【実施例】
【0022】
(第1実施例)
本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施例の給湯暖房システム10を示している。
図1に示すように、給湯暖房システム10は、ヒートポンプユニット20と、タンクユニット28と、給湯暖房ユニット80と、暖房端末90を備えている。
【0023】
ヒートポンプユニット20は、大気から吸熱して、タンクユニット28から送られる熱媒を加熱するヒートポンプである。ヒートポンプユニット20は、図示省略するが、圧縮機、放熱器、膨張弁、蒸発器と、それらを順に接続する冷媒循環経路を備えている。その他、蒸発器に送風するファンや、それを駆動するモータ等も設けられている。冷媒循環経路内には、冷媒である二酸化炭素が充填されている。ヒートポンプユニット20の詳細については、公知のものと同じであるので、ここでは説明を省略する。また、ヒートポンプユニット20には、ヒートポンプユニット20とタンクユニット28との間で熱媒を循環させる循環ポンプ22が設けられている。循環ポンプ22を含むヒートポンプユニット20の構成機器の動作は、コントローラ21によって制御される。また、ヒートポンプユニット20には、外気温度を検出する外気温サーミスタ26が設けられている。外気温サーミスタ26は、コントローラ21に接続されている。
【0024】
タンクユニット28は、熱媒を貯めるタンク30を備えている。本実施例の熱媒は、不凍液である。本実施例のタンク30は、一例であるが、30リットルの容量を有している。タンク30には、高さ方向に沿って複数のタンクサーミスタ42a、42b、42cが設けられている。本実施例では、タンクサーミスタ42aはタンク30の上部(例えばタンク30の頂部から10リットルの位置)に設けられており、タンクサーミスタ42bはタンク30の中間部(例えばタンク30の頂部から15リットルの位置)に設けられており、タンクサーミスタ42cはタンク30の下部(例えばタンク30の頂部から20リットルの位置)に設けられている。タンクサーミスタ42a、42b、42cは、コントローラ54に接続されている。コントローラ54は、タンクサーミスタ42a、42b、42cによって検出された温度から、タンク30に貯められた熱量を把握することができる。なお、タンク30内の熱媒の温度を検出するサーミスタは、上記の3つに限定されるものではなく、4つ以上設けられていても良いし、タンク30の上部と下部に2つ設けられていても良い。また、コントローラ54は、ヒートポンプユニット20の始動回数をカウントするカウンタを備えている。
【0025】
タンク30は、蓄熱用往路34と蓄熱用復路32を介して、ヒートポンプユニット20に接続されている。蓄熱用往路34は、タンク30からヒートポンプユニット20へ熱媒を送る管路であり、タンク30の底部に接続されている。蓄熱用復路32は、ヒートポンプユニット20からタンク30へ熱媒を戻す管路であり、タンク30の頂部に接続されている。蓄熱用往路34と蓄熱用復路32は、ヒートポンプユニット20とタンク30との間で熱媒を循環させる循環経路を構成している。当該循環経路には、前述した循環ポンプ22が設けられている。本実施例の循環ポンプ22は、ヒートポンプユニット20に内蔵されているが、循環ポンプ22の位置は特に限定されない。
【0026】
蓄熱用往路34には、手動弁24と、蓄熱往路サーミスタ44が設けられている。同様に、蓄熱用復路32にも、手動弁24と、蓄熱復路サーミスタ46が設けられている。蓄熱往路サーミスタ44と蓄熱復路サーミスタ46は、コントローラ54に接続されている。コントローラ54は、蓄熱往路サーミスタ44による検出温度から、ヒートポンプユニット20による加熱前の熱媒の温度を把握し、蓄熱復路サーミスタ46による検出温度から、ヒートポンプユニット20による加熱後の熱媒の温度を把握することができる。
【0027】
暖房端末90は、タンク30からの熱媒を放熱させて暖房を行う。暖房端末90は、例えば、パネルヒータ、パネルラジエータ、床暖房、ファンコンベクタ、温水式ルームエアコンである。暖房端末90は、暖房用往路56と暖房用復路60を介して、タンク30に接続されている。暖房用往路56は、タンク30から暖房端末90へ熱媒を送る管路であり、タンク30の頂部に接続されている。暖房用復路60は、暖房端末90からタンク30へ熱媒を戻す管路であり、タンク30の底部に接続されている。暖房用往路56と暖房用復路60は、タンク30と暖房端末90との間で熱媒を循環させる循環経路を構成している。
【0028】
暖房用復路60には、手動弁52を有する排水管50が接続されている。また、暖房用復路60には、膨張タンク70が設けられている。本実施例では、熱媒の循環する回路が密閉回路とされているので、熱媒の熱膨張を吸収するために、膨張タンク70が用意されている。なお、膨張タンク70を接続する位置は、暖房用復路60に限定されず、例えば暖房用往路56や他の経路に接続してもよい。
【0029】
暖房用往路56は、給湯暖房ユニット80を経由して、暖房端末90に接続されている。給湯暖房ユニット80は、燃焼式の熱源機であり、可燃性ガスを燃焼させる二つのバーナー84、86を有する。一方のバーナー84は、給湯用のものであり、給湯管路82を流れる上水を加熱する。他方のバーナー86は、暖房用のものであり、必要に応じて、暖房用往路56を流れる熱媒を加熱する。また、給湯暖房ユニット80は、コントローラ88を有している。給湯暖房ユニット80には、暖房端末90とタンクユニット28との間で熱媒を循環させる循環ポンプ87が設けられている。なお、循環ポンプ87を設ける位置は、給湯暖房ユニット80に限られず、特に限定されない。また、暖房用往路56のバーナー86より下流には、バーナー出口サーミスタ89が設けられている。バーナー出口サーミスタ89は、コントローラ88に接続されている。この構成によると、暖房用往路56を通って暖房端末90に送られる熱媒の温度が低すぎるときは、バーナー86で暖房用往路56を流れる熱媒を加熱することにより、暖房端末90に送られる熱媒の温度を上昇させることができる。
【0030】
暖房用往路56と暖房用復路60の間は、バイパス経路64を介して接続されている。それにより、暖房用復路60を流れる熱媒の一部又は全部を、タンク30を経由することなく、暖房用往路56へ送ることができるように構成されている。また、暖房用復路60とバイパス経路64との分岐位置には混合弁66が設けられており、暖房用復路60からバイパス経路64を介して暖房用往路56へ送られる熱媒の流量と、暖房用復路60からタンク30を介して暖房用往路56へ送られる熱媒の流量の比率を調整できるようになっている。混合弁66は、コントローラ54に接続されており、その動作はコントローラ54によって制御される。この構成によると、暖房用往路56を通って暖房端末90に送られる熱媒の温度が高すぎるときは、暖房用復路60を流れる放熱後の熱媒を、暖房用往路56を流れる熱媒に合流させることによって、暖房端末90に送られる熱媒の温度を低下させることができる。
【0031】
暖房用往路56には、第1暖房往路サーミスタ48、第2暖房往路サーミスタ58が設けられている。第1暖房往路サーミスタ48は、バイパス経路64が暖房用往路56に合流する合流点よりも上流側に設けられており、タンク30から暖房用往路56に送られる熱媒の温度を検出する。第2暖房往路サーミスタ58は、バイパス経路64が暖房用往路56に合流する合流点よりも下流側に設けられており、タンク30から暖房用往路56に送られる熱媒とバイパス経路64から暖房用往路56に送られる熱媒が混合した後の温度を検出する。暖房用復路60には、暖房復路サーミスタ62が設けられている。暖房復路サーミスタ62は、暖房用復路60を流れる熱媒の温度を検出する。第1暖房往路サーミスタ48、第2暖房往路サーミスタ58および暖房復路サーミスタ62は、コントローラ54に接続されている。コントローラ54は、第1暖房往路サーミスタ48、第2暖房往路サーミスタ58および暖房復路サーミスタ62の検出温度に基づいて、混合弁66の動作を制御することで、暖房端末90に送られる熱媒の温度を所望の温度に調整することができる。
【0032】
コントローラ88は、暖房端末90における暖房熱量を算出することができる。暖房端末90における暖房熱量は、例えば、暖房復路サーミスタ62の検出温度と、バーナー出口サーミスタ89の検出温度と、循環ポンプ87の回転数を用いて計算することができる。あるいは、暖房端末90における暖房熱量は、近似的に、蓄熱往路サーミスタ44の検出温度と、蓄熱復路サーミスタ46の検出温度と、循環ポンプ22の回転数を用いて計算することができる。
【0033】
図2は、ヒートポンプユニット20を運転しながら暖房を行うときの熱媒の流れを示している。
図2に示すように、暖房端末90には、タンク30の上部から暖房用往路56を通じて高温の熱媒が送られる。暖房端末90に送られた高温の熱媒は、暖房端末90において放熱した後に、暖房用復路60を通じてタンク30の下部へ戻される。一方、ヒートポンプユニット20には、タンク30の下部から蓄熱用往路34を通じて低温の熱媒が送られる。ヒートポンプユニット20に送られた低温の熱媒は、ヒートポンプユニット20において加熱された後に、蓄熱用復路32を通じてタンク30の上部へ戻される。
【0034】
図3は、暖房端末90の要求する熱媒の温度に対して、タンク30から暖房用往路56に送られる熱媒の温度が高い場合の熱媒の流れを示している。この場合には、混合弁66を制御して、暖房用復路60からバイパス経路64を介して暖房用往路56へ送られる熱媒の流量を増加させ、暖房用復路60からタンク30を介して暖房用往路56へ送られる熱媒の流量を減少させる。これにより、暖房用往路56から暖房端末90へ送られる熱媒の温度を、暖房端末90の要求する熱媒の温度に調整することができる。暖房端末90の要求する熱媒の温度が低下した場合でも、ヒートポンプユニット20の加熱能力を変化させることなく、暖房端末90における要求の変化に速やかに対応することができる。
【0035】
図4は、暖房端末90の要求する熱媒の温度に対して、タンク30から暖房用往路56に送られる熱媒の温度が低い場合の熱媒の流れを示している。この場合には、バーナー86で暖房用往路56を流れる熱媒を加熱する。バーナー86における加熱量を調整することで、暖房用往路56から暖房端末90へ送られる熱媒の温度を、暖房端末90の要求する熱媒の温度に速やかに調整することができる。暖房端末90の要求する熱媒の温度が上昇した場合でも、ヒートポンプユニット20の加熱能力を変化させることなく、暖房端末90における要求の変化に速やかに対応することができる。
【0036】
本実施例の給湯暖房システム10では、暖房端末90での暖房運転が行われており、かつタンクサーミスタ42aの検出温度が所定温度(例えば75℃)以下である場合に、ヒートポンプユニット20を始動する。
【0037】
本実施例の給湯暖房システム10では、ヒートポンプユニット20が運転している際に、暖房端末90における暖房運転が停止するか、あるいはタンクサーミスタ42cの検出温度が所定温度(例えば75℃)を超えるか、あるいは蓄熱往路サーミスタ44の検出温度が所定温度(例えば70℃)を超えると、ヒートポンプユニット20を停止する。
【0038】
上記のようにヒートポンプユニット20の始動と停止を制御する場合、ヒートポンプユニット20の最小加熱能力に比べて暖房端末90での暖房熱量が小さいと、ヒートポンプユニット20が始動と停止を繰り返す事態が生じる。ヒートポンプユニット20が始動と停止を繰り返すと、ヒートポンプユニット20を構成する部品の劣化を早めてしまう。そこで、本実施例の給湯暖房システム10は、
図5の処理によって、ヒートポンプユニット20の始動を許可するか禁止するかを判断する。
【0039】
ステップS2では、ヒートポンプユニット20の始動回数のカウントを開始する時刻(カウント開始時刻)を決定する。本実施例の給湯暖房システム10では、過去の暖房使用実績に基づいて、カウント開始時刻を設定する。より詳細には、本実施例の給湯暖房システム10では、過去の暖房使用実績から、暖房熱量がヒートポンプユニット20の最小加熱能力を下回る状態から上回る状態に切り換る平均時刻を特定し、その時刻をカウント開始時刻として設定する。なお、過去の暖房使用実績としては、前日や前々日の暖房使用実績を用いても良いし、過去の同じ曜日の暖房使用実績を用いても良いし、過去の所定期間(例えば1週間)の暖房使用実績を用いても良い。
【0040】
ステップS4では、カウント開始時刻となるまで待機する。
【0041】
ステップS6では、ヒートポンプユニット20の始動回数のカウントを開始する。これ以降、ヒートポンプユニット20が始動するごとに、始動回数が増加していく。
【0042】
ステップS8では、ヒートポンプユニット20が停止するまで待機する。ヒートポンプユニット20が停止すると、ステップS10へ移行する。
【0043】
ステップS10では、ヒートポンプユニット20の始動回数が、所定回数(例えば10回)に達したか否かを判断する。ヒートポンプユニット20の始動回数が所定回数に達した場合(YESの場合)、ステップS18へ移行し、ヒートポンプユニット20の始動を禁止する。ヒートポンプユニット20の始動回数が所定回数に達していない場合(ステップS10でNOの場合)、ステップS12へ移行する。
【0044】
ステップS12では、外気温が所定温度(例えば5℃)以下であり、かつ暖房熱量が所定熱量(例えば1500kcal/h)以下であるか否かを判断する。外気温が所定温度以下であり、かつ暖房熱量が所定熱量以下である場合(YESの場合)、ステップS18へ移行し、ヒートポンプユニット20の始動を禁止する。外気温が所定温度を超えているか、あるいは暖房熱量が所定熱量を超えている場合(ステップS12でNOの場合)、ステップS14へ移行する。
【0045】
ステップS14では、ヒートポンプユニット20が停止してから所定時間(例えば1時間)が経過したか否かを判断する。ヒートポンプユニット20を停止してから1時間が経過していない場合(NOの場合)、ステップS18へ移行し、ヒートポンプユニット20の始動を禁止する。ヒートポンプユニット20を停止してから1時間が経過した場合(ステップS14でYESの場合)、ステップS16へ移行する。
【0046】
ステップS16では、ヒートポンプユニット20の始動を許可する。
【0047】
ステップS20では、カウント開始時刻から1日が経過したか否かを判断する。カウント開始時刻から1日が経過していない場合(NOの場合)、処理はステップS8へ戻る。カウント開始時刻から1日が経過した場合(ステップS20でYESの場合)、処理を終了する。
【0048】
本実施例の給湯暖房システム10では、過去の暖房使用実績に基づいて、ヒートポンプユニット20の始動回数のカウントを開始する時刻を決定する。
図6に示すように、必要とされる暖房熱量は1日の間で変動しており、暖房熱量がヒートポンプユニット20の最小加熱能力を下回る時間帯(暖房熱量が小さい時間帯)92と、暖房熱量が最小加熱能力を上回る時間帯(暖房熱量が大きい時間帯)94が存在する。暖房熱量が小さい時間帯92においては、ヒートポンプユニット20が始動と停止を繰り返す。仮に、暖房熱量が小さい時間帯92が開始するタイミング(
図6のAのタイミング)でヒートポンプユニット20の始動回数のカウントを開始してしまうと、暖房熱量が小さい時間帯92の間に、ヒートポンプユニット20の始動回数が所定回数に到達してしまって、その後の暖房熱量が大きい時間帯94においてヒートポンプユニット20を始動できなくなってしまう。これに対して、本実施例の給湯暖房システム10では、暖房熱量が大きい時間帯94が開始するタイミング(
図6のBのタイミング)でヒートポンプユニット20の始動回数のカウントを開始する。通常、暖房熱量が大きい時間帯94においては、ヒートポンプユニット20は停止することなく運転し続けるので、ヒートポンプユニット20が始動と停止を繰り返すことがなく、始動回数が所定回数に到達してしまうことがない。本実施例の給湯暖房システム10によれば、ヒートポンプユニット20が始動と停止を繰り返す事態を抑制しつつ、暖房熱量が大きい時間帯94でのヒートポンプユニット20の運転を確保することができる。
【0049】
本実施例の給湯暖房システム10では、外気温が所定温度より低く、かつ暖房熱量が所定熱量より低い場合には、ヒートポンプユニット20の始動を禁止する。一般的な暖房の使用においては、外気温が高い場合には必要な暖房熱量は少なく、外気温が低い場合には必要な暖房熱量も多い。外気温が低いにも関わらず、暖房熱量が低い場合、暖房の必要性がそれほど高くない状況と考えられる。上記の給湯暖房システム10では、このような場合にヒートポンプユニット20の始動を禁止することで、ヒートポンプユニット20が始動と停止を頻繁に繰り返す事態を抑制する。ヒートポンプユニット20を構成する部品の劣化を防ぐことができる。
【0050】
本実施例の給湯暖房システム10では、ヒートポンプユニット20が停止してから所定時間が経過するまでは、ヒートポンプユニット20の始動を禁止する。ヒートポンプユニット20の停止は、暖房端末90における暖房運転が停止した場合のほかに、必要な暖房熱量がヒートポンプユニット20の最小加熱能力を下回っている場合などに生じる。このような場合には、ヒートポンプユニット20を始動させても、短時間でヒートポンプユニット20を再び停止させるおそれがある。本実施例の給湯暖房システム10では、ヒートポンプユニット20が停止してから所定時間が経過するまでは、ヒートポンプユニット20の始動を禁止することで、ヒートポンプユニット20が始動と停止を頻繁に繰り返す事態を抑制する。上記の給湯暖房システム10によれば、ヒートポンプユニット20を構成する部品の劣化を防ぐことができる。
【0051】
なお、
図5の処理によってヒートポンプユニット20の始動を禁止している場合でも、所定の時刻(例えば0時、6時、12時、18時)になった時点で、ヒートポンプユニット20の始動を許可する構成としてもよい。
【0052】
(第2実施例)
図7は第2実施例の給湯暖房システムを示している。
図7に示すように、給湯暖房システム100は、ヒートポンプユニット120と、タンクユニット128と、給湯暖房ユニット180と、暖房端末190を備えている。
【0053】
ヒートポンプユニット120は、第1実施例のヒートポンプユニット120と同様の構成を備えている。ヒートポンプユニット120は、大気から吸熱して、タンクユニット128から送られる水を加熱するヒートポンプである。ヒートポンプユニット120には、ヒートポンプユニット120とタンクユニット128との間で水を循環させる循環ポンプ122が設けられている。循環ポンプ122を含むヒートポンプユニット120の構成機器の動作は、コントローラ121によって制御される。
【0054】
タンクユニット128は、水を貯めるタンク130を備えている。本実施例のタンク130は、一例であるが、50リットルの容量を有している。タンク30には、高さ方向に沿って複数のタンクサーミスタ142a、142b、142cが設けられている。タンクサーミスタ142a、142b、142cは、コントローラ154に接続されている。コントローラ154は、タンクサーミスタ142a、142b、142cによって検出された温度から、タンク130に貯められた熱量を把握することができる。また、コントローラ154は、ヒートポンプユニット120の始動回数をカウントするカウンタを備えている。
【0055】
タンク130は、蓄熱用往路134と蓄熱用復路132を介して、ヒートポンプユニット120に接続されている。蓄熱用往路134は、タンク130からヒートポンプユニット120へ水を送る管路であり、タンク130の底部に接続されている。蓄熱用復路132は、ヒートポンプユニット120からタンク130へ水を戻す管路であり、タンク130の頂部に接続されている。蓄熱用往路134と蓄熱用復路132は、ヒートポンプユニット120とタンク130との間で水を循環させる循環経路を構成している。当該循環経路には、前述した循環ポンプ122が設けられている。
【0056】
蓄熱用往路134には、手動弁124と、蓄熱往路サーミスタ144が設けられている。同様に、蓄熱用復路132にも、手動弁124と、蓄熱復路サーミスタ146が設けられている。蓄熱往路サーミスタ144と蓄熱復路サーミスタ146は、コントローラ154に接続されている。コントローラ154は、蓄熱往路サーミスタ144による検出温度から、ヒートポンプユニット120による加熱前の水の温度を把握し、蓄熱復路サーミスタ146による検出温度から、ヒートポンプユニット120による加熱後の水の温度を把握することができる。
【0057】
暖房端末190は、暖房用熱媒からの放熱により暖房を行う。本実施例では、暖房用熱媒は不凍液である。暖房端末190は、例えば、パネルヒータ、パネルラジエータ、床暖房、ファンコンベクタ、温水式ルームエアコンである。暖房端末190は、暖房用往路156と暖房用復路160を介して、熱交換器110に接続されている。熱交換器110は、タンク130からの高温の水と、暖房端末190からの低温の暖房用熱媒の間で熱交換を行う、ダブルウォール型の液・液熱交換器である。暖房用往路156は、熱交換器110から暖房端末190へ暖房用熱媒を送る管路である。暖房用復路160は、暖房端末190から熱交換器110へ暖房用熱媒を戻す管路である。暖房用往路156と暖房用復路160は、熱交換器110と暖房端末190との間で暖房用熱媒を循環させる循環経路を構成している。暖房用復路160の熱交換器110の入口近傍には、暖房復路サーミスタ162が設けられている。暖房用往路156の熱交換器110の出口近傍には、暖房往路サーミスタ158が設けられている。
【0058】
タンク130は、放熱用往路112と、放熱用復路114を介して、熱交換器110に接続されている。放熱用往路112は、タンク130から熱交換器110へ水を送る管路であり、タンク130の上部に接続している。放熱用復路114は、熱交換器110からタンク130へ水を戻す管路であり、タンク130の底部に接続している。放熱用往路112と放熱用復路114は、熱交換器110とタンク130との間で水を循環させる循環経路を構成している。放熱用往路112の熱交換器110の入口近傍には、放熱往路サーミスタ148が設けられている。放熱用復路114には、循環ポンプ116が設けられている。循環ポンプ116の動作は、コントローラ154によって制御される。コントローラ154は、放熱往路サーミスタ148、暖房往路サーミスタ158および暖房復路サーミスタ162の検出温度に基づいて、循環ポンプ116の回転数を調整する。
【0059】
暖房用往路156は、給湯暖房ユニット180を経由して、暖房端末190に接続されている。給湯暖房ユニット180は、燃焼式の熱源機であり、可燃性ガスを燃焼させる二つのバーナー184、186を有する。一方のバーナー184は、給湯用のものであり、必要に応じて、給湯管路182を流れる水を加熱する。給湯管路182のバーナー184より下流には、バーナー出口サーミスタ185が設けられている。バーナー出口サーミスタ185は、コントローラ188に接続されている。この構成によると、給湯管路182からの給湯温度が低すぎるときは、バーナー184で給湯管路182を流れる水を加熱することにより、給湯温度を上昇させることができる。他方のバーナー186は、暖房用のものであり、必要に応じて、暖房用往路156を流れる暖房用熱媒を加熱する。また、給湯暖房ユニット180は、コントローラ188を有している。給湯暖房ユニット180には、暖房端末190とタンクユニット128との間で暖房用熱媒を循環させる循環ポンプ187が設けられている。また、暖房用往路156のバーナー186より下流には、バーナー出口サーミスタ189が設けられている。バーナー出口サーミスタ189は、コントローラ188に接続されている。この構成によると、暖房用往路156を通って暖房端末190に送られる暖房用熱媒の温度が低すぎるときは、バーナー186で暖房用往路156を流れる暖房用熱媒を加熱することにより、暖房端末190に送られる暖房用熱媒の温度を上昇させることができる。
【0060】
タンク130の底部には、上水道からの水をタンク130に供給する給水管路102が接続されている。給水管路102には、給水サーミスタ103が設けられている。タンク130の頂部には、タンク130の上部から高温の水を供給する高温水管路104が接続している。高温水管路104には、高温水サーミスタ105が設けられている。給水管路102からは、上水道からの低温の水を供給する低温水管路106が分岐している。高温水管路104と低温水管路106は、混合弁108に接続している。混合弁108において、高温水管路104からの高温の水と、低温水管路106からの低温の水が混合して、給湯管路182へ混合後の水が供給される。給湯管路182の混合弁108の近傍には、混合後の水温を検出する給湯サーミスタ109が設けられている。コントローラ154は、給水サーミスタ103、高温水サーミスタ105および給湯サーミスタ109の検出値に基づいて、混合弁108の開度を調整する。
【0061】
本実施例の給湯暖房システム100では、給湯運転または暖房運転が行われており、かつタンクサーミスタ142aの検出温度が所定温度(例えば75℃)以下である場合に、ヒートポンプユニット120を始動する。
【0062】
本実施例の給湯暖房システム100では、ヒートポンプユニット120が運転している際に、給湯運転および暖房運転が終了するか、あるいはタンクサーミスタ142cの検出温度が所定温度(例えば75℃)を超えるか、あるいは蓄熱往路サーミスタ144の検出温度が所定温度(例えば70℃)を超えると、ヒートポンプユニット120を停止する。
【0063】
上記のようにヒートポンプユニット120の始動と停止を制御する場合、ヒートポンプユニット120の最小加熱能力に比べて使用する熱量が小さいと、ヒートポンプユニット120が始動と停止を繰り返す事態が生じることがある。ヒートポンプユニット120が始動と停止を繰り返すと、ヒートポンプユニット120を構成する部品の劣化を早めてしまう。そこで、本実施例の給湯暖房システム100は、
図8の処理によって、ヒートポンプユニット120の始動を許可するか禁止するかを判断する。
【0064】
ステップS102では、ヒートポンプユニット120の始動回数のカウントを開始する時刻(カウント開始時刻)を決定する。本実施例の給湯暖房システム100では、過去の熱量使用実績に基づいて、カウント開始時刻を設定する。より詳細には、本実施例の給湯暖房システム100では、過去の熱量使用実績から、使用する熱量がヒートポンプユニット120の最小加熱能力を下回る状態から上回る状態に切り換る平均時刻を特定し、その時刻をカウント開始時刻として設定する。なお、過去の熱量使用実績としては、前日や前々日の熱量使用実績を用いても良いし、過去の同じ曜日の熱量使用実績を用いても良いし、過去の所定期間(例えば1週間)の熱量使用実績を用いても良い。
【0065】
ステップS104では、カウント開始時刻となるまで待機する。
【0066】
ステップS106では、ヒートポンプユニット120の始動回数のカウントを開始する。これ以降、ヒートポンプユニット120が始動するごとに、始動回数が増加していく。
【0067】
ステップS108では、ヒートポンプユニット120が停止するまで待機する。ヒートポンプユニット120が停止すると、ステップS110へ移行する。
【0068】
ステップS110では、ヒートポンプユニット120の始動回数が、所定回数(例えば10回)に達したか否かを判断する。ヒートポンプユニット120の始動回数が所定回数に達した場合(YESの場合)、ステップS116へ移行し、ヒートポンプユニット120の始動を禁止する。ヒートポンプユニット120の始動回数が所定回数に達していない場合(ステップS110でNOの場合)、ステップS112へ移行する。
【0069】
ステップS112では、ヒートポンプユニット120が停止してから所定時間(例えば1時間)が経過したか否かを判断する。ヒートポンプユニット120を停止してから1時間が経過していない場合(NOの場合)、ステップS116へ移行し、ヒートポンプユニット120の始動を禁止する。ヒートポンプユニット120を停止してから1時間が経過した場合(ステップS112でYESの場合)、ステップS114へ移行する。
【0070】
ステップS114では、ヒートポンプユニット120の始動を許可する。
【0071】
ステップS118では、カウント開始時刻から1日が経過したか否かを判断する。カウント開始時刻から1日が経過していない場合(NOの場合)、処理はステップS108へ戻る。カウント開始時刻から1日が経過した場合(ステップS118でYESの場合)、処理を終了する。
【0072】
本実施例の給湯暖房システム100によっても、第1実施例の給湯暖房システム10と同様に、ヒートポンプユニット120が始動と停止を頻繁に繰り返す事態を抑制することができる。上記の給湯暖房システム100によれば、ヒートポンプユニット120を構成する部品の劣化を防ぐことができる。
【0073】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0074】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。