特許第5802154号(P5802154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5802154
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】回転コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   H01R35/04 G
   H01R35/04 N
   H01R35/04 F
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-53499(P2012-53499)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-187150(P2013-187150A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 静始
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−158170(JP,A)
【文献】 特開2008−108660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動自在に連結された可動側ハウジングおよび固定側ハウジングと、複数本の帯状導体が接続部を除いて絶縁フィルムに被覆されてなり、前記両ハウジング間に画成された環状空間内に巻回状態で収納される平型ケーブルと、絶縁性の支持部材および該支持部材に保持されて平行に配列された複数本のピン端子を有するリードブロックとを備え、前記ピン端子の基端部側を前記平型ケーブルの前記接続部に接続して先端部側を外部導出用の絶縁被覆導線に接続した回転コネクタであって、
前記ピン端子が、前記平型ケーブルの前記接続部に接続されるケーブル接続部と、前記支持部材に設けられた2つのピン挿入孔に個別に嵌入して保持される第1および第2嵌入部と、前記絶縁被覆導線をかしめて電気的かつ機械的に接続した状態となすかしめ部と、前記可動側ハウジングまたは前記固定側ハウジングに当接させることで前記嵌入方向とは逆向きの移動が阻止される抜け止め部とを有し、前記ケーブル接続部に対して該ピン端子の先端部側に前記第1嵌入部が位置して基端部側に前記第2嵌入部が位置すると共に、前記かしめ部および前記抜け止め部よりも前記第1嵌入部が該ピン端子の基端部側に設けられていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記支持部材が、前記ピン端子の前記かしめ部を配置させる受け部と、前記第1嵌入部を嵌入するための前記ピン挿入孔が形成された第1保持部と、前記第2嵌入部を嵌入するための前記ピン挿入孔が形成された第2保持部とを有すると共に、前記ピン端子が前記第1嵌入部と前記かしめ部との間にストッパ部を有し、このストッパ部を前記第1保持部の前記受け部側の壁面に当接させることで前記嵌入部の嵌入量が規定されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記支持部材の前記受け部に、隣り合って配置される一方の前記ピン端子と他方の前記ピン端子との間を仕切る隔壁部が形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、前記支持部材が、前記第1保持部の前記ピン挿入孔に挿通された前記ピン端子を前記第2保持部の前記ピン挿入孔へ案内するためのガイド溝を有すると共に、前記ピン端子の前記第1嵌入部が、前記第1保持部の前記ピン挿入孔に食い込むように嵌入する形状に形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記可動側ハウジングと前記固定側ハウジングの少なくとも一方が、前記リードブロックの前記支持部材を収納して保持する収納部と、前記絶縁被覆導線の外方への導出を許容しつつ前記収納部が臨出する開口を蓋閉するカバー部材とを有し、前記ピン端子の前記抜け止め部が前記カバー部材に当接して前記嵌入方向とは逆向きの移動が阻止されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記開口を蓋閉する位置に前記カバー部材がスナップ結合によって装着されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の記載において、前記ケーブルが、前記絶縁フィルムに形成された孔部に前記接続部を露出させていることを特徴とする回転コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動側ハウジングと固定側ハウジング間の環状空間に平型ケーブルを巻回して構成される回転コネクタに係り、特に、平型ケーブルと外部導出用の絶縁被覆導線に接続される複数本のピン端子が保持されたリードブロックを備えた回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリング装置に組み込まれてエアバッグシステム等の電気的接続手段として使用される回転コネクタには、回動自在に連結された可動側ハウジングと固定側ハウジングとの間に環状空間が画成されており、この環状空間内にフラットケーブル(平型ケーブル)が巻回状態で収納されている。このフラットケーブルの両端部はそれぞれリードブロック(接続部材)と接続されており、ハンドル(ステアリングホイール)と一体的に回転する可動側ハウジングに一方のリードブロックが取り付けられていると共に、ステアリングコラム等に設置された固定側ハウジングに他方のリードブロックが取り付けられている。そして、ハンドルが左右いずれの方向へ回転操作されても、回転コネクタを介してハンドル側のエアバッグシステムやホーン回路等と車両本体側の電気装置との電気的接続が維持されるようになっている。
【0003】
このように概略構成された回転コネクタにおいて、従来より用いられているリードブロックは、平行に配列された複数本の導体が先端部側の外部接合部と基端部側の内部接合部とを除いて絶縁材に被覆されており、各導体の内部接合部は絶縁材の溶接用孔部に露出する構成になっているため、インサート成形によってリードブロックを製造していた。また、回転コネクタに用いられているフラットケーブルは、複数本の帯状導体が両端部を除いて絶縁フィルムに被覆されており、このフラットケーブルの帯状導体とリードブロックの導体とが交差するように、フラットケーブルの端部とリードブロックとを重ね合わせて、帯状導体の露出部分と前記内部接合部とをスポット溶接にて接続している(例えば、特許文献1参照)。なお、このリードブロックの導体に外部導出用の絶縁被覆導線を接続する場合、絶縁被覆導線の導体部は溶接等によってリードブロックの導体の前記外部接合部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−97088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、従来の回転コネクタに用いられているリードブロックは、複雑な構造の金型を必要とするインサート成形によって製造されているため、安価に製造することが困難であり、これが回転コネクタの低コスト化を阻害する要因となっていた。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化が容易な回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明による回転コネクタは、回動自在に連結された可動側ハウジングおよび固定側ハウジングと、複数本の帯状導体が接続部を除いて絶縁フィルムに被覆されてなり、前記両ハウジング間に画成された環状空間内に巻回状態で収納される平型ケーブルと、絶縁性の支持部材および該支持部材に保持されて平行に配列された複数本のピン端子を有するリードブロックとを備え、前記ピン端子の基端部側を前記平型ケーブルの前記接続部に接続して先端部側を外部導出用の絶縁被覆導線に接続した回転コネクタであって、前記ピン端子が、前記平型ケーブルの前記接続部に接続されるケーブル接続部と、前記支持部材に設けられた2つのピン挿入孔に個別に嵌入して保持される第1および第2嵌入部と、前記絶縁被覆導線をかしめて電気的かつ機械的に接続した状態となすかしめ部と、前記可動側ハウジングまたは前記固定側ハウジングに当接させることで前記嵌入方向とは逆向きの移動が阻止される抜け止め部とを有し、前記ケーブル接続部に対して該ピン端子の先端部側に前記第1嵌入部が位置して基端部側に前記第2嵌入部が位置すると共に、前記かしめ部および前記抜け止め部よりも前記第1嵌入部が該ピン端子の基端部側に設けられているという構成にした。
【0008】
かかる構成によれば、絶縁性の支持部材に設けた2つのピン挿入孔にピン端子の第1および第2嵌入部を個別に嵌入して保持状態となすことができ、ピン端子の嵌入と反対方向への移動も抜け止め部によって阻止できるため、リードブロックを複雑な構造の金型でインサート成形する必要がなくなり、リードブロックの製造コストを大幅に低減できる。また、このリードブロックは、支持部材に予め設けられた複数のピン挿入孔の一部または全部に必要本数のピン端子を嵌入すればよいため、ピン端子の本数が異なるリードブロックの支持部材を共通化することも可能である。
【0009】
上記の回転コネクタにおいて、リードブロックの支持部材が、ピン端子のかしめ部を配置させる受け部と、第1嵌入部を嵌入するためのピン挿入孔が形成された第1保持部と、第2嵌入部を嵌入するためのピン挿入孔が形成された第2保持部とを有すると共に、ピン端子が第1嵌入部とかしめ部との間にストッパ部を有し、このストッパ部を第1保持部の受け部側の壁面に当接させることで嵌入部の嵌入量が規定されていると、一層好ましい。かかる構成によれば、リードブロックの組立て時に第1および第2保持部のピン挿入孔にピン端子を挿入していけば、ストッパ部が第1保持部の壁面に当接した時点でさらなる挿入が不能となってピン端子の嵌入量を自動的に規定できるため、リードブロックの組立て作業性が向上してピン端子の取付位置精度も高め易くなる。また、絶縁被覆導線をピン端子にかしめて接続したリードブロックを可動側ハウジングまたは固定側ハウジングに取り付ける前に、絶縁被覆導線の自重等に起因する外力がリードブロックに作用しても、この外力を受け部で受けることができるため、ピン端子に過大な曲げ応力が作用することを防止し易くなる。
【0010】
また、上記の回転コネクタにおいて、支持部材の受け部に、隣り合って配置される一方のピン端子と他方のピン端子との間を仕切る隔壁部が形成されていると、これら両ピン端子に個別に接続された2本の絶縁被覆導線の導体部どうしの短絡を隔壁部によって確実に防止することができるため、一層好ましい。
【0012】
また、上記の構成において、支持部材が、第1保持部のピン挿入孔に挿通されたピン端子を第2保持部のピン挿入孔へ案内するためのガイド溝を有すると共に、ピン端子の第1嵌入部が、第1保持部のピン挿入孔に食い込むように嵌入する形状に形成されていると、ピン端子を支持部材の所定位置に安定して固定できるので、その後の組み付け作業が円滑に行えてリードブロックの組立て作業性が向上し、かつピン端子の取付強度が高まるため、一層好ましい。
【0013】
また、上記の回転コネクタにおいて、可動側ハウジングと固定側ハウジングの少なくとも一方が、リードブロックの支持部材を収納して保持する収納部と、絶縁被覆導線の外方への導出を許容しつつ該収納部が臨出する開口を蓋閉するカバー部材とを有し、ピン端子の抜け止め部がカバー部材に当接してピン端子の嵌入方向とは逆向き(反嵌入方向)への移動が阻止されていると、一層好ましい。かかる構成によれば、可動側ハウジングまたは固定側ハウジングの収納部によってリードブロックを位置決め状態で保持することができると共に、一端部がリードブロックに接続された絶縁被覆導線を開口から外方へと導出させてから該開口をカバー部材で蓋閉できるため、絶縁被覆導線の他端部に外部コネクタが取着されていても回転コネクタの組立て作業が支障なく行える。
【0014】
この場合において、前記開口を蓋閉する位置にカバー部材がスナップ結合によって装着されていると、カバー部材の取付作業が容易に行えピン端子の抜け止めも確実となるため、一層好ましい。
【0015】
また、上記の回転コネクタにおいて、ケーブルが、絶縁フィルムに形成された孔部に帯状導体の接続部を露出させていると、一層好ましい。かかる構成によれば、孔部を利用してケーブルの接続部をピン端子とスポット溶接できると共に、ケーブルの端部に孔部を除いて絶縁フィルムを延在させておくことができるため該端部の機械的強度が向上し、よって回転コネクタの組立て工程でケーブルの端部に不良が発生しにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転コネクタに用いられるリードブロックは、絶縁性の支持部材に設けた2つのピン挿入孔にピン端子の第1および第2嵌入部を個別に嵌入して保持状態となすことができ、ピン端子の嵌入方向と逆向きへの移動も抜け止め部によって阻止できるため、リードブロックを複雑な構造の金型でインサート成形する必要がなくなり、リードブロックの製造コストを大幅に低減できる。また、絶縁被覆導線をピン端子に接続してから該ピン端子を支持部材に嵌入してリードブロックを組み立てればよいため、支持部材に嵌入せしめた複数本のピン端子の隣接間隔が狭くても、嵌入前の各ピン端子を対応する絶縁被覆導線と接続する作業は容易に行える。しかも、このリードブロックは、支持部材に予め設けられた複数のピン挿入孔の一部または全部に必要本数のピン端子を嵌入すればよいため、ピン端子の本数が異なるリードブロックの支持部材を共通化することも可能である。それゆえ、本発明によって回転コネクタの低コスト化が容易となる。
【0017】
また、本発明において、リードブロックの支持部材が、ピン端子のかしめ部を配置させる受け部と、第1嵌入部を嵌入するためのピン挿入孔が形成された第1保持部と、第2嵌入部を嵌入するためのピン挿入孔が形成された第2保持部とを有すると共に、ピン端子が、第1嵌入部とかしめ部との間にストッパ部を有し、このストッパ部を第1保持部の受け部側の壁面に当接させることで嵌入部の嵌入量が規定されるように構成されていると、リードブロックの組立て作業性が向上してピン端子の取付位置精度も高め易くなり、かつ、ピン端子に過大な曲げ応力が作用することを防止し易くなるため、回転コネクタのさらなる低コスト化が図れると共に信頼性向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態例に係る回転コネクタの上面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4図1のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図4におけるリードブロックの一部をフラットケーブルを図示省略して示す説明図である。
図6】該リードブロックの分解斜視図である。
図7図6に対応する要部断面図である。
図8図6に示す絶縁被覆導線をピン端子に接続する前の状態を示す説明図である。
図9図8に示す1本の絶縁被覆導線を1本のピン端子に接続する前と後の状態を示す説明図である。
図10図1に対応する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1図4図10に示すように、本発明の実施形態例に係る回転コネクタは、ハンドル(図示せず)と一体的に回転する可動側ハウジング1と、ステアリングコラム等に設置された固定側ハウジング2とを回動自在に連結し、両ハウジング1,2間に画成された環状空間3(図2参照)内にフラットケーブル4(平型ケーブル)を巻回状態で収納した構成になっている。この回転コネクタは自動車のステアリング装置に組み込まれてエアバッグシステム等の電気的接続手段として使用されるものであり、図1図10に示すセンター孔5にはステアリングシャフト(図示せず)が挿通される。
【0020】
可動側ハウジング1は、上部ロータ10と下部ロータ11とをスナップ結合によって一体化したものである。図3図10に示すように、この可動側ハウジング1にはリードブロック6を組み込むための収納部(上部コネクタ保持部)1aが設けられており、リードブロック6の後述する支持部材60が収納部1aに収納・保持されるようになっている。一方、固定側ハウジング2は、外筒部20と底板部21とをスナップ結合によって一体化したものである。この固定側ハウジング2には図示せぬ別のリードブロックを組み込むための図示せぬ収納部(下部コネクタ保持部)が設けられている。両ハウジング1,2間に画成された環状空間3内には、フラットケーブル4が巻き締めおよび巻き戻し可能に収納されている。また、図2に示すように、この環状空間3内には、可動側ハウジング1の回転に伴ってフラットケーブル4の巻き締め動作や巻き戻し動作を案内する複数のローラ7と、ローラ7を回動自在に案内するローラホルダ8とが組み込まれている。
【0021】
図4に示すように、フラットケーブル4は、平行に配列された複数本の帯状導体40を絶縁フィルム41でラミネート状に被覆してなる長尺な可撓性ケーブルである。フラットケーブル4の長手方向の両端部において、絶縁フィルム41には複数の導体露出孔41aが形成されており、各導体露出孔41aに帯状導体40の接続部40aを露出させている。そして、フラットケーブル4の一方の端部(内端部)がリードブロック6に取り付けられて、このリードブロック6のピン端子61と帯状導体40の接続部40aとがスポット溶接によって接続される。同様に、フラットケーブル4の他方の端部(外端部)が図示せぬ別のリードブロックに取り付けられて、この別のリードブロックのピン端子と帯状導体40の接続部40aとがスポット溶接によって接続される。このようにフラットケーブル4の端部で絶縁フィルム41が導体露出孔41aを除いて延在させてあると、該端部の機械的強度が高まるため、回転コネクタの組立て工程でフラットケーブル4の端部に不良が発生しにくくなる。なお、フラットケーブル4の両端部には、接続されるリードブロックに設けられた位置決め突起(例えば図3に示す位置決め突起60i)を挿入させるための透孔が形成されている。
【0022】
図4図7に示すように、フラットケーブル4の一方の端部(内端部)と接続されるリードブロック6は、絶縁性の樹脂成形品からなる支持部材60と、この支持部材60に嵌入して平行に配列された複数本のピン端子61とを有する。各ピン端子61は基端部側の所定部位が、フラットケーブル4の帯状導体40の露出部分である接続部40aとスポット溶接によって接続される。そのため、リードブロック6の支持部材60には、フラットケーブル4の導体露出孔41aと対応する箇所に溶接用孔部60c(図5参照)が形成されている。また、図4に示すように、複数本の帯状導体40とリードブロック6の複数本のピン端子61とが直交するように、フラットケーブル4の該端部とリードブロック6とが重ねられている。リードブロック6の各ピン端子61の先端部側は、外部導出用の絶縁被覆導線9の一端部とかしめによって接続されており、この絶縁被覆導線9の他端部には図示せぬ外部コネクタが取着されている。すなわち、本実施形態例に係る回転コネクタにおいて、環状空間3内に収納されたフラットケーブル4の一端部はリードブロック6の各ピン端子61の基端部側に接続されており、このリードブロック6が可動側ハウジング1の収納部(上部コネクタ保持部)1aに組み込まれて保持されていると共に、各ピン端子61の先端部側に接続された絶縁被覆導線9が、天板部10aに形成された開口10bを通って外方へ導出されている。そして、この絶縁被覆導線9に取着された外部コネクタが、ハンドル側のエアバッグシステム等から導出されたコネクタと接続されるようになっている。
【0023】
なお、図1図10に示すように、上部ロータ10は天板部10aの一部が開口10bと略同形のカバー部材12によって構成されており、このカバー部材12が、絶縁被覆導線9の外方への導出を許容しつつ開口10bを蓋閉する位置に装着されている。また、開口10bには収納部1aが臨出しており、後述するように、この収納部1aにリードブロック6を組み込んだ後、絶縁被覆導線9を外方へ導出させた状態でカバー部材12を天板部10aにスナップ結合させて開口10bを蓋閉するようになっている。
【0024】
フラットケーブル4の他方の端部(外端部)と接続されている図示せぬ別のリードブロックは、固定側ハウジングの外筒部20と底板部21とを組み合わせて構成される前記下部コネクタ保持部に組み込まれて保持されている。この別のリードブロックの図示せぬピン端子は、車両本体側の電気装置から導出されたコネクタと接続されるようになっている。
【0025】
リードブロック6は、絶縁性の支持部材60に必要本数のピン端子を嵌入して保持させることにより組み立てられている。図示せぬ別のリードブロックも同様にして組み立てられている。つまり、本実施形態例に係る回転コネクタで用いられているリードブロックはインサート成形によって製造されたものではない。
【0026】
リードブロック6の構造について詳しく説明すると、このリードブロック6の各ピン端子61は、その基端部側に、支持部材60のピン挿入孔60a(図7参照)とピン挿入孔60b(図6参照)に個別に嵌入される、嵌入部としての第1嵌入部61aおよび第2嵌入部61bを有する。また、図5に示すように、各ピン端子61は、その先端部側に、絶縁被覆導線9の端部をかしめて電気的かつ機械的に接続した状態となすかしめ部61c,61dを有する。各ピン端子61は第1および第2嵌入部61a,61b間の所定部位がフラットケーブル4の帯状導体40にスポット溶接されるケーブル接合部61eとなる。図7図9に示すように、第1嵌入部61aの両側面には楔形の凹凸が形成されているため、この第1嵌入部61aは支持部材60のピン挿入孔60aに食い込むように嵌入させることができる。また、向かい合うように折り曲げられたかしめ部61cは絶縁被覆導線9の導体部9aをかしめており、互い違いに折り曲げられたかしめ部61dは絶縁被覆導線9の絶縁筒部9bをかしめている。さらに、図5図6に示すように、各ピン端子61は、支持部材60の第1保持部60dの壁面に当接するストッパ部61fと、カバー部材12に当接させることで嵌入方向とは逆向きの移動が阻止される抜け止め部61gとを有する。ストッパ部61fは第1嵌入部61aとかしめ部61cとの間に位置する起立片として形成されており、抜け止め部61gはかしめ部61c,61dやストッパ部61fとは逆向きに折り曲げられた舌片として形成されている。
【0027】
なお、図8および図9(A)は、ピン端子61のかしめ部61c,61dを折り曲げる前の状態を示している。また、図6図7図9(B)は、かしめ部61c,61dを折り曲げてピン端子61に絶縁被覆導線9の導体部9aおよび絶縁筒部9bをかしめつけた状態を示している。これらの図に示すように、ピン端子61の基端部が第2嵌入部61bに相当し、この基端部からピン端子61の中央部側へ所定量離れた位置に第1嵌入部61aが形成されている。
【0028】
図5図7に示すように、リードブロック6の支持部材60は、ピン挿入孔60aが形成された第1保持部60d(保持部)と、ピン挿入孔60bが形成された第2保持部60e(保持部)と、ピン端子61のかしめ部61c,61dを配置させる受け部60fと、ピン挿入孔60aに挿通されたピン端子61をピン挿入孔60bへ案内するための直線状のガイド溝60gと、ガイド溝60gを分断する所定位置に形成された溶接用孔部60cと、フラットケーブル4の端部の前記透孔に挿入して該端部を位置決め状態に保持するための位置決め突起60iとを有する。ピン挿入孔60a,60bとガイド溝60gおよび溶接用孔部60cは各ピン端子61ごとに形成されており、すべてのガイド溝60gが互いに平行に延びている。また、支持部材60の受け部60fには、隣り合って配置される一方のピン端子61と他方のピン端子61との間を仕切る隔壁部60hが形成されており、これら両ピン端子61に個別に接続された2本の絶縁被覆導線9の導体部9aどうしの短絡が隔壁部60hによって防止できる構造になっている。前述したように、溶接用孔部60cはフラットケーブル4の導体露出孔41aと対応する箇所に形成されており、ピン端子61のうち溶接用孔部60cに臨出する部位がケーブル接合部61eとなる。
【0029】
リードブロック6を組み立てる際には、ピン端子61の基端部側を支持部材60の第1保持部60dのピン挿入孔60aに挿入していく。つまり、まず第2嵌入部61bをピン挿入孔60aに挿入し、この第2嵌入部61bをガイド溝60gで案内しながらピン端子61をさらに挿入していくと、第1嵌入部61aがピン挿入孔60aに嵌入され始めると共に、第2嵌入部61bが第2保持部60eのピン挿入孔60bに嵌入され始める。これにより、ピン端子61の基端部となる第2嵌入部61bのふらつきをピン挿入孔60bで防止しつつ、第1嵌入部61aをピン挿入孔60aに食い込むように嵌入させていくことができる。そして、ストッパ部61fが第1保持部61dの受け部60f側の壁面に当接した時点で、さらなる挿入が不能となるため、ピン端子61の嵌入量は自動的に規定される。また、第1嵌入部61aが第1保持部60dに位置決め状態で保持され、かつ第2嵌入部61bが第2保持部60eに位置決め状態で保持されるため、このピン端子61は支持部材60の所定位置に保持されることになる。それゆえ、支持部材60に嵌入して保持された複数本のピン端子61は互いに平行に配列される。
【0030】
また、本実施形態例においてリードブロック6は、複数本のピン端子61にそれぞれ絶縁被覆導線9をかしめて接続した後、これら複数本のピン端子61を支持部材60に嵌入して保持させることにより製造されたものである。すなわち、各ピン端子61の先端部側に予め対応する絶縁被覆導線9の端部を接続しておき、これら絶縁被覆導線9付きのピン端子61を基端部側から支持部材60に嵌入してそれぞれ所定位置に固定せしめることにより、リードブロック6を組み立てている。なお、ピン端子61の先端部側に絶縁被覆導線9の端部を接続する際には、一対のかしめ部61dで絶縁筒部9bをかしめると共に、一対のかしめ部61cで導体部9aをかしめ、これにより絶縁被覆導線9をピン端子61に電気的かつ機械的に接続することができる。
【0031】
こうして絶縁被覆導線9付きのリードブロック6を組み立てた後、このリードブロック6にフラットケーブル4の端部(内端部)を接続する。その接続手順について説明すると、まず、フラットケーブル4の端部を、その帯状導体40がピン端子61と直交するようにリードブロック6上に重ね合わせて、前記透孔に挿入した位置決め突起60iを熱がしめする。これにより、フラットケーブル4の端部が位置決め状態で支持部材60に保持され、各導体露出孔41aが各溶接用孔部60cの真上に配置される。しかる後、導体露出孔41a内と溶接用孔部60c内にそれぞれスポット溶接機の電極を挿入し、これら一対の電極によって、ピン端子61のケーブル接合部61eと帯状導体40の接続部40aとを圧接させた状態で通電してスポット溶接を行う。フラットケーブル4の端部に露出するすべての接続部40aをリードブロック6の対応するピン端子61にスポット溶接し終えると、フラットケーブル4の端部はリードブロック6と電気的かつ機械的に接続された状態になる。
【0032】
また、このリードブロック6を可動側ハウジング1の収納部(上部コネクタ保持部)1aに組み付ける際には、フラットケーブル4を環状空間3内に巻回状態で収納すると共に、リードブロック6の支持部材60を収納部1aに組み付ける。図2やその要部拡大図である図3に示すように、収納部1aは支持部材60を位置決め状態で保持できる形状に形成されており、上部ロータ10の天板部10aの開口10b付近に配置されるピン端子61の抜け止め部61gは、開口10bを蓋閉するカバー部材12を天板部10aに装着した時点で、このカバー部材12に当接して位置規制されるようになっている。すなわち、収納部1aに組み付けたリードブロック6には、各ピン端子61の先端部側に絶縁被覆導線9の一端部がかしめつけられているため、図10に示すように、これら複数本の絶縁被覆導線9を開口10bから外方へと導出させたうえで、カバー部材12を天板部10aにスナップ結合させて開口10bを蓋閉する。図1図10に示すように、このカバー部材12は、絶縁被覆導線9の外方への導出を許容しつつ開口10bを蓋閉できる形状に形成されている。そして、開口10bを蓋閉する位置に装着されたカバー部材12の裏面が、図3に示すように各ピン端子61の抜け止め部61gの天面と当接するように設計されているため、各ピン端子61の同図上方への移動、すなわち、支持部材60への各ピン端子61の嵌入方向と逆向きの移動はカバー部材12によって阻止される。したがって、絶縁被覆導線9の他端部に外部コネクタが取着されていても、絶縁被覆導線9付きのリードブロック6を可動側ハウジング1に取り付ける作業は支障なく行える。
【0033】
なお、絶縁被覆導線9付きのリードブロック6を可動側ハウジング1に取り付ける前に、絶縁被覆導線9の自重等に起因する外力がリードブロック6に作用しても、こうした外力は支持部材60の受け部60fで受けることができるため、ピン端子61に過大な曲げ応力が作用しないように取り扱うことは容易である。
【0034】
また、リードブロック6を収納部1aに組み付けて絶縁被覆導線9を外方へ導出させ、開口10bをカバー部材12で蓋閉した後に、絶縁被覆導線9に抜き方向の引っ張り力が作用した場合にも、天板部10aにスナップ結合されたカバー部材12が抜け止め部61gの移動を阻止するため、各ピン端子61が引っ張り方向へ移動してフラットケーブル4の帯状導体40との溶接箇所が剥離してしまう危険性は少ない。つまり、絶縁被覆導線9が抜き方向へ引っ張られた場合でも、リードブロック6とフラットケーブル4との導通不良が発生しないように配慮されている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態例の回転コネクタに用いられるリードブロック6は、絶縁性の支持部材60のピン挿入孔60a,60bにピン端子61を嵌入して保持状態となすことができ、ピン端子61の反嵌入方向への移動も抜け止め部61gによって阻止できるため、リードブロック6を複雑な構造の金型でインサート成形する必要がなくなり、リードブロック6の製造コストを大幅に低減できる。また、絶縁被覆導線9をピン端子61に接続してから該ピン端子61を支持部材60に嵌入してリードブロック6を組み立てればよいため、支持部材60に嵌入せしめた複数本のピン端子61の隣接間隔が狭くても、嵌入前の各ピン端子61を対応する絶縁被覆導線9と接続する作業は容易に行える。それゆえ、この回転コネクタは低コスト化が容易である。
【0036】
また、このリードブロック6は、支持部材60に予め設けられた複数のピン挿入孔60a等の一部または全部に必要本数のピン端子61を嵌入すればよいため、ピン端子の本数が異なるリードブロックの支持部材を共通化することも可能であり、この点からも回転コネクタの低コスト化に有利である。
【0037】
また、本実施形態例において、リードブロック6のピン端子61は第1嵌入部61aとかしめ部61cとの間にストッパ部61fを有しており、このストッパ部61fを支持部材60の第1保持部60dの受け部60f側の壁面に当接させることでピン端子61の嵌入量が規定されるようにしてある。それゆえ、このリードブロック6は組立て作業性が良好であり、ピン端子61の取付位置精度も高め易くなっている。
【0038】
また、本実施形態例において、リードブロック6は、支持部材60の第1保持部60dがピン端子61の第1嵌入部61aを保持すると共に、支持部材60の第2保持部60eがピン端子61の基端部である第2嵌入部61bを保持し、これら第1および第2保持部60d,60eによってピン端子61が位置決めされるように構成されている。それゆえ、支持部材60に対するピン端子61の取付位置精度が高く、複数本のピン端子61を平行に配列させたリードブロックを組み立てることが容易であると共に、各ピン端子61の取付強度が高め易くなっている。
【0039】
しかも、この支持部材60には、第1保持部60dのピン挿入孔60aに挿通されたピン端子61を第2保持部60eのピン挿入孔60bへと案内するガイド溝60gが形成されており、かつ、ピン端子61の第1嵌入部61aはピン挿入孔60aに食い込むように嵌入する形状に形成されている。そのため、このリードブロック6は、ピン端子61を支持部材60の所定位置に所要の取付強度で組み付ける作業を円滑に行うことができる。なお、支持部材60に、ピン端子61の基端部(第2嵌入部61b)が位置決め状態で保持できる形状のガイド溝60gを形成しておけば、第2保持部60eやピン挿入孔60bを省略することも可能である。
【0040】
また、本実施形態例では、可動側ハウジング1の収納部1aにリードブロック6を組み付けて、天板部10aの開口10bから外方へ絶縁被覆導線9を導出させたうえで、カバー部材12を天板部10aにスナップ結合させて開口10bを蓋閉することにより、このカバー部材12が各ピン端子61の反嵌入方向への移動を阻止できるようにしてある。そのため、天板部10aに容易に装着できるカバー部材12によって各ピン端子61の抜け止めが確実に行えると共に、絶縁被覆導線9に予め外部コネクタが取着されていても回転コネクタの組立て作業を支障なく行うことができる。
【0041】
ただし、リードブロック6に接続された絶縁被覆導線9に外部コネクタが取着されていない場合には、この絶縁被覆導線9を天板部10aの孔やスリットに通すことができるため、可動側ハウジング1から開口10bやカバー部材12を省略することも可能である。この場合は、回転コネクタを組み立てた後に、天板部10aの孔やスリットを通して外方へ導出させた絶縁被覆導線9に外部コネクタを取着すればよい。
【0042】
なお、上記した実施形態例では、フラットケーブル4および絶縁被覆導線9に接続されて可動側ハウジング1に取り付けられるリードブロック6について説明したが、フラットケーブル4および絶縁被覆導線9に接続されて固定側ハウジング2に取り付けられるリードブロックであっても、本発明を同様に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 可動側ハウジング
1a 収納部
2 固定側ハウジング
3 環状空間
4 フラットケーブル(平型ケーブル)
6 リードブロック
9 絶縁被覆導線
9a 導体部
9b 絶縁筒部
10 上部ロータ
10a 天板部
10b 開口
11 下部ロータ
12 カバー部材
20 外筒部
21 底板部
40 帯状導体
40a 接続部
41 絶縁フィルム
41a 導体露出孔(孔部)
60 支持部材
60a,60b ピン挿入孔
60c 溶接用孔部
60d 第1保持部(保持部)
60e 第2保持部(保持部)
60f 受け部
60g ガイド溝
60h 隔壁部
60i 位置決め突起
61 ピン端子
61a 第1嵌入部(嵌入部)
61b 第2嵌入部(嵌入部)
61c,61d かしめ部
61e ケーブル接合部
61f ストッパ部
61g 抜け止め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10