特許第5803102号(P5803102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803102
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】積層シートの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/06 20060101AFI20151015BHJP
   B29C 47/14 20060101ALI20151015BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20151015BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20151015BHJP
【FI】
   B29C47/06
   B29C47/14
   B29L7:00
   B29L9:00
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-292167(P2010-292167)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-139832(P2012-139832A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古野 良治
(72)【発明者】
【氏名】井ノ本 健
(72)【発明者】
【氏名】野村 文保
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−130910(JP,A)
【文献】 特開2008−272989(JP,A)
【文献】 特開2006−123541(JP,A)
【文献】 特開2010−280157(JP,A)
【文献】 特開2007−190456(JP,A)
【文献】 特開2008−030258(JP,A)
【文献】 特開2006−069139(JP,A)
【文献】 特開2006−142714(JP,A)
【文献】 特開2009−154455(JP,A)
【文献】 特開平06−055608(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2177341(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/00− 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の溶融材料を前記種類の数よりも多い層数の層を形成するように積層する積層シートの製造装置であって、
前記各溶融材料をそれぞれ供給する複数の第1マニホールドと、
前記各第1マニホールドのいずれかひとつと連通し、前記各第1マニホールド内に供給された前記溶融材料を前記各第1マニホールドから前記各層に対応してスリット通過方向に通過させる複数のスリットと、
該複数のスリットを通過した各溶融材料を前記スリット通過方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させる合流部とを備え、
前記複数の第1マニホールドのいずれかに連通する前記各スリットについて、該各スリットの第1マニホールドと連通する部分に前記各スリットのスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有し、第1マニホールドから離れるに従いその上端および下端が共に下流方向に傾斜している第2マニホールドがスリット幅方向のすべてに設けられていることを特徴とする積層シートの製造装置。
【請求項2】
前記複数のスリットの各スリット間隙をS、前記第2マニホールドの積層方向の最大寸法をTとしたとき、次式を満足することを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造装置。
2.5S ≦ T ≦ 5S
【請求項3】
前記第2マニホールドの断面積が前記第1マニホールドから離れるに従い小さくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートの製造装置。
【請求項4】
前記各スリットが放射状に積層配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項5】
前記各スリットのスリット間隙が合流部近傍で、合流部に向かって除々に大きくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項6】
前記各スリットのスリット間隙が積層方向の最端部のスリットを除くスリットの一端から他端に向かって段階的あるいは連続的に変化していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項7】
前記各スリットのスリット幅が20mm以上、100mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項8】
前記各第1マニホールドへ前記各溶融材料を供給するための材料導入口が複数個設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項9】
複数種類の溶融材料を前記種類の数よりも多い層数の層を形成するように積層する積層シートの製造方法であって、
前記各溶融材料を複数の第1マニホールドを経由して、前記各第1マニホールドのいずれかひとつと連通し前記各層に対応してスリット通過方向に通過させる複数のスリットに供給し、該複数のスリットに供給された前記各溶融材料を前記スリット通過方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させるに際し、前記複数の第1マニホールドのいずれかに連通する前記各スリットとして、該各スリットの第1マニホールドと連通する部分に前記各スリットのスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有し、第1マニホールドから離れるに従いその上端および下端が共に下流方向に傾斜している第2マニホールドがスリット幅方向のすべてに設けられているスリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の溶融材料を、それぞれの溶融材料を受け入れるそれぞれのマニホールドに供給し、各マニホールドから溶融材料を、複数の細孔や複数のスリットを通して流出させ、複数の溶融材料の層状の流れを形成し、複数種類の溶融材料の層状の流れを合流させて多層の溶融材料シートを形成し、このシートを、溶融材料の各層の積層方向と直交する方向(シートの幅方向)に延びるスリット状の口金から吐出させ、積層シートを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。口金から吐出された積層シートは、そのまま、あるいは、その後、延伸等の後処理が施され、多層フィルムとして用いられる。
【0003】
この積層シートの製造装置の典型的な例が、図1に示される。図1において、積層シートの製造装置は、一方の溶融材料Aが供給される溶融材料導入管1、他方の溶融材料Bが供給される溶融材料導入管2、溶融材料導入管1により供給された溶融材料Aと溶融材料導入管2により供給された溶融材料Bからなる積層流を形成する多層フィードブロック3、形成された積層流が流れる導管4、導管4により供給された積層流の幅と厚みを所定の値に調整し、調整された積層流を吐出し、溶融材料Aと溶融材料Bとが交互に積層された積層シートを形成する口金5、および、口金5から吐出された積層シート6を冷却し固化させるキャスティングドラム7からなる。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、未延伸フィルム8と呼称される。未延伸フィルム8は、通常、矢印NSで示すように、延伸工程(図示せず)に送られ、一方向あるいは二方向に延伸され、多層フィルムとされる。
【0004】
多層フィードブロック3は、その内部に、溶融材料導入管1に結合されるマニホールド、溶融材料導入管2に結合されるマニホールド、および、所定の間隔をもって配列された複数のスリット、各スリットを通過した各溶融材料の流れを合流させる合流部を有する。複数のスリットは、2つの群に分けられ、一方の群の複数のスリットは、溶融材料導入管1に結合されたマニホールドの出口に対し開口し、他方の群の複数のスリットは、溶融材料導入管2に結合されたマニホールドの出口に対し開口している。合流部の出口は、導管4に連通されている。
【0005】
一般に、溶融材料導入管1と溶融材料導入管2にはそれぞれ屈折率の高い材料と屈折率の低い材料とを供給し、それぞれの材料を一定の厚みで交互に積層することで特定の波長の光を反射させるフィルムや、それぞれの材料の層の厚みをフィルム厚み方向に一定の割合で順次減少または増加させて積層することで、広い波長域の光を反射または透過させる特性を持ったフィルムが得られることが知られている。
【0006】
本発明者の知見によると、このようなフィルムを得るには積層精度を高めることが重要であるが、上述の多層フィードブロックを用いて多層フィルムの成形を試みたところ、多層フィードブロックのスリット部を流れる溶融材料の経路長さの差の影響でフィルム幅方向の各層の厚みが均一にならずフィルム幅方向で反射または透過させる光の波長が異なフィルムとなることが判明した。
【0007】
特許文献3は、上記問題を解決する方法として本発明者が提案したものである。その積層シートの製造装置に用いられる多層フィードブロックの一例が、図9に示される。図9において、多層フィードブロック内に形成されるマニホールドとスリット部の空間部が示されている。
【0008】
図9において、多層フィードブロック101には、溶融材料Aをブロック101内に導入する材料導入路102と溶融材料Bをブロック内に導入する材料導入路103が取り付けられている。多層フィードブロック101の内部には、材料導入路102が結合されるマニホールド104と材料導入路103が結合されるマニホールド105が設けられている。マニホールド104は、材料導入路102から導入された溶融材料Aの流れを、多層フィードブロック101の積層方向(図9に示すX軸方向)の全幅に亘り誘導する。マニホールド105は、材料導入路103から導入された溶融材料Bの流れを、多層フィードブロック101の積層方向(図9に示すX軸方向)の全幅に亘り誘導する。
【0009】
更に、多層フィードブロック101の内部には、所定の間隔108をもって配列された多数のスリットが設けられている。多数のスリットは、複数のスリット106からなるスリット群と複数のスリット107からなるスリット群からなる。スリット106とスリット107とは、間隔108を介して交互に配列されている。各スリット106と各スリット107のスリット通過方向(図9に示すZ軸方向)の上流端部はそれぞれ逆方向に傾斜しており、各スリット106の入り口は、マニホールド104に結合されている。各スリット107の入り口は、マニホールド105に結合されている。すなわち、複数のスリット106からなるスリット群はマニホールド104に、複数のスリット107からなるスリット群はマニホールド105にそれぞれ連通している。
【0010】
また、更に、多層フィードブロック101の内部には、各スリット106および各スリット107の出口部に結合された合流部(図示せず)が、設けられている。この合流部において、各スリット106の出口部から流出した溶融材料Aの流れと各スリット107の出口部から流出した溶融材料Bの流れとが、交互に積層された溶融材料の積層流が形成される。
【0011】
図10は多層フィードブロック101のスリットが示される。スリット106およびスリット107のスリット通過方向の途中にはスリット間隙(図10に示すX軸方向の寸法)が狭くなった狭小部109がスリット幅方向Dの全域に設けられており、マニホールド104および105から流入した溶融材料が狭小部109によりスリット通過方向の流れが規制されスリット幅方向に拡幅されることで狭小部を流れる溶融材料の流量がスリット幅方向で均一化されるため、スリット出口での溶融材料の流量が均一となる。
【0012】
また、スリット板に形成されるスリット106、107および、狭小部109は、スリット幅方向の全幅にわたってスリット間隙が同一になるように製作されている。
【0013】
しかしながら、本発明者が提案の上記技術による多層フィードブロックは、従来技術に比べ幅方向の各層の厚み均一性は向上するが、狭小部のスリット間隙が小さいため溶融材料の流量が多い場合や溶融材料の粘性が大きい場合は狭小部での圧力損失が大きくなり過ぎ、圧力によりスリットが変形し本来のスリット間隙を維持できずスリットを流れる材料の流量が変わってしまい結果的にフィルム幅方向で均一な層厚みに積層されない場合が発生する。また、狭小部の間隙が小さいため加工の少しの誤差でスリットを流れる流量が変わってしまったり、狭小部のスリット間隙が小さく加工が困難であるといった問題があった。
【0014】
なお、図10において、溶融材料Aの流れに関与するスリット106の系列と溶融材料Bの流れに関与するスリット107の系列とは、同じ向きに図示されているが、図9を参照すれば分かるように、実際には、一方の系列は、他方の系列に対し、左右反転した関係にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公昭50−6860号公報
【特許文献2】特開2003−112355号公報
【特許文献3】特開2010−137448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は上述の問題を解決し、積層シートの幅方向における各層の厚みが実質的に均一な積層シートを製造することが可能な積層シートの製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため、本発明の積層シートの製造装置は下記の構成を有する。
【0018】
すなわち、複数種類の溶融材料を前記種類の数よりも多い層数の層を形成するように積層する積層シートの製造装置であって、前記各溶融材料をそれぞれ供給する複数の第1マニホールドと、前記各第1マニホールドのいずれかひとつと連通し、前記各第1マニホールド内に供給された前記溶融材料を前記各第1マニホールドから前記各層に対応してスリット通過方向に通過させる複数のスリットと、該複数のスリットを通過した各溶融材料を前記スリット通過方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させる合流部とを備え、前記複数の第1マニホールドのいずれかに連通する前記各スリットについて、該各スリットの第1マニホールドと連通する部分に前記各スリットのスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有する第2マニホールドがスリット幅方向のすべてに設けられていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0019】
スリットの第1マニホールドと連通する部分に第2マニホールドをスリットの幅方向のすべてに設けることで、第1マニホールドから遠い部分のスリットへ溶融材料が流れ易くなりスリットの第1マニホールドの近い側と遠い側の流量差が小さくなることにより、スリット幅方向の溶融材料の流量が均一となる。
【0020】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記複数のスリットの各スリット間隙をS、前記第2マニホールドの積層方向の最大寸法をTとしたとき、次式(1)を満足することを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0021】
2.5S ≦ T ≦ 5S 式(1)
第2マニホールドの積層方向の最大寸法Tがスリット間隙Sの2.5倍未満の場合には、溶融材料がスリット幅方向に十分拡幅されず結果的に幅方向で各層の厚みが不均一となってしまう場合がある。また、第2マニホールドの積層方向の最大寸法Tがスリット間隙Sの5倍より大きい場合には、第2マニホールドの積層方向の寸法が大きくなり過ぎ、積層数が多くなると装置が大型化してしまう、ほか、第2マニホールドが大きいと溶融材料の種類によっては滞留が発生し材料が熱劣化してしまうなどフィルムの品質に悪影響をおよぼす場合がある。
【0022】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2マニホールドが第1マニホールドから離れるに従い下流方向に傾斜していることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。第2マニホールドを傾斜させることで、連通させる第1マニホールドを選択が簡単な構造でできる、ほか、スリットの第1マニホールドに近い側と遠い側との溶融材料の経路差が小さくなり、更にスリット幅方向の流量分布が向上する。
【0023】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2マニホールドの断面積が前記第1マニホールドから離れるに従い小さくなっていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。第2マニホールドの断面積を第1マニホールドから離れるに従い小さくすることで第2マニホールド内を流れる溶融材料の流速の低下を防ぐことにより、第1マニホールドに近いスリット部を流れる溶融材料の滞留時間と第1マニホールドから遠いスリット部を流れる溶融材料の滞留時間の差を小さくできる、また、第2マニホールドの第1マニホールドから最も遠い部分に発生する溶融材料の滞留部分を少なくできる。
【0024】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各スリットが放射状に積層配置されていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。スリットに第2マニホールドを設けると隣接するスリットの距離が必要となり、多層フィードブロックの積層方向の寸法が大きくなるが、スリットを放射状に積層配置することで寸法を小さくできる。また、スリットとスリットの間に存在する隔壁の厚みは、スリット下流より上流部分で厚くなっており、第2マニホールドを設けても隔壁の強度が保たれる。
【0025】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各スリットのスリット間隙が合流部近傍で、合流部に向かって除々に大きくなっていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。合流部近傍で合流部に向かってスリット間隙を除々に大きくすることで、スリットとスリットの間に存在する隔壁の厚みが薄くすることができ、スリットから流出する各溶融材料の合流点が安定し合流時の乱れを防止するとともに、隔壁先端部分の滞留を少なくすることができる。
【0026】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各スリットのスリット間隙が積層方向の最端部のスリットを除くスリットの一端から他端に向かって段階的あるいは連続的に変化していることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0027】
最端部を除く各スリットのスリット間隙を積層方向の一端から他端に向かって段階的あるいは連続的に変化させることで、表層を除くフィルムの厚み方向に層厚みが除々に変化する傾斜構造のフィルムを得ることができる。
【0028】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記スリット幅方向の寸法Dが20mm以上100mm以下であることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0029】
スリット幅方向の寸法Dが20mm未満の場合、スリット形成部の強度不足を生じる場合があり、スリット幅が100mmを越えると高精度にスリットを加工することが困難となり、それにより幅方向の均一性が損なわれる。
【0030】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各第1マニホールドへ前記各溶融材料を供給するための材料導入口が複数個設けられていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0031】
第1マニホールドへ溶融材料を供給するための材料導入口を複数個設けることで、スリットの数が多い場合でも溶融材料をスリットに均一に供給できる。
【0032】
また、本発明の別の形態によれば、複数種類の溶融材料を前記種類の数よりも多い層数の層を形成するように積層する積層シートの製造方法であって、前記各溶融材料を複数の第1マニホールドを経由して、前記各第1マニホールドのいずれかひとつと連通し前記各層に対応してスリット通過方向に通過させる複数のスリットに供給し、該複数のスリットに供給された前記各溶融材料を前記スリット通過方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させるに際し、前記複数の第1マニホールドのいずれかに連通する前記各スリットとして、該各スリットの第1マニホールドと連通する部分に前記各スリットのスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有する第2マニホールドがスリット幅方向のすべてに設けられているスリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法が提供される。
【0033】
本発明において、溶融材料とは、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る積層シートの製造装置によれば、幅方向で各層の厚みが実質的に均一な積層シートを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一般的に用いられており、かつ、本発明の実施形態としても用いられる積層シートの製造装置および製造工程を説明するための斜視図。
図2】本発明の実施形態の積層シートの製造装置において用いられる多層フィードブロックの一例の分解斜視図。
図3図2の本発明の実施形態の多層フィードブロックにおけるスリット板、および、合流、排出路の正面図。
図4(a)】図3におけるS1−S1断面矢視図。
図4(b)】図4(a)におけるスリットの斜視図。
図5(a)】図3におけるS2−S2断面矢視図。
図5(b)】図5(a)におけるスリットの斜視図。
図6(a)】実施例1において用いられるスリットの各寸法関係を説明する図。
図6(b)】図6(a)におけるスリット間隙の寸法を説明する図。
図7(a)】比較例1において用いられるスリットの各寸法関係を説明する図。
図7(b)】図7(a)におけるスリット間隙の寸法を説明する図。
図8(a)】比較例2において用いられるスリットの各寸法関係を説明する図。
図8(b)】図8(a)におけるスリット間隙の寸法を説明する図。
図9】従来の積層シートの製造装置に用いられる多層フィードブロックの内部空間(溶融材料の流路)を示す斜視図。
図10図9に示す従来の多層フィードブロックのスリットにおける溶融材料の流路を説明する図。
図11】本発明の積層シートの製造装置を用いて得られた積層シートの模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2から図5は、本発明の積層シートの製造装置の一実施形態において用いられる多層フィードブロック3に関する図である。図2は、多層フィードブロック3を分解した状態の斜視図、図3は、図2のスリット板20および合流部/排出路形成部材20aの正面図である。
【0037】
図2において、多層フィードブロック3は、側板21、側板22、および、側板21と側板22とに挟まれたスリット板20を有している。スリット板20は、その下部に合流部18と排出路19を有する。
【0038】
側板21には、積層方向(図2のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に延びる溶融材料A側の第1マニホールド14が設けられ、第1マニホールド14には、溶融状態の材料A(溶融材料A)を第1マニホールド14内に供給する溶融材料導入路12が複数結合されている。側板22には、積層方向(図2のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に延びる溶融材料B側の第1マニホールド15が設けられ、第1マニホールド15には、溶融状態の材料B(溶融材料B)を第1マニホールド15内に供給する溶融材料導入路13が複数結合されている。
【0039】
図3に示すように、スリット板20には、その積層方向(図3のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に放射状に多数のスリット16と多数のスリット17とが、隔壁20aを介して設けられている。スリット16とスリット17とは、隔壁20aを介して、交互に位置する。各スリット16の上部で第1マニホールド14と接する部分に各スリット16のスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有する第2マニホールド16aが、各スリット17の上部で第1マニホールド15と接する部分に各スリット17のスリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有する第2マニホールド17aが各スリットの全幅(図3の紙面垂直なY方向)に設けられている。各スリット16、17は、スリット板20のある点を中心に放射状に、所定の長さで、スリット板20に刻まれている。各スリット16、17および第2マニホールド16a、17aの両側面は、スリット板20の両側面に開口している。本実施形態では、スリット16、17を放射状に配置したが、図9に示すような、スリットが積層方向に平行に並んだ構成をもつ従来型の多層フィードブロックのスリットに第2マニホールドを設ける構成にしても良い。
【0040】
スリット16および第2マニホールド16aと、スリット17および第2マニホールド17aはスリット幅方向に(図3の紙面垂直なY方向)互いに逆方向に傾斜しており、側板21、スリット板20および側板22が組み立てられた状態において、各スリット16上部の第2マニホールド16aは、第1マニホールド14に直接開口し、各スリット17上部の第2マニホールド17aは、第1マニホールド15に直接開口した状態が形成される。また、各スリット16と第2マニホールド16aの第1マニホールド14に開口する部分以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態となり、各スリット17と第2マニホールド17aの第1マニホールド15に開口する部分以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態とされる。各スリット16、17の第2マニホールド16a、17aは、第1マニホールド14、15に直接開口しており、各スリット16は第2マニホールド16aを介して第1マニホールド14と連通し、各スリット17は第2マニホールド17aを介して第1マニホールド15と連通している。
【0041】
本実施形態では、第2マニホールドを傾斜させたが、必ずしも傾斜させる必要はなくスリット板と側板との間に、第2マニホールドの1つ置きに対応し第1マニホールドと第2マニホールドを連通する複数の穴が開いた板をスリット板の両側に配置する構成にしてもよい。
【0042】
複数の溶融材料導入路12は、図1に示す溶融材料導入管1に結合され、溶融材料導入管1から溶融材料Aの供給を受ける。各溶融材料導入路12から第1マニホールド14内に供給された溶融材料Aは、第1マニホールド14内において、第1マニホールド14の積層方向(図2のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に流動し、第1マニホールド14内に充満する。第1マニホールド14内の溶融材料Aは、第1マニホールド14に開口している各第2マニホールド16aの入り口から各第2マニホールド16a内へと流入し、第2マニホールド16aの幅方向(図3の紙面垂直なY方向)に流動し、第2マニホールド16aに充満した後、連通するスリット16内を流下し、各スリット16の出口部から合流部18に流出する。
【0043】
複数の溶融材料導入路13は、図1に示す溶融材料導入管2に結合され、溶融材料導入管2から溶融材料Bの供給を受ける。各溶融材料導入路13から第1マニホールド15内に供給された溶融材料Bは、第1マニホールド15内において、第1マニホールド15の積層方向(図2のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に流動し、第1マニホールド15内に充満する。第1マニホールド15内の溶融材料Bは、第1マニホールド15に開口している各第2マニホールド17aの入り口から各第2マニホールド17a内へと流入し、第2マニホールド17aの幅方向(図3の紙面垂直なY方向)に流入し、第2マニホールド17aに充満した後、連通するスリット17内を流下し、各スリット17の出口部から合流部18に流出する。
【0044】
合流部18に流出した溶融材料Aの各シート状の流れと溶融材料Bの各シート状の流れとは、合流部18において、交互に積層され、積層流となる。この積層流は、排出路19を流下する。排出路19を流下する積層流における溶融材料Aと溶融材料Bとの積層方向は、製造される積層シートの厚み方向に一致する。
【0045】
排出路19を流下した積層流は、図1に示す導管4を介して、口金5内に導入される。積層流は、口金5内で所定の方向(溶融材料Aと溶融材料Bとの積層方向に直交する方向)に拡幅され、口金5から積層シート6として吐出され、吐出された積層シート6は、キャスティングドラム7の表面上で冷却固化され、未延伸フィルム8として次工程(例えば、延伸工程)に送られ、多層フィルム(図示略)に形成される。
【0046】
図4(a)および図5(a)は図3におけるS1、S2断面を示す図であり、隔壁20aを介して、スリット板20の積層方向に隣り合って位置するスリット16とスリット17との関係が、図4(b)および図5(b)には、スリット16とスリット17の斜視図が拡大して示される。
【0047】
各スリット16または17の上部には、積層方向(図4、5に示すX軸方向)の長さがTの第2マニホールド16aおよび17aがスリット幅方向Dの全幅に設けてある。また、スリット出口部分には、スリット間隙Sが合流部18に向かって除々に大きくなっている拡大部16bおよび17bがスリット幅方向Dの全幅に設けてある。
【0048】
本実施形態では、図4(a)および図5(a)に示すように第2マニホールド16a、17aの下面を第1マニホールド14、15の下面(図4(a)および図5(a)のZ方向下側)に合わせたが、必ずしも合わせる必要はない。
【0049】
また、本実施形態では図4(b)および図5(b)に示すように第2マニホールド16a、17aを構成するのにスリット16および17に対し両側に拡大したが、片方をスリット16およびスリット17の壁面で構成しもう一方の壁面のみ拡大する構成としてもよい。また、第2マニホールド16aおよび17aの形状は略五角形の形状となっているが、必ずしもこの形状にする必要はない。また、本実施形態では第2マニホールドの断面積をスリット幅方向で同一としたが、第1マニホールドから離れるに従い断面積が小さくなるように構成してもよい。
【0050】
溶融材料Aは図4(a)に矢印14aで示すように、第1マニホールド14から各第2マニホールド16a内へと流入する。流入した溶融樹脂Aは第2マニホールド16a内をスリット幅方向(図4に示すY軸方向)に流れ第2マニホールド16aに充満した後、スリット16をスリット通過方向(図4に示すZ軸方向)に流下することでスリット幅方向の溶融材料の流量が均一化される。
【0051】
同様に、溶融材料Bは図5(a)に矢印15aで示すように、第1マニホールド15から各第2マニホールド17a内へと流入する。流入した溶融樹脂Bは第2マニホールド17a内をスリット幅方向(図5に示すY軸方向)に流れ第2マニホールド17aに充満した後、スリット17をスリット通過方向(図5に示すZ軸方向)に流下することでスリット幅方向の溶融材料の流量が均一化される。
【0052】
各スリット16および17を流下した溶融材料はスリット出口部の拡大部16bおよび17bで積層方向(図4図5のX軸方向)に除々に拡大され隣り合うスリットから流下する溶融材料と合流するため、合流部における溶融材料の乱れの発生が防止できる。その結果、各スリットの出口部におけるスリット幅方向の各層の積層厚みのばらつきが小さく抑えられると共に、層間乱れの無い均一で高品位な積層構成の積層シートが得られる。
【0053】
つまり、図11に示すような良好な積層精度を有する積層シートやシートの幅方向において良好な均一性を有する積層シートが得られる。スリット16および17のスリット間隙Sは、製造しようとするフィルムが厚み方向に同じ層厚みを持つフィルムの場合、それぞれ同じ間隙でよいが、厚み方向に層厚みが傾斜したフィルムを作る場合、スリット間隙Sを積層方向(図3のXZ平面においてスリットが形成される扇形状の周方向)に沿って一端から他端に向かって段階的あるいは連続的に変化させることで、各スリットの圧力損失が変わり通過する溶融材料の流量が調整されることで達成できる。
【実施例】
【0054】
図3に示した多層フィードブロック3を用いて、図1に示した積層シートの製造装置により、2軸延伸多層フィルムを製造し、本実施形態による効果を確認した。この効果の確認の具体例を次の実施例1〜3および比較例1〜2に示す。
【0055】
なお、各測定値の測定法は、次の通りである。
【0056】
(1)積層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子
顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所)を用い、加速電圧75kvでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影し、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。
【0057】
積層厚みの具体的な求め方を、説明する。前記の方法で撮影した断面写真の画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPEGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
【0058】
(2)溶融粘度
回転式レオメーター MR−300ソリキッドメーター(レオロジ製)を用いて動的粘弾性層測定を行った。測定には、平行円板(直径18mm)を用い、窒素雰囲気下、280℃、振幅1°、せん断速度15s−1での複素粘性率をせん断粘度とした。なお、実施例にて乾燥して製膜に用いた材料については、本測定においても同様の条件にて乾燥を行った。
【0059】
(3)積層厚みムラの定義
フィルム幅方向中心から幅方向に対して等間隔に9箇所サンプリングし(1)に記載の手法でフィルム幅方向位置の各層の厚みを算出した。積層されている各層について、その最大厚みをdmax、最小厚みをdmin、平均厚みをdavとし、厚みムラを(dmax−dmin)/davとした。得られた各層の厚みムラの中で最も大きな値をフィルムの積層厚みムラとする。表1には、フィルムの積層厚みムラが0.02未満のものを◎、0.02以上0.05未満のものを○、0.05以上0.1未満のものを△、0.1以上のものを×とした。
[実施例1]
2種類の溶融材料Aと溶融材料Bを準備した。溶融材料Aとして、280℃における溶融粘度が180Pa・sのポリエチレンテレフタレート(PET)(東レ(株)製、F20S)を用いた。溶融材料Bとして、280℃における溶融粘度が350Pa・sのシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)(イーストマン社製、PETG6763)を用いた。これら溶融材料AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0060】
溶融材料AおよびBは、それぞれ、押出機にて温度280℃の溶融状態とし、溶融材料A/溶融材料Bの吐出比が1/1となるようギヤポンプで計量しフィルタを介した後、それぞれの導入管より多層フィードブロックに導入した。多層フィードブロックとしては、図6(a)に第1マニホールド14(15)とスリット16(17)の主要部のサイズ(単位:mm)、第2マニホールドの積層方向の寸法、および、第2マニホールド下流のスリット間隙は図6(b)に示すように、第2マニホールドの積層方向の寸法を3mm、長さを5mm、第2マニホールド下流のスリット間隙を0.8mm、スリット出口の拡大部の長さを1.5mmとし、スリット出口で間隙が2mmとなるよう設定した、溶融材料Aが導入されるスリット数が101個、溶融材料Bが導入されるスリット数が100個の総積層数201となる装置を用いた。
【0061】
多層フィードブロックで積層完了後、得られた溶融材料の積層された流れを、図1に示したTダイ5に供給し、シート状に成形した後、静電印加(直流電圧8kV)された表面温度25℃のキャスティングドラム7上で急冷固化し未延伸フィルムを得た。
【0062】
得られた未延伸フィルムを逐次二軸延伸機に導き、温度100℃で縦方向(フィルム長手方向)に3.5倍で縦延伸した後、テンターに導き105℃で横方向(フィルム幅方向)に3.5倍で横延伸した。更に、温度230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、引き続き横方向にも5%の弛緩処理を行って、室温まで除冷後両端のエッジ部分をトリミングして巻き取った。得られたフィルムは、幅600mm、厚み18μmで、PETとPE/CHDM・Tが交互に201層積層されたものであり、フィルムの幅方向の積層厚みムラは非常に良好で、層間の乱れのよる反射ムラの無く良好なものであった。結果について、表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
[実施例2]
図6(a)および図6(b)の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。スリット部の寸法、および積層厚みムラの結果をまとめたものを表1に示す。
[実施例3]
図6(a)および図6(b)の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。スリット部の寸法、および積層厚みムラの結果をまとめたものを表1に示す。
[比較例1]
多層フィードブロックとして、第2マニホールドの無い従来のスリットで構成された積層装置を用いた。スリットの主要寸法は図7(a)および図7(b)に示すように、第2マニホールドが無い以外は実施例1と同様に、溶融材料Aが導入されるスリット数が101個、溶融材料Bが導入されるスリット数が100個の総積層数201となる装置を用いて、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。フィルム幅方向の積層厚みムラは、装飾用途などに使用するフィルムとしては十分であったが、要求性能が高い工業材料などに使用するフィルムとしては問題があった。スリット部の寸法、および積層厚みムラの結果をまとめたものを表1に示す。
[比較例2]
多層フィードブロックとして、本発明者が提案の図9および図10に示す積層装置を用いた。スリットの主要寸法は図8(a)および図8(b)に示すように、狭小部のスリット間隙を0.3mm、狭小部のスリット長さを5mmとし、溶融材料Aが導入されるスリット数が101個、溶融材料Bが導入されるスリット数が100個の総積層数201の装置を用いて、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。フィルム幅方向の積層厚みムラは比較例1に比べ大幅に改善したが、まだ十分ではなかった。スリット部の寸法、および積層厚みムラの結果をまとめたものを表1にしめす。
【0065】
表1から分かるように、本実施形態によれば、積層フィルムの幅方向における積層厚みの均一性が向上することで均質な積層フィルムが得られる。
【0066】
なお、上記実施例においては、2種類の溶融材料の積層シートあるいは多層フィルムを製造する場合について説明したが、3つ以上のマニホールドとそれらに対応する各スリット列を有する場合においても、そのうちの少なくとも2種類の溶融材料(つまり、少なくとも2個のマニホールドとそれらに対応する2つのスリット列)について、本実施形態を適用することにより、上記実施例の場合と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明により製造される積層シートは、複数種類の溶融材料(例えば、溶融樹脂あるいは溶融ポリマー)が、この種類の数よりも多い数の複数の層に積層された後、溶融材料が固化して形成されたものである。本発明により製造された積層シートは、あらゆる用途に用いられるものであるが、特に高い積層精度が要求される用途に好適である。本発明により製造された積層シートのある種のものは、各層の層厚みが精度良く変化していることによる光学的な特徴を有し、広帯域の干渉反射フィルム、屈折率制御フィルム、層厚みがナノオーダーの積層フィルムとして好ましく用いられる。
【符号の説明】
【0068】
1:溶融材料Aが供給される溶融材料導入管
2:溶融材料Bが供給される溶融材料導入管
3:多層フィードブロック
4:積層流が流れる導管
5:口金(Tダイ)
6:積層シート
7:キャスティングドラム
8:未延伸フィルム
12、13:溶融材料樹脂導入路
14:溶融材料A側の第1マニホールド
15:溶融材料B側の第1マニホールド
16、17:スリット
16a、17a:第2マニホールド
18:合流部
19:排出路
20:スリット板
20a:隔壁
21、22:側板
101:多層フィードブロック
102、103:樹脂導入路
104:樹脂A側のマニホールド
105:樹脂B側のマニホールド
106、107:スリット
108:隔壁
109:狭小部
X:積層方向
Y:スリット幅方向
Z:スリット通過方向
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11