特許第5803166号(P5803166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5803166情報処理装置、その制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803166
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】情報処理装置、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20151015BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G06F1/26 335C
   G06F1/30 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-54986(P2011-54986)
(22)【出願日】2011年3月14日
(65)【公開番号】特開2012-190375(P2012-190375A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(72)【発明者】
【氏名】村井 逸朗
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−147804(JP,A)
【文献】 特開平11−282752(JP,A)
【文献】 特開2009−005451(JP,A)
【文献】 特開2000−088680(JP,A)
【文献】 特開平05−046495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
G06F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源の状態が検出可能であり、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理部と、
前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取コントローラと、
を備え
前記ログ採取コントローラが前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取するイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
さらに、パッケージがコネクタに挿抜された際にはパッケージ挿抜検出信号を出力するパッケージ挿抜検出部を含み、
前記ログ採取コントローラは、前記パッケージ挿抜検出信号に基づき、前記パッケージの挿抜を発生イベントとして前記ログの採取をする請求項1の情報処理装置。
【請求項3】
さらに、時刻情報を出力する時刻情報管理部と、前記ログの記憶をする記憶部と、を含むと共に、
前記パッケージ挿抜検出部は、パッケージが挿抜されたコネクタの位置情報を出力すると共に、
前記ログ採取コントローラは、前記時刻情報及び位置情報を含むログを前記記憶部に記憶する請求項2の情報処理装置。
【請求項4】
前記ログ採取コントローラは、前記主電源による電源供給時に発生するイベントと、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントと、を発生順にログとして前記記憶部に記憶する請求項3の情報処理装置。
【請求項5】
前記ログ採取コントローラは、ベースマネージメントコントローラに含まれ、前記ログ採取コントローラは、前記主電源又は前記バッテリ電源のいずれかの電源により動作する請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、不揮発性メモリである請求項3又は4の情報処理装置。
【請求項7】
主電源の状態を検出する工程と、
前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理工程と、
前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取工程と、
を含み、
前記ログ採取工程において前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取されるイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記情報処理装置は、パッケージがコネクタに挿抜された際にはパッケージ挿抜検出信号及びパッケージが挿抜されたコネクタの位置情報を出力するパッケージ挿抜検出部と、
時刻情報を出力する時刻情報管理部と、
前記ログの記憶をする記憶部と、を備え、
前記ログ採取工程は、前記パッケージ挿抜検出信号に基づき、前記パッケージの挿抜を、前記時刻情報及び位置情報を含むログとして前記記憶部に記憶する請求項7の情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記ログ採取工程は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントと、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントと、を発生順にログとして前記記憶部に記憶する請求項8の情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
主電源の状態を検出する処理と、
前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理処理と、
前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取処理と、
を情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ログ採取処理において前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取されるイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その制御方法及びプログラムに関する。特に、作業履歴の記憶が可能な情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上のサーバを初めとした情報処理装置には、使用しているプログラムのバージョンアップやデータのバックアップなどの保守・管理が必要である。信頼性や耐久性の向上を目的として、パッケージ(機能モジュール)を交換する場合もある。このように、情報処理装置における保守・管理の役割は大きい。
【0003】
プログラムのバージョンアップ等の保守・管理は、情報処理装置の主電源がオンしている状態で行なわれ、作業内容はイベントログとして記憶される。情報処理装置の主電源がオンしていれば、情報処理装置のハードウェア資源を使用する際の制限は存在しないため、必要と考えられるイベントログを履歴として残すことに支障はない。
【0004】
しかし、上述のような情報処理装置のパッケージを交換するなどの作業は、主電源がオフした状態で行なわれる場合が多く、イベントログとして記憶されない。
【0005】
ここで、特許文献1において、作業員が実施しようとする操作を予め入力することで、主電源がオフ状態での作業履歴を残す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−004483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0008】
上述のように、情報処理装置における保守・管理において、検査員や保守員が行なった作業履歴は主電源がオン状態でのイベントログによる履歴管理に留まっており、主電源がオフしている期間の作業履歴は履歴に残らない。即ち、情報処理装置の生産工場において出荷検査が終了した時点から、情報処理装置をユーザの拠点に設置し主電源をオンするまでの間の作業について履歴を残すことができない。
【0009】
また、情報処理装置が故障し、パッケージを交換した場合にも、その履歴を残すことができない。
【0010】
さらに、情報処理装置を生産工場から出荷した時点では正常に動作し、出荷検査では異常を発見できない場合であっても、運送中の振動等によりパッケージの嵌合が緩みユーザに納入した時点で動作しないことが考えられる。このような場合であっても、運送中は情報処理装置の主電源はオフであり、運送中にパッケージの嵌合が緩んだという事実は履歴として残らない。そのため、ユーザに納入した時点で情報処理装置が動作しない原因を追求しようと考えても、パッケージ挿抜時におけるコネクタ挿し込み不足等の作業ミスが原因であるのか、運送中におけるパッケージの嵌合に緩みが発生したことが原因であるのか、これらを区別することができない。
【0011】
さらに、パッケージ挿抜時におけるコネクタ挿し込み不足等が存在すれば、ユーザの拠点に情報処理装置を設置した際には、正常動作をしても、一定期間経過後に正常動作しないことも考えられる。
【0012】
このように、主電源がオフしている状態での作業履歴が残らないと、主電源をオンした際に検出されたエラーからでは、エラーの原因を特定できない。原因が特定できなければ、エラー(発生した事象)に対して的確な対策をとることができず、製品の品質向上の妨げになってしまう。
【0013】
また、特許文献1で開示された技術のように、保守・管理を行なう保守員に作業履歴を入力させる方法では必ずしも正確な作業履歴が残っている保証はない。このような人的な作業では、入力ミスや思い違いなどの要素により、間違った作業履歴が残る可能性を排除できないためである。
【0014】
一方、情報処理装置の主電源がオフしている期間は、情報処理装置をバッテリ電源により動作させ、その間の作業履歴を残すことが考えられる。しかし、作業履歴を残すためには、ベースマネージメントコントローラが起動していなければならず、ベースマネージメントコントローラは情報処理装置全体の制御を行なうため消費電力が大きい。さらに、作業履歴を残す対象は広範囲にわたるため、ベースマネージメントコントローラの周辺の構成要素も動作させる必要がある。従って、ベースマネージメントコントローラを常に動作させることで、主電源がオフの期間の作業履歴を残すことは実用的・現実的ではない。
【0015】
以上のとおり、従来技術には、解決すべき問題点が存在する。
【0016】
本発明の一側面において、主電源がオフの状態であっても作業履歴を残す情報処理装置、その制御方法及びプログラムが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の視点によれば、主電源の状態が検出可能であり、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理部と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取コントローラと、を備え、前記ログ採取コントローラが前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取するイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、情報処理装置が提供される。
【0018】
本発明の第2の視点によれば、主電源の状態を検出する工程と、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理工程と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取工程と、を含み、前記ログ採取工程において前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取されるイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、情報処理装置の制御方法が提供される。
【0019】
本発明の第3の視点によれば、主電源の状態を検出する処理と、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理処理と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取処理と、を情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ログ採取処理において前記バッテリ電源による電源供給時にログとして採取されるイベントの種類の数は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントの種類の数よりも少ない、プログラムが提供される。


【発明の効果】
【0020】
本発明の各視点によれば、主電源がオフの状態であっても作業履歴を残す情報処理装置、その制御方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の概要を説明するための図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の内部構成の一例を示す図である。
図3図2に示すログ採取コントローラの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4図2に示す記憶部に格納されたイベントログの一例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
初めに、図1を用いて実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0023】
上述のように、主電源がオフ状態の情報処理装置に対する作業履歴を残す必要性がある。しかし、主電源がオン状態時と同様にベースマネージメントコントローラにより作業履歴を残そうとしても、ベースマネージメントコントローラの消費電力は大きく、バッテリ電源では情報処理装置を長時間動作させることができない。そのため、主電源がオフの状態であっても作業履歴を残す情報処理装置が望まれる。
【0024】
そこで、図1に示す情報処理装置を提供する。図1に示す情報処理装置は、主電源の状態が検出可能であり、主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理部と、バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取コントローラと、を備える。
【0025】
即ち、情報処理装置に発生するイベントのログ採取に特化したログ採取コントローラを使用することで、主電源がオフ状態であってもイベントログの採取を可能とする。ログ採取コントローラは、ログを管理する機能に特化したコントローラであるため、ベースマネージメントコントローラと比較して消費源力が低く、バッテリ電源による電源供給であって長時間動作することができる。
【0026】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の内部構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、ベースマネージメントコントローラ10と、電源管理部20と、主電源30と、バッテリ電源31と、電源切り替えSW32と、パッケージ挿抜検出部40、コネクタ41乃至43と、時刻情報管理部50と、記憶部60と、ログ採取コントローラ70から構成されている。
【0027】
ベースマネージメントコントローラ10は、情報処理装置1全体を制御するプロセッサーである。ベースマネージメントコントローラ10は、主電源30による電源で動作する。
【0028】
電源管理部20は、情報処理装置1に供給されている主電源30がオフ状態に遷移したことを検出する。主電源30のオフ状態の検出には、主電源30が供給する電源を監視し、閾値と比較する方法が考えられる。また、電源管理部20では、情報処理装置1に供給する電源を主電源30とするか、バッテリ電源31とするかを決定するAC_ON信号の出力が可能である。AC_ON信号がHレベルであれば、主電源30により電源供給を行ない、AC_ON信号がLレベルであれば、バッテリ電源31により電源供給を行なう。AC_ON信号は、電源切り替えSW32に出力する。
【0029】
主電源30は、商用のAC電源である。バッテリ電源31は、電池等により構成される電源である。バッテリ電源31に、充電池を採用した場合には、主電源31によって情報処理装置を運用している間に充電することが可能である。情報処理装置1に供給する電源は、電源切り替えSW32により切り替わる。
【0030】
パッケージ挿抜検出部40は、情報処理装置1が備えるコネクタ41乃至43に対する、パッケージの挿抜を検出する。パッケージの挿抜の検出には、機構的なスイッチを用いて電気的な信号に変換することが考えられる。
【0031】
パッケージ挿抜検出部40において、パッケージの挿抜を検出した場合には、ログ採取コントローラに対してPKG挿抜検出信号を送信する。パッケージ挿抜検出部40は、コネクタ41乃至43が個別にパッケージの挿抜を検出することができる場合いは、パッケージが挿抜されたコネクタの情報も取得できる。なお、本実施形態では、コネクタの数を3として説明するが、これに限定されるものではない。
【0032】
時刻情報管理部50では、RTC(Real Time Clock)等のように、主電源の状態に関わらず時刻を計時する。
【0033】
記憶部60は、NvRAM(Non Volatile Random Access Memory)やFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性メモリで構成され、主電源の状態に関わらず書き込んだ情報の記憶が可能である。
【0034】
ログ採取コントローラ70は、パッケージ挿抜検出部40からPKG挿抜検出信号に基づいてログ採取を開始する。その際に、時刻情報管理部50からイベント(パッケージの挿抜)が発生した際の時刻情報(タイムスタンプ)を取得すると共に、パッケージが挿抜されたコネクタの情報(位置情報)をパッケージ挿抜検出部40から取得する。ログ採取コントローラ70は、これらの時刻情報及び位置情報を記憶部60に格納する。ログ採取コントローラ70は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などのデバイスで実現が可能である。
【0035】
なお、情報処理装置1の主電源がオン状態であれば、ベースマネージメントコントローラ10が、ログ採取コントローラ70に指示してイベントログの取得及び格納を行なう。主電源がオフ状態であれば、ログ採取コントローラ70が単独で作業履歴の取得及び格納を行なう。
【0036】
次に、ログ採取コントローラ70の動作について説明する。図3は、ログ採取コントローラ70の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0037】
時刻t1において、情報処理装置1のメインスイッチがオフされる等によって、電源管理部20からAC_ON信号がLレベルに設定される。その結果、バッテリ電源31により電源供給が行なわれる。
【0038】
AC_ON信号がLレベルの状態(バッテリ電源31が電源供給)で、パッケージ挿抜検出部40がパッケージの挿抜を検出すると、PKG挿抜検出信号がログ採取コントローラ70に出力される(時刻t2)。
【0039】
PKG挿抜検出信号を受け付けたログ採取コントローラ70では、時刻情報管理部50から時刻情報の読み出しを行なう。例えば、時刻情報管理部50とI2Cインターフェイスにより通信が可能な場合には、ログ採取コントローラ70は、RTC_SCL信号及びRTC_SDA信号を使って時刻情報管理部50に対してOPEN処理(図3の時刻t2及びt3の間)を行なった後、時刻情報管理部50のアドレスに対して時刻情報の読み出し要求を行なう(時刻t3)。
【0040】
その後、ログ採取コントローラ70が時刻情報管理部50から返信されたデータを受け取ると、CLOSE処理を行なうことで、時刻情報管理部50からの時刻情報読み出し処理が終了する(時刻t4)
【0041】
続いて、ログ採取コントローラ70では、位置情報と時刻情報を記憶部60に格納する。例えば、記憶部60がNvRAMにより構成されている場合、ログ採取コントローラ70は、NvRAM_CS信号及びNvRAM_SI信号を使用して、時刻情報及び位置情報を記憶部60に対して書き込みを行なう(時刻t5)。なお、記憶部60に書き込んだデータの読み出しも可能である。記憶部60がNvRAMで構成されている場合、ログ採取コントローラ70は、NvRAM_CS信号、NvRAM_SI信号及びNvRAM_SO信号を使用することで、時刻情報と位置情報を読み出すことができる(時刻t6)。
【0042】
図4は、記憶部60に格納されたイベントログの一例を示す図である。イベントログは、イベント番号を用いて時系列に管理される。
【0043】
図4からは、イベント番号0001でマネージメントカードNO1の実装、イベント番号0002でPCIe(PCI express)カードNO1の実装、イベント番号0003でPCIeカードNO2の実装、イベント番号0004からイベント番号0006がメモリモジュールカード(PMMカード)NO1の挿抜が、繰り返し行なわれたことがわかる。
【0044】
このように、記憶部60のイベントログには、発生したイベントが時間情報と共に正確に記憶されている。なお、図4では主電源30がオフ状態でのイベントログの一例を示したが、主電源30がオン状態の作業履歴も記憶部60に記憶してもよい。その場合には、主電源の状態に関わらず、情報処理装置1のイベントが時系列で記憶されることになる。
【0045】
以上のように、イベントログの採取をベースマネージメントコントローラ10から独立させ、ログ採取コントローラ70を用いて主電源30の状態に関わらずイベントログの採取を行なう。その結果、主電源がオンの状態だけではなく、オフの状態であっても、検査員が出荷まで実施した検査履歴や保守員がユーザの拠点で行なった保守・管理及びパッケージの増設等の作業履歴を自動的に残せる。従って、検査員や保守員の記憶やメモに頼った情報ではなく正確な作業履歴をログとして残すことが可能になる。
【0046】
また、情報処理装置1の運送中に振動等によるパッケージの緩みを自動的に検出してイベントログとして残せるので、輸送状態の把握も可能である。さらに、検査時、輸送時及び保守時に、万が一、不具合が発生した場合であっても、主電源30がオフ状態の期間中のイベントログから原因の特定が容易になり(解析性の向上)、検査手順、輸送状態及び保守手順の改善に役立てることができる。
【0047】
なお、主電源30がオフの状態で行なわれる保守・管理作業は、パッケージの挿抜が主な作業である。従って、取り付けたパッケージの初期化や取り外すパッケージに対して定められた手順を行なうといった複雑な作業は必要なく、作業員がどのようなパッケージをいつ挿抜したかという情報が重要であり、十分である。従って、本実施形態に係る情報処理装置では、このような情報(イベントログ)を取得するために特化したログ採取コントローラを用意し、バッテリ電源31による作業履歴の取得を実現している。
【0048】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る情報処理装置2の内部構成の一例を示す図である。図5において図2と同一構成要素には、同一の符号を表し、その説明を省略する。
【0049】
図2に示す情報処理装置1と図5に示す情報処理装置2との相違点は、ベースマネージメントコントローラ10aの内部でログ採取コントローラ70相当の機能を実現する点である。
【0050】
ベースマネージメントコントローラ10aは、コネクタ41乃至43におけるパッケージの挿抜をパッケージ挿抜検出部40を介して検出し、パッケージの挿抜を時刻情報及び位置情報と共に、記憶部60に記憶する機能を有している。
【0051】
本実施形態に係る情報処理装置2では、ベースマネージメントコントローラ10aが備える本機能(イベント採取機能)を主電源30の状態に関わらず動作可能とする。具体的には、ベースマネージメントコントローラ10aの作業履歴を管理する機能部を主電源30でもバッテリ電源31でも動作可能とする。即ち、ベースマネージメントコントローラ10aは、第1の実施形態において説明したログ採取コントローラ70に相当する機能を有するログ採取コントローラ100を含んでいる。
【0052】
ベースマネージメントコントローラ10aでは、主電源30がオン状態ではログ採取コントローラ100を主電源30により動作させ、主電源30がオフ状態ではログ採取コントローラ100をバッテリ電源31により動作させる。従って、主電源30がオン状態であれば、バッテリ電源31の充電を行なうと共に、ベースマネージメントコントローラ10a全体に電源を供給し、主電源30がオフ状態であれば、電源管理部20から電源供給源をバッテリ電源31に切り替え、ベースマネージメントコントローラ10a内部のログ採取コントローラ100に限り電源供給を行なう。
【0053】
以上のように、ベースマネージメントコントローラ10aの供給電源を作業履歴管理部(ログ採取コントローラ)とそれ以外の部分に個別に分配することで、新規なデバイスを用いることなく、主電源31がオフ状態であってもイベントログの履歴を自動的に残すことが可能になる。
【0054】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0055】
(付記1)主電源の状態が検出可能であり、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理部と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取コントローラと、を備える情報処理装置。
【0056】
(付記2)さらに、パッケージがコネクタに挿抜された際にはパッケージ挿抜検出信号を出力するパッケージ挿抜検出部を含み、前記ログ採取コントローラは、前記パッケージ挿抜検出信号に基づき、前記パッケージの挿抜を発生イベントとして前記ログの採取をする情報処理装置。
【0057】
(付記3)さらに、時刻情報を出力する時刻情報管理部と、前記ログの記憶をする記憶部と、を含むと共に、前記パッケージ挿抜検出部は、パッケージが挿抜されたコネクタの位置情報を出力すると共に、前記ログ採取コントローラは、前記時刻情報及び位置情報を含むログを前記記憶部に記憶する情報処理装置。
【0058】
(付記4)前記ログ採取コントローラは、前記主電源による電源供給時に発生するイベントと、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントと、を発生順にログとして前記記憶部に記憶する情報処理装置。
【0059】
(付記5)前記ログ採取コントローラは、ベースマネージメントコントローラに含まれ、前記ログ採取コントローラは、前記主電源又は前記バッテリ電源のいずれかの電源により動作する情報処理装置。
【0060】
(付記6)前記記憶部は、不揮発性メモリである情報処理装置。
【0061】
(付記7)主電源の状態を検出する工程と、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理工程と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取工程と、を含む情報処理装置の制御方法。
【0062】
(付記8)前記情報処理装置は、パッケージがコネクタに挿抜された際にはパッケージ挿抜検出信号及びパッケージが挿抜されたコネクタの位置情報を出力するパッケージ挿抜検出部と、時刻情報を出力する時刻情報管理部と、前記ログの記憶をする記憶部と、を備え、前記ログ採取工程は、前記パッケージ挿抜検出信号に基づき、前記パッケージの挿抜を、前記時刻情報及び位置情報を含むログとして前記記憶部に記憶する情報処理装置の制御方法。
【0063】
(付記9)前記ログ採取工程は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントと、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントと、を発生順にログとして前記記憶部に記憶する情報処理装置の制御方法。
【0064】
(付記10)主電源の状態を検出する処理と、前記主電源がオフ状態の場合には、バッテリ電源による電源供給に切り替える電源管理処理と、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントのログを採取するログ採取処理と、を情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるプログラム。
【0065】
(付記11)前記情報処理装置は、パッケージがコネクタに挿抜された際にはパッケージ挿抜検出信号及びパッケージが挿抜されたコネクタの位置情報を出力するパッケージ挿抜検出部と、時刻情報を出力する時刻情報管理部と、前記ログの記憶をする記憶部と、を備え、前記ログ採取処理は、前記パッケージ挿抜検出信号に基づき、前記パッケージの挿抜を、前記時刻情報及び位置情報を含むログとして前記記憶部に記憶するプログラム。
【0066】
(付記12)前記ログ採取処理は、前記主電源による電源供給時に発生するイベントと、前記バッテリ電源による電源供給時に発生するイベントと、を発生順にログとして前記記憶部に記憶するプログラム。
【0067】
なお、上記の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。例えば、第1及び第2の実施形態における説明では、作業履歴の管理対象をパッケージの挿抜としているが、キーボード、マウス、外付けDVD(Digital Versatile Disk)、HDD(Hard Disk Drive)などのUSB(Universal Serial Bus)デバイスや、内蔵HDDの挿抜を対象としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、2 情報処理装置
10、10a ベースマネージメントコントローラ
20 電源管理部
30 主電源
31 バッテリ電源
32 電源切り替えSW
40 パッケージ挿抜検出部
41〜43 コネクタ
50 時刻情報管理部
60 記憶部
70、100 ログ採取コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5