(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信網を構成するネットワーク装置に関する装置関連情報を、前記ネットワーク装置ごとに監視装置が取得し、当該監視装置が取得した装置関連情報を情報要求装置に提供するようにした通信網監視方法であって、
前記情報要求装置は、前記装置関連情報に基づき前記ネットワーク装置の故障回復措置を図るナレッジシステムであり、
前記監視装置が取得した前記装置関連情報から一定期間ごとの装置関連情報からなる定周期ファイルを生成し、当該定周期ファイルを前記情報要求装置が読み出し可能な定周期ファイルデータベースに格納するステップと、
前記ネットワーク装置に故障が生じた場合に、前記情報要求装置が、故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報が格納された定周期ファイルを、前記定周期ファイルデータベースから検索して直接読み出すステップと、を含むことを特徴とする通信網監視方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オペレーションシステムが、例えば、故障回復措置シナリオにしたがって故障解析を行うナレッジシステムが、ネットワーク装置の各種情報を収集する監視装置を介してネットワーク装置の各種装置関連情報を取得するように構成されている場合、オペレーションシステムでは、例えば以下の手順で各種装置関連情報を取得することになる。すなわち、各ネットワーク装置から逐次各種装置関連情報を取得してデータベースに記憶しておく。そして、ナレッジシステムからの要求に応じて、データベースから指定された期間における装置関連情報を抽出する。ナレッジシステムでは、この抽出された装置関連情報を取得し故障解析を行う。
【0006】
オペレーションシステムでは、このような手順で処理が行われるため、監視装置では、ナレッジシステムから要求がある都度、指定された期間の装置関連情報をデータベースから抽出する処理を行う必要がある。その結果、データベースからの装置関連情報を抽出するための処理の実行に伴い、監視装置に負荷変動が生じ、監視装置が不安定となる可能性がある。また、ナレッジシステムからの要求をうけてデータベースからの抽出を開始するため、応答性の向上が望まれていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、要求された情報を、情報要求装置に対して情報提供する監視装置において、この情報提供を行うことに伴い生じる負荷変動を抑制することの可能な通信網監視システム、監視装置および通信網監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる通信網監視システムは、通信網を構成するネットワーク装置に関する装置関連情報を、前記ネットワーク装置ごとに取得する監視装置(例えば
図1の監視装置2に対応)と、当該監視装置が取得した装置関連情報から所望の装置関連情報を取得する情報要求装置(例えば
図1のナレッジシステム4に対応)と、を備えた通信網監視システム(例えば
図1のネットワーク装置NEに対応)であって、前記監視装置は、通信網を構成する1以上のネットワーク装置それぞれに関する装置関連情報を取得する装置関連情報取得部(例えば
図2のジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28、履歴管理部29、ネットワーク装置(NE)管理部30、
図4のトラヒック収集部45に対応)と、前記情報要求装置が読み出し可能な定周期ファイルデータベース(例えば
図3の定周期ファイルデータベース35に対応)と、前記装置関連情報取得部で取得した装置関連情報から、一定期間ごとの装置関連情報からなる定周期ファイルを生成し、当該定周期ファイルを前記定周期ファイルデータベースに格納する定周期ファイル生成部(例えば
図3の定周期ファイル管理部34に対応)と、を有し、前記情報要求装置は、
前記装置関連情報に基づき前記ネットワーク装置の故障回復措置を図るナレッジシステムであり、前記ネットワーク装置に故障が生じた場合に、故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報が格納され
た定周期ファイルを、前記定周期ファイルデータベースから
検索して直接読み出すようになっていることを特徴としている。
【0009】
このような構成としたため、情報要求装置が装置関連情報の取得を要求した時点で、監視装置は検索などを行う必要がなく、情報要求装置自身が所望とする装置関連情報を読み出すため、監視装置での、装置関連情報を提供することに伴う負荷変動を低減することができるとともに、情報要求装置は、より速やかに装置関連情報を取得することができる。
また、このような構成としたため、ナレッジシステムは、速やかに装置関連情報を取得することができ、その結果、より速やかに故障回復措置を図ることができる。
また、本発明の一態様にかかる通信網監視システムは、前記装置関連情報は1または種別の異なる複数の装置関連情報からなり、前記情報要求装置は特定種別の装置関連情報の取得を繰り返し要求し、前記定周期ファイル生成部は、前記定周期ファイルとして、前記特定種別の装置関連情報からなるファイルを生成することを特徴としている。
このような構成としたため、情報要求装置が繰り返し情報取得を要求する、特定種別の装置関連情報の取得は、情報要求装置が定周期ファイルを読み出すことにより実現することができるため、より効果的に、負荷変動を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の一態様にかかる通信網監視システムは、前記装置関連情報は1または種別の異なる複数の装置関連情報からなり、前記情報要求装置は一定期間における特定種別の装置関連情報の取得を繰り返し要求
することによって前記故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報を取得し、前記定周期ファイル生成部は、前記定周期ファイルとして、前記一定期間と同一期間における前記特定種別の装置関連情報からなるファイルを生成することを特徴としている。
このような構成としたため、情報要求装置が繰り返し情報取得を要求する、一定期間における特定種別の装置関連情報の取得は、情報要求装置が定周期ファイルを読み出すことにより実現することができる。そのため、より効果的に、負荷変動を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の一態様にかかる通信網監視システムは、前記監視装置は、取得した前記装置関連情報が格納される履歴格納部(例えば
図2の履歴データベース26、
図4のトラヒックデータ記憶部45aに対応)と、要求された装置関連情報を前記履歴格納部から抽出する履歴検索部(例えば
図3のナレッジ検索部32に対応)と、を備え、前記定周期ファイル生成部は、前記履歴格納部に格納された装置関連情報から前記定周期ファイルを予め設定したタイミングで生成し、前記情報要求装置は、当該情報要求装置が所望とする装置関連情報を含む定周期ファイルが前記定周期ファイルデータベースに存在するか否かを判定する判定部(例えば
図10のステップS21の処理に対応)を有し、当該判定部で、前記定周期ファイルが存在すると判定されるときには前記定周期ファイルデータベースから前記所望とする装置関連情報を含む定周期ファイルを読み出し、前記判定部で、前記定周期ファイルが存在しないと判定されるときには前記履歴検索部に対して前記所望とする装置関連情報の読み出しを要求し、前記履歴検索部が前記履歴格納部から抽出した装置関連情報を取得することを特徴としている。
このような構成としたため、例えば、定周期ファイルを、監視装置の負荷が比較的少ないタイミングで生成することによって、定周期ファイルの作成に伴う処理負荷変動をより抑制することができる。
【0013】
また、本発明の一態様にかかる監視装置は、通信網を構成するネットワーク装置(例えば
図1のネットワーク装置NEに対応)に関する装置関連情報を、前記ネットワーク装置ごとに取得し、取得した装置関連情報を情報要求装置(例えば
図1のナレッジシステム4に対応)に提供する監視装置であって、通信網を構成する1以上のネットワーク装置それぞれに関する装置関連情報を取得する装置関連情報取得部(例えば
図2のジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28、履歴管理部29、ネットワーク装置(NE)管理部30、
図4のトラヒック収集部45に対応)と、前記情報要求装置が読み出し可能な定周期ファイルデータベース(例えば
図3の定周期ファイルデータベース35に対応)と、前記装置関連情報取得部で取得した装置関連情報から、一定期間ごとの装置関連情報からなる定周期ファイルを生成し、当該定周期ファイルを前記定周期ファイルデータベースに格納する定周期ファイル生成部(例えば
図3の定周期ファイル管理部34に対応)と、を有し、
前記情報要求装置は、前記装置関連情報に基づき前記ネットワーク装置の故障回復措置を図るナレッジシステムであり、前記定周期ファイルデータベースは、前記情報要求装置が、
前記ネットワーク装置に故障が生じた場合に、故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報が格納され
た定周期ファイルを
検索して直接読み出
せるようになっていることを特徴としている。
【0014】
このような構成としたため、監視装置は、情報要求装置が装置関連情報の取得を要求した時点で検索などを行う必要がなく、また、情報要求装置が要求する装置関連情報を読み出すため、監視装置での装置関連情報を提供することに伴う負荷変動を低減することができるとともに、情報要求装置は、より速やかに装置関連情報を取得することができる。
【0015】
また、本発明の一態様にかかる監視装置は、前記装置関連情報は1または種別の異なる複数の装置関連情報からなり、前記定周期ファイル生成部は、前記定周期ファイルとして、前記情報要求装置が繰り返し所望とする特定種別の装置関連情報からなるファイルを生成することを特徴としている。
このような構成としたため、情報要求装置が繰り返し情報取得を要求する、特定種別の装置関連情報の取得は、情報要求装置が定周期ファイルを読み出すことにより実現することができるため、より効果的に、負荷変動を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の一態様にかかる監視装置は、前記装置関連情報は1または種別の異なる複数の装置関連情報からなり、前記定周期ファイル生成部は
、前記情報要求装置が
前記故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報を取得するときに繰り返し所望とする、一定期間における特定種別の装置関連情報からなるファイルを
前記定周期ファイルとして生成することを特徴としている。
このような構成としたため、情報要求装置が繰り返し情報取得を要求する、一定期間における特定種別の装置関連情報の取得は、情報要求装置が定周期ファイルを読み出すことにより実現することができるため、より効果的に、負荷変動を抑制することができる。
【0017】
さらに、本発明の一態様にかかる通信網監視方法は、通信網を構成するネットワーク装置に関する装置関連情報を、前記ネットワーク装置ごとに監視装置が取得し、当該監視装置が取得した装置関連情報を情報要求装置に提供するようにした通信網監視方法であって、
前記情報要求装置は、前記装置関連情報に基づき前記ネットワーク装置の故障回復措置を図るナレッジシステムであり、前記監視装置が取得した前記装置関連情報から一定期間ごとの装置関連情報からなる定周期ファイルを生成し、当該定周期ファイルを前記情報要求装置が読み出し可能な定周期ファイルデータベースに格納するステップと、
前記ネットワーク装置に故障が生じた場合に、前記情報要求装置が、
故障回復措置の手順によって要求される期間に該当する装置関連情報が格納された定周期ファイルを、前記定周期ファイルデータベースから
検索して直接読み出すステップ(例えば
図7のP5の処理に対応)と、を含むことを特徴としている。
【0018】
このような方法を採用することにより、情報要求装置が装置関連情報の取得を要求した時点で、監視装置は検索などを行う必要がなく、情報要求装置自身が、所望とする装置関連情報を読み出すため、監視装置での、装置関連情報を提供することに伴う負荷変動を低減することができるとともに、情報要求装置はより速やかに装置関連情報を取得することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置関連情報を提供する監視装置では、情報要求装置から情報提供が要求された時点で要求された装置関連情報の検索などを行う必要がない。そのため、監視装置での、装置関連情報を提供することに伴う負荷変動を低減することができるとともに、情報要求装置はより速やかに装置関連情報を取得することができる。
特に、情報要求装置が、一定期間における特定種別の装置状態情報の取得を繰り返し要求したり、一定期間における特定種別の装置関連情報の取得を定間隔で繰り返し要求したりする場合には、情報要求装置が取得を要求する一定期間における特定種別の装置関連情報と同一期間における前記特定種別の装置関連情報からなるファイルを作成したり、または、さらにこの定周期ファイルを情報要求装置が取得を要求する定間隔と同一間隔で生成したりすることによって、装置関連情報を提供する側での負荷変動をより効果的に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用したネットワークオペレーションシステム1の一例を示す構成図である。このネットワークオペレーションシステム1は、携帯電話通信網の監視および故障回復措置などを行う。
なお、携帯電話通信網の監視および故障回復措置などを行うネットワークオペレーションシステムにおける、一般的な監視方法および故障回復措置方法、またその構成については説明を省略する。
【0022】
<全体構成>
図1に示すように、ネットワークオペレーションシステム1は、ネットワーク装置NEの監視を行う監視装置(LTE−OPS)2と、表示部および入力部を有するオペレータ操作端末3と、ネットワーク装置NEに生じた故障に対応した故障回復措置を実行するナレッジシステム4と、を含んで構成される。
ここで、ネットワーク装置NEとは、基地局、各種制御装置、交換機など、携帯電話通信網を構成する装置である。
【0023】
監視装置2は、
図1に示すように、各ネットワーク装置NEが発する警報情報などをもとに、これらネットワーク装置NEの監視制御などを行う監視制御部11と、各ネットワーク装置NEのトラヒックデータの管理などを行うトラヒックデータ管理部12と、複数のネットワーク装置NEを一括で制御する場合や、複数のネットワーク装置NEのソフトウェア更新を実施するネットワーク装置一括制御部13と、オペレータ操作端末3とのインターフェース処理を行う操作端末向けアダプタ14と、を含んで構成される。
【0024】
ナレッジシステム4には、ネットワーク装置NE内の機能に故障などが生じた場合に、この故障の原因の解析や故障の回復などを行うための故障回復措置の手順を表す故障回復措置シナリオを実行するアプリケーションプログラムが格納されている。
この故障回復措置シナリオでは、故障が通知されると、故障が生じたネットワーク装置NEや他のネットワーク装置NEに関する各種装置関連情報を取得し、これに基づき故障回復措置を行う。ここでいう装置関連情報とは、例えば、ネットワーク装置NEに生じた故障の内容などを表す警報ジャーナルおよびMN(Minor)警報ジャーナル、ネットワーク装置NEの状態を表す装置状態、トラヒックデータなどである。
【0025】
故障回復措置シナリオでは、例えば、故障の有無を監視するため、所定周期で各ネットワーク装置の装置状態を取得したり、ネットワーク装置NEの故障が検出されたときなどに、過去に同様の故障が生じたときのネットワーク装置NEにおける各種装置関連情報を取得したりする。また、故障発生中のネットワーク装置に対して故障回復措置を行うため、一定間隔で、全ネットワーク装置のMN警報ジャーナルを取得するなど、各ネットワーク装置NEの各種装置関連情報を、定周期で取得したり、指定した期間における装置関連情報を取得したりするようになっている。
ナレッジシステム4は、この故障回復措置シナリオにしたがって、故障回復を行うために必要なネットワーク装置NEの各種装置関連情報を、監視装置2を介して取得し、取得した各種装置関連情報をもとに故障回復措置シナリオにしたがって故障回復措置を行い、故障回復を図る。
【0026】
<監視制御部11の構成>
図2は、監視制御部11の機能構成の一例を示すブロック図である。
監視制御部11は、例えば
図2に示すように、ナレッジアダプタ21、画面表示管理部22、試験呼機能部23、履歴データベース(DB)管理部24、MN履歴データベース(DB)管理部25、履歴データベース(DB)26、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28、履歴管理部29、ネットワーク装置(NE)管理部30、などを含んで構成される。これら各処理部は例えば小型のサーバマシンにそれぞれ搭載され、ネットワークを介して接続されてなる。あるいは1台のサーバマシンに複数の処理部が搭載されてなる。
ナレッジアダプタ21は、ナレッジシステム4向けに必要な、ネットワーク装置NEの装置関連情報を収集する。
【0027】
<ナレッジアダプタ21の構成>
このナレッジアダプタ21は、
図3に示すように、ナレッジジャーナル配信部31、ナレッジ検索部32、ナレッジコマンド制御部33、定周期ファイル管理部34、定周期ファイルデータベース(DB)35を含んで構成される。
ナレッジジャーナル配信部31は、ナレッジシステム4からの要求を受け付け、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28に対して警報ジャーナル、MN警報ジャーナルの取得を行い、取得した検索結果をナレッジシステム4に通知する。
【0028】
ナレッジ検索部32は、検索結果記憶部32aを備えている。ナレッジ検索部32は、ナレッジシステム4からの検索要求を受け付け、
図2の履歴データベース管理部24あるいはMN履歴データベース管理部25、また、
図1のトラヒックデータ管理部12に対して検索要求を行い、要求された検索結果の取得が完了したことをナレッジシステム4に通知する。
【0029】
また、ナレッジ検索部32は、履歴データベース管理部24あるいはMN履歴データベース管理部25、また、
図1のトラヒックデータ管理部12から、それぞれ検索要求で要求された情報を取得し、これを検索結果ファイルとする。さらにナレッジ検索部32は、この検索結果ファイルを特定するタグをファイル名として設定し、これを検索結果記憶部32aに格納する。なお、ナレッジシステム4は、検索結果記憶部32aに格納された検索結果を直接読み出すことができるようになっている。
【0030】
ナレッジコマンド制御部33は、ナレッジシステム4からのネットワーク装置に対する制御要求あるいはネットワーク装置に対する各種装置関連情報の取得要求などを受け付け、
図2のネットワーク装置管理部30に対して、制御・状態取得要求を行って、ネットワーク装置管理部30を介してネットワーク装置NEの制御を行う。また、ネットワーク装置管理部30を介して要求された情報の取得を行い、この取得した情報を、ナレッジシステム4に送信する。
【0031】
定周期ファイル管理部34は、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28、履歴管理部29から一定期間ごとに送信される、この一定期間内に生じた種別ごとの装置関連情報からなる定周期ファイルを作成し、作成した定周期ファイルを定周期ファイルデータベース35に格納する。定周期ファイル管理部34では、受信した装置関連情報を、ナレッジシステム4で要求されるデータ形式に変換し定周期ファイルを生成する。また、定周期ファイルデータベース35は、ナレッジシステム4が直接アクセス可能なデータベースである。
【0032】
ここで、定周期ファイルデータベース35には、装置関連情報の種別ごとに格納領域が設定されている。定周期ファイル管理部34は、装置関連情報の種別に対応した格納領域に生成した定周期ファイルを格納する。また、定周期ファイル管理部34は、定周期ファイルに含まれる装置関連情報を収集した期間を特定する「西暦、月、日、時刻(時、分)」をファイル名として設定する。
【0033】
例えば、「08:00:00〜08:04:59」間における装置関連情報からなる定周期ファイルである場合には、ファイル名として「西暦、月、日、08:00」として設定する。装置関連情報の種別ごとに、定周期ファイルに含まれる装置関連情報の収集期間を設定しておき、ナレッジシステム4側でこれを認識させておくことによって、ナレッジシステム4では、各定周期ファイルに含まれる装置関連情報の収集期間の終了時点を認識できるようになっている。
【0034】
例えば、MN警報ジャーナルの場合には、一定期間、つまり収集期間を例えば「5分」として予め設定しておく。MN警報ジャーナルからなる定周期ファイルのファイル名として「西暦、月、日、08:00」が設定されている場合、MN警報ジャーナルの収集期間は「5分」であるため、この定周期ファイルには、「西暦、月、日」で特定される日の、時刻「08:00:00〜08:04:59」間に生じたMN警報ジャーナルが格納されていることがわかる。
【0035】
また、定周期ファイル管理部34は、定周期ファイルデータベース35に格納されている定周期ファイルの保存時間を監視し、保存時間が予め設定した規定時間、例えば「24時間」に達した定周期ファイルを、定周期ファイルデータベース35から削除する。
なお、この規定時間は「24時間」に限るものではなく任意に設定することができる。規定時間は、例えば、故障回復措置シナリオで取得が要求される過去の定周期ファイルの収集期間に応じて設定すればよい。故障回復措置シナリオにおいて、例えば20時間以前の各種装置関連情報の取得を要求しない構成であれば、定周期ファイルデータベース35における定周期ファイルの保存時間として、「20時間」を設定すればよい。
【0036】
定周期ファイルデータベース35は、定周期ファイル管理部34が管理する定周期ファイルを記憶するためのデータベースである。ナレッジシステム4は、この定周期ファイルデータベース35に格納された定周期ファイルを直接読み出すことができるようになっている。
なお、監視制御部11は、ナレッジアダプタ21の他に、図示しない他のシステム向けに必要な情報を収集し送信する他システム向けアダプタ(図示せず)なども備えている。
【0037】
図2に戻って、画面表示管理部22は、監視制御画面をオペレータ操作端末3に表示する。
試験呼機能部23は、実際に電話・パケット通信ができるかどうかなど、故障原因解析のための試験の実行、管理などを行う。
履歴データベース管理部24は、履歴データベース26に格納された各種装置関連情報のうち、MN警報ジャーナルを除く各種装置関連情報の検索を行う。MN履歴データベース管理部25は、履歴データベース26に格納されたMN警報ジャーナルの履歴検索を行う。
【0038】
ここで、警報ジャーナルとは、ネットワーク装置から送信される装置状態に基づき、ジャーナル管理部27またはMNジャーナル管理部28で生成される情報であって、ネットワーク装置NEに生じた故障の内容、発生日時、などからなる情報である。
警報ジャーナルには、警報レベルが比較的高い警報を表すジャーナルと、警報レベルが比較的低い警報を表すジャーナルとがある。ここでは、警報レベルが比較的高い警報を表すジャーナルを単に警報ジャーナルといい、警報レベルが比較的低い警報を表すジャーナルをMN(Minor)警報ジャーナルという。
【0039】
また、履歴データベース管理部24およびMN履歴データベース管理部25は、ナレッジ検索部32を介してナレッジシステム4から検索要求を受信したとき、指定された情報を履歴データベース26から抽出し、これをナレッジ検索部32に送信する。
ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28は、ネットワーク装置NEから送信される装置状態に基づき、警報レベルの程度を判定し、ネットワーク装置NEに生じた故障の内容、発生日時、などからなる警報ジャーナルまたはMN警報ジャーナルを生成する。
【0040】
また、ジャーナル管理部27は、生成した警報ジャーナルを履歴データベース26に逐次格納する。また、一定期間ごと、例えば「5分」ごとにこの5分間に生じた警報ジャーナルからなるファイルを定周期ファイル管理部34に送信する。
同様に、MNジャーナル管理部28は、生成したMN警報ジャーナルを履歴データベース26に逐次格納する。また、一定期間ごと、例えば5分ごとに、この5分間に生じたMN警報ジャーナルからなるファイルを定周期ファイル管理部34に送信する。
【0041】
なお、履歴データベース26への警報ジャーナルおよびMN警報ジャーナルの格納は、履歴管理部29を介して行われる。
この履歴管理部29は、履歴データベース26への各種装置関連情報の収録処理を行う。具体的には、ネットワーク装置管理部30で管理する各ネットワーク装置NEの装置状態、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28で管理する警報ジャーナル、MN警報ジャーナルなどの各種装置関連情報を、例えば装置関連情報の種別ごとに、時系列に履歴データベース26に格納する。
【0042】
なお、この履歴データベース26での履歴の保持時間は、定周期ファイルデータベースDBにおける定周期ファイルの保持時間よりも長い時間に設定される。例えば、「30日」程度に設定される。また、履歴には、例えば、「西暦、月、日、時刻」が対応付けられ時系列に履歴データベース26に格納される。
ネットワーク装置管理部30は、各ネットワーク装置から送信される各ネットワーク装置の装置状態を管理する。
【0043】
<トラヒックデータ管理部12の構成>
図4は、トラヒックデータ管理部12の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、トラヒックデータ管理部12は、画面表示管理部41、呼処理トラヒック検索部42、ナレッジ向けファイル収集部43、呼処理警報データベース(DB)44、トラヒック収集部45、呼処理警報収集部46を含んで構成される。
画面表示管理部41は、トラヒックデータ検索画面、呼処理警報検索画面を、オペレータ操作端末3の表示部に表示する。
【0044】
呼処理トラヒック検索部42は、後述のトラヒックデータ記憶部45aに格納されたトラヒックデータの検索、および呼処理警報データベース(DB)44に格納された呼処理警報の検索を行う。
ナレッジ向けファイル収集部43は、後述のトラヒックデータ記憶部45aに格納されたトラヒックデータから、ナレッジシステム4が必要とするトラヒックデータを抽出する。具体的には後述のリアルタイムでの履歴データベース26の検索が要求された場合に、要求されたトラヒックデータを抽出し、これをナレッジ検索部32に送信する。また、ナレッジ向けファイル収集部43は、トラヒックデータ記憶部45aに格納されたトラヒックデータから、予め設定された一定時間ごとのトラヒックデータを抽出し、これを定周期ファイルデータベース35に格納する。
【0045】
呼処理警報データベース(DB)44は、呼処理警報を格納するためのデータベースである。
トラヒック収集部45はトラヒックデータ記憶部45aを有する。トラヒック収集部45は、ネットワーク装置NEからトラヒックデータを収集し、収集したトラヒックデータをトラヒックデータ記憶部45aに格納する。このトラヒックデータ記憶部45aでは、例えば「30日」分など、一定期間のトラヒックデータを保持するようになっている。
呼処理警報収集部46は、ネットワーク装置NEから呼処理警報を収集し、収集した呼処理警報を呼処理警報データベース44に格納する。
【0046】
<ネットワーク装置一括制御部13の構成>
図5は、ネットワーク装置一括制御部13の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、ネットワーク装置一括制御部13は、画面表示管理部51と、業務実行部52と、を含んで構成される。
画面表示管理部51は、一括制御画面、シナリオ制御画面を、オペレータ操作端末3に表示する。
業務実行部52は、指定されたネットワーク装置NEに対して、一括制御、シナリオ制御を実行する。
【0047】
<動作>
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
図6は、監視制御部11の要部を示したものである。
MNジャーナル管理部28は、前述のように、各ネットワーク装置NEの装置状態に基づきMN警報ジャーナルを生成し、これを逐次履歴データベース26に格納する。また、一定期間ごと、例えば5分ごとに、この5分間に生じたMN警報ジャーナルを、定周期ファイル管理部34に送信する。定周期ファイル管理部34は、一定期間内に生じたMN警報ジャーナルからなる、定周期ファイルを作成し、これを定周期ファイルデータベース35のMN警報ジャーナル用の記憶領域に格納する。
【0048】
すなわち、
図7に示すように、MNジャーナル管理部28は、一定期間ごと、例えば5分ごとに、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルを、定周期ファイル管理部34に送信する。
図7の場合には、「08:05」(P1)、「08:10」(P3)、「08:15」…、のタイミングで、一定期間内(5分間)に生じたMN警報ジャーナルを送信する。
【0049】
定周期ファイル管理部34では、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルを生成し、これを定周期ファイルデータベース35に格納する(P2、P4)。具体的には、定周期ファイルデータベース35の、MN警報ジャーナル用の定周期ファイルの格納領域に格納する。
このため、定周期ファイルデータベース35には、
図7に示すように「08:00:00〜08:04:59」間に生じたMN警報ジャーナル、「08:05:00〜08:09:59」に生じたMN警報ジャーナル、……、「08:50:00〜08:54:59」間に生じたMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルが5分ごとに格納されていき、以後も、5分ごとに、5分間に生じたMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルが逐次格納されていく。
また、これら定周期ファイルには、ファイル名として、「西暦、月、日、08:00」、「西暦、月、日、08:05」、…、「西暦、月、日、08:50」が設定される。
【0050】
一方、ナレッジシステム4は、所定の故障回復措置シナリオを実行し、故障回復措置シナリオにおいて、定周期データの取得が要求されている場合には、定周期ファイルデータベース35から、該当する定周期ファイルを取得する。例えば、故障回復措置シナリオにおいて定周期データの取得が要求され、時刻「08:00:00〜08:14:59」に生じたMN警報ジャーナルの取得が要求されている場合には、ナレッジシステム4は、定周期ファイルデータベース35の、MN警報ジャーナル用の定周期ファイルの格納領域を参照し、ファイル名から、該当する定周期ファイルを特定する。なお、ナレッジシステム4では、定周期ファイルデータベース35における、各装置関連情報の種別ごとの定周期ファイルの格納領域を、予め認識している。
【0051】
定周期ファイルデータベース35に、
図7に示すように定周期ファイルが格納されている場合、ナレッジシステム4は、ファイル名が、「西暦、月、日、08:00」(つまり、08:00:00〜08:04:59)、「西暦、月、日、08:05」(つまり、08:05:00〜08:09:59)、「西暦、月、日、08:10」(つまり、08:10:00〜08:14:59)である3つの定周期ファイルを、定周期ファイルデータベース35からFTP(File Transfer Protocol)により取得する(P5)。なお、所望のデータを全て取得するまでの繰り返しFTPにより定周期ファイルの取得を行う。これにより、3つの定周期ファイルから、指定された年月日の「08:00:00〜08:14:59」における装置関連情報を取得することができる。つまり、故障回復措置シナリオで要求される期間の装置関連情報を取得することができる。
【0052】
一方、故障回復措置シナリオにおいて、「08:06:00〜08:12:00」の定周期データの取得が要求されている場合には、ナレッジシステム4は、
図7の場合、ファイル名が、「西暦、月、日、08:05」(つまり、08:05:00〜08:09:59)、「西暦、月、日、08:10」(つまり、08:10:00〜08:14:59)の2つの定周期ファイルを、定周期ファイルデータベース35から取得する。これにより、2つの定周期ファイルから、指定された年月日の「08:05:00〜08:14:59」における装置関連情報を取得することができる。このため、ナレッジシステム4では、この2つの定周期ファイルから、指定されている「08:06:00〜08:12:00」における装置関連情報を取得することによって、故障回復措置シナリオで要求される期間の装置関連情報を取得することができる。
【0053】
なお、ここでは、ナレッジシステム4から、MN警報ジャーナルからなる定周期ファイルの取得を指示された場合の動作について説明しているが、警報ジャーナル、トラヒックデータなど他の各種装置関連情報からなる定周期ファイルの取得を要求された場合の動作も同様である。
一方、故障回復措置シナリオにおいて、リアルタイムでの履歴データベース26の検索が要求されている場合には、ナレッジシステム4は、ナレッジ検索部32に対し検索要求を行い、その応答を取得する。なお、ここでいう、リアルタイムでの履歴データベース26の検索とは、検索要求で指定される装置関連情報を、履歴データベース26を検索することにより取得することをいう。
【0054】
例えば、過去に同様の故障が生じたときの、MN警報ジャーナルの発生状況を参照することなどを目的として、故障回復措置シナリオにおいて、リアルタイムでの履歴データベース26の検索が要求され、例えば、10日前に同様の故障が生じた日(「西暦、月、日」)の「08:14:00〜08:19:59」間における、各ネットワーク装置NEのMN警報ジャーナル、装置状態、トラヒックデータの取得が要求された場合には、ナレッジシステム4では、
図8に示す手順で、要求された装置関連情報を取得する。
【0055】
すなわち、ナレッジシステム4は、まず、ステップS1で履歴検索開始要求を、監視制御部11のナレッジ検索部32に通知する。ナレッジシステム4はナレッジ検索部32に対し、この履歴検索開始要求により、検索要求内容として前述の10日前に対応する「西暦、月、日」の「08:14:00〜08:19:59」間に生じた、MN警報ジャーナル、装置状態、トラヒックデータの取得を要求する。
【0056】
これをうけて、ナレッジ検索部32は、履歴データベース管理部24、MN履歴データベース管理部25およびトラヒックデータ管理部12宛に、前述の10日前に対応する「西暦、月、日」の「08:14:00〜08:19:59」間に生じた装置状態、MN警報ジャーナル、トラヒックデータの検索要求を行う。
履歴データベース管理部24は、履歴データベース26を検索し、指定された「西暦、月、日」の「08:14:00〜08:19:59」間における装置状態を抽出する。そして、抽出結果をナレッジ検索部32に送信する。
【0057】
MN履歴データベース管理部25は、履歴データベース26を検索し、指定された「西暦、月、日」の「08:14:00〜08:19:59」間におけるMN履歴ジャーナルを抽出する。そして、抽出結果をナレッジ検索部32に送信する。
一方、トラヒックデータ管理部12は、トラヒックデータ記憶部45aを検索し、指定された「西暦、月、日」の「08:14:00〜08:19:59」間におけるトラヒックデータを抽出する。そして、抽出結果をナレッジ検索部32に送信する。
【0058】
ナレッジ検索部32では、履歴データベース管理部24から送信された装置状態からなる検索結果ファイルを生成し、この検索結果ファイルを特定するタグをファイル名として設定する。そして、この検索結果ファイルを検索結果記憶部32aに格納する。ナレッジ検索部32では、MN履歴データベース管理部25から送信されたMN警報ジャーナル、トラヒックデータ管理部12から送信されたトラヒックデータについても同様に検索結果ファイルをそれぞれ生成し、これら検索結果ファイルを特定するタグをファイル名として設定し、この検索結果ファイルを検索結果記憶部32aに格納する。
【0059】
その後、ナレッジシステム4に、履歴検索開始応答として検索の終了を通知する(ステップS2)とともに、検索要求をうけて抽出した、装置状態、MN警報ジャーナル、トラヒックデータからなる、各検索結果ファイルを特定するタグを通知する。
ナレッジシステム4は、ナレッジ検索部32から通知されたタグに対応する検索結果ファイルを、検索結果記憶部32aからFTPにより取得する(ステップS3)。なお、所望の検索結果ファイルを全て取得するまで繰り返しFTPにより、検索結果ファイルの取得を行う。
【0060】
所定の検索結果ファイルを取得したとき、ナレッジシステム4はナレッジ検索部32に対して履歴検索終了要求を行う(ステップS4)。
ナレッジ検索部32は、履歴検索終了要求が通知されると、検索結果記憶部32aから対応する検索結果ファイルを削除するなどの履歴検索終了時の処理を行い、履歴検索終了応答をナレッジシステム4に通知する(ステップS5)。
これにより、ナレッジシステム4では、所望の期間、つまり、10日前の「08:14:00〜08:19:59」に生じた装置状態、MN警報ジャーナル、トラヒックデータを取得することができる。
【0061】
上述のように、MNジャーナル管理部28では、
図7に示すように、一定期間ごとに、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルを定周期ファイル管理部34に送信しており、これによって、定周期ファイルデータベース35には、一定期間ごとのMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルが格納される。
また、履歴データベース26には、MN警報ジャーナルを含む、各ネットワーク装置NEの各種装置関連情報がそれぞれ時系列に格納されている。
ここで、ある任意の期間におけるMN警報ジャーナルを履歴データベース26から抽出して提供する場合、監視制御部11のMN履歴データベース管理部25が、履歴データベース26に時系列に格納されたMN警報ジャーナルの中から、指定された任意の期間におけるMN警報ジャーナルを検索し抽出する必要がある。
【0062】
このため、監視制御部11では、履歴データベース26の検索と、履歴データベース26からのMN警報ジャーナルの抽出とを行う分、処理負荷が増加することになる。つまり、ナレッジシステム4に対して、任意の期間におけるMN警報ジャーナルを提供するときには、監視制御部11で負荷変動が生じることになる。MN警報ジャーナルを提供する都度、監視制御部11では検索を行う必要があるため、監視制御部11では、MN警報ジャーナルを提供する都度、負荷変動が生じることになる。特に、定期的に情報提供を行う場合には、定常的な負荷となるが、ランダムなタイミングで情報提供を行う場合には、監視制御部11では負荷変動となる。特に、同等のタイミングで情報提供が要求された場合には負荷変動につながることになる。
【0063】
また、ナレッジシステム4からの要求をうけて、監視制御部11では、履歴データベース26の検索を開始するため、監視制御部11での検索およびその抽出が終了するまでの間、ナレッジシステム4では、待ち時間が発生することになる。
これに対し、上述のように、ナレッジシステム4では、故障回復措置シナリオにおいて、MN警報ジャーナルとして、定周期データの取得が要求されている場合には、このMN警報ジャーナルを定周期ファイルデータベース35から取得している。つまり、ナレッジシステム4が、定周期ファイルデータベース35を参照し、MN警報ジャーナル用の格納領域に格納され定周期ファイルのファイル名を参照して、所望とする任意の期間に該当する定周期ファイルを検索し、ナレッジシステム4が該当する定周期ファイルを読み出している。
【0064】
このため、監視制御部11では履歴データベース26からの検索などの処理を行う必要がない。そのため、ナレッジシステム4からの装置関連情報の取得要求に対して、監視制御部11が保持するMN警報ジャーナルを提供する場合であっても、監視制御部11での処理負荷の増加を伴うことなく実現することができる。
したがって、故障回復措置シナリオにおいて、定周期でMN警報ジャーナルの取得を要求する場合には、要求される定周期に対応した一定期間ごとに、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルを予め生成しておくこと、あるいは、少なくとも1つの定周期ファイルのトータルの収集期間が、故障回復措置シナリオにおいて要求される収集期間以上かつ同等程度となるように設定することによって、監視制御部11での負荷変動を伴うことなく、要求されたMN警報ジャーナルを提供することができる。
【0065】
なお、故障回復措置シナリオで要求される一定周期と、定周期ファイルを生成する一定期間とは必ずしも一致する必要はない。上述のように、複数の定周期ファイルによって、故障回復措置シナリオで要求されるMN警報ジャーナルの収集期間を満足するように構成してもよい。
この場合、定周期ファイルデータベース35からのMN警報ジャーナルの読み出しをする際には、ナレッジシステム4側で読み出しを行っているため、定周期ファイルデータベース35から読み出す定周期ファイルの数が増加したとしても監視制御部11での処理負荷変動が生じることはない。しかしながら、定周期ファイルにおける装置関連情報の収集期間を短くすると、その分、監視制御部11で生成する定周期ファイルの数が増加する。つまり、その分、監視制御部11での処理負荷が増加する。よって、定周期ファイルの周期は、定周期ファイルデータベース35から定周期ファイルを読み出す際のナレッジシステム4での処理負荷と、監視制御部11での定周期ファイル作成時の処理負荷と、故障回復措置シナリオで要求される装置関連情報の収集期間などとを考慮して設定すればよい。
【0066】
また、必ずしも、故障回復措置シナリオで要求するMN警報ジャーナルの収集期間よりも、定周期ファイルに格納されるMN警報ジャーナルの収集期間の方が短くなるように、定周期ファイルの一定期間を設定する必要はない。
例えば、故障回復措置シナリオで要求するMN警報ジャーナルの収集期間よりも定周期ファイルに格納されるMN警報ジャーナルの収集期間の方が長い場合であっても、ナレッジシステム4側で定周期ファイルの中の、所望の期間におけるMN警報ジャーナルのみを抽出することで対応することができる。
【0067】
また、上述のように、定周期ファイルは既に生成されているため、ナレッジシステム4では故障回復措置シナリオでの要求にしたがって、所望の定周期ファイルを定周期ファイルデータベース35から読み出すだけでよい。つまり、履歴データベース26からMN警報ジャーナルを検索する場合のように待ち時間が生じることがないため、故障回復措置シナリオによるMN警報ジャーナルの取得要求に対する応答性を向上させることができる。また、ナレッジシステム4からの取得要求に対する応答性を向上させることができるため、ナレッジシステム4では故障解析をより速やかに行うことができ、すなわち、異常の早期発見や異常の早期回復を図ることができる。
【0068】
特に、故障回復措置シナリオの場合には、故障内容によって、収集する装置関連情報の種別や収集期間は異なるものの、故障回復措置シナリオごとに必要とする装置関連情報の種別や収集期間は固定である。したがって、このように、常に一定の種別や収集期間の装置関連情報を要求する故障回復措置シナリオが要求している装置関連情報の種別や収集期間に合わせて定周期ファイルを生成することによって、装置関連情報を効率よく提供することができ、速やかな故障回復を図ることができる。
【0069】
また、このように一定期間におけるMN警報ジャーナルの取得要求に伴う、監視制御部11での処理負荷の増加を抑制することができるため、監視制御部11での処理負荷の変動を抑制することができる。したがって、ネットワークオペレーションシステム1全体の負荷低減およびシステムの安定運用を実現することができる。
また、リアルタイムでの履歴データベース26の検索が要求された場合には、監視制御部11において履歴データベース26などの検索を行う必要があるため、監視制御部11での処理負荷が増加することになる。しかしながら、ナレッジ検索部32では、検索結果ファイルを検索結果記憶部32aに格納するまでの処理を行い、ナレッジシステム4が、この検索結果記憶部32aに格納された検索結果ファイルを読み出す構成としたため、その分、ナレッジ検索部32すなわち監視制御部11の処理負荷の増加を抑制することができる。
【0070】
また、履歴として全ての装置関連情報を、履歴データベース26などに最新の一定期間分(例えば30日分)を保存し、定周期ファイルデータベース35では、最新の保存時間分(例えば24時間分)を保存する構成としている。したがって、仮に故障回復措置シナリオにおいて定周期データでの取得が指示された定周期ファイルが、定周期ファイルデータベース35から既に削除されている場合であっても、履歴データベース26などで記憶している全装置関連情報の履歴から所望の装置関連情報を抽出することができる。
【0071】
なお、上記実施の形態においては、故障回復措置シナリオにしたがって、ナレッジシステム4で各種装置関連情報を収集する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、オペレータ操作端末3での要求に応じて、各種装置関連情報を収集する場合に、オペレータが、所望とする装置関連情報の収集期間などに応じて、定周期ファイルデータベース35からの読み出しと履歴データベース26などの装置関連情報の全履歴を保持する記憶領域からの読み出しとを選択可能に構成することも可能である。このようにすることによって、より速やかに所望の装置関連情報を取得することができる。
【0072】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態におけるネットワークオペレーションシステム1は、一部の処理手順が異なること以外は、上記第1の実施形態におけるネットワークオペレーションシステム1と同一であるので、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態では、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28およびトラヒックデータ管理部12では、定周期ファイル作成用の各種装置関連情報の生成は行わず、履歴データベース26あるいはトラヒックデータ記憶部45aへの各装置関連情報の格納のみを行う。
【0073】
また、ナレッジ検索部32は、上記第1の実施形態と同様に、ナレッジシステム4からの検索要求を受け付け、各部に対して検索要求を行って、ナレッジシステム4から要求された各種装置関連情報からなる検索結果ファイルを生成する。さらに、第2の実施形態におけるナレッジ検索部32は、定周期ファイル作成用の装置関連情報を生成する定周期ファイル生成処理を行う。
【0074】
そして、ナレッジシステム4では、故障回復措置シナリオにしたがって指定された処理を行うが、定周期データの読み出しが指示され、且つ該当する定周期ファイルデータベース35に該当する定周期ファイルが存在しないときには、ナレッジ検索部32に対して、期間と種別とを指定して、装置関連情報の検索を指示する。そして、これにより取得した検索結果ファイルを読み出すことで、所望の装置関連情報を取得する。
【0075】
図9は、ナレッジ検索部32での定周期ファイル生成処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
ナレッジ検索部32では、例えば、
図9に示すように、まず、ステップS11で、予め設定した定周期ファイル作成タイミングであるかを判定する。この定周期ファイル作成タイミングは、監視制御部11の処理負荷が比較的小さい時点に設定される。例えば、いずれのネットワーク装置NEにおいても故障が発生していないときなどに設定される。このネットワーク装置NEにおいて故障が発生しているか否かの判定は、例えば、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28のそれぞれにおいて警報ジャーナルおよびMN警報ジャーナルを監視し、いずれにおいても警報発生と判断されない状態が予め設定された期間以上経過したときに、故障が発生しないと判定し、判定結果を定周期ファイル管理部34に通知する構成とする。そして、定周期ファイル管理部34では、故障が発生していないことが通知されたときに、定周期ファイル作成タイミングであると判定すればよい。また、例えば、ネットワークオペレーションシステム1を利用するユーザ(例えばネットワークオペレーションシステム1を利用いて保守などを行う人間)が比較的少ない時間帯、具体的には、夜間から早朝(22時〜翌7時頃)を、処理不可が比較的小さい時点として用いてもよい。
【0076】
ナレッジ検索部32は、定周期ファイル作成タイミングであると判定されると、ステップS11からステップS12に移行し、定周期ファイルデータベースを参照し、各装置関連情報の種別ごとに、連続した時系列の装置関連情報からなる定周期ファイルが保存期間分(例えば24時間分)格納されているかを判断する。そして、連続した時系列の装置関連情報からなる定周期ファイルが保存期間分格納されていない場合には、ステップS13に移行し、不足している定周期ファイルに該当する、装置種別および期間を指定し、リアルタイムでの検索処理の実行要求を各部に対して行う。つまり、定周期ファイルデータベースに格納されていない定周期ファイルを生成するための装置関連情報を、履歴データベース26あるいは、トラヒックデータ記憶部45aから取得する。
そして、通知された検索結果からなる検索結果ファイルを取得し、これに基づき定周期ファイルを生成し、生成した定周期ファイルを定周期ファイルデータベース35に格納する。そして、処理を終了する。
【0077】
ここで、ネットワーク装置NEの故障は、ランダムに発生する。したがって、定周期ファイル作成用の装置関連情報を取得する目的で、リアルタイムでの検索処理の実行要求を行う場合には、例えば、この実行要求を行った時点から、対応する定周期ファイルを定周期ファイルデータベース35に格納するまでの所要時間が比較的短く、仮にこの定周期ファイル作成用の装置関連情報の取得処理中にネットワーク装置NEに故障が発生したとしても、この故障に伴って実行される故障回復措置シナリオの実行に影響のない時間内に、この定周期ファイル作成用の装置関連情報の取得処理が終了するように、一度の定周期ファイル作成用の装置関連情報の取得処理で生成する定周期ファイルの数を調整するようにすればよい。あるいは、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28において、警報発生と判断したときにこれを定周期ファイル管理部34に通知する構成とし、定周期ファイル管理部34では、警報発生が通知されたときには、実行中の定周期ファイル作成用の装置関連情報の取得処理を中止する構成としてもよい。
【0078】
図10は、ナレッジシステム4での処理手順の一例を示すフローチャートである。
ナレッジシステム4では、
図10のフローチャートに示すように、故障回復措置シナリオにおいて定周期データ読み出しが指示されているときには、まず、指定された装置関連情報の種別および期間を満足する定周期ファイルが、定周期ファイルデータベース35に格納されているかを判断する(ステップS21)。すなわち、定周期ファイルデータベース35の、指定された装置関連情報の種別に対応する格納領域に格納されている定周期ファイルのファイル名から、所望の期間に該当する定周期ファイルを検索する。
【0079】
該当する定周期ファイルが存在する場合には、当該定周期ファイルを、上記第1の実施形態と同様の手順で読み出す(ステップS22)。そして、処理を終了する。
一方、該当する定周期ファイルが存在しない場合には、ステップS23に移行し、リアルタイムでの履歴データベース26の検索処理を行う。すなわち、上記第1の実施形態と同様の手順でナレッジ検索部32に対して検索要求を行い、その応答を検索結果記憶部32aから検索結果ファイルとして取得する。
【0080】
このような構成とすることによって、上記第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができるとともに、この第2の実施形態においては、定周期ファイルの作成を、監視制御部11での処理負荷が少ないタイミングで行うため、監視制御部11での負荷変動をより抑制することができるため、監視制御部11あるいは監視装置2全体の処理が遅くなったりすることを抑制することができる。また、定周期ファイルの作成に伴う処理負荷が増加するが、監視制御部11全体でみれば処理負荷の変動が抑制されるため、この定周期ファイルの作成に要する処理時間を短縮することができる。
【0081】
なお、上記第2の実施形態では、定周期ファイル作成用の装置関連情報の取得処理では、連続した時系列の装置関連情報からなる定周期ファイルが保存期間分(例えば24時間分)格納されているかを判断し、不足している定周期ファイルを取得する構成とした場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、定周期ファイルの代わりとして、リアルタイムでの検索処理の実行により取得した検索結果ファイルを、検索結果記憶部32aにある程度の時間保存しておく構成とし、この検索結果記憶部32aに不足分に対応する検索結果ファイルが格納されている場合には、この検索結果記憶部32aから該当する検索結果ファイルを取得し、この検索結果ファイルから定周期ファイルを作成するようにしてもよい。
【0082】
また、上記第2実施形態では、リアルタイムでの検索処理を実行させることにより、定周期ファイル生成用の装置関連情報を取得する場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、履歴データベース26から一定期間ごとに、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルを抽出し、抽出したMN警報ジャーナルを定周期ファイル管理部34に送信する抽出処理を行う抽出処理部を別途設ける。
【0083】
そして、この抽出手段を、前記定周期ファイル作成タイミングで作動させ、履歴データベース26に格納したMN警報ジャーナルから、一定期間ごとに、この一定期間内に生じたMN警報ジャーナルを抽出し、これを定周期ファイル管理部34に送信する。これによって、定周期ファイルデータベース35に、一定期間内に生じたMN警報ジャーナルからなる定周期ファイルを順次格納する。
このような構成であっても、定周期ファイルを生成することができる。
【0084】
<変形例>
上記実施形態においては、ジャーナル管理部27、MNジャーナル管理部28、履歴管理部29、トラヒック収集部45において、定周期ファイルを生成するための、一定期間ごとに装置関連情報を収集し、これを定周期ファイル管理部34に送信する場合について説明したが、これに限るものではない。
定周期ファイルを生成する装置関連情報の種別は、故障回復措置シナリオにおいて、一定期間における装置関連情報の単位で情報取得が要求される装置関連情報の種別に対応して設定すればよい。また、ネットワーク装置NEごとに定周期ファイルを生成するようにしてもよい。
【0085】
また、定周期ファイルは、必ずしも、警報ジャーナル、MN警報ジャーナル、装置状態、トラヒックデータなどといった装置関連情報の種別単位で生成する必要はない。例えば、装置状態として送信される複数項目のうち、特定の項目のみからなる定周期ファイルを生成するなどしてもよい。
また、必ずしも、定周期ファイルを、故障回復措置シナリオで要求される装置関連情報の種別に対応して設定することはない。例えば、故障回復措置シナリオによって定周期データとして要求される装置関連情報のうち、同一周期で要求される装置関連情報をまとめて1つの定周期ファイルとして生成してもよい。
【0086】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。