル検知部(メダルセレクター)52、スピーカS、施錠装置60等が配設されている。表示制御基板は、遊技の状態に応じて演出表示部12dの表示演出を制御する。投入メダル検知部52は、メダル投入口13から投入されたメダルを検知するセンサを備えており、メダルが投入されるとメダルを検知し、検知信号を制御部に送る。
【0040】
<前扉12の背面側>
錠部材30に鍵kが挿入され、回転されると、錠部材30の背面側端部に設けられたカム32が回転する。カムが回転すると後述する施錠装置60の連動機構が移動し、ロック状態が解除される。なお、施錠装置60の構成については後述する。
【0041】
<前扉12の回動動作>
次に
図5〜
図8を参照して前扉12の回動動作の概要について説明する。
【0042】
まず、
図1〜
図4に示すように前扉12の開閉動作(回動)がロック状態となっているときに、店員等が鍵kを鍵穴31(
図1)に挿して回転させると錠部材30が回転される。錠部材30が回転されると、錠部材30の背面側端部に接続されたカム32(
図7)が連動して回転される。カム32が回転されると、カム32の突出部が施錠装置60の連動機構を移動させ、係合部材(
図5・符号62・64参照)を回転させ、ロック状態が解除される。
【0043】
ロック状態が解除されると、機本体11対する前扉12の回動動作、すなわち前扉12の開閉動作が可能になる。店員等はこのようにしてロック状態を解除し、
図5〜
図8に示すように前扉12を開方向に回動させ、パチスロ機10内部にアクセス可能な状態とする。
【0044】
(施錠装置60)
次に、
図9〜
図25Bを参照し、実施形態にかかる施錠装置60の構成および動作について説明する。
図9は、実施形態にかかるロック状態の施錠装置60を背面側から示す概略斜視図である。
図10Aは、実施形態にかかる施錠装置60の一部を分解した状態を示す概略分解斜視図である。
図10Bは、実施形態にかかる施錠装置60の一部を分解した状態を示す概略分解斜視図である。
図11Aは、実施形態にかかる施錠装置60の一部を分解した状態を示す概略分解斜視図である。
図11Bは、実施形態にかかる施錠装置60の一部を分解した状態を示す概略分解斜視図である。
【0045】
<フレーム61の全体構成>
図5に示すように、施錠装置60は前扉12に固定されて支持される。施錠装置60を前扉12に取り付けるための基礎部分として、フレーム61を備えている。
図9に示すようにフレーム61は、上下方向を長手方向とし、長手方向に直交する断面がコの字形状に形成され、また部分的に断面がL字形状となるように形成されている。以下、具体的な構成について説明する。
【0046】
図9、
図10Aおよび
図10Bに示すように、フレーム61は、前扉12の背面に取り付けられる取付板61aを備えている。取付板61aは、前扉12対して平行になるように組み付けられる。また、フレーム61は、取付板61aと略直交して、取付板61aの側縁部から突出する右側板61bを備えている。この右側板61bはパチスロ機10の内部(前から後)へ向かって折り曲げられるように形成されている。この取付板61aと右側板61bとによってフレーム61の断面が略L字形状となる(
図10B参照)。なお、
図9および
図10Aにおいてはフレーム61をパチスロ機10の背面側から見ているため、右側板61bが図面の左側に位置しており、左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jが図面の右側に位置している。
【0047】
また
図9および
図10Aに示すように、フレーム61は、取付板61aにおける右側板61bと反対側の側縁部から取付板61aと略直交するように突出する左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jを備えている。右側板61bと同様に、左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jは、パチスロ機10の内部側へ折り曲げられる。つまり、左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jは、右側板61bと対向するように形成される。
図10Aに示すように、左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jは、互いに連続せずに、それぞれが分離して形成される。
【0048】
したがって、フレーム61における、左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jが形成されている部分の断面はコの字型であり、それ以外の部分は断面がL字型になる。下被覆部61gが前扉12に取り付けられると、一方の右側板61bは、
図5に示すように前扉12と機本体11との隣接部分の側に位置し、他方の左上側板61c、左下側板61f、左中央側板61jは、パチスロ機10の内部側に位置する。したがって、前扉12と機本体11との隣接部分から線材等を侵入させることを防ぐため、右側板61bはフレーム61の長手方向に沿って連続した面を有するように形成されている。
【0049】
また
図9、
図11Aおよび
図11Bに示すように、左上側板61cには、機本体11と前扉12のロック状態を形成する上係合部材62が回動可能に取り付けられる。また、左上側板61cには、スライド板63が取り付けられる。
図9に示すように上係合部材62は、その一部が、左上側板61cとスライド板63に挟まれるようにして取り付けられる。また、スライド板63は、錠部材30におけるカム32の回動に応じて上下動する。スライド板63は、「摺動杆」の一例に該当する。上係合部材62、スライド板63の詳細については後述する。
【0050】
また
図9、
図11Aおよび
図11Bに示すように、左下側板61fには、機本体11と前扉12のロック状態を形成する下係合部材64が回動可能に取り付けられる。また、左下側板61fには、スライド板63が取り付けられる。
図9に示すように下係合部材64は、その一部が、左下側板61fとスライド板63とに挟まれるようにして取り付けられる。下係合部材64の詳細については後述する。
【0051】
<左上側板61c、上係合部材62>
左上側板61cは、
図9および
図10Aに示すようにフレーム61の上端から略中間位置までの長さを有する。また左上側板61cは、その長手方向の略中間位置において上被覆部61dが形成されている。
図9および
図10A上被覆部61dは、左上側板61cの突出する長さより長く突出している。また上被覆部61dには、当該突出方向と逆の方向に切欠かれた上支持凹部61eが形成されている。この上支持凹部61eには、機本体11から延出された第1被係合ピン70が係合される。なお、第1被係合ピン70は、「被係合部材」の一例に該当する。
【0052】
また、上被覆部61dにおける上支持凹部61eの上方には、板状の上係合部材62が回動可能に取り付けられる。すなわち、上被覆部61dの突出方向側には、上係合部材62を回動可能に支持する第1回動軸62aが設けられている。
図11Aおよび
図11Bに示すように、板状の上係合部材62には、第1被係合ピン70を受け入れ可能な大きさの第1係合凹部621が形成されている。この第1係合凹部621の位置は、上係合部材62が上被覆部61dに取り付けられた状態において、上係合部材62の正面側かつ下側である。
【0053】
上述のように、上被覆部61dがパチスロ機10の内側へ突出しており、さらに第1回動軸62aが上被覆部61dの突出端側に設けられている。また
図9に示すように機本体11から延出された第1被係合ピン70は、第1回動軸62aより正面側(前側)に位置している。したがって、上係合部材62が第1被係合ピン70に係合し、機本体11と前扉12のロック状態を形成するように回動する場合、上係合部材62の回動方向は、パチスロ機10の正面側かつ下方である。
【0054】
本実施形態のように機本体11から延出された第1被係合ピン70に上係合部材62を回動させて係合させる構成の場合、当該回動動作に支障がない程度に、上係合部材62の回動軌跡を確保することが望ましい。つまり、上係合部材62の長さを確保する必要がある。このような構成によれば、上係合部材62をパチスロ機10の内側へ後退させる必要がある。上係合部材62が後退すれば、すなわち、前扉12と機本体11との隙間が生じていても、当該隙間から上係合部材62までの距離が長くなるため、上係合部材62への線材等による不正な接触を行うことが困難となる。したがって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0055】
また、
図9に示すように、板状である上係合部材62の板面の一方が上被覆部61dに覆われている。したがって、上係合部材62への線材等による不正な接触を行うことが困難となる。本実施形態は、これらの構成それぞれによって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0056】
<左下側板61f、下係合部材64>
左下側板61fは、
図9および
図10Aに示すようにフレーム61の略中間位置に形成された左中央側板61jの下方に形成される。また左下側板61fには、その長手方向の略中間位置において下被覆部61gが形成されている。
図9および
図10Aに示すように下被覆部61gは、左下側板61fの突出する長さより長く突出している。また下被覆部61gには、当該突出方向と逆の方向に切欠かれた下支持凹部61hが形成されている。この下支持凹部61hには、機本体11から延出された第2被係合ピン71が係合される。なお、第2被係合ピン71は、「被係合部材」の一例に該当する。
【0057】
また、下被覆部61gにおける下支持凹部61hの上方には、板状の下係合部材64が回動可能に取り付けられる。すなわち、下被覆部61gの突出方向側には、下係合部材64を回動可能に支持する第2回動軸64aが設けられている。
図11Aおよび
図11Bに示すように、板状の下係合部材64には、第2被係合ピン71を受け入れ可能な大きさの第2係合凹部641が形成されている。この第2係合凹部641の位置は、下係合部材64が下被覆部61gに取り付けられた状態において、下係合部材64の正面側かつ下側である。
【0058】
上述のように、左下側板61fがパチスロ機10の内側へ突出しており、さらに第2回動軸64aが下被覆部61gの突出端側に設けられている。また
図9に示すように機本体11から延出された第2被係合ピン71は、第2回動軸64aより正面側(前側)に位置している。したがって、下係合部材64が第2被係合ピン71に係合し、機本体11と前扉12のロック状態を形成するように回動する場合、下係合部材64の回動方向は、パチスロ機10の正面側かつ下方である。
【0059】
本実施形態のように機本体11から延出された第2被係合ピン71に下係合部材64を回動させて係合させる構成の場合、当該回動動作に支障がない程度に、下係合部材64の回動軌跡を確保するために下係合部材64の長さを設定する必要がある。このような構成によれば、下係合部材64をパチスロ機10の内側へ後退させる必要がある。下係合部材64が後退すれば、すなわち、前扉12と機本体11との隙間が生じていても、当該隙間から下係合部材64までの距離が長くなるため、下係合部材64への線材等による不正な接触を行うことが困難となる。したがって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0060】
また、
図9に示すように、板状である下係合部材64の板面の一方が下被覆部61gに覆われている。したがって、下係合部材64への線材等による不正な接触を行うことが困難となる。本実施形態は、これらの構成それぞれによって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0061】
<左中央側板61j>
左中央側板61jは、
図9および
図10Aに示すようにフレーム61の略中間位置に形成される。また左中央側板61jは、フレーム61の上下方向に所定の長さを有する。また左中央側板61jには、その輪郭形状より一回り小さい程度の大きさを有する中間ガイド孔GH3が形成されている。この中間ガイド孔GH3に、後述するスライド規制部材67の規制部材ガイド67aが挿通されることにより、スライド規制部材67の上下動のガイドおよびスライド規制部材67の支持をする。
【0062】
<錠部材支持孔61k>
図10Aおよび
図10Bに示すように、錠部材支持孔61kには、錠部材30が挿通される。錠部材30は、フレーム61と接する基端部に台座(フランジ)を備えており、この台座部分をフレーム61の取付板61aに固定することによりフレーム61に支持される。
【0063】
<スライド板63>
図9に示すように、スライド板63は、フレーム61の上方に形成された上被覆部61dから、フレーム61の略中間位置に形成された左中央側板61jを経て、フレーム61の下方に形成された左下側板61fまで至る長さを有する。
【0064】
スライド板63は、その上方に第1スライド支持軸63aを備えている。
図11Aおよび
図11Bに示すように、第1スライド支持軸63aは、上係合部材62の貫通孔を通過し上被覆部61dに形成された上ガイド孔GH1(
図10A参照)に通される。上被覆部61dにおける上ガイド孔GH1は、上被覆部61dにおいて第1被係合ピン70の支持位置(上支持凹部61eの端部)よりさらに正面側(パチスロ機10の前側)において、長穴形状に設けられる。また、上ガイド孔GH1の長手方向は、フレーム61の上下方向に沿って設けられる。すなわちスライド板63は、第1スライド支持軸63aを介して、上ガイド孔GH1に支持され、かつ上ガイド孔GH1にガイドされて上下動することが可能である。
【0065】
この第1スライド支持軸63aは、上係合部材62の貫通孔も通されているので、第1スライド支持軸63aの上方移動とともに上係合部材62も第1スライド支持軸63aによって上方に移動する。
【0066】
スライド板63は、その下方に第2スライド支持軸63cを備えている。
図11Aおよび
図11Bに示すように、第2スライド支持軸63cは、下係合部材64の貫通孔を通過し下被覆部61gに形成された下ガイド孔GH2に通される。下被覆部61gにおける下ガイド孔GH2は、下被覆部61gにおいて第2被係合ピン71の支持位置(下支持凹部61hの端部)よりさらに正面側(パチスロ機10の前側)において、長穴形状に設けられる。また、下ガイド孔GH2の長手方向は、フレーム61の上下方向に沿って設けられる。すなわちスライド板63は、第2スライド支持軸63cを介して、下ガイド孔GH2に支持され、かつ下ガイド孔GH2にガイドされて上下動することが可能である。
【0067】
この第2スライド支持軸63cは、下係合部材64の貫通孔も通されているので、第2スライド支持軸63cの上方移動とともに下係合部材64も第2スライド支持軸63cによって上方に移動する。
【0068】
上被覆部61dと同様に、下被覆部61gがパチスロ機10の内側へ突出しており、さらに第2回動軸64aが下被覆部61gの突出端側に設けられている。また
図9に示すように機本体11から延出された第2被係合ピン71は、第2回動軸64aより正面側(前側)に位置している。したがって、下係合部材64が第2被係合ピン71に係合し、機本体11と前扉12のロック状態を形成するように回動する場合、下係合部材64の回動方向は、パチスロ機10の正面側かつ下方である。
【0069】
本実施形態のように機本体11から延出された第2被係合ピン71に下係合部材64を回動させて係合させる構成の場合、当該回動動作に支障がない程度に、下係合部材64の回動軌跡を確保することが望ましい。つまり、下係合部材64の長さをこれに応じて設定する必要がある。このような構成によれば、下係合部材64をパチスロ機10の内側へ後退させる必要がある。下係合部材64が後退すれば、すなわち、前扉12と機本体11との隙間が生じていても、当該隙間から下係合部材64までの距離が長くなるため、下係合部材64への線材等による不正な接触を行うことが困難となる。したがって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0070】
また、
図9・
図11Aおよび
図11Bに示すように、スライド板63の中間よりやや下方は、その長手方向に沿って凹形状となっている。スライド板63におけるこの位置は、錠部材30のカム32、スライド規制部材67、中間係合部材69等に対応している。スライド板63におけるこの部分には、カム32の第1突出部32aを通過可能とする第1貫通孔63dが設けられている。またこの部分には、カム32の第2突出部32cを通過可能とする第2貫通孔32eが設けられている。
【0071】
また、
図9・
図11Aおよび
図11Bに示すように、スライド板63における上端と上記凹形状部分との間には、後述の第1ばね部材80の上端が係合される第1フック63fが設けられている。また凹形状部分の下方には、後述の第2ばね部材81の上端が係合される第1フック63fが設けられている。
【0072】
<スライド規制部材67>
図9に示すように、スライド規制部材67は、上端が第1ばね部材80下端の位置に対応し、下端は第2ばね部材81の下端近傍まで至る長さを有する。スライド規制部材67は長手方向の中間位置よりやや上方に、中間ガイド孔GH3に挿通され、スライド規制部材67の上下動ガイドおよび左中央側板61jに支持されるための規制部材ガイド67aが設けられている。規制部材ガイド67aは、上下方向に所定の長さを有しており、長さ、幅ともに、中間ガイド孔GH3に挿通可能な大きさに形成されている。
【0073】
また、スライド規制部材67には、スライド板63の第1貫通孔63d、カム32に対応する位置に係合孔67cが設けられている。この係合孔67cには、スライド板63の第1貫通孔63dを通過したカム32の第1突出部32aが当接する。錠部材30が回転されるとともにカム32が回転し、第1突出部32aと第1バネフック67dの当接が解除されると、カム32による第1ばね部材80の付勢力に抗してスライド規制部材67を下げようとする力が解除される。
【0074】
また、
図11Aおよび
図11Bに示すように、スライド規制部材67の上端部には第1ばね部材80の下端部が係合される第1バネフック67dが設けられている。フレーム61の上方に形成された上被覆部61dから、フレーム61の略中間位置に形成された左中央側板61jを経て、フレーム61の下方に形成された左下側板61fまで至る長さを有する。
【0075】
<中間係合部材69>
図11Aおよび
図11Bに示すように、スライド板63とスライド規制部材67の間に挟まれるようにして中間係合部材69が配置される。中間係合部材69は、係止部と、吊上部69aと、第2バネフック69cが設けられている。第2バネフック69cには第2ばね部材81の上端部が係合される。また吊上部69aは貫通孔であり、第2突出部32cを挿通可能な大きさを有し、錠部材30に解錠操作がなされると、カム32が回転し、第2突出部32cが吊上部69aの孔の上端面を吊り上げる。
【0076】
この動作により、第2ばね部材81が吊り上げられるとともに、スライド板63の第2フック63gを介して、スライド板63が上方にスライドする。スライド板63のスライド移動により、第2回動軸64aにしたがって下係合部材64が上方に回動し、下係合部材64と第2被係合ピン71のロック状態が解除される。
【0077】
(施錠装置60の動作)
次に、
図9〜
図25Bを参照して、錠部材30および施錠装置60の動作について説明する。
【0078】
<ロック状態>
図9、
図12〜
図15Aを参照して、ロック状態について説明する。
図9、
図12〜
図15Aに示すように、錠部材30の鍵穴31に鍵kが挿されて回転されるまでは、錠部材30および施錠装置60の各部は以下のようになっている。
図12は、実施形態にかかるロック状態の施錠装置60を示す概略正面図である。
図13は、実施形態にかかるロック状態の施錠装置60を示す概略背面図である。
図14は、実施形態にかかるロック状態の施錠装置60を示す概略左側面図である。
図15Aは、実施形態にかかるロック状態の施錠装置60を示す概略右側面図である。
図15Bは、
図15Aの部分拡大図である。
【0079】
図9および
図13に示すように、解錠操作がなされるまで、カム32における第1突出部32aは、スライド板63の第1貫通孔63dを通過し、係合孔67cの内壁を押圧している。これにより第1ばね部材80の付勢力に抗してスライド板63も押し下げられている。
【0080】
また、
図15Bに示すようにスライド板63の上端の第1スライド支持軸63aは連結された上係合部材62も押し下げられており、上係合部材62の第1係合凹部621は、機本体11から延出された第1被係合ピン70に係合している。上係合部材62は、フレーム61を介して前扉12に接続されているので、機本体11および前扉12はロック状態となっている。
【0081】
また、
図9および
図13に示すように、解錠操作がなされるまで、カム32における第2突出部32cは、スライド板63の第2貫通孔63eに入っておらず、スライド板63と右側板61bとの間に位置している。この状態においては、第2ばね部材81の付勢力により、中間係合部材69の第2バネフック69cとスライド板63の第2フック63gとが引き付けられている。したがって、下係合部材64と第2被係合ピン71とが係合しており、ロック状態となっている。また中間係合部材69もロック状態となっている。
【0082】
<解錠操作中>
図16〜
図20Bを参照して、解錠操作中の状態について説明する。錠部材30の鍵穴31に鍵kが挿されて回転され始めると、錠部材30および施錠装置60の各部は以下のようになっている。
図16は、実施形態にかかるロック解除動作中の施錠装置60を背面側から示す概略斜視図である。
図17は、実施形態にかかるロック解除動作中の施錠装置60を示す概略正面図である。
図18は、実施形態にかかるロック解除動作中の施錠装置60を示す概略背面図である。
図19は、実施形態にかかるロック解除動作中の施錠装置60を示す概略左側面図である。
図20Aは、実施形態にかかるロック解除動作中の施錠装置60を示す概略右側面図である。
図20Bは、
図20Aの部分拡大図である。
【0083】
図16〜
図20Aに示すように、錠部材30の鍵穴31に鍵kが挿されて回転されると、すなわち解錠操作が開始されると、錠部材30および施錠装置60の各部は以下のようになっている。
【0084】
鍵kが鍵穴31から挿入され、所定の条件を満たした上で鍵kが回転されると、錠部材30が回転する。錠部材30が回転すると、カム32が回転し、第1突出部32aおよび第2突出部32cもともに回転する。
【0085】
図16および
図18に示すように、解錠操作中の状態においては、カム32における第1突出部32aは、スライド板63の第1貫通孔63dを通過している状態ではあるものの、係合孔67cの内壁との当接が解除されている。したがって、スライド板63を下方へ押圧する力も解除される。これにより第1ばね部材80の付勢力が働き、スライド板63がスライド規制部材67の第1バネフック67dとスライド板63の第1フック63fとが引き付けられる。したがって、スライド板63が上方へスライドする。
【0086】
ただし、この状態においては
図20Aおよび
図20Bに示すように第2突出部32cが第2貫通孔63eを通過している状態ではあるものの、中間係合部材69とは接触しておらず、中間係合部材69のロック状態は解除されていない。したがって、この状態においては、ロック状態と同様に第2ばね部材81の付勢力が働き、中間係合部材69の第2バネフック69cとスライド板63の第2フック63gとが引き付けられている。したがって、下係合部材64と第2被係合ピン71とが係合しており、ロック状態となっている。
【0087】
<解除状態>
図21〜
図25Bを参照して、ロック状態について説明する。
図21〜
図25Bに示すように、錠部材30の鍵穴31に鍵kが挿されて回転が完了すると、錠部材30および施錠装置60の各部は以下のようになっている。
図21は、実施形態にかかるロック解除動状態の施錠装置60を背面側から示す概略斜視図である。
図22は、実施形態にかかるロック解除状態の施錠装置60を示す概略正面図である。
図23は、実施形態にかかるロック解除状態の施錠装置60を示す概略背面図である。
図24は、実施形態にかかるロック解除状態の施錠装置60を示す概略左側面図である。
図25Aは、実施形態にかかるロック解除状態の施錠装置60を示す概略右側面図である。
図25Bは、
図25Aの部分拡大図である。
【0088】
図21〜
図25Aに示すように、錠部材30の鍵穴31に鍵kが挿され、さらに回転が完了すると、すなわち解錠操作が完了されると、錠部材30および施錠装置60の各部は以下のようになっている。
【0089】
また、
図21および
図23に示すように、解錠操作が完了すると、カム32の第1突出部32aは、スライド板63の第1貫通孔63dから抜けて右側板61b側に移動する。この状態においては第1ばね部材80の付勢力により、スライド板63の上方への付勢がされている状態は、上記解錠中の状態と同様である。
【0090】
また
図21および
図23に示すように、カム32における第2突出部32cは、スライド板63の第2貫通孔63eからスライド規制部材67側に入り、かつ、中間係合部材69の吊上部69aに当接してさらに当該吊上部69aを押し上げる。この状態においては、第2ばね部材81の付勢力に抗して、中間係合部材69の第2バネフック69cが押し上げられている。これにより、スライド板63がさらに押し上げられる。したがって、下係合部材64と第2被係合ピン71とが係合しており、ロック状態となっている。また中間係合部材69もロック状態となっている。
【0091】
スライド板63がさらに押し上げられると、上係合部材62が第1スライド支持軸63aに押し上げられて上方かつ後方へ回動する。したがって、上係合部材62の第1係合凹部621と、機本体11から演出された第1被係合ピン70の係合が解除される。また下係合部材64の第2係合凹部641と機本体11の第2被係合ピン71の係合が解除される。
【0092】
このようにしてロック状態が解除され、機本体11に対して前扉12の開閉動作が可能となる。
【0093】
(作用効果)
以上説明した本実施形態にかかるパチスロ機10の作用および効果について説明する。
【0094】
上述のように、左下側板61fがパチスロ機10の内側へ突出しており、さらに第2回動軸64aが下被覆部61gの突出端側に設けられている。また
図9に示すように機本体11から延出された第2被係合ピン71は、第2回動軸64aより正面側(前側)に位置している。したがって、下係合部材64が第2被係合ピン71に係合し、機本体11と前扉12のロック状態を形成するように回動する場合、下係合部材64の回動方向は、パチスロ機10の正面側かつ下方である。
【0095】
本実施形態のように機本体11から延出された第2被係合ピン71に下係合部材64を回動させて係合させる構成の場合、当該回動動作に支障がない程度に、下係合部材64の回動軌跡を確保するために下係合部材64の長さを設定する必要がある。このような構成によれば、下係合部材64をパチスロ機10の内側へ後退させる必要がある。下係合部材64が後退すれば、すなわち、前扉12と機本体11との隙間が生じていても、当該隙間から下係合部材64までの距離が長くなるため、線材等による不正な下係合部材64への接触をすることが困難となる。したがって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0096】
上被覆部61dと同様に、下被覆部61gがパチスロ機10の内側へ突出しており、さらに第2回動軸64aが下被覆部61gの突出端側に設けられている。また
図9に示すように機本体11から延出された第2被係合ピン71は、第2回動軸64aより正面側(前側)に位置している。したがって、下係合部材64が第2被係合ピン71に係合し、機本体11と前扉12のロック状態を形成するように回動する場合、下係合部材64の回動方向は、パチスロ機10の正面側かつ下方である。
【0097】
本実施形態のように機本体11から延出された第2被係合ピン71に下係合部材64を回動させて係合させる構成の場合、当該回動動作に支障がない程度に、下係合部材64の回動軌跡を確保することが望ましい。つまり、下係合部材64の長さをこれに応じて設定する必要がある。このような構成によれば、下係合部材64をパチスロ機10の内側へ後退させる必要がある。下係合部材64が後退すれば、すなわち、前扉12と機本体11との隙間が生じていても、当該隙間から下係合部材64までの距離が長くなるため、線材等による不正な下係合部材64への接触をすることが困難となる。したがって、施錠装置や前扉12、機本体11などの構造を複雑化せずに、不正な解錠操作を行うことを防止することが可能となる。
【0098】
この発明の実施形態は一例であって、本発明の技術的範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。例えば、パチンコ式遊技機、遊技球を用いた回動式遊技機に適用可能である。また発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。