特許第5803103号(P5803103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5803103情報処理装置、情報処理システム、携帯端末、その制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803103
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、携帯端末、その制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20151015BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
   G08G1/005
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2010-293390(P2010-293390)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-141196(P2012-141196A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301049456
【氏名又は名称】キヤノンシステムアンドサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188938
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】宮島 祥剛
【審査官】 小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−118882(JP,A)
【文献】 特開2008−096263(JP,A)
【文献】 特開2009−163382(JP,A)
【文献】 特開2006−059136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、
前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、
前記情報処理装置が、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段と、
前記携帯端末が、前記送信手段により送信された、前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、
前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを、前記携帯端末において再生する再生手段と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記オブジェクトは、前音声ファイルの再生が可能な領域である再生可能領域を示し、
前記情報処理システムは、更に、
前記携帯端末が、前記携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段で取得された前記携帯端末の位置情報に基づいて、当該携帯端末が、前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトが示す、前記再生可能領域内にあるかを判定する判定手段と、
を備え
記再生手段は、前記判定手段で、前記携帯端末が当該再生可能領域内にあると判定した場合に、前記受信手段で受信した音声ファイルを再生することを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記オブジェクトは、前記携帯端末の表示部に表示される地図上の前記ベクトル情報を示す画像、又は、前記携帯端末の撮像部により撮像された画像に重畳する拡張現実における画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記再生手段は、前記再生手段による音声ファイルの再生が開始された場合は、再生中の前記音声ファイルに対応する前記第2のベクトル情報の示す方向が、前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向とらなくなった場合であっても、再生を継続することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所定の方向は、相対する方向であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
携帯端末と、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムの制御方法であって、
前記情報処理システムの特定手段が、前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定ステップと、
前記情報処理システムの送信手段が、前記情報処理装置が、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定ステップで特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信ステップと、
前記情報処理システムの受信手段が、前記携帯端末が、前記送信ステップにより送信された、前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信ステップと、
前記情報処理システムの表示手段が、前記受信ステップで受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示ステップと、
前記情報処理システムの選択受付手段が、前記表示ステップで表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付ステップと、
前記情報処理システムの再生手段が、前記選択受付ステップで選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信ステップで受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生ステップと
を備えることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項7】
携帯端末と、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムの制御方法を実行可能なプログラムであって、
前記情報処理システムを、
前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、
前記情報処理装置が、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段と、
前記携帯端末が、前記送信手段により送信された、前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、
前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生手段
として機能させることを特徴とする情報処理システムのプログラム。
【請求項8】
携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、情報処理装置より受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生手段とを備える携帯端末と通信可能であり、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置であって、
前記携帯端末の再生手段において、前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイル再生させるべく、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、情報処理装置より受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生手段とを備える携帯端末と通信可能であり、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置の送信手段が、前記携帯端末の再生手段において、前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイル再生させるべく、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信ステッ
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、情報処理装置より受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生手段とを備える携帯端末と通信可能であり、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置の制御方法を実行可能なプログラムであって、
前記情報処理装置を、
前記携帯端末の再生手段において、前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイル再生させるべく、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段
として機能させることを特徴とする情報処理装置のプログラム。
【請求項11】
携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段とを備える情報処理装置と通信可能な携帯端末であって、
携帯端末の向いている方向を示すベクトルである前記第1のベクトル情報を特定する特定手段と、
前記情報処理装置から送信される、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを表示画面に表示する表示手段と、
前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを再生する再生手段と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項12】
携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段とを備える情報処理装置と通信可能な携帯端末の制御方法であって、
前記携帯端末の特定手段が、前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである前記第1のベクトル情報を特定する特定ステップと、
前記携帯端末の受信手段が、前記情報処理装置から送信される、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定ステップで特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信ステップと、
前記携帯端末の表示手段が、前記受信ステップで受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを表示画面に表示する表示ステップと、
前記携帯端末の選択受付手段が、前記表示ステップで表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付ステップと、
前記携帯端末の再生手段が、前記選択受付ステップで選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信ステップで受信した音声ファイルを再生する再生ステップと
を備えることを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項13】
携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段とを備える情報処理装置と通信可能な携帯端末の制御方法を実行可能なプログラムであって、
前記携帯端末を、
前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである前記第1のベクトル情報を特定する特定手段と、
前記情報処理装置から送信される、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを表示画面に表示する表示手段と、
前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを再生する再生手段
として機能させることを特徴とする携帯端末のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、携帯端末、その制御方法およびプログラムに関するものである
【背景技術】
【0002】
近年GPS(Global Pointing System)を搭載し、目的地までの経路案内機能を有する持ち運びの可能なナビゲーション装置が実現され、特に携帯端末においては、本機能を有する装置が広く普及している。
【0003】
携帯端末にGPSが搭載されたことにより、ユーザは重い地図帳等を持ち歩くことなく、気軽に目的地への道順検索を行うことが可能であり、また、データベースと接続することにより、現在位置からの周辺情報を取得することが可能になっている。
【0004】
これらの技術の進歩により、例えば、目の不自由な人のための現在位置情報取得や音声による道路案内情報を取得できる音声道路案内ナビゲーションシステムが実現されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、近年のウェブ技術の発展によれば、拡張現実(Argumented Reality)という技術を用いて撮像装置で目の前を撮影し、コンピュータ上(バーチャル世界)の情報を、アノテーション(付加情報)と呼ばれる情報形式でディスプレイ上で表示させるときにオーバーレイ表示させることができる。現実世界とバーチャル世界のデータの連携は、GPS(全地球測位システム)や加速度センサーによる位置情報などによって実現されている。撮影した対象に関連した情報を参照したり、コメントを書き込んだりすることで、現実世界にバーチャル世界を重ね合わせる「拡張現実インターフェース」を実現する頓知どっと社の「セカイカメラ(登録商標)」が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−004396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の技術によれば、GPS受信機及び方位センサにより検知した利用者の現在位置情報および方位情報を、利用者のホーム位置にあるナビゲーション送信装置に対し携帯端末装置から無線送信し、ナビゲーション送信装置では利用者の現在位置情報および方位情報から予め入力した利用者の目的地に対する道路案内情報を生成して音声により利用者の移動無線端末に送信することにより、目的地の途上において移動無線端末を通して音声により道路案内情報を受けることが可能になっている。
【0008】
また、セカイカメラ(登録商標)のような拡張現実インターフェースを実現する技術によれば、文字・画像・音声などを用いて現実には存在しない情報をバーチャル世界に付加することができ、ユーザであれば、誰でも情報の提供者、若しくは享受者になれる。
しかしながら、これら拡張現実の世界に存在する付加情報は、インターフェースを閲覧できるものであれば全ての情報を取得できてしまい、ユーザにとって必要な情報、不必要な情報の取捨選別が難しい状況にある。拡張現実の世界では、無形の情報を扱うことから、必然的に情報が乱立することとなり、それらの整理若しくはユーザにとって有用な情報が何であるかを見極められるシステムが求められている。
【0009】
本発明は、携帯端末の向き、及び情報に対応する向きの情報に応じて、ユーザにとって必要な情報を表示し、簡便にユーザに示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、携帯端末と、前記携帯端末において再生される音声ファイルを、当該音声ファイルにかかる方向を示すベクトル情報と対応付けて記憶する記憶手段を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、前記携帯端末の向いている方向を示すベクトルである第1のベクトル情報を特定する特定手段と、前記情報処理装置が、前記記憶手段に記憶された音声ファイルのうち、前記特定手段で特定した前記第1のベクトル情報の示す方向に対して所定の方向となる第2のベクトル情報の音声ファイルを、前記携帯端末に受信させるべく送信する送信手段と、前記携帯端末が、前記送信手段により送信された、前記第2のベクトル情報の音声ファイルを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記音声ファイルを再生するためのオブジェクトを前記携帯端末の表示画面に表示する表示手段と、前記表示手段で表示した前記オブジェクトの選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段で選択を受け付けたオブジェクトに対応する前記音声ファイルであって、前記受信手段で受信した音声ファイルを前記携帯端末において再生する再生手段とを備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末の向き、及び情報に対応する向きの情報に応じて、ユーザにとって必要な情報を簡便にユーザに示すことが可能になる。具体的には、例えば、世界座標に附与する情報に、向きの情報を対応付けることにより、当該情報の向きとユーザの所持する携帯端末の向きとが定められた条件で一致した場合に、当該携帯端末に対して情報提供が行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明における情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】本発明における情報処理システムで用いられる各端末のハードウエア構成例を示す図である。
図3】本実施の形態で管理サーバ110に記憶管理されるデータテーブルの構成例を示す図である。
図4】本発明における情報処理システムの処理例を示すフローチャートである。
図5】本発明における情報処理システムの処理例を示すフローチャートである。
図6】本発明における情報処理装置(携帯端末)100の機能構成例を示す図である。
図7】本発明における情報処理装置(携帯端末)100およびクライアント端末130の表示部で表示される画面一例である。
図8】本発明における情報処理システムの処理例を示すフローチャートである。
図9】本発明における情報処理システムの処理例を示すフローチャートである。
図10】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるベクトル情報の表示例である。
図11】本発明における携帯端末100の筐体例である。
図12】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるナビゲーション画面の表示例である。
図13】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるナビゲーション画面の表示例である。
図14】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるナビゲーション画面の表示例である。
図15】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるナビゲーション画面の表示例である。
図16】本発明における携帯端末100の表示部で表示されるナビゲーション画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1を用いて、本発明の実施形態のシステム構成の一例を説明する。図1は、本実施例における撮像画像表示システムの一例である。
【0014】
本実施例の携帯ナビゲーションシステムは、携帯端末100と、管理サーバ110と、ウェブサーバ120と、クライアント端末130とがネットワーク999を通じて接続可能な環境にある。
【0015】
まず、携帯端末100は、インターネット(ネットワーク999)に接続して地図情報と音声ファイルを取得し、ユーザに情報提供を行うナビゲーション装置に相当する。なお、本発明の実施形態における携帯端末100とは、携帯電話、PDA、あるいはスマートフォンなどを想定しているが、ネットワークに接続可能なデジタルカメラ(撮像装置)等であってもよい。また、携帯端末100は、GPS(Global Pointing System)に接続をして、ウェブサーバ120と接続をし、地図情報を取得する。
【0016】
管理サーバ110は、ウェブサーバ120より取得する地図の経緯情報と対応付けて管理されている、音声ファイル、および、音声ファイルのベクトル情報を記憶管理している。音声ファイルは、携帯端末100、若しくはクライアント端末130よりアップロード(登録)され、本発明のナビゲーションシステムを使用する際に、携帯端末100からの選択を受け付けることで取得するものである。
【0017】
ウェブサーバ120は、インターネット(ネットワーク999)を介してユーザにウェブコンテンツを提供している。本発明の実施形態においては、地図情報を管理し、ユーザからのアクセス要求に基づいてコンテンツの提供を行っているウェブサーバ120を想定している。
【0018】
クライアント端末130は、ユーザ操作に基づいて、音声ファイル(音声ナビデータ)の録音を実行し、管理サーバ110にアップロードする。その他、管理サーバ110へアクセスし、アップロードされた音声ファイルの編集・削除を行う。
【0019】
本発明の実施形態におけるの携帯ナビゲーションシステムは、これら携帯端末100と、管理サーバ110と、ウェブサーバ120と、クライアント端末130とが、ネットワーク999で相互に接続可能である構成を必要とする。
【0020】
次に、図2を用いることにより、、携帯端末100と、管理サーバ110と、ウェブサーバ120と、クライアント端末130のハードウエア構成について説明する。図2は、本発明の実施形態における各種端末のハードウェア構成を示す図である。
【0021】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0022】
CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM202にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0023】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。
【0024】
ビデオコントローラ(VC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器にへの表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイでも構わない。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。本発明には直接関係があるものではない。
【0025】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピーディスク(登録商標 FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュメモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0026】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0027】
なお、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0028】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM202にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル、地図情報等も、外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明も後述する。
【0029】
次に、図6を用いて本発明の携帯端末100の機能構成について説明をする。図6は、本実施形態における携帯端末100の機能構成例を示す図である。
【0030】
データ送受信部601は、インターネット(ネットワーク999)に無線アクセスを行い、ウェブサーバ120よりコンテンツを取得を行う、また、取得したコンテンツから、更に管理サーバ110から取得したい音声ファイルの選択を受け付け、取得要求を送信する。
【0031】
位置情報取得部602は、各携帯端末100がGPS衛星と通信する、若しくは各端末のキャリアが持つ基地局との通信を行い、位置情報を取得する。
【0032】
方位特定部604は、携帯端末100の特定の部分が向いている方位、若しくは撮像部(カメラ)を起動して撮影画面を表示している時に、撮像部が向いている方位を、携帯端末100に搭載されるコンパス(方位磁針)プログラムを用いることにより特定する。具体的に、図11は、携帯端末100で撮像部を用いずに音声ナビゲーションシステムを使用する場合の方位特定方法と、撮像部で撮影画面を表示することにより音声ナビゲーションシステムを使用する場合の方位特定方法を示している。
【0033】
図11(A)は、撮像部を用いずに音声ナビゲーションシステムを使用する場合の方位特定方法であり、携帯端末100を水平にしたときに、丸点線で示している部分が向いている方位が、携帯端末100の進行方位として認識される例である。
【0034】
図11(B)は、撮像部で撮影画面を表示することにより音声ナビゲーションシステムを使用する場合の方位特定方法であり、撮像部が向いている方位(つまり、撮影している方向)が携帯端末100の進行方位として認識される例である。なお、図11において、進行方位を特定する部分はあくまでも一例である。また、方位特定部604は、撮像制御部605のレンズ光学系の光軸の方向、つまり、撮像方向を検知し、検知した撮像方向の情報をシステムバスに送出する。
【0035】
図6に戻り、撮像制御部605は、携帯端末100に備えれらている撮像部の画像撮影制御を行う。なお、撮像制御部(カメラモジュール)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージャやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャからなる撮像素子と、撮像レンズを含む撮像光学系と、撮像画像信号処理部とを含み、デジタル信号とされた画像データをシステムバスに出力する。
【0036】
音声ナビゲーションプログラム606は、本実施形態で音声ファイルの再生を行うためのナビゲーションプログラム起動制御を行う。
【0037】
次に、図3を用いて本発明の管理サーバ110の外部メモリ211で記憶管理される、音声ファイル(音声ナビゲーションデータ)のファイル定義情報および、音声ファイルの定義情報と紐付いて管理されるベクトル情報について説明をする。図3は、本発明の管理サーバ110で記憶管理される音声ファイル(音声ナビゲーションデータ)の定義項目が設定されている。
【0038】
まず、管理サーバ110に記憶管理される音声ファイルは、ファイル基本情報テーブル300を備えている。ファイル基本情報テーブル300には、ファイルID301、ファイル名302、ファイルパス303、ファイル形式304の項目と、バイナリデータが紐付けられている。
【0039】
ファイルID301は、音声ファイルが管理サーバ110へアップロードされると、管理サーバ110において採番される、音声ファイルを一意に識別することができる識別文字(番号)である。例えば、2010年の12月24日にアップロードされた音声ファイルに対しては、「20101224−0001」などの要領で、ファイルIDが採番される。
【0040】
次に、ファイル名302は、携帯端末100若しくはクライアント端末130から音声ファイルがアップロードされる際に、図7の登録画面のファイル名入力テキストボックスに入力されている文字列である。
【0041】
任意のファイル名をユーザ操作より受け付けなかった場合には、管理サーバ110にアップロードされた時に、ファイルID301と同様に、自動的にファイル名が附与される(例えば、「Navigation00001」など)。なお、図7の音声ファイル登録画面については、後に詳細に説明をする。
【0042】
次に、ファイルパス303は、音声ファイルが管理サーバ110にアップロードされる格納場所を示している(例えば、「C¥音声ファイル¥(経緯情報、N:xx,E:yy)」など)。
【0043】
ファイル形式304は、管理サーバ110に送信される音声ファイルのファイル形式の拡張子を示している。例えば、「mp3」や、「wma」などのファイル形式の情報をもっている。
【0044】
また、音声ファイルは、管理サーバ110にアップロードされるときに、地図上で音声ファイルを取得するための情報を図7の音声ファイル登録画面で登録している。それらの情報は、同じく図3のベクトル情報テーブル310として管理サーバ110のメモリに記憶される。
【0045】
ベクトル情報テーブル310は、ファイルID301、ベクトル始点位置311、ベクトル終点位置312、ベクトル長313、ベクトル幅314、公開開始日315、公開終了日316、備考コメント317、表示/非表示318の項目を備えていることが望ましい。
【0046】
まず、ファイルID301は、先述のファイル基本情報テーブル300に記憶されるファイルID301と同様の値である。つまり、ファイル基本情報テーブル300と、ベクトル情報テーブル310は、ファイルID301の値をリレーショナルデータとした相関データテーブルの関係にあるといえる。
【0047】
ベクトル始点位置311は、図7の音声ファイル登録画面のベクトル設定の項目で設定される、音声ファイルを地図上で記憶させる始点位置を示す情報であり、(緯度xx,経度yy)の形式で表される。また、始点位置として、地図上の特定の目標物、建造物(例えば、国会議事堂)が指定されている場合には、GPSより取得されるそれらの位置情報が自動的に値として登録される。
【0048】
ベクトル終点位置312は、図7の音声ファイル登録画面のベクトル設定の項目で設定される、音声ファイルを地図上で記憶させる終点位置を示す情報であり、先ほどの(緯度xx,経度yy)の形式で表される。また、終点位置として、地図上の特定の目標物、建造物(例えば、国会議事堂)が指定されている場合には、GPSより取得されるそれらの位置情報が自動的に値として登録される。
【0049】
ベクトル長313は、先述のベクトル始点位置311から、ベクトル終点位置312までの実距離を示す。また、ベクトル幅314は、地図上のベクトル帳の間で、ユーザが音声ファイルを取得して再生することが出来る幅を示す。
【0050】
公開開始日315は、携帯端末でナビゲーションを利用する際に音声ファイルが地図上に公開される日を示す。同様に、公開終了日316は、携帯端末でナビゲーションを利用する際に公開されている音声ファイルの地図上での公開終了日を示している。これらの情報も図7の音声ファイル登録画面において設定された日付が記憶される。
【0051】
なお、公開期間が過ぎた(公開終了日以降の)音声ファイルについては、サーバで定期的に音声ファイルの利用可能期間チェックを行い、削除する構成にすることが可能である。もしくは、音声ファイルを登録したユーザによって、手動でメンテナンスされるまで削除をしない構成であってもよい。
【0052】
備考コメント317は、図7の音声ファイル登録画面の備考コメント欄に入力されている値が記憶される。
【0053】
表示/非表示318の値は、音声ファイルが可視化された地図上のベクトルを、地図上で表示するか、しないかの設定を示す値である。
【0054】
なお、図10は、ベクトル始点位置311、ベクトル終点位置312、ベクトル長313、ベクトル幅314の関係について示したものであり、管理サーバ110に登録される音声ファイルが地図上で可視化されたものである。
【0055】
図10のベクトル始点1001は、先述の図3のベクトル始点位置311の地図座標に相当し、例えば始点の目標物が「国会議事堂」である場合には、地図上の国会議事堂の位置からベクトルが伸びていることになる。
次に、ベクトル終点1002は、先述の図3のベクトル終点位置312の地図座標に相当する。ベクトル長1003は、始点―終点間の距離を示し、始点―終点間で、音声ファイルの再生が可能な幅をベクトル幅1004で示している。
【0056】
音声ファイルのベクトル情報は、ユーザがこれから向かおうとしている方向と相対する方向から伸びている場合に初めて表示されるものである。つまり、セカイカメラ(登録商標)で付加されいるエアタグ(登録商標)のように、ユーザとしてそのインターフェースを閲覧できる者であれば、全ての情報が表示されるというわけではなく、そのベクトル情報が表示される方向へ向かおうとしているときにだけ表示される。この表示制御の方法によれば、ユーザにとって最適と思われる付加情報を表示することができる。
【0057】
ベクトル情報の表示方法を図16を用いて説明する。例えば、特許庁をベクトル情報の始点位置として、正面を通っている外堀通りから虎ノ門駅方面へ向かう道のりに本発明の音声ファイルおよびベクトル情報(1601)が登録されているとする。このときにユーザ(携帯端末100)が1602−1の方向から向かって来ており、音声ファイルを取得しようとする場合に、1601のベクトル情報が表示されるのであり、1602−2、1602−3、1602−4の方向から向かってくる場合には、1601のベクトル情報は表示されない。このように、ユーザが向かおうとしている方向から音声ファイルのベクトル情報が伸びている場合にのみ、ベクトル情報は表示されるのである。
【0058】
次に、図4を用いて、クライアント端末130を用いて音声ファイルの生成を行い、管理サーバ110へ音声ファイルをアップロード(登録)する処理について説明をする。
【0059】
図4は、クライアント端末130における音声の録音処理および音声ファイルのアップロード処理の制御の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、クライアント端末130のRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。
【0060】
まず、ステップS101において、クライアント端末130は、音声ファイル録音画面(不図示)より、音声ファイルの録音指示を受け付ける。録音指示を受け付けると、ステップS102において、音声録音を開始する。音声ファイルの録音方法については特に限定はないが、例えば、クライアント端末130のマイク入力端子に差し込まれたマイクが、ユーザの声を受け付ける方法がある。また、ユーザにより入力されたテキストを読み上げるモジュールが組み込まれているクライアント端末130であれば、音声録音開始の指示を受け付けた後に、ユーザにより入力されたテキストを音声することが可能である。
【0061】
ステップS103で、音声の録音終了指示を受け付けると、音声ファイルを生成し、ステップS104で音声ファイル登録画面の表示をする。ここで、図7を用いて、生成された音声ファイルの登録処理について説明をする。
【0062】
図7は、本発明の実施形態における音声ファイル登録画面の一例である。本図に示す音声ファイル登録画面は、携帯端末100もしくはクライアント端末130の表示部において表示されるものであり、管理サーバ110にアップロードする音声ファイルと、音声ファイルに関連付けて登録するベクトル情報の登録を行う。
【0063】
音声ファイル登録画面700は、ファイル名設定項目701、公開開始日設定項目702、公開終了日設定項目703、ベクトル始点/終点位置設定項目704、ベクトル幅設定項目705、備考コメント設定項目706、ベクトル表示設定項目707を備えており、夫々の項目について必要な情報の入力を受け付け、登録ボタン708の押下を受け付けると、音声ファイルが管理サーバ110へアップロードされる。
【0064】
まずファイル名設定項目701、音声ファイルのファイル名の入力ボックスである。本項目に情報の入力がない場合には、管理サーバ110にアップロードされた時点で一意のファイル名が附与される。
【0065】
次に、公開開始日設定項目702、および公開終了日設定項目は703、音声ファイルを地図上で公開する期間をしているための項目である。つまり、登録される音声ファイルは、この項目で定められる期間のみ、地図上でその音声ファイルの存在を確認することができ、ファイルの再生を行うことが可能になる(しかしながら、次の707でベクトルを“表示しない”設定にした場合には、地図上でファイルの存在を確認出来ない)。
【0066】
ベクトル始点/終点位置設定項目704は、音声ファイルを地図上にセットし、再生可能領域を指定するための項目である。地図上では、先述の図10に示すように、ベクトル始点(地図上の目標物)から終点に向かってベクトルが伸びている。また、本ベクトルの幅を705の項目で設定することができる。
【0067】
ベクトル表示設定項目707は、地図上でベクトルを表示するかしないかの設定を受け付ける項目である。ここでベクトルを“表示する”設定にした場合には、ユーザがベクトルと相対する方向からベクトルの方向へ向かっている場合に地図上にベクトルが表示され、ユーザに当該ベクトルの音声ファイルを再生するかどうかを選択させることができるようになる。地図上で“表示しない”設定にした場合には、ベクトルは地図上に表示されないため、ユーザがベクトルと相対する方向からベクトルの方向へ向かっていて、当該ベクトルのエリア内(始点―終点間に入り、かつ、ベクトル幅以内)にユーザが入った時に自動的にベクトルの音声ファイルが再生されるようにすることが可能である。
【0068】
なお、本図には記載をしていないが、音声ファイルを特定のユーザにのみ公開することも可能である。図7の音声ファイル登録画面に、音声ファイルを公開するユーザ名(ユーザを識別する情報であれば限定しない)の入力を受け付けるテキストボックスを備えることで実現する。
【0069】
公開するユーザを特定する場合とは、例えば、家族や知人同士で同じ土地を近い期間で訪れる場合に、先に訪問したユーザの携帯端末100によって、音声ファイルと、次に訪れる知人のユーザのユーザ名と、知人のユーザが訪れる期間とを登録しておくことにより、知人のユーザが訪れた時に、先に訪れていたユーザが残した音声ファイルのベクトル情報が表示されることとなる。
【0070】
図4に戻り、ステップS104で、先述の図7の登録ボタンの押下を受け付けると、ステップS105でクライアント端末130は、音声ファイルを管理サーバ110にアップロードする。アップロードの指示はクライアント端末130のバックグラウンドで行われるため、登録指示が行われると、ステップS106において、続けて別の音声ファイルを登録するか否かの選択を受け付ける。別のファイルを登録する場合には、ステップS102に戻って新たな音声の入力を受け付け、音声ファイルを生成する。そしてクライアント端末130での処理を終了する。なお、ステップS106で、続けて別の音声ファイル登録を行う選択した場合に、先に登録をした音声ファイルとの関連ファイルとして登録することが可能である。この場合、関連ファイル同士の片方が携帯端末100で取得され、再生されると、再生終了後に、「関連する情報があります。取得しますか?」という旨の画面を明示的に表示してユーザに情報取得を促すようにしてもよい。
【0071】
次に、図5を用いて同じく音声ファイルのアップロード処理方法について説明をする。図5は、携帯端末100における音声の録音処理および音声ファイルのアップロード処理の制御の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、携帯端末100のRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。なお、ステップS111〜ステップS113の処理は、図4のステップS101〜ステップS103の処理に相当するものであることから、説明を省略する。
【0072】
ステップS114では、撮像部(カメラ)を起動してGPS通信を行い、ユーザの現在位置を取得する。また、ユーザの向いている方角(撮像部が向けられている方角)を携帯端末100の方位特定部604により特定するか否かの判定を行う。
【0073】
本ステップの判定は、携帯端末100の表示部(ディスプレイ)に表示される「カメラを起動しますか?」というダイアログ画面に対するユーザの指示で判定する。つまり、「カメラを起動しますか?」という問いに対して、「はい(YES)」の指示を受け付けた場合には、GPSと方位特定部604を用いてベクトルの始点/終点位置を決定するためにステップS116に進む。一方カメラを起動しない指示(「いいえ/NO」)を受け付けた場合には、ステップS115へ進む。
【0074】
ステップS115に進んだ場合、携帯端末100は、ウェブサーバ120と通信を行い、地図画面情報を取得する。その時に地図画面の特定位置の選択をして、音声ファイルのベクトル情報の始点位置と終点位置の設定を行う。もしくは、予め、現在位置をベクトル情報の始点(終点)位置とする設定をしておくことで、どちらか片方のみの設定を受け付ける方法もある。
【0075】
一方で、ステップS116へ進んだ場合には、撮像部(カメラ)の起動と同時に、GPSから位置情報を取得する。また、それと同時に携帯端末100の方位特定部604により、携帯端末100が向いている方位を特定させる。
【0076】
ステップS117では、ステップS111〜ステップS113で録音した音声をもとに音声ファイルの生成を行い、ステップS118で、図7の登録画面を表示して、ベクトル情報の登録を受け付け、ステップS119で管理サーバ110へアップロードする。
【0077】
次に、図8を用いて、本発明の実施形態における携帯ナビゲーションシステムの音声ファイル取得方法および音声ファイルの再生方法について説明をする。
【0078】
図8は、携帯端末100、管理サーバ110およびウェブサーバ120との通信によって実現される音声ファイルの取得処理および音声ファイル再生処理の制御の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、携帯端末、管理サーバ、ウェブサーバのRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。また、図8の処理は、先述の図4図5の処理において、音声ファイルが管理サーバ110に登録されていることが前提となる。
【0079】
まず、図8のステップS201では、携帯端末100に搭載されている音声ナビゲーションプログラム(アプリケーション)の起動指示を受け付けることにより、音声ナビゲーションを開始する。音声ナビゲーションプログラムが起動すると、ステップS201−2において、撮像部を起動して音声ナビゲーションプログラムを使用するか否かの選択を受け付ける。本図では、撮像部を用いない(音声ファイル取得するのみの)ナビゲーション方法について説明をするため、ステップS202に進む。撮像部を用いての音声ナビゲーションプログラムについては[1]に進み、図9において詳細に説明をする。
【0080】
ステップS202では、携帯端末100の位置情報取得部によりGPS通信が行われる。GPS通信の結果得られた現在位置情報をウェブサーバ120に送信して、携帯端末100の現在位置とその周辺が表示された地図画面の取得要求を行う。
【0081】
ステップS203では、携帯端末100から送信される現在位置情報と地図画面取得要求とを受け付けると、ウェブサーバ120は、受信した現在位置情報の周辺に登録されている音声ファイルのベクトル情報(ベクトル情報テーブル310)を取得するために管理サーバ110に現在位置情報を送信する。
【0082】
ステップS204では、管理サーバ110が携帯端末100の現在位置情報をウェブサーバ120経由で受信する。そして、受信した現在位置情報を基に、周辺に登録されている音声ファイルのベクトル情報を検索する。ここで検索する範囲の指定方法は、例えば、携帯端末100の音声ナビゲーションプログラムで予め設定されている検索範囲(例:現在位置を中心として半径500m以内など)に登録されている音声ファイルを検索し、対象となる音声ファイルとベクトル情報を抽出する。また、抽出した音声ファイルは、登録時(図4、5)に、公開開始日と公開終了日(公開期間)が指定されている音声ファイルもあることから、管理サーバ110のOS(Operating System)で保持している時刻情報を用いて、当日が公開期間内である音声ファイルに更に絞り込みをする。
【0083】
ステップS205では、ステップS204で管理サーバ110に登録されている音声ファイルのうち、検索条件に合致した音声ファイルのベクトル情報テーブル310をウェブサーバ120に送信する。
【0084】
ステップS206で、ウェブサーバ120は、音声ファイルのベクトル情報テーブル310を受信すると、当該情報を基に、携帯端末100の表示部で表示するための地図画面情報(HTMLファイル)を生成する。このとき、先に携帯端末100より送信されている現在位置情報を中心とした所定の範囲の地図画面を生成すると同時に、該地図画面に表示される音声ファイルのベクトル情報テーブルに含まれるベクトルの始点/終点位置情報、ベクトル幅情報と表示する/しないの設定情報を備えている。地図画面情報を生成すると、携帯端末100に地図画面情報を送信する。
【0085】
ステップS209では、携帯端末100が地図画面情報を受信すると、ステップS210で画面情報を読み込み、ディスプレイに表示する。このときに携帯端末100に表示される画面は、図12の(A)で示す画面である。図12の(A)で示している画面は、携帯端末100の現在位置情報を基に取得した周辺地図画面である(取得する地図の拡縮については個々の設定に委ねられている)。音声ファイルのベクトル情報を記憶した地図画面情報を受信すると、携帯端末100は、図12の(A)で示すように、携帯端末100(のユーザ)の向いている方位と相対するベクトル情報が地図画面中に表示する。図12の(A)において、1202は携帯端末100の現在位置を示している。ここで、携帯端末100は、北側を向いて進行していることから、音声ファイルのベクトル情報のうち、始点から終点が南側を向いているベクトル情報が地図画面に表示されることとなる。つまり、本発明では、ユーザが向かおうとしている方角から伸びているベクトル情報が地図画面(若しくは撮像部による撮影画面)に表示されていることから、ベクトル情報をの選択を受け付けることにより音声ファイルを取得することが可能である。
【0086】
ステップS211で、携帯端末100は、画面に表示されている音声ファイルのベクトルデータ選択を受け付け、管理サーバ110に音声ファイルの取得要求を送信する。ステップS212では、ウェブサーバ120に音声ファイルの取得要求が送信され、ウェブサーバ120で、選択された音声ファイルのベクトル情報を特定する。この時に、ファイルID301をキーにして管理サーバ110に記憶されている音声ファイルを取得する。
【0087】
ステップS213では、ウェブサーバ120より送信された音声ファイルのファイルID301をもとにして、管理サーバ110に記憶されている音声ファイルを取得する。ステップS214では、取得要求のあった音声ファイルのバイナリデータをウェブサーバ120に送信する。ステップS215では、ウェブサーバ120が管理サーバ110より音声ファイルを受信し、ステップS216で、携帯端末100が、ウェブサーバ120を経由して音声ファイルを取得する。
【0088】
ステップS217では、携帯端末100の位置情報取得部が現在の携帯端末100の位置情報を取得し、音声ファイルのベクトル情報と照らし合わせて、携帯端末100が音声ファイルを再生可能な範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、音声ファイルのベクトル情報データテーブルで保持している、ベクトルの始点、終点の情報、ベクトル幅の情報(図3の311〜314)で示す座標の範囲内に携帯端末があるか否かを判定する。携帯端末100が音声ファイル再生可能領域にいるか否かは、図13に示す通り、ベクトル情報により示される、ベクトルの範囲内に携帯端末100があることが条件となる。。
【0089】
ステップ217で再生可能領域内にいると判定された場合には、ステップS218で音声ファイルの再生を開始する。なお、音声ファイルは、一度再生を始めれば、再生の途中で例えばユーザの進行方向が、再生前とは真逆の向き(例えば、再生前は西向きにたっていたのに、再生した後で、東向きに進路を変える、など)になった場合でも、再生が中断されるようなことはない(地図情報のベクトル情報は、地図画面から見えなくなるような表示方法でもよい)。
【0090】
なお、図14は、地図画面情報が本来記憶している全ての音声ファイルのベクトル情報を示す画面例である(実際にはこのような形では表示されない)。先述の通り、本発明の実施形態においては、携帯端末100の進行方位(ユーザが向いている方位)から伸びているベクトル情報(例えば、ユーザが北を向いていれば、南向き矢印のベクトル情報)のみが地図画面に表示されることとなる。
【0091】
即ち、本発明における音声ファイルとは、従来のナビゲーションシステムとは異なり、指向性をもつ音声ファイルである。例えば従来のカーナビゲーションであれば、ある特定の座標にユーザがいると(例えば、国会議事堂の正門前)、定められた音声案内が再生される仕組みになっているが、本発明では、単にある特定の座標にユーザがいるだけでは、音声再生はなされない。なぜならば、音声ファイルが再生される方位の法則を持っていることから、本発明の音声ナビゲーションシステムに登録されている音声ファイルの指向と相対する向きに携帯端末100が向いている場合に、初めて音声ファイルの再生が可能となる。
【0092】
また、実際に本発明を運用する場合に、正確に音声ファイルの指向とユーザの指向が相対する(平面上で言うと、180度の直線になる)ことは容易ではないため、ベクトル情報が表示される角度を予め設定しておくことにより、音声ファイルの表示および再生に幅を持たせることが可能となる。例えば、不図示の設定画面により、音声ファイルのベクトル情報を表示可能な相対角の設定を行うことにより、図14の1401に示す通り、携帯端末100がベクトル情報と正確に相対していない位置にいても、ベクトル情報を表示することが可能となる。
【0093】
次に、図9を用いて撮像部を起動して音声ナビゲーションシステムを使用する場合の音声ファイル取得処理方法について説明をする。
【0094】
図9において、ステップS301で、携帯端末100は、音声ナビゲーションシステムの起動時に撮像部(カメラ)の使用選択を受け付けると、撮像部を起動する。撮像部が起動すると、ステップS302およびステップS303において、携帯端末の指向方位と位置情報を管理サーバ110に伝えて音声ファイルのベクトル情報を取得するために、まず、指向方向を特定する。図11の(B)は撮像部を起動させて音声ナビゲーションシステムの音声ファイルを取得する場合の携帯端末の向いている方位を示す図である。本図において、携帯端末100は、背面部(ディスプレイの裏側)に撮像部1102を備えており、撮像部を向ける方向(方位)が進行方位になる。本実施例の携帯端末100の構成によれば、携帯端末100の背面が向いている方位が、携帯端末100の進行方位と特定することができる。
【0095】
なお、撮像部は、必ずしも筐体の背面に設置されている訳ではないため、言いかえれば、撮像部が向けられている方位が、携帯端末100の進行する方位(進行方向)と言うことができる。
【0096】
引き続き、図9に戻る。ステップS303において、携帯端末100の位置情報取得部によりGPS通信が行われる。GPS通信の結果得られた現在位置情報をウェブサーバ120に送信して、携帯端末100の現在位置情報とその周辺が表示された地図画面の取得要求を行う。
【0097】
ステップS305では、管理サーバ110が携帯端末100の現在位置情報をウェブサーバ120経由で受信する。そして、受信した現在位置情報を基に、周辺に登録されている音声ファイルのベクトル情報を検索する。ここで検索する音声ファイルのベクトル情報の範囲指定方法は、例えば、携帯端末100の音声ナビゲーションプログラムで予め設定されている範囲(例:現在位置を中心として半径500m以内など)に登録されている音声ファイルを検索し、対象を抽出する。
【0098】
また、抽出した音声ファイルは、登録時(図4、5)に、公開開始日と公開終了日(公開期間)が指定されている音声ファイルもあることから、管理サーバ110のOS(Operating System)で保持している時刻情報を用いて、当日が公開期間の範囲内である音声ファイルに更に絞り込みをする。
【0099】
ステップS306では、ステップS204で管理サーバ110に登録されている音声ファイルのうち、検索条件に合致した音声ファイルのベクトル情報テーブル310をウェブサーバ120に送信する。
【0100】
ステップS307で、ウェブサーバ120は、音声ファイルのベクトル情報テーブル310を受信すると、目の前の景色が画面上に映し出された上に表示するアノテーション(撮影画面に合成された電子情報)を生成する(ステップS308)。ここでベクトル情報テーブルを基に生成されるアノテーションとは、一般的に、拡張現実(Argumented Reality)と呼ばれるものである。
【0101】
ステップS308で、取得したベクトル情報を基に、アノテーションを生成すると、生成したアノテーションを携帯端末100に送信する。なお、アノテーションは、図3のベクトル情報テーブル310の表示設定の項目318で“表示する”の設定がなされている音声ファイルのベクトル情報のみ生成する。
【0102】
ステップS310では、携帯端末100でアノテーションを受信すると、撮影画面にアノテーションを合成して表示する。ステップS310で携帯端末100に表示される画面例は図15で示している。
【0103】
図15では、1501の建物に向かって進んでいるユーザの携帯端末100が撮像部で進行方向(方位)を撮影画面として表示している。進行方向には、1502で示す通り、相対する向きから伸びているアノテーション(本図ではベクトル情報として表示している)が表示されている。1502のアノテーションは、ステップS308で管理サーバ110から取得した音声ファイルのベクトル情報を基に生成されたアノテーションであり、図8でも説明をした通り、公開期間内(公開開始日と公開終了日)であり、図3の表示設定318の値が「表示する」になっている場合に表示される。なお、図15において、アノテーションはベクトル(矢印)の形状をしているが、形状は特にベクトルに限られるものではなく、例えば、バルーン型であったり、吹き出し型であってもよい。
【0104】
また本図では記載をしていないが、ベクトル情報は、その内容が確認できるように、ベクトル情報と関連付いている音声ファイルのファイル名(図7の701で登録するファイル名)や、音声ファイルの冒頭をテキスト化した内容が可視化されて、ユーザにとって取捨選択がしやすい方法で表示されているものとする。
【0105】
ステップS311で、携帯端末100は、画面に表示されている音声ファイルのベクトル情報に基づいて生成されたアノテーションに対する選択を受け付け、管理サーバ110に選択されたアノテーションの音声ファイル取得要求を送信する。ステップS312では、ウェブサーバ120に音声ファイルの取得要求が送信され、ウェブサーバ120で、選択された音声ファイルのベクトル情報を特定する。この時に、ファイルID301をキーにして管理サーバ110に記憶されている音声ファイルを取得する。
【0106】
ステップS313では、ウェブサーバ120より送信された音声ファイルのファイルID301を基にして、管理サーバ110に記憶されている音声ファイルを取得する。ステップS314では、取得要求のあった音声ファイルのバイナリデータをウェブサーバ120に送信する。ステップS315では、ウェブサーバ120が管理サーバ110より音声ファイルを受信し、ステップS316で、携帯端末100が、ウェブサーバ120を経由して音声ファイルを取得する。
【0107】
ステップS317では、携帯端末100の位置情報取得部が現在の携帯端末100の位置情報を取得し、音声ファイルのベクトル情報と照らし合わせて、携帯端末100が音声ファイルを再生可能な範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、音声ファイルのベクトル情報データテーブルで保持している、ベクトルの始点、終点の情報、ベクトル幅の情報(図3の311〜314)で示す座標の範囲内に携帯端末があるか否かを判定する。携帯端末100が音声ファイル再生可能領域にいるか否かは、図13に示す通り、ベクトル情報により示される、ベクトルの範囲内に携帯端末100があることが条件となる。
【0108】
ステップ317で再生可能領域内にいると判定された場合には、ステップS318で音声ファイルの再生を開始する。なお、音声ファイルは、一度再生を始めれば、再生の途中で例えばユーザの進行方向が、再生前とは真逆の向き(例えば、再生前は西向きにたっていたのに、再生した後で、東向きに進路を変える、など)になった場合でも、再生が中断されるようなことはない(地図情報のベクトル情報は、地図画面から見えなくなるような表示方法でもよい)。
【0109】
なお、図8および図9の音声ファイル再生処理においては、携帯端末100に表示されるベクトル情報若しくはアノテーションの選択を受け付けることにより、管理サーバ110より対応する音声ファイルを取得する処理としているが、他の実施例として、ユーザからの選択を受け付けることなく、携帯端末100が音声ファイルを再生可能な範囲に入ったときに、携帯端末100がウェブサーバ120を介して自動的に管理サーバ110に通信をし、音声ファイルを再生することも可能である。なお、その際に、携帯端末100の位置情報取得部は、定期的に携帯端末100の現在位置を更新するべく、GPSと通信を行って位置情報を取得する設定となっていることが望ましい。
【0110】
また、携帯端末100がウェブサーバ120および管理サーバ110に地図画面若しくは音声ファイルの取得要求を送るときには、上述した撮像された時の情報に加えて、高度センサからの高度情報、方位特定部604からの撮像方向情報、傾きセンサからの撮像アングルの情報、位置情報取得部602からの位置情報は、検索条件情報に含められる。
【0111】
以上、本発明によれば、拡張現実の世界において、ユーザにとって有益な情報を簡便に提示し、付加情報を提供することが可能になる。具体的には、拡張現実の世界に附与する付加情報に、指向性を持たせることにより、付加情報の指向性とユーザの指向性とが定められた条件で一致した場合に初めてユーザにとって有益な情報であると認定され、情報提供が行われることとなる。
【0112】
具体的に、本発明は、地図上で再生される音声ファイルの指向性を示すベクトル情報を含む音声ファイル情報を記憶管理する情報処理装置と通信可能な撮像部を備えるナビゲーション装置であって、位置情報取得部により取得した現在位置情報を送信する送信手段と、前記撮像部を起動して撮影画面を表示部に表示する撮影画面表示手段と、前記送信手段で現在位置情報を送信した情報処理装置から前記ナビゲーション装置の現在位置情報周辺で再生可能な音声ファイルに含まれるベクトル情報を取得する取得手段と、前記音声ファイルに含まれるベクトル情報の指向性を用いて、表示部に表示可能か否かを判定する第一の判定手段と、前記第一の判定手段で前記ベクトル情報が表示部に表示可能であると判定された場合、前記撮影画面表示手段で表示されている撮影画面に前記ベクトル情報を表示するベクトル情報表示手段とを備えることを特徴とする。
【0113】
上記には本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0114】
以上、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0115】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0116】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0117】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0118】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0119】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
100 携帯端末
100−2 撮像部
110 管理サーバ
120 ウェブサーバ
130 クライアント端末
999 ネットワーク
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