特許第5800705号(P5800705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5800705
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   H01L21/304 651L
   H01L21/304 642A
   H01L21/304 651G
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 651J
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-281277(P2011-281277)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-131681(P2013-131681A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】荒木 浩之
【審査官】 樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−332244(JP,A)
【文献】 実開平06−031874(JP,U)
【文献】 特開平08−337889(JP,A)
【文献】 特開平07−014811(JP,A)
【文献】 特開平02−156531(JP,A)
【文献】 実開昭63−046841(JP,U)
【文献】 特開2007−209873(JP,A)
【文献】 特開2002−246361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理装置において、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽の上部にて、前記処理槽内に貯留している処理液面に沿って乾燥気体を供給する供給口と、前記処理槽を挟んで前記供給口に対向配置された排出口とを備えた供給・排出手段と、
複数枚の基板を起立姿勢で支持し、前記処理槽の内部にあたる処理位置と、前記処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能な基板支持機構と、
前記基板支持機構を乾燥位置に移動する際に、前記供給・排出手段による乾燥気体の供給方向に対して各基板面が斜めになるように前記基板支持機構を複数回揺動させる揺動機構と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板支持機構は、前記内槽の内壁面に沿って延出された背板と、前記背板の下端部から水平方向に延出され、複数枚の基板を当接支持する支持部材とを備え、
前記揺動機構は、前記支持部材を鉛直軸廻りで水平方向に揺動させる水平揺動機構を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
側面視で前記背板側を揺動軸にして、前記支持部材を水平軸廻りで垂直方向に揺動させる垂直揺動機構をさらに備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記揺動機構は、前記基板支持機構が保持している複数枚の基板の上縁が処理液面から露出し始めた後に動作を開始することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の基板処理装置において、
前記垂直揺動機構は、前記基板支持機構の支持部材が処理液面から露出した後に動作を開始することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記揺動機構は、前記基板支持機構に支持された複数枚の基板を平面視した場合に、隣接する各基板のうちの一方の基板の端縁と、他方の基板の反対側の端縁とを結ぶ線が基板面となす角度の範囲で揺動することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理装置において、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽の上部にて、前記処理槽内に貯留している処理液面に沿って乾燥気体を供給する供給口と、前記処理槽を挟んで前記供給口に対向配置された排出口とを備えた供給・排出手段と、
複数枚の基板を起立姿勢で支持し、前記処理槽の内部にあたる処理位置と、前記処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能な基板支持機構と、
前記供給・排出手段の供給口に設けられ、乾燥気体の供給方向を各基板の整列方向に揺動可能な供給方向可変手段とを備え、
前記基板支持機構を乾燥位置に移動する際に、前記供給・排出手段による乾燥気体の供給方向が各基板面に対して斜めになるように前記供給方向可変手段を複数回揺動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記供給方向可変手段は、前記供給口に設けられ、複数枚の基板の整列方向に所定間隔で配置された複数枚の方向板と、前記複数枚の方向板を複数枚の基板の整列方向に揺動する方向板揺動手段とを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記供給方向可変手段は、前記供給口を複数枚の基板の整列方向に揺動する供給口揺動機構であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理方法において、
起立姿勢の複数枚の基板を処理槽内の処理位置に位置させて、複数枚の基板を処理液に浸漬させる浸漬過程と、
各基板面に沿った方向に向けて乾燥気体を供給する供給過程と、
処理槽の上方にあたる乾燥位置にまで複数枚の基板を上昇させる上昇過程と、
前記上昇過程にて、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態を生じるように、水平方向に各基板を揺動させる揺動過程と、
を実施することを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理方法において、
起立姿勢の複数枚の基板を処理槽内の処理位置に位置させて、複数枚の基板を処理液に浸漬させる浸漬過程と、
各基板面に沿った方向に向けて乾燥気体を供給する供給過程と、
処理槽の上方にあたる乾燥位置にまで複数枚の基板を上昇させる上昇過程と、
前記上昇過程にて、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態を生じるように、乾燥気体の供給方向を複数枚の基板の整列方向に揺動させる揺動過程と、
を実施することを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を処理する基板処理装置及び基板処理方法に係り、特に、乾燥気体を供給して基板を乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、処理槽と、リフタと、ドライエア供給口と、ドライエア排出口とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。処理槽は、処理液(例えば純水)を貯留し、複数枚の基板を収容可能に構成されている。リフタは、処理槽内の処理位置と、処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能に構成されている。また、リフタは、複数枚の基板を起立姿勢で保持した状態で昇降する。ドライエア供給口は、処理槽の上縁の一方側に配置され、処理槽に貯留している処理液の上面に沿って他方側へドライエアを供給する。ドライエア排出口は、処理槽の上縁の他方側にドライエア供給口と対向して配置されている。ドライエア排出口は、ドライエア供給口から供給されたドライエアを外部に排出する。
【0003】
基板を処理する際には、リフタで複数枚の基板が処理位置に下降され、所定時間の処理液による処理の後、リフタは毎秒数ミリの速度で上昇され、乾燥位置まで上昇される。そのとき、例えば、毎秒7mの風速でドライエアがドライエア供給口から供給される。これにより、液面から引き上げられる複数枚の基板の間をドライエアが通り抜け、複数枚の基板がドライエアによって乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、複数枚の基板の面に沿って平行にドライエアを供給している。その関係上、供給されたドライエアの大半が複数枚の基板の間を通り抜けるだけである。したがって、乾燥に寄与するドライエアの量が少ないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、乾燥気体の当て方を工夫することにより、乾燥気体の乾燥に寄与する度合いを高めることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の上部にて、前記処理槽内に貯留している処理液面に沿って乾燥気体を供給する供給口と、前記処理槽を挟んで前記供給口に対向配置された排出口とを備えた供給・排出手段と、複数枚の基板を起立姿勢で支持し、前記処理槽の内部にあたる処理位置と、前記処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能な基板支持機構と、前記基板支持機構を乾燥位置に移動する際に、前記供給・排出手段による乾燥気体の供給方向に対して各基板面が斜めになるように前記基板支持機構を複数回揺動させる揺動機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、基板支持機構を処理位置に移動させて処理槽に貯留している処理液による処理を複数枚の基板に対して行わせた後、供給・排出手段から乾燥気体を供給させつつ、基板支持機構を乾燥位置に移動させる。その際には、揺動機構を作動させて、供給・排出手段による乾燥気体の供給方向に対して各基板が斜めの姿勢となるように基板支持機構を複数回揺動させる。したがって、乾燥気体が各基板面に対して斜めに供給される状態が生じるので、乾燥気体の乾燥寄与度を高くできる。
【0009】
また、本発明において、前記基板支持機構は、前記内槽の内壁面に沿って延出された背板と、前記背板の下端部から水平方向に延出され、複数枚の基板を当接支持する支持部材とを備え、前記揺動機構は、前記支持部材を鉛直軸廻りで水平方向に揺動させる水平揺動機構を備えていることが好ましい(請求項2)。
【0010】
基板支持機構が背板と支持部材とを備え、水平揺動機構が支持部材を鉛直軸廻りで水平方向に揺動させるので、複数枚の基板面について一斉に乾燥気体の供給方向に対して斜めの姿勢にすることができる。また、水平揺動機構を作動させるだけでよく、比較的簡単な構成で実現することができる。
【0011】
また、本発明において、側面視で前記背板側を揺動軸にして、前記支持部材を水平軸廻りで垂直方向に揺動させる垂直揺動機構をさらに備えていることが好ましい(請求項3)。
【0012】
垂直揺動機構を作動させて支持部材を垂直方向に揺動させるので、支持部材への乾燥気体の当たり方を変えることができ、処理液が溜まりやすい支持部材も効率的に乾燥させることができる。
【0013】
また、本発明において、前記揺動機構は、前記基板支持機構が保持している複数枚の基板の上縁が処理液面から露出し始めた後に動作を開始することが好ましい(請求項4)。
【0014】
複数枚の基板の上縁が処理液面から露出し始めた後に揺動機構を動作させることにより、基板の上部から下部に向かって徐々に乾燥気体の当て方を変えることができる。
【0015】
また、本発明において、前記垂直揺動機構は、前記基板支持機構の支持部材が処理液面から露出した後に動作を開始することが好ましい(請求項5)。
【0016】
垂直揺動機構は主として支持部材の乾燥に寄与するので、支持部材が処理液面から露出した後に動作させることで、効率的に支持部材を乾燥させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記揺動機構は、前記基板支持機構に支持された複数枚の基板を平面視した場合に、隣接する各基板のうちの一方の基板の端縁と、他方の基板の反対側の端縁とを結ぶ線が基板面となす角度の範囲で揺動することが好ましい(請求項6)。
【0018】
各基板面を乾燥気体の乾燥方向に対して急激に揺動させ過ぎると、乾燥気体の抜けがわるくなり、各基板が乾燥気体の圧力を受けすぎてブレる恐れがある。ブレが大きいと、基板支持部材との摺動によりパーティクルが生じたり、基板が破損したりする恐れがある。そこで、複数枚の基板が所定のピッチで基板支持機構に支持されていることを考慮し、隣接する各基板のうちの一方の基板の端縁と、他方の基板の反対側の端縁とを結ぶ線が基板面となす角度の範囲で揺動することにより、そのような不都合を解消できる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の上部にて、前記処理槽内に貯留している処理液面に沿って乾燥気体を供給する供給口と、前記処理槽を挟んで前記供給口に対向配置された排出口とを備えた供給・排出手段と、複数枚の基板を起立姿勢で支持し、前記処理槽の内部にあたる処理位置と、前記処理槽の上方にあたる乾燥位置とにわたって昇降可能な基板支持機構と、前記供給・排出手段の供給口に設けられ、乾燥気体の供給方向を各基板の整列方向に揺動可能な供給方向可変手段とを備え、前記基板支持機構を乾燥位置に移動する際に、前記供給・排出手段による乾燥気体の供給方向が各基板面に対して斜めになるように前記供給方向可変手段を複数回揺動させることを特徴とするものである。
【0020】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、基板支持機構を処理位置に移動させて処理槽に貯留している処理液による処理を複数枚の基板に対して行わせた後、供給・排出手段から乾燥気体を供給せつつ、基板支持機構を乾燥位置に移動させる。その際には、供給方向可変手段を作動させて、供給・排出手段による乾燥気体が各基板面に対して斜めになるように複数回揺動させる。したがって、乾燥気体が各基板面に対して斜めに供給される状態が生じるので、乾燥気体の乾燥寄与度を高くできる。
【0021】
また、本発明において、前記供給方向可変手段は、前記供給口に設けられ、複数枚の基板の整列方向に所定間隔で配置された複数枚の方向板と、前記複数枚の方向板を複数枚の基板の整列方向に揺動する方向板揺動手段とを備えていることが好ましい(請求項8)。
【0022】
複数枚の方向板(ルーバー)を方向板揺動手段で基板の整列方向に揺動させるので、乾燥気体の方向を変える負荷を軽減することができる。
【0023】
また、本発明において、前記供給方向可変手段は、前記供給口を複数枚の基板の整列方向に揺動する供給口揺動機構であることが好ましい(請求項9)。
【0024】
供給口を供給口揺動機構で揺動するので、乾燥気体の方向を変えても乾燥気体のロスを低減することができる。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理方法において、起立姿勢の複数枚の基板を処理槽内の処理位置に位置させて、複数枚の基板を処理液に浸漬させる浸漬過程と、各基板面に沿った方向に向けて乾燥気体を供給する供給過程と、処理槽の上方にあたる乾燥位置にまで複数枚の基板を上昇させる上昇過程と、前記上昇過程にて、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態を生じるように、水平方向に各基板を揺動させる揺動過程と、を実施することを特徴とするものである。
【0026】
[作用・効果]請求項10に記載の発明によれば、浸漬過程で基板を処理液により処理し、供給過程で乾燥気体を供給し、上昇過程で複数枚の基板を乾燥位置にまで上昇させる。その上昇過程の際には、水平方向に各基板を揺動させる揺動過程を行って、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態とするので、乾燥気体の乾燥寄与度を高くできる。
【0027】
また、請求項11に記載の発明は、複数枚の基板を処理液により処理した後、複数枚の基板を処理液から引き上げつつ乾燥気体を供給して乾燥させる基板処理方法において、起立姿勢の複数枚の基板を処理槽内の処理位置に位置させて、複数枚の基板を処理液に浸漬させる浸漬過程と、各基板面に沿った方向に向けて乾燥気体を供給する供給過程と、処理槽の上方にあたる乾燥位置にまで複数枚の基板を上昇させる上昇過程と、前記上昇過程にて、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態を生じるように、乾燥気体の供給方向を複数枚の基板の整列方向に揺動させる揺動過程と、を実施することを特徴とするものである。
【0028】
[作用・効果]請求項11に記載の発明によれば、浸漬過程で基板を処理液により処理し、供給過程で乾燥気体を供給し、上昇過程で複数枚の基板を乾燥位置にまで上昇させる。その上昇過程の際には、乾燥気体の供給方向を複数枚の基板の整列方向に揺動させる揺動過程を行って、乾燥気体が各基板に対して斜めに供給される状態とするので、乾燥気体の乾燥寄与度を高くできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る基板処理装置によれば、基板支持機構を処理位置に移動させて処理槽に貯留している処理液による処理を複数枚の基板に対して行わせた後、供給・排出手段から乾燥気体を供給させつつ、基板支持機構を乾燥位置に移動させる。その際には、揺動機構を作動させて、供給・排出手段による乾燥気体の供給方向に対して各基板が斜めの姿勢となるように基板支持機構を複数回揺動させる。したがって、乾燥気体が各基板面に対して斜めに供給される状態が生じるので、乾燥気体の乾燥寄与度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
図3】水平揺動の動作を説明するための平面図であり、(a)は通常時を、(b)は左揺動を、(c)は右揺動を示す。
図4】揺動時の好ましい角度についての説明図である。
図5】浸漬過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図6】供給過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図7】上昇過程及び揺動過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図8】上昇過程における垂直揺動を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図9】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図10】複数枚の方向板を説明するための一部破断した平面図である。
図11】実施例3に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図12】供給方向を変える機構を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法の実施形態について以下に説明する。
【実施例1】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例1について明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0033】
本実施例に係る基板処理装置1は、処理液を貯留する処理槽3を備えている。この処理槽3は、処理液を貯留し、起立姿勢とされた複数枚の基板Wを収容可能に構成されている。処理槽3の底部には、二本の噴出管5が付設されている。二本の噴出管5は、複数枚の基板Wが整列されている方向(紙面の奥手前方向)に長軸を有する。各噴出管5には、供給管6の一端側が連通接続されている。供給管6は、フッ化水素酸や、硫酸・過酸化水素水の混合液や、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などを処理液として供給可能である。この実施例においては、処理液として純水を供給するものとする。
【0034】
処理槽3は、その周囲がチャンバ7で囲われている。チャンバ7は、その上部に開閉自在の上部カバー9を備えている。起立姿勢で複数枚の基板Wを支持するリフタ11は、チャンバ7の上方にあたる「待機位置」と、処理槽3の内部にあたる「処理位置」と、処理槽3の上方であってチャンバ7の内部にあたる「乾燥位置」とにわたって移動可能に構成されている。
【0035】
なお、上述したリフタ11が本発明における「基板支持機構」に相当する。
【0036】
リフタ11は、背板13と、3本の支持部材15とを備えている。背板13は、処理槽3の内壁に沿って延出されている。3本の支持部材15は、背板13の下端部に設けられ、水平方向に延出されている。各支持部材15は、図示しない複数個の溝を形成されており、各溝により基板Wを起立姿勢で当接支持する。
【0037】
リフタ11は、リフタ駆動部17により駆動される。リフタ駆動部17は、昇降駆動部19と、水平揺動駆動部21と、垂直揺動駆動部23とを備えている。
【0038】
昇降駆動部19は、連結部材25と、背板支持部材27と、昇降モータ29と、基台31とを備えている。連結部材25は、背板13を背板支持部材27の上部側面に連結している。背板支持部材27は、鉛直姿勢で配置され、上部が平板状を呈し、その下部が円柱状を呈する。昇降モータ29は、回転軸を縦置きにされた上向き姿勢で配置され、基台31に設けられている。昇降モータ29の回転軸には、ボールネジ30が連結されており、ボールネジ30は背板支持板27の内部に螺合されている。昇降モータ29が駆動されると、背板支持部材27が鉛直方向に移動され、これに伴いリフタ11が昇降する。基台31は、固定台33と、湾曲ガイド35とを備えている。固定台33は、装置の基台(不図示)に固定されている。湾曲ガイド35は、上方に中心を有する円弧の一部からなる。上述した昇降モータ29は、湾曲ガイド35に沿って揺動可能に取り付けられており、垂直揺動駆動部23により湾曲ガイド35に沿って揺動される。
【0039】
水平揺動駆動部21は、水平揺動モータ37と、主動プーリ39と、従動プーリ41と、ベルト43とを備えている。水平揺動モータ37は、回転軸を縦置きにされた上向き姿勢で配置され、昇降モータ29に連結された取付部材45に取り付けられている。主動プーリ39は、水平揺動モータ37の回転軸に取り付けられている。従動プーリ41は、背板支持部材27の下部円柱部の外周面に取り付けられている。また、従動プーリ41は、背板支持部材27の下部円柱部に対しては回動しないように取り付けられ、背板支持部材27の下部円柱部に沿って上下に摺動可能に取り付けられている。したがって、昇降モータ29により背板支持部材27が昇降しても、従動プーリ41は主動プーリ39との位置関係が普遍である。ベルト43は、主動プーリ39と従動プーリ41とに架け渡されている。水平揺動モータ37が駆動されると、主動プーリ39の回転力がベルト43を介して従動プーリ41に伝達され、鉛直方向の回転軸P1廻りに背板支持部材27が揺動される。
【0040】
垂直揺動駆動部23は、垂直揺動モータ47と、ドライブギヤ49と、湾曲ギヤ51とを備えている。垂直揺動モータ47は、回転軸を横置きにされた水平姿勢で取付部材45に固定されている。ドライブギヤ49は、垂直揺動モータ47の回転軸に取り付けられている。湾曲ギヤ51は、湾曲ガイド35と同じ中心を有する円弧の一部からなり、ドライブギヤ49に噛み合わされて装置の基台(不図示)に固定されている。したがって、垂直揺動モータ47が駆動されると、ドライブギヤ49が湾曲ギア51に沿って移動し、垂直揺動モータ47が水平方向の回転軸P2廻りに揺動される。その結果、昇降モータ29が湾曲ガイド35に沿って移動し、リフタ11が回転軸P2廻りに揺動される。
【0041】
処理槽3の底部には、排出口53が形成されている。この排出口53には、QDR弁55が取り付けられている。このQDR弁55は、処理槽3に貯留している処理液を急速に排水するための弁である。QDR弁55が開放されると、処理槽3内に貯留している処理液がチャンバ7の底部に一旦排出される。チャンバ7の底部には、排液弁57が取り付けられており、排液弁57が開放されると、チャンバ7内に排出された処理液が外部に排出される。また、噴出管5から処理槽3内に供給され、処理槽3の上縁を越えて溢れた処理液は、チャンバ7の底部に一旦貯留され、その後に排液弁57が開放されることにより、外部に排出される。
【0042】
処理槽3の上縁から若干上方に離れ、かつ、処理槽3の側方に離れた位置には、ドライエアを供給するための供給部59が設けられている。また、処理槽3を挟んで供給部59と対向する位置には、ドライエアをチャンバ7の外部へ排出するための排出部61が設けられている。供給部59は、処理槽3に貯留している処理液の液面近傍に開口するように、ドライエアを噴出する供給口63を備えている。排出部61は、ドライエアを排出するための排出口65を処理槽3側に備えている。
【0043】
上述した供給部59と排出部61とが本発明における「供給・排出手段」に相当する。
【0044】
供給部59には、一端側がドライエア供給装置67に連通接続された供給配管69の他端側が連通接続されている。ドライエア供給装置67は、周囲のエアを取り込んで除湿し、所定温度に調整したエアをドライエアとして供給配管69へ供給する。その温度は、常温(25℃)よりも高い所定温度となるように調整される。
【0045】
なお、ドライエアが本発明における「乾燥気体」に相当する。
【0046】
上述した上部カバー9の開閉動作や、リフタ駆動部17によるリフタ11の昇降動作、QDR弁55、排液弁57の開閉動作、ドライエア供給装置67からのドライエアの供給動作は、制御部71により統括的に制御される。制御部71は、CPUやメモリなどで構成されている。
【0047】
次に、上述したリフタ駆動部17による水平揺動について、図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は、水平揺動の動作を説明するための平面図であり、(a)は通常時を、(b)は左揺動を、(c)は右揺動を示す。また、図4は、揺動時の好ましい角度についての説明図である。
【0048】
制御部71は、リフタ駆動部17の水平揺動駆動部21を操作して、リフタ11を処理位置から乾燥位置に上昇させる際に、水平揺動を行わせる。具体的には、図3(a)の状態を挟んで図3(b)の状態と図3(c)の状態とを繰り返し行わせる。より具体的には、リフタ11に支持された複数枚の基板Wが処理位置から上昇され始めた後、複数枚の基板Wの上縁が処理液から露出し始めた時点で水平揺動を開始させるのが好ましい。但し、複数枚の基板Wの下縁が処理液面から完全に露出するまでに水平揺動を開始すれば、従来例よりも乾燥効率を向上させることができる。
【0049】
また、水平揺動は、複数枚の基板Wの直径と厚みと、各基板Wの支持間隔(ピッチ)に応じて、次のように行うのが好ましい。図4に示すように、基板Wのピッチをptとし、基板Wの直径をdmとした場合、平面視で、一方の基板Wの端縁と他方の基板Wの反対側の端縁とを結ぶ直線が基板Wとなす角度θを最大値とし、0°からθ°の範囲で水平揺動させるのが好ましい。具体的には、基板Wの直径dm=300mm、厚み1mmであって、各基板wのピッチpt=5mmである場合には、−0.76°〜0°〜0.76°の範囲となる。
【0050】
複数枚の基板Wを水平揺動させて乾燥気体に対して傾斜姿勢となるようにするが、傾斜させ過ぎると乾燥気体が各基板Wが乾燥気体の圧力を受け過ぎてブレる恐れがある。このような状態となると、支持部材15にて基板Wの下縁が摺動してパーティクルが生じたり、基板Wが破損したりする恐れがある。しかし、各基板Wにおける乾燥気体の供給方向への傾斜角度を上記の角度範囲内に抑えることにより、各基板Wの間を十分に乾燥気体が抜けてゆくので、上記の不都合を解消することができる。
【0051】
したがって、制御部71は、水平揺動のために水平揺動駆動部21を操作する際には、上述した角度範囲内に収まるように水平揺動モータ37を操作する。また、制御部71は、上述した水平揺動に加えて、垂直揺動も行わせることが好ましい。具体的には、垂直揺動駆動部23を操作して、側面視において背板13側の揺動軸P2の軸廻りに支持部材15を揺動させる。この垂直揺動は、支持部材15の全体が処理液の液面から完全に露出した時点から開始することが好ましい。
【0052】
次に図5図8を参照して、上述した装置の動作について説明する。なお、図5は、浸漬過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。図6は、供給過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。図7は、上昇過程及び揺動過程を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。図8は、上昇過程における垂直揺動を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【0053】
以下の動作例においては、処理液として純水を用い、処理槽3の純水中で複数枚の基板Wを洗浄処理した後、複数枚の基板Wを乾燥位置にまで引き上げつつ乾燥処理を行う場合を処理例に採って説明する。
【0054】
まず、制御部71は、供給管6を通して噴出管5から処理槽3の内部に純水を供給させる。このとき、処理槽3から溢れた純水は、チャンバ7の底部に排出される。次に、制御部71は、複数枚の基板Wを支持部材15で支持したリフタ11を待機位置から処理位置にまで下降させる。そして、上部カバー9を閉止させた後、処理位置に所定時間だけ維持させることにより、複数枚の基板Wに対して純水による洗浄処理を行わせる(図5(a)、(b))。なお、この過程が本発明における「浸漬過程」に相当する。
【0055】
次に、制御部71は、噴出管5から純水を処理槽3内に供給させつつ、供給部59からドライエアを供給させる(図6(a)、(b))。なお、この過程が本発明における「供給過程」に相当する。
【0056】
制御部71は、ドライエアの供給が安定した後、リフタ駆動部17を操作してリフタ11を乾燥位置に向けて上昇させ始める(図7(a)、(b))。その際、リフタ11に支持されている複数枚の基板Wの上縁が純水の液面から露出した時点から、水平揺動駆動部21を操作して水平揺動を行わせる。なお、この過程が本発明における「上昇過程」及び「揺動過程」に相当する。
【0057】
この水平揺動により、各基板Wがドライエアの供給方向に対して傾斜姿勢を含む姿勢を複数回とることになる。したがって、ドライエアの乾燥寄与度を高くすることができる。
【0058】
また、制御部71は、リフタ駆動部17を操作してリフタ11を上昇させている際に、支持部材15が純水の液面から完全に露出したことを知ることができる。その際には、垂直揺動駆動部23を操作して、側面視でリフタ11がお辞儀をするように水平方向の回転軸P2廻り(図2参照)に揺動させる。
【0059】
この垂直揺動により、支持部材15へのドライエアの当たり方を変えることができ、純水が溜まりやすい支持部材15も効率的に乾燥させることができる。
【0060】
制御部71は、リフタ11が乾燥位置に移動した時点から所定時間だけ、上述したドライエアの供給と、水平揺動及び垂直揺動を継続させる。その後、噴出管5からの純水の供給を停止させるとともに、供給部59からのドライエアの供給を停止させ、上部カバー9を開放させた後、リフタ駆動部17を操作してリフタ11をチャンバ7の外部の待機位置にまで搬出させて複数枚の基板Wに対する洗浄乾燥処理を終える。
【0061】
上述したように本実施例によると、リフタ11を処理位置に移動させて処理槽3に貯留している純水による処理を複数枚の基板Wに対して行わせた後、供給部59からドライエアを供給させつつ、リフタ11を乾燥位置に移動させる。その際には、水平揺動駆動部21を作動させて、供給部59によるドライエアの供給方向に対して各基板Wが斜めの姿勢となるようにリフタ11を複数回揺動させる。したがって、ドライエアが各基板Wの面に対して斜めに供給される状態が生じるので、ドライエアの乾燥寄与度を高くできる。
【0062】
また、支持部材15が純水から露出した後、垂直揺動も行わせているので、支持部材15へのドライエアの当たり方を変えることができ、純水が溜まりやすい支持部材15も効率的に乾燥させることができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0064】
(1)上述した実施例1では、水平揺動に加え垂直揺動も行っているが、水平揺動だけとしてもよい。これにより、垂直揺動駆動部23が不要となり、構成を簡易化できてコストを抑制することができる。
【0065】
(2)上述した実施例1では、支持部材15が純水の液面から完全に露出した時点から垂直揺動を開始しているが、一部が液面から露出した時点で垂直揺動を開始するようにしてもよい。
【0066】
(3)上述した実施例1では、水平揺動駆動部21と垂直揺動駆動部23とを背板支持板27の下部に配置しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、水平揺動駆動部21と垂直揺動駆動部23とを背板支持板27の上部に備えるようにしてもよい。また、水平揺動及び垂直揺動の機構は、上述した構成に限定されるものではない。
【実施例2】
【0067】
次に、図面を参照して本発明の実施例2について説明する。
図9は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図であり、図10は、複数枚の方向板を説明するための一部破断した平面図である。なお、上述した実施例1と同様の構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0068】
リフタ駆動部17Aは、リフタ11を昇降する機能を備えているだけであり、上述した実施例1のような水平揺動と垂直揺動の機能を備えていない点において相違する。
【0069】
供給部59Aは、複数枚の方向板81を供給口63内に備えている。これらの方向板81は、方向板駆動部83により揺動される。方向板駆動部83は、制御部71により操作される。方向板81は、複数枚の基板Wと同様に起立姿勢で、複数枚の基板Wの整列方向と同じ方向に整列されて配置されている。また各方向板81は、鉛直軸P3廻りに揺動可能に取り付けられている。この揺動は、制御部71が方向板駆動部83を操作して、全方向板81に対して同時に同じ方向への揺動を行わせる。
【0070】
なお、上述した方向板駆動部83が本発明における「供給方向可変手段」及び「方向板揺動手段」に相当する。
【0071】
本実施例装置では、制御部71がリフタ11を乾燥位置へ引き上げさせる際に、各基板Wの上縁が純水の液面から露出した時点で、方向板駆動部83を操作し、ドライエアの供給方向を各基板Wの整列方向に揺動させる。したがって、ドライエアが各基板Wの面に対して斜めになるような状態が複数回形成されるので、ドライエアの乾燥寄与度を高くできる。
【0072】
また、本実施例によると、複数枚の方向板81を方向板駆動部83で基板Wの整列方向に揺動させるので、ドライエアの方向を変える負荷を実施例1に比較して軽減することができる。
【実施例3】
【0073】
次に、図面を参照して本発明の実施例3について説明する。
図11は、実施例3に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。また、図12は、供給方向を変える機構を説明するための平面図である。なお、上述した実施例1と同様の構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0074】
リフタ駆動部17Bは、リフタ11を昇降する機能を備えているだけであり、上述した実施例1のような水平揺動と垂直揺動の機能を備えていない点において相違する。
【0075】
供給部59Bは、複数枚の方向板91を供給口63内に固定された状態で備えている。複数枚の方向板91は、全てほぼ平行に配置されている。供給部59Bは、供給配管69側に蛇腹部93を形成されている。したがって、供給部59Bは、その供給口63を基板Wの整列方向に揺動可能となっている。その揺動は、供給方向駆動部95が供給部59Bの供給口63を図12に示すように移動させることによって行われる。供給方向駆動部95は、制御部71によって操作される。
【0076】
なお、上述した供給方向駆動部95が本発明における「供給方向可変手段」及び「供給口揺動機構」に相当する。
【0077】
本実施例装置では、制御部71がリフタ11を乾燥位置へ引き上げさせる際に、各基板Wの上縁が純水の液面から露出した時点で、供給方向駆動部95を操作し、供給部59Bの供給口63を移動させてドライエアの供給方向を各基板Wの整列方向に揺動させる。したがって、ドライエアが各基板Wの面に対して斜めになるような状態が複数回形成されるので、ドライエアの乾燥寄与度を高くできる。
【0078】
また、本実施例によると、供給部59Bの供給口63を供給方向駆動部95で基板Wの整列方向に揺動させるので、ドライエアの方向を変える負荷を実施例1に比較して軽減することができる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0080】
(1)上述した各実施例1〜3では、純水を処理液として用いているが、本発明は処理液が純水に限定されるものではない。例えば、IPA(イソプロピルアルコール)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などを処理液として用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0081】
(2)上述した各実施例1〜3では、処理槽3が単槽で構成されているが、本発明は、内槽と、内槽から溢れた処理液を回収する外槽との複槽で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
W … 基板
1 … 基板処理装置
3 … 処理槽
5 … 噴出管
7 … チャンバ
9 … 上部カバー
11 … リフタ
13 … 背板
15 … 支持部材
17 … リフタ駆動部
19 … 昇降駆動部
21 … 水平揺動駆動部
23 … 垂直揺動駆動部
59 … 供給部
61 … 排出部
71 … 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12