(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押さえ部材は、自重により静止した状態で、前記側面部と前記底面部とが交差する角部が記録媒体排出方向に対し前記押さえ部材の揺動軸よりも上流側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体排出装置。
前記押さえ部材は、前記角部の表面から突出するように配置され、記録媒体搬送方向に回転可能な従動回転体を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の記録媒体排出装置。
前記押さえ部材の排出方向下流側近傍に配置され、前記排出トレイに最も近接する基準位置から前記排出トレイ上に積載された記録媒体の満載を検知する検知位置までの間を前記押さえ部材と同一方向に揺動する満載検知部材を備え、前記押さえ部材は、前記満載検知部材に対し排出方向上流側から当接することにより前記満載検知部材を前記押さえ部材と共に揺動させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の記録媒体排出装置。
前記満載検知部材は前記排出口に沿って複数設けられており、前記押さえ部材は、複数の前記満載検知部材のうち最も外側に位置する前記満載検知部材のみに当接することを特徴とする請求項5に記載の記録媒体排出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の押圧手段(マイラ)や特許文献2のシート押さえ部材は、用紙の幅方向両端部のカールを押圧するためのシート状または板状の部材であるため、用紙の後端が上向きにカールしている場合にはカール部分を効果的に押圧することができなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、記録媒体の幅方向両端部のカール及び後端のカールの両方を抑制できる記録媒体排出装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体を排出する排出口と、該排出口から排出された記録媒体が積載される排出トレイと、記録媒体排出方向に対し前記排出口の下流側近傍に排出方向と平行に揺動自在に支持され、前記排出口に対峙する側面部と、該側面部の下端から記録媒体排出方向下流側に突出し、前記排出口から排出された記録媒体の後端を上方から押圧可能な底面部と、を有する押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材は、自重により静止した状態で、前記側面部が排出方向上流側に向かって下向きに傾斜している記録媒体排出装置である。
【0010】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記押さえ部材は、自重により静止した状態で、前記側面部と前記底面部とが交差する角部が記録媒体排出方向に対し前記押さえ部材の揺動軸よりも上流側に位置していることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記押さえ部材は、自重により静止した状態で、前記底面部が排出方向下流側に向かって下向きに傾斜していることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記押さえ部材は、前記角部の表面から突出するように配置され、記録媒体搬送方向に回転可能な従動回転体を有することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記従動回転体は、前記排出口から排出される記録媒体の幅方向寸法に応じた位置に複数配置されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記従動回転体は、前記押さえ部材の幅方向略全域に亘って配置されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記押さえ部材の排出方向下流側近傍に配置され、前記排出トレイに最も近接する基準位置から前記排出トレイ上に積載された記録媒体の満載を検知する検知位置までの間を前記押さえ部材と同一方向に揺動する満載検知部材を備え、前記押さえ部材は、前記満載検知部材に対し排出方向上流側から当接することにより前記満載検知部材を前記押さえ部材と共に揺動させることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記満載検知部材は前記排出口に沿って複数設けられており、前記押さえ部材は、複数の前記満載検知部材のうち最も外側に位置する前記満載検知部材のみに当接することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置において、前記満載検知部材は、前記押さえ部材と異なる揺動軸を支点として揺動することを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成によれば、排出口から排出される記録媒体の先端は押さえ部材の側面部に突き当り、押さえ部材を揺動させながら排出トレイ上に進入し、記録媒体の後端角部が押さえ部材の底面部で押圧された状態で積載されるため、記録媒体の幅方向両端部のカール及び後端のカールを効果的に押圧することができる。
【0020】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の記録媒体排出装置において、押さえ部材は、自重により静止した状態で、側面部と底面部とが交差する角部が記録媒体排出方向に対し押さえ部材の揺動軸よりも上流側に位置することにより、記録媒体の後端のカールが底面部の排出方向上流側を押し上げたときに押さえ部材が記録媒体排出方向下流側に揺動し難くなり、底面部が積載された記録媒体の上面から離間し難くなる。
【0021】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の記録媒体排出装置において、押さえ部材は、自重により底面部が排出方向下流側に向かって下向きに傾斜した状態で静止することにより、記録媒体の後端のカールが底面部の排出方向上流側を押し上げたときに押さえ部材が記録媒体排出方向下流側に一層揺動し難くなる。
【0022】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2又は第3の構成の記録媒体排出装置において、押さえ部材の角部に、記録媒体搬送方向に回転可能な従動回転体を角部の表面から突出するように配置することにより、両面印字時に一旦排出された記録媒体を画像形成装置内部に引き込む場合、記録媒体の幅方向端部は押さえ部材の角部に沿って引き込まれるが、角部には従動回転体が設けられているため、記録媒体と角部との摩擦が低減される。従って、記録媒体の斜行や紙詰まりの発生を効果的に抑制することができる。
【0023】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の記録媒体排出装置において、従動回転体を、排出口から排出される記録媒体の幅方向寸法に応じた位置に複数配置することにより、記録媒体排出装置から排出される記録媒体と押さえ部材の角部との摩擦を効果的に低減することができる。
【0024】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第4の構成の記録媒体排出装置において、従動回転体を、押さえ部材の幅方向略全域に亘って配置することにより、記録媒体排出装置から排出される記録媒体の幅方向寸法に係わらず、押さえ部材の角部との摩擦を効果的に低減することができる。また、使用する記録媒体の幅方向寸法が異なる複数種の記録媒体排出装置の間で押さえ部材を兼用することができる。
【0025】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の記録媒体排出装置において、押さえ部材と同一方向に揺動する満載検知部材を設け、押さえ部材を満載検知部材に対し排出方向上流側から当接させて満載検知部材を押さえ部材と共に揺動させることにより、押さえ部材が記録媒体排出方向下流側に回動した状態でも満載検知部材による積載量の検知が可能となるため、記録媒体の後端のカールにより排出口が塞がれるおそれがあることをユーザに通知することができる。
【0026】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成の記録媒体排出装置において、押さえ部材は、排出口に沿って設けられた複数の満載検知部材のうち最も外側に位置する満載検知部材のみに当接することにより、記録媒体後端のカールが小さく押さえ部材による押圧の必要がない中サイズまたは小サイズの記録媒体が積載される場合は、満載検知部材のみを回動させて満載状態を高精度で検知することができる。
【0027】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第7又は第8の構成の記録媒体排出装置において、満載検知部材は、押さえ部材と異なる揺動軸を支点として揺動することにより、押さえ部材が満載検知部材と共に連れ回りするおそれがない。従って、押さえ部材に接触しない中サイズまたは小サイズの記録媒体を積載する際に、満載検知部材に押さえ部材の揺動負荷が掛からず、比較的コシの弱い小サイズの記録媒体であっても排出トレイ上に円滑に積載することができる。また、記録媒体の満載状態を高精度で検知することができる。
【0028】
また、本発明の第10の構成によれば、上記第1乃至第9のいずれかの構成の記録媒体排出装置を搭載することにより、記録媒体の幅方向両端部及び後端のカールを効果的に押圧し、記録媒体の積載不良や排出不良の発生を抑制できる画像形成装置となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の用紙排出装置が搭載された画像形成装置の内部構成を示す正面断面図である。本発明の画像形成装置100は、いわゆる胴内排出型のデジタル複写機であって、大きくは、装置本体20と、その上部に配設された画像読取部21と、よりなる。この画像読取部21には、原稿の画像を電気信号として読み取るための後述する各種機構が設けられ、他方、装置本体20には、読み取った原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写するための後述する各種機構が設けられる。
【0031】
図1では、装置本体20は、下ハウジング20aと、その上方で左側部に沿って位置し、画像読取部21に連結される連結ハウジング20bとから構成され、下ハウジング20aには、用紙の給紙部や、用紙上にトナー画像を形成する画像形成部や、用紙上のトナー画像を定着するための定着部等が設けられ、他方、連結ハウジング20bには、定着後の用紙を搬送して排出するための用紙排出装置が設けられている。
【0032】
画像読取部21の直下における連結ハウジング20bの右側方には、右側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間22が形成されており、この胴内排紙空間22の下方には、連結ハウジング20bの右側面から水平方向に排出される用紙を受け取って積載するための用紙排出トレイ60が設けられている。連結ハウジング20bの側面には胴内排紙空間22に連通するように用紙排出口53が設けられており、用紙排出トレイ60上に用紙を排出する。用紙排出トレイ60の排出方向下流側端部には先端規制部材38が設けられ、排出された用紙がトレイ面から滑り落ちないようになっている。
【0033】
画像読取部21の上面には、透明なガラス板からなる原稿載置台25や、正面側に表出した操作パネル26が配設されている。更に、画像読取部21の上方には、原稿載置台の画像読取位置に原稿を搬送するための原稿搬送装置27を搭載した原稿押さえ28が、画像読取部21の背面のヒンジ部によって開閉自在に支持されている。
【0034】
次に、原稿搬送装置27の構成について説明する。原稿カバー30内には、原稿搬送路dに沿って上流側から順に、ピックアップローラー32、搬送ローラー対33、レジストローラー対34、及び排出ローラー対35から成る原稿搬送手段が設けられている。これらのうちで搬送ローラー対33は、駆動ローラー33aと分離ローラー33bとから構成されており、分離ローラー33bにはトルクリミッターが内蔵され、回転負荷が所定トルクを上回る場合のみ駆動ローラー33aと従動回転するようになっている。
【0035】
レジストローラー対34と排出ローラー対35の間には、原稿載置台25における画像読取位置Rに対向して表出したシェーディング補正用の白基準板36と、白基準板36の背後にあって白基準板36を画像読取位置Rに向けて押圧するための原稿押圧部36aと、が設けられている。なお、原稿搬送路dは搬送ローラー対33から画像読取位置Rに至る間において反転するようにU字状に湾曲している。
【0036】
また、原稿搬送路dには、原稿の存否を検知するための複数のセンサーが適所に設けられている。例えば、原稿給紙トレイ29の中央部には原稿検知センサーS1が、搬送ローラー対33の下流側には給紙センサーS2が、排出ローラー対35の下流側には排出センサーS3が、それぞれ設けられている。
【0037】
画像読取部21は、原稿押さえ28を閉じたままで原稿搬送装置27よって原稿を自動的に搬送して読み取るシートスルー方式と、読み取る毎に原稿押さえ28を開閉して原稿載置台25上の原稿を1枚ずつ取り替える原稿固定方式の、2種類の読み取り方式が可能である。なお、前者のシートスルー方式では、画像読取部21に設けられている光学系が走査移動することなく所定位置に保持されたまま原稿の読取動作が行われ、他方、後者の原稿固定方式では、その光学系が走査移動しながら読取動作が行われる。
【0038】
次に、
図1を用いてシートスルー方式の原稿搬送部27による原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式の原稿搬送動作においては、先ず、原稿給紙トレイ29に画像面を上向きにセットされた複数枚の原稿は、ばね部材37aによって上向きに付勢されたセット原稿押さえ部材37により、所定の圧力でピックアップローラー32に押しつけられる。ここで操作パネル26のコピー開始ボタンがオンされると、一次給紙駆動手段(不図示)により、ピックアップローラー32及び搬送ローラー対33が回転駆動される。
【0039】
原稿給紙トレイ29にセットされた原稿は、ピックアップローラー32によって通常上段の複数枚が搬送ローラー対33に送られる。搬送ローラー対33に送られた複数枚の原稿は、分離ローラー33bにより最上の1枚のみが分離されてレジストローラー対34に向けて搬送される。その際、その原稿の先端が給紙センサーS2によって検出されてから所定の距離だけその原稿が搬送された後、1次給紙駆動手段の作動停止によって搬送ローラー対33の駆動ローラー33a及びピックアップローラー32の回転駆動が停止され一次給紙が終了する。一次給紙された原稿は、その先端がレジストローラー対34のニップ部に押圧され、且つその先端部に撓みが形成された状態で停止させられる。
【0040】
1次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙が開始される。つまり、2次給紙駆動手段(不図示)の作動により、レジストローラー対34が回転駆動される。原稿は、レジストローラー対34により、画像読取位置Rを経て排出ローラー対35に向けて搬送された後、最終的には排出ローラー対35によって原稿排紙トレイ31上に排出される。その際、排出センサーS3により原稿の後端通過を検知したことによって、原稿1枚の画像読み取りの完了を検出するようになっている。
【0041】
ここで排出センサーS3は、原稿の給紙搬送完了毎に原稿枚数を計数するカウント機能を有しており、原稿検知センサーS1が後続の原稿を検知していれば、2枚目以降の原稿搬送が上記と同様に続行される。なお、原稿は、画像読取位置Rを通過する際に、白基準板36と原稿押圧部36aによって原稿載置台25に向けて軽く押圧されながら搬送され、その原稿の画像が画像読取位置Rを通じて読み取られるようになっている。
【0042】
続いて、画像読取部21内の構成について、
図1を参照しながら以下に説明する。画像読取部21内には、原稿の画像面に向けて光を照射する光源であるランプ1と、このランプ1からの光を効率よく原稿の画像面に与えるための反射板2と、原稿反射光を直接に受けて反射させる第1ミラー3と、この第1ミラー3からの反射光を受けて反射させる第2ミラー4と、この第2ミラー4からの反射光を受けて反射させる第3ミラー5と、が配置され、この第3ミラー5からの反射光を導入して集光するレンズ群(不図示)を保持した鏡胴6と、この鏡胴6のレンズ群で集光された原稿反射光を受けて電気信号に変換する光電変換モジュール(例えばライン型のCCD)7とがベースプレート10上に配設されている。なお、原稿反射光の光路を一点鎖線で示す。
【0043】
ここで、ランプ1、反射板2及び第1ミラー3は第1キャリッジ8上に一体的に固定され、また、第2ミラー4及び第3ミラー5は第2キャリッジ9上に一体的に固定されており、これらの第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は、相互に独立しているが連携して往復移動可能になっている。つまり、上記のシートスルー方式で原稿画像の読取動作が行われる際は、第1キャリッジ8が画像読取位置Rの直下に移動して保持されるとともに、第2キャリッジ9が所定位置に保持され、他方、原稿固定方式の際は、第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は相互に原稿反射光の光路長を一定に維持しながら往復移動(走査移動)する。
【0044】
このような構成のもと、ランプ1から照射されて原稿の画像面で反射した原稿反射光は、第1ミラー3〜第3ミラー5で反射して鏡胴6内のレンズ群に導入され、レンズ群で集光されて光電変換モジュール7の光電変換素子上に結像する。そして、この光電変換モジュール7で光電変換処理がなされ、原稿画像は電気信号として読み取られる。
【0045】
続いて、読み取った原稿画像の電気信号に基づいてシートに画像を転写するために、装置本体20内に設けられた各種機構の構成について、
図1を参照しながら以下に説明する。先ず、シートの給紙部について述べる。下ハウジング20aの下部には、種々サイズのシート(用紙やOHPシート等)を収納し、正面から出し入れ可能な給紙カセット40が配設されていて、この給紙カセット40に収納されている大サイズの用紙Pは、繰り出しコロ40aにより1枚ずつ送り出される。また、下ハウジング20aの下部における左側面には、必要に応じて引き倒される開閉可能な手差しトレイ41が設けられていて、この手差しトレイ41にセットされている小サイズの用紙P′は、繰り出しコロ41aにより1枚ずつ送り出される。
【0046】
次に、シート上にトナー画像を形成する画像形成部、及びシート上のトナー画像を定着するための定着部について述べる。下ハウジング20a内における給紙カセット40の上方には、主たる画像形成部を構成する感光体ドラム42をはじめ、この感光体ドラム42の周囲に、帯電装置43、レーザー露光ユニット44、現像装置45、転写ローラー46、及びクリーニング装置47が配設されている。また、下ハウジング20a内における転写ローラー46の上方であって連結ハウジング20bの直下には、定着装置(定着部)48が配設されている。
【0047】
感光体ドラム42は、例えば正帯電性のアモルファスシリコン製であって、駆動時には所定の周速度で
図1中時計回りに回転する。感光体ドラム42の表面は、高電圧が印加された帯電装置43から発生したコロナ放電によって一様に帯電された後、上述した光電変換モジュール7からの原稿画像の電気信号に基づくレーザー露光ユニット44からのビーム光の照射によって、所定の明電位と暗電位の部分からなる静電潜像が形成される。
【0048】
更に、感光体ドラム42の回転によって、静電潜像は現像位置にまで回転移動する。現像装置45の構成要素である現像ローラー45aは、ステンレス製で内部に固定磁石を有しており、感光体ドラム42と所定の間隙をもって回転自在に支持され、駆動時には感光体ドラム42と同一方向に所定の周速度で回転する。現像装置45内には、例えば体積平均粒径9μm(コールターカウンターでの計測によるメジアン径)の正帯電の磁性トナーが充填されており、磁性ブレード(不図示)によって現像ローラー45aの表面にトナー薄層が形成される。また、現像ローラー45aには、所定の現像バイアス電圧が印加されている。現像領域に達したトナーは、その現像バイアス電圧により現像ローラー45aの表面から飛翔して感光体ドラム42の表面の静電潜像に吸着し、トナー像が形成(現像)される。
【0049】
ここで、給紙カセット40(又は手差しトレイ41)から1枚ずつ繰り出されて給紙用レジストローラー対49に到達した用紙P(又はP′)は、感光体ドラム42上のトナー像が転写ローラー46に接近するのに同期して、給紙用レジストローラー対49で搬送タイミングが調整されながら上方に向けて送り出され、搬送路T1を通じて感光体ドラム42と転写ローラー46との間に搬送される。そして、その用紙Pの先端とトナー像の先端が一致して転写ローラー46を通過することにより、トナー像中のトナーのほとんどが用紙P上に転写される。
【0050】
用紙P上に転写されずに感光体ドラム42の表面に残留したトナーは、クリーニング装置47によって感光体ドラム42から除去される。一方、トナー像が転写された用紙Pは定着装置48へ送られる。定着装置48は、熱ローラー48a及び加圧ローラー48bからなる定着ローラー対を有しており、この定着ローラー対のニップ部を通過する用紙P上のトナー顕像を加熱・加圧して定着させ、これにより用紙Pには定着された転写画像が形成される。
【0051】
定着装置48を通過した用紙Pは、そのまま垂直上方に向く垂直搬送路T2に沿って連結ハウジング20b内に搬送される。この連結ハウジング20b内には、垂直搬送路T2に連結された搬送ローラー対50、用紙排出トレイ60に用紙Pを排出するための排出ローラー対51が配設されている。搬送ローラー対50から送り出され用紙Pは、搬送路T3を通って排出ローラー対51に達し、排出ローラー対51から用紙排出口53を介して用紙排出トレイ60へ排出される。
【0052】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する両面印字の場合は、定着装置48を通過した用紙Pは一旦排出ローラー対51方向に搬送され、用紙Pの一部が用紙排出口53から用紙排出トレイ60上に繰り出される。そして、用紙Pの後端が分岐部54を通過した後に排出ローラー対51を逆回転させるとともに分岐部54の搬送方向を切り換えることで、用紙Pの後端から反転搬送路T4に振り分けられ(スイッチバック)、画像面を反転させた状態で給紙用レジストローラー対49に再搬送される。そして、感光体ドラム42上に形成された次の画像が転写ローラー46により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置48に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対51から用紙排出口53を介して用紙排出トレイ60に排出される。
【0053】
図2は、本発明の第1実施形態に係る用紙排出装置80を
図1の背面側から見た部分斜視図であり、
図3は、
図2における用紙押さえ部材61付近の拡大図である。なお、
図2では用紙排出口53の左端部周辺を図示しており、
図2及び
図3においては、説明の便宜のため画像読取部21を取り外した状態を示している。用紙排出装置80は、用紙排出口53と、用紙排出トレイ60と、用紙押さえ部材61とを少なくとも含む構成である。
【0054】
用紙排出方向(
図2の矢印A方向)に対し用紙排出口53の下流側近傍には、用紙排出口53から排出される用紙の後端を押圧する用紙押さえ部材61が設けられている。用紙押さえ部材61は、用紙排出口53の左右両端部に、第1揺動軸63(
図6参照)を支軸として用紙排出方向に揺動自在に支持されている。また、用紙押さえ部材61は用紙排出方向から見て満載検知部材70a(後述)と重複するように配置されている。
【0055】
図4及び
図5は、第1実施形態の用紙排出装置80に用いられる用紙押さえ部材61を正面側及び背面側から見た外観斜視図である。用紙押さえ部材61は合成樹脂により一体形成された部材であり、用紙排出口53(
図2参照)に対峙する側面部61aと、側面部61aの下端から用紙排出方向下流側に突出する底面部61bとを有し、側面部61aの上端には第1揺動軸63に揺動自在に嵌合する軸受部61cが形成されている。
【0056】
また、側面部61a及び底面部61bの中央を連結するように支柱部61dが形成されている。支柱部61dは側面部61a側が開口する中空状であり、支柱部61dの用紙排出方向下流側の端部にはつづら折り状の凹凸61eが形成されている。支柱部61dは、用紙押さえ部材61の剛性を高めるとともに、用紙押さえ部材61の重心を用紙排出方向下流側に偏らせる役割を果たしている。また、側面部61a及び底面部61bの交差する部分には角部62が形成されている。
【0057】
なお、用紙押さえ部材61は用紙排出口53の両端部に配置されているため、小サイズの用紙は用紙押さえ部材61と接触せずに用紙排出トレイ60上に排出される。しかし、小サイズの用紙は幅方向両端部及び後端のカールが発生し難いため、用紙押さえ部材61がなくても用紙排出トレイ60上に安定して積載され、用紙排出口53を塞ぐおそれはないため問題はない。
【0058】
図2及び
図3に戻って、用紙押さえ部材61の下流側直近には、用紙排出トレイ60上に積載された用紙の積載量に応じて用紙排出方向と平行に揺動する複数(ここでは3本)の満載検知部材70a、70b、70cが設けられている。満載検知部材70a〜70cは、連結ハウジング20bに揺動自在に支持される第2揺動軸71に固定されている。3本の満載検知部材70a〜70cのうち、用紙幅方向の最も外側に位置する満載検知部材70aは大サイズ(例えばA3サイズ)の用紙、中央の満載検知部材70bは中サイズ(例えばA4サイズ)の用紙、最も内側に位置する満載検知部材70cは小サイズ(例えばB5サイズ)の用紙に接触可能な位置に配置されている。
【0059】
第2揺動軸71の一端には、上面検知センサー65のON及びOFFの切り換えを行う遮光板67が固定されている。遮光板67は、満載検知部材70a〜70cの揺動に応じて、連結ハウジング20bの内壁面に形成された案内溝69に沿って案内溝69の最下位から最上位までを往復移動する。
【0060】
上面検知センサー65は、平面視コ字型の対向する内面に発光部及び受光部から成る検知部が設けられたPI(フォトインタラプタ)センサーである。遮光板67が案内溝69の最上部に移動して検知部の光路を遮断することにより、検知部の受光信号レベルがHIGHからLOWに切り換わり、用紙排出トレイ60上に積載された用紙の上面位置、即ち用紙の積載量を検知可能となっている。用紙排出トレイ60上の用紙が満載であると検知された場合は、例えば操作パネル26(
図1参照)の液晶表示部にメッセージを表示してユーザーに通知する。
【0061】
次に、本実施形態の用紙排出装置における用紙排出動作について説明する。
図2及び
図3は用紙を排出する前の状態(デフォルト状態)を示しており、用紙押さえ部材61は、重心が用紙排出方向下流側に偏っているため、自重により静止した状態で底面部61bが用紙排出方向下流側に向かって下向きに傾斜している。また、満載検知部材70a〜70cも、自重により用紙排出トレイ60に最も近接する位置(基準位置)に配置されており、遮光板67は案内溝69の最下位に位置している。
【0062】
図6は、本実施形態の用紙排出装置80において、用紙排出トレイ60上に大サイズの用紙が積載される様子を示す側面断面図である。排出ローラー対51から用紙排出口53を介して排出される大サイズ(例えばA3サイズ)の用紙Pの先端は、用紙押さえ部材61の側面部61aに突き当り、用紙押さえ部材61を用紙排出方向下流側に揺動させながら、用紙排出方向下流側に向かって下向きに傾斜する底面部61bに沿って用紙排出トレイ60上に順次積載されていく。
【0063】
用紙Pの後端は用紙押さえ部材61の底面部61bの下方に潜り込んだ状態で積載されるため、用紙排出口53から排出された用紙Pの後端は底面部61bにより上方から押圧される。ここで、
図4及び
図5に示したように、用紙押さえ部材61の底面部61bは用紙排出方向及び用紙幅方向に広がる矩形状であるため、用紙Pの幅方向両端部のカールを押圧するとともに、用紙Pの後端のカールも押圧することができる。
【0064】
また、用紙押さえ部材61が自重により静止した状態では、底面部61bは用紙排出方向下流側に向かって下向きに傾斜しており、且つ側面部61aと底面部61bの交差する角部62(
図4、
図5参照)は用紙排出方向に対し第1揺動軸63よりも上流側に位置している。そのため、用紙Pの後端のカールにより底面部61bの排出方向上流側が押し上げられたとき、用紙押さえ部材61を排出方向上流側に揺動させようとする力が作用する。これにより、用紙押さえ部材61が用紙排出方向下流側に揺動せず、底面部61bが積載された用紙Pの上面から離間し難くなる。
【0065】
用紙排出トレイ60上の用紙Pの積載量が多くなってくると、用紙押さえ部材61は用紙Pの上面に押されて徐々に用紙排出方向下流側に回動するため、底面部61bの位置も用紙排出方向下流側に移動する。そのため、用紙Pの後端を十分に押圧することができなくなり、特に用紙Pの後端のカールが大きい場合は用紙排出トレイ60上の用紙Pが満載状態になる前に用紙排出口53を塞ぐおそれがある。
【0066】
図7は、本実施形態の用紙排出装置80において、用紙排出トレイ60上の大サイズの用紙の積載量が多くなったときの用紙排出口53の左端部周辺を
図1の背面側から見た部分斜視図であり、
図8は、
図7における用紙押さえ部材61付近の拡大図である。なお、説明の便宜のため、
図7及び
図8では用紙の記載を省略している。本実施形態では、前述したように用紙押さえ部材61は用紙排出方向から見て満載検知部材70aと重複するように配置されているため、用紙押さえ部材61と満載検知部材70aの揺動軌道も重複している。
【0067】
この構成により、排出された用紙に押された用紙押さえ部材61は、満載検知部材70aに対し用紙排出方向上流側から当接し、満載検知部材70aは用紙押さえ部材61と共に上方に揺動する。また、満載検知部材70aの揺動に伴い第2揺動軸71も回転し、遮光板67も案内溝69に沿って上方に移動する。そして、満載検知部材70aが所定の位置(検知位置)まで揺動すると、遮光板67が上面検知センサー65の検知部を遮光する案内溝69の最上位に到達し、用紙排出トレイ60が満載状態であると判断されて操作パネル26上に警告メッセージが表示される。
【0068】
従って、用紙排出トレイ60上に積載された用紙Pの上面が満載検知部材70aに直接接触しなくても、用紙Pの上面に接触する用紙押さえ部材61が用紙排出方向下流側に回動するにつれて満載検知部材70aが上方に押し上げられ、満載検知部材70aと上面検知センサー65による積載量の検知が可能となるため、用紙排出トレイ60上の用紙Pが満載状態になる前に用紙Pの後端のカールにより用紙排出口53が塞がれるおそれがあることを予めユーザーに通知することができる。
【0069】
また、用紙押さえ部材61は用紙幅方向の最も外側に位置する満載検知部材70aのみに接触するように配置されており、満載検知部材70b、70cには接触しない。そのため、用紙排出トレイ60上に中サイズまたは小サイズの用紙が積載される場合は、満載検知部材70bまたは70cを回動させて遮光板67を基準位置から検知位置に移動させることにより満載状態が検知される。
【0070】
ここで、満載検知部材70a〜70cは、用紙押さえ部材61の第1揺動軸63と異なる第2揺動軸71を中心として揺動するため、用紙押さえ部材61が満載検知部材70b、70cと共に連れ回りするおそれがない。従って、大サイズの用紙に比べてコシの弱い小サイズの用紙を排出する際に用紙押さえ部材61の揺動負荷が掛からず、用紙排出トレイ60上に円滑に積載することができる。また、用紙の満載状態を高精度で検知することができる。
【0071】
なお、
図2及び
図3に示したデフォルト状態では、用紙押さえ部材61は満載検知部材70aに当接していても良いし、満載検知部材70aと所定の間隔を隔てて配置されていても良い。用紙押さえ部材61と満載検知部材70aとの間に間隔がある場合は、用紙押さえ部材61が所定角度だけ揺動したとき満載検知部材70aに当接し、その後、満載検知部材70aは用紙押さえ部材61と共に上方に揺動する。
【0072】
以上説明したように、本発明の第1実施形態の用紙排出装置80は、排出される用紙のサイズに係わらず用紙排出トレイ60の満載状態を正確に検知可能となり、さらに用紙の幅方向両端部や後端のカールし易い大サイズの用紙を排出する場合は、後端のカールが用紙排出口53を塞ぐ前に満載状態を検知してユーザーに通知できる使い勝手の良い用紙排出装置となる。
【0073】
また、用紙押さえ部材61は
図4及び
図5に示した形状に限らず、用紙排出口53から排出される用紙の先端に対峙する側面部61aと、側面部61aの下端から用紙排出方向下流側に突出する底面部61bとを有する構成であれば、
図9に示すような側面視L字状の用紙押さえ部材61を用いることもできる。
【0074】
ところで、上述した第1実施形態の用紙排出装置80では、両面印字を行うために、一旦用紙排出口53から排出された用紙Pを排出ローラー対51の逆回転によってスイッチバックして反転搬送路T4(
図1参照)に振り分ける際に、
図10に示すように、用紙排出口53方向(矢印B方向)に引き込まれる用紙Pの上面と底面部61bとの摩擦によって用紙押さえ部材61が矢印C方向に回動し、デフォルト状態(
図2、
図3参照)まで引き込まれてしまうことがある。
【0075】
その結果、
図11に示すように、用紙押さえ部材61の排出方向上流側端部(角部62)と排出ローラー対51のニップ部との間で用紙Pの幅方向端部が大きく撓み、用紙Pに強い捩れが発生する。この用紙Pの捩れによって、用紙Pの幅方向端部における搬送負荷が急激に上昇し、用紙Pの斜行(スキュー)が発生する。用紙Pの斜行は反転搬送路T4内での紙詰まり(ジャム)の原因となる。上記の不具合は、用紙Pの幅方向端部のみが用紙押さえ部材61に接触し、且つコシの弱い用紙Pを搬送する際に特に顕著となる。
【0076】
図12は、本発明の第2実施形態に係る用紙排出装置80の用紙押さえ部材61付近の側面断面図であり、
図13及び
図14は、第2実施形態の用紙排出装置80に用いられる用紙押さえ部材61を正面側及び背面側から見た外観斜視図である。本実施形態に用いられる用紙押さえ部材61は、側面部61aと底面部61bとが交差する角部62に、コロ73が回転自在に付設されている。用紙押さえ部材61の他の部分の構成、及び満載検知部材70a〜70cを含む用紙排出装置80の他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0077】
図15は、第2実施形態の用紙排出装置80を用いて用紙Pを引き込む様子を示す側面断面図である。
図15に示すように、用紙Pの幅方向端部は用紙押さえ部材61の角部62に接触しながら画像形成装置100内部に引き込まれる。ここで、角部62にはコロ73が設けられているため、用紙Pと角部62との摩擦が低減される。
【0078】
従って、用紙押さえ部材61が用紙Pとの摩擦によってデフォルト状態まで引き込まれる現象を抑制することができ、用紙押さえ部材61の排出方向上流側端部(角部62)と排出ローラー対51のニップ部との間で用紙Pの幅方向端部に捩れが発生しない。その結果、用紙Pの幅方向端部における搬送負荷の上昇も発生しないため、用紙Pのスイッチバック時における斜行(スキュー)や、反転搬送路T4内での紙詰まり(ジャム)の発生を効果的に抑制することができる。
【0079】
なお、本実施形態の用紙排出装置80では、角部62の幅方向略中央部にコロ73を設けたが、
図16(a)に示すように、角部62の幅方向略全域に亘って細長円筒状のコロ73を設けても良い。このようにすれば、用紙排出口53と略等しい用紙幅(例えばA3サイズ)の用紙P1、用紙排出口53の幅よりも若干小さい用紙幅(例えばB4サイズ)の用紙P2、或いはその中間のサイズ等の複数サイズの用紙と用紙押さえ部材61の角部62との摩擦を、用紙幅に係わらず効果的に低減することができる。また、使用する用紙幅の異なる用紙排出装置80との間で用紙押さえ部材61を兼用することができる。
【0080】
また、用紙排出装置80から排出される用紙Pのサイズが決まっている場合は、使用される用紙幅に応じた位置にコロ73を設けても良い。例えば、A3サイズの用紙P1とB4サイズの用紙P2とを排出する場合は、
図16(b)に示すように、用紙押さえ部材61の角部62の2箇所に用紙P1、P2と接触可能なコロ73を設けておけば良い。
【0081】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では胴内排紙型の画像形成装置に用いられる用紙排出装置について説明したが、本発明は、画像形成装置の上面や側面への用紙を排出する場合、或いは、原稿搬送装置により原稿読取部に搬送され、原稿画像の読み取りが行われた後の原稿を排出する場合に用いられる用紙排出装置についても全く同様に適用可能である。