(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5802194
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】自動CPRシステムに対するバックボード
(51)【国際特許分類】
A61H 31/00 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
A61H31/00
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-505279(P2012-505279)
(86)(22)【出願日】2010年4月14日
(65)【公表番号】特表2012-523883(P2012-523883A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】IB2010051600
(87)【国際公開番号】WO2010119401
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2013年4月12日
(31)【優先権主張番号】09157987.0
(32)【優先日】2009年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】パウルッセン イゴール ダブリュ エフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴルレー ピエーレ エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ノールデルグラーフ ヒェリット ジェイ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−063458(JP,A)
【文献】
特開昭50−030389(JP,A)
【文献】
米国特許第07063461(US,B2)
【文献】
特開2008−132312(JP,A)
【文献】
米国特許第06223749(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0230140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動心肺蘇生システム用のバックボードにおいて、
上端、下端、第1の側端及び第2の側端を持ち、面を規定するボード要素と、
前記第1及び第2の側端に設けられ、自動心肺蘇生ユニットに対する前記バックボードの接続に対して構成されるコネクタのセットと、
前記面に対して横方向に、端から離れるように延在する固定化要素の少なくとも1つのセットと、
を有し、
前記固定化要素が、前記側端に垂直な方向において及び前記ボード要素の前記面に垂直な方向において前記ボード要素から延長可能なアームの第2のセットを有し、前記コネクタが、前記延長可能なアーム上に配置される、
バックボード。
【請求項2】
前記固定化要素が、前記ボード要素の前記上端に設けられたショルダストップのセットを有する、請求項1に記載のバックボード。
【請求項3】
前記ショルダストップが、前記側端に平行な方向において調節可能である、請求項2に記載のバックボード。
【請求項4】
前記ショルダストップが、前記側端に垂直な方向において調節可能である、請求項2に記載のバックボード。
【請求項5】
前記ショルダストップが、前記ボード要素と一体化されて形成される、請求項2に記載のバックボード。
【請求項6】
前記ショルダストップが、L字型又は半円形状である、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のバックボード。
【請求項7】
前記アームの第2のセットが、前記ボード要素から取り外し可能である、請求項1に記載のバックボード。
【請求項8】
前記アームの第2のセットが、前記ボード要素からスライド可能に延長可能である、請求項1又は7に記載のバックボード。
【請求項9】
前記アームの第2のセットが、第1の閉じた位置から第2の延長位置まで前記ボード要素に設けられたガイドにおいてガイドされる、請求項8に記載のバックボード。
【請求項10】
前記アームの第2のセットが、前記ボード要素にヒンジで接続され、延長位置まで回転されることができる、請求項1又は2に記載のバックボード。
【請求項11】
ハンドルのセットが、前記バックボードに設けられる、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のバックボード。
【請求項12】
前記ハンドルが、前記ショルダストップの反対側に前記アームの第2のセットに隣接して前記側端において前記ボード要素に設けられる、請求項11に記載のバックボード。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載のバックボードと、
自動心肺蘇生ユニットと、
を有する自動心肺蘇生システム。
【請求項14】
前記自動心肺蘇生ユニットが、機械式心臓刺激器及び呼吸補助を有する、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動心肺蘇生(A−CPR)システムにおいて使用するのに適したバックボードに関する。より具体的には、本発明は、自動CPRを提供しながら患者を支持及び固定するバックボードであって、圧迫及び/又は減圧及び/又は呼吸ユニットが前記バックボードに取り付け可能であるタイプのバックボードに関する。
【背景技術】
【0002】
自動CPRシステムは、手動と比較してより信頼できる持続可能な組成を与えるように、自動化形式で心肺蘇生を実行するように設計される。A−CPRシステムは、典型的には、バックボードと、機械式心臓刺激器、呼吸補助及び場合により電気蘇生用の電極を持つユニットとを有する。使用中に、患者は、背中を下に前記バックボードの上に配置され、A−CPRユニットが、前記バックボードに取り付けられる。そうする場合に、制御されるが依然として力強い形で、機械式心臓刺激器により提供される力を前記A−CPRユニットから前記患者の胸骨に移送することが重要である。前記患者の胸骨に及ぼされる力は、前記患者を前記バックボード及び前記A−CPRユニットに対して移動させる。この効果は、前記患者の胸骨のこのA−CPRシステムの力による移動から生じることができる起こりうる怪我のため、極めて望ましくない。このような怪我は、肋骨の骨折、肝臓の破裂、肺の破裂及び/又は他の力の外傷関連の怪我であることができる。怪我を防ぐために、救急隊員は、前記バックボードにおける前記患者の配置を調整するのに多くの時間を費やさなければならない。当然ながら、これは、蘇生中に精度及び時間が重要であるので、望ましくない。
【0003】
US2004/0230140A1は、気道に対する妨げられない又は開いたアクセスに対して適切な開口位置に対象の口を配置すると同時に、前記対象の頭部が頼り、バックプレートの上にあるように十分に高いネックサポートを有するバックボードに接続可能な1つのこのようなA−CPRユニットを開示している。この装置は、使用する場合に前記自動心肺蘇生システム(A−CPR)に対する中心位置に正しく患者を配置することに関する、従来のバックボードと共通の問題に悩まされる。これは、長いセットアップ時間を持ち、一度前記A−CPRユニットが開始され、機械式心臓刺激が開始されると、前記患者は、不十分な固定及び力強い機械式刺激のため、前記バックボード及び前記A−CPRシステムに対して移動しうる。したがって、場合により、更なる時間が、前記患者を前記バックボード及び前記A−PCRユニットに対して再配置するのに必要とされうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良されたバックボード、特に、より固定し、前記A−CPRユニットに対してより中心にあり、及び/又はより信頼できるバックボードは、有利である。
【0005】
したがって、本発明は、好ましくは、上述の不利点の1つ以上を単独で又は組み合わせで軽減、緩和又は除外することを求める。特に、自動心肺蘇生ユニットに対してバックボード上で前記患者を固定する、従来技術の上述の問題を解決するバックボードを提供することは、本発明の目的と見なされることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例において、バックボードは、ボード要素を有し、前記ボード要素は、面を規定し、様々な患者のボディサイズに適した上端、下端、第1の側端及び第2の側端を持つ。コネクタのセットは、前記第1の及び第2の側端に設けられ、自動心肺蘇生システムに対する前記バックボードの接続に対して構成される。剛体アームとして形成されるショルダストップのセットは、前記ボード要素の上端に設けられ、前記ボード要素により規定される前記面に対して横方向に延在し、頭尾(cranial-caudal)方向における前記患者の固定を助ける。
【0007】
他の実施例において、前記ショルダストップは、前記第1の及び第2の側端に平行及び/又は垂直な方向において調節可能であることができる。これにより、一又は二次元における前記ショルダストップの調節は、様々な患者の首サイズ及び様々な脇の下から肩までの長さにフィットするために可能にされる。したがって、前記バックボード及び前記A−PCRユニットに対する前記患者の更なる安定化及び固定が、達成される。
【0008】
前記ショルダストップは、他の実施例において、前記ボード要素と一体化されて形成される。
【0009】
いずれかの実施例において、前記ショルダストップは、L字型又は半円形アームとして形成されることができ、したがって、前記ショルダストップと前記患者の肩との間の良好な接触を提供し、これにより前記バックボード上の前記患者の固定を更に助ける。
【0010】
他の実施例において、前記バックボードの前記ボード要素は、前記上端に形成されたネックレストを備えることができる。前記ネックレストは、取り付け可能/取り外し可能であることができ、又は前記ボード要素と一体化されて形成されることができる。前記ネックレストは、膨張可能な襟及び/又はパッド及び/又はクッションとして設けられることができる。前記ネックレストは、気道がマウスツーマウス蘇生又は酸素マスクのいずれかによる酸素供給に対して障害がない又は開かれているように首/喉/頭を配置することを可能にする。更に、ネックレストは、前記ショルダストップに首を配置するのを助けることができ、したがって、前記患者の位置を固定することができ、更に、頭部の移動により引き起こされる前記患者の怪我を防ぐことができる。取り外し可能なネックレストは、更に、容易な洗浄を可能にする。
【0011】
加えて又は代わりに、ショルダストップパディングは、前記ショルダストップの内側に形成されることができる。前記パディングは、膨張可能な襟及び/又はパッド及び/又はクッションの形で形成されることができる。前記パディングは、前記ボード要素に対する横移動に対して前記患者の首を配置及び固定するのを助ける。好ましくは、前記ショルダストップパディングは、完全な洗浄を可能にするために前記ショルダストップから取り外し可能である。
【0012】
他の実施例において、前記バックボードのボード要素は、加えて又は代わりに、ヘッドレストを備えることができる。前記ヘッドレストは、取り付け可能/取り外し可能なプレート及び/又は格納可能なプレートとして形成されることができる。前記ヘッドレストは、頭部が前記ボード要素に対して移動することを防ぐことにより、前記バックボードが持ち上げられる必要がある場合に前記患者の頭部が支持されることを可能にする。
【0013】
前記ボード要素、前記ショルダストップ及び/又は前記ヘッドレストは、好ましくは、放射線に対して透明な材料、例えばX線のようなスキャン技術において使用されるプラスチックで形成される。これにより、前記患者は、前記バックボード上に配置されながらスキャンされることができ、したがって前記患者に対する支持を提供する。
【0014】
他の実施例において、前記バックボードの前記ボード要素は、アームの第2のセットを有することができ、前記自動心肺蘇生ユニットに対するコネクタが、前記アームの第2のセットに設けられ、前記アームの第2のセットは、前記第1の及び第2の側端に垂直な方向において及び前記ボード要素により規定される前記面に垂直な方向において前記ボード要素から延長可能である。これにより、前記心肺蘇生ユニットと前記バックボードとの間の接続点は、前記バックボード上に配置された患者に対して上に及び外に移動され、したがって前記心肺蘇生ユニットは、より容易に前記バックボードに接続されることができる。これは、前記患者が、例えば腫れ又は肥満のため、非常に大きい場合でさえ、前記心肺蘇生ユニットの迅速かつ正確かつより穏やかな配置を容易化する。前記バックボードに対する前記心肺蘇生ユニットの接続は、これが(前記患者の胸部に対するアクセスを可能にするように切開されている)前記患者の衣服の緩んだ部分が前記コネクタを覆うことを防ぐので、容易化される。
【0015】
前記アームの第2のセットの延長は、好ましくは、閉じた位置から延長位置まで前記ボード要素内に形成されたシュートにおいて前記アームの第2のセットがスライドすることにより提供される。代わりに、前記延長は、ヒンジ機構が閉じた位置から延長位置まで前記アームの第2のセットを回転することにより提供されることができる。前記アームの第2のセットは、好ましくは、前記アームを前記閉じた位置及び/又は前記延長位置にロックするロック機構を有する。
【0016】
前記アームの第2のセットは、プラスチックで形成されることができるか、又は金属で形成されることができる。
【0017】
一実施例において、前記アームの第2のセットは、前記ボード要素から取り外し可能であることができる。これにより、前記アームの第2のセットは、前記ボード要素及び前記アームの第2のセットの容易な洗浄のために取り外されることができ、これらの部分は、使用中に様々な流体、例えば血液にさらされる。
【0018】
また、前記アームの第2のセットが金属で形成される実施例において、前記取り外しは、前記バックボードが電磁スキャン中に前記患者を支持するのに使用されることを可能にする。
【0019】
一実施例において、前記コネクタは、レールとして形成される。したがって、前記自動心肺蘇生ユニットは、胸骨に対する前記自動心肺蘇生ユニットの容易な配置に対してスライド可能であることを可能にされる。前記レールは、前記ボード要素の側端に平行な方向において前記自動心肺蘇生ユニットのスライドを可能にするように形成される。
【0020】
他の実施例において、前記ボード要素は、前記ショルダストップの反対側の前記アームの第2のセットに隣接した前記第1の及び第2の側端において前記ボード要素上に設けられ、前記バックボードの容易なハンドリングを可能にするハンドルのセットを有することができる。
【0021】
本発明の第2の態様において、前記目的は、上記の実施例によるバックボード及び自動心肺蘇生ユニットを有する自動心肺蘇生システムにより達成されることができる。
【0022】
前記自動心肺蘇生ユニットは、好ましくは、機械式心臓刺激器及び呼吸補助を有する。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ、ここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】斜視図において、延長位置のアームの第2のセットを持つ本発明によるバックボードを示す。
【
図2】他の斜視図において、
図1Aに示されるバックボードの非延長位置のアームの第2のセットを示す。
【
図3】延長位置のアームの第2のセットを持つ
図2のバックボードを示す。
【
図4】前面図において、非延長位置のアームの第2のセットを持つ
図2のバックボードを示す。
【
図5】前面図において、延長位置のアームの第2のセットを持つ
図2のバックボードを示す。
【
図6】上面図において、非延長位置のアームの第2のセットを持つ
図2のバックボードを示す。
【
図7】上面図において、延長位置のアームの第2のセットを持つ
図2のバックボードを示す。
【
図8】部分斜視図において、ストレッチャとともに使用する
図2のバックボードを示す。
【
図9】斜視図において、ネックサポートを持つ、本発明の一実施例によるバックボードを示す。
【
図10】斜視図において、ネックサポート及びヘッドサポートを持つ、本発明の一実施例によるバックボードを示す。
【
図11A】断面図において、切開された衣服を持つ患者が配置された従来のバックボードを示す。
【
図11B】断面図において、自動心肺蘇生ユニットの取り付け中の患者が配置された従来のバックボードを示す。
【
図12A】断面図において、切開された衣服を持つ患者が配置され、延長位置のアームの第2のセットを持つ、本発明の一実施例によるバックボードを示す。
【
図12B】断面図において、自動心肺蘇生ユニットの取り付け中の
図12Aのバックボードを示す。
【
図13】断面図において、第2のアームをスライドする機構の一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1A−Cにおいて、本発明の一実施例によるバックボード1が示される。前記バックボードは、ボード要素10及びショルダストップ20、21を有する。ボード要素10は、実質的に平面的であり、上面及び下面15、16を持つ(
図4参照)。上面15は、患者の背中に対するレストを提供する。これは、全体的に平面的であることができるか、又は図示されるように、患者の背中に対してより近いフィットを提供するようにわずかに凹形であることができる。ボード要素10は、面Pを規定する。ボード要素10は、長方形であることができ、更に上端11、下端12及び側端13、14を有する。他の(図示されない)実施例において、前記ボードは、他の形状、例えば長円形を持つことができる。
【0026】
バックボード1は、更にショルダストップ20、21を有する。ショルダストップ20、21は、一実施例において、
図1に示されるように、ボード要素10の一体化された部分として形成され、すなわち、前記バックボードは、例えば鋳造又は他の一部品ピース技術により形成される一部品ピース(one-part piece)である。他の(図示されない)実施例において、ボード要素10及びショルダストップ20、21は、アセンブリを形成し、ここでショルダストップ20、21は、ねじ、接着剤、溶接又は他の接続技術によりボード要素10に接続されることができる。
【0027】
ショルダストップ20、21は、A−CPRユニットが動作している場合に及び/又はバックボード1が使用中に持ち上げられる、傾けられる又は他の手荒く取り扱われる場合にバックボード1において患者を支持することができるように、剛体の、又は場合によりわずかに可とう性を持つアームとして形成される。
【0028】
ショルダストップ20、21は、ボード要素10の上端11に設けられ、側端13、14に平行に延在する。ショルダストップ20、21を形成する各アームのセクションは、面Pに対して横方向に延在する。ショルダストップ20、21は、好ましくは、
図1A−Cに示されるようにL字型であるか、又は他の(図示されない)実施例において、半円形、若しくはショルダストップ20、21と前記患者の肩との間の近いフィットを可能にする他の形状である。
【0029】
バックボード10上に配置された患者の固定は、A−CPRユニットが前記患者の胸骨に供給する力のため、A−CPRユニットにおける重要なステップである。胸骨に加えられる力が、前記A−CPRユニットに対して、主に頭蓋方向に体を移動することが、理解される。この移動は、胸骨を圧迫する場合に前記A−CPRユニットの機械式心臓刺激器の力により生じる。剛体ショルダストップ20、21は、この移動を防ぐ。ネックサポートのみを持つ従来のバックボードにおいて、前記ネックサポートの適度の高さは、前記A−CPRユニットによる機械式連打のため、及び前記患者の衣服が前記バックボードと前記患者の体との間の摩擦を減少させるので、前記患者が頭蓋方向に移動することを防がない。したがって、前記患者の体が前記ネックサポート上をスライドするリスクが存在する。
【0030】
バックボード1の(図示されない)他の実施例において、ショルダストップ20、21は、側端13、14に垂直な方向における、個別のショルダストップ20、21の間の距離が変化されることができるように、ボード要素10に調節可能に接続されることができる。これにより、前記バックボードは、可変の首及び肩幅の患者に対して適合されることができる。
【0031】
加えて、又は代わりに、ショルダストップ20、21は、側端13、14に平行な方向において調節可能であることができ、これによりバックボード1が様々な首の幅及び上半身のサイズを持つ患者に対して適合されることを可能にする。
【0032】
側端13、14に垂直な及び/又は平行な方向におけるショルダストップ20、21の調節可能性は、前記アームのセクションが、前記ボード要素の裏側に設けられた備品において又はボード要素10(の裏側)の内又は上に形成される溝又はチャネルにおいてガイドされる前記ショルダストップを形成するにより提供される。
【0033】
他の実施例において、バックボード1は、例えば襟及び/又はクッション及び/又はパッドの形のネックサポート22を有することができ(
図9及び10参照)、ネックサポート22は、バックボード1に対する前記患者の頭部の配置を助けるために及び/又は前記患者の快適性のために設けられる。ネックサポート22は、酸素供給のために障害のない気道を提供し、前記患者の気道の閉塞を避ける位置に前記患者の首及び頭部を維持するように首を支持し、持ち上げるように構成される。
【0034】
ネックサポート22は、ボード要素10の上端11においてボード要素10上に取り外し可能に取り付けられることができる。ネックサポート22を形成する襟及び/又はクッション及び/又はパッドは、膨張可能な部分として形成されることができる。これにより、前記バックボードの格納用の空間は、使用されない場合に、最小化されることができる。前記ネックサポートの膨張は、前記A−CPRユニットに関連付けられた酸素共有タンク又は自動膨張を提供する同様の携帯型ガス装置からの酸素の使用により提供されることができる。代わりに、前記襟及び/又はパッド及び/又はクッションは、(ポンプ又は経口膨張により)手動で膨張可能であることができる。
【0035】
加えて又は代わりに、パッド又はクッションの形式のパディングが、前記患者の首に対向する側でショルダストップ20、21上に形成されることができ、前記パディングは、首/喉の快適性及び横向きの固定を提供する。
【0036】
他の実施例において(
図10参照)、ヘッドレスト23は、ボード要素10の上端に設けられる。これにより、バックボード1は、前記患者が前記バックボード上に依然として配置されたまま、前記患者の頭部が前記ボード要素10に対して傾く又は位置を変えることなしに、持ち上げられ、移動されることができる。これにより、前記患者に対する怪我は、防がれることができる。
【0037】
ヘッドレスト23は、前記バックボードが使用中ではない場合に、格納空間を節約するために、取り付け可能/取り外し可能なプレートとして形成されることができる。他の(図示されない)実施例において、前記ヘッドレストは、ボード要素10から延長可能であることができる。
【0038】
ボード要素10は、心肺蘇生ユニットの接続に対して構成されたコネクタ50,51のセットを有する。コネクタ50,51の形状は、前記自動心肺蘇生ユニット上のコネクタと協働するように構成される。
【0039】
(図示されない)一実施例において、コネクタ50,51は、
図11A、11Bに示される従来の装置と同様に、A−CPRユニットの接続に対してボード要素10の側端13,14上に設けられる。前記コネクタは、金属材料で形成されてもよく、又は例えば前記ボード要素の一体化部分として、プラスチックで形成されてもよい。
【0040】
しかしながら、好適な実施例において(例えば
図2−3を参照して)、ボード要素10は、前記側端13、14に垂直な方向において及びボード要素10の前記面Pに垂直な方向において前記ボード要素10から延長可能なアームの第2のセット60,61を更に有する。これらの実施例において、コネクタ50,51は、拡張可能なアーム60,61上に形成される。コネクタ50,51は、金属材料で形成されてもよく、又はプラスチックで形成されてもよい。コネクタ50,51は、延長可能なアーム60,61の一体化部分として形成されてもよい。
【0041】
アームの第2のセット60,61は、前記側端13,14に垂直な方向における患者の移動の可能性を減少させ、これによりバックボード1上に前記患者を固定する機能を果たす。アームの第2のセット60,61は、閉じた位置から延長位置に調節可能又は延長可能である。前記閉じた位置において、アーム60,61上にそれぞれ形成されたコネクタ50,51は、
図2、4及び6に示されるように、ボード10の表面15に隣接して配置される。前記延長位置において、アーム60,61上にそれぞれ形成されたコネクタ50,51は、
図1A−C、3、5、7及び8に示されるように、面P(又は表面15)上の、側端13,14から離れた、障害のない位置に延長される。好適な実施例において、前記アームの調節又は延長は、閉じた位置から延長位置までシュートにおいてアーム60,61をスライドするスライド機構又は同様のガイド機構により提供される。
【0042】
他の(図示されない)実施例において、前記アームの調節又は延長は、しかしながら、アーム60,61が閉じた位置から延長位置に回転されることができるようなアーム60,61の回転を可能にするヒンジにより提供されてもよい。
【0043】
前記延長位置においてアームの第2のセット60,61をロックするロック機構が、設けられてもよい。このようなロック機構は、スプリット及び/又は同様のロック機構により提供されてもよい。
【0044】
アーム60,61の延長、及びこれによるコネクタ50,51の延長は、使用中に、コネクタ50,51に対するアクセスを妨害することを防ぐために更に有利である。コネクタ50,51が前記バックボードの前記側端における位置(本発明の本実施例におけるアームの第2のセット60,61の前記の閉じた位置と同様の位置)に配置された従来の装置の場合(
図11A及び11Bを参照すると)、前記患者の切開された衣服は、
図11Aに示されるように、前記コネクタに対するアクセスを防ぐ。更に、前記患者が、例えば外傷により引き起こされた腫れ又は肥満のため、大きい場合、延長可能なアーム60,61は、アームの第2のセット60,61が延長位置にスライドすることを可能にし、したがって、前記患者に対する損傷を誘発することなしに、前記A−CPRユニットがコネクタ50,51に接続可能であることを可能にする。
図11Bにおいて、どのようにして患者の体が、前記従来の装置においてA−CPRユニットの取り付けを妨害しうるかが示されている。
図12Bにおいて、どのようにしてアームの第2のセット60,61が、コネクタ50,51に対するA−CPRユニットの容易な取り付けを可能にしうるかが示されている。
【0045】
コネクタ50,51は、好ましくは、円形断面のレールとして形成される(
図2参照)。他の(図示されない)実施例において、コネクタ50,51は、正方形又は三角形のような他の断面形状のレールを持つように形成されてもよい。これにより、コネクタ50,51は、前記A−CPRユニットをスライドし、前記患者のサイズ及び形状に依存して、前記患者及び前記バックボードに対する所望の位置において前記コネクタに固定することにより高速かつ容易に前記A−CPRユニットを側端13,14に平行な方向に位置調整する可能性を提供する。
【0046】
他の(図示されない)実施例において、前記アームは、ボード要素10から取り外し可能でありうる。これにより、アームの第2のセット60,61は、取り外されることができ、ボード要素10及びアーム60,61は、効率的に洗浄及び消毒されることができる。これは、使用中に前記バックボードが血液及び/又は他の流体にさらされる大きなリスクが存在するので、重要である。
【0047】
ボード要素10は、好ましくは、一般的なスキャンシステム、例えばX線に対して透明な材料で形成されることができる。このような材料は、プラスチック及び/又は同様の材料でありうる。これにより、患者は、前記患者を前記バックボード上の支持位置から移動することにより前記患者に対する不要な負担又はリスクを与えることなしに、迅速にスキャンシステムまでバックボード1上で移動されることができる。
【0048】
更に、ショルダストップ20,21、及び/又はネックサポート22、及び/又はヘッドサポート23は、プラスチックのような、一般的なスキャンシステムに対して透明な材料で形成されることができる。
【0049】
更に、例えば救急隊員により他の機器及び/又は患者に加えて運ばれる必要のあるバックボード1は、重量を最小化する軽量材料で形成されることができる。また、前記軽量材料は、異なる力の救急隊員にとって操作しやすくすることによりバックボード1の操作を容易にする。
【0050】
バックボード1は、更に、前記側端においてボード要素10に配置されたハンドルのセットを有しうる。前記ハンドルは、ボード要素10と一体化して形成されることができる。前記ハンドルは、ショルダストップ20,21の反対側にアームの第2のセット60,61に隣接してボード要素10上に配置されることができる。このようなハンドルは、バックボード1の操作を容易にし、これにより前記バックボード上の前記患者の配置及び/又は再配置、並びに前記A−CPRユニットの配置を容易にする。他の実施例において、ハンドルは、下端12に(図示されない)及び/又は上端11に(図示されない)及び/又はショルダストップ上に(例えば
図1を参照)配置されることができる。
【0051】
他の(図示されない)実施例において、ボード要素10は、移送を容易にし、使用されない場合に格納に対する前記装置のサイズを減少させるように側端13、14に平行又は垂直な軸に沿って折り畳み可能であることもできる。
【0052】
バックボード1は、ボード要素10の裏側16の曲がり又は凸性により、
図8に示されるように、ストレッチャの形状に合うように成形されることができる。これにより、救急隊員は、最初に前記患者を前記バックボードから取り外すことなしに前記患者をストレッチャ上に持ち上げることができ、これにより前記患者を常に支持位置に保ち、時間を節約することができる。更に、ボード要素10の裏側16の曲がり又は凸性は、前記患者をバックボード1上にすくい上げるプロセスを容易にすることができる。
【0053】
本発明は、特定の実施例と関連して記載されているが、ここに記載された特定の形式に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。請求項において、用語"有する"は、他の要素又はステップの存在を除外しない。加えて、個別のフィーチャが、異なる請求項に含まれることができるが、これらは、場合により、有利に組み合わせられることができ、異なる請求項における包含は、フィーチャの組み合わせが実行可能及び/又は有利ではないことを意味しない。加えて、単数形の言及は、複数を除外しない。したがって、"ある"、"第1の"、"第2の"等に対する言及は、複数を除外しない。更に、請求項内の参照符号は、範囲を限定すると解釈されるべきでない。