(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記傾斜手段が、前記ムービングブロックの前記可動接点盤との対向部に設けられた傾斜面であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載のプッシュスイッチ。
前記姿勢変化手段が、前記ストッパにおける前記可動接点盤の前記ムービングブロックとの対向面に当接し前記傾斜手段による傾斜とは異なる角度に延びる端縁であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載のプッシュスイッチ。
前記可動接点盤が、前記ムービングブロックとの当接面を有するベースと、該ベースに取り付けられて前記固定接点に対応する方向に延びる弾性金属製の可動接点板を有して、
該可動接点板に前記可動接点が設けてあることを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載のプッシュスイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態を示す断面図である。
図1は、とくにブレーキペダルに適用した場合における、ブレーキ解除状態のブレーキペダル側部材によってプッシュロッドがケーシング内に押し込まれた初期状態を示している。
プッシュスイッチ1は、プッシュロッド2を保持するほか、可動接点板50を保持する可動接点盤40、ムービングブロック60、固定接点板31をケーシング10内に収納して構成される。
ケーシング10は第1ケース11と第2ケース24からなり、第1ケース11は金属製又は樹脂製で主としてプッシュロッド2を収容し、第2ケース24は樹脂製で可動接点盤40と固定接点板31を収容するとともに、コネクタ部を形成している。
なお、以下では便宜上、第1ケース11側を上方、第2ケース24側を下方として説明する。
【0011】
プッシュロッド2は、先端を第1ケース11の上端から外部へ突出可能とされる丸軸状の操作部3とその根元(ケーシング10内側)に同軸に形成されて操作部3よりも大径のつば部4とからなる。つば部4の下端面には緩球面の突部5を設けてある。
なお、このプッシュスイッチ1は、ケーシング10に押し込まれたプッシュロッド2を突出させることによりONするタイプのスイッチである。
【0012】
第1ケース11は、第2ケース24に被さる嵌め合い部12の上壁14から筒部13を突出させた外観を有し、筒部13の外周には取付けナット用のねじを形成してある。
嵌め合い部12は断面が略四角形で、対向する側壁15a、15bには第2ケース24に設けられた爪30と係合する係合穴16を設けてある。また、嵌め合い部12の上壁14には段部21が形成してある。
筒部13内には、先端に開口してプッシュロッド2の操作部3をガイドする第1穴17と、第1穴17に連通してつば部4を収容する第2穴18とが形成され、嵌め合い部12に連通している。操作部3はつば部4が第1穴17と第2穴18の段差部に当接するまで筒部13から突出可能である。
【0013】
図2に示すように、嵌め合い部12の上壁14には第2穴18の開口を挟んで2枚の所定長さのリブ状のストッパ20が軸方向下方に延びている。ストッパ20は第2穴18の直径線上に位置して、後述する円盤部42の外周上面46に対向するように設定してある。ストッパ20の並び方向は後述の接点収容室Rsにおける固定接点33の並びと平行に設定されている。
なお、以下では第1穴17、第2穴18をスライドするプッシュロッド2の中心線を軸線(または軸心)Sと呼び、位置関係を説明する際の参照基準とする。
【0014】
図1に戻って、第2ケース24は、第1ケース11側に開口する接点収容室Rsと、第1ケース11とは反対側に開口するコネクタ部としてのレセプト凹部Rrを備えている。
接点収容室Rsは横断面が四角形で、側壁25a、25bには前述の爪30が設けてある。
接点収容室Rsの底壁26には、プッシュロッド2の軸線S上に相当する中心に後述する第1コイルスプリング7の一端(下端)を受ける突起状のスプリング受け27が設けられるとともに、第2コイルスプリング8の一端(下端)を受けるリング溝状のスプリング受け28がスプリング受け27と同心に設けられている。
【0015】
底壁26にはさらに、固定接点板31がモールドされている。固定接点板31の一端はレセプト凹部Rrへ延び、その先端はコネクタ端子32となっており、他端は分岐して接点収容室Rsの側壁25c内を上端近傍まで延びたあと、互いに接近方向に曲がり、プッシュロッド2の軸線Sを挟んだ両側において面が軸線Sに対して垂直な固定接点33として接点収容室Rs内に露出する。
図1には片側の固定接点33のみを示し、途中経路は省略している。
【0016】
底壁26にはまた、通電板35がモールドされ、その一端はレセプト凹部Rrへ延びてコネクタ端子36となっており、他端は接点収容室Rsの側壁25aの内面沿いに接点収容室Rsの軸方向中間位置まで延びて、後述する可動接点盤40の舌片53と接触する舌片接触部37となっている。
舌片接触部37と舌片53の接触範囲を確保するため、底壁26には舌片接触部37の内側面(軸心S側)に沿って掘り下げた凹部29が形成され、凹部29内まで舌片接触部37の内側面を露出させている。
【0017】
舌片接触部37は底壁26から軸線Sと平行に立ち上がった下平行部37aと、これに続く傾斜部37bを経て外方へオフセットし再び軸線Sと平行になっている上平行部37cとを有している。
なお、第1ケース11と第2ケース24との軸方向位置決めは、第1ケース11の係合穴16と第2ケース24の爪30の係合、および第1ケース11の段部21と第2ケース24の側壁25cの当接により行われる。
【0018】
接点収容室Rs内では、中心に貫通穴44を備える可動接点盤40が第2コイルスプリング8の他端(上端)に支持されて上方へ付勢され、ムービングブロック60が可動接点盤40の貫通穴44を貫通する第1コイルスプリング7の他端(上端)に支持されて上方へ付勢されている。
プッシュロッド2はその初期状態において、操作部3の先端がケーシング10の筒部13の先端と一致する位置にあって、つば部4の突部5がムービングブロック60を押し下げ、これにより、上方へ付勢されている可動接点盤40はムービングブロック60に当接している。
【0019】
図3は可動接点盤40の斜視図である。
可動接点盤40は、ベース41と、可動接点板50と、押さえ部材57とからなる組立体である。
ベース41は樹脂または金属製で、円盤部42を主体とし、その一部を外方に拡大して形成した可動接点板支持部43を備える。
円盤部42は中心に貫通穴44を有し、貫通穴44の穴縁からは下方に筒部45(後掲の
図6参照)がフランジ状に突出している。円盤部42の下面は筒部45で位置決めした第2コイルスプリング8の上端を受けるスプリング受けとなる。
円盤部42の外周上面46は貫通穴44の中心に関し径方向所定幅の平滑な平面をなし、円盤部42の外周上面46から筒部45へ移る角部は滑らかな円弧曲面となっている。円盤部42に連なる可動接点板支持部43の上面も同一平面上にある。
【0020】
可動接点板支持部43の外形は円盤部42の直径線を2分線としてこれに直角な両方向に延びた長方形で、円盤部42側の辺は仮想的に貫通穴44の穴縁近傍を通る。可動接点板支持部43の長手方向両端部には、可動接点板50取付けのための丸突起47(
図1、
図6参照)が形成してある。
【0021】
可動接点板50は、可動接点板支持部43の長手方向と同長の基部51の両端から2本の脚部52が延びた基本形がコ字形の弾性金属板から成形される。基部51の2本の脚部52の間からはさらに脚部52と比較して小サイズの複数(ここでは3本)の舌片53が平行に延びている。
舌片53は根元から下方斜めに曲げられ、可動接点板50はこの舌片53が外方に向かうようにベース41に取り付けられる。
脚部52はその外側辺が基部51の長手方向に対して垂直であるが、基部51側の根元が広幅で、先端が細幅となっている。
脚部52は根元で円盤部42側へ折り返されて、外側辺を基部51の長手方向に対して垂直に保持しながら基部51の上方を斜め上方に延びるように設定してあり、先端には上面となる側に可動接点55を備えている。
【0022】
なお、基部51の中間部は、円盤部42の上述した外周上面46を露出させるため、2分線の両側にわたる所定範囲を円盤部42側から切り欠いて細幅となっている。円盤部42の外周上面46の露出部分はムービングブロック60との当接部となる。
基部51の両端部には可動接点板支持部43の丸突起47に対応する丸穴56が設けられており、丸穴56を丸突起47に押し込むことにより可動接点板50がベース41に対して位置決めされる。
【0023】
可動接点板支持部43の中間部には、押さえ部材57が取り付けられている。押さえ部材57は、取付け基部58と、取付け基部58から可動接点板支持部43の長手方向両側に延びるとともに可動接点板50の脚部52の折り返し部よりも高い位置までオフセットされた後、円盤部42側へ互いに平行に、かつベース41の上面と平行に延びるアーム部59とからなる。
ベース41、可動接点板50および押さえ部材57は、それぞれ可動接点板支持部43、基部51および取付け基部58に形成された互いに整合する不図示のリベット穴を通して、リベット48により一体に結合されている。
【0024】
アーム部59の先端は、円盤部42の中心を通り可動接点板支持部43の長手方向と平行な直線よりも手前で終わっており、可動接点板50の折り返し部から斜め上方に延びる脚部52を押さえて、当該脚部52を円盤部42の上面と平行に近い姿勢に保持している。この状態でアーム部59の先端は脚部52の可動接点55よりも手前の部位に当接している。
【0025】
図4はムービングブロック60を示し、(A)は上方からの斜視図、(B)は下方からの斜視図である。
ムービングブロック60は樹脂または金属製で、可動接点盤40と当接可能な接点盤連係部61と、接点盤連係部61とつながったガイド部62とからなる。
ガイド部62は可動接点板支持部43と同程度の長さを有し、その両端部に軸線Sと平行に下方へ延びてムービングブロック60を上下方向にガタなくガイドするレール63を備えている。接点盤連係部61はガイド部62の中間位置から延びる形態となっている。
【0026】
接点盤連係部61は、ガイド部62のレール63に挟まれた中間と同じ厚さのブロックベース65と、ブロックベース65から下方に延びる突出軸部66とからなる。ブロックベース65のガイド部62から遠い先端部は軸心Sを中心として円盤部42の外周上面46と重なる外径の円筒面67をなしているが、ガイド部62に連なる側壁はガイド部62に対して垂直の面で切り落とされて2面幅形状を呈する平面部68となっている。この側壁の切り落としは第1ケース11のストッパ20の通過スペースを確保するためである。
接点盤連係部61(ブロックベース65)とガイド部62の上面は面一で、軸線Sに垂直な平滑な平面となっている。
【0027】
突出軸部66はブロックベース65の平面部68間の距離(2面幅)と同等の径を有し、この径は可動接点盤40の貫通穴44よりわずかに小さい。突出軸部66の下端面には凹部が開口して第1コイルスプリング7の上端を受けるスプリング受け69(
図6参照)となっている。
突出軸部66のブロックベース65につながる上部にはガイド部62から遠い側と近い側とにそれぞれ張り出し部70、71が設けられている。
【0028】
ガイド部62から遠い側の張り出し部70はブロックベース65の円筒面67と面一につながって、円筒面67と同一外径を有し、周方向は当該円筒面67とほぼ同じ長さとなっている。
ガイド部62に近い側の張り出し部71は軸心Sを挟んで遠い側の張り出し部70と対称位置に、遠い側の張り出し部70と同一外径および同一周方向長さをもってブロックベース65の下面から膨出した形態となっている。
ここで、両張り出し部71、70の下端面は、ガイド部62側で高く、ガイド部62から離れるほど低くなるように傾斜した共通の一平面(傾斜面)上にあるように設定してある。
なお、突出軸部66における張り出し部70、71間の周壁はわずかに削られて小径となっている。
【0029】
図5は、接点収容室Rs内に配置した可動接点盤40とムービングブロック60を軸方向から見た図に、第1ケース11のストッパ20を重ねて示したものである。
ケーシング2の接点収容室Rsには、可動接点盤40のベース41における可動接点板支持部43とムービングブロック60のガイド部62とが軸心(S)を挟んで対向するように配置され、ムービングブロック60はそのレール63が接点収容室Rsに形成されたガイド溝にそってスライドすることにより、軸線Sと平行に上下移動可能となっている。
ストッパ20は、ムービングブロック60の平面部68に沿ったスペースを通過して、可動接点盤40の円盤部42の外周上面46に対向している。
【0030】
前述のように、プッシュロッド2の突部5がムービングブロック60の上面に当接する。(
図1参照)
初期状態では、ムービングブロック60がプッシュロッド2で押さえられるとともに、可動接点盤40が第2コイルスプリング8で上方に付勢されているので、
図6に示すように、ムービングブロック60の突出軸部66の先端が可動接点盤40における円盤部42の貫通穴44に進入する一方、円盤部42の外周上面46が突出軸部66の張り出し部70、71に当接している。張り出し部70、71の下端面が傾斜しているので、可動接点盤40はムービングブロック60に対して傾斜状態、したがって軸線Sに対しても傾斜状態となっている。
【0031】
図7は、可動接点盤40のとくにベース41とストッパ20との関係を示す。簡単化のため、ベース41は外観を実線で示し、可動接点板50、押さえ部材57は仮想線で示している。
図8の上段においても同様である。
初期状態ではベース41の円盤部42とストッパ20とは離間している。
円盤部42に対向するストッパ20の下端縁は軸線Sに対して垂直に設定してある。
【0032】
なお、
図1において、ムービングブロック60と可動接点盤40については、軸線Sから左半部に軸線Sを通る断面を示し、右半部に可動接点板50の脚部52を通る断面を示している。後掲の
図8の下段においても同様である。
図1に示すように、可動接点盤40の舌片53がその先端を通電板35の舌片接触部37の下平行部37aに接触させて、これにより可動接点55とコネクタ端子36を電気的に接続している。舌片53は、可動接点盤40の移動の間、常時舌片接触部37に接触して、この電気的接続を保持する。
初期状態において、下方位置にある可動接点盤40の可動接点55は接点収容室Rsの上端に位置する固定接点33から離間している。
また、第2コイルスプリング8の上端の着座面(スプリング受け)は可動接点盤40の傾斜により傾いているので、第2コイルスプリング8の付勢力には可動接点盤40を回転させようとする成分を含んでいる。
【0033】
つぎに、以上の構成になるプッシュスイッチ1の作動について説明する。
まず、
図1の初期状態において、プッシュロッド2は、押し込まれて操作部3の先端が筒部13の先端と面一になっているが、第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8によりムービングブロック60とさらに可動接点盤40を介して、筒部13から突出方向に付勢されている。したがって、プッシュロッド2を押し込んでいたブレーキペダル側部材がブレーキペダル踏み込みにより押し込み方向と逆方向に変位すると、これに追随して操作部3の先端(上端)がケーシング2の筒部13先端から突出するとともに、つば部4の突部5が上方に退避する。
図6に示したように、可動接点盤40は第2コイルスプリング8の付勢力により突出軸部66の張り出し部70、71に円盤部42を当接させた傾斜状態で、ムービングブロック60と一体となって、ムービングブロック60の上面を突部5に押し付けたまま上方に移動する。ムービングブロック60の上面を突部5に押し付ける力には第1コイルスプリング7の付勢力も加わっている。
【0034】
図8の(A)は、プッシュロッド2の操作部3が筒部13から長さX1だけ突出し、可動接点盤40とムービングブロック60が追随し上昇して、可動接点盤40の可動接点55が固定接点33に接触した瞬間の状態を示す。
なお、
図8において上段は
図7と同様にベース41とストッパ20との関係を示し、下段は可動接点盤40およびムービングブロック60の動きを示す。
可動接点55と固定接点33の接触により、舌片接触部37、舌片53、可動接点55および固定接点33を介してコネクタ端子36、32間が導通開始してプッシュスイッチ1はONとなる。
可動接点盤40はまだ傾斜状態である。舌片53は通電板35の舌片接触部37上をスライドして、その先端が下平行部37aから傾斜部37b(
図1参照)への移行点に移動している。
【0035】
また、ストッパ20はこの位置で先端の角が可動接点盤40のベース41(円盤部42)の外周上面46に当接するように、その所定長さを設定してある。ストッパ20が当接する部位は、ベース41の外周に沿ってムービングブロック60の両張り出し部70、71に当接している部位間の中間となる。
そして可動接点55を支持する可動接点板50の脚部52は押さえ部材57のアーム部59から離れることになる。
【0036】
プッシュロッド2がさらに突出して操作部3の突出長さがX2になると、ムービングブロック60は第1コイルスプリング7でプッシュロッド2に追随して上昇する。
そして、
図8の(B)に示すように、ベース41におけるストッパ20の角に当接していた部位はストッパ20で止められたまま、ムービングブロック60の上昇にしたがって、可動接点盤40は第2コイルスプリング8の付勢力、とくに回転させようとする成分により、ベース41(円盤部42)における下端面が低い張り出し部70に押し下げられていた側が上がるように回転する。
図8の(B)では、可動接点盤40のベース41が軸線Sに対して垂直になるまで回転し、ストッパ20の下端全縁と当接した状態を示している。
この際、可動接点盤40から延びる舌片53の先端は舌片接触部37の傾斜部37bを外方へ滑るので、舌片53による突っ張りが可動接点盤40の回転に影響を与えないようになっている。
【0037】
固定接点33に接触している可動接点55は、この回転により固定接点33に対して摺動変位する。この変位量は従来のばね部材に設けた可動接点が固定接点に接触したあとばね部材の単純な撓みのみにより生じる変位量より大きい。
さらに、可動接点板50の脚部52はアーム部59によってあらかじめ初期撓みを与えて所定の反力をもたせてあるので、可動接点55と固定接点33間には接触と同時に上記反力に対応する初期圧から開始する高い接圧が生じる。
【0038】
以上のように、可動接点55と固定接点33が接触したまま大きく相対的に摺動変位すること、および可動接点55と固定接点33間の接圧が高いことにより、両接点33、55間に格段のワイピングが作用するので、両接点の接触面に生じ得る炭化物などの異物が有効に除去される。また、可動接点55と固定接点33との接触時に接圧が高いことにより、接点接触時のふらつきがなくアークの発生を抑制できる。
【0039】
図8の(C)は、プッシュロッド2が、そのつば部4が第1穴17と第2穴18の段差部に当接するまで上昇して、操作部3の筒部13からの突出長さがX3になった状態を示す。
ムービングブロック60は第1コイルスプリング7で付勢されているので、プッシュロッド2に押し付けられたまま上昇し、とくに上段に示されるように、張り出し部70がベース41から離間する。一方、可動接点盤40はそのベース41がストッパ20に当接して軸線Sに対して垂直になった後は上昇を規制される。
すなわち、ムービングブロック60の張り出し部70が可動接点盤40から離間するだけで、可動接点盤40の可動接点55とケーシング10側の固定接点33との接触状態は(B)の状態と同一に保持される。
【0040】
なお、
図8の(A)において、ベース41がストッパ20に当接するのは厳密に可動接点55が固定接点33に接触する瞬間の位置である必要はなく、当該瞬間位置を含む所定範囲の位置で当接するように設定すればよい。
可動接点55が固定接点33に接触する瞬間より前にベース41がストッパ20に当接すれば、可動接点盤40が先に回転を始めるので、可動接点55は摺動方向の変位途中で固定接点33に接触し、接触してからの摺動距離は比較的に短くなる一方、可動接点55が固定接点33に接触した瞬間より後にベース41がストッパ20に当接すれば、接触より遅く摺動が開始するので、ムービングブロック60の退避距離が短いと比較的短い摺動距離で終わることになるから、これらの関係を勘案して、所望の摺動距離が得られるように、所定範囲で設定すればよい。
【0041】
ブレーキ解除でプッシュロッド2が押し込まれるときは上述の過程が逆方向に進み、
図8の(B)から(A)に戻る際に可動接点55と固定接点33の間に再度大きなワイピングが作用する。そして、(A)の状態を過ぎて可動接点55と固定接点33が離間するとプッシュスイッチ1はOFFとなって、最後に
図1の初期状態に戻る。
【0042】
本実施の形態では、第2スプリング8が発明における付勢手段に該当し、ムービングブロック60における張り出し部70、71の傾斜した下端面が傾斜手段に該当する。
また、ストッパ20の可動接点盤40におけるムービングブロック60との対向面に当接し軸線Sに対して垂直に延びる端縁が、姿勢変化手段も構成している。
【0043】
実施の形態のプッシュスイッチは以上のように構成され、可動接点55を備えてプッシュロッド2の軸線Sに沿ってストロークする可動接点盤40と、軸線S上においてストロークし可動接点盤40と当接可能なムービングブロック60と、可動接点盤40とムービングブロック60を互いに当接する方向に付勢する第2スプリング8と、可動接点40が固定接点33と接触する所定位置で可動接点盤40のストロークを阻止するストッパ20とを有し、ムービングブロック60には、可動接点盤40との当接状態において可動接点盤40を軸線Sに関して傾斜状態に保持するように対向部に傾斜面を有する張り出し部70、71が設けられるとともに、ストッパ20の可動接点盤40と当接する端縁を軸線Sに対して垂直に延ばして、ストッパ20によりストロークを阻止されたあとの可動接点盤40が、ムービングブロック60のストロークによる離間に応じて傾斜状態から軸線Sに対して垂直方向に姿勢変化させるものとしたので、固定接点33と可動接点55が接触している期間中において相互の摺動変位がとくに大きく、格段のワイピング作用が得られる。
【0044】
この際、ストロークを阻止されたあとの可動接点盤40の傾斜状態からの姿勢変化は、ストッパ20の端縁の延び方向に可動接点盤40が倣うだけの構成であるから、別途の追加部材などを要しない。
また、プッシュロッド2をムービングブロック60に当接させ、第1スプリング7でプッシュロッド2にムービングブロック60を押し付けるので、プッシュロッド2を伸縮(ケーシングから突出、押し込み)方向に操作することでこれに追従して可動接点盤40とムービングブロック60をストロークさせることができる。
【0045】
とくに、プッシュロッド2と、ムービングブロック60と、可動接点盤40とが当該順番で軸線S方向に並び、第1スプリング7と第2スプリング8とがムービングブロック60と可動接点盤40とを同方向に付勢しているので、プッシュロッドを押し込んで第1スプリング7の圧縮状態で固定接点33と可動接点55を離間させておくことにより、車両用ブレーキスイッチに好適な押し込み解除によりプッシュロッドを突出させてONするタイプを実現している。
【0046】
可動接点55、固定接点33およびストッパ20が、それぞれ軸線Sを挟んで両側に配置してあるので、多重化による高い信頼性と、固定接点33と可動接点55が複数でも常に均等で安定した接触とワイピングが確保される。
【0047】
可動接点盤40は、ムービングブロック60との当接面を有するベース41と、ベース41に取り付けられて固定接点33に対応する方向に延びる弾性金属製の可動接点板50を有して、可動接点板50に可動接点55を設けてあるので、固定接点33と可動接点55間に可動接点板50の弾性による接圧を与えることができる。
とくに、可動接点盤40はさらに押さえ部材57を有して、可動接点板50(脚部52)に初期撓みを与えるので、可動接点55と固定接点33間には接触と同時に初期撓みに基づく初期圧から開始する高い接圧が生じ、両接点33、55間に格段のワイピングが作用する。また、両接点33、55間の接触時にふらつきがなくアークの発生を抑制できる。
【0048】
なお、実施の形態では、ストッパ20をベース41における円盤部42の外周に沿って張り出し部70、71に当接する部位間の中間に当接させるようにし、可動接点55が固定接点33に接触したあとの可動接点盤40の姿勢変化(回転)を実現するため、ストッパ20の端縁にベース41を倣わせるようにしたが、姿勢変化の手段としてはこれに限定されない。
例えば軸心を挟んで、ベース41の張り出し部70に当接する部位側の端部に当接するように配置した第1のストッパと、張り出し部71に当接する部位側の端部に当接するように配置した第2のストッパとに分けて設けてもよい。
あるいはまた、傾斜手段としての張り出し部70、71についても、ムービングブロックではなく、可動接点盤40側に同様のものを設けてもよい。
さらに、姿勢変化の角度についても、ストッパの端縁を軸線Sに対して垂直に延ばすことにより可動接点盤40を垂直姿勢にするものとしたが、所望の摺動変位が得られれば、垂直でなくても傾斜手段による可動接点盤40の傾斜とは異なる角度に変化させれば十分である。
【0049】
また、実施の形態はプッシュロッド2を突出させることによりONするタイプについて説明したが、本発明はこれに限定されず、プッシュロッド2を押し込むことによりONするタイプについても適用可能である。
この場合、ムービングブロック、可動接点盤および第2コイルスプリングの配置を
図1において上下反転するが、第1コイルスプリングはムービングブロックを上向きに付勢するように、実施の形態と同配置にすればよい。なお、プッシュロッドは可動接点盤(ベース)の貫通孔を通してムービングブロックに当接させることができる。
【0050】
なお、実施の形態は、ブレーキペダルに適用されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の分野におけるスイッチに適用可能である。
また、プッシュスイッチを操作する操作部材としてムービングブロック60に当接させたプッシュロッド2を備えるものとしたが、ムービングブロック自体にケーシングから突出する操作部を形成することにより、プッシュロッドを省くこともできる。
その他、各部材の形状、サイズ等は図示のものに限定されず、設置場所や使用態様等に応じて、本発明の作用効果を奏する範囲で任意に設定される。