特許第5803147号(P5803147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5803147電池外装用ポリエステルフィルムおよび電池外装用構成体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803147
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】電池外装用ポリエステルフィルムおよび電池外装用構成体
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20151015BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20151015BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
   !H01M10/052
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-41397(P2011-41397)
(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公開番号】特開2011-204674(P2011-204674A)
(43)【公開日】2011年10月13日
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2010-47355(P2010-47355)
(32)【優先日】2010年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 照也
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 功
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘造
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−113259(JP,A)
【文献】 特開平09−304937(JP,A)
【文献】 特開2010−189593(JP,A)
【文献】 特開2006−035646(JP,A)
【文献】 特開2006−188049(JP,A)
【文献】 特開2008−248649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 10/052
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃におけるフィルムの突き刺し荷重が5N〜15Nかつ、フィルム表面に0.5mmφの針を5mm/minの速度で突き刺し試験を行い、破断するまでの針の先端が移動した直線距離である突き刺し変位が2.5〜7mmであり、フィルムの厚みが10〜40μmであり、フィルム長手方向および幅方向の25℃における破断伸度が100〜250%であり、190℃、10分間の熱処理後におけるフィルム長手方向および幅方向の熱収縮率が0〜4%であり、示差走査熱量分析(DSC)により観察される熱履歴ピーク温度(T−meta)が190℃〜234℃である電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
25℃におけるフィルム長手方向および幅方向の破断強度が200〜400MPaである、請求項1に記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項3】
%伸張させた際に掛かる応力(F−5値)/破断強度の値が0.5以下である、請求項1または2に記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項4】
面配向係数が0.161以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項5】
複屈折率(Δn)の絶対値が10未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項6】
フィルムの固有粘度が0.65〜0.80である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項7】
少なくとも片面に易接着層を積層してなる、請求項1〜のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層を積層してなる電池外装用構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルフィルムに関し、突き刺し強度が高く、また突き刺し変位が大きいため電池外装用、特に電解質(固体、液体)を有するリチウムイオン二次電池に好適に使用できる電池外装用ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、液状、ゲル状高分子、固体高分子、ポリマー電解質などを持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活性物質が高分子からなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成としては、正極集電材(アルミ、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及びそれらを包装する外装体からなる。近年ではリチウム電池の用途は多岐に渡っており、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に小型大容量電源として用いられている。
【0003】
リチウム電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状または直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、最外層/アルミニウム/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられている。しかしながら、金属製缶においては容器外壁が剛直であるため、電池自体の形状が決められてしまい、ハードウエア側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードウエアの寸法が電池により決定されてしまうなどデザインに制約ができてしまうという問題があるため、多層フィルムからなる袋状の外装体が好まれるようになってきている。リチウム電池の外装体として要求される物性・機能としては防湿性、耐内容物性(内容物として使用する電解液などの化合物に対する耐性)、成形性等であるが、これらを満足するフィルム素材として現在使用されているものとしては、例えばポリアミドフィルム/ポリエステルフィルムの貼り合わせなどが用いられている(特許文献1参照)。しかしながらこの構成では工程が煩雑となり、経済性、防湿性、加工時の耐内容物性の点で不十分であった。また、ポリエステルフィルム単体として成形性に優れたフィルム提案されている(特許文献2参照)。しかしながら電池外装用として深絞り要求が高まる中、アルミ追従性、成型性のさらなる向上が望まれていた。
【0004】
これらの課題は、特に加工工程として金型による絞り加工を伴うリチウム電池包装材料において顕著であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−115428号公報
【特許文献2】特開2004−362953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は上記した問題点を解消することにある。すなわち、加工工程として金型による絞り加工を伴うリチウム電池包装材料において優れた成形性、高強度を有するリチウム電池外装用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
【0008】
(1)25℃におけるフィルムの突き刺し荷重が5N〜15Nかつ、フィルム表面に0.5mmφの針を5mm/minの速度で突き刺し試験を行い、破断するまでの針の先端が移動した直線距離である突き刺し変位が2.5〜7mmであり、フィルムの厚みが10〜40μmであり、フィルム長手方向および幅方向の25℃における破断伸度が100〜250%であり、190℃、10分間の熱処理後におけるフィルム長手方向および幅方向の熱収縮率が0〜4%であり、示差走査熱量分析(DSC)により観察される熱履歴ピーク温度(T−meta)が190℃〜234℃である電池外装用ポリエステルフィルム。
【0009】
(2)25℃におけるフィルム長手方向および幅方向の破断強度が200〜400MPaである、上記(1)に記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0010】
(3)フィルム長手方向および幅方向の25℃における破断伸度が100〜250%でありかつ、5%伸張させた際に掛かる応力(F−5値)/破断強度の値が0.5以下である、上記(1)または(2)に記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0011】
(4)面配向係数が0.161以上である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0012】
(5)複屈折率(Δn)の絶対値が10未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0013】
(6)フィルムの固有粘度が0.65〜0.80である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0014】
(7)少なくとも一方向の190℃、10分間の熱処理後におけるフィルムの熱収縮率が0〜6%である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0015】
(8)示差走査熱量分析(DSC)により観察される熱履歴ピーク温度(T−meta)が190℃〜250℃である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0016】
(9)少なくとも片面に易接着層を積層してなる、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルム。
【0017】
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の電池外装用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層を積層してなる電池外装用構成体。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、電池外装用フィルムとして好適に使用することができる。特に、突き刺し強度や突き刺し変位が大きいため、加工性に優れた部材を作製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖中の主要な結合である、モノマー残基とモノマー残基を結合する共有結合がエステル結合からなる高分子の総称であって、通常ジカルボン酸化合物とグリコール成分、もしくはジカルボン酸エステル化合物とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0020】
ここで、ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル化合物としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどを挙げることができる。
【0021】
一方、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸化合物としてはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸もしくはこれらのジメチルエステル化合物を、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールなどを好ましく用いることができる。
【0022】
本発明で用いるポリエステルを製造するに際しては、従来から公知である反応触媒、着色防止剤を使用することができる。反応触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、また着色防止剤としては、リン化合物などを使用することができるが、本発明では特にこれらに限定されるものではない。
【0023】
通常、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法を使用することができる。
【0024】
かかるゲルマニウム化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを使用することができる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いられる。
【0025】
また、アンチモン化合物としては、特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが使用できる。また、さらにチタン化合物としては、特に限定しないが、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドを好ましく用いることができる。
【0026】
以上のようにして、本発明で使用するポリエステルは製造するが、ここで具体的な例を用いて説明する。例えば、ポリエチレンテレフタレートを製造する場合において、触媒として三酸化アンチモンを使用する場合、ジカルボン酸エステル化合物であるテレフタル酸ジメチル100質量部に、グリコール成分であるエチレングリコール67質量部を添加し、それにエステル交換触媒として酢酸マグネシウム0.06質量部を加え、常法によりエステル交換反応を行う。次いで、リン酸85%水溶液0.02質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を添加し、徐々に昇温、減圧し、最終的に290℃、0.5mmHgまで昇温、減圧し、所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行うことによりポリエステル樹脂を得ることができる。
【0027】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの25℃の突き刺し試験における突き刺し荷重が5N〜15Nである。突き刺し荷重がこの範囲にあることにより成形性が向上する。上記の突き刺し荷重が5N未満であると、フィルムの強度が低く、成形時に基材との摩擦でフィルムが破断したり、ピンホールが空いてしまう場合がある。また、フィルムの突き刺し荷重が15Nを超えると、所定の形に成型できない場合がある。より好ましいフィルムの突き刺し荷重は、5〜14Nであり、6〜13Nであればさらに好ましい。突き刺し荷重を掛かる範囲とする方法としては特に限定されないが、フィルムの面配向係数を0.161以上とすることが好ましい。面配向係数を上記の範囲とすることで、突き刺し荷重を5N〜15Nの範囲にすることができる。突き刺し荷重と製膜性の観点からは面配向係数が0.162〜0.175であるとより好ましく、0.164〜0.174であればより一層好ましい。ここで、本発明では、面配向係数は以下のようにして求める。
【0028】
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いてMD(製膜方向、長手方向)、TD(MDと直角の方向、幅方向)および厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求める。求めた屈折率から下記の式により、面配向係数(fn)を算出する。
【0029】
fn=(nMD+nTD)/2−nZD
フィルムの面配向係数を0.161以上とする方法としては、ポリエステルフィルムの製造時、特に逐次二軸延伸法を採用する場合には、まず、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
【0030】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、3.3〜5倍、さらに好ましくは3.4〜4.8倍、特に好ましくは3.5〜4.5倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは長手方向の延伸温度を85〜110℃、幅方向の延伸温度を80〜105℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
【0031】
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、190〜230℃の熱処理温度とするのが好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。
【0032】
また、突き刺し荷重を掛かる範囲とする方法として前述のポリエステル樹脂を任意に使用することができるが、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル樹脂からなることが好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル樹脂とは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の95モル%以上がテレフタル酸成分であること、およびグリコール成分の95モル%以上がエチレングリコール成分からなるポリエステル樹脂を意味している。ジカルボン酸成分およびグリコール成分として5モル%以下の範囲でテレフタル酸およびエチレングリコール以外の残基成分を含有してもよく、その含有の仕方としては共重合ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリエチレンテレフタレートに他のポリエステル樹脂をブレンドして使用してもよいが、共重合やブレンドを行わないポリエチレンテレフタレート樹脂そのものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明において、ポリエチレンテレフタレートを用いてフィルムを形成する場合、エチレングリコール(EG)量が97モル%以上かつ、テレフタル酸(TPA)量が97モル%以上であることが好ましく、また、エチレングリコール(EG)量が98モル%以上かつ、テレフタル酸(TPA)量が98モル%以上であることが最も好ましい。
【0034】
ポリエステル樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で、取り扱い性と加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜5μmの内部粒子、無機粒子または有機粒子を0.01〜1質量%含有してもよいが、上記した突き刺し荷重を達成するためには使用する粒子の平均粒子径は0.01〜3μmであれば好ましく、0.01〜0.2μmであればさらに好ましい。また、滑り性と突き刺し性とを両立させるためには、0.05〜2.5μmが好ましく、0.1〜2μmであればさらに好ましい。また、滑り性と突き刺し性とを両立させるためには、フィルム中の粒子濃度は0.001〜0.06質量%であることが好ましく、0.003〜0.04質量%であればさらに好ましい。
【0035】
内部粒子の析出方法としては例えば、特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報や特開昭59−204617号公報などの他の粒子を併用することもできる。また、無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなどを使用することができる。また、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。
【0036】
本発明のポリエステルフィルムは単層フィルムでもA/Bの2層以上の積層フィルムでもよい。A/B/Cの3層構成とする場合は、経済性、生産性の観点からは、C層を構成するポリエステルをA層を構成するポリエステルと同じにすることが好ましい(すなわち、A/B/A構成)。さらに、経済性、生産性を向上させるために、A層とC層の積層厚みは等しくすることが好ましい。またフィルム中の粒子濃度を低減させてコストを低く抑えるためには2層以上の構成とし、少なくとも一方の層にのみ粒子を添加することが好ましい。
【0037】
また、フィルム中の粒子濃度を低減させるためには、粒子をコーティング層へ含有させる方法も適用できる。本発明の場合、塗布層は結晶配向完了後の二軸延伸フィルムに塗布する方法あるいは結晶配向完了前のフィルムに塗布した後延伸する方法があるが、本発明の効果をより顕著に発現させるためには後者の方法が特に好ましい。塗布する方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、塗布する前に必要に応じて塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施しておいてもよい。
【0038】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、25℃におけるフィルムの突き刺し変位が2.5mm〜7mmである。突き刺し変位がこの範囲にあることにより優れた成形性を発現せしめることができる。突き刺し変位が2.5mm未満であると、成形時にフィルムが破れる場合がある。また、経済性、生産性、成形加工性などの点から好ましくはフィルムの突き刺し変位は2.5mm〜6.5mmであり、2.5mm〜6mmであれば最も好ましい。ここでいう突き刺し変位とは、フィルム表面に0.5mmφの針を5mm/minの速度で突き刺し試験を行い、破断するまでの針の先端が移動した直線距離を求めた値である。
【0039】
突き刺し変位をかかる範囲とする方法として、フィルムの固有粘度を、0.61〜0.80dl/gとすることが好ましい。固有粘度が0.61dl/g未満であると突き刺し変位が低下するおそれがあり、0.80dl/gを超えるとフィルムの生産性が低下する傾向にある。フィルムの固有粘度としては0.63〜0.80dl/gであれば好ましく、0.65〜0.80dl/gであればより一層好ましい。ポリエステルフィルムの固有粘度を0.61〜0.80dl/gとするためには、用いられるポリエステル樹脂の固有粘度が0.65〜0.90dl/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の固有粘度が0.65dl/g未満であると、押出成型後のフィルムの固有粘度が0.61dl/g未満となってしまう場合ある。また、ポリエステル樹脂の固有粘度が0.90dl/gを超えると、押出機の濾圧の上昇、電流値上昇によりポリエステル樹脂の押出量を制限しなければならない場合があり、生産性が低下する場合がある。ポリエステル樹脂の固有粘度は0.70〜0.90dl/gであればより好ましく、0.75〜0.85dl/gであればより一層好ましい。特に厳しい成型性が求められる場合、突き刺し変位をより大きくすることが好ましく、ポリエステルフィルムの固有粘度は、0.65dl/gより大きくすることが好ましく、用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は0.75dl/gより大きくすることが好ましい。一方で、通常用いられる形状に対する成型性を達成するためには、フィルムの固有粘度は0.61〜0.65dl/gでも達成可能であり、用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は0.65〜0.75dl/gであることが好ましい。この場合は、生産性が良好となる。生産性と成型性の観点から、適宜ポリエステルフィルムの固有粘度を選択することができる。
【0040】
本発明で用いられるポリエステルは前述の方法で製造するが、分子量が大きく、固有粘度が高いポリエステル原料を得るためには、さらに固相重合を行って重合度を高める方法が好ましく用いられる。固相重合の方法としては特に限定されるものではないが、通常ポリエステルの固相重合は、減圧下、或いは窒素雰囲気下で行われるが、いずれの方法を用いても差し支えない。固相重合温度は、好ましくは180℃以上240℃以下、より好ましくは190℃以上230℃以下である。重合温度が180℃未満であると、反応速度が遅く生産性が非常に悪くなる。一方、240℃を超えると、ポリエステルチップ同士の融着が起こるだけでなく、溶媒中での加熱処理で形成されたチップの空隙が消滅してしまい、重合速度が低下してしまう。固相重合温度は、上記範囲内で任意に設定可能であるが、一般的な傾向として、低い温度で重合した場合には、反応速度が低下して期待する固有粘度まで上昇させる時間が長くなるが、最高到達固有粘度は高くなる。逆に重合温度を高くした場合には、反応速度が上昇するが、同時に劣化反応も進行するため、最高到達固有粘度は低くなる。実際の工程では反応温度は該固相重合温度範囲で期待する固有粘度、反応時間を勘案し、設定すればよい。
【0041】
また、フィルムの固有粘度を掛かる範囲とする方法として、ポリエステル樹脂を押出機に供給し溶融する際、供給部内部を不活性ガス、好ましくは流通窒素雰囲気下で供給を行い、供給部内部の酸素濃度を0.1〜0.7体積%にすることが好ましい。酸素濃度を0.1体積%未満にするには、経済的に好ましくなく、また、酸素濃度が0.7体積%を超えるとポリエステル樹脂が酸化分解し固有粘度が低下する場合がある。好ましくは、0.1体積%〜0.5体積%である。
【0042】
さらにポリエステル樹脂を押出機に供給し溶融する際の温度は、用いられるポリエステル樹脂の融点+10〜融点+35℃が好ましい。温度が融点+10℃未満であると、押出機内で溶融しきれずに、未溶融物が発生する場合がある。また、融点+35℃を超えると、ポリエステル樹脂に掛かる温度が過多となり熱分解を起こし、固有粘度が低下する場合がある。より好ましくはポリエステル樹脂の融点+15〜融点+30℃である。
【0043】
電池外装用ポリエステルフィルムの製造方法としては、例えば、使用するポリエステルを窒素雰囲気、減圧雰囲気などで150℃5時間などの乾燥を行い、押出機に供給し溶融するが、供給部内部を不活性ガス、好ましくは流通窒素雰囲気下で供給を行う。この際、ベント式の二軸押出機を使用する場合は乾燥工程を省略してもよい。押出機にて溶融した樹脂は、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出、押出することで未延伸シートを得る。その際、ワイヤー状電極、テープ状電極もしくは針状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着する方法、冷却ドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けたキャスト法、冷却ドラム温度をポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくはこれらの方法を複数組み合わせた方法によりシート状ポリマーを冷却ドラムに密着させ冷却固化し未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、生産性平面性の観点から静電印加する方法が好ましく使用される。ここで得られた未延伸フィルムをさらに延伸し、二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0044】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムの厚みは経済性、生産性、成形加工性などの点から10〜40μmである。厚みが10μm未満であると強度が低く成形加工時に破れや、破断が発生してしまう恐れがある。また、厚みが40μm以上であるとフィルムの強度が高く、金属層との密着性や成形追従性が悪化し破断してしまう場合がある。より好ましくは15〜30μmである。
【0045】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは金属層との密着性や追従性の観点から、フィルムの長手方向および幅方向の25℃での破断強度が200〜400MPaであることが好ましい。破断強度が200MPa未満では成形加工時の金属層との追従性に劣り破断してしまう場合がある。一方、400MPaを超える強度を得ようとすると成形時の応力が高くなり成形できない場合がある。200〜350MPaであればさらに好ましく、200〜300MPaであればより一層好ましい。破断強度を掛かる範囲とする方法としては、ポリエステルフィルムの製造時、特に逐次二軸延伸法を採用する場合には、まず、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
【0046】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、3.3〜5倍、さらに好ましくは3.4〜4.8倍、特に好ましくは3.5〜4.5倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは長手方向の延伸温度を85〜95℃、幅方向の延伸温度を85〜105℃とするのが良い。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
【0047】
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、190〜230℃の熱処理温度とするのが好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。
【0048】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは成形性の観点から、フィルムの長手方向および幅方向の25℃での破断伸度が100〜250%であることが好ましい。破断伸度が100%未満では成形加工時に破断してしまう場合がある。一方、250%を超える伸度を得ようとすると、フィルムの強度が低下する場合がある。25℃での破断伸度としては100〜230%であればさらに好ましく、100〜220%であればより一層好ましい。破断伸度を掛かる範囲とする方法としては、上記した製膜方法や延伸方法を採用できる。
【0049】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムの5%伸張させた際に掛かる応力(F−5値)/破断強度の値は0.5以下であることが好ましい。F−5値/破断強度が0.5を超えるとアルミニウムと貼り合わせた後成形する際に、金属層との剥がれや、フィルムが破断する恐れがある。F−5値/破断強度を0.5以下とする方法としては、ポリエチレンテレフタレートを用いてなるフィルム中のジエチレングリコール(DEG)量を0.01〜2.5質量%とすることが好ましい。ジエチレングリコールは一般にポリエステル製造の際に副生するが、ジエチレングリコール量を0.01質量%未満とすると重合工程が煩雑となり、コストアップの要因となることがある。また、ジエチレングリコール量が2.5質量%を超えると延伸時に配向しにくい状態となり、F−5値/破断強度が0.5を超える場合がある。ジエチレングリコール量は少ないほどF−5値/破断強度が低下し、また、製膜性が向上するため、より好ましくは0.02〜2.0質量%、さらに好ましくは0.05〜1.5質量%であることが望ましい。また、積層フィルムとして本願のフィルムを構成する場合は、ポリエチレンテレフタレートを用いてなる層のDEG量が0.05〜1.0質量%であることが好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレートを用いてなる層とは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の95モル%以上がテレフタル酸成分であること、およびグリコール成分の95モル%以上がエチレングリコール成分からなるポリエステル樹脂を用いた層を意味している。ジエチレングリコール量を減少させるには、重合時間を短縮したり、重合触媒として使用されるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などの量を限定する方法、液層重合と固層重合を組み合わせる方法、アルカリ成分を含有させる方法などが挙げられる。
【0050】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、複屈折(Δn)の絶対値が10未満であることが好ましい。これにより突き刺し強度に優れたフィルムを得ることができる。ここで複屈折とはフィルムのMDの屈折率とTDの屈折率の差に1,000を乗じたものである。複屈折の絶対値が10を超えるとフィルムの面内に異方性が発現するため突き刺し強度が低下してしまう傾向がある。突き刺し強度の観点からは、複屈折の絶対値は9未満であればより好ましい。複屈折の絶対値が8未満であれば、配向バランスに極めて優れているために、突き刺し強度が優れたフィルムとなるので、特に好ましい。
【0051】
複屈折の絶対値を10未満とする方法としては、ポリエステルフィルムの製造時、特に逐次二軸延伸法を採用する場合には、まず、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
【0052】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、特に限定されるものではないが、上記した製膜方法たとえば逐次二軸延伸方法を採用する場合には長手方向、幅方向は同倍率で延伸する方法が好ましい、
ここで、本発明では、屈折率、面配向係数は以下のようにして求める。
【0053】
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いてMD、TDおよび厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求める。求めた屈折率から下記の式により、複屈折(Δn)を算出する。
【0054】
Δn=(|nMD−nTD|)×1,000。
【0055】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは金属層との密着性を向上させるためには少なくとも片面に易接着層を積層することが好ましい。これにより優れた密着性や接着強度の向上を図ることができる。コーティング層を設ける方法については、特に限定されないが、易接着層の形成方法としては、樹脂をフィルム表面に被覆(複合溶融押出法、ホットメルトコート法、水以外の溶媒、水溶性および/または水分散性樹脂からのインライン、オフラインコート法など)する方法や、同様組成あるいはそのブレンド品の表面積層法などが挙げられる。なかでも、配向結晶化が完了する前のフィルムの一方の面に被膜塗剤を塗布し、少なくとも一方向に延伸し、熱処理して、配向結晶化を完了させるインラインコーティング法が均一な被膜形成や工業上好ましい。また、コーティングにより易接着層を設ける場合、易接着性を付与する樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、塩素系樹脂、スチレン系樹脂、各種グラフト系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などを使用することができ、これらの樹脂の混合物を使用することもできる。密着性の観点からポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂を水系塗液として用いる場合には、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が用いられるが、このような水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合させることが好ましい。またアクリル樹脂を水性塗液として用いる場合には、水に溶解あるいは分散された状態にする必要があり、乳化剤として界面活性剤(例えば、ポリエーテル系化合物などが挙げられるが、限定されるものではない。)を使用する場合がある。
【0056】
また、本発明に用いられる易接着層には、さらに接着性を向上させるために、樹脂に各種の架橋剤を併用することができる。
【0057】
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられる。本発明の易接着層に含有される粒子としては、無機系粒子や有機系粒子を挙げることができるが、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので、無機粒子がより好ましい。この無機粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタンなどを用いることができる。
【0058】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムの固有粘度は0.65〜0.80dl/gであることが好ましい。フィルムの固有粘度が0.65dl/g未満であると、フィルムの耐電解液性が低下する場合があり、また、0.80dl/gを超えると、製膜性が低下する傾向にある。より好ましくは0.68〜0.78dl/g、更に好ましくは0.70〜0.75dl/gである。ここでいう固有粘度とは、オルトクロロフェノール100mlに樹脂を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した値と、同様に溶媒の粘度を測定した値とを用いて、下記式の[η]として求められる値である。
【0059】
ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)ポリエステルフィルムの固有粘度を0.65〜0.80dl/gとするためには、用いられるポリエステル樹脂の固有粘度が0.75〜0.90dl/gであることが好ましい。
【0060】
なお、ポリエステル原料中に、有機微粒子、無機微粒子、金属、金属塩、その他添加剤等で溶媒に不溶な成分を含んでいる場合には、フィルターによる濾過や、遠心分離などにより、不溶成分の除去を行った後に、溶液を調整して測定した値(η)である。また、ポリエステル樹脂に可塑剤、界面活性剤、染料などの添加剤を含んでいる可能性がある場合は、不溶成分を除去した後に、最沈殿法、再結晶法、クロマトグラフィー法、抽出法等を実施した後に、再度溶液を調整して測定した値(η)である。
【0061】
固有粘度が上記範囲より大きい場合は、賦形する際にシートの変形が起こりにくくなり、成形できない場合がある。また、成形できたとしても、賦形速度が遅かったり、成形品に残留応力が残って形状安定性が低下する傾向にある。そのため、荷重を大きくしてプレス圧力を高くしたり、加圧時間を長くする等を行う必要があるが、効率的ではない。また、荷重を大きくすると金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下することもある。また、ηが上記範囲に満たない場合は、耐電界液性が低下したり、成形品の機械的強度の低下や、成形時にフィルムの破断が起こったりすることがある。
【0062】
本発明で用いられるポリエステルは前述の方法で製造するが、分子量が大きく、固有粘度が高いポリエステル原料を得るためには、さらに固相重合を行って重合度を高める方法が好ましく用いられる。固相重合の方法としては上述の通りである。
【0063】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、少なくとも一方向の190℃、10分間の熱処理後におけるポリエステルフィルムの熱収縮率が0〜6%であることが好ましい。熱収縮率が6%を超えると、加工工程で他素材、金属箔とラミネートする場合、皺などが発生する場合がある。より好ましくは0〜5%であり、0〜4%であれば特に好ましい。
【0064】
さらに、ツイストカール性の観点から、一方向およびその方向に直角に交わる方向の熱収縮率が、いずれも0〜4%であれば好ましい。
【0065】
熱収縮率を上記した範囲とする方法は特に限定されないが、二軸延伸後のフィルムの熱処理温度を高温化する方法が有効である。かかる高温で熱処理を行うことで、フィルム中の歪みが緩和するため熱収縮率を低くすることができる。好ましい熱処理温度は、190℃以上フィルム融点以下である。熱処理温度が190℃未満であると、フィルム中の歪みが緩和せず、190℃における熱収縮率が低くならない場合がある。また、熱処理温度がフィルム融点を超えると、熱処理時にフィルムが融解してしまう場合がある。より好ましくは、220℃〜融点−5℃であり、225℃〜融点−10℃であれば特に好ましい。また、熱処理時に、フィルムを長手方向または幅方向に弛緩させて行う方法も好ましく用いられる。熱処理時に弛緩させることによって、フィルム中の残存歪みが開放されるため、熱収縮率が低くなる。熱処理時の好ましい弛緩率(リラックス率)は、3%以上7%以下が好ましい。3%未満であると熱収縮率が大きくなる場合があり、7%を超えるとフィルムの品位が低下する場合がある。品位、寸法安定性の観点から、より好ましくは3%以上6%以下であり、3%以上5%以下であれば特に好ましい。また、熱処理後に、当該熱処理の温度より低い温度で弛緩させる方法も好ましい。
【0066】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは、示差走査熱量分析(DSC)により観察される熱履歴ピーク温度(T−meta)が190℃〜250℃であることが好ましい。熱履歴ピーク温度が190℃未満であると前述の190℃における熱収縮率が低くならない場合がある。また、熱履歴ピーク温度が250℃を超えるとフィルムの結晶配向が緩和し、突き刺し荷重や突き刺し変位が低下する場合がある。熱履歴ピーク温度(T−meta)は、220℃〜245℃であり、225℃〜245℃であれば最も好ましい。
【0067】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムの熱履歴ピーク温度をかかる範囲とする方法は特に限定されないが、未延伸シートを二軸延伸した後に、フィルムの熱処理を行うことが好ましい。この熱処理は、オーブン中、あるいは、加熱したロール上等、任意の方法で行うことができる。熱処理温度は190℃〜235℃が好ましく、190℃〜230℃であれば特に好ましい。また、熱処理温度は任意の時間とすることができるが、好ましくは1〜60秒間行うのがよい。かかる熱処理はフィルムを長手方向または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。さらに再延伸を各方向1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。また、熱収縮性を良好にする点から、2段以上の多段熱処理ゾーンを設けてフィルムを熱処理することが好ましい。例えば、特に限定されないが、190℃での良好な熱収縮性が必要な場合、第1段目熱処理ゾーンは190℃〜250℃の任意の温度が好ましい。より好ましくは220℃〜245℃であり、225℃〜240℃であれば特に好ましい。また、第2段目熱処理ゾーンは、第1段目と同じ温度範囲または、それ以下とするのが好ましい。
【0068】
本発明の電池外装用ポリエステルフィルムは少なくとも片面に金属層を積層してなる電池外装用部材として好適に使用できる。積層される金属層は特に限定されないが、優れた成形性、防湿性を有していることから金属層として、アルミニウムが好ましく使用できる。アルミニウム層の厚みは10μm〜60μmであれば好ましい。厚みが10μm以下であると、成形時の圧力に耐えられず破断する場合がある、また、60μm以上であると成形できない場合がある。より好ましくは12μm〜48μmであり、15μm〜45μmであれば特に好ましい。
【実施例】
【0069】
(1)突き刺し荷重、突き刺し変位
フィルムを長手方向および幅方向に長さ50mm×幅50mmの正方形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード5mm/分で突き刺し試験をおこない突き刺し荷重、突き刺し変位の測定を行った。各5回ずつ測定し、その平均を用いた。なお、室温を25℃63%Rhに制御して行った。
【0070】
(2)融点、熱履歴ピーク温度(T−meta)
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用いて測定した。フィルム5mgをサンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際の吸熱ピーク温度を融点とし、ガラス転移温度(Tg)より高温側、融点より低温側の吸熱ピークをT−metaとした。また吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側の吸熱ピークのピーク温度を融点、最も低温側の吸熱ピークをT−metaとした。
【0071】
(3)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの極限粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
【0072】
(4)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。
【0073】
(5)破断伸度、破断強度、F−5値、F−5値/破断強度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について破断伸度、破断強度、F−5値を測定した。評価は長手方向、幅方向それぞれの破断伸度、破断強度、F−5値を各5回ずつ測定し、その平均を用いた。また、得られた各方向のF−5値の平均値をさらに平均した値と、得られた各方向の破断強度の平均値をさらに平均した値とを用いて、F−5/破断強度の値を算出した。なお、測定は、いずれも室温を25℃63%Rhに制御して行った。
【0074】
(6)耐電解液性
二軸配向ポリエステルフィルム(PET)フィルムを50mm×50mmの大きさにカットし、サンプルとした。電解液としてプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの等容量混合溶媒中、LiPF6を1モル/Lの割合で溶解したものをビーカーに100ml入れ、二軸延伸ポリエステルフィルムを24hr浸積した。その後、下記基準で目視評価を行った。
【0075】
○:変色無し
△:やや変色有り
×:変色有り、または溶解した。
【0076】
(7)アルミ追従性
ポリエステルフィルムとアルミ箔(厚み40μm)をウレタン系の接着剤(東洋モートン社製、AD−502、CAT10L、酢酸エチルを15:1.5:25(質量比))を使用して常法によりドライラミネートして多層構成体を作成した。得られた構成体をポリエステルフィルムが外側になるように金型により絞り成型を行った。成型の大きさは10mm×100mmのサイズ(金型の凸部の形状)として、成形時の絞り深さを1mmから1mmずつ深くして成型を行い、下記基準で多層構成体が破損しない最大絞り深さで評価を行った。
【0077】
○:7mmで成形できた(破損なし)。
【0078】
△:4mm以上〜7mm未満で破損あり
×:4mm未満で破損あり。
【0079】
(8)複屈折率(Δn)、面配向係数(fn)
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いてMD、TDおよび厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求める。求めた屈折率から下記の式により、複屈折(Δn)、面配向係数を算出する。
【0080】
Δn=(|nMD−nTD|)×1,000。
【0081】
fn=(nMD+nTD)/2−nZD
【0082】
以下に本発明の電池外装用ポリエステルフィルムの具体的製造例を記載する。
【0083】
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
【0084】
(9)生産性
ポリエステルフィルム製膜時の生産性を次の基準で評価した。○および△であれば生産性がよいと判断できる。
【0085】
○:樹脂吐出の際、押出機出力の80以上で吐出できた
△:樹脂吐出の際、押出機出力の60%〜80%未満で吐出できた
×:樹脂吐出の際、押出機出力の60%以上で吐出できなかった。
【0086】
(10)熱収縮率
ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向それぞれ幅10mm、長さ150mmの短冊状に切りだし、長さ方向の両端から25mm内側に幅方向と平行な線を引き、2本の平行線間の距離L0を正確に測定した。次いでその短冊状のサンプルを190℃の熱風オーブン中にて10分間熱処理を行い、冷却後2本の平行線間L1を測定した。測定には万能投影機(V−16A(Nikon製))を用い、1μmの単位まで測定した。熱処理前の寸法と熱処理後の寸法から下記式にて収縮率(%)を求めた。
【0087】
熱収縮率(%)=((L0−L1)/L0)×100
なお、長手方向、幅方向各10サンプル測定を行い、それぞれの平均値をもってその方向の熱収縮率とした。
【0088】
(11)ツイストカール性
ポリエステルフィルムとアルミ箔(厚み40μm)をウレタン系の接着剤(東洋モートン社製、AD−502、CAT10L、酢酸エチルを15:1.5:25(質量比))を使用して、ラミネーターにて、加熱圧着(80℃、0.1MPa、3m/min)して、多層構成体を作成した。得られた構成体を10mm×100mmのサイズに切り出した。次いでその切り出したサンプルを、平板状に置き各4角の歪み高さを測定し、下記基準で判定を行った。
【0089】
○:歪み無し
△:歪み高さ、5mm未満
×:歪み高さ、5mm以上。
【0090】
(PET−1)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0091】
(PET−2)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。上記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂をロータリーエバポレーターに供給し、装置内を50Paまで減圧した後、220℃×10時間固相重合を行い、固有粘度0.85、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0092】
(PET−3)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。上記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂をロータリーエバポレーターに供給し、装置内を50Paまで減圧した後、220℃×12時間固相重合を行い、固有粘度0.90、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0093】
(PET−4)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。上記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂をロータリーエバポレーターに供給し、装置内を50Paまで減圧した後、220℃×8時間固相重合を行い、固有粘度0.75、副生したジエチレングリコールが0.9モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0094】
(粒子マスター)※以下および表中では粒子Mと表記
上記ポリエチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後に平均粒子径1.6μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、ポリマー中の粒子濃度2質量%の粒子マスターを作製した。
【0095】
(PET−G)
テレフタル酸ジメチルを100質量部、エチレングリコール60質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール20質量部の混合物に、酢酸マンガンを0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃メタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.045質量部、二酸化ゲルマニウム0.01質量部を添加して、徐々に昇温、減圧し、最終的に275℃、1hPaまで昇温、減圧し、極限粘度が0.67となるまで重縮合反応を行い、その後ストランド状に吐出、冷却し、カッティングして1,4−シクロヘキサンジメタノールを8モル%、副生したジエチレングリコールが2.0モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。該ポリマーを3mm径の立方体に切断し、回転型真空重合装置を用いて、1hPaの減圧下、225℃で極限粘度が0.8になるまで固相重合を行なった。
【0096】
(PBT)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、エステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、ついで窒素雰囲気下で200℃、6時間の固相重合を行い、固有粘度1.22のポリブチレンテレフタレート樹脂とした。
【0097】
参考例1)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−2を使用した。ポリエステル樹脂を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に窒素雰囲気下で供給、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
【0098】
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を90℃、延伸温度を95℃で長手方向に4倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に易接着層として以下の塗剤A、B、C、Dを超音波分散させながら混合し、#4メタリングバーにて均一に塗布した。
【0099】
塗剤A:水分散アクリル樹脂(固形分濃度25質量%)、20質量%
塗剤B:メチロール化メラミン(希釈剤:イソプロパノール/水)79.4質量%
塗剤C:コロイダルシリカ(平均粒径:80nm)0.2質量%
塗剤D:フッ素系界面活性剤(希釈剤:水)0.4質量%
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に4.0倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度220℃で5秒間の熱処理を行い、フィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0101】
参考例2)
A/Bの2層積層フィルムとした。A層を構成するポリエステルとして、PET−2と粒子Mとを質量比97:3で混合して使用した。B層を構成するポリエステルとしては、PET−2を使用した。その後は、ポリエステル樹脂を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、別々の単軸押出機に窒素雰囲気下で供給、280℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてA層/B層(積層比2:8)となるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。その後、易接着層は塗布しない点以外は参考例1と同様にして、フィルム厚み36μmの易接着層を積層した二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0102】
該フィルムは、突き刺し荷重と突き刺し変位がやや低下した。
【0103】
参考例3)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−2と粒子Mを質量比97:3で混合して使用した。その後は参考例1と同様にして厚み30μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは粒子濃度が高かったため、アルミ追従性が悪化した。
【0104】
参考例4)
A/B/Aの3層フィルムとした。B層を構成するポリエステルとしてPET−2とPET−Gとを質量比95:5で混合して使用した。A層を構成するポリエステルとしてPET−2とPET−Gと粒子Mを94.2:5:0.8(質量比)で混合し使用した。
【0105】
その後は、長手方向の予熱温度を95℃、延伸倍率を4.1倍、幅方向の延伸倍率を4.1倍にした以外は参考例2と同様にして、フィルム厚み15μm(積層比1:8:1)の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0106】
該フィルムは、フィルム厚みが薄いため、突き刺し荷重がやや低下した。
【0107】
参考例5)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1を使用した。その後は参考例1と同様にして厚み35μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは固有粘度が低いため、アルミ追従性、耐電解液性が低下した。
【0108】
【表1】
【0109】
参考例6)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1を使用した。幅方向のリラックスを7%、熱処理温度を250℃とした以外は参考例1と同様にして厚み35μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは固有粘度が低いため、熱収縮率が高く、アルミ追従性、耐電解液性が低下した。
【0110】
参考例7)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−3を使用した。幅方向のリラックスを5%、熱処理温度を225℃とした以外は参考例1と同様にして厚み28μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは固有粘度が高く生産性が悪化した。
【0111】
(実施例8)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−3を使用した。長手方向の延伸倍率を4.1倍延伸、幅方向の延伸倍率を4.2倍、幅方向のリラックスを5%、熱処理温度を230℃とした以外は参考例1と同様にして厚み28μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは電池外装用ポリエステルフィルムとして優れた特性を示していた。
【0112】
(実施例9)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1と粒子Mを質量比98.5:1.5で混合して使用した。長手方向の延伸倍率を4.2倍延伸、幅方向の延伸倍率を4.3倍、幅方向のリラックスを6%、熱処理温度を225℃とした以外は参考例1と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。耐電解液性が低下したものの電池外装用フィルムとして問題ない特性を示した。
【0113】
(実施例10)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1を使用した。長手方向の延伸倍率を4.2倍延伸、幅方向の延伸倍率を4.4倍、幅方向のリラックスを5%、熱処理温度を235℃とした以外は参考例1と同様にして厚み20μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは電池外装用ポリエステルフィルムとして優れた特性を示していた。
【0114】
【表2】
【0115】
(比較例1)
A/B/Aの3層フィルムとした。B層を構成するポリエステルとしてPET−1とPBTとを質量比70:30で混合して使用した。A層を構成するポリエステルとしてPET−1とPBTと粒子Mを質量比69:30:1で混合して使用した。その後は、参考例2と同様にして、フィルム厚み25μm(積層比1:8:1)の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0116】
該フィルムは、突き刺し荷重が低く、アルミ追従性が劣り電池外装用ポリエステルフィルムとして使用に耐えないものであった。
【0117】
(比較例2)
A/B/Aの3層フィルムとした。B層を構成するポリエステルとしてPET−1とPET−Gとを質量比50:50で混合して使用した。A層を構成するポリエステルとしてPET−1とPET−Gと粒子Mを質量比49:50:1で混合して使用した。その後は、参考例4と同様にして、フィルム厚み20μm(積層比1:8:1)の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0118】
該フィルムは、突き刺し変位が小さく、アルミ追従性や耐電解液性が劣り電池外装用ポリエステルフィルムとして使用に耐えないものであった。
【0119】
(比較例3)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1を使用した。その後は、参考例1と同様にして、フィルム厚み20μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは、フィルム固有粘度が低かったため突き刺し荷重や突き刺し変位が低く、アルミ追従性が劣り電池外装用ポリエステルフィルムとして、使用できるものではなかった。
【0120】
(比較例4)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−1と粒子Mを質量比80:20で混合し使用した。
【0121】
その後は、参考例2と同様にして、フィルム厚み15μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは、フィルム内の粒子濃度が高すぎたため突き刺し荷重や突き刺し変位が低く、アルミ追従性が極端に劣り電池外装用ポリエステルフィルムとして、使用できるものではなかった。
【0122】
【表3】
【0123】
(比較例5)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−2を使用した。ポリエステル樹脂を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
【0124】
その後は、長手方向延伸倍率を3.2倍、幅方向の延伸倍率を3.0倍とした以外は参考例1と同様にして、フィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。該フィルムは、原料供給を窒素雰囲気下で行わなかったため、フィルムの固有粘度が低くなり、突き刺し荷重や突き刺し変位が低く、アルミ追従性が極端に劣り電池外装用ポリエステルフィルムとして、使用できるものではなかった。
【0125】
(比較例6)
単層フィルムとした。構成するポリエステルとして、PET−2を使用した。ポリエステル樹脂を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
【0126】
その後は、幅方向延伸後の熱処理温度を185℃とした以外は、比較例5と同様にして、フィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0127】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明はポリエステルフィルムに関し、特に突き刺し強度が高く、また突き刺し変位が大きいため電池外装用、特に電解質(固体、液体)を有するリチウムイオン二次電池に好適に使用できる電池外装用ポリエステルフィルムに関するものである。