(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ロック部によるロックの解除が要求される場合、前記切替部をオフにして、前記電力供給線を介した前記機器への電力の供給を停止し、前記リーダライタ部により前記機器に前記供給した電力の課金情報を書き込めたとき、前記ロック部によりロックを解除するように制御する
請求項2に記載の電力供給装置。
前記リーダライタ部は、前記電力供給線を介して供給される高周波信号により、前記機器に接続されたアンテナを介して、非接触で負荷変調により記憶媒体に記憶された機器IDを読み取る、または、前記記憶媒体に情報を書き込む
請求項2乃至4のいずれかに記載の電力供給装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行なう。
1.第1の実施の形態(事前に電力料金を課金する電力供給システム)
2.第2の実施の形態(事後に電力料金を課金する電力供給システム)
3.第1の変形例(非接触IDカードを用いた電力供給システム)
4.第2の変形例(プラグアダプタを用いた電力供給システム)
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[電力供給システム]
図1は、本技術である電力供給装置を適用した電力供給システムのハードウェアの第1の実施の形態の構成例を示している。
図1の画像供給システムは、電力供給装置としての充電器11、および電子機器としての電気自動車12より構成されている。
【0023】
この電力供給システムにおける充電器11は、例えば、マンションなどに設けられており、マンションの住人が住人にのみが所持する住人証を利用して所有する電気自動車12を登録し、登録した電気自動車にのみ電力を供給してバッテリを充電させるものである。
【0024】
充電器11は、制御部31、通信部32、入力部33、リーダライタ34、ハイパスフィルタ35、ローパスフィルタ36、切替スイッチ37、電力メータ38、表示部39、およびコンセント40を備えている。
【0025】
制御部31は、マイクロコンピュータなどから構成されており、充電器11の動作の全体を制御する。制御部31は、登録部31a、認証部31b、および課金部31cを備えている。登録部31aは、例えば、入力部33に入力されるバーコードやQR(Quick Response)コードなどからなるマンションの住人証と、リーダライタ34により読み出される電気自動車12を識別する自動車ID(Identification)とを対応付けて、ハードディスクなどからなる外部記憶装置13、またはネットワークに接続されたサーバコンピュータからなる認証サーバ15等に登録することで、マンションの住人により所有される電気自動車12を登録する。認証部31bは、リーダライタ34により読み出される電気自動車12を識別する自動車IDを、登録部31aにより外部記憶装置13、または認証サーバ15に登録された自動車IDと照合することにより認証処理を実行する。課金部31cは、カードリーダなどからなる入力部33により入力されるクレジットカード情報、若しくはプリペイドカード情報、または、紙幣や硬貨の投入を受け付ける入力部33からの入金情報などに基づいて、通信部32を制御して課金サーバ14に対して課金処理を実行する。
【0026】
通信部32は、イーサネットカードなどからなりネットワークを介して接続されている外部記憶装置13、課金サーバ14、および認証サーバ15と通信し、各種のデータ、またはプログラム等を授受する。
【0027】
入力部33は、住人証が、上述したようにバーコードやQRコードから構成される場合、コードリーダとして情報を読み出し、制御部31に供給する。また、入力部33は、磁気式カードなどからなるクレジットカードやプリペイドカードなどの情報の入力を受け付けて制御部31に供給する。さらに、入力部33は、例えば、紙幣や硬貨などを受け付けることにより、紙幣や硬貨の真偽を判定すると共に金額を読み取り、制御部31に供給する。尚、入力部33は、各種の証明書、現金、またはクレジットカードなどを受け付けられればよいものであるので、例えば、後述するリーダライタ34のような構成とし、高周波信号を用いた負荷変調によりICカードなどに記憶されている課金情報を読み出したり、書き込むことができるようにしてもよい。
【0028】
リーダライタ34は、制御部31により制御され、制御部31より電気自動車12のID回路54に記録されている情報の読み出し、または書き込みが指示されると、ID回路54に対して、例えば、13.56MHz(または、2.4GHz)の高周波信号からなる読み出し、また書き込みの指示信号を発生する。この指示信号は、ハイパスフィルタ35を介して高周波信号として電力供給線40aに重畳されて電気自動車12に対して送信される。さらに、この指示信号は、電力供給線40aを介してコンセント40に接続されているプラグ55から電力供給線55aを介して電気自動車12に供給される。電気自動車12においては、電力供給線55aを介して、ハイパスフィルタ53が、この指示信号をID回路54に供給する。ID回路54は、この高周波信号を用いて負荷変調により、情報の読み出し、または、書き込みを行う。このID回路54は、例えば、Felica(登録商標)、MIFARE(登録商標)、または、RFID(登録商標)などのICチップなどから構成される。そして、ID回路54は、この高周波信号からなる指示信号に基づいて、動作電力の供給を受けると共に、自らに記憶している自動車IDを読み出したり、または、書き込みが指示された情報を書き込んで記憶する。尚、この場合、電気自動車12においては、高周波信号からなる指示信号は、ローパスフィルタ51によりバッテリ52側へは通過することがない。すなわち、この場合、ローパスフィルタ51は、ブロッキングフィルタとして機能する。
【0029】
電力メータ38は、例えば、50Hzまたは60Hzで、かつ、100Vなどの交流電源である商用電源16より供給されてくる電力の電力量を測定し、測定した電力量の情報を制御部31に供給する。切替スイッチ37は、制御部31により制御され、オンとなるように制御されると、電力メータ38を介して商用電源16より供給される電力を、ローパスフィルタ36を介して電力供給線40aに重畳して出力する。電力供給線40aに供給される電力は、コンセント40を介して、コンセント40に接続されているプラグ55より電気自動車12に供給される。電気自動車12においては、ローパスフィルタ51が、電力供給線55aより供給されてくる電力をバッテリ52に供給して、電気自動車12の動力源となる電力を充電させる。尚、バッテリ52は、蓄電するバッテリ本体と、そのバッテリ本体を充電するための、交流電源を直流電源に変換するインバータや残電圧から充電状態を感知して、充電に必要とされる電力量を制御する構成を含むものとする。したがって、バッテリ52は、電力の供給を受けるとき、充電しつつも、バッテリ本体の充電状態を管理しており、満充電になると、電力供給を停止させる機能を持っている。
【0030】
表示部39は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electronic Luminescent)からなり、各種の情報を表示すると共に、タッチパネルを構成しており、各種の操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報に対応する操作信号を発生して制御部31に供給する。
【0031】
[コンセントおよびプラグの詳細な構成]
次に、
図2を参照して、コンセント40およびプラグ55の詳細な構成について説明する。
【0032】
プラグ55は、2の凸部55bを、その先端部に備えており、その凸部55bに対応してコンセント40には、2の凹部40bが設けられており、プラグ55の凸部55bがコンセント40の凹部40bに挿入されることで両者は電気的および物理的に接続される。また、電力供給線55aおよび40aは、
図2で示されるように、いずれも2線であり、商用電源16の交流電源を流通させる。
【0033】
[
図2の充電器11による電力供給処理]
次に、
図3のフローチャートを参照して、
図2の充電器11による電気自動車12への電力供給処理について説明する。
【0034】
ステップS1において、制御部31は、リーダライタ34を制御して、コンセント40にプラグ55を介して電気自動車12が接続されたか否かを確認するために、電気自動車12との間で通信処理を実行することで、電気自動車12と通信し、その電気自動車12の自動車IDを読み出す。
【0035】
[通信処理]
ここで、
図4のフローチャートを参照して、充電器11および電気自動車12の通信処理の詳細について説明する。
【0036】
ステップS41において、充電器11の制御部31は、リーダライタ34を制御して、電気自動車12と通信の必要が生じて、通信に必要な通信信号が発生しているか否かを判定し、発生するまで、同様の処理を繰り返す。すなわち、ステップS41において、例えば、
図3のフローチャートにおけるステップS1の処理のように、電気自動車12の自動車IDの読み出しを指令するような場合、通信信号があるとみなされ、処理は、ステップS42に進む。
【0037】
ステップS42において、制御部31は、リーダライタ34を制御して、高周波信号からなる自動車IDの読出信号、または、自動車IDに対応付けて記録すべき情報の書き込みを指示する書込信号を発生し、ハイパスフィルタ35に供給する。
【0038】
ステップS43において、ハイパスフィルタ35は、リーダライタ34により発生された高周波信号を電力供給線40aに重畳して出力する。高周波信号は、読出信号、または書込信号であると共に、ID回路54の駆動用電源となるものであり、この処理により、電力供給線40aに重畳されてコンセント40に出力される。
【0039】
一方、電気自動車12においては、ステップS61において、ハイパスフィルタ53は、プラグ55を介して電力供給線55aを介して供給されてくる高周波信号を透過させて、ID回路54に供給する。ID回路54は、供給されてきた高周波信号に基づいて、負荷変調により電力が発生したか否かを判定する。すなわち、リーダライタ34より発生される高周波信号は、先頭から所定時間分については、ID回路54の駆動用の電力を発生させるための信号を含んでおり、その後、読出信号、または書込信号といったコマンドとなる信号が引き続き発生する構成となっている。現実には、電力が発生したか否かを判定しているのではなく、電力が発生することにより動作が開始される。ID回路54は、高周波信号の先頭部分で電力を発生させると、発生した電力を蓄電し、引き続き供給される読出信号、または書込信号といったコマンドに対応して、蓄電した電力で自らに内蔵される記憶部に記憶されている情報を読み出して出力したり、または、記憶部に所定の情報を書き込む。
【0040】
ステップS61において、例えば、コンセント40にプラグ55が接続されている場合、ステップS43の処理によりハイパスフィルタ53を介して供給されてくる高周波信号により電力が発生することになるので、処理は、ステップS62に進む。
【0041】
ステップS62において、ID回路54は、高周波信号に伴って供給されてくる読出信号、または書込信号を取得する。
【0042】
ステップS63において、ID回路54は、蓄電した電力で取得した読出信号、または書込信号に対応して情報を記憶部から読み出す、または書き込む。尚、
図3のステップS1の処理に対しては、ID回路54に記憶されている自動車IDを読み出す。
【0043】
ステップS64において、ID回路54は、書込信号の場合、書き込みが完了したことを示す応答信号を生成し、読出信号の場合、読み出した情報を応答信号として、今の場合、自動車IDを応答信号として生成し、高周波信号からなる信号として発生する。そして、ID回路54は、生成した高周波信号からなる応答信号を、ハイパスフィルタ53より電力供給線55aに重畳し、プラグ55、コンセント40、および電力供給線40aを介して充電器11に送信する。
【0044】
ステップS44において、充電器11のリーダライタ34は、ハイパスフィルタ35を介して電力供給線40aより供給されてくる応答信号を受信する。
【0045】
ステップS45において、リーダライタ34は、受信した応答信号を制御部31に供給する。制御部31は、これにより電子機器である電気自動車12より応答信号を取得する。すなわち、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続される場合、制御部31は、電気自動車12の自動車IDを応答信号として取得する。一方、電気自動車12のプラグ55がコンセント40に接続されていない場合、充電器11のリーダライタ34は、電力供給線40a上には、ID回路54により発生される高周波信号が重畳されないことになるため、応答信号として受信される情報は空の情報となる。このため、この場合、制御部31は、空の応答信号を受信することになるため、自動車IDを取得することができない。
【0046】
また、ID回路54は、負荷変調により得られる電力で動作するため、ID回路54そのものは、電気自動車12が起動していない状態でも、あるいは電気自動車12のバッテリ残量がゼロであっても、必要なタイミングで動作することができる。このため、例えば、充電に際して、電気自動車12が動作キー(例えば、ガソリン車におけるイグニッションキー)により起動していない状態であっても、充電器11とID回路54との通信は可能となる。尚、以降においては、通信処理における動作については、その説明は省略するものとする。
【0047】
ここで、
図3のフローチャートの説明に戻る。
【0048】
ステップS2において、制御部31は、リーダライタ34より自動車IDを取得することができたか否かを判定する。すなわち、上述したように、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続されていなければ、自動車IDを読み出すことができない。したがって、ステップS2において、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続されていない場合、処理は、ステップS1に戻る。すなわち、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続されるまで、ステップS1,S2の処理が繰り返される。尚、この処理は、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続されているか否かを確認するための処理であるので、ポーリング処理のように、所定の時間間隔で繰り返し成されるような処理とするようにしてもよい。
【0049】
そして、ステップS2において、電気自動車12のプラグ55が充電器11のコンセント40に接続され、自動車IDが読み出せる場合、処理は、ステップS3に進む。
【0050】
ステップS3において、制御部31は、認証部31bを制御して、取得した自動車IDが登録された自動車IDであるか否かを判定させる。すなわち、この処理により、認証部31bは、取得した自動車IDと、外部記憶装置13、または認証サーバ15に登録されている自動車IDとを照合して、登録された自動車IDであるか否かを認証する。ステップS3において、例えば、この電気自動車12の自動車IDが未登録である場合、処理は、ステップS4に進む。
【0051】
ステップS4において、制御部31は、表示部39を制御して、自動車IDが未登録であり、電力を販売できない旨を表示すると共に、自動車IDの登録を促す画像を表示させる。
【0052】
ステップS5において、制御部31は、タッチパネルからなる表示部39が操作されて、自動車IDの登録が要求されたか否かを判定する。ステップS5において、例えば、表示部39が操作されて、自動車IDの登録が要求された場合、処理は、ステップS6に進む。
【0053】
ステップS6において、制御部31は、登録部31aを制御して、自動車IDの登録処理を実行させる。これにより登録部31aは、表示部39を制御して、今現在読み出されている自動車IDの電気自動車12の所有者がマンションの住人であることを示す住人証を入力部33に対して提示するように要求する画像を表示する。
【0054】
ステップS7において、登録部31aは、入力部33により読み取られた住人証が正規のものであって、電気自動車12の所有者がマンションの住人であり、登録が可能であるか否かを判定する。ステップS7において、例えば、住人証が正規のものではなかった、または、住人証は正規のものであったが期限が切れていたりするような場合、自動車IDの登録が不能であるものとみなし、処理は、ステップS8に進む。
【0055】
ステップS8において、登録部31aは、自動車IDの登録が不能であると判定された回数が、所定回数以内であるか否かを判定し、所定回数以内である場合、処理は、ステップS6に戻る。すなわち、住人証の提示により自動車IDの登録が不能であるとみなされた回数が所定回数以内である場合、ステップS6乃至S8の処理が繰り返される。そして、ステップS7において、住人証が正規であり、自動車IDの登録が可能である場合、処理は、ステップS9に進む。
【0056】
ステップS9において、登録部31aは、通信部32を制御して、提示された住人証と対応付けて、リーダライタ34により読み出された電気自動車12の自動車IDとを対応付けて、外部記憶装置13、または認証サーバ15に登録する。
【0057】
一方、ステップS3において、自動車IDが登録済みであると判定された場合、ステップS4乃至S9の処理がスキップされる。すなわち、自動車IDは一旦登録されると、以降においては登録処理が不要となる。
【0058】
ステップS10において、制御部31は、課金部31cを制御して、電力供給するに当たり、必要な課金処理を実行させる。これに応じて、課金部31cは、表示部9を制御して、供給する電力量に対応する料金に相当する現金、または電子マネーなどを入力部33に提示するように要求する画像を表示する。電力量に対応する料金の支払いは、入力部33に現金をいれる、電子マネーがチャージされたカードを入力部33にかざす、自動車IDとともに電気自動車12にチャージされた電子マネーを電力供給線経由でリーダライタ34によって読み書きして課金処理をおこなう、入力部33に現金を入れてリーダライタ34によって電力供給線経由でデータを読み書きして電気自動車12に電子マネーをチャージした後に電気自動車12にチャージされた電子マネーを電力供給線経由でリーダライタ34によって読み書きして課金処理をおこなう、電力の使用履歴を外部記憶装置に保存し月毎にまとめて利用者(自動車IDに関連付けられた住人)に請求する、といった方法から選択できるようにしても良い。尚、充電に際して、充電するべき電力量は、指定された電力量だけ充電する、所定金額だけ充電する、所定時間だけ充電する、または満充電にするといった項目を提示して選択できるようにしてもよい。
【0059】
ステップS11において、課金部31cは、電力量に対応した課金が完了したか否かを判定する。すなわち、課金部31cは、供給する電力量に対応する金額が現金で、チャージ金額で、または電子マネーにより徴収し、課金処理そのものが完了したか否かを判定する。ステップS11において、例えば、課金が完了していると判定された場合、処理は、ステップS12に進む。
【0060】
ステップS12において、制御部31は、切替スイッチ37をオンにする。これにより、充電器11により充電処理が開始されて、充電器11から電気自動車12への電力供給が開始される。
【0061】
[充電処理]
ここで、
図5のフローチャートを参照して、充電器11および電気自動車12による充電処理の詳細について説明する。
【0062】
ステップS71において、制御部31は、充電要求があるか否かを判定し、充電要求があるまで、同様の処理を繰り返す。ステップS71において、例えば、
図3のフローチャートにおけるステップS11の処理で課金処理が完了したことにより、充電要求が発生した場合、処理は、ステップS72に進む。
【0063】
ステップS72において、制御部31は、切替スイッチ37をオンの状態にして商用電源16より供給される電力をローパスフィルタ36を介して、電力供給線40aに重畳して出力する。これにより、商用電源16からの電力は、電力供給線40a、コンセント40、プラグ55、および電力供給線55aに供給される。
【0064】
ステップS91において、ローパスフィルタ51を介して電力が供給されてきたか否かが判定される。ステップS91において、例えば、ステップS72の処理により電力が供給されてくると、ステップS92において、ローパスフィルタ51は、電力をバッテリ52へと通電させ、バッテリ52が充電を開始する。すなわち、電力供給線55aに電力が供給されてくる限り、ステップS91,S92の処理が繰り返されて、電力供給を受けてバッテリ52は、充電が繰り返される。
【0065】
そして、ステップS73において、充電器11の制御部31は、課金部31cは充電が終了であるか否かを判定し、終了すると判定されるまで、ステップS73の処理が繰り返される。そして、充電終了であると判定された場合、処理は、ステップS74に進む。充電終了は、例えば、後述するステップS14において、第3者により課金処理がなされた電気自動車12とは異なる自動車IDのプラグ55が接続されたとみなされた場合である。あるいは、ステップS16において、課金を確認した電力量に達した場合、または、ステップS17において、満充電であるとみなされたりした場合である。
【0066】
ステップS74において、制御部31は、切替スイッチ37をオフに制御し、処理は、ステップS71に戻る。すなわち、この処理により、商用電源16からの電力供給が停止されることになるので、充電が終了する。以上の処理により、商用電源16からの電力を充電器11から電力供給線40a、コンセント40、プラグ55、および電力供給線55aを介して電気自動車12のバッテリ52に供給して充電させることが可能となる。
【0067】
ここで、
図3のフローチャートの説明に戻る。
【0068】
ステップS13において、制御部31は、リーダライタ34を制御して、電気自動車12のID回路54に自動車IDの読出信号を送信して、自動車IDを読み出す。
【0069】
ステップS14において、制御部31は、リーダライタ34を制御して、課金が完了し、充電させるべき電気自動車12の自動車IDが読み出せたか否かを判定する。すなわち、この間に別の電気自動車12のプラグ55に接続が切り替えられると、不正に充電がなされてしまうので、その監視をすると共に、プラグ55が確実にコンセント40に接続されているか否かを監視している。
【0070】
ステップS14において、課金した電気自動車の自動車IDであるとみなされた場合、処理は、ステップS15に進む。
【0071】
ステップS15において、制御部31は、電力メータ38を制御して、商用電源16から供給されている電力の積算値となる電力量を計測する。
【0072】
ステップS16において、制御部31は、電力メータ38により読み出された電力量が、課金部31cにより課金処理された金額内の電力量であるか否かを判定する。ステップS16において、例えば、課金処理された金額内の電力量である場合、処理は、ステップS17に進む。
【0073】
ステップS17において、制御部31は、電力メータ38により読み出された電力量に変化がなくなり、バッテリ52が満充電になったか否かを判定する。すなわち、バッテリ52は、バッテリ本体の充電状態を監視し、電力供給を受けていても、満充電になると充電を停止させる。したがって、電力メータ38により読み出される電力量に変化がなくなった場合、満充電になって充電が停止されているものとみなされる。ステップS17において、例えば、満充電ではないと判定された場合、処理は、ステップS13に戻る。すなわち、ステップS12により切替スイッチ37がオンにされて、充電が開始されると、プラグ55がコンセント40より抜かれたり、別のプラグ55が接続されたりしない限り、課金済みの電力量となるまで、または満充電となるまでは、ステップS13乃至S17の処理が繰り返されて、充電が継続される。
【0074】
ステップS14において、課金処理がなされた自動車IDではないとみなされた場合、ステップS16において、課金処理が済んでいる電力量の電力供給が完了したとみなされた場合、または、ステップS17において、満充電であるとみなされた場合、処理は、ステップS18に進む。
【0075】
ステップS18において、制御部31は、切替スイッチ37をオフにして、商用電源16から電気自動車12への電力供給を終了させる。
【0076】
ステップS19において、制御部31は、課金済みの電力量と供給した電力量とが一致するか否かを判定する。すなわち、ステップS14において、課金処理がなされた自動車IDではないとみなされた場合、またはステップS17において、課金処理が済んでいる電力量の電力供給される前に、満充電になったしまったものとみなされた場合、処理は、ステップS20に進む。
【0077】
ステップS20において、制御部31は、課金部31cを制御して、課金処理された電力量と実際に電力供給された電力量との差分から過剰に課金されている金額を算出させる。
【0078】
ステップS21において、制御部31は、課金部31cを制御して、過剰に課金されている金額を返金するように課金処理させる。課金部31cは、通信部32を制御して、課金サーバ14にアクセスし、過剰に課金された金額を返金するように課金処理する。すなわち、ステップS14において、課金処理がなされた自動車IDではないとみなされた場合、またはステップS17において、課金処理が済んでいる電力量の電力供給が完了する前に満充電になってしまった場合、課金処理された電力量に満たない状態で、電力供給が停止されることにより過剰に課金された状態となるので、その分を返金させるように課金処理させる。尚、ここでは、過剰分を返金するように課金処理するようにする例について説明してきたが、過剰分を次回の充電時に流用できるようにしてもよい。また、課金処理ではなく、プリペイドカードなどでプリペイド精算する際には、プリペイドポイントを過剰に徴収した分だけ戻すようにしてもよい。
【0079】
一方、ステップS16において、課金を確認した電力量と供給した電力量とが一致したとみなされた場合、すなわち、ステップS16において、課金処理が済んでいる電力量の電力供給が完了したとみなされた場合、ステップS20,S21の処理はスキップされる。
【0080】
ステップS22において、制御部31は、表示部39を制御して、課金結果と、充電が完了したことを表示させる。
【0081】
ステップS23において、制御部31は、リーダライタ34を制御して、自動車IDを読み出させる。
【0082】
ステップS24において、制御部31は、読み出された自動車IDが課金処理された自動車IDであるか否かを判定し、読み出された自動車IDが課金処理された自動車IDである場合、処理は、ステップS22に戻る。すなわち、課金処理された自動車IDである場合、既に充電が完了した状態であるので、その電気自動車12の所有者がプラグ55をコンセント40から抜くまで、課金結果と充電が完了したことを表示部39に表示させ続ける。
【0083】
そして、ステップS24において、読み出された自動車IDが課金処理された自動車IDではない場合、または、自動車IDが読み出せない状態である場合、処理は、ステップS1に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0084】
また、ステップS5において、自動車IDの登録が要求されない場合、ステップS8において、所定回数以上、提示された自動車IDの登録が不能であった場合、または、ステップS11において、自動車IDに対応付けて課金処理が成されなかった場合、処理は、ステップS25に進む。
【0085】
ステップS25において、制御部31は、表示部39を制御して、課金処理が不能につき、電力供給不可を表示させる。
【0086】
以上の処理により、マンションの住人などの予め住人証などを提示することができる使用者の所有する電気自動車12の自動車IDのみしか登録することができないので、マンションの住人以外の人物が使用する電気自動車12へのバッテリ52の充電を不能にすることが可能となる。また、自動車IDを登録することにより、利用するたびに住人証を提示しなくても充電器11を使用することができるので利便性が増す。住人証、すなわち電気自動車12の所有者の情報(連絡先)と自動車IDが関連付けられて登録されることにより、電気自動車の充電状況(充電が完了したかどうか、残り充電時間、充電完了予想時刻、供給された電力量、課金料金)をメール等で所有者に通知することができる。あるいは電気自動車の充電状況を特定のWebサイトにアップロードし、住人証で認証された人のみ閲覧可能にすることもできる。さらに、マンションの住人契約の解約等により所有者が電力供給を受ける権利を喪失した場合、その所有者に関連付けられた自動車IDを充電器11の登録データから削除する。そうすることで、電力供給を受ける権利を失った後にも引き続き電気自動車12へのバッテリ52の充電をすることを防ぐことができる。また、ここでは、マンションに充電器11を設置する例について説明してきたが、マンションのみならず、限られた使用者にのみで充電器11を利用したいような場合には、住人証に代わるIDなどを発行することで、例えば、所定の会員登録された使用者のみに制限して、充電器11を利用できるようにさせることが可能となる。
【0087】
また、一旦、住人証の提示に伴って登録された自動車IDの電気自動車12は、以降においては、プラグ55をコンセント40に接続し、課金処理ができれば、充電をすることが可能となる。したがって、例えば、自動車IDを登録する際に、課金方法としてクレジットカードを選択して、そのカード番号をも自動車IDに対応付けて登録すれば、課金処理を常にその登録したクレジットカードで処理するようにすることで、電気自動車12の使用者は、単にプラグ55をコンセント40に接続するだけで課金と共に充電を繰り返すことが可能となる。また、この際、一旦課金が完了していても、実際に充電に際して供給された電力量が、課金金額で供給可能な電力量よりも少ない場合には、その差額が返金処理されるので、過剰に課金するといったことを防止することが可能となる。この場合、返金せずに次回の充電時に充当するようにしてもよい。さらに、課金処理が完了した後、例えば、第3者によりプラグ55が引き抜かれて、別の電気自動車12のプラグ55が接続されるようなことがあっても、電力供給がなされないので、電力の盗難を防止することが可能となる。また、第3者によってプラグ55が引き抜かれても、電力供給した分だけを徴収することが可能となると共に、中断に伴う過剰課金分は返金処理されるため、電力の盗難を防止するのみならず、課金による損害の発生を防止することが可能となる。
【0088】
<2.第2の実施の形態>
[事後に電力料金を課金する電力供給システム]
以上においては、プラグ55をコンセント40に接続し、課金処理が完了した後に電力供給を受ける例について説明してきたが、電力供給した後、供給した電力量に対応して課金処理を行うようにしてもよい。
【0089】
図6は、電力供給した後、供給した電力量に応じて課金処理を行うようにした充電器11および電気自動車12からなる電力供給システムの構成例を示している。尚、
図6の充電器11、および電気自動車12からなる電力供給システムにおいて、
図2の電力供給システムにおける構成と同一の機能を備えた構成については、同一の名称、および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
【0090】
すなわち、
図6の電力供給システムにおいて、
図2の電力供給システムと異なる点は、充電器11のコンセント40において、プラグ55の凸部55bに存在する穴部55cに挿抜可能な凸状のロック40cを設け、ロック40cを制御する機能を備えた制御部101を制御部31に代えて設けた点である。
【0091】
ロック40cは、プラグ55の凸部55bに存在する穴部55cと略同径の凸状のものであり、プラグ55の穴部55cに対して挿入するように動作させることができる。例えば、
図6で示されるようにロック40cが穴部55cに挿入されると、プラグ55は、穴部55cにロック40cが嵌合することにより、コンセント40の凹部40bから抜き取ることができない状態となる。また、ロック40cが穴部55cから抜き取られると、プラグ55は、穴部55cに対するロック40cの嵌合が解除されることにより、コンセント40の凹部40bから抜き取ることができる状態となる。
【0092】
制御部101は、制御部31と基本的な機能は同様であり、すなわち、登録部101a、認証部101b、および課金部101cは、それぞれ登録部31a、認証部31b、および課金部31cと基本的に機能は同様である。ロック制御部101dは、上述したロック40cをコンセント40の凹部40b内に突出するように制御することで、挿入されたプラグ55の穴部55cにロック40cを嵌合させて、プラグ55をコンセント40より引き抜けないように制御する。また、ロック制御部101dは、ロック40cをコンセント40の凹部40b内から抜き出すように制御することで、挿入されたプラグ55の穴部55cに対するロック40cの嵌合を解除させて、プラグ55をコンセント40より引き抜けるように制御する。
【0093】
尚、この例においては、課金処理は、プラグ55がコンセント40に挿入された状態で予め所定の金額の現金を入力部33で受け付けて、受け付けた現金に対応するプリペイドポイントを、リーダライタ34がID回路54に自動車IDに対応付けて記録したものを利用して実施するものとする。このプリペイドポイントは、例えば、プラグ55がコンセント40に挿入された状態で読み出される状態で、入力部33で予め現金等を受け付けて、課金部101cが、リーダライタ34を制御して、ID回路54にプリペイドポイントを記録させ、電力料金の支払いに応じてプリペイドポイントの情報を更新するものである。
【0094】
さらに、プリペイドポイントは、ID回路54で管理するものである必要はなく、例えば、課金部101cが、リーダライタ34を制御して、プラグ55がコンセント40に挿入された状態で読み出される自動車IDに対応付けて、通信部32を介して課金サーバ14にプリペイドポイントを登録させるようにしてもよい。また、課金処理については、現金やクレジットカードなどであってもよいものである。
【0095】
[
図6の充電器11による電力供給処理]
次に、
図7のフローチャートを参照して、
図6の充電器11による電力供給処理について説明する。尚、
図7のフローチャートにおけるステップS111乃至S119の処理、およびステップS129乃至S132の処理は、
図3のフローチャートにおけるステップS1乃至S9の処理、およびステップS22乃至S25の処理と同様であるので、その処理については説明を省略する。また、通信処理、および充電処理については、
図4,
図5のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0096】
すなわち、ステップS111乃至S119の処理により、自動車IDが読み出された場合、または、自動車IDが登録された場合、処理は、ステップS120に進む。ステップS120において、制御部101のロック制御部101dは、ロック40cを制御して、コンセント40の凹部40b内に突出するように動作させる。これにより、ロック40cがプラグ55の凸部55bの穴部55cに挿入されて、プラグ55がコンセント40から抜き取れない状態にロックされる。
【0097】
ステップS121において、課金部101cは、リーダライタ34を制御して、ID回路54に自動車IDに対応付けて記録されているプリペイドポイントを取得させ、電力を供給するのに十分なプリペイドポイントが残されているか否かを判定する。ステップS121において、十分なプリペイドポイントが残されていると判定された場合、処理は、ステップS122に進む。ここでいう、十分なプリペイドポイントとは、例えば、充電容量がゼロに近い状態から満充電までに必要とされる電力量に対応するプリペイドポイントとするようにしてもよい。また、バッテリ52の残電圧を測定する構成を設けて、その構成が、残電圧から満充電に必要とされる電力量と、必要とされるプリペイドポイントを概算で求め、これを十分なプリペイドポイントとするようにしてもよい。
【0098】
ステップS122において、制御部101は、切替スイッチ37をオンの状態に制御する。これにより、充電器11により充電処理が開始されて、充電器11から電気自動車12への電力供給が開始される。
【0099】
ステップS123において、制御部101は、電力メータ38を制御して、商用電源16から供給されている電力の積算値となる電力量を計測する。
【0100】
ステップS124において、制御部101は、電力メータ38により読み出された電力量に変化がなくなり、バッテリ52が満充電になったか否かを判定する。ステップS124において、例えば、満充電ではない場合、処理は、ステップS133に進む。
【0101】
ステップS133において、制御部101は、タッチパネルからなる表示部39が操作されて、プラグ55のロック40cによるロック状態を解除するように要求されたか否かを判定する。ステップS133において、ロック状態の解除が要求されない場合、処理は、ステップS121に戻る。すなわち、ステップS120の処理によりプラグ55がコンセント40にロックされると、プリペイドポイントが十分に残されている限り、満充電となるか、または、ロックの解除が要求されるまで、ステップS121乃至S124,S133の処理が繰り返されて、充電状態が継続される。このとき、電力量が計測されつつ充電状態が継続されると、電力量が時間に応じて増加して、結果として払い出しに必要とされるプリペイドポイントが増大する。このため、プリペイドポイントが少ない状態から充電が開始されると、充電時間が継続するうちに、ステップS121の処理により、満充電になる前にプリペイドポイントが十分にない状態であると判定される状態になることがある。この場合、処理は、ステップS125に進む。
【0102】
また、ステップS124において、満充電であると判定された場合、または、ステップS133において、プラグ55のロックを解除する要求があった場合についても、処理は、ステップS125に進む。
【0103】
ステップS125において、制御部101は、切替スイッチ37をオフに制御して、商用電源16から電気自動車12への電力供給を終了させる。
【0104】
ステップS126において、制御部101は、課金部101cを制御して、電力メータ38より最後に読み出した電力量を供給した電力量の総量とみなして、対応する電力料金を算出させる。
【0105】
ステップS127において、課金部101cは、リーダライタ34を制御して、電気自動車12のID回路54にアクセスし、算出された電力料金に対応するプリペイドポイントを減算したプリペイドポイントに更新させて、課金処理を完了する。
【0106】
ステップS128において、制御部101は、ロック制御部101dを制御して、ロック40cをプラグ55の凸部55bの穴部55cより抜き出すように制御して、プラグ55のコンセント40に対するロックを解除する。この処理により、プラグ55はコンセント40より引き抜くことが可能となる。
【0107】
以上の処理により、ID回路54に記録されているプリペイドポイントの度数が十分に残されている限り、使用者は、電気自動車12のプラグ55を充電器11のコンセント40に差し込むだけで、充電するための電力供給を受けることが可能となる。また、プラグ55をコンセント40から抜き取る際には、課金処理が完了した後でなければプラグ55を抜き取ることができないので、課金処理を確実に実行させることが可能となる。しかしながら、現実には、課金処理は極短時間でなされることになるため、ID回路54に記録されているプリペイドポイントの度数が十分に残されている限り、使用者は、充電しようとするときに、プラグ55をコンセント40に差し込み、充電が完了したとき引き抜くだけで、充電と課金処理を完了させることが可能となる。さらに、プリペイドポイントが十分ではなく、満充電となる前にプリペイドポイントがなくなってしまうような状態となっても、プリペイドポイントの残度数で支払える電力量の範囲で充電させることが可能であるので、プリペイドポイントでの課金ができないのに、満充電になるまで電力供給してしまうといったことを抑制することが可能となる。
【0108】
尚、以上においては、ステップS133において、タッチパネルからなる表示部39が操作されて、プラグ55のロック40cによるロック状態を解除するように要求された場合に、制御部101が、プラグ55のロック状態の解除要求を認識する例について説明してきた。しかしながら、プラグ55のロック状態の解除要求が認識できればよいので、例えば、コンセント40の凹部40bの構造をプラグ55の挿入に伴って、プラグ55が所定の回転方向に捻られるような構成とし、さらに、その回転状況を認識するセンサを設けるようにして、そのセンサがプラグ55を抜き取る方向に捻ったことが検知されたとき、ロック状態の解除要求があったものと認識するようにしてもよい。
【0109】
<3.第1の変形例>
[非接触IDカードを用いた電力供給システム]
以上においては、電気自動車12にID回路54を設けるようにして、ID回路54に記憶されている自動車IDやプリペイドポイントを利用する例について説明してきたが、これでは、電気自動車12がレンタカーなどである場合、レンタカー業者の自動車IDのみしか記憶することができず、レンタカーを借り受けた使用者による支払いができなくなる可能性がある。そこで、ID回路54に代えて、Felicaなどの非接触型ICカードの個人IDで代用することにより、電気自動車12の使用者毎に充電による課金を実現できるようにしてもよい。
【0110】
図8は、非接触型ICカードなどからなるIDカード112を利用して、個人IDおよびプリペイドポイントを利用するようにした電気自動車12の構成例を示している。
図8において、
図1の電気自動車12と同一の機能を備える構成については、同一の名称および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。すなわち、
図8の電気自動車12において、
図1の電気自動車12と異なる点は、ハイパスフィルタ53、およびID回路54に代えて、アンテナ111、およびIDカード112を設けた点にある。
【0111】
アンテナ111は、高周波信号に対応する周波数の電波を発生する。IDカード112は、Felica(登録商標)などのICチップを備えた非接触通信型のICカードであり、アンテナ111により発生される、例えば、13.56MHz(または2.4GHz)の高周波信号からなる電波により通信すると共に電力供給を受けて動作する。そして、IDカード112は、自らに内蔵されるICチップに記憶された個人IDの情報を読み出したり、プリペイドポイントの情報を読み出し、または書き込む。
【0112】
[
図8の電気自動車による通信処理]
次に、
図9のフローチャートを参照して、
図8の電気自動車12のIDカード112と
図1の充電器11とによる通信処理について説明する。尚、
図9のフローチャートにおいて、充電器11における処理については、自動車IDを個人IDに代えた場合の
図4を参照して説明した処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
【0113】
すなわち、ステップS211乃至S213の処理により、充電器11から電力供給線40a、コンセント40、プラグ55、電力供給線55aに高周波信号からなる読出信号または書込信号が重畳されて、電気自動車12に供給されてくる。そして、ステップS221において、IDカード112は、アンテナ111を介して負荷変調により電力が発生したか否かを判定し、電力が発生するまで、同様の処理を繰り返す。そして、ステップS221において、ステップS213の処理により供給されてくる高周波信号の先頭信号により負荷変調で電力が発生すると、ICカード112は、これを蓄電しつつ、処理は、ステップS222に進む。
【0114】
ステップS222において、ICカード112は、蓄電した電力により、その後送信されてくる読出信号、または書込信号を受信する。
【0115】
ステップS223において、ICカード112は、読出信号に基づいて自らで記憶している個人ID、またはプリペイドポイント等の情報を読み出す、または書込信号に基づいて、送信されてきた情報を自らに記憶させる。
【0116】
ステップS224において、ICカード112は、読み出した個人ID、またはプリペイドポイントの情報を応答信号として送信する。または、ICカード112は、書き込んだプリペイドポイントの書込完了を示す情報を応答信号として送信する。このとき、アンテナ111は、この応答信号を受信して、高周波信号として電力供給線55a、プラグ55、コンセント40、および電力供給線40aに重畳して電気自動車12に送信する。
【0117】
これに応じて、ステップS214、S215により、電気自動車12のリーダライタ34は、電力供給線40aより応答信号を受信して、制御部31(101)に供給する。そして、制御部31(101)は、ICカード112からの応答信号を取得する。
【0118】
以上の処理により、電気自動車12の使用者毎に個人IDをICカード112で管理するようにし、上述した自動車IDを個人IDに代えて使用することで、使用者毎に充電に係る課金処理を実現することが可能となる。尚、
図8の電力供給システムにおける充電処理については、
図1の電力供給システムにおける充電処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0119】
<4.第2の変形例>
[プラグアダプタを用いた電力供給システム]
以上においては、充電器11と電気自動車12とを直接接続することにより構成される電力供給システムの構成例について説明してきた。しかしながら、電気自動車12の構成に自動車IDや個人IDを記憶したICチップからなるリーダライタ34により充電する対象となる電気自動車を特定することができる構成が予め組み込まれていない場合、上記の電力供給システムを利用して電気自動車12のバッテリ52を充電することができなかった。そこで、充電器11および電気自動車12の間に、自動車IDや個人IDを記憶したICチップからなるリーダライタ34により充電する対象となる電気自動車12を特定することができる構成をプラグアダプタとして構成し、プラグアダプタを介して接続される電気自動車12のバッテリ52充電させるようにしてもよい。
【0120】
図10は、プラグアダプタを利用することにより、充電器11が充電の対象とする電気自動車12を特定して充電できるようにした構成例を示している。
図10において、
図1の充電器11、および電気自動車12と同一の機能を備える構成については、同一の名称および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。すなわち、
図10において、
図1と異なる点は、ローパスフィルタ51、ハイパスフィルタ53、およびID回路54を備えたプラグアダプタ151を備え、ローパスフィルタ51、ハイパスフィルタ53、およびID回路54を含まない従来のバッテリ171を備えた電気自動車12を設けた点である。尚、充電器11の構成は、
図1と同様であるので、その説明は省略する。
【0121】
プラグアダプタ151は、プラグ161、コンセント162、並びに、ローパスフィルタ51、ハイパスフィルタ53、およびID回路54を備えている。プラグ161は、充電器11のコンセント40に接続されるものであり、コンセント162は、電気自動車12のプラグ55に接続されるものである。すなわち、プラグアダプタ151は、
図1の電気自動車12の構成のうち、ローパスフィルタ51、ハイパスフィルタ53、およびID回路54だけを抜き出した構成となっている。このため、これらの構成を含まない電気自動車12と充電器11との間に接続することで、
図1における電力供給システムと同様の機能を構成する。
【0122】
[
図10の電力供給システムによる充電処理]
次に、
図11のフローチャートを参照して、
図10の電力供給システムによる充電処理について説明する。尚、
図11のフローチャートにおけるステップS231乃至S234の充電器の処理は、
図5における場合と同様であるので、その説明は省略するものとする。
【0123】
すなわち、ステップS231,S232の処理により、コンセント40よりプラグ161を介して供給されてくる。そして、ステップS241において、ローパスフィルタ51を介して電力が供給されてきたか否かが判定される。ステップS241において、例えば、ステップS232の処理により電力が供給されてくると、ステップS242において、ローパスフィルタ51は、コンセント162を介して電気自動車12へと通電させる。
【0124】
ここで、ステップS251において、バッテリ171は、プラグ55を介して電力が供給されてきたか否かに基づいて、例えば、上述したステップS242の処理により、コンセント162に電力が通電されると、接続されたプラグ55を介してバッテリ171へと電力が供給され、バッテリ171が充電を開始する。すなわち、プラグアダプタ151より電力供給線55aを介して電力が供給されてくる限り、ステップS251,S252の処理が繰り返されて、電力供給を受けてバッテリ171の充電状態が継続される。
【0125】
そして、ステップS233において、電力供給が終了すると、ステップS234において、切替スイッチ37がオフに制御されて、商用電源16からの電力供給が停止される。これにより、プラグアダプタ151においては、ステップS241の処理が繰り返されることになるので、コンセント162、およびプラグ55を介してバッテリ171への電力供給が停止される。さらに、バッテリ171への、電力供給がなされないので、ステップS251の処理が繰り返され、バッテリ171へは充電がなされない状態となる。
【0126】
尚、以上においては、充電器11と電気自動車12とからなる電力供給システムについて説明してきたが、電力を供給する機器と、電力供給を受ける機器とからなるシステムが構成できればよいものである。したがって、電力を供給する機器としては、充電を目的とした電力を供給する充電器に限らず、例えば、家電製品などに電力を供給する電源装置であってもよい。また、電力の供給を受ける機器については、電気自動車に限らず、一般の家電製品であってもよい。したがって、上述した電力供給システムとしては、例えば、電源装置と家電製品となどから構成してもよい。
【0127】
例えば、飲食店などに電源(コンセント)を設けていると、来店客が店員の目を盗んで携帯電話などを充電してしまうといった電力の不正な使用がされてしまうことがある。しかしながら、上述した電力供給システムを利用した場合、飲食店で利用する電磁調理器などは、ID回路54に相当するものを含む飲食店の所有するプラグアダプタ151などと併せて用いることで電力供給を受けて使用することができる。一方、来店客が仮に店員の目を盗んで携帯電話などを充電しようとする場合、プラグアダプタ151を使用しなければコンセントからの電力供給は受けられないので充電は不可能となる。結果として、上述したような不正な電力の使用を防止することもできる。
【0128】
以上の処理により、従来のローパスフィルタ51、ハイパスフィルタ53、およびID回路54を備えていない電気自動車12であっても、上述した電力供給システムを構成する充電器11よりバッテリ171に電力を供給させて充電させることが可能となる。
【0129】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0130】
図12は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェイス1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0131】
入出力インタフェイス1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0132】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011から読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0133】
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。