(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置本体から前記ユニットを取り外すための第1の位置と前記装置本体からの前記ユニットの取り外しを規制するための第2の位置との間で移動可能に設けられ、前記各レバー装着部に装着可能な他のレバーを備え、
前記第2レバー装着部に前記他のレバーを装着した状態で該他のレバーを前記第2の位置に移動させると、前記他のレバーが前記装置本体と嵌合して前記他のレバーの前記第1の位置側への移動が規制され、
前記第1レバー装着部に前記他のレバーを装着した状態で該他のレバーを前記第2の位置に移動させると、前記他のレバーが前記装置本体と嵌合せずに前記他のレバーの前記第1の位置側への移動が許容されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記各ガイドレールの内面から所定長さ突出する突出位置と、該突出位置よりも前記各ガイドレールの内面側に退避する退避位置と、の間で前記装着方向と交差する方向に移動可能な係合片と、
該係合片を前記突出位置に付勢する付勢手段と、
前記ユニットの両側部に設けられる係合溝と、を備え、
前記レバーが前記第2の位置にある状態では、前記係合片が前記突出位置にあり、前記係合片と前記係合溝が係合して前記ユニットの前記装着方向手前側へのスライドが規制され、
工具を用いて前記レバーと前記装置本体の嵌合状態を解除しながら前記レバーを前記装着方向手前側に牽引して前記第2の位置から前記第1の位置までスライドさせると、前記レバーが前記係合片を押圧して前記付勢手段の付勢力に抗して前記係合片が前記突出位置から前記退避位置まで移動し、前記係合片と前記係合溝の係合が解除されて前記ユニットの前記装着方向手前側へのスライドが許容されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、装置本体に対して着脱可能なユニットを備えた画像形成装置の中には、ユーザーがユニットの交換を行うことを前提とするCRUモデル(Customer Replaceable Unit Model)とサービスマンがユニットの交換を行うことを前提とするコンベンショナルモデル(Conventional Model)が存在する。上記CRUモデルについて前述のようなレバーを用いる場合には、ユーザーが容易にユニットを取り外せるように、レバーを第2の位置から第1の位置まで簡単な操作で移動できるようにしておく必要がある。一方で、上記コンベンショナルモデルについて前述のようなレバーを用いる場合には、ユーザーが誤ってユニットを取り外さないように、レバーを第2の位置から第1の位置まで簡単な操作では移動できないようにしておく必要が有る。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、このような複数のモデルに対応する手段が何ら講じられておらず、レバーを回転させるのに必要な力の大きさに応じて、CRUモデル又はコンベンショナルモデルのいずれか一方にしか対応することができなかった。
【0007】
なお、特許文献1に記載の従来技術について、コンベンショナルモデルに適用する場合にのみ、レバーが第2の位置から第1の位置まで移動するのを抑制するような部品を別途に追加すれば、CRUモデルとコンベンショナルモデルの両方に対応することは可能である。しかしながら、この場合には、レバーの移動を規制する部品を別途に追加することで部品点数が増加し、製造コストの上昇を招く虞が有る。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、新たな部品を追加することなく、CRUモデルとコンベンショナルモデルの両方に対応可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、該装置本体に対して着脱されるユニットと、を備えた画像形成装置であって、前記装置本体又は前記ユニットのいずれか一方は、前記装置本体から前記ユニットを取り外すための第1の位置と前記装置本体からの前記ユニットの取り外しを規制するための第2の位置との間で移動可能なレバーと、該レバーを装着可能な第1レバー装着部と、該第1レバー装着部とは異なる位置に設けられ、前記レバーを装着可能な第2レバー装着部と、を備え、前記第1レバー装着部に前記レバーを装着した状態で該レバーを前記第2の位置に移動させると、前記レバーが前記装置本体と嵌合して前記レバーの前記第1の位置側への移動が規制され、前記第2レバー装着部に前記レバーを装着した状態で該レバーを前記第2の位置に移動させると、前記レバーが前記装置本体と嵌合せずに前記レバーの前記第1の位置側への移動が許容されることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することで、第1レバー装着部にレバーを装着した状態では、レバーを第2の位置から第1の位置まで容易に移動させることができなくなる。そのため、ユーザーが誤ってユニットを取り外すのを防止することができる。このような構成は、コンベンショナルモデルの画像形成装置に好適である。これに対して、第2レバー装着部にレバーを装着した状態では、レバーを第2の位置から第1の位置まで容易に移動させて、ユーザーがユニットを取り外すことができる。このような構成は、CRUモデルに好適である。以上のように、レバーを取り付けるレバー装着部を画像形成装置の製造時等に適宜選択することで、コンベンショナルモデルとCRUモデルの両方に対応することができ、レバーの使用性を高めることが可能となる。
【0011】
また、レバーを取り付けるレバー装着部を選択するだけで、新規部品を追加することなく、コンベンショナルモデルとCRUモデルの両方に対応することができる。そのため、装置の構成を簡易なものとすることができ、製造コストを低下させることが可能となる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記装置本体から前記ユニットを取り外すための第1の位置と前記装置本体からの前記ユニットの取り外しを規制するための第2の位置との間で移動可能に設けられ、前記各レバー装着部に装着可能な他のレバーを備え、前記第2レバー装着部に前記他のレバーを装着した状態で該他のレバーを前記第2の位置に移動させると、前記他のレバーが前記装置本体と嵌合して前記他のレバーの前記第1の位置側への移動が規制され、前記第1レバー装着部に前記他のレバーを装着した状態で該他のレバーを前記第2の位置に移動させると、前記他のレバーが前記装置本体と嵌合せずに前記他のレバーの前記第1の位置側への移動が許容されることを特徴とする。
【0013】
このような構成を採用することで、レバーと他のレバーを用いて複数箇所でユニットの取り外しの規制を行うことができ、レバーのみを用いて1箇所でユニットの取り外しの規制を行う場合と比較して、ユニットの取り外しの規制を確実に行うことが可能となる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、前記装置本体は、前記ユニットが所定の装着方向に沿って装着されるユニット装着部と、該ユニット装着部の両側に設けられるフレーム部材と、該各フレーム部材の内面側に前記装着方向に沿ってスライド可能な状態で設けられ、前記ユニットを支持する支持部材と、を備え、該各支持部材には前記各レバー装着部が設けられ、該各レバー装着部には前記レバーが回転可能な状態で装着されても良い。
【0015】
このような構成を採用することで、ユニットを支持する支持部材をスライドさせることにより、ユニット自体を直接押し込んだり引き出したりすることなく、ユニットの着脱を行うことができる。このような構成は、例えば定着ユニットのようなユニットを装置本体に対して着脱する場合に好適である。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記ユニット装着部の前記装着方向手前側の端部には開口部が設けられ、該開口部を覆うようにして開閉可能なカバーが設けられ、前記レバーには、前記装着方向手前側に向かって突出する突部が設けられ、前記支持部材が所定のスライド完了位置までスライドしていない状態で前記カバーを閉止すると、該カバーが前記突部を前記装着方向奥側に押圧して、前記支持部材が前記スライド完了位置までスライドしても良い。
【0017】
このような構成を採用することで、ユニットの装置本体に対する装着が不完全なままカバーが閉止されるのを防止することが可能となる。
【0018】
本発明の画像形成装置は、前記フレーム部材の前記装着方向手前側の端部には嵌合穴が設けられ、前記レバーには、前記嵌合穴に嵌合可能な嵌合突起が設けられ、該嵌合突起は、前記装着方向奥側に向かって前記嵌合穴から離間する方向に傾斜するガイド面と、該ガイド面の前記装着方向手前側に連設され、前記装着方向手前側に向かって前記嵌合穴から離間する方向に傾斜する係止面と、を備え、該係止面の前記装着方向に対する傾斜角度が前記ガイド面の前記装着方向に対する傾斜角度よりも大きくても良い。
【0019】
このような構成を採用することで、係止面よりも傾斜角度の小さなガイド面を利用して、嵌合突起を嵌合穴に容易に嵌合させることができる。また、ガイド面よりも傾斜角度の大きな係止面によって、嵌合突起と嵌合穴の嵌合状態を確実に保持することが可能となる。
【0020】
本発明の画像形成装置は、前記フレーム部材の内面には、係合突起が設けられ、前記レバーは、前記係合突起と係合可能な係合凹部と、該係合凹部よりも前記装着方向奥側に設けられる被押圧部と、を備え、前記支持部材と前記レバーの間には、該レバーを前記第2の位置に付勢する付勢部材が介装され、前記支持部材を前記装着方向奥側に向かって所定位置までスライドさせると、前記係合突起が前記被押圧部を押圧して前記付勢部材の付勢力に抗して前記レバーが前記第1の位置側に回転し、前記所定位置よりも前記装着方向奥側まで前記支持部材をスライドさせると、前記係合突起による前記被押圧部の押圧が解除され、前記レバーが前記第2の位置まで回転して前記係合突起と前記係合凹部が係合しても良い。
【0021】
このような構成を採用することで、支持部材のスライドと連動して容易に係合突起と係合凹部を係合させ、ユニットの取り外しを規制することができる。
【0022】
本発明の画像形成装置は、前記装置本体は、前記ユニットが所定の装着方向に沿って装着されるユニット装着部と、該ユニット装着部の両側に設けられ、前記装着方向に沿ってスライド可能な状態で前記ユニットを支持するガイドレールと、を備え、前記ユニットには前記各レバー装着部が設けられ、該各レバー装着部には前記レバーが前記装着方向に沿ってスライド可能な状態で装着されても良い。
【0023】
このような構成を採用することで、簡易な構成によりユニットの着脱を行うことが可能となる。このような構成は、例えば中間転写ユニットのようなユニットを装置本体に対して着脱する場合に好適である。
【0024】
本発明の画像形成装置は、前記各ガイドレールの内面から所定長さ突出する突出位置と、この突出位置よりも前記各ガイドレールの内面側に退避する退避位置と、の間で前記装着方向と交差する方向に移動可能な係合片と、該係合片を前記突出位置に付勢する付勢手段と、前記ユニットの両側部に設けられる係合溝と、を備え、前記レバーが前記第2の位置にある状態では、前記係合片が前記突出位置にあり、前記係合片と前記係合溝が係合して前記ユニットの前記装着方向手前側へのスライドが規制され、前記レバーを前記装着方向手前側に牽引して前記第2の位置から前記第1の位置までスライドさせると、前記レバーが前記係合片を押圧して前記付勢手段の付勢力に抗して前記係合片が前記突出位置から前記退避位置まで移動し、前記係合片と前記係合溝の係合が解除されて前記ユニットの前記装着方向手前側へのスライドが許容されても良い。
【0025】
このような構成を採用することで、レバーを第2の位置から第1の位置までスライドさせるのに連動してユニットを装着方向手前側に引き抜くことができ、ユニットを装置本体から取り外す作業の容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、新たな部品を追加することなく、CRUモデルとコンベンショナルモデルの両方に対応可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としてのカラープリンター1について、
図1〜
図13を用いて説明する。最初に、カラープリンター1をコンベンショナルモデル(サービスマンがユニットの交換を行うことを前提とするモデル)に使用する場合について説明を行う。
【0029】
まず、
図1を用いてカラープリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0030】
カラープリンター1は、装置本体としての箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0031】
プリンター本体2の上部には、プリンター本体2に対して着脱される中間転写ユニット5が設けられている。中間転写ユニット5は、複数のローラー間に架設される中間転写ベルト6を備えており、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が配置されている。プリンター本体2の中央部には、中間転写ベルト6の下部に沿って4個の画像形成部8がトナーの色ごとに設けられている。
【0032】
各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応する4個のトナーコンテナ15が、トナーの色ごとに設けられている。
【0033】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路16が設けられている。搬送経路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送経路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部18が設けられ、搬送経路16の下流部には、プリンター本体2に対して着脱される定着ユニット20が設けられ、搬送経路16の下流端には排紙口21が設けられている。
【0034】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着ユニット20の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0035】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0036】
一方、給紙部17によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部18へと搬送され、二次転写部18において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路16を下流側へと搬送されて定着ユニット20に進入し、定着ユニット20において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口21から排紙トレイ4の上に排出される。
【0037】
次に、
図2〜
図6を用いて、プリンター本体2の構成について説明する。なお、各図に付される矢印Frは、カラープリンター1の正面側(前側)を示している(
図7以降も同様である)。
【0038】
図2に示されるように、プリンター本体2にはユニット装着部22が設けられている。
図2に矢印Aで示されるように、ユニット装着部22には左右方向に沿って定着ユニット20(
図2では図示せず)が装着されるようになっている。本実施形態では、カラープリンター1の右側が定着ユニット20のプリンター本体2に対する装着方向手前側であり、カラープリンター1の左側が定着ユニット20のプリンター本体2に対する装着方向奥側である。
【0039】
ユニット装着部22の右端部には開口部23が設けられ、この開口部23を覆うようにして開閉可能な右カバー24(
図3参照)がプリンター本体2に取り付けられている。なお、右カバー24は、
図3を除いて記載が省略されている。
【0040】
図2に示されるように、ユニット装着部22の前後両側には、それぞれ前側フレーム部材25と後側フレーム部材26が立設されている。各フレーム部材25、26の右端部には、縦長矩形状の嵌合穴27が設けられている。
図4、
図5に示されるように、各フレーム部材25、26の内面側の右端には係合突起28が設けられている。係合突起28は、左右方向に延びる基部30と、基部30の右端部から下方に向かって突出する突出部31と、を備えている。
【0041】
図2に示されるように、前側フレーム部材25の内面側には前側の支持部材32が左右方向スライド可能な状態で支持され、後側フレーム部材26の内面側には後側の支持部材33が左右方向スライド可能な状態で支持されている。各支持部材32、33の内面側には、左下方に傾斜するガイド溝34(
図2では、後側の支持部材33のガイド溝34のみを表示)が設けられている。
【0042】
図3に示されるように、前側の支持部材32の右端部には第1レバー装着部35が設けられている。第1レバー装着部35の左側部には、横向き円柱状の支軸36が設けられている。第1レバー装着部35の右側部には、上向きコ字状のバネ支持部37が設けられている。
【0043】
第1レバー装着部35には、レバー38が装着されている。レバー38は、左右方向に延びる第1腕部40と、第1腕部40の先端部(本実施形態では右端部)から上方に向かって屈曲される第2腕部41と、を備えており、略L字状を成している。
【0044】
第1腕部40の基端部(本実施形態では左端部)には軸穴42が設けられ、軸穴42には第1レバー装着部35の支軸36が貫挿されている。これにより、
図6(a)に示されるように、プリンター本体2から定着ユニット20を取り外すための第1の位置(下方に回転した位置。
図6(a)の二点鎖線参照。)とプリンター本体2からの定着ユニット20の取り外しを規制するための第2の位置(上方に回転した位置。
図6(a)の実線参照。)との間でレバー38が回転可能となっている。
【0045】
第1腕部40の上面の右端側には係合凹部43が設けられ、係合凹部43よりも左側には被押圧部49が上方に向かって突設されている。第1腕部40の右端面の下端には、右側に向かって突出する突部44が設けられている。レバー38の前面及び後面には、第1腕部40と第2腕部41に亘って凹溝45が設けられている。レバー38の前面の凹溝45には、第1腕部40の右端部にあたる位置に三角柱状の嵌合突起46が設けられている。嵌合突起46は、弾性を有している。嵌合突起46は、左側に向かって後方(前側フレーム部材25の嵌合穴27から離間する方向)に傾斜するガイド面47と、ガイド面47の右側に連設され、右側に向かって後方に傾斜する係止面48と、を備えている。係止面48の左右方向に対する傾斜角度αは、ガイド面47の左右方向に対する傾斜角度βよりも大きくなっている。嵌合突起46の前後長さ(突出長さ)は凹溝45の前後長さ(深さ)よりも長いため、嵌合突起46の先端部は、レバー38の前面よりも前方に突出している。なお、嵌合突起46は、レバー38の片方の面(前面)にのみ突設されており、もう一方の面(後面)には突設されていない。
【0046】
図3に示されるように、レバー38の第1腕部40の下面と第1レバー装着部35のバネ支持部37の間には、付勢部材としてのコイルスプリング50が介装されており、このコイルスプリング50によってレバー38が第2の位置に付勢されている。
【0047】
図2に示されるように、後側の支持部材33の右端部には、第1レバー装着部35とは異なる位置に第2レバー装着部51が設けられている。第2レバー装着部51の左側部には、横向き円柱状の支軸59が設けられている。第2レバー装着部51の右側部には、上向きコ字状のバネ支持部(図示せず)が設けられている。
【0048】
第2レバー装着部51には、他のレバー52が装着されている。
図6(b)に示されるように、他のレバー52はレバー38と略前後対称形であるため、図面上において他のレバー52の各部にレバー38の各部と同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
他のレバー52の軸穴42には第2レバー装着部51の支軸59(
図2参照)が貫挿されている。これにより、
図6(b)に示されるように、プリンター本体2から定着ユニット20を取り外すための第1の位置(下方に回転した位置。
図6(b)の二点鎖線参照。)とプリンター本体2からの定着ユニット20の取り外しを規制するための第2の位置(上方に回転した位置。
図6(b)の実線参照。)との間で他のレバー52が回転可能となっている。他のレバー52は、第2レバー装着部51との間に介装された付勢手段としてのコイルスプリング(図示せず)によって第2の位置に付勢されている。
【0050】
次に、
図7を用いて、定着ユニット20について説明する。
【0051】
図7に示されるように、定着ユニット20は、加熱ローラー53と、加熱ローラー53の右側に設けられる加圧ローラー54と、加熱ローラー53及び加圧ローラー54を収容するユニット本体55と、を備えている。
【0052】
加熱ローラー53は、例えば、ローラー本体と、このローラー本体に周設されるベルト体と、により構成されている。ローラー本体は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。ベルト体は、例えば、Ni等の強磁性材料で形成される基材と、この基材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。加熱ローラー53は、IH定着ユニットやハロゲンヒーター等の熱源(図示せず)によって加熱されるようになっている。加熱ローラー53は、駆動モーター等の駆動源(図示せず)からの駆動力によって回転するようになっている。
【0053】
加圧ローラー54は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。加圧ローラー54は、加熱ローラー53の回転に伴って加熱ローラー53とは逆方向に従動回転するように構成されている。
【0054】
ユニット本体55の前後両端面には、左下方に向かって傾斜する一対のガイド凹部56が設けられ、一対のガイド凹部56の間には、左下方に向かって傾斜するガイド突起57が設けられている。ユニット本体55の上面の前後両端部には、定着ユニット20を持ち上げるためのアーチ状の把手部58が設けられている。
【0055】
上記の如く構成されたものにおいて、定着ユニット20の交換時やメンテナンス時などに、定着ユニット20をプリンター本体2に対して着脱する方法について主に
図8〜
図10を用いて説明する。なお、定着ユニット20をプリンター本体2に対して着脱する際には、レバー38と他のレバー52を同時に回転させることになるが、以下の説明では、レバー38の動きを中心に説明を行い、他のレバー52の動きについては適宜説明を省略する。
【0056】
定着ユニット20をプリンター本体2に装着するには、まず、右カバー24(
図3参照)を開放する。そして、
図8(a)に示されるように、レバー38及び他のレバー52を右側に引いて各支持部材32、33をプリンター本体2から右側に引き出す。そして、定着ユニット20の把手部58を把持して定着ユニット20を持ち上げ、定着ユニット20を各支持部材32、33の上方に保持する。次に、
図8(a)に矢印Xで示されるように、定着ユニット20を各支持部材32、33に対して下降させ、定着ユニット20のガイド突起57を各支持部材32、33のガイド溝34と係合させながら、定着ユニット20を各支持部材32、33に載置する。これにより、
図8(b)に示されるように、定着ユニット20が各支持部材32、33に支持される。
【0057】
次に、
図8(b)に矢印Yで示されるように、レバー38及び他のレバー52を左側に押圧することで、プリンター本体2から引き出された各支持部材32、33を左側に押し込む。これに伴って、レバー38、他のレバー52、各支持部材32、33及び定着ユニット20が左側に向かって一体にスライドしていき、
図9(a)に示されるように、前側フレーム部材25の係合突起28の突出部31がレバー38の被押圧部49に当接する。
【0058】
各支持部材32、33を左側に向かって更に押し込んで所定位置までスライドさせると、
図9(b)に示されるように、係合突起28の突出部31がレバー38の被押圧部49を下方に押圧して、コイルスプリング50の付勢力に抗してレバー38が第2の位置から第1の位置側に回転する。また、
図10(a)に示されるように、レバー38の嵌合突起46のガイド面47が前側フレーム部材25の右端縁に当接する。
【0059】
次に、各支持部材32、33を更に左側にスライドさせると、
図9(c)に示されるように、係合突起28の突出部31によるレバー38の被押圧部49の押圧が解除され、コイルスプリング50の付勢力によってレバー38が第1の位置側から第2の位置に回転する。なお、コイルスプリング50の付勢力だけではレバー38を回転させる力が不十分な場合には、レバー38の第2腕部41の上端部を左側に押圧してレバー38を回転させる。このレバー38の回転に伴って、
図4に示されるように、前側フレーム部材25の係合突起28の突出部31とレバー38の係合凹部43が係合する。また、他のレバー52についてもレバー38と同様の作用により第1の位置側から第2の位置に回転し、
図5に示されるように、後側フレーム部材26の係合突起28の突出部31と他のレバー52の係合凹部43が係合する。これにより、プリンター本体2に対する各支持部材32、33の左右方向のスライドが規制され、これに伴って、定着ユニット20のプリンター本体2からの取り外しも規制される。以上のように、各支持部材32、33のスライドと連動して容易に係合突起28と係合凹部43を係合させ、定着ユニット20の取り外しを規制することができる。
【0060】
また、前述のようにレバー38を第2の位置に回転させると、
図10(b)に示されるように、レバー38の嵌合突起46が前側フレーム部材25の嵌合穴27に嵌合する。これにより、レバー38の第1の位置側への回転が規制される。また、他のレバー52の嵌合突起46が後側フレーム部材26の嵌合穴27に嵌合する。これにより、他のレバー52の第1の位置側への回転が規制される。以上のような動作により、定着ユニット20のプリンター本体2への装着が完了する(
図8(c)参照)。
【0061】
最後に、右カバー24(
図3参照)を閉止する。この時、各支持部材32、33が所定のスライド完了位置までスライドしていない場合(各支持部材32、33の左側へのスライドが不完全な場合)には、
図3に二点鎖線で示されるように、レバー38が装着完了位置よりも右側に突出している。この状態で右カバー24を閉止すると、右カバー24がレバー38の突部44を左側に押圧する。これにより、各支持部材32、33がスライド完了位置までスライドし、レバー38も装着完了位置まで移動する。このような構成により、定着ユニット20のプリンター本体2に対する装着が不完全なまま右カバー24が閉止されるのを防止することが可能となっている。
【0062】
また、定着ユニット20を装置本体2から取り外すには、マイナスドライバー等の工具を用いて嵌合突起46と嵌合穴27の嵌合状態を解除しながら、レバー38及び他のレバー52を第2の位置から第1の位置まで回転させ、レバー38及び他のレバー52を手前側に引く。これにより、レバー38、他のレバー52、各支持部材32、33及び定着ユニット20が、一体的に引き出される。このように、工具を用いなければレバー38を第2の位置から第1の位置まで回転させることができないため、ユーザーが誤って定着ユニット20を取り外すのを防止することができる。
【0063】
次に、カラープリンター1をCRUモデル(ユーザーがユニットの交換を行うことを前提とするモデル)として使用する場合について説明する。
図11(a)に示されるように、カラープリンター1をコンベンショナルモデルとして使用する場合には、第1レバー装着部35にレバー38を装着したが、カラープリンター1をCRUモデルとして使用する場合には、
図11(b)に示されるように、第2レバー装着部51にレバー38を装着する。このように第2レバー装着部51にレバー38を装着すると、
図12に示されるように、レバー38の嵌合突起46が後側フレーム部材26とは逆側を向く。そのため、レバー38を第2の位置に回転させてもレバー38の嵌合突起46が後側フレーム部材26の嵌合穴27と嵌合せず、レバー38の第1の位置側への回転が許容される。
【0064】
また、
図11(a)に示されるように、カラープリンター1をコンベンショナルモデルとして使用する場合には、第2レバー装着部51に他のレバー52を装着したが、カラープリンター1をCRUモデルとして使用する場合には、
図11(b)に示されるように、第1レバー装着部35に他のレバー52を装着する。このように第1レバー装着部35に他のレバー52を装着すると、
図13に示されるように、他のレバー52の嵌合突起46が、前側フレーム部材25とは逆側を向く。そのため、他のレバー52を第2の位置に回転させても他のレバー52の嵌合突起46が前側フレーム部材25の嵌合穴27と嵌合せず、他のレバー52の第1の位置側への回転が許容される。
【0065】
以上のように、レバー38及び他のレバー52の第1の位置側への回転が許容されるため、ユーザーがレバー38及び他のレバー52を第2の位置から第1の位置まで容易に回転させて、定着ユニット20を取り外すことができる。
【0066】
以上のように、機種のコンセプトに応じてレバー38と他のレバー52を前後に入れ替えるだけで、コンベンショナルモデルとCRUモデルの両方に対応することができ、レバー38の使用性を高めることが可能となる。また、レバー38を取り付けるレバー装着部35、51を選択するだけで、新規部品を追加することなく、コンベンショナルモデルとCRUモデルの両方に対応することができる。そのため、装置の構成を簡易なものとすることができ、製造コストを低下させることが可能となる。また、部品の共通化が進んで部品コストが安くなるとともに、複数の機種について同一の部品で対応できるため、組み立て時の作業性も向上する。
【0067】
また、レバー38と他のレバー52を併用することで、複数箇所で定着ユニット20の取り外しの規制を行うことができ、レバー38のみを用いて1箇所で定着ユニット20の取り外しの規制を行う場合と比較して、定着ユニット20の取り外しの規制を確実に行うことが可能となる。
【0068】
また、定着ユニット20を支持する各支持部材32、33をスライドさせる構成であるため、定着ユニット20自体を直接押し込んだり引き出したりすることなく、定着ユニット20の着脱を行うことができる。
【0069】
また、
図6(a)に示されるように、レバー38の嵌合突起46に設けられた係止面48の左右方向に対する傾斜角度αは、レバー38の嵌合突起46に設けられたガイド面47の左右方向に対する傾斜角度βよりも大きくなっている。そのため、係止面48よりも傾斜角度の小さなガイド面47を利用して、嵌合突起46を嵌合穴27に容易に嵌合させることができる(
図10(a)参照)。また、ガイド面47よりも傾斜角度の大きな係止面48によって、嵌合突起46と嵌合穴27の嵌合状態を確実に保持することが可能となる(
図10(b)参照)。
【0070】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、定着ユニット20に本発明の構成を適用する場合について説明したが、第2の実施形態では、中間転写ユニット5に本発明の構成を適用する場合について説明する。最初に、カラープリンター1をコンベンショナルモデルに使用する場合について説明を行う。なお、プリンター本体2と中間転写ユニット5以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
まず、プリンター本体2について説明する。
図14に示されるように、プリンター本体2にはユニット装着部61が設けられている。ユニット装着部61には、
図14に矢印Bで示されるように、中間転写ユニット5が左右方向に沿って装着されるようになっている。本実施形態では、カラープリンター1の右側が中間転写ユニット5のプリンター本体2に対する装着方向手前側であり、カラープリンター1の左側が中間転写ユニット5のプリンター本体2に対する装着方向奥側である。
【0072】
ユニット装着部61の前後両側には、ガイドレール62が設けられている。ガイドレール62は、左右方向に沿ってスライド可能な状態で中間転写ユニット5を支持している。
図15(a)及び
図15(b)に示されるように、各ガイドレール62には、前後方向(左右方向と交差する方向)に移動可能な係合片63が設けられている。係合片63は、各ガイドレール62の内面から所定長さ突出する突出位置(
図15(a)参照)と、この突出位置よりも各ガイドレール62の内面側に退避する退避位置(
図15(b)参照)と、の間で移動可能となっている。ガイドレール62と係合片63の間には付勢手段としてのコイルバネ64が介装され、このコイルバネ64によって係合片63が突出位置に付勢されている。ガイドレール62には、嵌合凹部65が設けられている。
【0073】
次に、中間転写ユニット5について説明する。
図14に示されるように、中間転写ユニット5には、中間転写ベルト6を覆うようにして、ユニットフレーム66が設けられている。ユニットフレーム66の上面には、一対の把持部67が設けられている。
【0074】
図15(a)及び
図15(b)に示されるように、ユニットフレーム66の前後両側部の右端には係合溝68が設けられている。ユニットフレーム66の前側部の右端には、第1レバー装着部70が設けられている。第1レバー装着部70にはレバー71が装着されている。レバー71は、プリンター本体2から中間転写ユニット5を取り外すための第1の位置(右側にスライドした位置。
図15(b)参照)とプリンター本体2からの中間転写ユニット5の取り外しを規制するための第2の位置(左側にスライドした位置。
図15(a)参照)との間で左右方向に沿ってスライド可能となっている。
【0075】
図16に示されるように、レバー71は左右方向に長い形状を成している。レバー71の前面の左側部には、左方に向かって前方に傾斜する押圧部72が設けられている。レバー71の後面の左側部には、左方に向かって後方に傾斜する押圧部69が設けられている。レバー71の前面の右側部には、嵌合突起73が設けられている。嵌合突起73は、左側に向かって後方に傾斜するガイド面74と、ガイド面74の右側に連設されて右側に向かって後方に傾斜する係止面75と、を備えている。
【0076】
図14等に示されるように、ユニットフレーム66の後側部の右端には、第1レバー装着部70とは異なる位置に第2レバー装着部76が設けられている。第2レバー装着部76には、左右方向に沿ってスライド可能な状態で他のレバー77が装着されている。以下、他のレバー77がレバー71と同様の動きをする場合には、他のレバー77の動きについては適宜説明を省略する。
【0077】
上記の如く構成されたものにおいて、レバー71を第2の位置にスライドさせると、
図15(a)に示されるように、係合片63が係合溝68に係合することにより、中間転写ユニット5のプリンター本体2からの取り外しが規制される。また、レバー71の嵌合突起73が前側のガイドレール62の嵌合凹部65に嵌合することにより、レバー71の第1の位置側へのスライドが規制される。
【0078】
そして、中間転写ユニット5をプリンター本体2から取り外すには、マイナスドライバー等の工具を用いて嵌合突起73と嵌合凹部65の嵌合状態を解除しながら、レバー71を右側に牽引する。これにより、
図15(b)に示されるように、レバー71が第2の位置から第1の位置までスライドし、レバー71の押圧部72が係合片63を押圧する。この押圧により、コイルバネ64の付勢力に抗して係合片63が突出位置から退避位置まで移動し、係合片63と係合溝68の係合が解除されて、中間転写ユニット5の右側へのスライドが許容される。これにより、中間転写ユニット5のプリンター本体2からの取り外しが許容される。
【0079】
次に、カラープリンター1をCRUモデルとして使用する場合について説明する。
【0080】
図15(a)に示されるように、カラープリンター1をコンベンショナルモデルとして使用する場合には、第1レバー装着部70にレバー71を装着したが、カラープリンター1をCRUモデルとして使用する場合には、
図17に示されるように、第2レバー装着部76にレバー71を装着する。このように第2レバー装着部76にレバー71を装着すると、レバー71の嵌合突起73が後側のガイドレール62とは逆側を向く。そのため、レバー71を第2の位置にスライドさせてもレバー71の嵌合突起73が後側のガイドレール62の嵌合凹部65と嵌合せず、レバー71の第1の位置側へのスライドが許容される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、ガイドレール62を用いた簡易な構成により中間転写ユニット5の着脱を行うことが可能となっている。また、レバー71を第2の位置から第1の位置までスライドさせるのに連動して中間転写ユニット5を右側に引き抜くことができ、中間転写ユニット5をプリンター本体2から取り外す作業の容易化を図ることができる。
【0082】
第1の実施形態では定着ユニット20をユニットとする場合について説明し、第2の実施形態では中間転写ユニット5をユニットとする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、プリンター本体2に対して着脱される他のユニット(例えば、ドラムユニットや現像ユニット)をユニットとしても良い。
【0083】
第1、第2の実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。