(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5802610
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-127742(P2012-127742)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-252865(P2013-252865A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(74)【代理人】
【識別番号】100134821
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 信行
(72)【発明者】
【氏名】板野 篤
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−147913(JP,U)
【文献】
実公昭56−023204(JP,Y1)
【文献】
米国特許第03357630(US,A)
【文献】
特開2007−230574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、該底面の四辺に立設される側板とで構成され、上面が開口した箱体と、
該箱体の開口縁の一辺に折り線を介して連設される上蓋と、
前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と対向する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる内蓋と、
前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と隣接する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる蓋フラップと、
前記上蓋の先端を折り曲げて形成される差し込み片と、
前記内蓋と前記内蓋が連設される前記側板との境界に沿って形成され、前記差し込み片が挿入される第1差し込み孔と、
を有する包装箱において、
前記上蓋には、平面視凸形状の切り込み線と、該切り込み線の両端部を連結する折曲線とで囲まれた舌状片が形成され、前記内蓋または前記蓋フラップには、前記折曲線と対向する位置にスリットが形成されており、
前記舌状片の表面には、前記上蓋が開封済であることを示す目印が形成されており、
前記箱体を組み立てる際、前記舌状片を前記折曲線に沿って折り曲げた状態で前記スリットに挿入し、前記差し込み片を前記第1差し込み孔に挿入することにより前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記舌状片を前記スリットに挿入した状態で前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持したとき、前記舌状片の折り曲げによって前記上蓋に形成された貫通穴から露出する前記内蓋または前記蓋フラップの表面には、前記上蓋が未開封であることを示す目印が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
底面と、該底面の四辺に立設される側板とで構成され、上面が開口した箱体と、
該箱体の開口縁の一辺に折り線を介して連設される上蓋と、
前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と対向する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる内蓋と、
前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と隣接する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる蓋フラップと、
前記上蓋の先端を折り曲げて形成される差し込み片と、
前記内蓋と前記内蓋が連設される前記側板との境界に沿って形成され、前記差し込み片が挿入される第1差し込み孔と、
を有する包装箱において、
前記上蓋には、平面視凸形状の切り込み線と、該切り込み線の両端部を連結する折曲線とで囲まれた舌状片が形成され、前記内蓋または前記蓋フラップには、前記折曲線と対向する位置にスリットが形成されており、
前記箱体を組み立てる際、前記舌状片を前記折曲線に沿って折り曲げた状態で前記スリットに挿入し、前記差し込み片を前記第1差し込み孔に挿入することにより前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持し、
前記舌状片を前記スリットに挿入した状態で前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持したとき、前記舌状片の折り曲げによって前記上蓋に形成された貫通穴から露出する前記内蓋または前記蓋フラップの表面には、前記上蓋が未開封であることを示す目印が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
前記舌状片は、前記スリットに差し込まれる先端部に向かって徐々に幅狭となる先細り形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記内蓋が連設される側板には、前記第1差し込み孔を横断して前記内蓋に至る蓋板固定片が形成されており、前記上蓋と前記差し込み片との境界には前記蓋板固定片が挿入される第2差し込み孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品等を梱包する包装箱に関し、特に、開封済であるか未開封であるかを判別する構成を備えた包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の電機製品や精密機器本体、或いは交換部品等の被梱包物を梱包して出荷する際に使用される包装箱として、上蓋と内蓋とが開口部分で重ねられるように構成された包装箱が広く用いられている。
【0003】
近年、産業廃棄物による環境への影響の低減が重要な課題となっており、画像形成装置に搭載されるトナーカートリッジ等の交換部品は、リサイクルユースのために使用済みの交換部品を回収する必要が生じている。このとき、新たな交換部品が梱包されていた包装箱に使用済みの交換部品を再梱包して返送すると、交換部品の形状に合わせて設計された包装材料を用いるため交換部品をガタつきなく容易に再梱包することができ、包装箱も再利用することができる。
【0004】
しかし、包装箱を再利用すると、ユーザーやサービスマンが交換部品を保管する際に、使用済みの交換部品の入った包装箱と、新品の交換部品が入った包装箱とを同じ場所に置いてしまった場合、包装箱の外観が同じであるため包装箱を開封しなければ中身が使用済みであるか新品であるかを判別することができないという問題点があった。
【0005】
そこで、包装箱が未開封であるか開封済みであるかを容易に判別する方法が提案されており、例えば特許文献1には、包装箱のフラップに、ジッパー、ミシン目、テープ等の切断開封部と、再封緘用差し込み舌片と、差し込み舌片を差し込むための差し込み口とを備えたカートリッジ用包装箱が開示されている。また、特許文献2には、包装箱の周壁を構成する第1の壁部に連設された蓋壁と、蓋壁に連設され第1の壁部を除く第2の壁部に重畳する縁壁と、を備え、第1及び第2の壁部を除く第3の壁部の外面に貼着される貼着壁を蓋壁に連設し、この貼着壁に第1破断線で囲まれ蓋壁に連設された突片部を設けた包装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−124638号公報
【特許文献2】特開2008−74418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では包装箱の一部を破断して開封するため、包装箱やテープの切れ端等のゴミが発生するという問題点があった。また、特許文献2の方法では製品の梱包時に貼着壁を糊付けするため、包装箱に糊(接着剤)を塗布する工程及び糊付け装置等の設備が必要となり、部材点数及び製造工数が増加して包装箱のコストアップに繋がることとなる。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑み、梱包時に糊付けを必要とせず、開封済であるか否かが明確に視認できるとともに開封時にゴミ等も発生しない簡易な構成の包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、底面と、該底面の四辺に立設される側板とで構成され、上面が開口した箱体と、該箱体の開口縁の一辺に折り線を介して連設される上蓋と、前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と対向する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる内蓋と、前記箱体の開口縁のうち前記上蓋が延設される辺と隣接する辺に折り線を介して連設され、前記上蓋の内側に重なる蓋フラップと、前記上蓋の先端を折り曲げて形成される差し込み片と、前記内蓋と前記内蓋が連設される前記側板との境界に沿って形成され、前記差し込み片が挿入される第1差し込み孔と、を有する包装箱において、前記上蓋には、平面視凸形状の切り込み線と、該切り込み線の両端部を連結する折曲線とで囲まれた舌状片が形成され、前記内蓋または前記蓋フラップには、前記折曲線と対向する位置にスリットが形成されており、前記箱体を組み立てる際、前記舌状片を前記折曲線に沿って折り曲げた状態で前記スリットに挿入し、前記差し込み片を前記第1差し込み孔に挿入することにより前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持することを特徴とする包装箱である。
【0010】
また本発明は、上記構成の包装箱において、前記舌状片の表面には、前記上蓋が開封済であることを示す目印が形成されていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装箱において、前記舌状片を前記スリットに挿入した状態で前記上蓋と前記内蓋とを閉状態に保持したとき、前記舌状片の折り曲げによって前記上蓋に形成された貫通穴から露出する前記内蓋または前記蓋フラップの表面には、前記上蓋が未開封であることを示す目印が形成されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装箱において、前記舌状片は、前記スリットに挿入される先端部に向かって徐々に幅狭となる先細り形状であることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の包装箱において、前記内蓋が連設される側板には、前記第1差し込み孔を横断して前記内蓋に至る蓋板固定片が形成されており、前記上蓋と前記差し込み片との境界には前記蓋板固定片が挿入される第2差し込み孔が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、包装箱の組み立てが完了した状態では、上蓋に形成された舌状片が折り曲げられた状態でスリットに挿入されている。そして、上蓋が一旦開封された後、再梱包する際は折り曲げられていた舌状片がスリットに挿入されずに上蓋に沿って伸長される。これにより、包装箱が開封されたか否かを一目で確認することができ、且つ、糊付けが不要で開封時にゴミ等も発生しない簡易な構成の包装箱となる。
【0015】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装箱において、舌状片の表面に、上蓋が開封済であることを示す目印を形成することにより、舌状片が折り曲げられた状態では目印は視認できず、舌状片が上蓋に沿って伸長されたとき目印が視認可能となる。従って、舌状片が折り曲げられた状態が未開封であり、舌状片が伸長された状態が開封済であることを知らないユーザーに対しても、包装箱が開封されたか否かを一目で確認可能な包装箱となる。
【0016】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装箱において、舌状片をスリットに挿入した状態で上蓋と内蓋とを閉状態に保持したとき、舌状片の折り曲げによって上蓋に形成された貫通穴から露出する内蓋または蓋フラップの表面に、上蓋が未開封であることを示す目印を形成することにより、舌状片が折り曲げられた状態では目印が視認可能であり、舌状片が上蓋に沿って伸長されたとき目印は視認できなくなる。従って、舌状片が折り曲げられた状態が未開封であり、舌状片が伸長された状態が開封済であることを知らないユーザーに対しても、包装箱が開封されたか否かを一目で確認可能な包装箱となる。
【0017】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の包装箱において、舌状片をスリットに挿入される先端部に向かって徐々に幅狭となる先細り形状とすることにより、包装箱を用いて製品を梱包する際に舌状片をスリットに円滑に挿入することができる。
【0018】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の包装箱において、内蓋が連設される側板に第1差し込み孔を横断して内蓋に至る蓋板固定片を形成し、上蓋と差し込み片との境界に蓋板固定片が挿入される第2差し込み孔を形成することにより、差し込み片と蓋板固定片とを用いて上蓋を二重ロックすることができ、上蓋の不用意な開放を防止できる。また、二重ロックを解除せずに包装箱が開封されたか否かを一目で確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱100の展開図
【
図2】
図1の状態から、上端に開口部31を有する箱体30を組み立てた状態を示す第1実施形態の包装箱100の斜視図
【
図3】
図2の状態から、蓋フラップ11、12及び内蓋10を折り曲げた状態を示す第1実施形態の包装箱100の斜視図
【
図4】上蓋9の切り込み線20と折曲線21とで囲まれた部分を内側に切り起こして舌状片23を形成した状態を示す第1実施形態の包装箱100の部分拡大図
【
図5】
図3の状態から上蓋9の差し込み片9aを内蓋10に設けられた第1差し込み孔13に挿入した状態を示す第1実施形態の包装箱100の斜視図
【
図6】包装箱100を用いて再梱包する際に、蓋フラップ11、12、内蓋1及び上蓋9を折り曲げ、上蓋9の差し込み片9aを内蓋10に設けられた第1差し込み孔13に挿入した状態を示す第1実施形態の包装箱100の斜視図
【
図7】
図6における舌状片23を上方向から見た拡大図
【
図8】本発明の第2実施形態に係る包装箱100を組み立てた状態における、上蓋9に形成される貫通穴27周辺の部分拡大図。
【
図9】第2実施形態の包装箱100を用いて再梱包した状態における、上蓋9の舌状片23周辺の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装箱100の展開図である。なお、
図1においては、山折り線を破線で表示する。また、
図1の横方向(包装箱100の水平方向)をX軸方向、縦方向(包装箱100の上下方向)をY軸方向と称する。
【0021】
包装箱100は、段ボール紙等の一枚のシート材から形成されており、折り線を介して直列に連なる4枚の側板1、2、3、4と、側板1、3の下辺に折り線を介して連なる底板5、6と、側板2、4の下辺に折り線を介して連なる底フラップ7、8と、側板1の上辺に折り線を介して連なる上蓋9と、側板3の上辺に折り線を介して連なる内蓋10と、側板2、4の上辺に折り線を介して連なる蓋フラップ11、12とで構成されている。側板1と側板3、及び側板2と側板4は、X軸方向の長さが互いに同等となるように形成されている。また、側板1の端縁には接着片1aが折り線を介して連設されている。
【0022】
上蓋9の側板1に対向する辺には折り線を介して差し込み片9aが連設されており、内蓋10には、側板3と内蓋10との境界(内蓋10の開閉支持線)に沿って差し込み片9aが挿入される第1差し込み孔13が形成されている。第1差し込み孔13のX軸方向の長さは、差し込み片9aを挿入できるように、差し込み片9aのX軸方向の長さよりも長く形成されている。
【0023】
また、側板3には第1差し込み孔13を横切って内蓋10に至る蓋板固定片15が形成されており、差し込み片9aには、上蓋9と差し込み片9aとの境界(差し込み片9aの折り線)の略中央部に蓋板固定片15が挿入される第2差し込み孔17が形成されている。第2差し込み孔17のX軸方向の長さは、蓋板固定片15を挿入できるように、蓋板固定片15のX軸方向の長さよりも長く形成されている。
【0024】
上蓋9の略中央部には切り込み線20が形成されている。切り込み線20は差し込み片9aに向かって平面視凸形状に形成されており、切り込み線20の両端部は折曲線21で連結されている。そして、切り込み線20と折曲線21とで囲まれた略5角形状の領域が切り込み線20に沿って切り起こされて舌状片23となる。舌状片23の表面には「開封済」の文字(
図4参照)が印刷されている。なお、折曲線21は、折罫線、ミシン目、ハーフカットライン等で形成することができる。また、内蓋10には、上蓋9を重ね合わせたとき折曲線21と対向する箇所にスリット25が形成されている。スリット25は舌状片23が挿入可能な最小限の幅を有する。
【0025】
次に、本発明の包装箱100の組み立て手順について説明する。先ず、側板1〜4間の折り線を折り曲げた後、接着片1aを側板4の内側に接着して包装箱100の胴部を形成する。そして、側板1〜4の下辺に連設された底板5、6と底フラップ7、8とを内側に折り曲げて底板6、底フラップ7、8の突起を底板5の凹部5aに係合させ、包装箱100の底面を形成する。これにより、
図2に示すように底面及び側板1〜4で囲まれた、上端に開口部31を有する平面視矩形状の箱体30が形成される。
【0026】
次いで、開口部31から箱体30内に被梱包物である交換部品(例えばトナーカートリッジ)を収納した後、蓋フラップ11、12、内蓋10、及び上蓋9を、この順に折り線に沿って箱体30の内側へ折り曲げていく。蓋フラップ11、12、内蓋10、及び上蓋9を折り曲げた状態を
図3に示す。
【0027】
次に、
図4に示すように、上蓋9の切り込み線20と折曲線21とで囲まれた部分を指で押さえて舌状片23を内側に切り起こす。そして、舌状片23の先端を内蓋10のスリット25に差し込む。舌状片23はスリット25に差し込まれる先端部に向かって徐々に幅狭となる先細り形状となっているため、スリット25に円滑に差し込むことができる。
【0028】
そして、
図5に示すように、上蓋9の差し込み片9aを内蓋10に設けられた第1差し込み孔13に挿入する。最後に、側板3の蓋板固定片15を差し込み片9aの第2差し込み孔17に挿入することにより、包装箱100の組み立てが完了する。この状態では、舌状片23がスリット25に挿入されているため、舌状片23に印刷された「開封済」の文字は視認できない。
【0029】
包装箱100に使用済みの交換部品を再梱包する際は、開口部31から箱体30内に交換部品を収納した後、蓋フラップ11、12、内蓋10、及び上蓋9を、この順に折り線に沿って箱体30の内側へ折り曲げていく。このとき、舌状片23はシート材の復元力によって折り曲げ状態から元に戻ろうとするため、
図6に示すように、舌状片23はスリット25に差し込まれずに内蓋10の表面に重なる。その結果、舌状片23は上蓋9と内蓋10とで挟まれて折り曲げ状態が伸長されていく。
【0030】
そして、上蓋9の差し込み片9aを内蓋10に設けられた第1差し込み孔13に挿入するとともに、側板3の蓋板固定片15を差し込み片9aの第2差し込み孔17に挿入して再梱包が完了する。この状態では、舌状片23はスリット25に挿入されておらず、上蓋9に沿って伸長されているため、
図7に示すように、貫通穴27は舌状片23によって再び塞がれ、舌状片23に印刷された「開封済」の文字が外部から視認できる。
【0031】
上記の構成によれば、包装箱100が開封されたか否かを一目で確認することができ、包装箱100を開封することなく内部の交換部品が未使用であるか使用済であるかを容易に確認することができる。また、包装箱100を用いた梱包時に糊付けを必要としないため、部材点数及び製造工数を削減できるとともに糊付け装置等の設備も不要となり、包装箱100の低コスト化に繋がる。さらに、開封時に包装箱100を破断しないため、包装箱100やテープの切れ端等のゴミも発生しない。
【0032】
図8は、本発明の第2実施形態に係る包装箱100の部分拡大図であり、舌状片23を折り曲げてスリット25に差し込んだ状態で上蓋9に形成される貫通穴27周辺の部分拡大図である。
図8では、舌状片23をスリット25に差し込んだ状態で差し込み片9aを第1差し込み孔13に挿入し、蓋板固定片15を第2差し込み孔17に挿入して上蓋9と内蓋10とを閉状態に固定したとき、舌状片23の折り曲げによって上蓋9に形成された貫通穴27から露出する内蓋10の表面に「未開封」の文字が印刷されている。
【0033】
本実施形態の構成によれば、包装箱100に使用済みの交換部品を再梱包する際は、舌状片23はスリット25に挿入されずに上蓋9に沿って伸長されるため、
図9に示すように、貫通穴27は舌状片23によって再び塞がれる。そして、上蓋10に印刷された「未開封」の文字に舌状片23が重なって外部から視認できなくなる。従って、舌状片23に「開封済」の文字を印刷した第1実施形態と同様に、包装箱100を開封することなく内部の交換部品が未使用であるか使用済であるかを容易に確認することができる。
【0034】
その他本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は、一対の底板5、6と一対の底フラップ7、8を係合させて底面を形成するB式タイプに限らず、矩形状の底板の四辺に連設された側板を上方に折り曲げるA式タイプ等、種々の組み立て方式の包装箱に適用できる。
【0035】
また、上記各実施形態では、差し込み片9aと蓋板固定片15とを用いて上蓋9を二重ロックする構成の包装箱100を例に挙げて説明したが、上蓋9をロックする機構はこれに限らず、例えば蓋板固定片15を用いない構成としても良い。
【0036】
また、舌状片23の大きさや形状、配置についても特に制限はなく、包装箱100の仕様に応じて任意に設計することができる。例えば、上記実施形態では舌状片23を上蓋9の略中央部に設け、上蓋9の内側に重なる内蓋10に舌状片23を差し込むスリット25を設けたが、舌状片23を上蓋9の蓋フラップ11、12に対向する端部寄りに設け、スリット25を蓋フラップ11、12に設けることもできる。
【0037】
また、上記各実施形態では、舌状片23の表面に「開封済」の文字を印刷するか、或いは上蓋9に形成された貫通穴27から露出する内蓋10の表面に「未開封」の文字を印刷して開封済であるか未開封であるかを判別するようにしたが、舌状片23の表面と内蓋10の表面の両方に文字を印刷しておけば、より確実な判別が可能となる。
【0038】
さらに、文字に限らず、マークや記号等、開封済であるか未開封であるかが判別できるような目印を形成すれば良い。さらに、舌状片23が折り曲げ状態(スリット25に挿入された状態)であるか伸長状態であるかによって未開封であるか開封済であるかを判別するようにすれば、必ずしも目印を必要としない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、対向する側板の上端に連設される内蓋と上蓋とを有する包装箱に利用可能である。本発明の利用により、梱包時に糊付けを必要とせず、開封した痕跡が明確に視認できる、強度や密閉性にも優れた簡易な構成の包装箱を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1〜4 側板
5、6 底板
7、8 底フラップ
9 上蓋
9a 差し込み片
10 内蓋
11、12 蓋フラップ
13 第1差し込み孔
15 蓋板固定片
17 第2差し込み孔
20 切り込み線
21 折曲線
23 舌状片
25 スリット
27 貫通穴
30 箱体
31 開口部
100 包装箱