(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
太陽光を利用して発電を行う太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池内の地絡を検出する地絡検出装置であって、
一方側が大地に接続されていると共に、他方側が前記太陽電池の第1所定箇所に接続可能な第1接地電路と、
一方側が大地に接続されていると共に、他方側が前記太陽電池の第2所定箇所に接続可能な第2接地電路と、
前記第1接地電路上に設けられ、前記太陽電池に分圧抵抗を介さずに第1直流電圧値を印加する第1直流電源と、
前記第1接地電路に流れる電流に関する第1測定値、及び前記第2接地電路に流れる電流に関する第2測定値を測定する測定部と、
前記測定部の動作の制御と、前記測定部により測定された前記第1及び第2測定値に基づく地絡検出と、を実施する制御部と、を備え、
前記制御部は、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池に前記第1接地電路を接続させ、前記第1直流電源により前記第1直流電圧値を前記太陽電池の負極の電位が大地電位以上となるように分圧抵抗を介さずに前記太陽電池に印加させ、この状態で前記測定部により前記第1測定値を測定させる第1測定処理と、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池に前記第2接地電路を接続させ、前記第2接地電路上に設けられた第2直流電源により第2直流電圧値を前記太陽電池の正極の電位が大地電位以下となるように分圧抵抗を介さずに前記太陽電池に印加させ、この状態で前記測定部により前記第2測定値を測定させる第2測定処理と、
測定させた前記第1及び第2測定値に基づいて地絡の検出を行う地絡検出処理と、を実行すること、と特徴とする地絡検出装置。
前記太陽電池の前記第1所定箇所と前記第2所定箇所とは、少なくとも前記太陽電池の定格出力想定時における電位が互いに等しいこと、を特徴とする請求項1又は2記載の地絡検出装置。
太陽光を利用して発電を行う太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池内の地絡を検出する地絡検出装置であって、
一方側が大地に接続されていると共に他方側が前記太陽電池の所定箇所に接続可能とされ、少なくとも第1直流電圧値と第2直流電圧値を生成し前記太陽電池に対して分圧抵抗を介さずに出力する直流電圧生成部と、
前記所定箇所から大地に流れる電流に関する第1及び第2測定値を測定する測定部と、
前記測定部と前記直流電圧生成部の動作の制御、及び前記測定部により測定された測定結果に基づく地絡検出を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池に前記直流電圧生成部を接続させ、前記直流電圧生成部により前記第1直流電圧値を前記太陽電池の負極の電位が大地電位以上となるように分圧抵抗を介さずに前記所定箇所に印加させ、この状態で前記測定部により前記第1測定値を測定させる第1測定処理と、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池に前記直流電圧生成部を接続させ、前記直流電圧生成部により前記第2直流電圧値を前記太陽電池の正極の電位が大地電位以下となるように分圧抵抗を介さずに前記所定箇所に印加させ、この状態で前記測定部により前記第2測定値を測定させる第2測定処理と、
測定させた前記第1及び第2測定値に基づいて地絡の検出を行う地絡検出処理と、を実行することを特徴とする地絡検出装置。
太陽光を利用して発電を行う太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池内の地絡を検出する地絡検出方法であって、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池の第1所定箇所と大地との間において前記太陽電池に対して分圧抵抗を介さずに、前記太陽電池の負極の電位が大地電位以上となるように第1直流電圧値を印加し、この状態で前記第1所定箇所と大地との間を流れる電流に関する第1測定値を測定する第1測定ステップと、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池の第2所定箇所と大地との間において前記太陽電池に対して分圧抵抗を介さずに、前記太陽電池の正極の電位が大地電位以下となるように前記第1直流電圧値とは異なる第2直流電圧値を印加し、この状態で前記第2所定箇所と大地との間を流れる電流に関する第2測定値を測定する第2測定ステップと、
測定した前記第1及び第2測定値に基づいて地絡を検出する地絡検出ステップと、を備えたことを特徴とする地絡検出方法。
太陽光を利用して発電を行う太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池内の地絡を検出するための地絡検出プログラムであって、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池の第1所定箇所と大地との間において前記太陽電池に対して分圧抵抗を介さずに、前記太陽電池の負極の電位が大地電位以上となるように第1直流電圧値を印加させ、この状態で前記第1所定箇所と大地との間を流れる電流に関する第1測定値を測定させる第1測定機能と、
大地に対し絶縁化された前記太陽電池の第2所定箇所と大地との間において前記太陽電池に対して分圧抵抗を介さずに、前記太陽電池の正極の電位が大地電位以下となるように前記第1直流電圧値とは異なる第2直流電圧値を印加させ、この状態で前記第2所定箇所と大地との間を流れる電流に関する第2測定値を測定させる第2測定機能と、をコンピュータに実行させること、を特徴とする地絡検出プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、地絡検出装置1は、太陽光発電システム100において太陽電池110内の地絡を検出するものである。そこで、まず、この太陽光発電システム100について説明する。
【0026】
太陽光発電システム100は、太陽光エネルギを利用して発電を行う発電システムであり、太陽電池110としての太陽電池アレイ101と、パワーコンディショナ(負荷装置)102と、を備えている。太陽電池アレイ101は、太陽光エネルギを電気エネルギへ変換し、直流出力としてパワーコンディショナ102へ供給する。太陽電池アレイ101は、複数の太陽電池ストリング103が並列接続されて構成されている。つまり、太陽電池アレイ101においては、第1〜第n太陽電池ストリング103
1〜103
nが並列接続されている(nは2以上の整数:ここではn=3)。
【0027】
複数の太陽電池ストリング103のぞれぞれは、複数(ここでは、10個)の太陽電池モジュール104が直列接続されて構成されている。これら複数の太陽電池ストリング103の正極及び負極は、集約され並列接続されて正極母線及び負極母線が構成され、当該正極母線及び負極母線は、パワーコンディショナ102に接続されている。
【0028】
パワーコンディショナ102は、太陽電池アレイ101から供給された直流出力を交流出力に変換し、この交流出力を後段の電力系統(例えば商用電力系統)へ供給する。パワーコンディショナ102は、トランス絶縁型とされており、太陽電池110を接地電位である大地Gと切り離して絶縁化させる絶縁化部としての絶縁トランス102aを有している。なお、パワーコンディショナ102は、トランスレス(非絶縁)型とされていてもよく、この場合、絶縁トランス102aとは別の他の絶縁化部が太陽光発電システム100に設置される。
【0029】
このパワーコンディショナ102は、太陽電池アレイ101の最大出力が得られるよう太陽電池アレイ101の動作電圧を制御する動作電圧制御機能と、電力系統の異常が検知された場合に安全にシステム停止する等の系統保護機能と、を有している。ここでは、太陽光発電システム100に生じる過電圧を大地Gへ逃がすためのサージアブソーバ102bを、系統保護機能として有している。
【0030】
サージアブソーバ102bは、正極側設定電位及び負極側設定電位が設定されており、太陽電池110の正極側が正極側設定電位以上となったとき、大地Gと接続してその過電圧を大地Gへ逃がすと共に、太陽電池110の負極側が負極側設定電位以下となったとき、大地Gと接続してその過電圧を大地Gへ逃がす。
【0031】
図2,3は、地絡検出方法の原理を説明するための図である。
図2,3に示すように、本実施形態では、例えば太陽電池110内の地絡箇所Tで地絡が発生している場合、以下の原理により地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
L(地絡位置,漏れ電圧値)をも検出する。
【0032】
すなわち、まず、例えばパワーコンディショナ102の絶縁トランス102aによって太陽電池110を大地Gに対し絶縁化する。絶縁化された太陽電池110の所定箇所(第1及び第2所定箇所)Oを、電圧源(第1及び第2直流電源,直流電圧生成部)111を介して大地Gに接地する。そして、第1直流電圧値V
1を印加して第1電流値I
1を測定する。また、第2直流電圧値V
2を印加して第2電流値I
2を測定する。
【0033】
第1及び第2直流電圧値V
1,V
2は、互いに異なる2種の印加電圧である。抵抗22は、電圧源111の大地G側に設けられている。ここでは、一般化のため、
図2中の抵抗22と
図3中の抵抗22とは、互いに異なる抵抗値R
d1,R
d2を有するものとする。第1及び第2直流電圧値V
1,V
2は、抵抗22と電圧源111との間にB点を設定し、太陽電池110と電圧源111との聞にA点を設定したとき、B点に対するA点の電位とされている。なお、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2は、電圧源111が抵抗22の大地G側に設けられた場合(電圧源111及び抵抗22の配置が逆の場合)、電圧源111と大地Gとの間の点に対するB点の電位とされる。
【0034】
第1及び第2電流値I
1,I
2は、大地Gから太陽電池110に向って流れ電圧源111を通過する電流である。地絡箇所Tの電位V
Lは、電圧印可点である所定箇所Oに対する地絡箇所Tの電位である。
【0035】
ここで、キルヒホッフの法則より、下式(2),(3)が成立する。よって、測定した第1及び第2電流値I
1,I
2を下式(2),(3)に代入することで、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lを求められることとなる。
R
L=(V
1−V
2)/(I
1−I
2)−(R
d2×I
2−R
d1×I
1)/(I
1−I
2)
…(2)
V
L=(V
1・I
2−V
2・I
1+I
1・I
2×(R
d2―R
d1))/(I
1−I
2) …(3)
【0036】
なお、R
d1=R
d2=R
dの場合、上式(2)は下式(2)’に簡略化でき、上式(3)は下式(3)’に簡略化できる。
R
L=(V
1−V
2)/(I
1−I
2)−R
d …(2)’
V
L=(V
1・I
2−V
2・I
1)/(I
1−I
2) …(3)’
【0037】
図1に戻り、本実施形態の地絡検出装置1は、測定部2と、演算制御部(制御部,コンピュータ)3と、記憶部4と、を備えている。測定部2は、解列された太陽電池ストリング103について地絡検出のための測定を行うものである。この測定部2は、第1接地電路21A、第1抵抗22A、第1直流電源23A及び第1電流計24Aを含む第1測定系20Aと、第2接地電路21B、第2抵抗22B、第2直流電源23B及び第2電流計24Bを含む第2測定系20Bと、を有している。
【0038】
第1接地電路21Aは、その一方側が大地Gに接続されている。また第1接地電路21Aは、その他方側が太陽電池アレイ101の正極側とパワーコンディショナ102との間の電路に接続可能とされている。具体的には、第1接地電路21Aの他方側は、第1スイッチ部25Aを介して、太陽電池アレイ101の正極母線に接続されている。
【0039】
第1スイッチ部25Aは、太陽電池アレイ101に対する第1接地電路21Aの電気的な接続/非接続を切り替えるものである。第1スイッチ部25Aとしては、FET(電界効果トランジスタ,Field Effect Transistor)等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。この第1スイッチ部25Aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じてオンオフを切り替える。
【0040】
第1抵抗22Aは、第1接地電路21A上において第1スイッチ部25Aと大地Gとの間に設けられている。この第1抵抗22Aの抵抗値R
dは、地絡発生時の安全性の観点から所定下限値以上とされ、且つ、後述する測定値の測定容易性の観点から所定上限値以下とされている(以下の抵抗において同様)。
【0041】
第1直流電源23Aは、第1接地電路21A上において第1スイッチ部25Aと第1抵抗22Aとの間(第1抵抗22Aよりも太陽電池アレイ101側)に設けられている。つまり、第1直流電源23Aは、その負極側としての一方側が第1抵抗22Aに接続され、その正極側としての他方側が第1スイッチ部25Aを介して太陽電池アレイ101の正極側の第1所定箇所O1に接続されている。この第1直流電源23Aは、太陽電池アレイ101の正極側に対し正電圧の直流電圧(DC電圧)を印加する。ここでは、第1直流電源23Aは、第1直流電圧値V
1の直流電圧を印加する。
【0042】
第1直流電圧値V
1は、地絡検出の感度向上の観点から所定下限値以上とされ、且つ、測定対象の太陽電池回路を破損防止する観点から所定上限値以下とされている(以下の直流電圧値において同様)。この第1直流電源23Aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて第1直流電圧値V
1を印加し、また、印加する直流電圧値V
1を記憶部6に記憶する。
【0043】
第1電流計24Aは、第1接地電路21A上において第1抵抗22Aと大地Gとの間に設けられている。この第1電流計24Aは、第1接地電路21Aにて第1抵抗22Aを介して流れる漏れ電流値としての第1電流値(第1測定値)I
1を測定する。また、第1電流計24Aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて第1直流電圧値V
1の測定を実行し、その測定結果を記憶部4に記憶する。第1電流計24Aとしては、例えばホール素子を利用した直流零相電流検出器等が用いられる。
【0044】
他方、第2接地電路21Bは、その一方側が大地Gに接続されている。また第2接地電路21Bは、その他方側が太陽電池アレイ101の正極側とパワーコンディショナ102との間の電路に接続可能とされている。具体的には、第2接地電路21Bの他方側は、第2スイッチ部25Bを介して、太陽電池アレイ101の正極母線に接続されている。
【0045】
第2スイッチ部25Bは、太陽電池アレイ101に対する第2接地電路21Bの電気的な接続/非接続を切り替えるものである。第2スイッチ部25Bとしては、上記第1スイッチ部25Aと同様に、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。この第2スイッチ部25Bは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じてオンオフを切り替える。
【0046】
第2抵抗22Bは、第2接地電路21B上において第2スイッチ部25Bと大地Gとの間に設けられている。この第2抵抗22Bの抵抗値は、上記第1抵抗22Aと等しい抵抗値R
dとされている。
【0047】
第2直流電源23Bは、第1接地電路21B上において第2スイッチ部25Bと第1抵抗22Bとの間(第1抵抗22Bよりも太陽電池アレイ101側)に設けられている。つまり、第2直流電源23Bは、その負極側としての一方側が第2抵抗22Bに接続され、その正極側としての他方側が第2スイッチ部25Bを介して太陽電池アレイ101の正極側の第2所定箇所O2に接続されている。この第2直流電源23Bは、太陽電池アレイ101の正極側に対し正電圧の直流電圧(DC電圧)を印加する。ここでは、第2直流電源23Bは、第2直流電圧値V
2の直流電圧を印加する。
【0048】
第2直流電圧値V
2は、上記第1直流電圧値V
1とは異なる電圧値とされている。この第2直流電源23Bは、演算制御部3に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて第2直流電圧値V
2を印加し、また、印加する直流電圧値V
2を記憶部4に記憶する。
【0049】
第2電流計24Bは、第2接地電路21B上において第2抵抗22Bと大地Gとの間に設けられている。この第2電流計24Bは、第2接地電路21Bにて第2抵抗22Bを介して流れる漏れ電流値としての第2電流値(第2測定値)I
2を測定する。また、第2電流計24Bは、演算制御部5に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて第2直流電圧値V
2の測定を実行し、その測定結果を記憶部4に記憶する。第2電流計24Bとしては、上記第1電流計24Aと同様に、例えばホール素子を利用した直流零相電流検出器等が用いられる。
【0050】
なお、太陽電池110において、第1直流電源23Aから第1直流電圧値V
1が印加される電圧印可箇所としての第1所定箇所O1と、第2直流電源23Bから第2直流電圧値V
2が印加される電圧印可箇所としての第2所定箇所O2とは、同一の結線上位置しており、少なくとも太陽電池110の定格出力想定時において電位が互いに等しくなっている。換言すると、第1及び第2所定箇所O1,O2は、設計上の電位が互いに等しくされている。
【0051】
図4は、
図1の地絡検出装置の演算制御部を示す機能ブロック図である。
図1,4に示すように、演算制御部3は、地絡検出装置1全体を制御するためのもの(コンピュータ)である。ここでの演算制御部3は、後述の地絡検出プログラムを実行し、測定部2による測定及び記憶、測定結果に基づく演算、地絡箇所Tにおける絶縁抵抗値及び電位の検出、並びに地絡存否の判定を実施する。この演算制御部3は、測定部2及び記憶部4に接続されている。演算制御部3としては、CPU(Central Processing Unit)により構成してもよいし、アナログIC回路やPLD(Programmable Logic Device)回路により構成してもよい。
【0052】
この演算制御部3は、第1スイッチ部25Aを制御して太陽電池アレイ101に対する第1接地電路21Aの接続を制御する第1接続制御機能と、第1直流電源23Aを制御して太陽電池アレイ101へ直流電圧値V
1の直流電圧を印加させる第1直流電圧印加機能と、第1電流計24Aを制御して第1電流値I
1を測定させる第1電流測定機能と、を第1測定機能として有している。
【0053】
また、演算制御部3は、第2スイッチ部25Bを制御して太陽電池アレイ101に対する第2接地電路21Bの接続を制御する第2接続制御機能と、第2直流電源23Bを制御して太陽電池アレイ101へ直流電圧値V
2の直流電圧を印加させる第2直流電圧印加機能と、第2電流計24Bを制御して第2電流値I
2を測定させる第2電流測定機能と、を第2測定機能として有している。
【0054】
また、演算制御部3は、測定状況や測定結果及び演算結果を記憶部4に記憶する記憶機能を有している。さらに演算制御部3は、記憶部4に記憶された測定結果に基づき演算を実施し、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lを検出すると共に地絡の有無を検出(判定)する地絡検出機能を有している。
【0055】
図1に示すように、記憶部4は、演算制御部3が実行する地絡検出プログラム、測定部2による測定結果、及び演算制御部3による演算結果及び検出結果を記憶するための記録媒体である。なお、記憶部4としては、半導体メモリや磁気記憶装置等を用いることができる。また、記憶部4に地絡検出プログラムの全部又は一部が記憶されていない場合には、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)に地絡検出プログラムの全部又は一部を記憶し、これを読み込むことにより演算制御部3にて地絡検出に係る処理を実行させてもよい。
【0056】
次に、上述した地絡検出装置1により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、
図5に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0057】
太陽光発電システム100の通常発電時では、地絡検出装置1において第1及び第2スイッチ部25A,25Bをオフとし、接地電路21A,21Bを太陽電池アレイ101と非接続にしている。そして、太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、演算制御部3により各種機能を実行して以下の動作を実施する。
【0058】
すなわち、まず、第1スイッチ部25Aをオンとし、第1接地電路21Aを太陽電池アレイ101の正極側と接続すると共に、第2スイッチ部25Bをオフのままとし、第2接地電路21Bを太陽電池アレイ101の正極側と非接続にする(S1)。これと共に、第1直流電源23Aにより、太陽電池アレイ101の正極側に正電圧の第1直流電圧値V
1を印加する(S2)。この状態で、第1接地電路21Aにて流れる第1電流値I
1を電流計24Aにより測定し、記憶部6に記憶する(S3)。
【0059】
続いて、第1スイッチ部25Aをオフとし、第1接地電路21Aを太陽電池アレイ101の正極側と非接続にすると共に、第2スイッチ部25Bをオンとし、第2接地電路21Bを太陽電池アレイ101の正極側と接続する(S4)。これと共に、第2直流電源23Bにより、太陽電池アレイ101の正極側に正電圧の第2直流電圧値V
2を印加する(S5)。この状態で、第1接地電路21Bにて流れる第2電流値I
2を電流計24Bにより測定し、記憶部6に記憶する(S6)。
【0060】
続いて、第1及び第2電流値I
1,I
2の変化に基づいて、地絡の有無を判定する。すなわち、上式(2)により第1及び第2電流値I
1,I
2から絶縁抵抗値R
Lを演算し検出する(S7)。また、上式(3)により第1及び第2電流値I
1,I
2から地絡箇所Tの電位V
Lを演算し検出する(S8)。
【0061】
そして、演算した絶縁抵抗値R
Lと、予め記憶部6に記憶されている基準抵抗値とを比較し、太陽電池アレイ101の地絡判定を行う(S9)。具体的には、絶縁抵抗値R
Lが基準抵抗値よりも小さい場合、「地絡あり」と判定する一方、絶縁抵抗値R
Lが基準抵抗値以上の場合、「地絡無し」と判定する。
【0062】
以上、本実施形態では、直流電圧を太陽電池110に印加するため、第1及び第2電流値I
1,I
2の測定ひいては地絡の検出に対し、誘電損失による悪影響が及ぶのを抑制することができる。さらに、地絡検出にDPSを用いる必要がなく、第1及び第2電流値I
1,I
2の測定及び処理を容易且つ安価に行うことが可能となる。
【0063】
従って、本実施形態によれば、低コストで精度よく地絡を検出することが可能となる。また、地絡を検出するに当たって短絡動作が必要とされず、安全性を高めることも可能となる。さらには、例えば零相電流検出法による地絡検出の場合のように、地絡検出に事故電流の発生が前提となっていないため、当該事故電流の発生を抑制することが可能となる。
【0064】
特に本実施形態では、地絡検出に際して、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2を太陽電池110に印加して第1及び第2電流値I1,I2を測定している、つまり、2種の直流電圧を太陽電池110に印加して2つの測定値を測定している。そのため、上式(2),(3)に示すように、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lを未知数とし第1及び第2電流値I
1,I
2に基づき演算することで、地絡箇所Tの電位V
Lによらずに絶縁抵抗値R
Lを検出できるだけでなく、当該電位V
Lをも確実に検出することが可能となる。また、このように太陽電池110に2種の直流電圧を印加できると、太陽電池110の対地電位を自在に制御することができ、より確実に地絡検出をすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上述したように、第1直流電源23Aで第1直流電圧値V
1を太陽電池110に印加した状態で、第1抵抗22Aに流れる第1電流値I1を第1測定値として測定し、第2直流電源23Bにより第2直流電圧値V
2を太陽電池110印加した状態で、第2抵抗22Bに流れる第2電流値I
2を第2測定値として測定している。このように、第1及び第2抵抗22A,22Bを介在させることで、過電流により太陽電池110が損傷するのを抑制することができる共に、第1及び第2測定値を容易に測定することが可能となる。
【0066】
また、上述したように、直流電圧を印加する第1及び第2所定箇所O1,O2は、太陽電池110の定格出力想定時における電位が互いに等しくされている。よって、第1及び第2所定箇所O1,O2の電位を考慮せずに(上式(2),(3)に第1及び第2所定箇所O1,O2の電位がパラメータとして含まれることなく)、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lを算出して検出することが可能となる。
【0067】
また、太陽電池110の一部に影が差した場合、設計上の電位(定格出力想定時電位)が同じ箇所であっても、これらの箇所の電位に差異が生じることがある。これに対し、本実施形態では、上述したように、太陽電池110における第1及び第2所定箇所O1,O2が同一の結線上に位置していることから、太陽電池110の出力状況によらず第1及び第2所定箇所O1,O2は概ね同電位に維持されるため、太陽電池110の出力状況によらずに、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lを正確に検出することが可能となる。
【0068】
ところで、上式(2)による絶縁抵抗値R
Lの検出を精度よく行うためには、第1及び第2電流値I
1,I
2が互いに異符号であることが好ましい。異符号であれば、I
1−I
2は、実質的に絶対値の加算となるため、演算に伴う桁落ち(丸め誤差をもつ数値同士が減算を行った場合に有効数字が減少する現象)によって検出感度(検出精度)が低下することを回避できる。また、演算に伴う桁落ちによる精度低下以外に、I
1,I
2の差の絶対値が小さいと、ノイズの影響によって精度低下し易いという問題もある。
【0069】
図6(a)に示すように、桁落ちによる検出感度低下を地絡箇所Tによらず実現するためには、第1直流電圧値V
1印加時に太陽電池110全体が大地電位以上となり、第2直流電圧値V
2印加時に太陽電池110全体が大地電位以下となることが好ましい。よって、下式(4),(5)を満たすことが好ましい。
V
1=V
b+V
s/2 V
2=V
b−V
s/2 …(4)
|V
1−V
2|=V
s …(5)
但し、
V
b:電圧印可箇所である所定箇所O
1,O
2の、太陽電池110の中点に対する電位
V
s:太陽電池110の極問電圧値
【0070】
一方、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2の差が極端に大きい場合、太陽電池110に対地高電位が発生し、短絡等した場合に大電流が流れる虞がある。太陽電池110が異常な高電位となることを避けるために、一般的に太陽光発電システム100にはサージアブソーバ102bが設置されている場合が多い。すなわち、太陽電池110正極及び太陽電池110負極は、その対地電位の絶対値が太陽電池110の極間電圧値V
sを大きく超えないように保護されている場合が多い。具体的には、太陽電池110の極間電圧値V
sの2倍程度の動作閾値を有するサージアブソーバ102bを選定して、太陽電池110正極−大地G間及び太陽電池110負極−大地G間に設置することによって、太陽電池110正極の対地電位の絶対値又は太陽電池110負極の対地電位の絶対値が、太陽電池110の極間電圧V
sの2倍程度を超えると、サージアブソーバ102bを通して電流が大地Gに流れ、対地電位の絶対値がそれ以上大きくならないように対策がとられていることが多い。この場合、サージアブソーバ102bが動作しない太陽電池110正極の対地電位の上限は2×V
s程度であり、下限は−V
s程度となり、地絡検出の際にはこの範囲で太陽電池110を変動させる必要がある。従って、印加する直流電圧値の差|V
1−V
2|は、最大でも3×V
s程度以下とすることが好ましい。
【0071】
これに対し、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2を小さくし、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2の差を小さくすることで、対地高電位の発生を回避することができるが、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2の差が極端に小さい場合、上述した検出感度低下が問題になる。この点、第1及び第2直流電圧値V
1,V
2の差に極間電圧値V
sの半分程度を確保できると、検出感度低下には問題が実質的に生じないことが見出される。従って、検出感度低下の懸念を抑制しつつ対地高電位の発生を抑制するためには、下式(6)を満たすことが好ましい。
1/2・|V
s| ≦ |V
1−V
2| ≦ 3×|V
s| … (6)
【0072】
例えば、極間電圧値V
sが300Vの太陽電池110の中点に、第1及び第2直流電圧値として±150Vを印加したときには
図6(a)に示す状態となり、検出感度低下の懸念がない。また、第1及び第2直流電圧値として±100Vを印加した場合、
図6(b)に示す状態となり、V
1−V
2=200Vとなるため、V
s(300V)と比較して極端に低いとは言えず、検出感度低下を懸念する必要性は低い。これに対し、第1及び第2直流電圧値として±10Vを印加した場合、V
1−V
2=20Vとなるため、V
s(300V)と比較して著しく低く、検出感度低下が懸念される。
【0073】
他方、例えば対地高電位の発生の懸念が少ない場合には、
図7(a)に示すように、太陽電池110の負極の電位が大地電位以上となるよう第1直流電圧値V
1を印加し、太陽電池110の正極の電位が大地電位以下となるよう第2直流電圧値V
2を印加することにより、検出感度をさらに高くすることも可能である。
【0074】
パワーコンディショナ102がトランスレス(非絶縁)型の場合、絶縁化処理として太陽電池−パワーコンディショナ102間の解列、パワーコンディショナ102−電力系統間の解列、及びパワーコンディショナ102の停止のうち、少なくとも1つを実施することが必要である。絶縁化処理として、太陽電池110−パワーコンディショナ102間の解列を実施した場合、サージアブソーバ102bの動作が地絡検出を妨げる虞は無い。しかし、太陽電池110−パワーコンディショナ102間を解列しない場合には、後述するように直流電圧印加によってサージアブソーバ102bが動作し、正確な測定を行うことができない虞がある。
【0075】
また、パワーコンディショナ102が絶縁トランス付(絶縁型)の場合、太陽電池110は絶縁化されているため、特段の絶縁化処理は不要である。しかしこの場合にも、次のように、パワーコンディショナ102に設けられたサージアブソーバ102bが動作し正確な測定を行うことができない虞がある。すなわち、パワーコンディショナ102にサージアブソーバ102bが設けられていて、太陽電池110とパワーコンディショナ102を接続したまま地絡検出を試みると、直流電圧印加時にサージアブソーバ102bが作動して電圧が大地Gへ逃げることがあり、正確な測定を行うことができない虞がある。
【0076】
これに対して、太陽電池110の正極の電位がサージアブソーバ102bの正極側設定電位V
Lp以下となるよう第1直流電圧値V
1を印加し、太陽電池110の負極の電位がサージアブソーバ102bの負極側設定電位V
Ln以上となるよう第2直流電圧値V
2を印加すると(下式(7)〜(9)を満たすことにより)、サージアブソーバ102bを作動させずに第1及び第2電流値I
1,I
2を精度よく測定することができる。
V
c=(V
Lp+V
Ln)/2 …(7)
V
1=V
c+V
b+V
S/2 …(8)
V
2=V
c+V
b−V
S/2 …(9)
【0077】
なお、サージアブソーバ102bに代えて若しくは加えて、別のサージアブソーバが例えば接続箱(不図示)内に設けられている場合もある。このように複数のサージアブソーバを備えた場合には、これら複数のサージアブソーバの中での最も低い正極側設定電位が基準とされると共に、最も高い負極側設定電位が基準とされる。
【0078】
このように、本実施形態では、印加する第1及び第2直流電圧値V
1,V
2の設定によって、検出感度向上させて使用することも、太陽電池110への負担を極力抑えつつ使用することも可能であり、様々な用途で広く使用することが可能である。
【0079】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0080】
図8は、第2実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。
図8に示すように、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、測定部2(
図1参照)に代えて測定部202を備えた点である。
【0081】
測定部202は、その第1接地電路21Aの他方側が、太陽電池ストリング103
1の中点である第1所定箇所O1に接続されている。具体的には、第1直流電源23Aの負極側としての一方側が、第1スイッチ部25Aを介して太陽電池ストリング103
1の中点である第1所定箇所O1に接続されている。なお、第1直流電源23Aの正極側としての他方側は、第1抵抗22Aに接続されている。
【0082】
この第1接地電路21Aは、第1抵抗22Aで生じる第1電圧値(第1測定値)を測定するための第1電圧計26Aを有している。第1電圧計26Aは、第1直流電源23Aと第1抵抗22Aとの間、及び第1抵抗22Aと大地Gとの間に接続されている。この第1電圧計21Aは、演算制御部3に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて第1電圧値の測定を実行する。
【0083】
また、測定部202は、その第2接地電路21Bの他方側が、太陽電池ストリング103
2の中点である第2所定箇所O2に接続されている。具体的には、第2直流電源23Bの正極側としての一方側が、第2スイッチ部25Bを介して太陽電池ストリング103
2の中点である第2所定箇所O2に接続されている。なお、第2直流電源23Bの負極側としての他方側は、第2抵抗22Bに接続されている。
【0084】
この第2接地電路21Bは、第2抵抗22Bで生じる第2電圧値(第2測定値)を測定するための第2電圧計26Bを有している。第2電圧計26Bは、第2直流電源23Bと第2抵抗22Bとの間、及び第2抵抗22Bと大地Gとの間に接続されている。この第2電圧計21Bは、演算制御部3に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて第2電圧値の測定を実行する。
【0085】
以上、本実施形態においても、低コストで精度よく地絡を検出するという上記作用効果が奏される。また、本実施形態では、第1及び第2直流電源23A,23Bが低電圧の直流電圧を印加する場合でも、「太陽電池110の最低電圧>接地電位」及び「太陽電池110の最高電位<接地電位」という状態を容易に発生させることができる。さらに、本実施形態においては、これらの状態を実現させるために必要な第1及び第2直流電源23A、23Bに求められる電圧の絶対値を小さくできるという利点がある。
【0086】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点を主に説明する。
【0087】
図9は、第3実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。
図9に示すように、本実施形態が上記第2実施形態と異なる点は、複数の太陽電池ストリング103がその中点で互いに電気的に接続されていると共に、測定部202(
図8参照)に代えて測定部302を備えた点である。
【0088】
測定部302は、その第1及び第2接地電路21A,21Bの他方側が、複数の太陽電池ストリング103において互いに接続された中点である所定箇所Oに接続されている。具体的には、第1直流電源23Aの負極側としての一方側及び第2直流電源23Bの正極側としての一方側が、第3スイッチ部25Cを介して所定箇所Oに接続されている。第3スイッチ部25Cは、c接点スイッチであり、所定箇所Oを第1直流電源23A又は第2直流電源23Bの何れかに択一的に接続する。
【0089】
以上、本実施形態においても、低コストで精度よく地絡を検出するという上記作用効果が奏される。また、本実施形態では、複数の太陽電池ストリング103のうち一部が解列しても、太陽電池110の地絡検出が可能となる。さらに、一部の太陽電池ストリング103が太陽電池アレイ101から解列されてしまった場合、上記第1実施形態では中点への電圧印加が不可能になる虞があるが、本実施形態では当該虞が無く、中点への電圧印加を確実に行うことが可能となる。
【0090】
[第4実施形態]
次に、
参考例である第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0091】
図10は、第4実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。
図10に示すように、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、測定部2(
図1参照)に代えて測定部402を備えた点である。
【0092】
測定部402は、太陽電池アレイ101の正極と負極とを2つの抵抗28A,28Bで分圧した所定箇所Oに接続されている。抵抗28A,28Bは、互いに等しい抵抗値R
divとされている。この測定部402では、第1直流電源23Aの負極側としての一方側及び第2直流電源23Bの正極側としての一方側が、第3スイッチ部25Cを介して所定箇所Oに接続されている。一方、第1直流電源23Aの正極側としての他方側及び第2直流電源23Bの負極側としての他方側は、互いに接続され、当該接続点Kは、抵抗値R
dの抵抗29を介して大地Gに接続されている。
【0093】
第3スイッチ部25Cは、c接点スイッチであり、所定箇所Oを第1直流電源23A又は第2直流電源23Bの何れかに択一的に接続する。電圧計26は、接続点Kと抵抗29との間、及び抵抗29と大地Gとの間に接続されている。この電圧計26は、演算制御部3に接続されており、演算制御部3からの指示信号に応じて、抵抗29で生じる第1電圧値(第1測定値)V
d1又は第2電圧値(第2測定値)V
d2を測定する。
【0094】
このような本実施形態では、演算制御部3において、測定部402で測定された第1及び第2電圧流値V
d1,V
d2が下式(10)〜(13)に基づいて演算され、地絡箇所Tの絶縁抵抗値R
L及び電位V
Lが求められる。
R
L=(V
2−V
1)/(I
2−I
1)−R
d−R
div/2 …(10)
V
L=(I
1・V
2−I
2・V
1)/(I
2−I
1) …(12)
I
1=V
d1/R
d 、 I
2=V
d2/R
d …(13)
【0095】
以上、本実施形態においても、低コストで精度よく地絡を検出するという上記作用効果が奏される。また、本実施形態では、複数の太陽電池ストリング103のうち一部が解列しても、太陽電池110の地絡検出が可能となる。
【0096】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0097】
例えば、上記第2実施形態の測定部202は、
図11(a)、(b)に例示する構成としてもよく、また、上記第3及び第4実施形態の測定部302、402は、
図11(c)、(d)に例示する構成としてもよい。
図11(a)〜(d)は変形例に係る測定部の一状態をそれぞれ示す図である。
図11に示すように、変形例に係る測定部202、302、402は、直流電圧Vを印加する直流電源(第1及び第2直流電源,直流電圧生成部)23Cと、電圧計26と、抵抗29を一つのみ備えており、測定部202はスイッチ部25Dを、測定部302、402はスイッチ部25Eを備えている。
【0098】
測定部202において、スイッチ部25Dは、
図11(b)に示すように、そのスイッチ素子を図示する状態へ切り替えることにより、直流電源23Cの負極側としての一方側を抵抗29に接続すると共に、直流電源23Cの正極側としての他方側を所定箇所O2に接続する。これにより、正電圧の直流電圧Vが所定箇所O2に印加される。同様に、測定部302,402において、スイッチ部25Eは、
図11(c)に示すように、そのスイッチ素子を図示する状態へ切り替えることにより、直流電源23Cの負極側としての一方側を抵抗29に接続すると共に、直流電源23Cの正極側としての他方側を所定箇所Oに接続する。これにより、正電圧の直流電圧Vが所定箇所Oに印加される。
【0099】
他方、測定部202において、スイッチ部25Dは、
図11(a)に示すように、そのスイッチ素子を図示する状態へ切り替えることにより、直流電源23Cの負極側としての一方側を所定箇所O1に接続すると共に、直流電源23Cの正極側としての他方側を抵抗29に接続する。これにより、負電圧の直流電圧Vが所定箇所O1に印加される。同様に、測定部302,402において、スイッチ部25Eは、
図11(d)に示すように、そのスイッチ素子を図示する状態へ切り替えることにより、直流電源23Cの負極側としての一方側を所定箇所Oに接続すると共に、直流電源23Cの正極側としての他方側を抵抗29に接続する。これにより、負電圧の直流電圧Vが所定箇所Oに印加される。
【0100】
このようにスイッチ回路25D(25E)を備えた構成を採用することにより、1つ直流電源23Cの接続変更で第1及び第2電圧流値V
d1,V
d2を測定することができる。
【0101】
また、上記実施形態は、第1接地電路21A上に設けられた第1直流電源23Aと第2接地電路21B上に設けられた第2直流電源23Bとを備えているが、これらの何れか一方のみを備えていてもよい。具体的には、例えば
図12に例示されるように、第2接地電路21B上に第2直流電源23B(
図1参照)が設けられておらず、第2接地電路21Bを太陽電池アレイ101に接続した場合に直流電圧が印加されない(換言すると、0Vの直流電圧値が印加される)構成としてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、太陽電池アレイ101の正極側に第1及び第2接地電路21A,21Bを接続可能としたが、太陽電池アレイ101の負極側に第1及び第2接地電路21A,21Bを接続可能としてもよい。この場合、太陽電池アレイ101に対地高電位が発生するのを好適に抑制するために、負電圧の直流電圧を印加するように第1及び第2直流電源23A,23Bそれぞれを第1及び第2接地電路21A,21B上に設けることが好ましい。
【0103】
また、上記実施形態では、第1接地電路21Aを太陽電池アレイ101に接続し第1電流値I
1を測定した後(上記S1〜S3)、第2接地電路21Bを太陽電池アレイ101に接続して第2電流値I
2を測定した(上記S4〜S6)が、第2接地電路21Bを太陽電池アレイ101に接続して第2電流値I
2を測定した後、第1接地電路21Aを太陽電池アレイ101に接続し第1電流値I
1を測定してもよい。
【0104】
なお、上記実施形態では、電流計24A,24Bにより「電流値に関する測定値」として第1及び第2電流値I
1,I
2を直接測定したが、これに限定されず、例えば、電圧計等を用いて抵抗22A,22Bの電圧値を測定してもよく、この場合には、当該電圧値が「電流値に関する測定値」に相当する。
【0105】
また、上記実施形態は、上記第1及び第2接地電路21A,21Bと同様な接地電路をさらに備えてもよい、すなわち、異なった3種類以上のDC電圧を太陽電池アレイ101に順次印加し、当該DC電圧印加時それぞれの漏れ電流値の変化を検知して地絡検出してもよい。
【0106】
また、上記所定箇所O1,O2については、同一結線上又は同電位上に存在することに限定されず、太陽電池110(太陽電池アレイ101)に電気的に接続される何れかの箇所であればよい。また、上記所定箇所O1,O2は、同一結線上の同一の所定箇所Oであってもよい。すなわち、所定箇所Oと第1直流電源23A及び第2直流電源23Bとを、c接点スイッチを介して接続可能な構成にし、所定箇所Oを第1直流電源23A又は第2直流電源23bの何れかに択一的に接続できるようにしてもよい。この場合、スイッチの数を軽減し回路構成を単純化できると共に、第1直流電源23A及び第2直流電源23Bの両方を太陽電池110に接続してしまうという誤動作を防止可能となる。
【0107】
また、上記実施形態では、負荷装置としてパワーコンディショナ102を備えているが、負荷装置は、電力を消費又は変換するものであればよく、コンバータや蓄電池等の直流負荷であってもよい。ちなみに、上記の「等しい」は、略等しいを含んでおり、製造上、設計上及び計測上のばらつきや誤差を許容するものである。上記において、第1直流電源23Aと第2直流電源23Bとが直流電圧生成部を構成すると捉えてもよいし、電圧源111が第1及び第2直流電源を構成すると捉えてもよいし、直流電源23Cが第1及び第2直流電源を構成すると捉えてもよい。