特許第5801963号(P5801963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5801963拡張型キーパフォーマンス指標メッセージでのモビリティロバストネスの最適化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5801963
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】拡張型キーパフォーマンス指標メッセージでのモビリティロバストネスの最適化
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/24 20090101AFI20151008BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20151008BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20151008BHJP
   H04W 36/38 20090101ALI20151008BHJP
【FI】
   H04W36/24
   H04W36/08
   H04W92/20
   H04W36/38
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-524273(P2014-524273)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-527746(P2014-527746A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】EP2011063682
(87)【国際公開番号】WO2013020584
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ウェグマン ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】フィーリング インゴ
(72)【発明者】
【氏名】アワダ アーマッド
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 Awada,A.,et al,Towards Self-Organizing Mobility Robustness Optimization in Inter-RAT Scenario ,Proc. of 2011 Spring Vehicular Technology Conference,2011年 5月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動無線通信ネットワーク(100)内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置(140)に関して移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスを最適化する方法において、
既定の時間インターバル内に生じたハンドオーバー問題をユーザ装置(140)からのレポート情報に基づいてベースステーション(120)により検出する段階と、
前記検出されたハンドオーバー問題を、発生が遅過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第1カテゴリー、発生が早過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第2カテゴリー及び間違ったターゲットセルへのハンドオーバーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第3カテゴリーへ分類する段階と、
前記検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報を特定し、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つのカテゴリーの細分を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わすものである段階と、
第1カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第1の数、第2カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第2の数、及び第3カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第3の数をカウントする段階と、
移動無線通信ネットワーク(100)の中央ユニット(110)にキーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)を報告し、そのキーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)は、前記第1の数、第2の数及び第3の数、並びに前記特定された少なくとも1つの情報を表わすものである段階と、
前記報告されたキーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)に基づき、移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスを最適化するように、移動無線通信ネットワーク(100)の少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させる段階と、
を含み、
2条件に基づく測定事象によりトリガーされたハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第1の個々の測定事象の第1結果を第1スレッシュホールドと比較し、そして第2の個々の測定事象の第2結果を第2スレッシュホールドと比較し、
前記検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報は、2つのスレッシュホールドの一方を表わし、その一方は、各ハンドオーバー問題を少なくとも減少するために変更されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の無線アクセス技術に指定されるソースセルから、第2の無線アクセス技術に指定されるターゲットセルへのユーザ装置(140)の遅過ぎるハンドオーバー又は早過ぎるハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第2の無線アクセス技術は、第1の無線アクセス技術とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1周波数で動作するソースセルから第2周波数で動作するターゲットセルへのユーザ装置(140)の遅過ぎるハンドオーバー又は早過ぎるハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第2周波数は、第1周波数とは異なり、そして両セルは同じ無線アクセス技術に指定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題を引き起こしたハンドオーバーをトリガーするハンドオーバー原因を表わす、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ハンドオーバーの原因は、
(a)無線条件によるハンドオーバートリガー、
(b)無線データトラフィックの進路によるハンドオーバートリガー、及び/又は
(c)ソースセルとターゲットセルとの間の無線データ負荷のバランスによるハンドオーバートリガー、
である請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題を引き起こしたハンドオーバーをトリガーする測定事象の形式を表わす、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、無線リンク欠陥を招かないハンドオーバー問題を表わす、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
無線リンク欠陥を招かないハンドオーバー問題は、ピンポンハンドオーバーである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題が生じたときに利用中のサービスの無線サービス形式及び/又はクオリティを表わす、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
更に別のベースステーション(130)から、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージ(160b)を中央ユニット(110)に報告する段階を更に含み、
前記移動無線通信ネットワーク(100)の少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させる前記段階は、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージ(160b)に更に基づいて実行される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
更に別の既定の時間インターバル内に生じた更に別のハンドオーバー問題を、前記ユーザ装置(140)からのレポート情報に基づいて更に別のベースステーション(130)により検出する段階と、
その検出された更に別のハンドオーバー問題を、第1カテゴリー、第2カテゴリー及び第3カテゴリーへと分類する段階と、
その検出された更に別のハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの更に別の情報を特定する段階であって、その少なくとも1つの更に別の情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つのカテゴリーの細分を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わすものである段階と、
第1カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第1の数、第2カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第2の数、及び第3カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第3の数をカウントする段階であって、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージ(160b)は、更に別の第1の数、更に別の第2の数及び更に別の第3の数、並びに前記特定された少なくとも1つの更に別の情報を表わすものである段階と、
を更に含む請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
移動無線通信ネットワーク(100)内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置(140)に関して移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスを最適化するための、移動無線通信ネットワーク(100)のベースステーションにおいて、このベースステーション(120, 320)は、
データ処理ユニット(326)を備え、これは、
(a)既定の時間インターバル内に生じたハンドオーバー問題をユーザ装置(140)からのレポート情報に基づいて検出し、
(b)その検出されたハンドオーバー問題を、発生が遅過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第1カテゴリー、発生が早過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第2カテゴリー及び間違ったターゲットセルへのハンドオーバーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第3カテゴリーへと分類し、
(c)前記検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報を特定し、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つのカテゴリーの細分を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わすものであり、
(d)第1カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第1の数、第2カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第2の数、及び第3カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第3の数をカウントする、
ためのものであり、更に、
レポートユニット(328)を備え、これは、
(e)キーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)を移動無線通信ネットワーク(100)の中央ユニット(110,410)へ報告するためのものであり、前記キーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)は、第1の数、第2の数及び第3の数、並びに前記特定された少なくとも1つの情報を表わし、更に、前記キーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)は、移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスが最適化されるように、前記中央ユニット(110,410)が、報告されたキーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)に基づいて、前記移動無線通信ネットワーク(100)の少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させることができるように構成され、
2条件に基づく測定事象によりトリガーされたハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第1の個々の測定事象の第1結果を第1スレッシュホールドと比較し、そして第2の個々の測定事象の第2結果を第2スレッシュホールドと比較し、
前記検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報は、2つのスレッシュホールドの一方を表わし、その一方は、各ハンドオーバー問題を少なくとも減少するために変更されることを特徴とするベースステーション。
【請求項13】
移動無線通信ネットワーク(100)内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置(140)に関して移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスを最適化するための、移動無線通信ネットワーク(100)の中央ユニットにおいて、その中央ユニット(110, 410)は、
キーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)をベースステーション(120)から受信するための受信ユニット(416)を備え、そのキーパフォーマンス指標メッセージは、
(a)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置(140)から報告された、発生が遅過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第1カテゴリーの第1ハンドオーバー問題の第1の数、
(b)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置(140)から報告された、発生が早過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第2カテゴリーの第2ハンドオーバー問題の第2の数、
(c)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置(140)から報告された、間違ったターゲットセルへのハンドオーバーにより生じるハンドオーバー問題に関連する第3カテゴリーの第3ハンドオーバー問題の第3の数、及び
(d)少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報、
を表わすものであり、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つのカテゴリーの細分を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わすものであり、更に、
前記移動無線通信ネットワーク(100)のモビリティロバストネスを最適化するように、前記受信したキーパフォーマンス指標メッセージ(160a,260)に基づき、移動無線通信ネットワーク(100)の少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させる適応ユニット(418)、
を備え
2条件に基づく測定事象によりトリガーされたハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第1の個々の測定事象の第1結果を第1スレッシュホールドと比較し、そして第2の個々の測定事象の第2結果を第2スレッシュホールドと比較し、
前記検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報は、2つのスレッシュホールドの一方を表わし、その一方は、各ハンドオーバー問題を少なくとも減少するために変更されることを特徴とする中央ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これに限定されないが、長期的進化移動規格に焦点を合わせ且つ無線アクセス技術(RAT)間ハンドオーバー及びRAT内ハンドオーバーに焦点を合わせた移動無線通信ネットワークの分野に関する。より詳細には、本発明は、移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための方法に関する。更に、本発明は、ここに述べるモビリティロバストネス最適化方法を実行するように互いに構成されたベースステーション及び中央ユニットにも関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線通信の技術分野における1つの重要な領域は、サービングセルから、(隣接)ターゲットセルへのユーザ装置(UE)のハンドオーバーと、そのハンドオーバーをコントロールするパラメータの最適化とに関する。この技術的分野では、自己最適化ネットワーク(SON)、特に、モビリティロバストネス最適化(MRO)に必要な欠陥形式及びキーパフォーマンス指標(KPI)仕様が主たる目標である。より詳細な欠陥形式仕様は、例えば、同時に満足すべき2つの専用スレッシュホールドより成る二重スレッシュホールド測定事象について要求される。そのような二重スレッシュホールドは、例えば、RAT間移動(LTEでは事象B2又はUMTSでは3A)、即ち異なるRAT間のハンドオーバー、について使用される。この技術分野では、二重スレッシュホールド測定事象(例えば、LTEでのA5)によってトリガーされるRAT内移動も問題である。
【0003】
MROの目標は、ネットワーク構成パラメータ(例えば、ハンドオーバー(HO)トリガーパラメータ、HOスレッシュホールド又はタイマー)を最適化して、問題のあるHOによる無線リンク欠陥(RLF)の数を減少することである。HOは、UEにより報告される測定事象によりトリガーされ、測定事象は、隣接セル及びサービングセル測定により順次にトリガーされる。サービングベースステーション(BS)からの信号と、隣接する潜在的なターゲットBSからの信号とを単純に相対的に比較するケースでは、単一のオフセットパラメータをHOトリガーに対して指定するだけでよい。2つの異なるRATのケースでは(及び時々は同じRATにおける2つの異なる周波数も)、ソースセル及びターゲットセルの絶対的信号値を考慮しなければならず、即ちHO事象をトリガーするのに、2つのスレッシュホールドを同時に満足しなければならない。
【0004】
慣習的に、2G又は3G移動無線通信ネットワークにおけるネットワーク構成パラメータの最適化は、労働及び費用集中駆動テストに基づく。第1のロールアウトでは、ネットワーク規模のデフォールト構成パラメータが使用され、そして性能管理(PM)カウンタがRLF又はコールドロップをあるサービスエリアに累積する場合には、セル特有の仕方でパラメータを適応させるために駆動テスト装置との多数の最適化ループがスタートされる。
【0005】
セル特有のパラメータを自律的に最適化するSONメカニズムをオペレータが要求する理由は、高いコストと著しい努力である。
【0006】
上述したように、2つのスレッシュホールドの1つに各々関連した2つの個々の測定値を含む測定事象によってトリガーされるHOがあり、2つのスレッシュホールドの一方は、RAT Aのサービングセルに属し又はそれに関連し、そしてその他方は、RAT Bの隣接セル又は重畳セルに属する。LTEのケースでは、例えば、HOの時点を決定するのに使用され且つ次のように定義されるRAT間トリガー事象B2がある。
(1)サービングセルがスレッシュホールド1(B2−1)より悪くなる
且つ
(2)RAT間隣接セルがスレッシュホールド2(B2−2)より良くなる
【0007】
RAT間HOをトリガーするUMTS側の対応するRAT間測定事象は、3Aと称される。
【0008】
間違ったターゲットセルとのHOが実行される可能性はさておき、悪いタイミングからHOの問題がしばしば生じ、即ちHOの開始が早過ぎたり遅過ぎたりする。RAT間HOでは、2つのスレッシュホールドを同時に満足しなければならない。LTEのケースでは、前記スレッシュホールド1(B2−1)が、それ自身のサービングセル(Ms)の信号強度/質に対して比較され、又、前記スレッシュホールド2が、異なるRATの隣接セル(Mn)の信号強度/質に対して比較され、そして次の場合に、ハンドオーバーがトリガーされる。
(1)Ms<B2−1
且つ
(2)Mn>B2−2
【0009】
これは、サービング通信リンク(Ms)の信号強度が、サービング信号に関連したスレッシュホールドより悪くなると同時に、隣接通信リンク(Mn)の信号強度が、隣接信号に関連した第2スレッシュホールドより良くなった場合、即ち両方の基準を満足した場合に、HOがトリガーされることを意味する。隣接通信リンクは、同じセルラーネットワークの隣接セルに接続され又は属する通信リンク、及び/又は別の移動規格に関連した移動無線通信ネットワークへの通信リンクである。
【0010】
使用するスレッシュホールド値が不適切である場合には、RLFを引き起こし得るHOの問題が生じる。3GPPは、RLFにより影響されるHO欠陥形式の3つの異なるカテゴリーを指定している。
(a)HOトリガーが遅過ぎることによる欠陥
(b)HOトリガーが早過ぎることによる欠陥
(c)誤ったセルへのHOによる欠陥
【0011】
例えば、LTEのRAT間移動のケースでは、遅過ぎるHO(カテゴリ(a))の理由は、スレッシュホールドB2−1が低過ぎるか、スレッシュホールドB2−2が高過ぎるかのいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この必要性は、独立請求項の要旨によって満足される。本発明の効果的な実施形態は、従属請求項で述べる。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化する方法が提供される。その提供される方法は、(a)既定の時間インターバル内に生じたハンドオーバー問題を、ユーザ装置からのレポート情報に基づいてベースステーションにより検出し、(b)その検出されたハンドオーバー問題を、第1カテゴリー、第2カテゴリー及び第3カテゴリーへ分類し、(c)検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報を決定し、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つのカテゴリーの洗練化(細分、refinement)を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わし、(d)第1カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第1の数、第2カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第2の数、及び第3カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第3の数をカウントし、(e)移動無線通信ネットワークの中央ユニットにキーパフォーマンス指標メッセージを報告し、そのキーパフォーマンス指標メッセージは、第1の数、第2の数及び第3の数、並びに決定された少なくとも1つの情報を表わすものであり、そして(f)その報告されたキーパフォーマンス指標メッセージに基づき、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するように、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させる、ことを含む。従って、報告されたキーパフォーマンス指標メッセージは、ある観察時間を表わす既定の時間インターバル内で観察された複数のキーパフォーマンス指標の統計学的評価に基づく。
【0015】
ここに述べる方法は、モビリティロバストネス最適化(MRO)キーパフォーマンス指標(KPI)のより詳細な又は付加的なカテゴリー分けにより、高いモビリティロバストネスを実現できる仕方で少なくとも1つのネットワーク構成パラメータの値を更新できるという考え方に基づくものである。これは、移動無線通信ネットワーク内のユーザ装置(UE)の将来のハンドオーバー(HO)に対して、UEの移動により生じるHO問題の数又はHO問題の発生の確率を著しく減じることができる。
【0016】
「少なくとも1つの情報」が3つのカテゴリーのうちの1つの洗練化を表わすときには、各々の数字が2つのサブ数字に分割され、2つのサブ数字の和が各数字に等しいと言える。これに関しては、原理的にも、3つ以上のサブカテゴリーへの洗練化が可能であると指摘される。
【0017】
又、「少なくとも1つの情報」が更に別のカテゴリーを表わすときには、「少なくとも1つの情報」は、更に別のカテゴリーに指定されるHO問題の数を表わすとも言る。
【0018】
本書において、「ハンドオーバー問題」という語は、(a)発生する任意の事象、又は(b)通常の及び最適な仕方でHOが完了しなかった場合にのみ実行すべき任意の手順に関する。更に、「ハンドオーバー問題」という語は、誤った仕方でHOが開始されなかったか、又はHOの開始が遅過ぎてUEがRFFを被り、後で、移動無線通信ネットワーク内に再び現れる(即ち、HOが早めに開始された場合には欠陥が生じない)シナリオにも関する。
【0019】
より詳細には、HO問題は、無線リンク欠陥(RLF)を生じさせるか又はそれに関連し、これは、各UEに対して無線接続を首尾良く再確立しないので、完全なコールドロップを招く。更に、この点に関して、HO問題は、RLFの後に、特定のUEに対する無線接続の首尾良い確立が完了した場合にも生じる。更に、RLFを生じないが、各UEに使用されるコントロールデータの量を不必要に増加する不必要なHO(所謂ピンポンHO)も、HO問題と考えられる。
【0020】
中央ユニットは、特にベースステーション(BS)に接続されそしてBSの動作に影響するネットワーク構成パラメータをBSに与えることができるエンティティである。中央ユニットは、少なくとも1つのデータ処理マシンにより及び/又は少なくとも1つのバーチャルコンピューティングマシンにより実現され、このマシンも、適当なソフトウェアにより実現される。特に、中央ユニットは、オペレーティング・アンド・メンテナンス(OAM)センター、ドメインマネージャー(DM)及び/又はネットワークマネージャー(NM)である。LTEでは、中央ユニットは、3GPPで指定された所謂ノースバウンドインターフェイス(Itf−N)により特にBSに接続される。従って、中央ユニットと各BSとの間の接続は、各BSの所謂エレメントマネージャーを経ての間接的接続である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、(a)第1カテゴリーは、発生が遅過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連し、(b)第2カテゴリーは、発生が早過ぎるハンドオーバートリガーにより生じるハンドオーバー問題に関連し、及び/又は(c)第3カテゴリーは、間違ったターゲットセルへのハンドオーバーにより生じるハンドオーバー問題に関連している。これは、移動無線通信ネットワークに現在使用されている規格でここに述べる方法を容易に具現化できるという効果を与える。特に、ここに述べる方法は、長期的進化(LTE)移動無線通信ネットワークのための規格3GPP TR36.902(”Evolved Universal Terrestrial Radio Access network (E-UTRAN); Self-configuring and self-optimizing network use cases and solutions”)で具現化することができる。
【0022】
記述的に言うと、ここに述べるモビリティロバストネス最適化方法では、(a)問題又は欠陥のあるHOの少なくとも1つの新たなカテゴリーを導入することにより、又は(b)前記3つのカテゴリーのうちの1つのカテゴリーの問題又は欠陥のあるHOを報告し及び記述する付加的な情報を測定に追加することにより、現在定義されているMROクラス「早過ぎ」「遅過ぎ」及び「間違ったセル」を更に拡張できるように、MROに関連したハンドオーバー欠陥形式(キーパフォーマンス指標)が拡張される。
【0023】
本発明の更に別の実施形態によれば、(a)2条件に基づく測定事象によりトリガーされたハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第1の個々の測定事象の第1結果が第1スレッシュホールドと比較され、そして第2の個々の測定事象の第2結果が第2スレッシュホールドと比較され、(b)検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報は、2つのスレッシュホールドの一方を表わし、その一方は、各ハンドオーバー問題を少なくとも減少するために変更されねばならない。
【0024】
これは、「遅過ぎる」HOの数、「早過ぎる」HOの数及び間違ったターゲットセルへのHOの数しか含まない現在使用されているキーパフォーマンス指標メッセージに加えて、本書に述べるMRO方法により使用される拡張されたキーパフォーマンス指標メッセージは、更に、2つのスレッシュホールドのどちらに問題があるか、即ち将来HO問題を減少するか又はその少なくとも幾つかを取り除くために2つのスレッシュホールドのどちらを変更すべきか表わす情報エレメントを含む。
【0025】
一般的に言うと、より正確な又は拡張されたキーパフォーマンス指標メッセージでは、2条件に基づく測定事象に関連したHO問題の数が2つの数字に細分化される。第1の数字は、第1スレッシュホールドに対して誤った値又は少なくとも最適でない値により生じるHO問題の数を指定する。対応的に、第2の数字は、第2スレッシュホールドに対して誤った値又は少なくとも最適でない値により生じるHO問題の数を指定する。
【0026】
例えば、(典型的にLTE内移動に使用される)既知のA3事象の信号強度オフセット測定のような1つの単一条件でのHOトリガー事象のケースでは、現在規格化されたKPI情報で充分であると言える。しかしながら、現在規格化されたKPI情報(の解像度)は、2つの条件で測定事象が使用されるRAT内移動に対しては充分でないことが明確である。本書に述べる拡張型キーパフォーマンス指標メッセージは、HOトリガー形式及びハンドオーバー原因の事象の単一又は二重スレッシュホールド条件に関して区別を許さない現在指定KPIの欠落レベル詳細を克服する(以下に詳細に述べる)。
【0027】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1の無線アクセス技術に指定されるソースセルから、第2の無線アクセス技術に指定されるターゲットセルへのユーザ装置の遅過ぎるハンドオーバー又は早過ぎるハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第2の無線アクセス技術は、第1の無線アクセス技術とは異なる。これは、本書に述べる拡張型キーパフォーマンス指標メッセージが、実際に頻繁に生じるHO問題の理由に関して更に詳細な情報を含むという効果を与える。HO問題の理由についての更に詳細な知識が中央ユニットによって使用されて、BS及び/又は少なくとも1つの更に別のBSに改善されたパラメータ値が与えられ、特に、HOスレッシュホールドのための改善されたパラメータ値が与えられ、これは、将来、HO問題の数を著しく減少する。
【0028】
記述的に言うと、遅過ぎる又は早過ぎるRAT間MROのケースでは、中央ユニットに報告されるHO問題カウンタ値は、HO問題の原因であると考えられるスレッシュホールドの形式に基づいて更に細分化される。
【0029】
例えば、悪化する無線条件のために開始された遅過ぎるRAI間HOのケースでは、拡張型キーパフォーマンス指標メッセージにおける対応する(カウンタ)エントリがデノミネートされる。(a)問題のある第1スレッシュホールドB2−1により生じる問題の数については「HO.R.InterRATOutFail.TooLate.B21」及び(b)問題のある第2スレッシュホールドB2−2により生じる問題の数については「HO.R.InterRATOutFail.TooLate.B22」。
【0030】
一般的に言うと、本書に述べる拡張型キーパフォーマンス指標メッセージは、RAT間MRO KPI、及び異なるRAT間のノード間メッセージの両方を指定する。「遅過ぎるRAT間HOトリガーのための欠陥」の情報だけではなく、各欠陥原因も、より正確に特定することで、中央ユニットにおいて改善されたMROアルゴリズムを実行して、UEのRAT間移動を最適化することができる。
【0031】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1周波数で動作するソースセルから第2周波数で動作するターゲットセルへのユーザ装置の遅過ぎるハンドオーバー又は早過ぎるハンドオーバーで少なくとも幾つかのハンドオーバー問題が発生し、第2周波数は、第1周波数とは異なり、そして両セルは同じ無線アクセス技術に指定される。これは、RAT内であるが周波数間HOに関連した遅過ぎる又は早過ぎるMROに対しても、中央ユニットに報告されるHO問題カウンタ値が、HO問題の原因であると考えられるスレッシュホールドの形式に基づいて更に細分化されることを意味する。RAT内であるが周波数間HO問題の理由のこのより詳細な知識も、中央ユニットにより使用されて、BS及び/又は少なくとも1つの更に別のBSに改善されたHOスレッシュホールド値を与え、これは、将来、RAT内であるが周波数間HO問題の数を減少する。
【0032】
例えば、遅過ぎるRAT内(LTE内)であるが周波数間HOのケースでは、拡張型キーパフォーマンス指標メッセージにおける対応する(カウンタ)エントリがデノミネートされる。(a)問題のある第1スレッシュホールドA5−1により生じる問題の数については「HO.R.InterFreqOutFail.TooLate.A5」及び(b)問題のある第2スレッシュホールドA5−2により生じる問題の数については「HO.R.InterFreqOutFail.TooLate.A52」。
【0033】
この点において、ここに示すモビリティロバストネス最適化方法は、最も一般的な周波数内及びRAT内HOにも適用できることが明確に述べられる。
【0034】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題を引き起こしたハンドオーバーをトリガーするハンドオーバー原因を表わす。これも、発生したHO問題に関してより詳細な情報を中央ユニットに与えるという効果を発揮する。
【0035】
本発明の更に別の実施形態によれば、ハンドオーバーの原因は、(a)無線条件によるハンドオーバートリガー、(b)無線データトラフィックの進路によるハンドオーバートリガー、及び/又は(c)ソースセルとターゲットセルとの間の無線データ負荷のバランスによるハンドオーバートリガーである。これは、BSから(拡張型)キーパフォーマンス指標メッセージを受信するときに、中央ユニットに、より詳細な情報が与えられるという効果を発揮する。この点に関して、HO原因の所与のリストは除外されず、又、他のHO原因が(拡張型)KPIメッセージに含まれることが述べられる。
【0036】
この点に関して、無線条件(R)によるHOトリガーは、(特にUEの移動のために)UEとそのソースBSとの間の無線接続リンクのクオリティが、UEとそのターゲットBSとの間の無線接続リンクより悪化した場合に与えられる。
【0037】
無線データトラフィック進路(TS)によるハンドオーバートリガーは、何らかの理由で、UEに関連した無線データトラフィックをソースセルからターゲットセルへシフトすることを望む場合に与えられる。これは、例えば、ターゲットセルがソースセルより高い無線データレートを許し、そしてUEで実行されるあるアプリケーションが高いデータレートを必要とするためにUEによって高い無線データレートが要求されるケースである。
【0038】
無線データ負荷バランス(LB)によるハンドオーバートリガーは、UEとターゲットセルとの間の無線接続リンクが、UEとソースセルとの間の無線接続リンクより悪化するが、ソースセル内の全データトラフィックが比較的大きくそしてターゲットセル内の全データトラフィックが比較的小さいために、UEをターゲットセルへハンドオーバーして、両セル内の全無線性能を改善するのが有利である場合に与えられる。
【0039】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題を引き起こしたハンドオーバーをトリガーする測定事象の形式を表わす。
【0040】
LTE内HOのケースでは、トリガー測定事象は、例えば、A3測定事象又はA5測定事象である。この点に関して、現在の3GPP仕様によれば、A3測定事象は、UEからターゲットセルへの無線リンクと、UEからソースセルへの無線リンクとの間の信号強度オフセットを表わす1つの測定値のみを含む。それに対して、A5測定事象は、2つの異なるスレッシュホールド値と比較される2つの測定値を含み、各1つの測定値が1つのスレッシュホールド値に指定される。
【0041】
RAT間HOのケースでは、トリガー測定事象は、例えば、LTE B2測定事象又はUMTS 3A測定事象であり、これも、既に上述したように、所謂二重スレッシュホールド測定事象又は2条件に基づく測定事象を表わす。
【0042】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、無線リンク欠陥を招かないハンドオーバー問題を表わす。これは、あまり重大でないHO問題(非RLF関連移動問題)であるが、移動無線通信ネットワークの性能に否定的な影響を及ぼす問題に関する情報も中央ユニットに与えるという効果を発揮する。従って、あまり重大でないHO問題に関する情報は、(拡張型)キーパフォーマンス指標メッセージ内の個別のカウンタで処理される。
【0043】
本発明の更に別の実施形態によれば、無線リンク欠陥を招かないハンドオーバー問題は、ピンポンハンドオーバーである。これは、非常に一般的なHO問題が中央ユニットに報告され、中央ユニットは、その情報に基づき、移動無線通信ネットワーク内のハンドオーバーの振舞いに影響するパラメータを更に改善できるという効果を発揮する。
【0044】
この点に関して、ピンポンHOは、移動無線通信ネットワークの性能を低下する原因である非常に一般的な現象であると言える。ピンポンハンドオーバーとは、セル対の2つのセルへの及びそれらからの頻繁なHOである。ピンポン作用は、各セル対間でのUEの頻繁な移動、及び/又はセル対の共通の境界における比較的大きな信号変動によって発生する。ピンポンHOは、ハンドオーバーの回数を増加し、従って、ネットワークの負荷を増加するので、ネットワークオペレータにとってこの望ましからぬ作用を減少することが重要である。ここに述べるMRO方法によれば、これは、望ましからぬピンポンHOを効果的に減少するために必要な情報が与えられる中央ユニットにより達成される。
【0045】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報は、ハンドオーバー問題が生じたときに利用中のサービスの無線サービス形式及び/又はクオリティを表わす。これは、移動無線通信ネットワークの移動関連ネットワーク構成パラメータをより正確に適応させる上で助けとなる付加的な情報が中央ユニットに与えられるという効果を発揮する。
【0046】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に別のベースステーションから、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージを中央ユニットに報告することを更に含む。従って、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させることは、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージに更に基づいて実行される。これは、移動無線通信ネットワーク内のHO振舞いに影響するパラメータを最適化するために、更に別のベースステーションに与えられる更に別の情報も考慮するという効果を発揮する。これは、これらパラメータのより正確な最適化を行えるようにする。
【0047】
LTEでは、BS及び更に別のBSは、所謂X2インターフェイスを経て直接接続される。それ故、キーパフォーマンス指標メッセージは、BSと更に別のBSとの間でX2を経て以前に交換された情報も含むことが考えられる。対応的に、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージについても、BSと更に別のBSとの間でX2を経て交換された情報が考慮される。
【0048】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に、(a)更に別の既定の時間インターバル内に生じた更に別のハンドオーバー問題を、ユーザ装置からのレポート情報に基づいて更に別のベースステーションにより検出し、(b)その検出された更に別のハンドオーバー問題を、第1カテゴリー、第2カテゴリー、及び第3カテゴリーへと分類し、(c)その検出された更に別のハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの更に別の情報を決定し、その少なくとも1つの更に別の情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの洗練化を表わし、又は少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わし、(d)第1カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第1の数、第2カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第2の数、及び第3カテゴリーに分類された更に別のハンドオーバー問題の更に別の第3の数をカウントすることを含む。従って、更に別のキーパフォーマンス指標メッセージは、更に別の第1の数、更に別の第2の数及び更に別の第3の数、並びに決定された少なくとも1つの更に別の情報を表わす。
【0049】
これは、更に別のBSがHO問題に関する拡張型情報を中央ユニットに与えることができ、その拡張型情報が更に別のキーパフォーマンス指標メッセージに含まれるという効果を発揮する。これは、将来的にHO問題の数が著しく減少されるように、BS及び/又は更に別のBSに対して、更に別の改善されたパラメータ値、特に、HOスレッシュホールドに対する更に別の改善された値を決定できるようにする。
【0050】
更に別のHO問題は、前記HO問題と異なるか、部分的に異なるか、又はそれと同じであると言える。従って、更に別の既定の時間インターバルは、前記既定の時間インターバルと異なるか、部分的に重畳するか、又はそれと同じである。
【0051】
本発明の更に別の態様によれば、移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための移動無線通信ネットワークのベースステーションが提供される。その提供されるベースステーションは、(a)既定の時間インターバル内に生じたハンドオーバー問題をユーザ装置からのレポート情報に基づいて検出し、(b)その検出されたハンドオーバー問題を、第1カテゴリー、第2カテゴリー及び第3カテゴリーへと分類し、(c)検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報を決定し、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの洗練化を表わすか、又は少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わすものであり、(d)第1カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第1の数、第2カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第2の数、及び第3カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第3の数をカウントする、ためのデータ処理ユニットを備えている。その提供されるベースステーションは、更に、キーパフォーマンス指標メッセージを移動無線通信ネットワークの中央ユニットへ報告するためのレポートユニットを備え、キーパフォーマンス指標メッセージは、第1の数、第2の数及び第3の数、並びに決定された少なくとも1つの情報を表わし、そしてキーパフォーマンス指標メッセージは、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスが最適化されるように、中央ユニットが、報告されたキーパフォーマンス指標メッセージに基づいて、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させることができるように構成される。
【0052】
本発明の更に別の態様によれば、移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための移動無線通信ネットワークの中央ユニットが提供される。その提供される中央ユニットは、キーパフォーマンス指標メッセージをベースステーションから受信するための受信ユニットを備え、そのキーパフォーマンス指標メッセージは、(a)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置から報告された第1カテゴリーの第1ハンドオーバー問題の第1の数、(b)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置から報告された第2カテゴリーの第2ハンドオーバー問題の第2の数、(c)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置から報告された第3カテゴリーの第3ハンドオーバー問題の第3の数、及び(d)少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報を表わすものであり、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの洗練化を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わす。その提供される中央ユニットは、更に、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスが最適化されるように、受信したキーパフォーマンス指標メッセージに基づいて、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させる適応ユニットを備えている。
【0053】
本発明の更に別の態様によれば、移動無線通信ネットワーク内でソースセルからターゲットセルへハンドオーバーすると推測される移動ユーザ装置に関して移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するためのコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、データプロセッサにより実行されたときに、上述したモビリティロバストネス最適化方法を制御し及び/又は実施するようにされる。
【0054】
ここで使用するコンピュータプログラムという語は、前記方法の遂行を整合するようにコンピュータシステムをコントロールするインストラクションを含むコンピュータ読み取り可能な媒体及び/又はプログラムエレメントと同等であることが意図される。
【0055】
コンピュータプログラムは、例えば、JAVA、C++のような適当なプログラミング言語におけるコンピュータ読み取り可能なインストラクションコードとして実施され、そしてコンピュータ読み取り可能な媒体(取り外し可能なディスク、揮発性又は不揮発性メモリ、埋め込み型メモリ/プロセッサ、等)に記憶される。インストラクションコードは、意図された機能を実施すべくコンピュータ又は他のプログラム可能な装置をプログラムするように働く。コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークからダウンロードして利用することができる。
【0056】
本発明は、コンピュータプログラム、各々、ソフトウェアによって実現されてもよい。しかしながら、本発明は、1つ以上の特定電子回路、各々、ハードウェアによって実現されてもよい。更に、本発明は、ハイブリッド形態、即ちソフトウェアモジュール及びハードウェアモジュールの組み合わせで実現されてもよい。
【0057】
本発明の実施形態は、異なる要旨を参照して以上に述べたことに注意されたい。特に、幾つかの実施形態は、方法形式の請求項を参照して説明し、一方、他の実施形態は、装置形式の請求項を参照して説明した。しかしながら、当業者であれば、前記説明及び以下の説明から、特に指示のない限り、1つの形式の要旨に属する特徴の組み合わせに加えて、異なる要旨に関連した特徴、特に、方法形式の請求項の特徴と装置形式の請求項の特徴との間の組み合わせも、本書に開示されるべきものと考えられることが推測されよう。
【0058】
本発明の前記態様及び更に別の態様は、以下に述べる実施形態から明らかであり、その実施形態を参照して説明する。本発明は、添付図面を参照して以下に説明するが、それに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】ベースステーション及び中央ユニットを備えた移動無線通信ネットワークを示すもので、ベースステーションは、拡張型キーパフォーマンス指標メッセージを中央ユニットへ転送するように構成され、中央ユニットは、その拡張型キーパフォーマンス指標メッセージと共に与えられる情報に基づいて、問題のあるハンドオーバーによる無線リンク欠陥の数を減少するように新たなネットワーク構成パラメータを計算する。
図2A】拡張型キーパフォーマンス指標メッセージに含まれる情報を例示する。
図2B】拡張型キーパフォーマンス指標メッセージに含まれる情報を例示する。
図2C】拡張型キーパフォーマンス指標メッセージに含まれる情報を例示する。
図3】移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための移動無線通信ネットワークのベースステーションを示す。
図4】移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための移動無線通信ネットワークの中央ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
添付図面は、概略的なものである。種々の図面において、同様又は同一の要素は、第1の桁だけ対応参照符号とは異なる参照符号で示されることに注意されたい。
【0061】
図1は、本書に述べる本発明により、中央ユニット110、ベースステーション(BS)120、及び更に別のベースステーション130を備えた移動無線通信ネットワーク100を示す。ここに述べる実施形態によれば、ネットワーク100は、LTEネットワークであり、中央ユニット110は、オペレーション・アンド・メンテナンス(OAM)センター又はドメインマネージャー(DM)であり、そして2つのベースステーションは、eNodeBである。
【0062】
現在の3GG規格によれば、2つのeNodeB120及び130がX2インターフェイス125を経て互いに接続される。eNodeB120は、既知の仕方で(eNodeB120の各エレメントマネージャーを経て)、所謂ノースバウンドインターフェイス111aを経てOAMセンター110と間接的に接続される。対応的に、eNodeB130は、既知の仕方で(eNodeB120の各エレメントマネージャーを経て)、ノースバウンドインターフェイス111bを経てOAMセンター110と間接的に接続される。
【0063】
図1から明らかなように、移動無線通信ネットワークは、更に、ユーザ装置(UE)140も備え、これは、最初、移動無線通信ネットワーク100の(ソース)セルに指定されたeNodeB120によってサービスされる。
【0064】
UE140は、移動無線通信ネットワーク100の任意の通信ネットワークアクセスポイント(例えば、eNodeB120、130)と接続できる任意の形式の通信端末装置である。特に、UE140は、セルラー移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートブックコンピュータ、及び/又は他の移動通信装置である。
【0065】
図1の矢印140aは、UE140の移動を示し、これは、eNodeB120に指定された(ソース)セルから、eNodeB130に指定されたターゲットセルに向かって遂行される。図1に示す移動無線シナリオによれば、ソースセルからターゲットセルへの早過ぎるハンドオーバー(HO)が行われる。その結果、HOの直後に、無線リンク欠陥(RLF)が生じ、これは、図1にフラッシュ141で示されている。RLF141の後に、UE140は、移動し続け、そしてある距離がカバーされた後に、UE140とeNodeB130との間の無線接続の再確立が首尾良く得られる。これは、UE140が完全なコールドロップを被らないことを意味する。
【0066】
UE140は、eNodeB130(即ち、ターゲットeNodeB)に首尾良く接続された後に、RLFレポート142をeNodeB130へ送出する。RLFレポート142の受信に応答して、eNodeB130は、RLF指示メッセージ132をeNodeB120(即ち、ソースeNodeB)へ送出し、問題のあるHOを行ったことでeNodeB120を非難する。RLF指示メッセージ132の受信に応答して、eNodeB120は、HOレポート128をeNodeB130へ送出する。受信した交換情報に基づき、2つのeNodeB120及び130の各々は、発生したHO欠陥に対してモビリティロバストネス最適化(MRO)原因評価を遂行する。
【0067】
根本的原因評価のための3GPP特徴によれば、分散型解決策が使用されると述べられている。いずれにせよ、例えば、HOトリガーパラメータ、HOスレッシュホールド及び/又はタイマーのようなネットワーク構成パラメータの修正により実現されるMROは、典型的に、個々の事象に基づいて行われず、統計学的に行われる。それ故、各セルは、ある期間にわたってそれ自身によって生じた識別されたHO問題をカウントする。キーパフォーマンス指標(key performance indicator)(KPI)と称される対応するカウント数は、典型的に、セルごとに別々に発生される。
【0068】
ここに述べる集中解決策では、セル/eNodeBは、これらKPIをOAMセンター110に報告する。ここに述べる実施形態によれば、KPIは、キーパフォーマンス指標(KPI)メッセージにより報告される。図1から明らかなように、KPIメッセージ160aは、(ソース)eNodeB120からOAMセンター110へ報告され、そしてKPIメッセージ160bは、(ターゲット)eNodeB130からOAMセンター110へ報告される。
【0069】
KPIメッセージ160a及び160bを経て与えられる情報に基づき、OAMセンター110は、問題のあるHOによる将来のRLFの数を減少するようにネットワーク構成パラメータ(例えば、HOトリガーパラメータ、HOスレッシュホールド及び/又はタイマー)の適当な変更に関して判断する。分散型解決策に比してここに述べる集中型解決策の効果は、OAMセンター110が他のセルからのKPIも考慮できることである。それ故、OAMセンター110は、よりグローバルで且つより信頼性のある判断をなすことができる。
【0070】
ネットワーク構成パラメータを適応させ又は変更した後に、OAMセンター110は、それらの新たなパラメータを各eNodeBへ転送する。図1から明らかなように、それに対応する新たなパラメータメッセージ112aがOAMセンター110から(ソース)eNodeB120へ送信され、そしてそれに対応する新たなパラメータメッセージ112bがOAMセンター110から(ターゲット)eNodeB130へ送信される。
【0071】
図2A、2B及び2Cは、(拡張型)キーパフォーマンス指標(KPI)メッセージに含まれる付加的な情報を例示する。図2Aは、第1のKPIメッセージ260aを示し、図2Bは、第2のKPIメッセージ260bを示し、そして図2Cは、第3のKPIメッセージ260cを示す。
【0072】
論理的表現では、KPIメッセージ260a、260b、及び260cに含まれる情報は、マトリクス形式のテーブルで最も良く表現することができる。しかしながら、マトリクス形式の表現は、理解を容易にするために使用されるだけであることを指摘しておく。情報は、拡張型キーパフォーマンス指標メッセージ260a、260b、及び260cに他の任意の仕方で含むこともできる。
【0073】
図2A、2B及び2Cにおいて、通常の文字で書かれたテーブル入力は、現在の3GPP仕様から既に知られている。イタリック体の太字で書かれたテーブル入力は、拡張型KPI情報に関連しており、これは、本書に述べるMRO方法によれば、各eNodeBからOAMセンターへ付加的な情報として転送される。
【0074】
各規範的な拡張型キーパフォーマンス指標メッセージ260a、260b、及び260cのセルにおける入力Nxxは、各HO問題に対応するカウントされた数値である。より詳細には、1つの(水平)行に与えられる数値の和は、既定の時間インターバルに生じ且つ第1列に示す対応カテゴリーであるHO問題の合計数に対応する。
【0075】
例えば、(拡張型)KPIメッセージ260a及び260bでは、N1xの和(=N11+N12)は、間違ったスレッシュホールドT1による遅過ぎるHOにより生じるHO問題の合計数である。N2xの和は、間違ったスレッシュホールドT2による遅過ぎるHOにより生じるHO問題の合計数である。更に、N3xの和は、早過ぎるHOにより生じるHO問題の合計数である。更に、N4xの和は、間違ったセルへのHOにより生じるHO問題の合計数である。最後に重要なこととして、N5xの和は、ピンポンHOにより生じるHO問題の合計数である。
【0076】
第3の(拡張型)KPIメッセージ260cを示す図2Cから明らかなように、N1xの和(=N11+N12)は、遅過ぎるHOにより生じるHO問題の合計数である。この点に関して、現在の3GPP仕様によれば、A3測定事象は、2つの無線リンクの強度間の信号強度オフセットを表わす1つの測定値のみを含む。それ故、2つの異なるスレッシュホールドが使用されず、異なるスレッシュホールドに対して遅過ぎるHOを区別することは意味がない。KPIメッセージ260a及び260bによれば、N3xの和は、早過ぎるHOにより生じるHO問題の合計数であり、N4xの和は、間違ったセルへのHOにより生じるHO問題の合計数である。最後に重要なこととして、N5xの和は、ピンポンHOにより生じるHO問題の合計数である。
【0077】
拡張型キーパフォーマンス指標メッセージ260aの列に関して、(a)数値Nx1(x=1、2、3、4、5)がリアルタイム(RT)ユーザの測定事象A5に指定され、そして(b)数値Nx2が非リアルタイム(nRT)ユーザの測定事象A5に指定される。
【0078】
拡張型キーパフォーマンス指標メッセージ260bの列に関して、(a)数値Nx1(x=1、2、3、4、5)が測定事象A5に指定され(ここでは、RTユーザとnRTユーザとの間の区別がない)、そして(b)数値Nx2(x=1、2、3、4、5)がHO問題に指定され、ここでは、無線条件が変化するが無線データトラフィックの進路のために、HOはトリガーされない。
【0079】
拡張型キーパフォーマンス指標メッセージ260cの列に関して、(a)数値Ny1(y=1、3、4、5)が、各UEが位置エリア1にある場合にA3測定事象によってトリガーされたHOにより与えられるHO問題に指定され、そして(b)数値Ny2が、各UEが位置エリア2にある場合にA3測定事象によってトリガーされたHOにより与えられるHO問題に指定される。従って、例えば、各々ある方向を有する2つの異なる街路に異なる位置エリアが指定される。
【0080】
ここに述べる拡張型キーパフォーマンス指標メッセージに基づき、そして既知のキーパフォーマンス指標メッセージの、HO問題に関する詳細な情報と比較すると、OAMセンターは、移動無線通信ネットワークのための構成パラメータ(例えば、HOトリガーパラメータ、HOスレッシュホールド及び/又はタイマー)を非常に正確に且つ信頼できる仕方で適応させることができる。その結果、将来予想されるHO問題の数を著しく減少することができる。
【0081】
ここに述べる(拡張型)KPIメッセージは、例示に過ぎず、同じ又は異なる数の(垂直)列、及び/又は同じ又は異なる数の(水平)行を有する他の形式の(拡張型)KPIメッセージも考えられる。更に、所定の期間内に発生したHO問題は、問題のあるHOに対する多数の属性で区別することができる。更に、異なる形式のHO問題間を細かく区別するために異なる数及び/又は異なる形式のカテゴリーが定義される。
【0082】
図3は、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための、移動無線通信ネットワークのベースステーション、各々、eNodeB320を示す。このベースステーション320は、データ処理ユニット326及びレポートユニット328を備えている。本書に述べる発明によれば、データ処理ユニット326は、(a)ユーザ装置140からのレポート情報に基づいて、所定の時間インターバル内に発生したハンドオーバー問題を検出し、(b)その検出されたハンドオーバー問題を、第1カテゴリー、第2カテゴリー及び第3カテゴリーへ分類し、(c)検出されたハンドオーバー問題の少なくとも1つに関連した少なくとも1つの情報を決定し、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの洗練化を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わし、(d)第1カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第1の数、第2カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第2の数、及び第3カテゴリーに分類されたハンドオーバー問題の第3の数をカウントするように構成される。
【0083】
レポートユニット328は、キーパフォーマンス指標メッセージを移動無線通信ネットワークの中央ユニットへ報告するように構成され、キーパフォーマンス指標メッセージは、第1の数、第2の数及び第3の数、並びに決定された少なくとも1つの情報を表わす。これにより、キーパフォーマンス指標メッセージは、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するように、中央ユニットが、その報告されたキーパフォーマンス指標メッセージに基づき、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させることができるように、構成される。
【0084】
データ処理ユニット326は、1つ以上のコンピューティングユニットで実現できると言われる。更に、データ処理ユニット326のここに述べる機能は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせによって実現される。
【0085】
図4は、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するための移動無線通信ネットワークの中央ユニット410を示す。例えば、OAMセンターにより実現される中央ユニット410は、受信ユニット416及び適応ユニット418を備えている。
【0086】
受信ユニット416は、ベースステーションからキーパフォーマンス指標メッセージを受信するように構成され、そのキーパフォーマンス指標メッセージは、(a)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置140から報告された第1カテゴリーの第1ハンドオーバー問題の第1の数、(b)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置140から報告された第2カテゴリーの第2ハンドオーバー問題の第2の数、(c)既定の時間インターバル内に発生し且つ少なくとも1つのユーザ装置140から報告された第3カテゴリーの第3ハンドオーバー問題の第3の数、及び(d)少なくとも1つの検出されたハンドオーバー問題に関連した少なくとも1つの情報、を表わすものであり、その少なくとも1つの情報は、3つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの洗練化を表わすか、又はその少なくとも1つの情報は、更に別のカテゴリーを表わす。
【0087】
適応ユニット418は、移動無線通信ネットワークのモビリティロバストネスを最適化するように、その受信したキーパフォーマンス指標メッセージに基づき、移動無線通信ネットワークの少なくとも1つの移動関連ネットワーク構成パラメータの値を適応させるように構成される。
【0088】
受信ユニット416は、1つ以上のコンピューティングユニットで実現できると言われる。更に、受信ユニット416のここに述べる機能は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせによって実現される。
【0089】
本発明の更に別の洗練化では、ここに述べる異なる実施形態からの特徴を組み合わせできることに注意されたい。又、請求項の参照符号は、請求の範囲を限定するものと解釈されてはならないことにも注意されたい。
【符号の説明】
【0090】
100:移動無線通信ネットワーク
110:中央ユニット/オペレーション・アンド・メンテナンス(OAM)センター
111a、111b:ノースバウンドインターフェイス
112a、112b:新パラメータメッセージ
120:ベースステーション/eNodeB
128:ハンドオーバー(HO)レポート
125:X2インターフェイス
130:ベースステーション/eNodeB
132:無線リンク欠陥(RLF)指示
140:ユーザ装置(UE)
140a:UEの移動
141:無線リンク欠陥(RLF)
142:RLFレポート
160a、160b:キーパフォーマンス指標(KPI)メッセージ
260a、260b、260c:キーパフォーマンス指標(KPI)メッセージ
320:ベースステーション/eNodeB
326:データ処理ユニット
328:レポートユニット
410:中央ユニット/オペレーション・アンド・メンテナンスセンター
416:受信ユニット
418:適応ユニット
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4