特許第5803139号(P5803139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803139
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20151015BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G03G15/01 Y
   G03G15/01 J
   G03G15/16
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2011-38164(P2011-38164)
(22)【出願日】2011年2月24日
(65)【公開番号】特開2012-173689(P2012-173689A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
【審査官】 齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−025713(JP,A)
【文献】 特開2010−079106(JP,A)
【文献】 特開2002−156848(JP,A)
【文献】 特開平10−111587(JP,A)
【文献】 特開2002−302610(JP,A)
【文献】 特開2004−170886(JP,A)
【文献】 特開2001−109208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色トナーと、前記有色トナーの粘弾性より高い粘弾性を有する第1の透明トナーとを含む複数のトナーの少なくとも一つを用いてトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記トナー像形成装置により形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する二次転写部と、
前記トナー像形成装置がトナー像を形成する前に、使用される記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す面内抵抗のばらつきの程度を示す情報を取得し、前記面内抵抗のばらつきの程度が予め定められた値より大きいことを示す場合、又は使用される記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す使用される記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度を示す情報を取得し、前記面内濃度のばらつきの程度が予め定められた値より大きいことを示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第1の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御する制御部と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記二次転写部で記録媒体に転写されたトナー像の少なくとも一部の濃度を示す信号を生成するセンサーユニットを更に有し、
前記制御部は、1または複数の記録媒体に透明トナーを用いることなく予め定められた濃度の複数の有色画像を形成することを指示する基準濃度画像信号を生成し、
前記トナー像形成装置は、前記基準濃度画像信号に基づいて複数の有色トナー像を形成して前記中間転写体に転写し、
前記二次転写部は、前記中間転写体に転写された複数の有色トナー像を、1または複数の前記使用される記録媒体に各々異なる二次転写電圧で転写して、1または複数の前記使用される記録媒体に複数の有色画像を形成し、
前記センサーユニットは、前記二次転写部によって1または複数の前記使用される記録媒体に形成された複数の有色画像の各々内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記センサーユニットからの信号に基づいて、前記複数の有色画像の各々に対し、前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す特性値を算出し、これら有色画像に対する特性値のうち最大値と最小値の差がしきい値より小さい場合、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラは前記予め定められた値より大きいと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異なる二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧である第1の電圧と、前記第1の電圧より小さい第2の電圧と、前記第1の電圧より大きい第3の電圧とを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記二次転写部で記録媒体に転写されたトナー像の少なくとも一部の濃度を示す信号を生成するセンサーユニットを更に有し、
前記制御部は、記録媒体の予め定められた領域に透明トナーを用いることなく予め定められた濃度の有色画像を形成することを指示する基準濃度画像信号を生成し、
前記トナー像形成装置は、前記基準濃度画像信号に基づいて有色トナー像を形成して前記中間転写体に転写し、
前記二次転写部は、前記中間転写体に転写された有色トナー像を、第1の二次転写電圧で1枚の前記使用される記録媒体に転写することで1枚の前記使用される記録媒体上に第1の画像を形成し、
前記センサーユニットは、前記第1の画像内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部へ送信し、
前記トナー像形成装置は、前記二次転写部による前記第1の画像の形成後、前記基準濃度画像信号に基づいて有色トナー像を新たに形成して前記中間転写体に転写し、
前記二次転写部は、前記トナー像形成装置により新たに形成され前記中間転写体に転写された有色トナー像を、前記第1の二次転写電圧と異なる第2の二次転写電圧で前記第1の画像の上に重ねて転写することで第2の画像を形成し、
前記センサーユニットは、前記第2の画像内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部へ送信し、
前記制御部は、前記センサーユニットからの信号に基づいて、前記第1の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す第1の特性値と、前記第2の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す第2の特性値を算出し、前記第1の特性値と前記第2の特性値が、前記第1の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度より、前記第2の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度が小さいことを示す場合、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラは前記予め定められた値より大きいと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より低い電圧と、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より高い電圧の一方であり、前記第2の二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より低い電圧と、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より高い電圧の他方である
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、1または複数種類の記録媒体の各々を特定する識別子と、各種類の記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す情報とを対応付けて格納するテーブルを参照可能であり、
前記制御部は、ユーザにより前記使用される記録媒体として前記テーブルに格納された1または複数種類の記録媒体の一つが指定されると、指定された記録媒体の識別子を用いて前記テーブルを参照し、前記識別子に対応付けられた前記情報を取得し、取得した前記情報に基づいて、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラが前記予め定められた値より大きいか否か判定する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数のトナーは、前記有色トナーの粘弾性との差が、前記第1の透明トナーの粘弾性と前記有色トナーの粘弾性との差よりも小さい粘弾性を有する第2の透明トナーを更に含み、
前記制御部は、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラが前記予め定められた値以下である場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第2の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置が前記第2の透明トナー像を用いて前記透明トナー像を形成するよう前記トナー像形成装置を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
有色トナーと、前記有色トナーの粘弾性より高い粘弾性を有する第1の透明トナーと、前記有色トナーの粘弾性との差が、前記第1の透明トナーの粘弾性と前記有色トナーの粘弾性との差よりも小さい粘弾性を有する第2の透明トナーと、を含む複数のトナーの少なくとも一つを用いてトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記トナー像形成装置により形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する二次転写部と、
記録媒体の種類情報を取得する取得部と、
前記種類情報が、面内抵抗ムラが小さい記録媒体を示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第2の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御前記種類情報が、面内抵抗ムラが大きい記録媒体を示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第1の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御する制御部と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部において、取得された前記種類情報が、前記記録媒体の面内抵抗のばらつきの程度、又は使用される前記記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度、が予め定められた値より大きいことを示す場合、前記第1の透明トナーを用いて前記透明トナー像を形成するように前記トナー像形成装置を制御する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部において、取得された前記種類情報が、前記記録媒体の面内抵抗のばらつきの程度、又は使用される前記記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度、が予め定められた値より小さいことを示す場合、前記第2の透明トナーを用いて前記透明トナー像を形成するように前記トナー像形成装置を制御する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー機等の電子写真方式の画像形成装置において、様々な種類の記録媒体に画像を形成することが求められている。特許文献1には、電気抵抗が異なる領域を少なくとも2つ有する記録媒体に対して良好な転写画像を得るため、有色トナー像を形成する画像ユニットと、透明トナー像を形成する画像ユニットとを備え、記録媒体の抵抗分布データを基に低抵抗領域と高抵抗領域を判別し、低抵抗領域に透明トナー像を形成することで、領域による転写条件のばらつき(電界強度差)を緩和する画像形成装置が開示されている。特許文献2には、トナー濃度欠陥等を検出するインラインセンサを有する画像形成装置が開示されている。特許文献3には、カラー画像形成において、Y(イエロー)、M(マゼンタ)C(シアン)、K(ブラック)の他に、透明トナーを用いて、画像面内の光沢差を補正したりすることが記載されている。特許文献4には、単位面積あたりの用紙の重さ(以下、坪量という)を測定する用紙坪量センサを備えた画像形成装置が記載されている。特許文献5には、転写部材(転写ローラ)にバイアスを与えて電界を形成し、潜像担持体上のトナーを被転写体に転写する転写装置において、転写部材の製造上の抵抗ばらつきによらず高品質な画像を形成するため、定電流バイアス印加手段を用いるとともに、抵抗の電流依存性が特定の条件を満たすように調整された転写部材を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−4066号公報
【特許文献2】特開2010−169958号公報
【特許文献3】特開2010−191355号公報
【特許文献4】特開2009−103885号公報
【特許文献5】特開2004−94282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電子写真方式の画像形成装置において、記録媒体の面内抵抗ムラによらず、記録媒体上に形成される画像の濃度ムラを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本願の請求項1に係る画像形成装置は、有色トナーと、前記有色トナーの粘弾性より高い粘弾性を有する第1の透明トナーとを含む複数のトナーの少なくとも一つを用いてトナー像を形成するトナー像形成装置と、前記トナー像形成装置により形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する二次転写部と、前記トナー像形成装置がトナー像を形成する前に、使用される記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す面内抵抗のばらつきの程度を示す情報を取得し、前記面内抵抗のばらつきの程度が予め定められた値より大きいことを示す場合、又は使用される記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す使用される記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度を示す情報を取得し、前記面内濃度のばらつきの程度が予め定められた値より大きいことを示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第1の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0006】
本願の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の態様において、前記二次転写部で記録媒体に転写されたトナー像の少なくとも一部の濃度を示す信号を生成するセンサーユニットを更に有し、前記制御部は、1または複数の記録媒体に透明トナーを用いることなく予め定められた濃度の複数の有色画像を形成することを指示する基準濃度画像信号を生成し、前記トナー像形成装置は、前記基準濃度画像信号に基づいて複数の有色トナー像を形成して前記中間転写体に転写し、前記二次転写部は、前記中間転写体に転写された複数の有色トナー像を、1または複数の前記使用される記録媒体に各々異なる二次転写電圧で転写して、1または複数の前記使用される記録媒体に複数の有色画像を形成し、前記センサーユニットは、前記二次転写部によって1または複数の前記使用される記録媒体に形成された複数の有色画像の各々内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部に送信し、前記制御部は、前記センサーユニットからの信号に基づいて、前記複数の有色画像の各々に対し、前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す特性値を算出し、これら有色画像に対する特性値のうち最大値と最小値の差がしきい値より小さい場合、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラは前記予め定められた値より大きいと判定することを特徴とする。
【0007】
本願の請求項3に係る画像形成装置は、請求項2に記載の態様において、前記異なる二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧である第1の電圧と、前記第1の電圧より小さい第2の電圧と、前記第1の電圧より大きい第3の電圧とを含むことを特徴とする。
【0008】
本願の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1に記載の態様において、前記二次転写部で記録媒体に転写されたトナー像の少なくとも一部の濃度を示す信号を生成するセンサーユニットを更に有し、前記制御部は、記録媒体の予め定められた領域に透明トナーを用いることなく予め定められた濃度の有色画像を形成することを指示する基準濃度画像信号を生成し、前記トナー像形成装置は、前記基準濃度画像信号に基づいて有色トナー像を形成して前記中間転写体に転写し、前記二次転写部は、前記中間転写体に転写された有色トナー像を、第1の二次転写電圧で1枚の前記使用される記録媒体に転写することで1枚の前記使用される記録媒体上に第1の画像を形成し、前記センサーユニットは、前記第1の画像内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部へ送信し、前記トナー像形成装置は、前記二次転写部による前記第1の画像の形成後、前記基準濃度画像信号に基づいて有色トナー像を新たに形成して前記中間転写体に転写し、前記二次転写部は、前記トナー像形成装置により新たに形成され前記中間転写体に転写された有色トナー像を、前記第1の二次転写電圧と異なる第2の二次転写電圧で前記第1の画像の上に重ねて転写することで第2の画像を形成し、前記センサーユニットは、前記第2の画像内の複数の点における濃度を示す信号を前記制御部へ送信し、前記制御部は、前記センサーユニットからの信号に基づいて、前記第1の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す第1の特性値と、前記第2の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度を表す第2の特性値を算出し、前記第1の特性値と前記第2の特性値が、前記第1の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度より、前記第2の画像内の前記複数の点における濃度のばらつきの程度が小さいことを示す場合、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラは前記予め定められた値より大きいと判定することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項5に係る画像形成装置は、請求項4に記載の態様において、前記第1の二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より低い電圧と、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より高い電圧の一方であり、前記第2の二次転写電圧は、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より低い電圧と、前記使用される記録媒体の坪量に応じて定められた二次転写電圧より高い電圧の他方であることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項6に係る画像形成装置は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の態様において、前記制御部は、1または複数種類の記録媒体の各々を特定する識別子と、各種類の記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す情報とを対応付けて格納するテーブルを参照可能であり、前記制御部は、ユーザにより前記使用される記録媒体として前記テーブルに格納された1または複数種類の記録媒体の一つが指定されると、指定された記録媒体の識別子を用いて前記テーブルを参照し、前記識別子に対応付けられた前記情報を取得し、取得した前記情報に基づいて、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラが前記予め定められた値より大きいか否か判定することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の態様において、前記複数のトナーは、前記有色トナーの粘弾性との差が、前記第1の透明トナーの粘弾性と前記有色トナーの粘弾性との差よりも小さい粘弾性を有する第2の透明トナーを更に含み、前記制御部は、前記使用される記録媒体の面内抵抗ムラが前記予め定められた値以下である場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第2の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置が前記第2の透明トナー像を用いて前記透明トナー像を形成するよう前記トナー像形成装置を制御することを特徴とする。
本願の請求項8に係る画像形成装置は、有色トナーと、前記有色トナーの粘弾性より高い粘弾性を有する第1の透明トナーと、前記有色トナーの粘弾性との差が、前記第1の透明トナーの粘弾性と前記有色トナーの粘弾性との差よりも小さい粘弾性を有する第2の透明トナーと、を含む複数のトナーの少なくとも一つを用いてトナー像を形成するトナー像形成装置と、前記トナー像形成装置により形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する二次転写部と、記録媒体の種類情報を取得する取得部と、前記種類情報が、面内抵抗ムラが小さい記録媒体を示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第2の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御前記種類情報が、面内抵抗ムラが大きい記録媒体を示す場合、前記有色トナーを用いて形成される有色トナー像が、前記中間転写体上で、前記第1の透明トナーを用いて形成される透明トナー像の上に重なるように、前記トナー像形成装置を制御する制御部とを有することを特徴とする。
本願の請求項9に係る画像形成装置は、請求項8に記載の態様において、前記制御部において、取得された前記種類情報が、前記記録媒体の面内抵抗のばらつきの程度、又は使用される前記記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度、が予め定められた値より大きいことを示す場合、前記第1の透明トナーを用いて前記透明トナー像を形成するように前記トナー像形成装置を制御することを特徴とする。
本願の請求項10に係る画像形成装置は、請求項8または9に記載の態様において、前記制御部において、取得された前記種類情報が、前記記録媒体の面内抵抗のばらつきの程度、又は使用される前記記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつきの程度、が予め定められた値より小さいことを示す場合、前記第2の透明トナーを用いて前記透明トナー像を形成するように前記トナー像形成装置を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る画像形成装置によれば、使用される記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きい場合に有色トナーの粘弾性より高い粘弾性を有する第1の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する制御を行わない場合と比べて、記録媒体の面内抵抗ムラによらず、記録媒体上に形成される画像の濃度ムラが低減される。
請求項2に係る画像形成装置によれば、誘電緩和測定装置等の外部装置を用いることなく、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否か判定することができる。
請求項3に係る画像形成装置によれば、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かの判定を確実に行うことができる。
請求項4に係る画像形成装置によれば、誘電緩和測定装置等の外部装置を用いることなく、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否か判定することができる。
請求項5に係る画像形成装置によれば、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かの判定を確実に行うことができる。
請求項6に係る画像形成装置によれば、制御装置が、1または複数種類の記録媒体の各々を特定する識別子と、各種類の記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す特性情報とを対応付けて格納するテーブルを取得するテーブルを参照可能でなく、当該テーブルを参照して取得される特性情報に基づいた記録媒体の面内抵抗ムラの判定がなされない場合に比べて、使用される記録媒体の面内抵抗ムラの判定を速やかに行うことができる。
請求項7に係る画像形成装置によれば、使用される記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値以下である場合に、有色トナーの粘弾性との差が、第1の透明トナーの粘弾性と有色トナーの粘弾性との差よりも小さい粘弾性を有する第2の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する制御を行わない場合と比べて、面内抵抗ムラが予め定められた値以下の記録媒体に形成される画像の画質を向上させることができる。
請求項8に係る画像形成装置によれば、記録媒体の種類に応じて、第2の透明トナーを用い、又は第1の透明トナーを用い、有色トナー像が、中間転写体上で、透明トナー像の上に重なるようにトナー像形成装置を制御することによって、記録媒体の種類に適した透明トナーを用いることができる。
請求項9に係る画像形成装置によれば、記録媒体の種類が、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す記録媒体の面内抵抗のばらつき、又は記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す使用される記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつき、が予め定められた値より大きいことを示す場合、第1の透明トナーを用いで前記透明トナー像を形成するようにトナー像形成装置を制御することによって、面内抵抗ムラが大きい記録媒体に対して有色トナーの転写量のばらつきを低減できる。
請求項10に係る画像形成装置によれば、記録媒体の種類が、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す記録媒体の面内抵抗のばらつき、又は記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す使用される記録媒体上に形成される画像の面内濃度のばらつき、が予め定められた値より小さいことを示す場合、第2の透明トナーを用いで透明トナー像を形成するようにトナー像形成装置を制御することによって、面内抵抗ムラが小さい記録媒体に対して有色トナーの転写量のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図
図2】画像形成部50の構造を示す模式図
図3】制御部10によって実現される機能を示す機能ブロック図
図4】記録媒体の面内抵抗ムラの判定方法を示すフローチャート
図5】異なる二次転写電圧を用いて記録媒体上に形成された3つの画像を例示する模式図
図6】面内濃度ムラの測定結果の一例を示すグラフ
図7】記録媒体の識別子と記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示す情報とを対応付けて格納したテーブルの一例を示す図
図8】通常動作モードにおける画像形成装置1の動作を示すフローチャート
図9】二次転写後の中間転写ベルトと記録媒体とを示す模式的な断面図
図10】透明トナーを用いない場合、第2の透明トナーを用いた場合、及び第1の透明トナーを用いた場合のそれぞれについて、和紙に形成した画像の面内濃度ムラを示すグラフ
図11】変形例1に基づく記録媒体の面内抵抗ムラの判定方法を示すフローチャート
図12】和紙及び上質紙に対して、二次転写電圧を変えて2回の転写を行い、同一面に画像を重ねて形成したときの1回目の転写及び2回目の転写に対する面内濃度ムラを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
(構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態において、画像形成装置1はプリンタである。画像形成装置1は、制御部10と、記憶部20と、通信部30と、操作部40と、画像形成部50とを備えている。
【0015】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えており(図示せず)、CPUがROMや記憶部20に記憶されている制御プログラムを実行することによって画像形成装置1の各部を制御する。記憶部20は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置であり、各種のプログラムやデータを記憶する。通信部30は、USBケーブルや通信ネットワーク(例えば、電話回線、LAN(Local Area Network)など)を介してパーソナルコンピュータ等の外部装置と通信するためのインタフェースである。操作部40は、表示装置と、表示装置の表示面に重ねて配置される透明のタッチパネルと、複数の操作キーとを備え、タッチパネルや操作キーを介してユーザからの操作を受け付けるとともに、表示装置に画像を表示してユーザに対し情報の提示を行う。画像形成部50は、制御部10から供給される画像信号に基づいて、トナーを用いてシート状の記録媒体(例えば、紙)に画像を形成する。
【0016】
次に、画像形成部50の構造について具体的に説明する。図2は、画像形成部50の構造を示した模式図である。図2に示した二点鎖線は記録媒体の搬送経路を示している。
【0017】
画像形成部50は、2つの給紙部501a及び501bを有する。これら給紙部501a及び501bには、異なる種類(材質やサイズ)の記録媒体を収容することができる。例えば、給紙部501aには上質紙を、給紙部501bには和紙を収容してもよい。上質紙は面内抵抗ムラの小さい記録媒体の一例であり、和紙は面内抵抗ムラの大きい記録媒体の一例である。ここで、面内抵抗ムラとは、記録媒体の面内における(即ち、記録媒体の厚み方向ではない)電気抵抗(以下、単に抵抗という)の二次元的なばらつきの程度を表す量であり、例えば、記録媒体の面内における抵抗分布の分散として求められる。給紙部501a及び501bの各々は、制御部10に指示されたタイミングで収容された記録媒体を1枚ずつ送り出す。用紙搬送ロール502は、給紙部501aまたは501bから送り出された記録媒体を、二次転写ロール507とバックアップロール508によって形成される二次転写部に搬送する。
【0018】
露光装置503は、レーザ発光源やポリゴンミラー等を備え、制御部10から供給される画像信号に基づいて、レーザ光をトナー像形成ユニット504Y、504M、504C、504K、504T1、及び504T2のそれぞれに向けて照射する。本実施形態では、トナー像形成ユニット504Y、504M、504C、504K、504T1、及び504T2によって、複数のトナーの少なくとも一つを用いてトナー像を形成するトナー像形成装置が構成される。
【0019】
トナー像形成ユニット504Y、504M、504C、及び504Kは、後に詳述するように、露光装置503によるレーザ光の照射によって対応する感光体ドラム上に形成された潜像を、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の有色トナーを用いて現像することで有色トナー像を形成する。トナー像形成ユニット504Y、504M、504C、及び504Kによって形成されたトナー像は中間転写ベルト505に重ねて転写される(一次転写)。尚、上記有色トナーは顔料等の着色剤が異なる以外は同じであるため、いずれも概ね同じ粘弾性を有する。即ち、有色トナー間の粘弾性の差は、各有色トナーの粘弾性の値に比べて無視できる程度に小さい。
【0020】
トナーの粘弾性は、例えば、貯蔵弾性率によって定量的に表すことができる。貯蔵弾性率は温度によって変化するので、貯蔵弾性率−温度曲線を管理することにより、予め決められた温度における貯蔵弾性率によってトナーの粘弾性を設計する。本実施形態では、有色トナーの貯蔵弾性率は、例えば、80℃の温度(予め決められた温度の一例)において約5×10Paとなるように調整されている。粘弾性(貯蔵弾性率)の調整は、例えば、トナー粒子に添加される無機粉体(無機粒子)の種類や量を調整することによって行うことができる。無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0021】
また、トナーを記録媒体上に定着したときのグロス(光沢)はトナーの粘弾性の影響を受け、粘弾性が高いほどグロスが小さくなる傾向があるので、トナーの粘弾性を、指定された記録媒体(用紙)に予め決められた量のトナーを定着させたときに予め決められたグロスが得られるように調整してもよい。例えば、上記した有色トナーの粘弾性(貯蔵弾性率)の値(80℃で約5×10Pa)は、坪量が127g/mの上質コート紙に温度140℃で3.0g/m以上4.0g/m以下の量のトナー(体積平均粒子径=5.8μm)を定着したとき測定角度60°で測定したグロスが65±5となるように調整された値である。従って、指定される記録媒体や、予め決められたグロスに応じて、有色トナーの貯蔵弾性率は、異なり得るが、通常、80℃で1×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましい。尚、トナーの体積平均粒子径の測定は、例えば、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行うことができる。また、トナーの体積平均粒子径5.8μmは一例であり、別の値でもよい。その場合は、所望のグロスを得るために用紙上のトナーの乗り量を最適化すればよい。
【0022】
トナー像形成ユニット504T1及びトナー像形成ユニット504T2は、露光装置503によるレーザ光の照射によって対応する感光体ドラム上に形成された潜像を、それぞれ、第1の透明トナー及び第2の透明トナーを用いて現像することで透明トナー像を形成し、形成したトナー像を中間転写ベルト505に転写する。
【0023】
第1の透明トナー及び第2の透明トナーは、各々、例えば低分子量のポリエステル樹脂にSiO(二酸化ケイ素)やTiO(二酸化チタン)を添加して形成され、顔料等の着色剤を含まず(含有量が0.01質量%以下)、定着後に無色透明となるトナーである。第1の透明トナーと第2の透明トナーは、粘弾性が互いに異なる。具体的には、本実施形態において、第1の透明トナーの粘弾性を表す貯蔵弾性率は、80℃の温度において約2×10Paに調整されており、第2の透明トナーの粘弾性を表す貯蔵弾性率は、80℃の温度において約5×10Paに調整されている。即ち、本実施形態では、第1の透明トナーは有色トナーより高い粘弾性(この例では、約4倍)を有し、第2の透明トナーは有色トナーに対応した粘弾性を有する(言い換えると、第2の透明トナーと有色トナーの粘弾性の差は、第2の透明トナーまたは有色トナーの粘弾性の値に比べて無視できる程度に小さい)。このような第1の透明トナーの粘弾性は、上記したように、トナー粒子に添加される無機粉体(無機粒子)の種類や量を調整することによって得られる。また、第2の透明トナーは、顔料等の着色剤を含まない点以外は有色トナーと同じ組成を有するトナーとして実現される。尚、例示した貯蔵弾性率(80℃で約2×10Pa)を有する第1の透明トナー(体積平均粒子径=5.8μm)を、坪量が127g/mの上質コート紙に温度140℃で3.0g/m以上4.0g/m以下の量で定着した場合、測定角度60°で測定したグロスは約15となる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態では、トナー像形成ユニット504T1、504T2、504Y、504M、504C、及び504Kは、矢印Bで示す方向(時計回り)に回転駆動される中間転写ベルト505の下辺走行部に沿って配置され、中間転写ベルト505の下辺走行部における移動方向に関して、透明トナー用のトナー像形成ユニット504T1及び504T2は、有色トナー用のトナー像形成ユニット504Y、504M、504C、及び504Kの上流側に配置されている。具体的には、中間転写ベルト505の移動方向に対して上流側から順に、トナー像形成ユニット504T1、504T2、504Y、504M、504C、及び504Kが配置され、各色トナー像の中間転写ベルト505への転写もこの順でなされる。従って、トナー像形成ユニット504T1または504T2によって透明トナー像が形成される場合、まず透明トナー像が中間転写ベルト505上に転写され、その上にトナー像形成ユニット504Y、504M、504C、及び504Kによって形成される有色トナー像が重ねて転写される。なお、トナー像形成ユニット504T1、504T2、504Y、504M、504C、及び504Kは、用いるトナーが異なるが、その構成に大きな差異はない。そこで、これらトナー像形成ユニットを互いに区別する必要がない場合には、トナーの色を示す符号末尾のアルファベットを省略して「トナー像形成ユニット504」という。
【0025】
各トナー像形成ユニット504は、感光体ドラム5041、帯電装置5042、現像装置5043、及び一次転写ロール5044を有する。感光体ドラム5041は、電荷発生層や電荷輸送層を有する像保持体の一例であり、駆動部(図示せず)により図2の矢印Aの方向(反時計回り)に回転される。帯電装置5042は、感光体ドラム5041を予め決められた電位に帯電させる。帯電された感光体ドラム5041の表面は、露光装置503から発生されたレーザ光(露光ビーム)によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置5043は、本例ではタンデム型の現像装置であり、現像剤としてのトナー(例えば、イエロートナーや第1の透明トナー)を収容しており、対応する感光体ドラム5041の表面との間に電位差(現像バイアス)を生じさせる。現像装置5043に収容されたトナーはこの電位差によって感光体ドラム5041の表面に形成された静電潜像に付着し、感光体ドラム5041の表面にトナー像が形成される。一次転写ロール5044は、中間転写ベルト505が感光体ドラム5041と対向する位置において中間転写ベルト505と感光体ドラム5041との間に電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト505に感光体ドラム5041上のトナー像を転写する。尚、現像装置5043に収容される現像剤は、トナーとキャリアを含む2成分現像剤であってもよい。
【0026】
中間転写ベルト505は無端のベルト部材であり、複数のベルト搬送ロール506によって張力をもって支持される。ベルト搬送ロール506の少なくとも1つは駆動部を有しており、中間転写ベルト505を図2の矢印Bの方向に周回移動させる。このとき駆動部を有さないベルト搬送ロール506は、中間転写ベルト505の移動に従動して回転する。中間転写ベルト505が矢印Bの方向に周回移動することにより、トナー像形成ユニット504によってベルト505上に転写されたトナー像は、二次転写ロール507とバックアップロール508とにより形成される二次転写部へと移動する。
【0027】
二次転写ロール507およびバックアップロール508は、中間転写ベルト505が記録媒体と対向する位置において中間転写ベルト505と二次転写ロール507との間に電位差を生じさせ、この電位差(以後、「二次転写電圧」という)によって、中間転写ベルト505と二次転写ロール507との間に挟まれた記録媒体に中間転写ベルト505上のトナー像を転写する(二次転写)。この二次転写電圧は、低すぎると二次転写ロール507と中間転写ベルト505との間に十分な大きさの電界が生成されないため中間転写ベルト505上のトナーが記録媒体へ正常に転写されず、また、高すぎると二次転写ロール507と中間転写ベルト505との間に放電が生じて、やはり記録媒体へのトナーの転写が正常になされないため、適切な値に設定する必要がある。通常、二次転写電圧は記録媒体の坪量(単位面積当たりの重量)に応じて最適な値が定められる。記録媒体の坪量は記録媒体の材質や厚さに応じて変化する。
【0028】
トナー像が転写された記録媒体は、定着装置509に送られる。定着装置509は、加熱ロール5091と加圧ロール5092とを備えており、これらの間を記録媒体が通過する際に記録媒体を加熱および加圧することで、二次転写部509において記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。トナー像が定着された記録媒体は、排出ロール510を介して、画像形成部50の上面に設けられた排出トレイ511に排出される。
【0029】
また、画像形成部50は、定着装置509と排出ロール510との間の位置に、記録媒体に定着されたトナー像の光学濃度を測定するためのインラインセンサーユニット550を有する。従って、インラインセンサーユニット550は、用紙の搬送方向に関して二次転写部の下流側に位置する。ここで、光学濃度(以下、単に“濃度”という)とは画像の濃さを表し、画像の着目部の反射率をRとしたとき、例えばD=log10(1/R)として定義することができる。インラインセンサーユニット550は、例えば、特開2010−169958号公報(特許文献2)の図11に記載されたインラインセンサーユニットのように、搬送される記録媒体に予め設定された強度の光を照射する発光部材と、記録媒体から反射された光を受光するCCD方式の光センサーと、記録媒体からの反射光を光センサーに導くためのミラー等を有するものとすることができる。光センサーは、受光した反射光の強度に応じた信号を制御部10に送信する。制御部10では、インラインセンサーユニット550から受信した信号によって示される反射光の強度と、予め設定された発光部材からの照射光の強度とに基づき光学濃度を算出する。
【0030】
尚、インラインセンサーユニット550は、記録媒体上に形成されたトナー像の様々な部分の濃度(反射率)を測定し、トナー像の二次元濃度分布を得ることが可能なように、例えば、ポリゴンミラー等で発光部材から照射される光を記録媒体の搬送方向に対して交差する方向(即ち、各用紙搬送ロール502の回転軸の延びる方向)に偏向して、当該光で記録媒体を走査可能となっているとよい。別の方法として、複数の発光部材及び光センサーを記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に配列してもよい。言い換えると、インラインセンサーユニット550からの信号は、記録媒体上に形成されたトナー像の二次元濃度分布を示すとよい。インラインセンサーユニット550は、記録媒体に形成されたトナー像の少なくとも一部の濃度を示す信号を生成するセンサーユニットの一例である。
【0031】
図3は、制御部10によって実現される機能を示す機能ブロック図である。図3に示すように、本実施形態では、制御部10は画像データ取得部110、画像信号生成部120、抵抗ムラ判定部130、表示制御部140、及び二次転写電圧制御部150を有する。これらの機能部は、制御部10のCPUがROMや記憶部20に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。
【0032】
画像データ取得部110は、通信部30を介してパーソナルコンピュータ等の外部装置から送られた画像データや、USBメモリー等の記憶媒体(図示せず)に格納された画像データを取得し、取得した画像データを画像信号生成部120に出力する。抵抗ムラ判定部130は、ユーザにより画像形成装置1の抵抗ムラ判定モードが選択された場合に、給紙部501aまたは501bにセットされた記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを判定し、判定結果を示す情報を画像信号生成部120に出力する。画像信号生成部120は、画像データ取得部110から入力された画像データ及び抵抗ムラ判定部130から入力された判定結果を示す情報に基づいて、各トナーに対応した画像信号を生成し、生成した画像信号を画像形成部50に出力する。表示制御部140は、操作部40の表示装置に表示される画像を制御する。二次転写電圧制御部150は、二次転写ロール507に印加される電位を制御する制御信号を画像形成部50に出力することで、二次転写ロール507と中間転写ベルト505との間に生成される二次転写電圧を制御する。
【0033】
(動作)
次に画像形成装置1の動作について説明する。本実施形態の画像形成装置1は、通常動作モードと、抵抗ムラ判定モードの2つの動作モードを有する。
【0034】
(抵抗ムラ判定モード)
図4は、本実施形態における、記録媒体の面内抵抗ムラの判定方法を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザが使用する記録媒体を給紙部501aまたは501bにセットし、操作部40の操作によって抵抗ムラ判定モードを選択したときに開始される。抵抗ムラ判定モードの選択は、例えば操作部40に抵抗ムラ判定モード選択用のハードボタンを設け、そのハードボタンをユーザが押すのを検出したり、あるいは、操作部40の表示装置にソフトボタンを表示し、このソフトボタンを表示した位置にユーザがタッチするのをタッチパネルで検出したりすることでなされる。
【0035】
ステップS1で、表示制御部140は、抵抗ムラ判定の対象となる記録媒体の坪量の入力をユーザに促す画面を操作部40の表示装置に表示させる。ステップS2で、例えばユーザが操作部40の操作することで坪量の入力がなされたと制御部10により判断されると、処理はステップS3に進む。
【0036】
ステップS3で、二次転写電圧制御部150は、入力された坪量に応じて定められた二次転写電圧VT1を取得する。この電圧VT1は、予め定められた計算式に基づいて計算によって求めることができる。或いは、様々な坪量の値と二次転写電圧とを対応付けたテーブルを記憶部20に予め格納しておき、このテーブルを参照することで、入力された坪量に応じて定められた二次転写電圧VT1を取得してもよい。
【0037】
続いてステップS4で、画像信号生成部120は、抵抗ムラ判定用の基準濃度画像信号を画像形成部50に送り、画像形成部50は送られてきた基準濃度画像信号に基づいて、給紙部501aまたは501bにセットされた記録媒体に画像を形成する。この基準濃度画像信号は、例えば、1枚の記録媒体の複数の領域に、透明トナーを用いることなく単色(例えばシアン)の予め定められた濃度(例えば、画像処理装置1で可能な最大濃度を濃度100%としたとき、濃度100%)の画像を形成することを指示する信号である。即ち、トナーの転写不良が生じなければ、基準濃度画像信号に基づいて記録媒体の複数の領域の各々に形成される画像は濃度ムラのない画像となる。この例では、基準濃度画像信号は、1枚の記録媒体の3つの領域(第1の領域〜第3の領域)にシアン単色の濃度100%の画像を形成することを指示する信号とする。このような基準濃度画像信号に基づいて、画像形成部50のトナー像形成ユニット504Cは、3つのシアン単色のトナー像を形成して中間転写ベルト505に転写し、中間転写ベルト505に転写されたトナー像は二次転写部で記録媒体に転写される。
【0038】
ステップS4において記録媒体の第1〜第3の領域に画像を形成する際、二次転写電圧制御部150は、二次転写電圧を制御して、記録媒体の第1の領域に中間転写ベルト505からトナー像が転写されるときは二次転写電圧をステップS2で取得した電圧VT1に設定し、第2の領域にトナー像が転写されるときは、二次転写電圧を電圧VT1より低い電圧VT2に設定し、第3の領域にトナー像が転写されるときは、二次転写電圧を電圧VT1より高い電圧VT3に設定する。これにより、図5に示すように、1枚の記録媒体上に、3つの二次転写電圧VT1〜VT3に対応した3つの画像I1〜I3が形成される。3つの画像I1〜I3が形成された記録媒体は、定着部509で画像I1〜I3の定着がなされた後、インラインセンサーユニット550を通過し、その際、インラインセンサーユニット550は、画像I1〜I3の各々の二次元濃度分布を示す信号を生成し、抵抗ムラ判定部130に送る。
【0039】
ステップS5において、抵抗ムラ判定部130は、ステップS4で形成された画像I1〜I3の各々について、インラインセンサーユニット550からの信号に基づいて、記録媒体の面内の濃度のばらつき(以後、「面内濃度ムラ」という)を測定する。具体的には、各画像I1〜I3の面内濃度ムラを表す値として、画像I1〜I3の各々における二次元濃度分布の分散(即ち、各画像I1〜I3内で二次元的に散らばって位置する複数の点における濃度の分散)を求める。画像I1〜I3の各々における二次元の濃度分布の分散は、画像I1〜I3の各々内の複数の点における濃度のばらつきを表す特性値の一例である。
【0040】
図6は、記録媒体として、上質紙(坪量=82g/m)及び和紙(坪量=82g/m)を用いた場合の面内濃度ムラ(この例では、画像I1〜I3の各々における二次元濃度分布の分散)の測定結果の一例を示すグラフである。この例では、坪量(82g/m)に応じて定められた二次転写電圧VT1は2.0kV、電圧VT1より低い電圧VT2は1.0kV、電圧VT1より高い電圧VT3は3.0kVである。
【0041】
図6に示すように、記録媒体として上質紙を用いた場合、二次転写電圧がVT2またはVT3の場合は大きな面内濃度ムラがあるが、二次転写電圧が記録媒体の坪量に応じて定められた電圧VT1のときは、濃度ムラがほとんどない。これは、以下のように説明できる。即ち、面内抵抗ムラが小さい上質紙を記録媒体として用いた場合、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧であるVT1に設定すると、中間転写ベルト505に転写されたトナーが転写不良を生じることなく、または、僅かな転写不良で記録媒体上に転写されるため、得られる画像(I1)の面内濃度ムラは小さくなる。一方、二次転写電圧をVT2またはVT3に設定にした場合は、画像I2またはI3が形成される領域内でトナー転写に必要な電界が不足したり放電が生じたりして記録媒体へのトナーの転写が正常になされない部分がランダムに生じ、その結果、記録媒体にトナーが正常に転写された部分と、正常に転写されない(即ち、中間転写ベルト505上にトナーの一部または全てが残ったままとなる)部分とで濃度差が生じる。このように、記録媒体として上質紙を用いた場合、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1に設定した場合に基準濃度画像信号に基づいて記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラと、二次転写電圧をVT1より小さいVT2、またはVT1より大きいVT3に設定した場合に基準濃度画像信号に基づいて記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラの差(絶対値)が大きくなる。
【0042】
一方、記録媒体として和紙を用いた場合、二次転写電圧がVT1、VT2、及びVT3のいずれの場合も、面内濃度ムラが大きく、またそれらの差がほとんどない。これは、次の理由によるものと考えられる。面内抵抗ムラが大きい和紙を記録媒体として用いた場合、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1より低いVT2に設定すると、記録媒体の抵抗が低い部分では記録媒体と中間転写ベルト505との間に適切な電圧(または電界)が生成されトナーの転写が正常になされるが、記録媒体の抵抗が高い部分では電圧が不足し、トナーの転写が正常になされないため、抵抗が高い部分と抵抗が低い部分との間で濃度差が生じ、大きな面内濃度ムラにつながる。二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1より高いVT3に設定した場合には、記録媒体の抵抗が高い部分では記録媒体と中間転写ベルト505との間に適切な電圧が生成されトナーの転写が正常になされるが、記録媒体の抵抗が低い部分では電圧が過大となって放電が発生し、トナーの転写が正常になされないため、抵抗が高い部分と抵抗が低い部分との間で濃度差が生じ、大きな面内濃度ムラにつながる。また、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1に設定した場合には、抵抗が低い部分と抵抗が高い部分のいずれでもランダムに転写不良が発生し、やはり得られる画像に大きな面内濃度ムラが生じる。このように、記録媒体として和紙を用いた場合、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1に設定した場合に基準濃度画像信号に基づいて記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラと、二次転写電圧をVT1より小さいVT2、またはVT1より大きいVT3に設定した場合に基準濃度画像信号に基づいて記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラの差(絶対値)が小さくなる。
【0043】
本実施形態では、上記したような記録媒体の面内抵抗ムラと、基準濃度画像信号に基づいて記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラとの間の関係に基づき、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かの判定を行う。具体的には、図4のフローチャートのステップS6において、抵抗ムラ判定部130は、ステップS5で求めた画像I1、I2、及びI3の面内濃度ムラの最大値と最小値の差(絶対値)が予め定められたしきい値より小さいか否か判定し、しきい値より小さい場合(ステップS6:YES)、記録媒体の面内抵抗ムラは予め定められた値より大きいと判定し(ステップS7)、これらの面内濃度ムラの最大値と最小値の差がしきい値以上の場合(ステップS6:NO)、記録媒体の面内抵抗ムラは予め定められた値以下であると判定する(ステップS8)。即ち、この場合、ステップS5で求めた画像I1、I2、及びI3の面内濃度ムラ、または、これら画像I1、I2、及びI3の面内濃度ムラの算出の基となるインラインセンサーユニット550から送信される画像I1〜I3の各々の二次元濃度分布を示す信号が、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す特性情報の一例に相当する。
【0044】
ステップS7及びS8で記録媒体の面内抵抗ムラの判定を行った後、プロセスはステップS9に進む。ステップS9で、制御部10は、記録媒体の識別子(例えば、制御部10によって自動的に割り当てられる番号や、ユーザにより入力される記録媒体の製品名)に関連付けて、判定の結果得られた記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示す情報(例えば、0のときは面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいこと示し、1のときは面内抵抗ムラが予め定められた値以下であることを示すフラグ)をテーブルに格納し、抵抗ムラ判定モードを終了する(即ち、画像形成装置1は通常動作モードになる)。
【0045】
図7は、このようなテーブルの一例を示す図である。図7に示されたテーブルT1は記憶部20に記憶される。或いは、通信部30を介してアクセス可能な外部装置に記憶してもよい。図7のテーブルT1では、制御部10によって割り当てられる番号と、記録媒体の製品名と、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示すフラグとが対応付けて格納されている。記録媒体を識別する情報として、メーカー名や用紙の属性(例えば、サイズや坪量)等をテーブルに格納してもよい。
【0046】
制御部10は、例えば、ユーザにより給紙部51aまたは51bに記録媒体がセットされたとき、ユーザによって抵抗ムラ判定モードが選択される前に、記憶部20または外部装置にアクセスしてテーブルT1を参照し、テーブルT1の内容を操作部40の表示装置に表示する。給紙部51aまたは51bにセットした記録媒体の面内抵抗ムラに関する情報が既にテーブルT1に格納されている場合、ユーザは、操作部40を操作して、例えばテーブルT1においてその記録媒体に割り当てられた番号を入力することによって記録媒体を指定する。記録媒体が指定されると、制御部10の抵抗ムラ判定部130は、テーブルT1を参照することで、指定した記録媒体に対応したフラグの値を取得し、当該フラグの値に基づいて、記録媒体の面内濃度ムラが予め定められた値より大きいか否かを判定する。この場合、テーブルT1に格納された、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示すフラグの値が、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す特性情報の一例に相当する。
【0047】
(通常動作モード)
画像形成装置1の通常動作モードにおいて、画像信号生成部120は、上記したように、画像データ取得部110から入力された画像データ及び抵抗ムラ判定部130から入力された記録媒体の面内抵抗ムラに関する判定結果に基づいて、各トナーに対応した画像信号を生成する。
【0048】
図8は、通常動作モードにおける画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。ステップS11で、画像信号生成部120は、抵抗ムラ判定部130から入力された判定結果を示す情報が、使用される記録媒体の面内抵抗ムラが大きいことを示すか否か判定する。抵抗ムラ判定部130から入力された判定結果を示す情報が、使用される記録媒体の面内抵抗ムラが大きいことを示すと判定された場合(ステップS11:YES)、ステップS12で、画像信号生成部120は、画像データ取得部110から入力された画像データを色分解して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のそれぞれの色に対応した画像信号を生成するとともに、有色トナーより高い粘弾性を有する第1の透明トナーによって記録媒体の全面(ただし、余白を除いてもよい)を覆う画像が形成されるように第1の透明トナーに対応した画像信号を生成する。また、ステップS13で、画像形成部50は、画像信号生成部120から送られてきた画像信号に基づき、記録媒体上に画像を形成する。このとき、二次転写電圧生成部は、二次転写電圧として記録媒体の抵抗の低い部分において転写が正常になされるような比較的低い電圧(例えば、坪量に応じて定められた電圧VT1より小さい電圧VT2)を設定する。
【0049】
画像形成部50の第1の透明トナー像形成ユニット504T1は、有色トナー像形成ユニット504Y、504M、504C、及び504Kよりも中間転写ベルト505の移動方向について上流にあるため、第1の透明トナーによる透明トナー像は、有色トナーによるトナー像が中間転写ベルト505に転写されるよりも前に、中間転写ベルト505に転写される。従って、中間転写ベルト505上では、第1の透明トナーにより形成される透明トナー像が最下層(中間転写ベルト505に最も近接した層)に位置し、その上に有色トナーによって形成されるトナー像が重ねられる。中間転写ベルト505に転写されたトナー像は、上記したように、二次転写部に送られ、そこで記録媒体上に転写される。その結果、記録媒体上では、第1の透明トナーによる透明トナー像が最上層に位置する。
【0050】
図9は、二次転写電圧として記録媒体の抵抗の低い部分に合わせた比較的低い電圧を設定し、透明トナーと有色トナーを用いて抵抗ムラのある記録媒体に二次転写を行った場合の、二次転写後の中間転写ベルト505と記録媒体とを示す模式的な断面図である。図9において、記録媒体の抵抗が低い部分はR1で示されており、抵抗が高い部分はR2で示されている。
【0051】
図9に示すように、記録媒体の抵抗の低い部分(R1)では、適切な転写電界が得られるため、中間転写ベルト505に転写された透明トナーを含むトナー全体が正常に記録媒体に転写される。即ち、中間転写ベルト505にトナーは残っていない。一方、記録媒体の抵抗の高い部分(R2)では、転写電界の不足により透明トナーの一部が中間転写ベルト505上に残るが、有色トナーは記録媒体上に全て転写される。別の言い方をすると、透明トナーは有色トナーの中間転写ベルト505への付着力を低減させ、転写をアシストする働きをする。このように、透明トナーを用いることにより、抵抗ムラの大きい記録媒体を用いた場合でも、二次転写電圧として記録媒体の抵抗の低い部分に合わせた電圧(例えば、坪量に応じて定められた電圧VT1より小さい電圧VT2)を設定することで、中間転写ベルト505上に転写された有色トナーの記録媒体各部への転写が正常になされる。尚、図9では、有色トナーは一層のみ示しているが、有色トナーはY、M、C、Kのトナーを1または複数層含み得る。また、図9に示すように、記録媒体に転写される透明トナーの量には記録媒体の面内でばらつきが生じている。
【0052】
図10は、(1)透明トナーを用いない場合、(2)透明トナーとして有色トナーと概ね同じ粘弾性を有する第2の透明トナーを用いた場合、及び(3)透明トナーとして有色トナーより高い粘弾性を有する第1の透明トナーを用いた場合のそれぞれについて、二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1より小さいVT2に設定し、シアン単色の濃度100%の画像を和紙に形成した場合の面内濃度ムラを示すグラフである。
【0053】
図10に示すように、透明トナーとして有色トナーと概ね同じ粘弾性を有する第2の透明トナーを用いた場合、得られる画像の濃度ムラが、透明トナーを用いない場合よりも大きくなっている。これは、有色トナーの記録媒体への転写を改善するべく透明トナーを用いた場合、有色トナーの転写のばらつきは改善されるものの、図9に示したように、記録媒体に転写される透明トナーの量に記録媒体上でばらつきが生じ、透明トナーの転写量のばらつきによるグロスムラが画像の濃淡ムラとして検知されるためと考えられる。
【0054】
一方、本実施形態(第1の透明トナーを使用)で得られる画像の濃度ムラは、透明トナーを用いない場合と比べて低減される。本実施形態でも、透明トナーの転写量のばらつきは生じると考えられる。しかしながら、トナーの粘弾性が高いほど、トナー転写量に対するグロスの変化が小さくなるため、有色トナーより高い粘弾性を有する第1の透明トナーを用いた本実施形態では、第1の透明トナーの転写量のばらつきがグロスムラとして検知されにくく、そのため、第2の透明トナーを用いた場合とは異なり、画像の濃度ムラが増大しない。即ち、本実施形態では、和紙などの面内抵抗ムラの大きい記録媒体に対して、有色トナーより高い粘弾性を有する第1の透明トナーを用いることによって、記録媒体の面内抵抗ムラに起因する有色トナーの転写量のばらつきを低減しつつ、同時に第1の透明トナーの記録媒体上の転写量のばらつきによるグロスムラ増大を抑制するので、得られる画像の濃度ムラが低減される。尚、第1の透明トナーの粘弾性が有色トナーの粘弾性より高いことにより、記録媒体に形成される画像のグロスは記録媒体上で最上層に位置する第1の透明トナーによってのみ影響され、有色トナーにはほとんど影響されない。尚、このような第1の透明トナーの粘弾性(貯蔵弾性率)は、同じ測定温度における有色トナーの粘弾性(貯蔵弾性率)の2倍以上であるとよい。
【0055】
再度、図8を参照すると、ステップS11において抵抗ムラ判定部から入力された判定結果が、使用される記録媒体の面内抵抗ムラが小さいことを示すと判定された場合(ステップS11:NO)、ステップS14において画像信号生成部120は、画像データ取得部110から入力された画像データから、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのそれぞれの色の画像信号を生成するとともに、有色トナーに対応した粘弾性を有する第2の透明トナーによってトナー像が形成されるように第2の透明トナーに対応した画像信号を生成し、ステップS15で、画像形成部50は、画像信号生成部120から送られてきた画像信号に基づき、記録媒体上に画像を形成する。この第2の透明トナーによるトナー像は、例えば、有色トナー像に生じるトナー高さのばらつきによるグロスのばらつきを補正する(即ち、有色トナーによるトナー高さが高い部分では、第2の透明トナーの量が少なく、有色トナーによるトナー高さが低い部分では、第2の透明トナーの量が多い)ようなトナー像とするとよい。上記したように、上質紙のように面内抵抗ムラの小さい記録媒体では、中間転写ベルト505に転写された透明トナーを含むトナーは、正確に記録媒体上に転写されるので、記録媒体上における透明トナーの転写量の意図しないばらつきは生じない。上記したように、第2の透明トナーは、着色剤を含まない以外は有色トナーと同じとすることが好ましいが、必ずしもそれに限定されず、第2の透明トナーの粘弾性(貯蔵弾性率)と有色トナーの貯蔵弾性率との差(絶対値)が、第1の透明トナーの貯蔵弾性率と有色トナーの貯蔵弾性率との差(絶対値)より小さく、第2の透明トナーを用いて有色トナー像に生じるトナー高さのばらつきによるグロスのばらつきを補正することができればよい。尚、この第2の透明トナーを用いたグロス制御は省略してもよい。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0057】
(変形例1)
上述した実施形態では、記録媒体の複数の領域に、透明トナーを用いることなく予め定められた濃度の単色の画像(例えば、濃度100%のシアンの画像)を、それぞれ異なる二次転写電圧(VT1、VT2、VT3)を設定して形成し、これらの画像(I1、I2、I3)における濃度ムラが予め定められた範囲内に収まる場合、記録媒体の面内抵抗ムラは予め定められた値より大きいと判定したが、本発明はこれに限定されず、例えば、以下のように記録媒体の面内抵抗ムラの判定を行ってもよい。
【0058】
図11は、変形例1に基づく記録媒体の面内抵抗ムラの判定方法を示すフローチャートである。尚、本図において、図4に示すフローチャートと共通するステップには同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0059】
ステップS3で坪量に応じて定められた二次転写電圧VT1を取得した後、ステップS34で、画像信号生成部120は、抵抗ムラ判定用の基準濃度画像信号を画像形成部50に送り、画像形成部50は送られてきた基準濃度画像信号に基づいて、記録媒体に画像(第1の画像)を形成する。この基準濃度画像信号は、この例では、記録媒体の予め定められた領域(例えば、記録媒体の余白を除く全面)に、シアン単色の濃度100%の画像を形成することを指示する信号である。このような基準濃度画像信号に基づいて、画像形成部50のトナー像形成ユニット504Cは、シアン単色のトナー像を形成して中間転写ベルト505に転写し、中間転写ベルト505に転写されたトナー像は、二次転写部で記録媒体に転写される。また、ステップS34で、画像形成部50は、二次転写電圧を、坪量に応じて定められた電圧VT1より低い電圧VT2に設定する。
【0060】
ステップS35で、抵抗ムラ判定部130は、インラインセンサーユニット550からの信号(即ち、ステップS34で形成された画像の二次元濃度分布を示す信号)に基づいて、ステップS34で形成された画像の面内濃度ムラを算出する。本変形例でも、面内濃度ムラは記録媒体に形成された画像における二次元濃度分布の分散として求められる。
【0061】
続いてステップS36で、画像形成部50は、ステップS34で記録媒体上に形成された画像の上に、ステップS34で用いたのと同じ基準濃度画像信号に基づいて、重ねて画像を形成する。即ち、画像形成部50のトナー像形成ユニット504Cは、同じ基準濃度画像信号に基づいてシアン単色のトナー像を形成して中間転写ベルト505に転写し、中間転写ベルト505に転写されたトナー像は、二次転写部で、ステップS34で記録媒体上に形成された画像の上に重ねて転写される(2回目の転写の結果得られる画像を第2の画像という)。ただし、ステップS36では、画像形成部50は、二次転写電圧を、坪量に応じて定められた電圧VT1より高い電圧VT3に設定する。このような一度画像が形成された記録媒体への更なる画像形成は、図示しない公知の媒体反転装置を用いて、画像が形成された記録媒体を再度二次転写部に戻すことで行ってもよいし、あるいは、二次転写後排出トレイ511に出力された記録媒体をユーザが再度給紙部501aまたは501bにセットすることで行ってもよい。
【0062】
ステップS37では、抵抗ムラ判定部130は、インラインセンサーユニット550からの信号(即ち、ステップS36で形成された画像の二次元濃度分布を示す信号)に基づいて、ステップS36で形成された画像の面内濃度ムラを測定する。
【0063】
図12は、和紙(坪量=82g/m)及び上質紙(坪量=82g/m)に対して、上記のように各々異なる二次転写電圧で2回の転写を行い、同一面に画像を重ねて形成したときの1回目の転写及び2回目の転写に対する画像の面内濃度ムラを示すグラフである。この例でも、上記実施形態と同様に、坪量(82g/m)に応じて定められた二次転写電圧VT1は2.0kV、電圧VT1より低い電圧VT2は1.0kV、電圧VT1より高い電圧VT3は3.0kVである。図12に示されているように、和紙の場合、1回目の転写に比べ2回目の転写において面内濃度ムラが大幅に低減している。これは、次のように説明できる。和紙では面内抵抗ムラが大きいため、二次転写電圧を比較的低い電圧VT2に設定した1回目の転写では抵抗の低い部分において適切な電界が得られ適切にトナーの転写がなされるが、抵抗の高い部分では電界が不足するため転写がなされず濃度ムラが生じる。続いて二次転写電圧を比較的高い電圧VT3に設定して2回目の転写を行うと、抵抗の高い部分で適切な電界が得られ適切にトナーの転写がなされる。2回目の転写においては、抵抗の低い部分では放電により電界が弱まり転写が適切になされないが、1回目の転写時に既にトナーの転写がなされている。即ち、和紙の場合、二次転写電圧を変えて2度の転写を行うことで、抵抗の低い部分と抵抗の高い部分のいずれにもトナーの転写がなされ、その結果、1回目の転写に比べ2回目の転写において画像の面内濃度ムラが低減される。
【0064】
一方、上質紙の場合、1回目の転写に対して2回目の転写において面内濃度ムラが低下していない。これは、次のように説明できる。面内抵抗ムラの小さい上質紙の場合、二次転写電圧を比較的低い電圧VT2に設定してなされる1回目の転写では電界不足が画像形成領域内でランダムに生じ、トナーの転写不良もランダムに生じて面内濃度ムラを発生させる。また、二次転写電圧を比較的高い電圧VT3に設定した2回目の転写では、放電が画像形成領域内でランダムに生じ、やはりトナーの転写不良がランダムに生じる。このように、上質紙の場合は、1回目の転写でも2回目の転写でも転写不良がランダムに発生するため、2度の転写を行っても転写不良に起因する画像の面内濃度ムラが低減されない。
【0065】
変形例1では、上記のような記録媒体の面内抵抗ムラと記録媒体上に形成される画像の面内濃度ムラとの関係に基づき、面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かの判定を行う。即ち、再度図11を参照すると、ステップS38において、抵抗ムラ判定部130は、各々異なる二次転写電圧で2回の二次転写を行って記録媒体の同一面に画像を重ねて形成したときの、2回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラが1回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラより小さいか否かを判定し、小さい場合(ステップS38:YES)、記録媒体の面内抵抗ムラは予め定められた値より大きいと判定し(ステップS7)、2回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラが1回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラ以上の場合(ステップS38:NO)、記録媒体の面内抵抗ムラは予め定められた値より小さいと判定する(ステップS8)。即ち、この例では、ステップS35で求めた1回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラ及びステップS37で求めた2回目の転写で得られた画像の面内濃度ムラ、または、これら面内濃度ムラの算出の基となるインラインセンサーユニット550からの信号が、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す特性情報の一例に相当する。
【0066】
ステップS7及びS8で記録媒体の面内抵抗ムラの判定を行った後、プロセスはステップS9に進み、ステップS9で、制御部10は、記録媒体の識別子と、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示す情報とを対応付けて図7に示すようなテーブルT1に格納し、抵抗ムラ判定モードを終了する。
【0067】
尚、上記変形例1において、1回目の転写で二次転写電圧を坪量に応じて定められた電圧VT1より高い電圧VT3とし、2回目の転写で二次転写電圧を電圧VT1より低い電圧VT2としてもよい。
【0068】
(変形例2)
上述した実施形態では、ユーザによる操作部40の操作によって抵抗ムラ判定モードが選択されたとき、基準濃度画像信号に基づいて画像形成部50で記録媒体に画像を形成し、形成された画像を解析することで記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かの判定を行った。しかしながら、本発明における記録媒体の面内抵抗ムラの判定は、抵抗ムラ判定モードによる判定に限定されない。
【0069】
例えば、複数種類の記録媒体の面内抵抗ムラを工場にて予め測定し、各記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示すフラグ(特性情報の一例)を各記録媒体の識別子(例えば、製品名など)に関連付けて格納したテーブル(例えば、図7に示したテーブルT1)を、例えば記憶部20や、通信部30を介して通信可能な外部装置に記憶してもよい。制御部10は、例えば、ユーザが記録媒体を給紙部51aまたは51bにセットしたとき、このテーブルの内容を操作部40の表示装置に表示して、ユーザが操作部40を操作することで、表示された記録媒体の中から給紙部501aまたは501bにセットされた記録媒体を指定できるようにする。ユーザによって記録媒体が指定されると、抵抗ムラ判定部130はテーブルを参照して、指定された記録媒体に対応するフラグの値を取得し、取得したフラグの値に基づいて、指定された記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを判定する。
【0070】
この場合、ユーザが給紙部501aまたは501bにセットした記録媒体に対応するフラグがテーブルに格納されていないときに、ユーザが上記した抵抗ムラ判定モードを選択できるようにするとよい(例えば、抵抗ムラ判定モード選択用のボタンを操作部40の表示装置に表示する)。ユーザの選択により抵抗ムラ判定モードでの動作がなされてその記録媒体の面内抵抗ムラについての判定結果が得られたら、制御装置10は、当該判定結果を示す情報を記録媒体の識別子と関連付けてテーブルに追加格納する。
【0071】
尚、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す情報としてテーブルに格納される情報は、記録媒体の面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否かを示すフラグに限らず、記録媒体の面内の電気抵抗の二次元分布(面内抵抗分布)を示すデータや、当該データから算出される面内抵抗分布の分散など、記録媒体の面内抵抗ムラの特性を示す情報であれば別の情報でもよい。また、使用される記録用紙の指定は、必ずしも操作部40の操作によってなされなくてもよい。例えば、パーソナルコンピュータ等の外部装置からの要求によって印刷を行う場合、外部装置にテーブルの内容を表示し、ユーザが外部装置を操作することで使用される記録用紙をテーブルに格納された記録媒体から指定できるようにしてもよい。
【0072】
(変形例3)
上記実施形態では、インラインセンサーユニット550は、画像I1〜I3の各々の二次元濃度分布を示す信号を生成し、抵抗ムラ判定部130は、画像I1〜I3の面内濃度ムラを表す値として、画像I1〜I3の各々における二次元濃度分布の分散を求め、求めた分散に基づいて、記録媒体の面内抵抗ムラが大きいか否かの判定を行った。しかしながら、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0073】
例えば、インラインセンサーユニット550は、画像I1〜I3の各々に対し、記録媒体の搬送方向に沿って一次元の濃度分布(即ち、記録媒体の搬送方向に沿って位置する複数の点における濃度)を示す信号を生成し、抵抗ムラ判定部130は、画像I1〜I3の各々に対し、記録媒体の搬送方向に沿った一次元の濃度分布の分散(即ち、各画像I1〜I3内で記録媒体の搬送方向に沿って位置する複数の点の濃度の分散)を求め、求めた分散に基づいて、記録媒体の面内抵抗ムラが大きいか否かの判定を行ってもよい。各画像における濃度分布を測定する方向は、記録媒体の搬送方向に限らず、記録媒体の搬送方向と交差する方向でもよい。各画像I1〜I3における一次元の濃度分布の分散は、画像I1〜I3の各々内の複数の点における濃度のばらつきを表す特性値の一例である。
【0074】
また、画像I1〜I3の各々内の複数の点における濃度のばらつきを表す特性値は、画像I1〜I3の各々における一次元または二次元の濃度分布の分散に限らず、濃度のばらつきを表す別の統計量であってもよい。
【0075】
(変形例4)
上記実施形態では、抵抗ムラ判定モードにおいて、1枚の記録媒体上に、3つの二次転写電圧VT1〜VT3に対応した3つの画像I1〜I3を形成した。しかしながら、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、3つの二次転写電圧VT1〜VT3に対応した3つの画像I1〜I3を同じ種類の(即ち、同じ識別子(例えば製品名)で特定される)3枚の記録媒体上に形成してもよい。また、必ずしも3つの二次転写電圧VT1〜VT3に対応した3つの画像I1〜I3を形成する必要はなく、例えば、2つの二次転写電圧(例えば、VT1とVT2)に対応した2つの画像(例えば、I1及びI2)を形成し、それらの面内濃度ムラから記録媒体の面内抵抗ムラを判定してもよい。
【0076】
(変形例5)
上記実施例では、記録媒体に形成した画像の面内濃度ムラに基づいて記録媒体の面内抵抗ムラについて判定した。しかしながら、本発明はそのような実施形態に必ずしも限定されない。例えば、特開2007−4066号公報(特許文献1)の段落0010に記載されているように、誘電緩和測定装置を用いて記録媒体の面内抵抗分布を求め、その面内抵抗分布の分散として記録媒体の面内抵抗ムラを算出し、算出した面内抵抗ムラが予め定められた値より大きいか否か判定してもよい。
【0077】
(変形例6)
上記実施形態では、画像形成装置1をプリンタとして説明したが、画像形成装置1はコピー機でもよい。その場合、画像形成装置1は画像読取部(スキャナー)を有し、画像読取部は読み取った画像から画像データを生成し、画像データ取得部110に送る。画像形成装置1は、プリンタ、コピー機、及びFAXの機能を有するものであってもよい。
【0078】
(変形例7)
上記実施形態では、使用される記録媒体の坪量をユーザが入力するものとした。しかしながら、本発明はそのような実施形態に必ずしも限定されない。例えば、特開2009−103885号公報(特許文献4)の段落0017に記載されているように、給紙部501a及び501bに、これら給紙部に収容された記録媒体の坪量を測定する坪量センサーを設けることで、ユーザによる坪量の入力を省略してもよい。
【0079】
(変形例8)
制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有していてもよい。この場合、制御部10の機能は、ASICにより実現されてもよいし、CPUとASICとで実現されてもよい。
【0080】
(変形例9)
制御部10の機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、画像形成装置1にインストールしてもよい。また、通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置、10…制御部、20…記憶部、30…通信部、40…操作部、50…画像形成部、110…画像データ取得部、120…画像信号生成部、130…抵抗ムラ判定部、140…表示制御部、150…二次転写電圧制御部、501…給紙部、502…用紙搬送ロール、503…露光装置、504…トナー像形成ユニット、505…中間転写ベルト、506…ベルト搬送ロール、507…二次転写ロール、508…バックアップロール、509…定着装置、510…排出ロール、511…排出トレイ、550…インラインセンサーユニット、5041…感光体ドラム、5042…帯電装置、5043…現像装置、5044…一次転写ロール、5091…加熱ロール、5092…加圧ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12