特許第5802743号(P5802743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5802743
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】電波腕時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/04 20130101AFI20151015BHJP
   G04R 20/00 20130101ALI20151015BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20151015BHJP
   G04C 10/02 20060101ALI20151015BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G04R20/04
   G04C9/02 A
   G04G5/00 J
   G04C10/02 A
   G04G1/00 310A
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-507355(P2013-507355)
(86)(22)【出願日】2012年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2012056395
(87)【国際公開番号】WO2012132874
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-79890(P2011-79890)
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307023373
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩田 拓史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−203856(JP,A)
【文献】 特開2003−130973(JP,A)
【文献】 国際公開第02/27414(WO,A1)
【文献】 特開昭60−185188(JP,A)
【文献】 特開2012−150047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/04
G04C 10/02
G04G 5/00
G04G 19/00
G04R 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
所定の条件下で動作を停止する制御回路と、
前記太陽電池に照射される光の照度が、所与の閾値を超えるか否かを示す信号を出力する照度検出回路と、
前記所与の閾値を、第1の照度閾値、及び、当該第1の照度閾値より大きな第2の照度閾値の間で切り替える閾値切替手段と、
前記照度が前記第1の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、停止中の前記制御回路を起動させる制御回路起動手段と、
前記照度が前記第2の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、時刻情報を含む衛星信号を衛星から受信する衛星信号受信手段と、
前記受信した衛星信号に含まれる時刻情報に応じた時刻を表示する時刻表示手段と、
を含むことを特徴とする電波腕時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電波腕時計において、
前記照度検出回路は、
前記太陽電池と並列接続可能であって、第1の抵抗値を持つ第1の回路要素と、
前記太陽電池と並列接続可能であって、前記第1の抵抗値より小さな抵抗値を持つ第2の回路要素と、
前記太陽電池の出力電圧が所定の閾値電圧を超えるか否かを示す信号を出力する比較回路と、
を備え、
前記閾値切替手段は、前記太陽電池と並列接続される回路要素を、前記第1の回路要素、及び前記第2の回路要素の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替える
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項3】
請求項2に記載の電波腕時計において、
前記第1の回路要素は、前記太陽電池と常に並列接続される第1の抵抗器であって、
前記第2の回路要素は、前記第1の抵抗器と、スイッチを介して前記太陽電池及び前記第1の抵抗器に並列接続される第2の抵抗器と、を含んで構成され、
前記閾値切替手段は、前記スイッチのオンとオフを切り替えることにより、前記太陽電池と並列接続される回路要素を、前記第1の回路要素及び前記第2の回路要素の間で切り替える
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項4】
請求項2に記載の電波腕時計において、
前記第1の回路要素は、第1のスイッチを介して前記太陽電池と接続され、
前記第2の回路要素は、第2のスイッチを介して前記太陽電池と接続され、
前記第1のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオンになるノーマルクローズのスイッチであって、
前記第2のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオフになるノーマルオープンのスイッチである
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項5】
請求項1に記載の電波腕時計において、
前記照度検出回路は、
前記太陽電池の出力電圧が所与の閾値電圧を超えるか否かを示す信号を出力する比較回路を備え、
前記閾値切替手段は、前記比較回路に入力される閾値電圧を、第1の閾値電圧、及び前記第1の閾値電圧より大きな第2の閾値電圧の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替える
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項6】
請求項5に記載の電波腕時計において、
前記照度検出回路は、
前記比較回路に対して、前記所与の閾値電圧として、前記第1の閾値電圧を入力可能な第1の定電圧出力回路と、
前記比較回路に対して、前記所与の閾値電圧として、前記第2の閾値電圧を入力可能な第2の定電圧出力回路と、
を備え、
前記閾値切替手段は、前記比較回路に前記所与の閾値電圧を入力する定電圧出力回路を、前記第1の定電圧出力回路、及び前記第2の定電圧出力回路の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替える
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項7】
請求項6に記載の電波腕時計において、
前記第1の定電圧出力回路は、第3のスイッチを介して前記比較回路と接続され、
前記第2の定電圧出力回路は、第4のスイッチを介して前記比較回路と接続され、
前記第3のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオンになるノーマルクローズのスイッチであって、
前記第4のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオフになるノーマルオープンのスイッチである
ことを特徴とする電波腕時計。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電波腕時計において、
前記閾値切替手段は、前記第1の照度閾値、前記第2の照度閾値、及び、当該第1の照度閾値より大きく、当該第2の照度閾値よりも小さな第3の照度閾値の間で前記所与の閾値を切り替え、
前記電波腕時計は、
所定の条件下において省電力状態で動作する手段と、
前記照度が前記第3の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、前記省電力状態での動作を終了する手段と、
を含むことを特徴とする電波腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池が発電する電力によって動作し、衛星から受信した信号に基づいて時刻の修正を行う電波腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を備え、この太陽電池が発電する電力によって動作する腕時計がある。太陽電池は、外部から照射される光の照度が大きくなるほど大きな発電量で発電する。腕時計は、太陽電池によって発電される電力を二次電池に蓄積し、この二次電池から供給される電力によって動作する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−241690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時刻情報を含んだ電波をGPS衛星等の衛星から受信して時刻の修正を行う電波腕時計が検討されている。このような電波腕時計は、屋内では十分な強度で衛星からの信号を受信することが困難な場合があるため、屋外にあるときに衛星からの信号を受信することが望ましい。そこで、太陽電池に照射される光の照度が一定値を超えたときに、電波腕時計が屋外にあると判定し、衛星信号の受信処理を行うことが考えられる。
【0005】
また、上述したような太陽電池及び二次電池を備える腕時計の中には、二次電池の電池電圧が低下した際に、電池電圧の不足によって内蔵さていれる制御回路が異常停止してしまうことを避けるために、一時的に制御回路の動作を停止させる制御を行うものがある。このような腕時計は、制御回路の動作を一時的に停止した後は、太陽電池に一定値を超える照度の光が照射されているときに、太陽電池が発電した電力で二次電池の充電を行う。そして、二次電池に蓄積される電力がある程度回復した時点で、制御回路の再起動を行う。このような制御を行う場合、腕時計は、太陽電池に所定値を超える照度の光が照射されているか否かを判定する必要がある。このときの判断基準は、前述したように腕時計が屋外にあるか否か判定する際の基準よりは低く、屋内の照明による光が照射されている程度でもよい。
【0006】
このように、太陽電池を備える電波腕時計は、互いに異なる複数の判断基準で、太陽電池に照射される光の照度が高いか否か判断することを求められる場合がある。本発明はこのような課題を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、太陽電池の出力電圧や出力電流の値を直接計測せずとも、互いに異なる複数の判断基準で太陽電池に照射される光の照度が高いか否か判定することのできる電波腕時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電波腕時計は、太陽電池と、所定の条件下で動作を停止する制御回路と、前記太陽電池に照射される光の照度が、所与の閾値を超えるか否かを示す信号を出力する照度検出回路と、前記所与の閾値を、第1の照度閾値、及び、当該第1の照度閾値より大きな第2の照度閾値の間で切り替える閾値切替手段と、前記照度が前記第1の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、停止中の前記制御回路を起動させる制御回路起動手段と、前記照度が前記第2の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、時刻情報を含む衛星信号を衛星から受信する衛星信号受信手段と、前記受信した衛星信号に含まれる時刻情報に応じた時刻を表示する時刻表示手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記電波腕時計において、前記照度検出回路は、前記太陽電池と並列接続可能であって、第1の抵抗値を持つ第1の回路要素と、前記太陽電池と並列接続可能であって、前記第1の抵抗値より小さな抵抗値を持つ第2の回路要素と、前記太陽電池の出力電圧が所定の閾値電圧を超えるか否かを示す信号を出力する比較回路と、を備え、前記閾値切替手段は、前記太陽電池と並列接続される回路要素を、前記第1の回路要素、及び前記第2の回路要素の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替えることとしてもよい。
【0009】
さらに前記電波腕時計において、前記第1の回路要素は、前記太陽電池と常に並列接続される第1の抵抗器であって、前記第2の回路要素は、前記第1の抵抗器と、スイッチを介して前記太陽電池及び前記第1の抵抗器に並列接続される第2の抵抗器と、を含んで構成され、前記閾値切替手段は、前記スイッチのオンとオフを切り替えることにより、前記太陽電池と並列接続される回路要素を、前記第1の回路要素及び前記第2の回路要素の間で切り替えることとしてもよい。
【0010】
また、前記電波腕時計において、前記第1の回路要素は、第1のスイッチを介して前記太陽電池と接続され、前記第2の回路要素は、第2のスイッチを介して前記太陽電池と接続され、前記第1のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオンになるノーマルクローズのスイッチであって、前記第2のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオフになるノーマルオープンのスイッチであることとしてもよい。
【0011】
また、前記電波腕時計において、前記照度検出回路は、前記太陽電池の出力電圧が所与の閾値電圧を超えるか否かを示す信号を出力する比較回路を備え、前記閾値切替手段は、前記比較回路に入力される閾値電圧を、第1の閾値電圧、及び前記第1の閾値電圧より大きな第2の閾値電圧の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替えることとしてもよい。
【0012】
さらに、前記電波腕時計において、前記照度検出回路は、前記比較回路に対して、前記所与の閾値電圧として、前記第1の閾値電圧を入力可能な第1の定電圧出力回路と、前記比較回路に対して、前記所与の閾値電圧として、前記第2の閾値電圧を入力可能な第2の定電圧出力回路と、を備え、前記閾値切替手段は、前記比較回路に前記所与の閾値電圧を入力する定電圧出力回路を、前記第1の定電圧出力回路、及び前記第2の定電圧出力回路の間で切り替えることにより、前記第1の照度閾値と前記第2の照度閾値とを切り替えることとしてもよい。
【0013】
さらに前記電波腕時計において、前記第1の定電圧出力回路は、第3のスイッチを介して前記比較回路と接続され、前記第2の定電圧出力回路は、第4のスイッチを介して前記比較回路と接続され、前記第3のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオンになるノーマルクローズのスイッチであって、前記第4のスイッチは、前記制御回路の動作停止時にオフになるノーマルオープンのスイッチであることとしてもよい。
【0014】
また、前記電波腕時計において、前記閾値切替手段は、前記第1の照度閾値、前記第2の照度閾値、及び、当該第1の照度閾値より大きく、当該第2の照度閾値よりも小さな第3の照度閾値の間で前記所与の閾値を切り替え、前記電波腕時計は、所定の条件下において省電力状態で動作する手段と、前記照度が前記第3の照度閾値を超えることを示す信号を前記照度検出回路が出力する場合に、前記省電力状態での動作を終了する手段と、を含むこととしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電波腕時計によれば、太陽電池の出力電圧や出力電流の値を直接計測せずに、互いに異なる複数の閾値を用いて、太陽電池に照射される光の照度がそれぞれの閾値を超えるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電波腕時計の外観の一例を示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電波腕時計の内部構成を示す構成ブロック図である。
図3】第1の実施形態における電力供給部の回路構成を示す図である。
図4】太陽電池の電圧−電流特性を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る電波腕時計が実現する機能を示す機能ブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る電波腕時計が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図7】第1の実施形態における太陽電池の出力電圧の時間変化の一例を示す図である。
図8】照度検出回路の変形例を示す図である。
図9】照度検出回路の別の変形例を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態における電力供給部の回路構成を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る電波腕時計が実現する機能を示す機能ブロック図である。
図12A】第2の実施形態に係る電波腕時計が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図12B】第2の実施形態に係る電波腕時計が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図13】第2の実施形態における太陽電池の出力電圧の時間変化の一例を示す図である。
図14】本発明の第3の実施形態における電力供給部の回路構成を示す図である。
図15A】第3の実施形態に係る電波腕時計が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図15B】第3の実施形態に係る電波腕時計が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図16】第3の実施形態における太陽電池の出力電圧の時間変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る電波腕時計1について、説明する。本実施形態に係る電波腕時計1は、時刻情報を含んだ電波を受信し、当該受信した電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正を行う。図1は、本実施形態に係る電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、図2は、電波腕時計1の内部構成を示す構成ブロック図である。これらの図に示されるように、電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、制御回路30と、起動回路36と、電力供給部40と、駆動機構50と、時刻表示部51と、操作部60と、を含んで構成される。
【0019】
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星信号を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナである。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。これらのGPS衛星は、それぞれ高精度の原子時計を搭載しており、原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信している。
【0020】
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。
【0021】
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
【0022】
制御回路30は、マイクロコンピュータ等であって、演算部31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、RTC(Real Time Clock)34と、モータ駆動回路35と、を含んで構成される。
【0023】
演算部31は、ROM32に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施形態において演算部31が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部31のワークメモリとして機能し、演算部31の処理対象となるデータが書き込まれる。特に本実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれる。RTC34は、電波腕時計1内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。本実施形態に係る電波腕時計1では、演算部31が、RTC34から供給される信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正する。このようにして、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)が決定される。さらに、モータ駆動回路35が、この決定された表示時刻に応じて、後述する駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路30によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
【0024】
本実施形態において、制御回路30は、後述する二次電池42の電池電圧が低下した場合に、不測の動作停止を避けるために、RAM33内のデータを不揮発性メモリ(不図示)に待避させるなどの必要な処理を実行したうえで、一時的に動作を停止する。以下では、このように制御回路30が自身の動作を停止させる制御をパワーブレイク制御といい、パワーブレイク制御によって制御回路30が動作を停止した電波腕時計1の状態をパワーブレイク状態という。起動回路36は、パワーブレイク状態において二次電池42の電池電圧が所定値以上に回復した場合に、制御回路30の再起動を指示する制御信号を制御回路30に入力する。この起動回路36からの制御信号の入力を契機として制御回路30は再起動し、電波腕時計1はパワーブレイク状態から通常動作状態に復帰する。
【0025】
電力供給部40は、受信回路20や制御回路30、起動回路36など、電波腕時計1内の各部に対して、その動作に必要な電力を供給する。電力供給部40の具体的な構成については、後述する。
【0026】
駆動機構50は、前述したモータ駆動回路35から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、指針52を回転させる。時刻表示部51は、指針52及び文字板53によって構成される。指針52は、時針52a、分針52b、及び秒針52cからなり、これらの指針52が文字板53上を回転することによって、現在時刻が表示される。なお、文字板53上には、時刻表示のための目盛だけでなく、時刻情報受信の成否をユーザに示すためのマーカーなどが表示されてもよい。
【0027】
操作部60は、例えば竜頭や操作ボタン等であって、電波腕時計1の使用者による操作を受け付けて、その操作内容を制御回路30に対して出力する。制御回路30は、操作部60が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。
【0028】
次に、電力供給部40の回路構成について、図3の回路図を用いて説明する。同図に示されるように、電力供給部40は、太陽電池41と、二次電池42と、照度検出回路43と、スイッチSw1と、を含んで構成される。
【0029】
太陽電池41は、文字板53の下に配置されており、電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池42に供給する。太陽電池41の発電量は、電波腕時計1に照射される光の照度Lに応じて変化する。
【0030】
二次電池42は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池であって、太陽電池41によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20や制御回路30、起動回路36など、電力を必要とする各部に対して供給する。なお、図3では二次電池42から各部への電力供給線は図示を省略している。二次電池42は、直列接続されたスイッチSw1を介して太陽電池41と並列接続されている。太陽電池41は、スイッチSw1がオンになっている間だけ二次電池42へ電力供給を行う。
【0031】
照度検出回路43は、太陽電池41に照射されている光の照度Lを検出する。より具体的に、照度検出回路43は、照度Lが所与の閾値を超えているか否かを示す信号を出力する。この閾値は、場面によって第1照度閾値Lth1及び第2照度閾値Lth2のいずれかに切り替えられる。なお、これら2つの閾値の大小関係は、Lth1<Lth2となっている。図3に示すように、照度検出回路43は、第1抵抗器44と、第2抵抗器45と、レギュレータ46と、コンパレータ47と、スイッチSw2及びSw3と、を含んで構成される。
【0032】
第1抵抗器44及び第2抵抗器45は、太陽電池41の出力電圧Vhdを制御するプルダウン抵抗であって、互いに異なる抵抗値を持つ。また、第1抵抗器44は直列接続されたスイッチSw2を介して、第2抵抗器45は直列接続されたスイッチSw3を介して、それぞれ太陽電池41と並列接続される。以下では、第1抵抗器44の抵抗値をR1、第2抵抗器45の抵抗値をR2とする。なお、両者の大小関係は、R1>R2となっている。本実施形態では、第1抵抗器44が第1の回路要素として、第2抵抗器45が第2の回路要素として、それぞれ機能する。また、以下では、ある時点で太陽電池41と並列接続されている抵抗器を、太陽電池41の接続抵抗器という。スイッチSw2がオン、スイッチSw3がオフとなっているときは、第1抵抗器44が接続抵抗器となる。逆にスイッチSw2がオフ、スイッチSw3がオンとなっているときは、第2抵抗器45が接続抵抗器となる。
【0033】
レギュレータ46は、一定電圧を出力する定電圧出力回路である。以下では、レギュレータ46が出力する電圧を閾値電圧Vthと表記する。
【0034】
コンパレータ47は、2つの入力端子T1及びT2を備え、その両者に入力される電圧の大小を比較した結果を示す信号を出力する比較回路である。入力端子T1は、太陽電池41の出力と接続されており、出力電圧Vhdが入力端子T1に入力される。出力電圧Vhdの値は、太陽電池41に照射される光の照度L、及び太陽電池41の接続抵抗器(第1抵抗器44又は第2抵抗器45)の抵抗値に応じて決まる。また、入力端子T2はレギュレータ46の出力と接続されており、閾値電圧Vthが入力端子T2に入力される。その結果、コンパレータ47は、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えているか否かを示す信号を出力する。なお、コンパレータ47の出力は、制御回路30及び起動回路36の双方に接続されている。以下では、コンパレータ47は、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えている場合にHレベルの信号を、そうでない場合にLレベルの信号を出力するものとする。
【0035】
スイッチSw1、Sw2、及びSw3は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)スイッチ等であって、いずれも制御回路30からの制御信号によってそのオン/オフが切り替えられる。また、スイッチSw1については、起動回路36からの制御信号によってもそのオン/オフが切り替えられる。スイッチSw2は、制御回路30の動作停止時にはオンとなるノーマルクローズ(常時閉)のスイッチであるものとする。また、スイッチSw3は、制御回路30の動作停止時にはオフとなるノーマルオープン(常時開)のスイッチであるものとする。
【0036】
以下、照度検出回路43の出力を用いて、太陽電池41に照射される光の照度Lが第1照度閾値Lth1及び第2照度閾値Lth2のそれぞれを超えたか否か判定する方法について説明する。図4は、太陽電池41の電圧−電流特性を示す図である。同図においては、太陽電池41に照射される光の照度Lが第1照度閾値Lth1に等しい場合、及び第2照度閾値Lth2に等しい場合のそれぞれにおける太陽電池41の電圧−電流特性が実線で示されている。なお、Voc1及びVoc2は、それぞれの場合における開放電圧を示している。また、Isc1及びIsc2は、それぞれの場合における短絡電流を示している。図4からも分かるように、照度Lが大きくなるほど、開放電圧、短絡電流のいずれも大きくなる。
【0037】
さらに図4には、第1抵抗器44(抵抗値R1)及び第2抵抗器45(抵抗値R2)それぞれの電圧−電流特性が破線により示されている。太陽電池41の実際の出力電圧Vhdは、そのときの照度Lに応じた太陽電池41の電圧−電流特性を示す曲線と、接続抵抗器の電圧−電流特性を示す直線と、の交点に対応する値となる。図から分かるように、接続抵抗器が第1抵抗器44の場合、照度Lが第1照度閾値Lth1に等しくなったときに出力電圧Vhdは閾値電圧Vthに一致し、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えると出力電圧Vhdは閾値電圧Vthより大きくなる。また、接続抵抗器が第2抵抗器45の場合、照度Lが第2照度閾値Lth2に等しくなったときに出力電圧Vhdは閾値電圧Vthに一致し、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えると出力電圧Vhdは閾値電圧Vthより大きくなる。
【0038】
以上より、スイッチSw1及びSw3がオフ、スイッチSw2がオンとなって太陽電池41と第1抵抗器44が並列接続されている場合には、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えたタイミングで、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超え、コンパレータ47の出力がLレベルからHレベルに切り替わる。また、スイッチSw1及びSw2がオフ、スイッチSw3がオンとなって太陽電池41と第2抵抗器45が並列接続されている場合には、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えたタイミングで、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超え、コンパレータ47の出力がHレベルに切り替わる。そのため制御回路30は、スイッチSw1、Sw2、及びSw3を制御して太陽電池41の接続抵抗器を第2抵抗器45に切り替えることによって、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えたか否か判定することができる。また、前述したようにスイッチSw2はノーマルクローズ、スイッチSw3はノーマルオープンなので、制御回路30によるスイッチ制御が行われていないときには、第1抵抗器44が太陽電池41の接続抵抗器となる。そのため起動回路36は、スイッチSw1をオフに切り替えて、その間のコンパレータ47の出力をモニタすることによって、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えたか否か判定することができる。
【0039】
以下、本実施形態において制御回路30の演算部31が実現する機能について、説明する。演算部31は、ROM32に格納されたプログラムを実行することにより、機能的に、図5に示すように、衛星信号受信部31aと、時刻修正部31bと、パワーブレイク制御部31cと、再起動処理部31dと、を実現する。
【0040】
衛星信号受信部31aは、GPS衛星から送信される衛星信号を受信することにより、その中に含まれる時刻情報のデータを取得する。なお、衛星信号受信部31aは、定期的にこのような時刻情報の取得処理を実行してもよいし、使用者の操作部60に対する指示操作に応じてこれらの処理を実行してもよい。
【0041】
特に本実施形態では、衛星信号受信部31aは、照度検出回路43の出力に応じて決まるタイミングでも、衛星信号の受信処理を実行する。なお、以下では照度検出回路43の出力に応じて決まるタイミングでの衛星信号の受信処理を、環境受信という。本実施形態において、第2照度閾値Lth2は、電波腕時計1が屋外にあるときの照度と屋内にあるときの照度の中間の値になっている。なお、たとえ天候が悪い場合であっても、一般に、日中の屋外は照明をつけた屋内よりも明るくなるため、屋内外を識別できるような照度の閾値を設定することができる。衛星信号受信部31aは、太陽電池41の接続抵抗器を第2抵抗器45に切り替え、コンパレータ47の出力信号レベルをモニタすることによって、太陽電池41に照射されている光の照度Lがこの第2照度閾値Lth2を超えているか否か判定できる。照度Lが第2照度閾値Lth2を超えていれば、電波腕時計1は屋外にあると推定されるので、電波腕時計1が屋内にあるときよりも良好な受信環境で衛星信号を受信できると期待される。そこで衛星信号受信部31aは、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えていると判定されたタイミングで、環境受信を実行することとする。なお、衛星信号受信部31aは、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えているという条件だけでなく、その他の条件を組み合わせて、環境受信の実行タイミングを決定してもよい。例えば衛星信号受信部31aは、前回の受信処理実行後、所定時間が経過し、かつ照度Lが第2照度閾値Lth2を超えた場合に、環境受信を実行してもよい。また、現在時刻が所定の時間範囲に含まれ、かつ照度Lが第2照度閾値Lth2を超えた場合に、環境受信を実行してもよい。
【0042】
時刻修正部31bは、衛星信号受信部31aがGPS衛星から受信した情報を用いて、電波腕時計1の内部で計時されている内部時刻の修正を行う。
【0043】
パワーブレイク制御部31cは、二次電池42の電池電圧が所定値以下となった場合に、制御回路30の動作を一時的に停止させるパワーブレイク制御を行う。これにより電波腕時計1はパワーブレイク状態に移行する。なお、本実施形態では、パワーブレイク状態においても起動回路36やレギュレータ46、コンパレータ47を動作させるために必要な電池電圧は残っているものとする。起動回路36は、パワーブレイク状態において、太陽電池41の発電状態、及び二次電池42の充電状態を監視して、所定の条件が満たされた場合に制御回路30の再起動を指示する。また、図示されていないが、パワーブレイク制御の実行タイミングを決定するために、電波腕時計1には二次電池42の電池電圧の計測に用いられる電圧検出回路が設けられている。時刻修正部31bは、この電圧検出回路を用いて定期的に二次電池42の電池電圧を計測し、電池電圧が所定値以下となったことを検知した場合に、パワーブレイク制御を行う。
【0044】
再起動処理部31dは、パワーブレイク状態において起動回路36から起動指示を受け付けた場合に、制御回路30の再起動処理を実行する。この再起動処理によって、制御回路30は再起動し、電波腕時計1はパワーブレイク状態から通常動作状態に復帰する。起動回路36は、前述した方法により定期的に太陽電池41に照射されている光の照度Lが第1照度閾値Lth1を超えているか否か判定する。そして、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えていることを検知した場合には、スイッチSw1をオンにして太陽電池41と二次電池42とを接続し、太陽電池41が発電する電力による二次電池42の充電を行う。さらに起動回路36は、二次電池42の電池電圧が所定値を超えたか否か判定し、所定値を超えた場合に制御回路30に対して再起動を指示する制御信号を入力する。
【0045】
ここで、二次電池42の電池電圧を確認する前にまず照度Lが第1照度閾値Lth1を超えているか確認する理由は、以下の通りである。すなわち、一定量の光が照射されないと、太陽電池41が十分な発電を行わない。このような状態では、太陽電池41を二次電池42と接続したとしても二次電池42の充電が行われず、二次電池42の電池電圧が所定値まで回復する見込みがない。一方で、二次電池42の電池電圧を確認するだけでも、二次電池42に蓄積された電力を消費してしまう。そこで起動回路36は、まず照度Lが第1照度閾値Lth1を超えているか否か判定し、超えている場合だけ二次電池42の充電を行って、その後に二次電池42の電池電圧が所定値を超えたか否か判定する。これにより、電池電圧が回復している見込みがない状態で二次電池42の電池電圧を確認することを避けることができる。なお、第1照度閾値Lth1は、太陽電池41の発電が可能な程度の光の照度Lがあることを判定するための閾値なので、第2照度閾値Lth2よりは小さな値となっている。
【0046】
次に、本実施形態に係る電波腕時計1が実行する処理の流れの具体例について、図6のフロー図を用いて説明する。なお、この図の例では、処理の開始時には、電波腕時計1はパワーブレイク状態にあるものとする。
【0047】
パワーブレイク状態において、起動回路36は所定の時間間隔で太陽電池41に照射されている光の照度Lのサンプリングを行う。具体的に、起動回路36は、所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S1)、スイッチSw1をオフに切り替える(S2)。前述したように、パワーブレイク状態ではスイッチSw2はオン、スイッチSw3はオフになっているので、この状態で太陽電池41の接続抵抗器は第1抵抗器44になっている。次に起動回路36は、コンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S3)、スイッチSw1を再びオンに戻す(S4)。
【0048】
S3で確認された出力信号がLレベルの場合(S5:「N」の場合)、その時点での照度Lは第1照度閾値Lth1以下であり、太陽電池41の発電はほとんど行われていないことになるので、起動回路36はS1に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S5:「Y」の場合)、起動回路36は制御回路30の起動制御処理を実行する(S6)。具体的には、その時点での二次電池42の電池電圧が所定値を超えているか否か判定し、超えていれば制御回路30の再起動処理部31dに対して、再起動を指示する。なお、電池電圧が所定値以下の場合、起動回路36はS1に戻って次のサンプリングタイミングを待つこととする。
【0049】
S6の処理によって制御回路30が再起動すると、それ以降は、制御回路30の衛星信号受信部31aが所定の時間間隔で照度Lのサンプリングを行う。すなわち、衛星信号受信部31aは、所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S7)、スイッチSw1及びSw2をオフ、スイッチSw3をオンに切り替えて、太陽電池41の接続抵抗器を第2抵抗器45に変更する(S8)。この状態において、衛星信号受信部31aはコンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S9)、その後にスイッチSw1及びSw2をオン、スイッチSw3をオフに戻して、太陽電池41の接続抵抗器を第1抵抗器44に変更する(S10)。
【0050】
S9で確認された出力信号がLレベルの場合(S11:「N」の場合)、その時点での照度Lは第2照度閾値Lth2以下であり、電波腕時計1は屋内にある可能性が高い。そのため衛星信号受信部31aは、S7に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S11:「Y」の場合)、電波腕時計1は屋外にあると推定される。そこで衛星信号受信部31aは、環境受信を行う(S12)。受信処理が終わると、衛星信号受信部31aは処理を終了する。
【0051】
図7は、上述した図6のフローの処理が実行される場合における、太陽電池41の出力電圧Vhdの時間変化の一例を示す図である。また、この図7は、電波腕時計1の受光環境、スイッチSw1、Sw2及びSw3それぞれのオン/オフ状態、並びにコンパレータ47の出力レベルの時間変化、並びに太陽電池41の出力のサンプリングが行われるサンプリングタイミングも併せて示している。なお、出力電圧Vhdは、実際にはスイッチSw1がオンになっている間は二次電池42の充電状態に応じて変化するが、ここではスイッチSw1がオフになっていると仮定した場合の値(すなわち、二次電池42の影響を受けずに照度L及び接続抵抗器の抵抗値のみによって決まる値)が示されている。コンパレータ47の出力についても同様である。この図においては、開始時点(図の原点位置における時点)では電波腕時計1はパワーブレイク状態で暗所に保管されているが、起動回路36による1回目のサンプリングより前に屋内に移動されたものとしている。そのため、1回目のサンプリングの際には照度Lが第1照度閾値Lth1を超えて出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを上回り、制御回路30の再起動処理が行われる。その後、開始時点から数えて2回目のサンプリングの時点では電波腕時計1は屋内に留まっており、照度Lは第2照度閾値Lth2以下となっている。そのため、出力電圧Vhdは閾値電圧Vthを超えず、環境受信の条件は満たされない。さらにその後、3回目のサンプリングの前に電波腕時計1は屋外に持ち出され、その結果3回目のサンプリング時には照度Lが第2照度閾値Lth2を超え、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えたものとしている。
【0052】
なお、以上の説明においては、コンパレータ47の出力のサンプリングが行われていない間は、スイッチSw2をオン、スイッチSw3をオフにして、第1抵抗器44を太陽電池41に並列接続させている。これは、太陽電池41の発電が行われないときに太陽電池41の出力電圧Vhdが不安定になることを防止するためである。比較的抵抗値の大きな第1抵抗器44を太陽電池41と接続することで、太陽電池41の出力電圧Vhdを安定させることができる。
【0053】
また、以上の説明においては、コンパレータ47の出力のサンプリングが行われていない間は、常にスイッチSw1をオンにして太陽電池41と二次電池42とを接続することとしている。しかしながら、起動回路36は、パワーブレイク状態への移行時にはスイッチSw1をオフにし、その後、太陽電池41の出力をサンプリングして照度Lが第1照度閾値Lth1を超えると判定したときだけ、スイッチSw1をオンにして、太陽電池41から二次電池42への電力供給を行うこととしてもよい。この場合には、図6のフローにおけるS4の処理は省略され、代わりに起動回路36はS5の判定結果が「Y」の場合にスイッチSw1をオンにして、二次電池42の充電を行う。そして、この充電によって二次電池42の電池電圧が所定値を超えた場合に、パワーブレイク状態からの復帰処理を行う。
【0054】
また、以上の説明においては、起動回路36は、所定の時間間隔で照度Lのサンプリングを行うこととしたが、これに代えて、起動回路36は連続して照度Lのサンプリングを繰り返してもよい。この場合、前述した図6のフローにおけるS1の処理は省略され、起動回路36はサンプリングタイミングの到来を待たずに照度Lが第1照度閾値Lth1を超えているか否かの判定を連続的に繰り返す。同様に、衛星信号受信部31aも、S7の処理を実行せずに、連続的に照度Lが第2照度閾値Lth2を超えているか否かの判定を繰り返してもよい。
【0055】
また、以上の説明において、衛星信号受信部31aは、照度Lのサンプリングを行うときだけ太陽電池41の接続抵抗器を第2抵抗器45に変更することとしている。具体的に、図6のフローにおいては、S8〜S10までの処理が実行される間だけ接続抵抗器が第2抵抗器45に切り替えられ、それ以外の時間は第1抵抗器44が太陽電池41の接続抵抗器となっている。このS8〜S10までの処理に要する時間は、通常、長くても100ms以下である。このように、第1抵抗器44の抵抗値R1と比較して小さな抵抗値R2を持つ第2抵抗器45が太陽電池41と接続される時間を短く抑えることで、本実施形態に係る電波腕時計1は、第2抵抗器45経由で大きな電流が流れることによる電力消費を最小限に抑えている。ただし、第2抵抗器45を流れる電流による電力消費が問題とならない大きさである場合には、制御回路30は、パワーブレイク状態からの再起動時にスイッチSw2をオフ、スイッチSw3をオンに切り替えて、それ以降は接続抵抗器の切り替えを行わずに照度Lのサンプリングを行ってもよい。この場合、衛星信号受信部31aは、スイッチSw2及びSw3の切り替えを行うことなく、単にスイッチSw1をオフにして二次電池42を切り離せば、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えているか否か判定できる。
【0056】
また、以上の説明では、第1抵抗器44に対してスイッチSw2が直列接続されていることとしたが、このスイッチSw2はなくともよい。図8は、この場合の照度検出回路43の回路構成を示している。この場合、スイッチSw3がオフになって、第2抵抗器45が切り離されれば、これまでの説明と同様に第1抵抗器44が接続抵抗器となる。つまり、この例では、第1抵抗器44が単独で第1の回路要素として機能する。一方、スイッチSw3がオンになった場合、これまでの説明と異なり第1抵抗器44は太陽電池41と切り離されない。そのため、互いに並列接続された第1抵抗器44及び第2抵抗器45の合成抵抗値Rcが、太陽電池41に対して並列接続された抵抗器の抵抗値とみなされる。すなわち、この例では、互いに並列接続された第1抵抗器44及び第2抵抗器45が、全体として第2の回路要素として機能することになる。この場合、照度Lが第2照度閾値Lth2に等しいときに、照度Lと合成抵抗値Rcとに応じて決まる出力電圧Vhdが閾値電圧Vthに等しくなるように第2抵抗器45の抵抗値R2を決定する。これにより、照度検出回路43は、照度Lを第2照度閾値Lth2と比較した結果を示す信号を出力することができる。このような構成によれば、起動回路36や制御回路30によるスイッチ制御の有無によらず、太陽電池41に対して少なくとも第1抵抗器44は常に並列接続されていることになるので、太陽電池41の出力電圧Vhdを安定化させることができる。特にパワーブレイク状態においては、制御回路30によるスイッチ制御が行われないため、図8の構成によれば、図3のようにスイッチSw2を介して第1抵抗器44が接続される場合と比較して、確実に太陽電池41の出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えたか否かを判定できる。また、図3の構成と比較して、部品点数が少ないので、実装面積を小さくすることができる。この図8の例では、衛星信号受信部31aは、前述した図6のフローにおけるS8において、スイッチSw1をオフにし、スイッチSw3をオンにする制御を行う。これにより太陽電池41の接続抵抗器の抵抗値は合成抵抗値Rcとなる。同様に図6のフローにおけるS10では、スイッチSw1をオンにし、スイッチSw3をオフにする制御を行う。これにより太陽電池41の接続抵抗器は第1抵抗器44となる。
【0057】
また、照度検出回路43は、第2抵抗器45を備えないこととしてもよい。図9は、スイッチSw2及び第2抵抗器45の双方を備えない場合の照度検出回路43の回路構成を示している。CMOSトランジスタ等のスイッチ素子は、それ自体インピーダンスを持っているので、スイッチSw2自体が、第2抵抗器45の機能を代替することができる。この例では、第1抵抗器44が第1の回路要素として機能し、互いに並列接続された第1抵抗器44とスイッチSw3とが第2の回路要素として機能することになる。この場合、スイッチSw2の抵抗値を考慮して、スイッチSw2がオンになり、かつ、第2照度閾値Lth2に等しい照度Lの光が照射されている場合に、出力電圧Vhdと閾値電圧Vthとが一致するように、閾値電圧Vthが決定される。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電波腕時計について、説明する。なお、本実施形態に係る電波腕時計は、照度検出回路43の回路構成、及び制御回路30によって実現される機能が第1実施形態に係る電波腕時計とは相違するが、概略のハードウェア構成は図1及び図2で示した第1実施形態のものと同様である。そのため、以下では第1実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を用いて参照し、その詳細な説明については省略する。
【0059】
図10は、本実施形態における電力供給部40の回路構成を示す図である。同図に示されるように、本実施形態において、電力供給部40は、第1実施形態と同様に、太陽電池41と、二次電池42と、照度検出回路43と、スイッチSw1と、を含んで構成されている。また、照度検出回路43は、第1実施形態と同様の第1抵抗器44、第2抵抗器45、レギュレータ46、コンパレータ47、スイッチSw2、及びスイッチSw3に加えて、さらに第3抵抗器48及びスイッチSw4を含んでいる。第3抵抗器48とスイッチSw4とは互いに直列接続されており、かつ、太陽電池41や第1抵抗器44、第2抵抗器45などと並列接続されている。スイッチSw4は、他のスイッチと同様、制御回路30からの制御信号に応じてそのオン/オフが切り替えられるCMOSスイッチ等のスイッチ素子である。また、スイッチSw4は、スイッチSw3と同様に制御回路30の動作停止時にはオフとなるノーマルオープン(常時開)のスイッチであるものとする。
【0060】
スイッチSw1、Sw2、及びSw3をオフにするとともに、スイッチSw4をオンにして太陽電池41の接続抵抗器を第3抵抗器48とした場合、太陽電池41に照射される光の照度Lが第3照度閾値Lth3を超えたタイミングで、コンパレータ47の出力がHレベルになる。ここで、第3抵抗器48の抵抗値をR3とすると、各抵抗器の抵抗値の大小関係は、R1>R3>R2となっている。そのため、第3照度閾値Lth3は、第1照度閾値Lth1より大きく、第2照度閾値Lth2よりは小さな値となる。本実施形態に係る電波腕時計1は、各スイッチのオン/オフを制御して太陽電池41の接続抵抗器を第1抵抗器44、第2抵抗器45、及び第3抵抗器48の間で切り替えることにより、照度Lを、互いに大きさの異なる第1照度閾値Lth1、第2照度閾値Lth2、及び第3照度閾値Lth3のそれぞれと比較した結果を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、この第3照度閾値Lth3を、パワーセーブ制御(省電力制御)を解除するか否かの判定に用いることとする。本実施形態において、制御回路30の演算部31は、ROM32に格納されたプログラムを実行することにより、機能的に、図11に示すように、衛星信号受信部31aと、時刻修正部31bと、パワーブレイク制御部31cと、再起動処理部31dと、パワーセーブ制御部31eと、を実現する。なお、これらの機能のうち、衛星信号受信部31a、時刻修正部31b、パワーブレイク制御部31c、及び再起動処理部31dは、第1実施形態と同様である。そのため、その詳細な説明は省略する。
【0062】
パワーセーブ制御部31eは、太陽電池41に対して第3照度閾値Lth3以下の照度Lの光しか照射されていない場合に、指針52などの動作を停止させて、省電力での動作状態(以下、パワーセーブ状態という)へと移行する。照度Lが低いと、二次電池42の充電がなかなか行われず、二次電池42の電池電圧の低下を招くおそれがある。そこで本実施形態では、照度Lが第3照度閾値Lth3以下の場合にパワーセーブ状態へと移行することで、二次電池42の消耗を抑えることができる。なお、パワーセーブ制御部31eは、照度Lが第3照度閾値Lth3以下になったときに、直ちにパワーセーブ状態に移行してもよいし、照度Lが第3照度閾値Lth3以下の状態が一定時間以上続いた場合にパワーセーブ状態へと移行してもよい。また、パワーセーブ制御部31eは、パワーセーブ状態において第3照度閾値Lth3を超える照度Lの光が太陽電池41に照射された場合に、パワーセーブ状態を終了し、通常動作状態へと移行する。なお、パワーセーブ状態へと移行する場合と同様に、パワーセーブ制御部31eは、照度Lが第3照度閾値Lth3を超える状態が一定時間以上続いた場合にパワーセーブ状態を終了することとしてもよい。
【0063】
次に、本実施形態に係る電波腕時計1が実行する処理の流れの具体例について、図12A及び図12Bのフロー図を用いて説明する。なお、この図の例では、図6と同様に、処理の開始時には、電波腕時計1はパワーブレイク状態にあるものとする。
【0064】
まず起動回路36は、図6のS1からS6までの処理と同様の処理を実行する。すなわち、起動回路36は所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S21)、スイッチSw1をオフに切り替える(S22)。ここで、パワーブレイク状態ではスイッチSw2はオン、スイッチSw3及びSw4はオフになっているので、この状態で太陽電池41の接続抵抗器は第1抵抗器44になる。次に起動回路36は、コンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S23)、スイッチSw1を再びオンに戻す(S24)。
【0065】
S23で確認された出力信号がLレベルの場合(S25:「N」の場合)、起動回路36はS21に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S25:「Y」の場合)、起動回路36は制御回路30の起動制御処理を実行する(S26)。ここでは、S26の処理により制御回路30の再起動が実行されたものとする。
【0066】
本実施形態では、S26の処理によって制御回路30が再起動した時点では、電波腕時計1はパワーセーブ状態にあるものとする。この状態で、パワーセーブ制御部31eは、所定の時間間隔で照度Lのサンプリングを行う。すなわち、パワーセーブ制御部31eは、所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S27)、スイッチSw1及びSw2をオフに、スイッチSw4をオンに、それぞれ切り替える。これにより、太陽電池41の接続抵抗器は第3抵抗器48に変更される(S28)。この状態でパワーセーブ制御部31eはコンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S29)、その後、スイッチSw1及びSw2をオンに、スイッチSw4をオフに、それぞれ切り替える。これにより、太陽電池41の接続抵抗器は第1抵抗器44に戻る(S30)。
【0067】
S29で確認された出力信号がLレベルの場合(S31:「N」の場合)、その時点での照度Lは第3照度閾値Lth3以下であることになる。そこでパワーセーブ制御部31eは、S27に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S31:「Y」の場合)、パワーセーブ制御部31eはパワーセーブ状態から通常動作状態への復帰処理を行う(S32)。
【0068】
パワーセーブ状態が解除されると、今度は衛星信号受信部31aが照度Lのサンプリングを行い、照度Lが第2照度閾値Lth2を超える場合に環境受信を行う。すなわち、衛星信号受信部31aは、図6のS7からS12までの処理と同様の処理を実行する。具体的に、衛星信号受信部31aは、所定のサンプリングタイミング到来を待って(S33)、スイッチSw1及びSw2をオフ、スイッチSw3をオンに切り替えて、太陽電池41の接続抵抗器を第2抵抗器45に変更する(S34)。この状態において、衛星信号受信部31aはコンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S35)、その後にスイッチSw1、及びSw2をオンに、スイッチSw3をオフに切り替えて、太陽電池41の接続抵抗器を第1抵抗器44に変更する(S36)。
【0069】
S35で確認された出力信号がLレベルの場合(S37:「N」の場合)、その時点での照度Lは第2照度閾値Lth2以下なので、衛星信号受信部31aは、S33に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S37:「Y」の場合)、衛星信号受信部31aは環境受信を行う(S38)。受信処理が終わると、衛星信号受信部31aは処理を終了する。
【0070】
図13は、上述した図12A及び図12Bのフローの処理が実行される場合における、太陽電池41の出力電圧Vhdの時間変化の一例を示す図である。また、図13は、図7と同様に、電波腕時計1の受光環境、スイッチSw1、Sw2、Sw3及びSw4それぞれのオン/オフ状態、並びにコンパレータ47の出力レベルの時間変化、並びに太陽電池41の出力のサンプリングタイミングも併せて示している。さらに、この図13においても、図7と同様に、出力電圧Vhd及びコンパレータ47の出力についてはスイッチSw1がオフになっていると仮定した場合のものを示している。この図においては、起動回路36による1回目のサンプリングの際には照度Lが第1照度閾値Lth1を超えて出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超え、制御回路30の再起動処理が行われるものとする。また、パワーセーブ制御部31eが実行する初期の時点から数えて2回目のサンプリングの際には、出力電圧Vhdは閾値電圧Vth以下(すなわち、照度Lは第3照度閾値Lth3以下)であって、その次のサンプリングの際に照度Lは第3照度閾値Lth3を上回り、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えたものとする。さらに、衛星信号受信部31aが実行する初期の時点から数えて4回目のサンプリング時に、照度Lは第2照度閾値Lth2を超え、出力電圧Vhdが閾値電圧Vthを超えたものとしている。
【0071】
以上説明した本実施形態に係る電波腕時計1によれば、第1照度閾値Lth1、及び第2照度閾値Lth2に加えて、照度Lが第3照度閾値Lth3を上回ったか否かも判定することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、パワーセーブ制御部31eは、太陽電池41に照射される光の照度Lが第3照度閾値Lth3以下となった場合にパワーセーブ状態への移行を行い、同じ第3照度閾値Lth3を超えた場合にはパワーセーブ状態からの復帰を行うこととした。しかしながら、パワーセーブ状態へ移行するか否かの判定の際に用いられる照度Lの閾値(ここでは第4照度閾値Lth4という)は、パワーセーブ状態から復帰するか否かの判定の際に用いられる照度Lの閾値(第3照度閾値Lth3)と異なる値であってもよい。特に第3照度閾値Lth3を第4照度閾値Lth4よりも大きな値にすることによって、パワーセーブ状態と通常動作状態との間の遷移にヒステリシスを持たせることができる。この場合には、照度Lを第3照度閾値Lth3だけでなく、第4照度閾値Lth4とも比較するために、照度検出回路43は、さらに太陽電池41などと並列接続され、かつ互いに直列接続される第4抵抗器(抵抗値R4)及びスイッチを含むこととする。この第4抵抗器の抵抗値R4は、抵抗値R3よりも大きくする。これによって、この第4抵抗器を太陽電池41の接続抵抗器とした場合に、照度Lが第4照度閾値Lth4(Lth4<Lth3)以下になったタイミングで出力電圧Vhdが閾値電圧Vth以下となり、コンパレータ47の出力がHレベルからLレベルに変化するようにできる。そのため、パワーセーブ制御部31eは、通常動作状態において太陽電池41の接続抵抗器をこの第4抵抗器に切り替え、コンパレータ47の出力をモニタすることによって、照度Lが第4照度閾値Lth4以下になったか否かを判定できる。そして、照度Lが第4照度閾値Lth4以下になったことを検知した場合、パワーセーブ制御部31eは、パワーセーブ状態への移行処理を行う。
【0073】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る電波腕時計について、説明する。本実施形態に係る電波腕時計は、第2実施形態と同様に、照度Lが第1照度閾値Lth1、第2照度閾値Lth2、及び第3照度閾値Lth3のそれぞれを超えたか否か判定することができ、第2実施形態と同様の機能を実現する。しかしながら、本実施形態における照度検出回路43の回路構成は第1実施形態や第2実施形態と相違しており、これらの実施形態に係る電波腕時計とは異なる方式により照度Lと比較する対象となる複数の照度閾値を切り替える。
【0074】
図14は、本実施形態における電力供給部40の回路構成を示す図である。同図に示されるように、本実施形態において、電力供給部40は、第1実施形態や第2実施形態と同様に、太陽電池41と、二次電池42と、照度検出回路43と、スイッチSw1と、を含んで構成されている。一方、照度検出回路43は、第1実施形態や第2実施形態と異なり、コンパレータ47のほかに、1つの固定抵抗器71と、第1レギュレータ72、第2レギュレータ73、及び第3レギュレータ74の3つのレギュレータと、スイッチSw5、Sw6、及びSw7の3つのスイッチ素子と、を備えている。
【0075】
固定抵抗器71は、スイッチ素子を介さずに太陽電池41と並列接続されている。そのため本実施形態では、この固定抵抗器71が常に太陽電池41の接続抵抗器となる。なお、第1実施形態や第2実施形態と同様に、太陽電池41に照射される光の照度Lと、固定抵抗器71の抵抗値Rと、に応じて決まる太陽電池41の出力電圧Vhdは、コンパレータ47の入力端子T1に入力される。
【0076】
一方、3つのレギュレータは、いずれも予め定められた電圧を出力する定電圧出力回路であって、それぞれ対応するスイッチと直列接続されている。以下では、第1レギュレータ72の出力電圧を第1閾値電圧Vth1、第2レギュレータ73の出力電圧を第2閾値電圧Vth2、また第3レギュレータ74の出力電圧を第3閾値電圧Vth3とする。これらのレギュレータの出力は、いずれもコンパレータ47の入力端子T2に接続されている。そのため、スイッチSw5、Sw6、及びSw7のうちのいずれか1つがオン、他の2つがオフに切り替えられることによって、いずれか1つのレギュレータの出力だけがコンパレータ47の入力端子T2に入力されることになる。なお、第1閾値電圧Vth1、第2閾値電圧Vth2、及び第3閾値電圧Vth3の間の大小関係は、Vth1<Vth3<Vth2とする。
【0077】
太陽電池41の接続抵抗器が常に固定抵抗器71なので、太陽電池41の出力電圧Vhdは、太陽電池41に照射される光の照度Lが大きくなればなるほど大きくなる。そのため、この出力電圧Vhdを互いに異なる大きさの3つの閾値電圧のそれぞれと比較することによって、本実施形態に係る電波腕時計1は、第2実施形態と同様に、太陽電池41に照射される光の照度Lが互いに異なる3つの照度閾値のそれぞれを超えたか否か判定することができる。具体的に、本実施形態では、第1閾値電圧Vth1が入力端子T2に入力されているときには、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えるとコンパレータ47の出力信号がHレベルになる。同様に、第2閾値電圧Vth2が入力端子T2に入力されているときは、照度Lが第2照度閾値Lth2を超えた場合に、コンパレータ47の出力信号がHレベルに切り替わる。また、第3閾値電圧Vth3が入力端子T2に入力されているときは、照度Lが第3照度閾値Lth3を超えた場合に、コンパレータ47の出力信号がHレベルに切り替わる。
【0078】
なお、第1実施形態や第2実施形態と同様に、制御回路30が停止している間、起動回路36は、照度Lが第1照度閾値Lth1を超えているか否か判定する必要がある。そのため、制御回路30の停止中は、第1閾値電圧Vth1が入力端子T2に入力されるように、スイッチSw5はノーマルクローズ、スイッチSw6及び7はノーマルオープンのスイッチであるものとする。
【0079】
次に、本実施形態に係る電波腕時計1が実行する処理の流れの具体例について、図15A及び図15Bのフロー図を用いて説明する。なお、この図の例では、図6図12A及び図12Bの例と同様に、処理の開始時には、電波腕時計1はパワーブレイク状態にあるものとする。
【0080】
まず起動回路36は、図6のS1からS6までの処理と同様の処理を実行する。すなわち、起動回路36は所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S41)、スイッチSw1をオフに切り替える(S42)。ここで、パワーブレイク状態ではスイッチSw5はオン、スイッチSw6及びSw7はオフになっているので、この状態で入力端子T2には第1閾値電圧Vth1が入力される。次に起動回路36は、コンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S43)、スイッチSw1を再びオンに戻す(S44)。
【0081】
S43で確認された出力信号がLレベルの場合(S45:「N」の場合)、起動回路36はS41に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S45:「Y」の場合)、照度Lは第1照度閾値Lth1を超えていることになるので、起動回路36は制御回路30の起動制御処理を実行する(S46)。ここでは、S46の処理により制御回路30の再起動が実行されたものとする。
【0082】
本実施形態では、第2実施形態と同様に、S46の処理によって制御回路30が再起動した時点では、電波腕時計1はパワーセーブ状態にあるものとする。この状態で、パワーセーブ制御部31eは、所定の時間間隔で照度Lのサンプリングを行う。すなわち、まずパワーセーブ制御部31eは、スイッチSw5をオフ、スイッチSw7をオンに切り替えて、入力端子T2に入力される閾値電圧を第3閾値電圧Vth3に変更する(S47)。次にパワーセーブ制御部31eは、所定のサンプリングタイミングが到来するのを待って(S48)、スイッチSw1をオフに切り替える(S49)。この状態でパワーセーブ制御部31eはコンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S50)、その後、スイッチSw1をオンに切り替える(S51)。
【0083】
S50で確認された出力信号がLレベルの場合(S52:「N」の場合)、その時点での照度Lは第3照度閾値Lth3以下であることになる。そこでパワーセーブ制御部31eは、S48に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S52:「Y」の場合)、パワーセーブ制御部31eはパワーセーブ状態から通常動作状態への復帰処理を行う(S53)。
【0084】
パワーセーブ状態が解除されると、今度は衛星信号受信部31aが照度Lのサンプリングを行い、照度Lが第2照度閾値Lth2を超える場合に環境受信を行う。具体的に、まず衛星信号受信部31aは、スイッチSw7をオフ、スイッチSw6をオンに切り替えて、入力端子T2に入力される閾値電圧を第2閾値電圧Vth2に変更する(S54)。次に衛星信号受信部31aは、所定のサンプリングタイミング到来を待って(S55)、スイッチSw1をオフに切り替える(S56)。この状態において、衛星信号受信部31aはコンパレータ47の出力信号レベルを確認し(S57)、その後にスイッチSw1をオンに切り替える(S58)。
【0085】
S57で確認された出力信号がLレベルの場合(S59:「N」の場合)、その時点での照度Lは第2照度閾値Lth2以下なので、衛星信号受信部31aは、S55に戻って次のサンプリングタイミングを待つ。一方、コンパレータ47の出力信号がHレベルの場合(S59:「Y」の場合)、衛星信号受信部31aは環境受信を行う(S60)。受信処理が終わると、衛星信号受信部31aは処理を終了する。
【0086】
図16は、上述した図15A及び図15Bのフローの処理が実行される場合における、太陽電池41の出力電圧Vhdの時間変化の一例を示す図である。また、図16は、電波腕時計1の受光環境、スイッチSw1、Sw5、Sw6及びSw7それぞれのオン/オフ状態、並びにコンパレータ47の出力レベルの時間変化、並びに太陽電池41の出力のサンプリングタイミングも併せて示している。さらに、この図16においても、図7図13と同様に、出力電圧Vhd及びコンパレータ47の出力についてはスイッチSw1がオフになっていると仮定した場合のものを示している。この図においては、図13と同様に、起動回路36による初期の時点から数えて1回目のサンプリングの際には照度Lが第1照度閾値Lth1を超え、これに伴って出力電圧Vhdが第1閾値電圧Vth1を上回るものとしている。これにより、制御回路30の再起動処理が行われる。また、初期の時点から数えて2回目のサンプリングの際には照度Lは第3照度閾値Lth3以下であって、それゆえ出力電圧Vhdは第3閾値電圧Vth3以下になっている。しかし、その次の3回目のサンプリングの際に照度Lは第3照度閾値Lth3を上回り、出力電圧Vhdは第3閾値電圧Vth3を超えたものとする。さらに、初期の時点から数えて4回目のサンプリング時に照度Lは第2照度閾値Lth2を超え、これにより出力電圧Vhdが第2閾値電圧Vth2を超えたものとしている。
【0087】
以上説明した本実施形態に係る電波腕時計1によれば、第2実施形態と同様に、第1照度閾値Lth1、第2照度閾値Lth2及び第3照度閾値Lth3のそれぞれを照度Lが上回ったか否か判定することができる。
【0088】
なお、以上の説明においては、コンパレータ47の入力端子T2に接続されるレギュレータを、互いに異なる電圧を出力する複数のレギュレータのうちの1つに切り替えることによって、入力端子T2に入力される閾値電圧を複数の電圧のうちの1つに切り替えることとしている。しかしながら、入力端子T2に入力される閾値電圧を複数の電圧の中から切り替えることができれば、その手法はどのようなものであってもよい。例えばコンパレータ47の入力端子T2には1つの定電圧出力回路のみが接続され、この定電圧出力回路は、自身が出力する基準電圧を複数の閾値電圧のうちの1つに切り替えることとしてもよい。この場合、定電圧出力回路は、制御回路30からの指示に応じて、第1閾値電圧Vth1、第2閾値電圧Vth2、及び第3閾値電圧Vth3のうちのいずれか1つをコンパレータ47に対して出力することとする。なお、この例では、パワーブレイク制御部31cは、パワーブレイク状態への移行の際に、この定電圧出力回路に対して、出力電圧を第1閾値電圧Vth1に変更する指示を行うものとする。こうすれば、制御回路30の動作停止中には、コンパレータ47は太陽電池41の出力電圧Vhdを第1閾値電圧Vth1と比較した結果を出力することができる。
【0089】
また、1つの定電圧出力回路が出力する基準電圧を分圧回路によって分圧して得られる電圧を、閾値電圧としてコンパレータ47の入力端子T2に入力してもよい。この場合の分圧回路は、互いに直列接続された2個の抵抗器によって容易に実現できる。さらに、この分圧回路の分圧比は、例えば抵抗器の1つを可変抵抗器としてその抵抗値を変化させるなどの方法により、変化させることができるものとする。これによって、コンパレータ47の入力端子T2に対して、場面に応じて互いに異なる第1閾値電圧Vth1、第2閾値電圧Vth2、及び第3閾値電圧Vth3のいずれかを入力することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16