(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回動自在に連結された可動側ハウジングおよび固定側ハウジングと、平行に配列された複数本の帯状導体が接続部を除いて一対の絶縁フィルムで被覆されてなり、前記両ハウジング間に画成された環状空間内に巻回状態で収納される平型ケーブルと、この平型ケーブルの前記接続部に接続されると共に外部と電気的に接続されるリードブロックとを備え、前記リードブロックが絶縁性の支持部材に複数本のピン端子を平行に配列させてなり、前記平型ケーブルおよび前記リードブロックが、前記複数本のピン端子と前記複数本の帯状導体とが交差するように重ねられて構成された回転コネクタであって、
前記複数本のピン端子は、前記平型ケーブルの前記接続部に接続される基端部側の接合部と、前記支持部材に嵌入されて保持される嵌合部と、前記支持部材の外壁に当接する規制部と、この規制部から屈曲して前記支持部材の外壁に沿って延びる折曲部と、この折曲部から屈曲して外方へ突出する先端部とを有すると共に、前記嵌合部と前記先端部がそれぞれ前記折曲部の両端から略直交する方向へ突出しており、
前記可動側ハウジングおよび固定側ハウジングの少なくとも一方は、前記リードブロックを収納する収納部を有すると共に、前記複数本のピン端子の先端部側を挿通可能な挿通孔が形成された保持壁部を有し、かつ、前記リードブロックを収納した状態で、前記保持壁部と前記支持部材との間で前記規制部と前記折曲部を挟持するようにしたことを特徴とする回転コネクタ。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリング装置に組み込まれてエアーバッグシステム等の電気的接続手段として使用される回転コネクタには、回動自在に連結された可動側ハウジングと固定側ハウジングとの間に環状空間が画成されており、この環状空間内に平型ケーブル(フラットケーブル)が巻回状態で収納されている。この平型ケーブルの両端部のそれぞれには、外部と電気的に接続するためのリードブロックが接続されている。平型ケーブルの一方の端部に接続されたリードブロックは、ハンドル(ステアリングホイール)と一体的に回転する回転コネクタの可動側ハウジングに取着されており、ハンドル側のエアーバッグシステムやホーン回路等から導出された外部コネクタに接続される。また、平型ケーブルの他方の端部に接続されたリードブロックは、回転コネクタの固定側ハウジングに取着されており、車両本体側の電気装置から導出された外部コネクタと接続される。
【0003】
このように概略構成された回転コネクタにおいて、従来より用いられているリードブロックは、平行に配列された複数本の導体の先端部側の外部接合部と基端部側の内部接合部とを除いて絶縁材で被覆されており、各導体の内部接合部は絶縁材の溶接用孔部に露出する構成となっているため、インサート成形によってリードブロックを製造していた。また、平型ケーブルは両端部に複数本の平行な帯状導体を露出した構成となっており、この平型ケーブルの帯状導体とリードブロックの帯状導体とが交差するように、リードブロックを平型ケーブルの一面に重ね合わせて、帯状導体の露出部分と溶接用孔部に露出する導体とを溶接接続するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、従来の回転コネクタに用いるリードブロックは、複雑構造の金型を必要とするインサート成形によって製造されているため、リードブロックの製造コストが高くなってしまい、回転コネクタを低コスト化するのが困難になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化できる回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明による回転コネクタは、回動自在に連結された可動側ハウジングおよび固定側ハウジングと、平行に配列された複数本の帯状導体が接続部を除いて一対の絶縁フィルムで被覆されてなり、前記両ハウジング間に画成された環状空間内に巻回状態で収納される平型ケーブルと、この平型ケーブルの前記接続部に接続されると共に外部と電気的に接続されるリードブロックとを備え、前記リードブロックが絶縁性の支持部材に複数本のピン端子を平行に配列させてなり、前記平型ケーブルおよび前記リードブロックが、前記複数本のピン端子と前記複数本の帯状導体とが交差するように重ねられて構成された回転コネクタであって、前記複数本のピン端子は、前記平型ケーブルの前記接続部に接続される基端部側の接合部と、前記支持部材に嵌入されて保持される嵌合部と、前記支持部材の外壁に当接する規制部と、
この規制部から屈曲して前記支持部材の外壁に沿って延びる折曲部と、この折曲部から屈曲して外方へ突出する先端部とを有
すると共に、前記嵌合部と前記先端部がそれぞれ前記折曲部の両端から略直交する方向へ突出しており、前記可動側ハウジングおよび固定側ハウジングの少なくとも一方は、前記リードブロックを収納する収納部を有すると共に、前記複数本のピン端子の先端部側を挿通可能な挿通孔が形成された保持壁部を有し、かつ、前記リードブロックを収納した状態で、前記保持壁部と前記支持部材との間で前記規制部
と前記折曲部を挟持するようにした。
【0008】
かかる構成によれば、絶縁性の支持部材に複数本のピン端子を嵌入して保持状態となすことができ、リードブロックを複雑な構造を有する金型でインサート成形する必要がなくなるため、リードブロックのコストを大幅に低減でき、ひいては低コスト化できる回転コネクタを提供できる。また、リードブロックを回転コネクタの収納部に収納した状態で、各ピン端子の規制部
および折曲部が支持部材と保持壁部との間で挟持されるようになっており、各ピン端子に外部コネクタを着脱させる際に、各ピン端子に作用する外力(押し込み力や引っ張り力)を
折曲部と規制部を介して支持部材、保持壁部および収納部の内面などで受け止めることができるため、着脱時の外力によって各ピン端子が支持部材から脱離したり、ピン端子と平型ケーブル(帯状導体)との溶接箇所が剥離するなどして導通不良を生じる虞がなくなり、組み立て作業において問題を生じにくくでき、回転コネクタの信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、上記の回転コネクタにおいて、可動側ハウジングおよび固定側ハウジングの少なくとも一方は、スナップ結合することによって一体化される第1ケース体および第2ケース体を有しており、収納部が第2ケース体に設けられ、挿通孔が第1ケース体に設けられ、これら第1ケース体および第2ケース体によってリードブロックを保持するコネクタ保持部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、可動側ハウジングや固定ハウジングにリードブロックを取り付ける構成を単純化でき、組み立てを容易にすることができる。
【0012】
また、上記の回転コネクタにおいて、支持部材は、複数本のピン端子の先端部側において複数本のピン端子を嵌挿して保持する第1保持部と、複数本のピン端子の基端部側において複数本のピン端子を互いに平行に配列するように保持する第2保持部とを有することが好ましい。かかる構成によれば、各ピン端子を支持部材に嵌入する作業が容易になり、支持部材に対する各ピン端子の取付け強度および取付位置精度を高めることができ、リードブロックを製造する作業を問題なく容易に行うことができる。
【0013】
また、上記の回転コネクタにおいて、支持部材は、第1保持部と第2保持部との間に接合部を配置するように設けた露出孔部と、複数本のピン端子が第1保持部から第2保持部に向けて挿入されるとき、それらピン端子の表面が露出される状態で挿入されようにガイドするガイド溝とを有し、第1保持部の内面に複数本のピン端子の嵌合部が食い込むようにして保持されることが好ましい。かかる構成によれば、支持部材に各ピン端子を取り付ける強度をさらに大きくすることができるので、リードブロックを製造する作業を問題なくさらに容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による回転コネクタは、絶縁性の支持部材に複数本のピン端子を嵌入して保持状態となすことができ、リードブロックを複雑な構造を有する金型でインサート成形する必要がなくなるため、リードブロックのコストを大幅に低減でき、ひいては低コスト化できる回転コネクタを提供できる。また、リードブロックを回転コネクタの収納部に収納した状態で、各ピン端子の規制部
および折曲部が支持部材と保持壁部との間で挟持されており、各ピン端子に外部コネクタを着脱させる際に、各ピン端子に作用する外力(押し込み力や引っ張り力)を
折曲部と規制部を介して支持部材、保持壁部および収納部の内面などで受け止めることができるため、着脱時の外力によって各ピン端子が支持部材から脱離したり、ピン端子と平型ケーブル(帯状導体)との溶接箇所が剥離するなどして導通不良を生じる虞がなくなり、組み立て作業において問題を生じにくくでき、回転コネクタの信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の実施形態例に係る回転コネクタを説明する前に、前提となる基本構成を第1実施形態例として説明する。図1と
図4に示すように、本発明の第1実施形態例に係る回転コネクタ30は、図示しないハンドル(ステアリングホイール)と一体的に回転する可動側ハウジング11と、ステアリングコラム等に設置された固定側ハウジング12とを回動自在に連結し、両ハウジング11,12間に画成された環状空間13に平型ケーブル20を巻回状態で収納した構成になっている。この回転コネクタ30は、自動車のステアリング装置に組み込まれてエアーバッグシステム等の電気的接続手段として使用されるものである。なお、回転コネクタ30のセンター孔10aにはステアリングシャフト(図示せず)が挿通される。
【0017】
可動側ハウジング11は、上部ロータ15と下部ロータ16とをスナップ結合によって一体化したものであり、
図4において上向きに突設された上部コネクタ保持部11aに図示せぬリードブロックが組み込まれている。固定側ハウジング12は外筒部17と下カバー18とをスナップ結合によって一体化したものであり、下向きに突設された下部コネクタ保持部12aに後述するリードブロック1が組み込まれている。また、環状空間13内には、平型ケーブル20の巻き締め動作や巻き戻し動作を案内する複数のローラ14と、ローラ14を回動自在に保持するローラホルダ19とが組み込まれている。
【0018】
平型ケーブル20の一方の端部(外端部)はリードブロック1に接続されており、このリードブロック1は固定側ハウジング12の下部コネクタ保持部12aに保持されている。
図4に示すように、下部コネクタ保持部12aは、外筒部17に設けられた下方突出部17a(第2ケース体)と、下カバー18に設けられた下方突出部18a(第1ケース体)とを組み合わせて構成されている。リードブロック1には、車両本体側の電気装置から導出された外部コネクタが接続されるようになっている。また、平型ケーブル20の他方の端部(内端部)は図示せぬリードブロックに接続されており、このリードブロックは可動側ハウジング11の上部コネクタ保持部11aに保持されている。この図示せぬリードブロックには、ハンドル側のエアーバッグシステムやホーン回路等から導出された外部コネクタが接続されるようになっている。
【0019】
図2と
図6に示すように、平型ケーブル20は平行に配列された複数本の帯状導体21を一対の絶縁フィルム22で被覆したフラットケーブルと呼称される帯状体である。平型ケーブル20の端部において、絶縁フィルム22には、各帯状導体21の一部(接続部21a)を露出させる導体露出孔23が開設されていると共に、リードブロック1に設けられた位置決め突起8を挿入させるための透孔24が開設されている。この平型ケーブル20の両端部間をなす長尺部分22aが回転コネクタ10の環状空間13内に収納されており(
図4)、この長尺部分22aが可動側ハウジング11の回転に伴って巻き締め動作や巻き戻し動作を行うようになっている。なお、
図6は
図2の紙面裏側から見た分解斜視図である。
【0020】
図2と
図4に示すように、リードブロック1は、絶縁性の樹脂成形品からなる支持部材2と、支持部材2に嵌入されて固定状態に保持される複数本のピン端子3とによって構成されており、ストレート形状の各ピン端子3は支持部材2に平行に配列されている。この支持部材2には、矩形状の底板部4の3辺、すなわち、平型ケーブル20を外方へ延出させる部分である1辺を除く3辺に沿って突堤部5(5a,5b,5c)が立設されている。この突堤部5の内側の領域をなす底板部4の内面部4aには、平型ケーブル20の各帯状導体21と支持部材2の各ピン端子3とが直交(交差)するように、平型ケーブル20が重ね合わせられて配置される。そして、平型ケーブル20の導体露出孔(孔部)23内に露出される帯状導体21の接続部21aと、導体露出孔23上を横切るピン端子3の接合部3dとが、後述するように溶接接続される。なお、突堤部5の存しない支持部材2の一辺は、平型ケーブル20の長尺部分22aを前記環状空間13へと導く開口端部2f(
図2参照)となっている。この開口端部2fは、リードブロック1が下部コネクタ保持部12a内に組み込まれた状態で、固定側ハウジング12の下部コネクタ保持部12aに設けられた開口部12bと隣接するようになる(
図2参照)。
【0021】
図2と
図5に示すように、支持部材2の突堤部5のうち、互いに対向する二つの長辺の一方、すなわち、
図2に示すピン端子3の先端部3a側に位置する長辺に沿う突堤部5aには、複数の取付孔部9(第1保持部)が等間隔に開設されている。これら取付孔部9は、各ピン端子3が基端部3bから挿し込まれ嵌挿された状態で、各ピン端子3を固定状態に保持する。また、突堤部5のうち、支持部材2の他方の長辺に沿う突堤部5bには、各ピン端子3の基端部3bを嵌入する嵌入部10(第2保持部)が等間隔に開設されている。これら嵌入部10に各ピン端子3の基端部3bが嵌入されると、各ピン端子3が支持部材2に平行に配列される。ここで、各取付孔部9と各嵌入部10とは対向する位置関係にある。
【0022】
また、支持部材2の底板部4には、各ピン端子3において平型ケーブル20の導体露出孔23を横切る部分、すなわち接合部3dの裏面側の部分を露出させる露出孔部6と、平型ケーブル20の端部に形成された透孔24に挿入される位置決め突起8とが、それぞれ複数箇所に設けられている。後述するように、各ピン端子3の接合部3dと平型ケーブル20の帯状導体21の接続部21aとを、例えばスポット溶接する際に、露出孔部6内にはスポット溶接機の電極が挿入される。また、位置決め突起8を透孔24に挿入してかしめることにより、平型ケーブル20の端部が、支持部材2の底板部4上に位置決めされて固定される。なお、支持部材2の内底面4aには、各取付孔部9から嵌挿された各ピン端子3を平行に配列させ、かつ、各ピン端子3の表面を露出させるように案内するガイド溝7が形成されている。したがって、ガイド溝7を形成することによって、各ピン端子3を互いに平行に配列させた状態で支持部材2にスムーズに嵌挿できるので、リードブロック1の組み立てを容易に行うことができる。なお、ガイド溝7の溝幅が各ピン端子3を圧入可能な寸法に設定されていると、ガイド溝7が各ピン端子3を保持する保持部としても機能するので、ガイド溝7を嵌入部10の替わりに適用することができる。
【0023】
図2と
図5に示すように、直線状の各ピン端子3は先端部3aと基端部3b間にストッパ部3e(規制部)を有しており、このストッパ部3eは支持部材2の取付孔部9よりも幅広な鍔状に形成されている。各ピン端子3の基端部3bが嵌入部10に嵌入された状態において、ストッパ部3eは取付孔部9の周縁部、すなわち、突堤部5aの外壁2gに当接されて係止される。したがって、ストッパ部3eは、各ピン端子3が支持部材2に嵌挿される長さを決める機能を持っている。また、各ピン端子3には、
図2に示す状態で取付孔部9に対応する位置、すなわち、ストッパ部3eの基端側の近傍に楔形状部3c(嵌合部)が設けられている(
図3参照)。楔形状部3cは、ストッパ部3eが支持部材2の外壁2g(突堤部5)に当接される状態となるように、取付孔部9に各ピン端子3を嵌挿すると、取付孔部9の内面に食い込む。したがって、楔形状部3cは、支持部材2に各ピン端子3を強固に保持する機能を持つと共に、支持部材2に対する各ピン端子3の取付け強度および取付位置精度を高める機能も併せ持つため、リードブロック1を製造する作業を問題なく容易に行うことができる。なお、ストッパ部3eは、取付孔部9の周縁部に当接して係止されるように幅広な鍔状に形成されているが、突起状のものであっても良い。
図2と
図4に示すように、下部コネクタ保持部12aの収納凹所17b(収納部)内にリードブロック1が収納された状態において、ストッパ部3eは、下方突出部18a(下カバー18)の保持壁部18bと支持部材2の外壁2gとによって挟持されるため、各ピン端子3の回転コネクタ30への取付強度がさらに大きくなる。この点については後ほど詳しく説明するが、本実施形態例におけるリードブロック1の場合、各ピン端子3に形成されたストッパ部3eが規制部として機能する。
【0024】
なお、可動側ハウジング11に保持される図示せぬリードブロックも、基本的な構成は上記のリードブロック1と同様であり、必要本数のピン端子が支持部材に圧入固定されている。
【0025】
次に、平型ケーブル20とリードブロック1との接続手順を説明する。平型ケーブル20の一方の端部をリードブロック1に接続する際には、まず、平型ケーブル20の端部を支持部材2の内面部4a(底板部4)上に配置して、前記透孔24に位置決め突起8を挿入する。これにより、平型ケーブル20の端部は支持部材2に対して位置決めされた状態となり、各導体露出孔23が各露出孔部6の真上に配置される。この状態で位置決め突起8を熱がしめすることによって、平型ケーブル20が支持部材2の底板部4上に位置決めされた状態で固定される。しかる後、露出孔部6内と導体露出孔23内にそれぞれスポット溶接機の図示せぬ電極を挿入し、これら一対の電極によって、ピン端子3の接合部3dと帯状導体21の接続部21aとを圧接させて通電してスポット溶接を行い溶接接合する。なお、平型ケーブル20の他方の端部と図示せぬリードブロックとの接続手順も、上記の接続手順と同様である。
【0026】
リードブロック1は、平型ケーブル20の端部(外端部)と接続された後、固定側ハウジング12の下部コネクタ保持部12aに組み込まれる。この下部コネクタ保持部12aを構成する下方突出部17aには、
図2と
図4に示すように、支持部材2を位置決め状態で配置可能な収納凹所17bが設けられている。また、下カバー18の下方突出部18aには、リードブロック1の支持部材2の下面、すなわち、ピン端子3の先端部3a側に位置する突堤部5aの外壁2gに沿って延びる保持壁部18bが設けられている。この保持壁部18bには、各ピン端子3のストッパ部3eを配置させるための凹段部18cと、各ピン端子3のストッパ部3eよりも先端側を個別に挿通させるための複数の挿通孔18dとが形成されている。かかる構成によって、下方突出部18aの保持壁部18bと支持部材2の外壁2gとの間に各ピン端子3のストッパ部3eが挟持されるため、保持壁部18bの挿通孔18dから外方へ突出する各ピン端子3に外部コネクタを着脱させる際に、大きな外力(押し込み力や引っ張り力)がピン端子3に作用しても、このピン端子3が支持部材2から脱離する虞がなく、ピン端子3の接合部3dと平型ケーブル20の帯状導体21の接続部21aとの溶接箇所が剥離して導通不良を引き起こす虞もない。したがって、回転コネクタ10に対して外部コネクタの着脱作業を問題なく行うことができる。なお、保持壁部18bに設けられた凹段部18cは、ストッパ部3eと突堤部5aの外壁2gとが当接される深さで形成されているので、保持壁部18bのうち、凹段部18cが形成されていない支持部材2側の面が、突堤部5aの外壁2gに対して安定して当接する。かかる構成は、各ピン端子3およびリードブロック1を固定側ハウジング12にがたつきなく確実に取付けることができるので大変好ましい。なお、凹段部18cは、突堤部5aの外壁2gに形成されるものであっても良い。
【0027】
次に、平型ケーブル20の端部(外端部)と接続されたリードブロック1を、固定側ハウジング12の下方コネクタ保持部12aに組み付ける際の手順について説明する。平型ケーブル20に接続されたリードブロック1は、まず、外筒部17の下方突出部17aの収納凹所17b(収納部)内に支持部材2を配置させて位置決めし、その後、下カバー18の下方突出部18aの保持壁部18bに設けられた各挿通孔18dに各ピン端子3の先端部3a側を挿通させるように、外筒部17に下カバー18を組み付ける。かかるリードブロック1の組み付け作業は、固定側ハウジング12の外筒部17と下カバー18をスナップ結合によって一体化する際に行われる。すなわち、収納凹所17b内に支持部材2を位置決め状態で配置させ、その後、下方突出部18aの保持壁部18bの各挿通孔18dに各ピン端子3の先端側を挿通させるように、外筒部17に下カバー18を組み付け、下方突出部17aと下方突出部18aとによって下方コネクタ保持部12aが組み立てられた段階で、この下方コネクタ保持部12aにリードブロック1が組み付けられる。
【0028】
以上説明したように本実施形態例のリードブロック1は、簡易な金型で成形された絶縁性の支持部材2を適用できるため、複雑な構造を有する金型を用いてインサート成形する必要がなくなり、また、かかる支持部材2に複数本のピン端子3を嵌入して保持させることによって製造できるので、製造コストを大幅に低減することができ、ひいては回転コネクタ30の製造コストを大幅に低減できる。また、ピン端子の本数が異なるリードブロック1を製造する場合でも、共通の支持部材2を用いることが可能となるため、部品コストをさらに低減できて低コスト化に極めて有利な回転コネクタ30が得られる。
【0029】
また、本実施形態例において、平型ケーブル20と接続されたリードブロック1を、固定側ハウジング12の下部コネクタ保持部12aに組み込むと、下方突出部17aの収納凹所17b内に支持部材2が位置決め状態で保持されると共に、下方突出部18aの保持壁部18bと支持部材2の外壁2gとの間に各ピン端子3のストッパ部3e(規制部)が挟持されるようになっている。そのため、この保持壁部18bの挿通孔18dから外方へ突出する各ピン端子3に外部コネクタを着脱させる際に、大きな外力(押し込み力や引っ張り力)がピン端子3に作用しても、このピン端子3が支持部材2から脱離する虞がなく、ピン端子3の接合部3dと平型ケーブル20の帯状導体21の接続部21aとの溶接箇所が剥離して導通不良を引き起こす虞もない。それゆえ、回転コネクタ30は安心して外部コネクタの着脱作業を行うことができる。
【0030】
なお、本実施形態例において、平型ケーブル20の他方の端部と接続された図示せぬリードブロック、つまり可動側ハウジング11の上部コネクタ保持部11aに組み込まれるリードブロックは、例えば、ピン端子が略クランク形状になっている。そのため、このリードブロックは、可動側ハウジング11の一部で各ピン端子のストッパ部(規制部)を挟持しなくても、外部コネクタの着脱時にピン端子が支持部材に対して位置ずれを起こす虞はない。ただし、この図示せぬリードブロックのピン端子がストレート形状(直線状)の場合は、上記のリードブロック1と同様に、可動側ハウジング11の一部(例えば上部ロータ15)を利用して各ピン端子のストッパ部を挟持しておくことが好ましい。
【0031】
また、本実施形態例において、平型ケーブル20の一方の端部と接続されるリードブロック1は、その支持部材2に、複数のピン端子3の楔形状部3cが強嵌合される取付孔部9を設けてあるだけでなく、各ピン端子3の基端部3bが圧入され、各ピン端子3をそれぞれ平行に配列するように保持する保持部としての嵌入部10を設けてある。そのため、支持部材2に対するピン端子3の取付強度および取付位置精度が高まる。なお、本実施形態例において、保持部として取付孔部9および嵌入部10が設けられているが、前述したようにガイド溝2gも保持部として適用することが可能であるため、嵌入部2cおよびガイド溝2gの両方を保持部としても良いことは勿論、ガイド溝2gのみで保持部を構成することもできる。
【0032】
また、本実施形態例において、下カバー18(第1ケース体)および外筒部17(第2ケース体)が、支持部材2を位置決め状態でスナップ結合によって連結されていると、これら下カバー18および外筒部17に対するリードブロック1の組み付け作業が容易に行えるため好ましい。
【0033】
次に、
図7〜
図10に基づいて本発明
の実施形態例に係る回転コネクタ40を
第2実施形態例として説明する。なお、
図7〜
図10において、
図1〜
図6に対応する部分に同一符号を付すことにより、重複する説明は適宜省略している。
【0034】
第2実施形態例に係る回転コネクタ40では、第1実施形態例と異なるリードブロック32が可動側ハウジング11の上部コネクタ保持部11aに組み込まれており、このリードブロック32に平型ケーブル20の他方の端部(内端部)が接続されている。
【0035】
図9と
図10に示すように、本実施形態例によるリードブロック32は、絶縁性の樹脂成形品からなる支持部材2と、支持部材2に嵌入されて固定状態に保持される複数本のピン端子31とによって構成されており、各ピン端子31がクランク形状である点を除くと、第1実施形態例の第1リードブロック3と第2実施形態例のリードブロック32とは基本的に同じような構成となっている。すなわち、支持部材2は
図5や
図6に示す支持部材2と同一構成であり、この支持部材2には平型ケーブル20を外方へ延出させる部分である1辺を除く3辺に沿って突堤部5(5a,5b,5c)が立設されており、この突堤部5の内側の領域をなす底板部4の内面部4aに平型ケーブル20が重ね合わせられて配置される。
【0036】
ただし、複数本のピン端子31は、支持部材2に保持される基端部31bと支持部材2から突出する先端部31aとが一直線になっておらず、先端部31aと基端部31bが折曲部31fを介してクランク状に連続する形状となっている。すなわち、各ピン端子31は、支持部材2の嵌入部10に嵌入される基端部31bと、取付孔部9の内面に食い込んで基端部31bを支持部材2に保持する楔形状部31cと、取付孔部9の周縁部に当接されて係止されるストッパ部31e(規制部)と、ストッパ部31eからL字状に屈曲して支持部材2の外壁2gに沿って延びる折曲部31fと、折曲部31fからL字状に屈曲して支持部材2の外方へ突出する先端部3aとを有しており、基端部31bと先端部3aは折曲部31fの両端から互いに逆向きに平行に延びている。
【0037】
平型ケーブル20の他方の端部とリードブロック32との接続手順は、前述した第1実施形態例における平型ケーブル20の一方の端部とリードブロック1との接続手順と同様であり、まず、平型ケーブル20の端部を支持部材2の内面部4a(底板部4)上に配置して、前記透孔24に位置決め突起8を挿入する。これにより、平型ケーブル20の端部は支持部材2に対して位置決めされた状態となり、各導体露出孔23が各露出孔部6の真上に配置される。この状態で位置決め突起8を熱がしめすることによって、平型ケーブル20が支持部材2の底板部4上に位置決めされた状態で固定される。しかる後、露出孔部6内と導体露出孔23内にそれぞれスポット溶接機の図示せぬ電極を挿入し、これら一対の電極によって、ピン端子31の接合部31dと帯状導体21の接続部21aとを圧接させて通電してスポット溶接を行い溶接接合する。
【0038】
リードブロック32は、平型ケーブル20の端部(内端部)と接続された後、
図7と
図8に示すように、可動側ハウジング11に上向きに設けられた上部コネクタ保持部11aに組み込まれる。この上部コネクタ保持部11aは、上部ロータ15の上方突出部15a(第1ケース体)と、上部ロータ15にスナップ結合により一体化される保護部材33(第2ケース体)とを組み合わせて構成され、この保護部材33によって平型ケーブル20の端部が覆われている。保護部材33の側方には収納凹所15bが設けられており、この収納凹所15b内にリードブロック32の支持部材2が位置決め状態で配置可能となっている。また、上方突出部15aの内底面には保持壁部15cが設けられており、この保持壁部15cには各ピン端子31の先端部31aを個別に挿通させるための複数の挿通孔15dが形成されている。かかる構成によって、上方突出部15aの保持壁部15cと支持部材2の外壁2gとの間に各ピン端子31のストッパ部31eおよび折曲部31fが挟持されるため、各ピン端子31の先端部31aに外部コネクタを着脱させる際に、大きな外力(押し込み力や引っ張り力)がピン端子31に作用しても、このピン端子31が支持部材2から脱離する虞がなく、ピン端子31の接合部31dと平型ケーブル20の帯状導体21の接続部21aとの溶接箇所が剥離して導通不良を引き起こす虞もない。
【0039】
なお、本実施形態例において、平型ケーブル20の一方の端部(外端部)と接続された図示せぬリードブロック、つまり固定側ハウジング12の下部コネクタ保持部12aに組み込まれるリードブロックついては、上記のリードブロック32と同様のクランク形状のピン端子31を用いても良いが、第1実施形態例で説明したストレート形状のピン端子3を用いることも可能である。