(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
未定着のトナー像が形成された転写材を加圧及び加熱して前記トナー像を前記転写材に定着させる定着ニップと、該定着ニップで前記トナー像が定着された前記転写材をガイドするガイド部材と、を備えた定着装置であって、
前記ガイド部材には、前記転写材と接する表面から該表面の反対面まで貫通する小孔が設けられ、前記ガイド部材の前記表面に付着した水分を毛細管現象によって前記小孔に吸収させ、
前記ガイド部材の前記反対面側には、前記小孔を覆うようにして水分吸収体が設けられていることを特徴とする定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この方式では段形状の隅部に貯められる水滴の量はそれ程多くなく、単位時間当たりの水蒸気の発生量が多い場合は、段形状の隅部に水滴を保持しきれなくなり、結果、水滴が転写材に落下したり、リブ先端まで水滴が到達して転写材に付着してしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、単位時間当たりの水蒸気の発生量が多い場合においても、ガイド部材から転写材への水滴の付着を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、未定着のトナー像が形成された転写材を加圧及び加熱して前記トナー像を前記転写材に定着させる定着ニップと、該定着ニップで前記トナー像が定着された前記転写材をガイドするガイド部材と、を備えた定着装置であって、前記ガイド部材には、前記転写材と接する表面から該表面の反対面まで貫通する小孔が設けられ、前記ガイド部材の前記表面に付着した水分を毛細管現象によって前記小孔に吸収させることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、定着ニップの通過時に転写材から放出された水蒸気が温度の低いガイド部材に接触することで結露して水滴になった際に、この水滴がガイド部材を貫通する小孔に毛細管現象によって速やかに吸収されることになる。そのため、ガイド部材の転写材と接する表面に水滴が溜まることを抑制し、転写材への水滴の付着を防止することができる。従って、転写材の剛性が弱くなってジャムが発生したり、両面印字の場合の第2面印刷時に、水滴を受けた箇所の画像が白く抜けるような異常画像が発生する等の不具合の恐れがなくなる。
【0011】
前記ガイド部材の前記反対面側には、前記小孔を覆うようにして水分吸収体が設けられていても良い。
【0012】
このように構成することで、毛細管現象にて小孔に吸収された水滴を水分吸収体に保持させることが可能となり、転写材からの水蒸気発生量が多い場合にも、ガイド部材の転写材と接する表面に水滴が溜まることを抑制し、転写材への水滴の付着を一層効果的に防止することが可能となる。
【0013】
前記ガイド部材の前記反対面側には、外気と連通するダクトが設けられ、前記水分吸収体は、前記ダクトの少なくとも一部を構成していても良い。
【0014】
このように構成することで、水分吸収体に保持された水分を再度蒸発させ、水蒸気を外気に放出することが可能となる。また、ガイド部材の表面側に設けられる転写材の搬送路が外気と直接つながっていないため、外気と転写材の搬送路が直接つながっている場合に比べて、定着装置の熱が外気に逃げにくく省エネルギーである。
【0015】
前記ダクトには、送風手段が接続されていても良い。
【0016】
このように構成することで、水分吸収体から再度蒸発させた水蒸気を送風手段により外気に放出することが可能となり、送風手段がない場合よりも水分吸収体に保持された水分をより効率的に除去することが可能となる。また、転写材の搬送路に送風手段を接続すると、定着装置の熱が外気に逃げるだけでなく、定着ニップを形成する部材の温度分布に影響が出る恐れがあるが、上記のようにダクトに送風手段を接続することでこの問題を回避できる。
【0017】
前記小孔は、前記転写材の搬送方向に沿って延びる長孔状を成していても良い。
【0018】
このように構成することで、小孔に転写材が引っ掛かりにくくなり、小孔を丸孔状とする場合よりも、転写材の搬送性能を安定させることが可能となる。
【0019】
前記小孔は、前記搬送方向奥側の端部の少なくとも前記表面側が切り欠かれて凹溝状を成していても良い。
【0020】
このように構成することで、小孔の搬送方向奥側の端部(エッジ部)に転写材の先端が接触して引っ掛かる恐れがなくなり、転写材の搬送性能を一層安定させることが可能になる。
【0021】
前記小孔は、丸孔状を成して複数個設けられていても良い。
【0022】
このように構成することで、小孔を長孔状とする場合と比較して、ガイド部材の強度を高めることが可能となる。
【0023】
前記小孔は、前記表面側から前記反対面側に向かってテーパー状に縮径していても良い。
【0024】
このように構成することで、転写材と接する表面部分の孔径を大きくしても小孔に水分を吸収させることが可能となり、ガイド部材の強度も上げることができる。
【0025】
前記ガイド部材は、円筒パイプを蛇腹状に折り曲げて形成され、前記小孔は、前記ガイド部材の前記表面としての外周面から前記反対面としての内周面まで貫通していても良い。
【0026】
このように構成することで、ガイド部材と転写材との接触面積を減らせるばかりでなく、ガイド部材の熱容量が下がり、熱伝導を上げることができるため、ガイド部材自体が結露しにくくなる。
【0027】
前記ガイド部材は、前記転写材の搬送方向に沿って延びる複数の直管部と、該複数の直管部の前記搬送方向両端部を連結し、前記転写材の搬送路から離間する側に折り曲げられる複数の曲管部と、を備えていても良い。
【0028】
このように構成することで、ガイド部材と転写材との接触面積を一層減らすことが可能になると共に、曲管部に転写材が引っ掛かるのを防止することが可能になる。
【0029】
前記小孔は複数個設けられ、該複数個の小孔の中には、前記ガイド部材の前記外周面のうちの前記転写材と接触する部分から前記内周面まで前記転写材の搬送路に対して略垂直な方向に設けられる第1の小孔と、該第1の小孔とは交差する方向に設けられる第2の小孔と、が含まれていても良い。
【0030】
このように構成することで、ガイド部材の外周面に付着した水分を、複数の方向に設けられた小孔のそれぞれに吸収させることができ、小孔を一方向にしか設けない場合と比較して、ガイド部材全体としての吸水性能を向上させることが可能となる。
【0031】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、単位時間当たりの水蒸気の発生量が多い場合においても、ガイド部材から転写材への水滴の付着を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。以下、説明の便宜上
図1における紙面右側をプリンター1の前側(正面側)とする。
【0035】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には、紙体などの転写材(図示せず)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の前方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
【0036】
プリンター本体2の上部には、排紙トレイ4の下方にレーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0037】
プリンター本体2の内部には、転写材の搬送路15が設けられている。搬送路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送路15の下流端には排紙部20が設けられている。搬送路15の下方には、両面印刷用の反転経路21が形成されている。
【0038】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0039】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0040】
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(
図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
【0041】
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された転写材は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が転写材に転写される。トナー像を転写された転写材は、搬送路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において転写材にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写材は、排紙部20から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
【0042】
次に、
図2及び
図3を用いて、定着装置18の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、定着装置を示す断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターの定着装置において、(a)はガイド部材を転写材の搬送路側から見た図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。なお、
図2では
図1と同様に紙面右側が前側(正面側)であるが、
図3(a)では紙面下側が前側(正面側)であり、
図3(b)では紙面手前側が前側(正面側)である。
【0043】
図2に示されるように、定着装置18は、箱型形状を成す定着フレーム22と、定着フレーム22の前上部に収容される加熱ローラー23と、加熱ローラー23と対向して定着フレーム22の前下部に収容される加圧ローラー24と、加熱ローラー23及び加圧ローラー24の後側(転写材の搬送方向における下流側)に配置される上下一対のガイド部材25と、各ガイド部材25の後側(転写材の搬送方向における下流側)に配置される上下一対の排出ローラー26と、を備えている。
【0044】
定着フレーム22の前端中央には上流側開口部30が設けられ、定着フレーム22の後端中央には下流側開口部31が設けられている。
【0045】
加熱ローラー23は、左右方向に長い形状を成している。加熱ローラー23は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。加熱ローラー23は、定着フレーム22に回転可能に支持されている。加熱ローラー23は、モーター等の駆動手段(図示せず)に接続されており、駆動手段の回転駆動力が加熱ローラー23に伝達されることで、加熱ローラー23が回転するようになっている。
【0046】
加熱ローラー23の内部空間には、例えばハロゲンヒーターやセラミックヒーター等によって構成されるヒーター32が収容されている。このヒーター32は、通電によって発熱し、加熱ローラー23を加熱するように構成されている。加熱ローラー23の周囲には、加熱ローラー23の温度を検知するサーミスター(図示せず)が配置されている。
【0047】
加熱ローラー23の後側(転写材の搬送方向における下流側)には分離爪(図示せず)が設けられている。この分離爪は、加熱ローラー23の外周面に近接又は当接しており、分離爪によって加熱ローラー23の外周面から転写材を分離できるようになっている。
【0048】
加圧ローラー24は、加熱ローラー23と同様に左右方向に長い形状を成している。加圧ローラー24は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。
【0049】
加圧ローラー24の前側(転写材の搬送方向における上流側)には、進入ガイド33が設けられている。加圧ローラー24は、付勢手段(図示せず)の付勢力によって加熱ローラー23に圧接しており、加熱ローラー23と加圧ローラー24の間には、定着ニップ34が形成されている。加圧ローラー24は、加熱ローラー23の回転に伴って加熱ローラー23とは逆方向に従動回転するように構成されている。
【0050】
各ガイド部材25は、加熱ローラー23及び加圧ローラー24と各排出ローラー26との間に配置されている。各ガイド部材25は、転写材の搬送路15を介して互いに対向している。各ガイド部材25は、耐熱性を備えると共に摺動性能の高い樹脂で構成されている。
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、各ガイド部材25は、左右方向(加熱ローラー23及び加圧ローラー24の長手方向)に細長い直方体形状を成している。
【0051】
各ガイド部材25には、転写材と接触する表面35(下側のガイド部材25については上面、上側のガイド部材25については下面。以下、単に「表面35」と称する。)から表面35の反対面36(下側のガイド部材25については下面、上側のガイド部材25については上面。以下、単に「反対面36」と称する。)まで貫通する複数の小孔37が設けられている。各小孔37は、丸孔状を成している。
【0052】
図2に示されるように、各小孔37は、転写材の搬送路15と垂直な方向に設けられており、表面35側から反対面36側まで略同一径で形成されている。各小孔37の径は、好ましくは10μm〜2mmであり、更に好ましくは100μm〜1mmである。各ガイド部材25の表面35の総面積に対して小孔37が占める面積の割合は30%以上が好ましく、更に好ましくは略50%で均等に配置する。このように小孔37を配置することで、小孔37がない部分に形成される水滴の大きさが制限され、仮に転写材に水滴が付着しても不具合が発生するレベルまで至ることがなくなる。
【0053】
図3(b)に最も良く示されるように、各ガイド部材25の反対面36には、各小孔37を覆うようにして水分吸収体38が当接している。水分吸収体38は、左右方向に長い直方体形状を成している。水分吸収体38は、例えば吸水性の耐熱スポンジや多孔質セラミック、高分子吸収体などによって構成されている。
【0054】
各ガイド部材25の反対面36側(下側のガイド部材25の下側、上側のガイド部材25の上側)にはダクト41が設けられている。ダクト41の左右両端部は、外気と連通している。ダクト41には、例えばシロッコファンなどのファンによって構成される送風手段(図示せず)が接続されている。送風手段は、ダクト41内に設置されていても良いし、ダクト41外にダクト41と隣接して設置されていても良い。送風手段は、ダクト41に外気を取り込んで、ダクト41の一端部側(例えば右端部側)から他端部側(例えば左端部側)に向かって風を送るように構成されている。
図3(b)に矢印で示されるように、本実施形態では、送風手段の送風方向は、加熱ローラー23及び加圧ローラー24の長手方向と同じ左右方向である。
【0055】
ダクト41は、水分吸収体38と、水分吸収体38よりも搬送路15から離間する側に設けられるダクト形成部材42によって構成されており、水分吸収体38の搬送路15から離間する側の面がダクト41に面している。ダクト形成部材42は、ダクト41の一面のみを覆う平板状の部材であっても良いし、ダクト41の三面を覆うコ字状の部材であっても良い。ダクト形成部材42は、各ガイド部材25と一体(各ガイド部材25の一部)であっても良いし、各ガイド部材25と別体であっても良い。
【0056】
図2に示されるように、一対の排出ローラー26は、定着フレーム22の下流側開口部31に臨む位置に設けられており、定着フレーム22によって回転可能に支持されている。一対の排出ローラー26の間には、転写材の搬送路15に沿って搬送ニップ43が設けられている。
【0057】
このように構成された定着装置18において、未定着のトナー像が形成された転写材が搬送路15に沿って上流側から搬送されてくると、この転写材が上流側開口部30を介して定着フレーム22内に進入し、定着ニップ34を通過する。これにより、転写材が加熱及び加圧され、未定着のトナー像が転写材に定着する。トナー像が定着した転写材は、ガイド部材25によってガイドされながら搬送路15を下流側へと搬送され、一対の排出ローラー26によって定着フレーム22の外部へと排出される。
【0058】
上記のように転写材が定着ニップ34を通過する際には、転写材から水蒸気が放出される。この水蒸気が各ガイド部材25の表面35に付着することで結露し水滴になった際に、水滴が各ガイド部材25を貫通する複数の小孔37に毛細管現象によって速やかに吸収され、水分吸収体38に保持される。そして水分吸収体38に保持された水分は、水分吸収体38のダクト41側の面で再度蒸発し、送風手段からの風に流されて外気へ放出される。
【0059】
これにより定着ニップ34を通過した転写材から発生する単位時間当たりの水蒸気発生量が多くなってもガイド部材25の表面35に水滴が溜まることがなく転写材への水滴の付着を防止できる。そのため、転写材の剛性が弱くなってジャムが発生したり、両面印字の場合の第2面印刷時に、水滴を受けた箇所の画像が白く抜けるような異常画像が発生する等の不具合を回避することができる。
【0060】
また、ガイド部材25の反対面36には、各小孔37を覆うようにして水分吸収体38が取り付けられているため、毛細管現象にて各小孔37に吸収された水滴を水分吸収体38に保持させることが可能となり、転写材からの水蒸気発生量が多い場合にも、ガイド部材25の表面35に水滴が溜まることを抑制し、転写材への水滴の付着を一層効果的に防止することが可能となる。
【0061】
また、各ガイド部材25の反対面36側には外気と連通するダクト41が設けられ、このダクト41に水分吸収体38が面しているため、水分吸収体38に保持された水分を再度蒸発させ、水蒸気を外気に放出することが可能となる。また、各ガイド部材25の表面35側に設けられる転写材の搬送路15が外気と直接つながっていないため、外気と転写材の搬送路15が直接つながっている場合に比べて、定着装置18の熱が外気に逃げにくく省エネルギーである。
【0062】
また、ダクト41は、左右両端部が外気と連通し、ダクト41には、右端部側から左端部側に向かって風を送る送風手段(図示せず)が接続されている。そのため、水分吸収体38から再度蒸発させた水蒸気を送風手段により外気に放出することが可能となり、送風手段がない場合よりも水分吸収体38に保持された水分をより効率的に除去することが可能となる。また、転写材の搬送路15に送風手段を接続すると、定着装置18の熱が外気に逃げるだけでなく、加熱ローラー23及び加圧ローラー24の温度分布に影響が出る恐れがあるが、上記のようにダクト41に送風手段を接続することでこの問題を回避できる。
【0063】
また、小孔37を丸孔状としているため、小孔37を長孔状とする場合と比較して、各ガイド部材25の強度を高めることが可能となる。
【0064】
本実施形態では、各ガイド部材25の複数の小孔37を、表面35側から反対面36側まで略同一径とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、
図4に示されるように、各ガイド部材25に設けられる複数の小孔37を、表面35側から反対面36側に向かってテーパー状に縮径させても良い。このように構成すれば、転写材と接する表面35部分の孔径を大きくしても水分吸収体38まで水滴を到達させることが可能になり、ガイド部材25の強度も上げることができる。
【0065】
本実施形態では、送風手段の送風方向を左右方向(加熱ローラー23及び加圧ローラー24の長手方向)としたが、他の異なる実施形態では送風手段の送風方向を前後方向(転写材の搬送方向)としても良い。
【0066】
本実施形態では、各ガイド部材25が定着フレーム22の内部に配置される場合について説明したが、他の異なる実施形態では各ガイド部材25が定着フレーム22の外部に配置されていても良い。同様に、本実施形態では一対の排出ローラー26が定着フレーム22の内部に配置される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一対の排出ローラー26が定着フレーム22の外部に配置されていても良い。
【0067】
本実施形態では、搬送路15の上下両側に各ガイド部材25が設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、搬送路15の前後両側又は左右両側に各ガイド部材25が設けられても良いし、搬送路15の片側のみにガイド部材25が設けられていても良い。
【0068】
本実施形態では、加熱ローラー23と加圧ローラー24によって定着ニップ34を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ベルト等のローラー以外の部材を用いて定着ニップ34を形成しても良い。
【0069】
本実施形態では、熱源としてヒーター32を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えばIHコイル等の他の熱源を用いても良い。
【0070】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【0071】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るプリンターの定着装置において、(a)はガイド部材を転写材の搬送路側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
図5(a)では紙面下側が前側(正面側)であり、
図5(b)では紙面手前側が前側(正面側)である。なお、ガイド部材51を除く部材の構成については第1の実施形態と同様であるため、図面上に第1の実施形態と同一の番号を付し、説明を省略する。また、ガイド部材51についても、第1の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0072】
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、ガイド部材51には、転写材と接触する表面52から表面52の反対面53まで貫通する複数の小孔54が設けられている。各小孔54は、転写材の搬送路(
図5では図示せず)と垂直な方向に設けられており、表面52側から反対面53側まで略同一径で形成されている。各小孔54の径は、好ましくは10μm〜2mmであり、更に好ましくは100μm〜1mmである。ガイド部材51の表面52の総面積に対して各小孔54が占める面積の割合は30%以上が好ましく、更に好ましくは略50%で均等に配置する。
【0073】
各小孔54は、前後方向(転写材の搬送方向)に沿って延びる長孔状を成している。各小孔54は、前後方向に沿って延びる仕切部55の間に設けられており、各仕切部55は、左右方向に延びる連結部56によって前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)を連結されている。
図5(b)に示されるように、各小孔54の前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)の表面52側は切り欠かれており(
図5(b)の「切り欠き部57」参照)、各小孔54は凹溝状を成している。
【0074】
上記のように構成されたものにおいて、定着ニップ(
図5では図示せず)を通過した転写材は、ガイド部材51の表面52側を
図5(a)に白抜き矢印で示す方向に搬送される。その際、本実施形態では、各小孔54が、転写材の搬送方向に沿って延びる長孔状を成しているため、各小孔54に転写材が引っ掛かりにくくなり、各小孔54を丸孔状とする場合よりも、転写材の搬送性能を安定させることが可能となる。また、各小孔54は、転写材の搬送方向における両端部が切り欠かれているため、各小孔54の搬送方向奥側の端部(エッジ部)に転写材の先端が接触して引っ掛かる恐れがなくなり、転写材の搬送性能を一層安定させることが可能になる。
【0075】
なお、本実施形態では、各仕切部55を連結部56によって連結する場合について説明したが、他の異なる実施形態においてダクト形成部材42で各仕切部55を連結するような場合には、連結部56は無くても良い。
【0076】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について、
図6〜
図8を用いて説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係るプリンターにおいて、定着装置を示す断面図である。
図7は、本発明の第3の実施形態に係るプリンターの定着装置において、(a)はガイド部材を転写材の搬送路側から見た図であり、(b)はガイド部材の正面図である。
図8は、
図7のC−C断面図である。なお、
図6では
図1と同様に紙面右側が前側(正面側)であるが、
図7(a)では紙面下側が前側(正面側)であり、
図7(b)では紙面手前側が前側(正面側)である。なお、ガイド部材61を除く部材の構成については第1の実施形態と同様であるため、図面上に第1の実施形態と同一の番号を付し、説明を省略する。
【0077】
図6に示されるように、各ガイド部材61は、加熱ローラー23及び加圧ローラー24と各排出ローラー26との間に配置されている。各ガイド部材61は、転写材の搬送路15を介して互いに対向している。各ガイド部材61は、例えば、鉄やアルミ、銅などの金属で構成されており、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、円筒パイプを蛇腹状に折り曲げて形成されている。各ガイド部材61は、定着フレーム22に固定される支持部材62によって支持されている。
【0078】
各ガイド部材61は、前後方向(転写材の搬送方向)に沿って延びる複数の直管部63と、この複数の直管部63の前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)を連結し、転写材の搬送路15から離間する側に折り曲げられて正面視コ字状を成す複数の曲管部64と、を備えている。
【0079】
各直管部63には、複数の小孔65が前後方向(転写材の搬送方向)に列設されている。各小孔65は、丸孔状を成している。
図8に示されるように、各小孔65は、直管部63の転写材と接する表面としての外周面66からこの外周面66の反対面としての内周面67まで貫通している。各小孔65は、外周面66のうちの転写材と接触する部分から内周面67まで転写材の搬送路15に対して略垂直な方向に設けられている。各小孔65は、外周面66側から内周面67側に向かってテーパー状に縮径している。
【0080】
ガイド部材61の内周面67には、各小孔65を覆うようにして円筒パイプ状の水分吸収体68が当接し、水分吸収体68の内部空間には、ダクト69が形成されている。つまり、水分吸収体68がダクト69の外周面を構成している。ダクト69の両端部は外気と連通しており、ダクト69に接続された送風手段(図示せず)によってダクト69の一端部側からダクト69の他端部側に向かって送風できるようになっている。(
図7(a)の矢印Y参照)。
【0081】
上記のように構成されたものにおいて、定着ニップ34を通過した転写材は、各ガイド部材61の外周面66側を
図7(a)に白抜き矢印で示す方向に搬送される。その際、本実施形態では、ガイド部材61が円筒パイプを蛇腹状に折り曲げて形成されているため、ガイド部材61と転写材との接触面積を減らせるばかりでなく、ガイド部材61の熱容量が下がり、熱伝導を上げることができ、ガイド部材61自体が結露しにくくなる。また、複数の曲管部64が転写材の搬送路15から離間する側に折り曲げられているため、ガイド部材61と転写材との接触面積を一層減らすことが可能になると共に、曲管部64に転写材が引っ掛かるのを防止することが可能になる。
【0082】
本実施形態では、ガイド部材61の内周面67に水分吸収体68を当接させ、水分吸収体68の内部空間をダクト69とする場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では
図9に示されるように、金属板を曲げてパイプ形状とすることでガイド部材61を薄板状に形成し、このガイド部材61と水分吸収体68の間の空間をダクト69としても良い。この場合には、水分吸収体68がダクト69の内周面を構成することになる。このような構成を採用することで、ガイド部材61の熱容量を極力減らすことが可能となる。また、他の異なる実施形態においてガイド部材61の内部空間にダクト69を形成しない場合には、
図10に示されるように、ガイド部材61の内部空間を水分吸収体68で塞いでも良い。
【0083】
本実施形態では、各小孔65をガイド部材61の外周面66側から内周面67側に向かってテーパー状に縮径させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、
図10に示されるように各小孔65をガイド部材61の外周面66側から内周面67側まで略同一径で形成しても良い。
【0084】
本実施形態では、1本の円筒パイプを蛇腹状に折り曲げてガイド部材61を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、円筒パイプを転写材の搬送方向に複数本配置し、それぞれの円筒パイプに送風手段によって風を流すような構成にしても良い。
【0085】
本実施形態では、支持部材62を介してガイド部材61を定着フレーム22に固定する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ガイド部材61を定着フレーム22に直接固定しても構わない。
【0086】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について、
図11を用いて説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態に係るプリンターの定着装置において、(a)はガイド部材を転写材の搬送路側から見た図であり、(b)はガイド部材の正面図である。なお、
図11(a)では紙面下側が前側(正面側)であり、
図11(b)では紙面手前側が前側(正面側)である。ガイド部材71を除く部材の構成については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、ガイド部材71についても、第3の実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0087】
図11に示されるように、ガイド部材71は、円筒パイプを蛇腹状に折り曲げて形成されており、支持部材72によって支持されている。ガイド部材71は、前後方向(転写材の搬送方向)に沿って延びる複数の直管部73と、この複数の直管部73の前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)を連結する複数の曲管部74と、を備えている。
【0088】
ガイド部材71には、その蛇腹状の形状に沿って連続する小孔75が形成されている。小孔75は、各直管部73に設けられて前後方向(転写材の搬送方向)に沿って延びる長孔状の直線部76と、この直線部76の前後両端部を連結し、曲管部74の形状に沿ってコ字状に屈曲される屈曲部77と、を備えている。直線部76の前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)の外周面78側は、屈曲部77に接続されることで切り欠かれている(
図11(a)の「切り欠き部79」参照)。これに伴って、直線部76は凹溝状を成している。なお、
図11(a)の矢印Zは、ガイド部材71の内部に設けられたダクト(図示せず)への外気の導入方向と排出方向を示している。
【0089】
上記のように構成されたものにおいて、定着ニップ(
図11では図示せず)を通過した転写材は、ガイド部材71の外周面78側を
図11に白抜き矢印で示す方向に搬送される。その際、本実施形態では、各小孔75の直線部76が、転写材の搬送方向に沿って延びる長孔状を成しているため、各小孔75の直線部76に転写材が引っ掛かりにくくなり、各小孔75を丸孔状とする場合よりも、転写材の搬送性能を安定させることが可能となる。また、各小孔75の直線部76は、搬送方向両端部が切り欠かれているため、各小孔75の搬送方向奥側の端部(エッジ部)に転写材の先端が接触して引っ掛かる恐れがなくなり、転写材の搬送性能を一層安定させることが可能になる。
【0090】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について、
図12及び
図13を用いて説明する。
図12は、本発明の第5の実施形態に係るプリンターの定着装置において、ガイド部材を転写材の搬送路側から見た図である。
図13は、
図12のD−D断面図である。なお、
図12では紙面下側が前側(正面側)である。ガイド部材81を除く部材の構成については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、ガイド部材81についても、第3、第4の実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0091】
図12に示されるように、ガイド部材81は、円筒パイプを蛇腹状に折り曲げて形成されており、支持部材82によって支持されている。ガイド部材81は、前後方向(転写材の搬送方向)に沿って延びる複数の直管部83と、この複数の直管部83の前後両端部(転写材の搬送方向における両端部)を連結する曲管部84と、を備えている。
【0092】
ガイド部材81には、その蛇腹状の形状に沿って連続する長孔状の第1の小孔85が形成されている。
図13に示されるように、第1の小孔85は、ガイド部材81の表面としての外周面86から反対面としての内周面87まで貫通している。第1の小孔85は、外周面86側から内周面87側に向かってテーパー状に縮径している。第1の小孔85は、外周面86のうちの転写材と接触する部分から内周面87まで転写材の搬送路15に対して略垂直な方向に設けられている。
【0093】
ガイド部材81の直管部83には、第1の小孔85と略垂直な方向(第1の小孔85と交差する方向)に第2の小孔88が設けられている。第2の小孔88は、転写材の搬送路15に対して略平行な方向に設けられている。第2の小孔88は、第1の小孔85と同様に外周面86側から内周面87側に向かってテーパー状に縮径している。第2の小孔88は、側面視で円形を成している。
【0094】
図13に示されるように、ガイド部材81の内周面87には、各小孔85、88を覆うようにして円筒パイプ状の水分吸収体89が当接し、水分吸収体89の内部空間には、ダクト90が形成されている。ダクト90の両端部は外気と連通しており、ダクト90に接続された送風手段(図示せず)によってダクト90の一端部側からダクト90の他端部側に向かって送風できるようになっている。(
図12の矢印W参照)。
【0095】
本実施形態では、転写材の搬送路15に対して略垂直な方向に設けられる第1の小孔85だけでなく、第1の小孔85とは交差する方向に設けられる第2の小孔88がガイド部材81に形成されているため、ガイド部材81の外周面86に付着した水分を、複数の方向に設けられた小孔85、88のそれぞれに吸収させることができ、小孔を一方向にしか設けない場合と比較して、ガイド部材81全体としての吸水性能を向上させることが可能となる。
【0096】
本実施形態では、第1の小孔85をガイド部材81の蛇腹形状に沿って連続する長孔状としたが、他の異なる実施形態では、第1の小孔85を複数の丸孔状としても良い。
【0097】
本実施形態では、ガイド部材81の内周面87に水分吸収体89を当接させ、水分吸収体89の内部空間をダクト90とする場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では
図14に示されるように、金属板を曲げてパイプ形状とすることでガイド部材81を薄板状に形成し、このガイド部材81と水分吸収体89の間の空間をダクト90としても良い。また、他の異なる実施形態においてガイド部材81の内部空間にダクト90を形成しない場合には、
図15に示されるように、ガイド部材81の内部空間を水分吸収体89で塞いでも良い。
【0098】
本実施形態では、各小孔85、88をガイド部材81の外周面86側から内周面87側に向かってテーパー状に縮径させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、
図15に示されるように各小孔85、88をガイド部材81の外周面86側から内周面87側まで略同一径で形成しても良い。