特許第5801467号(P5801467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5801467
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 17/00 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-501900(P2014-501900)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(86)【国際出願番号】JP2012055125
(87)【国際公開番号】WO2013128600
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】俵木 祐二
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−230303(JP,A)
【文献】 特開2000−139030(JP,A)
【文献】 特開2010−226946(JP,A)
【文献】 特開2005−255144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 17/00
H02J 7/00
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電時に受電装置が備える受電アンテナの受電面と空間を隔てて対向して配置される送電面を有する送電アンテナと、
前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間の電磁界の漏洩を防止しつつ、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に形成された空間内の異物を除去する遮蔽部と、
を備え
前記遮蔽部は、前記送電面を覆う第1の状態と、前記送電アンテナの上方から平面的に見て、前記送電アンテナの周囲を覆う第2の状態と、を交互に切り換え可能であり、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる過程において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に存在する異物を除去し、前記第2の状態において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間の電磁界の漏洩を防止する
ことを特徴とする電力伝送装置。
【請求項2】
前記遮蔽部は、複数の遮蔽板を有し、
前記第1の状態において、前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に沿っており、
前記第2の状態において、前記複数の遮蔽板は互いに隣接しており、且つ前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に垂直な方向に沿っている
ことを特徴とする請求項に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記第1の状態において、夫々2枚の遮蔽板からなると共に互いに重なる第1遮蔽板対及び第2遮蔽板対を有し、
前記第2の状態において、前記第1遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板、及び前記第2遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板各々の板面は、地面に垂直な方向に沿っており、且つ、前記第1遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板各々は、前記第2遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板に隣接している
ことを特徴とする請求項に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記遮蔽部は、夫々伸縮可能に構成された複数の遮蔽板を有し、
前記複数の遮蔽板各々の一端には、前記受電装置を検知するセンサ部が設けられており、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる際に、前記複数の遮蔽板各々の板面が地面に垂直な方向に沿う状態になった後、前記複数の遮蔽板各々に設けられたセンサ部が前記受電装置を検知するまで、前記複数の遮蔽板各々が伸長されるように、前記複数の遮蔽板を夫々制御する伸縮制御部を更に備える
ことを特徴とする請求項に記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記遮蔽部は、複数の遮蔽板を有し、
前記複数の遮蔽板各々の一端には、前記送電アンテナから前記受電アンテナへ電力が供給される際に接地電位とされる電極が設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
給電時に送電装置が備える送電アンテナの送電面と空間を隔てて対向して配置される受電面を有する受電アンテナと、
前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間の電磁界の漏洩を防止しつつ、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に形成される空間内の異物を除去する遮蔽部と、
を備え
前記遮蔽部は、前記受電面を覆う第1の状態と、前記受電アンテナの下方から平面的に見て、前記受電アンテナの周囲を覆う第2の状態と、を交互に切り換え可能であり、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる過程において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に存在する異物を除去し、前記第2の状態において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間の電磁界の漏洩を防止する
ことを特徴とする電力伝送装置。
【請求項7】
前記遮蔽部は、複数の遮蔽板を有し、
前記第1の状態において、前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に沿っており、
前記第2の状態において、前記複数の遮蔽板は互いに隣接しており、且つ前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に垂直な方向に沿っている
ことを特徴とする請求項に記載の電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電磁界共鳴方式等により、電力供給を非接触で行う電力伝送装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置では、非接触であるが故に、送電部(例えば、送電アンテナ)と、受電部(例えば、受電アンテナ)とが間隙を隔てて対向している。すると、該間隙に、例えば、空缶等の金属や、猫等の小動物、等の異物が侵入するおそれがある。このため、この種の装置では、異物の侵入の防止が図られる。
【0003】
例えば特許文献1には、給電する際に給電部(即ち、送電部)及び受電部間に形成される空間内に異物が侵入することを防止するための隔離材を、駐車スペースの路面に埋設又は車両内部に収納し、給電時に該隔離材を該空間内に突出させることが記載されている。
【0004】
また、この種の装置では、送電部と受電部との間の空間から、例えば電磁界(電磁波)等が周囲へ漏洩するおそれがある。このため、この種の装置では、電磁界等の漏洩を抑制し、周囲への影響の低減も図られる。
【0005】
例えば特許文献2には、作動期間(即ち、給電時)に、送電アンテナと受電アンテナとの間の空間を取り囲む電波遮蔽部材により、周囲へ漏れ出す電磁波を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−226946号公報
【特許文献2】特開2008−54424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、給電前に送電部上又は受電部上に、付着している又は載っている異物を除去することが極めて困難であるという技術的問題点がある。特許文献2では、異物については考慮されていないが、該特許文献2に記載の構成でも、給電前に送電部上又は受電部上に、付着している又は載っている異物を除去することは極めて困難である。
【0008】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、電磁界の漏洩を防止しつつ、送電部及び受電部間に形成される空間内の異物を好適に除去することができる電力伝送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の電力伝送装置は、上記課題を解決するために、地面に沿うと共に、受電装置が備える受電アンテナの受電面と空間を隔てて対向する送電面を有する送電アンテナと、前記送電面を覆う第1の状態と、前記送電面の上方を開放すると共に、前記送電アンテナの上方から平面的に見て、前記送電アンテナの周囲を覆う第2の状態と、を交互に切り換え可能であり、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる過程において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に存在する異物を除去する遮蔽部と、を備える。
【0010】
本発明の第1の電力伝送装置によれば、送電アンテナは、地面に沿う送電面を有している。「地面に沿う」とは、送電面と地面とが平行であることに限らず、送電面が地面に対して実践上許容可能な範囲で傾いていることも含んでよい。
【0011】
送電面は、給電時には、受電装置が備える受電アンテナの受電面と空間を隔てて対向して配置される。つまり、当該第1の電力伝送装置は、例えば電磁界共鳴方式等により、受電装置に対して非接触で電力を供給可能に構成されている。
【0012】
遮蔽部は、送電面を覆う第1の状態と、該送電面の上方を開放すると共に、送電アンテナの上方から平面的に見て、該送電アンテナの周囲を覆う第2の状態と、を交互に切り換え可能である。「送電面の上方を開放」とは、少なくとも送電面の真上に遮蔽部が存在しない状態を意味する。
【0013】
尚、遮蔽部は、典型的には、給電時には第2の状態になっており、給電時以外は第1の状態になっている。「給電時」は、実際に給電が行われている期間に限らず、給電開始から所定時間前から給電開始までの期間、及び、給電終了後の所定期間も含んでよい。
【0014】
本発明では特に、遮蔽部は、第1の状態から第2の状態へ切り換わる過程において、送電アンテナ及び受電アンテナ間に存在する異物を除去する。つまり、遮蔽部が、送電面を覆う第1の状態から、送電面を覆わない第2の状態へ切り換わるので、給電前から送電アンテナ及び受電アンテナ間(典型的には、送電面を覆う遮蔽部の上)に存在する異物を除去することができる。
【0015】
加えて、遮蔽部を、例えばアルミニウム等の金属により構成すれば、第2の状態では、上述の如く、送電アンテナの周囲が遮蔽部により覆われている(つまり、送電アンテナが遮蔽部により包囲されている)ので、電磁界の漏洩を防止することができる。
【0016】
以上の結果、本発明の第1の電力伝送装置によれば、電磁界の漏洩を防止しつつ、送電部及び受電部間に形成される空間内の異物を好適に除去することができる。
【0017】
本発明の第1の電力伝送装置の一態様では、前記遮蔽部は、複数の遮蔽板を有し、前記第1の状態において、前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に沿っており、前記第2の状態において、前記複数の遮蔽板は互いに隣接しており、且つ前記複数の遮蔽板各々の板面は地面に垂直な方向に沿っている。
【0018】
この態様によれば、比較的容易にして、第1の状態と第2の状態とを切り換えることができ、実践上非常に有利である。
【0019】
或いは、本発明の第1の電力伝送装置の他の態様では、前記遮蔽部は、前記第1の状態において、夫々2枚の遮蔽板からなると共に互いに重なる第1遮蔽板対及び第2遮蔽板対を有し、前記第2の状態において、前記第1遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板、及び前記第2遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板各々の板面は、地面に垂直な方向に沿っており、且つ、前記第1遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板各々は、前記第2遮蔽板対を構成する2枚の遮蔽板に隣接している。
【0020】
この態様によれば、比較的容易にして、第1の状態と第2の状態とを切り換えることができる。加えて、第1の状態において複数の遮蔽板が互いに重なっているので、当該電力伝送装置の省スペース化を図ることができる。
【0021】
本発明の第1の電力伝送装置の他の態様では、前記遮蔽部は、夫々伸縮可能に構成された複数の遮蔽板を有し、前記複数の遮蔽板各々の一端には、前記受電装置を検知するセンサ部が設けられており、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる際に、前記複数の遮蔽板各々の板面が地面に垂直な方向に沿う状態になった後、前記複数の遮蔽板各々に設けられたセンサ部が前記受電装置を検知するまで、前記複数の遮蔽板各々が伸長されるように、前記複数の遮蔽板を夫々制御する伸縮制御部を更に備える。
【0022】
この態様によれば、送電アンテナ及び受電アンテナ間に形成される空間を完全に外界から遮蔽し包囲することができる。
【0023】
本発明の第1の電力伝送装置の他の態様では、前記遮蔽部は、複数の遮蔽板を有し、前記複数の遮蔽板各々の一端には、前記送電アンテナから前記受電アンテナへ電力が供給される際に接地電位とされる電極が設けられている。
【0024】
この態様によれば、送電アンテナ及び受電アンテナ間に電位差が生じることを防止することができる。従って、ユーザが感電することを防止することができ、実用上非常に有利である。
【0025】
本発明の第2の電力伝送装置は、上記課題を解決するために、地面に沿うと共に、送電装置が備える送電アンテナの送電面と空間を隔てて対向する受電面を有する受電アンテナと、前記受電面を覆う第1の状態と、前記受電面の下方を開放すると共に、前記受電アンテナの下方から平面的に見て、前記受電アンテナの周囲を覆う第2の状態と、を交互に切り換え可能であり、前記第1の状態から前記第2の状態へ切り換わる過程において、前記送電アンテナ及び前記受電アンテナ間に存在する異物を除去する遮蔽部と、を備える。
【0026】
本発明の第2の電力伝送装置によれば、上述した本発明の第1の電力伝送装置と同様に、電磁界の漏洩を防止しつつ、送電部及び受電部間に形成される空間内の異物を好適に除去することができる。
【0027】
尚、本発明の第2の電力伝送装置においても、上述した本発明の第1の電力伝送装置の各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係る電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るシールド部の開閉動作の概念を示す概念図である。
図3】第1実施形態に係るシールド板の開状態及び閉状態各々の検出方法の一例を示す概念図である。
図4】第1実施形態に係るシールド板開動作処理を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係るシールド板閉動作処理を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態の変形例に係るシールド部の開閉動作の概念を示す概念図である。
図7】第2実施形態に係るシールド板の構成を示す概念図である。
図8】第2実施形態に係るシールド板の位置の検出方法の一例を示す概念図である。
図9】第2実施形態に係る充電準備処理を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態に係る充電後処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態の第1変形例に係るシールド板の位置の検出方法の一例を示す概念図である。
図12】第2実施形態の第2変形例に係る電力伝送装置の構成を示す概念図である。
図13】第3実施形態に係る電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の電力伝送装置に係る実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0031】
<第1実施形態>
本発明の電力伝送装置に係る第1実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0032】
本実施形態に係る電力伝送装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
図1において、電力伝送装置は、送電装置100と受電装置200とを備えて構成されている。送電装置100は、例えば駐車スペース等の路面に埋設されている。他方、受電装置200は、例えば電気自動車等の車両1に搭載されている。
【0034】
送電装置100は、送電アンテナ101、送電制御部102、送電駆動部103、駆動部104及びシールド部110を備えて構成されている。他方、受電装置200は、受電アンテナ201、受電制御部202、受電駆動・バッテリ充電制御部203及び車載バッテリ204を備えて構成されている。
【0035】
送電アンテナ101の送電面、及び受電アンテナ201の受電面各々が、地面に沿うように、送電アンテナ101及び受電アンテナ201は夫々設置されている。送電アンテナ101から受電アンテナ201へ電力が伝送される際には、送電アンテナ101の送電面及び受電アンテナ201の受電面が互いに対向するように配置される。尚、送電アンテナ101及び受電アンテナ201間における電力伝送は、例えば電磁界共鳴方式等の非接触電力伝送により実施される。
【0036】
送電制御部102は、受電装置200への電力伝送に先立ち、受電制御部202と無線通信により通信し、例えば受電装置200の認証等を実施する。送電制御部102は、更に、電力伝送時には、例えば電流値、電圧値、車載バッテリ204の充電状態等に係る情報に基づいて、送電駆動部103を制御する。
【0037】
送電駆動部103は、送電制御部102からの出力信号に応じて、送電アンテナ101に対して電力を供給する。駆動部104は、送電制御部102からの出力信号に応じて、シールド部110を構成する複数のシールド板各々を駆動する。
【0038】
次に、シールド部110について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、第1実施形態に係るシールド部の開閉動作の概念を示す概念図である。尚、図2の左側は、斜視図であり、右側は、該斜視図に対応する断面図である。図3は、第1実施形態に係るシールド板の開状態及び閉状態各々の検出方法の一例を示す概念図である。
【0039】
図2に示すように、シールド部110は、シールド板111、112、113及び114を有している。シールド板111及び112は、対をなしている。同様に、シールド板113及び114も、対をなしている。
【0040】
シールド板111、112、113及び114各々は、電磁界を遮蔽可能に構成されている。具体的には例えば、シールド板111、112、113及び114各々は、アルミニウム等の金属により形成されている、或いは、磁性体と金属材料とが互いに貼り合わされて形成されている。
【0041】
シールド部110の閉状態(図2(a)参照)では、シールド板111、112、113及び114により、送電アンテナ101の送電面が覆われている。この時、シールド板111及び112と、シールド板113及び114とは、互いに重なるように配置される。
【0042】
他方、シールド部110の開状態(図2(c)参照)では、シールド板111、112、113及び114各々が立設することにより、送電アンテナ101の上方が開放されると共に、該送電アンテナ101の上方から平面的に見て、該送電アンテナ101の周囲が、シールド板111、112、113及び114により覆われる。この時、シールド板111及び112は、夫々、シールド板113及び114と互いに隣接するように配置される。
【0043】
シールド部110を閉状態から開状態に切り換える際、駆動部104は、先ず、シールド板111及び112を夫々立設する(図2(b)参照)。この際、駆動部104は、例えば開状態検出センサ(図3参照)からの出力信号を参照して、シールド板111及び112各々が、所定の位置に到達するまで、シールド板111及び112を夫々制御する。
【0044】
続いて、駆動部104は、シールド板113及び114を夫々立設し、シールド部110を開状態とする。この際、駆動部104は、例えば開状態検出センサからの出力信号を参照して、シールド板113及び114各々が、所定の位置に到達するまで、シールド板113及び114を夫々制御する。
【0045】
尚、シールド部110を開状態から閉状態に切り換える際は、上述の処理を逆順に行えばよい。この場合、駆動部104は、例えば閉状態検出センサ(図3参照)からの出力信号を参照して、シールド板111、112、113及び114を夫々制御する。
【0046】
ここで、シールド部110が閉状態から開状態に切り換えられる際、図2(b)に示すように、シールド板111及び112が立設されるので、電力伝送前に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201間に形成される空間に存在する異物を除去することができる。加えて、上述の如く、シールド板111、112、113及び114各々は、電磁界を遮蔽可能に構成されているので、シールド部110の開状態では、電磁界の漏洩を防止することができる。
【0047】
上述の如く構成された送電装置100の送電制御部102が実施するシールド板開動作処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
図4において、送電制御部102は、例えば受電装置200への電力供給指示を示す信号等の所定信号を検出した場合、先ず、シールド板111及び112を立設するように、駆動部104を制御する(ステップS101)。続いて、送電制御部102は、シールド板111及び112各々の開動作が完了したか否かを判定する(ステップS102)。
【0049】
シールド板111及び112各々の開動作が完了していないと判定された場合(ステップS102:No)、送電制御部102は、ステップS102の処理を再び実施する。他方、シールド板111及び112各々の開動作が完了したと判定された場合(ステップS102:Yes)、送電制御部102は、シールド板113及び114を立設するように、駆動部104を制御する(ステップS103)。
【0050】
続いて、送電制御部102は、シールド板113及び114各々の開動作が完了した否かを判定する(ステップS104)。シールド板113及び114各々の開動作が完了していないと判定された場合(ステップS104:No)、送電制御部102は、ステップS104の処理を再び実施する。
【0051】
他方、シールド板113及び114各々の開動作が完了したと判定された場合(ステップS104:Yes)、送電制御部102は、シールド板開動作処理を終了する。
【0052】
次に、送電制御部102が実施するシールド板閉動作処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
図5において、送電制御部102は、例えば充電完了を示す信号等の所定信号を検出した場合、先ず、シールド板113及び114を収容するように、駆動部104を制御する(ステップS201)。続いて、送電制御部102は、シールド板113及び114各々の閉動作が完了したか否かを判定する(ステップS202)。
【0054】
シールド板113及び114各々の閉動作が完了していないと判定された場合(ステップS202:No)、送電制御部102は、ステップS202の処理を再び実施する。他方、シールド板113及び114各々の閉動作が完了したと判定された場合(ステップS202:Yes)、送電制御部102は、シールド板111及び112を収容するように、駆動部104を制御する(ステップS203)。
【0055】
続いて、送電制御部102は、シールド板111及び112各々の閉動作が完了したか否かを判定する(ステップS204)。シールド板111及び112各々の閉動作が完了していないと判定された場合(ステップS204:No)、送電制御部102は、ステップS204の処理を再び実施する。
【0056】
他方、シールド板111及び112各々の閉動作が完了したと判定された場合(ステップS204:Yes)、送電制御部102は、シールド板閉動作処理を終了する。
【0057】
本実施形態に係る「送電装置100」、「送電制御部102」及び「シールド部110」は、夫々、本発明に係る「第1の電力伝送装置」、「制御部」及び「遮蔽部」の一例である。本実施形態に係る「シールド板111、112、113及び114」は、本発明に係る「複数の遮蔽板」の一例である。本実施形態に係る「シールド板111及び112」並びに「シールド板113及び114」は、夫々、本発明に係る「第1遮蔽板対」及び「第2遮蔽板対」の一例である。本実施形態に係る「シールド部110の閉状態」及び「シールド部110の開状態」は、夫々、本発明に係る「第1の状態」及び「第2の状態」の一例である。
【0058】
<変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る電力伝送装置について、図6を参照して説明する。図6は、図2と同趣旨の、第1実施形態の変形例に係るシールド部の開閉動作の概念を示す概念図である。
【0059】
本変形例では、シールド部110の閉状態において、シールド部110を構成する複数のシールド板が、互いに重なるように配置される。そして、シールド部110が閉状態から開状態へ切り換えられる際には、図6に示すように、駆動部104により、シールド板が一枚ずつ立設される。
【0060】
<第2実施形態>
本発明の電力伝送装置に係る第2実施形態を、図7乃至図10を参照して説明する。第2実施形態では、シールド部の構成が一部異なっている以外は、第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図7乃至図10を参照して説明する。
【0061】
本実施形態に係るシールド板の構成について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係るシールド板の構成を示す概念図である。
【0062】
図7に示すように、シールド板は、駆動軸に接続された第1の部分と、伸長駆動ギヤを有する第2の部分とを有している。そして、シールド部110が閉状態から開状態へ切り換えられる際には、シールド板が立設された後に、該シールド板の第2の部分が、伸長駆動モータにより、第1の部分に沿って移動される(図7(b)参照)。
【0063】
この結果、シールド板全体の長さが長くなり、送電アンテナ101及び受電アンテナン201間の空間を包囲できるので、送電アンテナ101及び受電アンテナ201間における電磁界の漏洩を確実に防止することができる。
【0064】
ここで、図8(a)に示すように、シールド板の第2の部分の先端に、例えば接触検知センサを取り付け、該接触検知センサが車両底部1aに接したことを条件に、シールド板の第2の部分の駆動を停止するように、伸長駆動モータを制御すれば、シールド板を適切に伸長することができる。つまり、接触検知センサが車両底部1aに接触したことを検知することにより、シールド板の伸長が完了したことを確認すればよい。
【0065】
他方、図8(b)に示すように、シールド板の第1の部分の下部に、例えば接触検知センサを取り付け、該接触検知センサが、シールド板の第2の部分に接したことを条件に、シールド板の第2の部分の駆動を停止するように、伸長駆動モータを制御すれば、シールド板を適切に収縮することができる。つまり、接触検知センサがシールド板の第2の部分に接触したことを検知することにより、シールド板の収縮が完了したことを確認すればよい。
【0066】
尚、図8は、第2実施形態に係るシールド板の位置の検出方法の一例を示す概念図である。本実施形態に係る「伸長駆動モータ」は、本発明に係る「伸縮制御部」の一例である。
【0067】
上述の如く構成された送電装置100の送電制御部102が実施する充電準備処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図9において、送電制御部102は、先ず、車両1に搭載された受電装置200の受電制御部202から送信された信号に基づいて、車両1(即ち、受電装置200)の充電準備が整ったか否かを判定する(ステップS301)。充電準備が整っていないと判定された場合(ステップS301:No)、送電制御部102は、ステップS101の処理を再び実施する。
【0069】
他方、充電準備が整ったと判定された場合(ステップS301:Yes)、送電制御部102は、シールド板開動作処理(図4参照)を実施する(ステップS1)。次に、送電制御部102は、シールド板の開動作が完了したか否かを判定する(ステップS302)。
【0070】
シールド板の開動作が完了していないと判定された場合(ステップS302:No)、送電制御部102は、ステップS302の処理を再び実施する。他方、シールド板の開動作が完了したと判定された場合(ステップS302:Yes)、送電制御部102は、シールド板の第2の部分を伸長するように伸長駆動モータを制御する(ステップS303)。
【0071】
次に、送電制御部102は、シールド板の伸長が完了したか否かを判定する(ステップS304)。シールド板の伸長の完了は、上述の如く、例えば、シールド板の第2の部分の上部に設置された接触検知センサが車両底部1aに接触したことを検知することにより確認すればよい。シールド板の伸長が完了していないと判定された場合(ステップS304:No)、送電制御部102は、ステップS304の処理を再び実施する。他方、シールド板の伸長が完了したと判定された場合(ステップS304:Yes)、送電制御部102は、充電準備処理を終了する。
【0072】
次に、送電制御部102が実施する充電後処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
図10において、送電制御部102は、先ず、車両1に搭載された車載バッテリ204の充電が完了したか否かを判定する(ステップS401)。車載バッテリ204の充電が完了していないと判定された場合、送電制御部102は、ステップS401の処理を再び実施する。他方、車載バッテリ204の充電が完了したと判定された場合(ステップS401:Yes)、送電制御部102は、シールド板の第2の部分を収縮するように伸長駆動モータを制御する(ステップS402)。
【0074】
続いて、送電制御部102は、シールド板の収縮が完了したか否かを判定する(ステップS403)。シールド板の収縮の完了は、上述の如く、例えば、シールド板の第1の部分の下部に設置された接触検知センサがシールド板の第2の部分に接触したことを検知することにより確認すればよい。シールド板の収縮が完了していないと判定された場合(ステップS403:No)、送電制御部102は、ステップS403の処理を再び実施する。他方、シールド板の収縮が完了したと判定された場合(ステップS403:Yes)、送電制御部102は、シールド板閉動作処理(図5参照)を実施する(ステップS2)。
【0075】
次に、送電制御部102は、シールド板の閉動作が完了したか否かを判定する(ステップS404)。シールド板の閉動作が完了していないと判定された場合(ステップS404:No)、送電制御部102は、ステップS404の処理を再び実施する。他方、シールド板の閉動作が完了したと判定された場合(ステップS404:Yes)、送電制御部102は、充電後処理を終了する。
【0076】
<第1変形例>
次に、第2実施形態の第1変形例に係る電力伝送装置について、図11を参照して説明する。図11は、図8(a)と同趣旨の、第2実施形態の第1変形例に係るシールド板の位置の検出方法の一例を示す概念図である。
【0077】
本変形例では、一対の光電センサが車両底部1aに取り付けられている。該一対の光電センサは、該一対の光電センサの一方から出力された、例えば赤外線等の光を、該一対の光電センサの他方で検知したか否かに応じて、該一対の光電センサ間にシールドが侵入したか否かを判定可能に構成されている。該一対の光電センサ間にシールドが侵入し、光路が遮られたことを検知することにより、シールド板の伸長が完了したことを確認する。
【0078】
本変形例では、一対の光電センサにより、光路が遮られたことが検知された場合、光路が遮られたことを示す信号が、受電装置200の受電制御部202を介して、送電装置100の送電制御部102に送信される。送電制御部102は、光路が遮られたことを示す信号を受信したことを条件に、シールド板の伸長を停止するように、伸長駆動モータを制御する。
【0079】
<第2変形例>
次に、第2実施形態の第2変形例に係る電力伝送装置について、図12を参照して説明する。図12は、第2実施形態の第2変形例に係る電力伝送装置の構成を示す概念図である。
【0080】
本変形例では、図7に示した、シールド板各々の第2の部分の一端にブラシ状電極116(図12参照)が形成されている。加えて、送電装置100は、接触検出用の接触検知用信号源121と、接触検出器122と、を更に備えて構成されている。他方、車両1の車両底部1aは、車載バッテリ204の0V(ゼロボルト)端子と電気的に接続されている。
【0081】
上述した充電準備処理(図9参照)におけるシールド板伸長動作(ステップS303)の実施時に、送電制御部102は、先ず、各ブラシ状電極116と、接触検知用信号源121及び接触検出器122とが電気的に接続されるように、スイッチSWを夫々制御する。
【0082】
次に、送電制御部102は、シールド板を伸長するように伸長駆動モータを制御する。この時、各ブラシ状電極116が車両底部1aに接触すると、複数のブラシ状電極116各々が、車両底部1aにより短絡されるので、接触検出器122において信号が検出される。送電制御部102は、接触検出器122において信号が検出されたことを条件に、シールド板の伸長を停止するように伸長駆動モータを制御する。
【0083】
車載バッテリ204の充電が開始される際には、送電制御部102は、各ブラシ状電極116が接地電位となるように、スイッチSWを夫々制御する。このように構成すれば、車体の電位を接地電位とすることができるので、車載バッテリ204の充電時におけるユーザの感電を防止することができる。
【0084】
<第3実施形態>
本発明の電力伝送装置に係る第3実施形態を、図13を参照して説明する。第3実施形態では、シールド部が受電装置に設けられている以外は、第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図13を参照して説明する。図13は、図1と同趣旨の、第3実施形態に係る電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
【0085】
図13において、送電装置100は、送電アンテナ101、送電制御部102及び送電駆動部103を備えて構成されている。他方、車両2に搭載された、本発明に係る「第2の電力伝送装置」の一例としての、受電装置200は、受電アンテナ201、受電制御部202、受電駆動・バッテリ充電制御部203、車載バッテリ204及びシールド部210を備えて構成されている。
【0086】
上述した各実施形態では、本発明の電力電送装置が、例えば電気自動車等の車両に搭載されたバッテリの充電装置として用いられた場合を一例として挙げたが、本発明の電力電送装置は、例えば、オーディオ・ビジュアル機器や家電製品等に搭載されるバッテリ等の充電装置等としても適用可能である。
【0087】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電力伝送装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1、2…車両、100…送電装置、101…送電アンテナ、102…送電制御部、103…送電駆動部、104…駆動部、110、210…シールド部、111、112、113、114…シールド板、116…ブラシ状電極、121…接触検知用信号源、122…接触検出器、200…受電装置、201…受電アンテナ、202…受電制御部、203…受電駆動・バッテリ充電制御部、204…車載バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13