【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取部の一例としてのスキャナ装置U1、給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙排出部U4を有している。
【0020】
前記ユーザインタフェースUIは、入力部の一例としてのコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等や、表示部の一例としての表示パネルUI1を有している。
前記スキャナ装置U1は、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
給紙装置U2は、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1〜TR4と、前記各給紙トレイTR1〜TR4に収容された媒体の一例としての記録用紙Sを取り出して画像形成装置本体U3に搬送する給紙路SH1と、を有する。
【0021】
図1において、画像形成装置本体U3は、制御部の一例としてのコントローラCや、前記制御部Cにより制御されて画像形成装置本体U3の各部材に給電する電源回路E等を有する。コントローラCは、スキャナ装置U1で読み取られた原稿の画像情報や、画像形成装置Uに接続された図示しない情報送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータから送信された画像情報が送信される。
前記コントローラCは、受信した画像情報を、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の印刷用の情報に処理して、潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dに出力する。レーザ駆動回路Dは、コントローラCから入力されたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0022】
各潜像形成装置ROSy〜ROSkの下方には、Y,M,C,Kの像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukが配置されている。
図1において、K:黒の像保持体ユニットUkは、像保持体の一例としての感光体ドラムPkと、帯電器の一例としてのコロトロンCCkと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkとを有する。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、コロトロンCCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有する。
【0023】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、それぞれコロトロンCCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、感光体ドラムPy〜Pkの表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面の静電潜像は、現像器Gy,Gm,Gc,Gkに設けられた現像部材の一例としての現像ロールR0により、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色の現像剤で可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0024】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、一次転写領域Q3において、中間転写体の一例であって、像保持体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像器Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面に残留した残留トナーは感光体ドラム用のクリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
前記各像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukと現像装置の一例としての現像器Gy,Gm,Gc,Gkとにより、可視像形成部の一例としてのトナー像形成部材Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。
【0025】
画像形成装置本体U3の上部には、補給装置の一例としてのトナーディスペンサーU3aが配置されており、トナーディスペンサーU3aには、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが着脱可能に装着されている。画像形成に伴って現像器Gy〜Gkにおいてトナーが消費されると、各トナーカートリッジKy〜Kkから各現像器Gy〜Gkにトナーが供給される。
【0026】
前記感光体ドラムPy〜Pkの下方に配置された中間転写ベルトBは、中間転写体の駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdと、張力付与部材の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwと、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfと、二次転写領域の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、により張架されている。そして、前記中間転写ベルトBは、ベルト駆動ロールRdの駆動により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記ベルト駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw,アイドラロールRf、バックアップロールT2aにより、実施例1の中間転写体の支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2aが構成されている。また、前記中間転写ベルトBやベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2a、1次転写ロールT1y〜T1kにより、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが構成されている。なお、実施例1のベルトモジュールBMは、画像形成装置の本体U3に対して、着脱、交換が可能なユニットにより構成されている。
【0027】
前記バックアップロールT2aの下方には、転写搬送装置の一例としての2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、2次転写部材の一例として、バックアップロールT2aに対向して配置された2次転写ロールT2bを有し、2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと対向する領域により2次転写領域Q4が構成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加用の接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触しており、前記ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには、コントローラCにより制御される電源回路Eから予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0028】
前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、前記用紙搬送路SH2に搬送され、送出部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて送り出され、媒体案内部材の一例としての用紙ガイドSG1、SG2に案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に、前記2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
【0029】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2bは、中間転写ベルトBと離隔および接触可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、二次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体ドラムPy〜Pk表面の画像を記録用紙Sに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
【0030】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、二次転写ロールT2bの下流側に配置された張架部材の一例としての転写ベルト支持ロールT2dと、二次転写ロールT2bとの間に張架された転写搬送部材の一例としての無端帯状の転写搬送ベルトT2eの表面に保持されて下流側に搬送される。
転写搬送ベルトT2eの下流側には、搬送部材の一例として、表面に記録用紙Sを保持して下流側に搬送する複数の吸着搬送ベルトBHが配置されており、複数の吸着搬送ベルトBHにより搬送速度や用紙間隔が調整されながら下流側に搬送される。前記吸着搬送ベルトBHには、図示しない複数の孔が形成されており、吸引装置の一例としてのファンが孔を通じて空気を吸引することで、記録用紙Sを表面に吸着した状態で下流側に搬送する。なお、このような吸着搬送ベルトは従来公知であり、例えば、特開2004−347880号公報等に記載された構成等、任意の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
前記吸着搬送ベルトBHにより搬送された記録用紙Sは、下流の用紙排出部U4内に配置された定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fでトナー像が定着された記録用紙Sは、排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。
前記符号SH1、SH2等により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,SGr,BH等により用紙搬送装置SUが構成されている。
【0032】
(転写領域の上流側の案内部材の説明)
図2は実施例1の転写領域の上流側の要部説明図である。
図2において、レジロールRrから転写領域Q4の間には、用紙搬送路SH2に沿って、上流側の案内部材の一例としての上流ガイドSG1と、下流側の案内部材の一例としての下流ガイドSG2とが配置されている。実施例1の上流ガイドSG1は、第2の案内部材の一例であって上流側の上案内部材の一例として、上方である中間転写ベルトB側に配置された上流上ガイド1と、上流上ガイド1と対向して配置された上流側の下案内部材の一例としての上流下ガイド2と、を有する。したがって、上流上ガイド1と上流下ガイド2との間に挟まれた空間により、用紙搬送路SH2の一部である上流搬送路3が構成されている。よって、レジロールRrから送り出されて上流搬送路3を搬送される記録用紙Sは、上面が、第2の案内面の一例としての上流上ガイド1の下面1aにより案内されると共に、下面が上流下ガイド2の上面2aにより案内される。
【0033】
前記下流ガイドSG2は、第1の案内部材の一例であって下流側の上案内部材の一例として、上方である中間転写ベルトB側に配置された下流上ガイド6と、第1の対向案内部材の一例であって下流側の下案内部材の一例として、下流上ガイド6に対向して配置された下流下ガイド7と、を有する。したがって、下流上ガイド6と下流下ガイド7との間に挟まれた空間により、用紙搬送路SH2の一部である下流搬送路8が構成されている。よって、上流搬送路3に案内されて搬送された記録用紙Sは、上面が、第1の案内面の一例としての下流上ガイド6の下面6aにより案内されると共に、下面が下流下ガイド7の上面7aにより案内される。なお、実施例1では、レジロールRrから斜め上方に向かう上流搬送路3に対して、下流搬送路8は、転写領域Q4に向けて斜め下方に傾斜するように設定されている。
【0034】
図3は実施例1の下流上ガイドの説明図であり、
図3Aは右後斜め上方から見た図、
図3Bは
図3Aの矢印IIIB方向から見た図である。
図4は実施例1の下流上ガイドのベース部の説明図であり、
図4Aは平面図、
図4Bは
図4Aの矢印IVB方向から見た図、
図4Cは
図4Aの矢印IVC方向から見た図である。
図2、
図3において、前記下流上ガイド6は、支持部の一例として、板状のベース部11を有する。
図2〜
図4において、実施例1のベース部11は、回転する中間転写ベルトBに対して予め設定された隙間をあけて配置され、且つ、中間転写ベルトBの表面に沿って延びる板状に形成されている。なお、実施例1では、中間転写ベルトBの外表面と下流上ガイド6の上面との間隔は、2.4mmに設定されており、中間転写ベルトBから飛散した現像剤が、搬送される記録用紙Sに付着したり、中間転写ベルトBの走行時のばたつきと経時のベルト延びによってベルト面位置が変動しても、中間転写ベルトBと下流上ガイド6とが接触しないように構成されている。
【0035】
図3、
図4において、実施例1のベース部11は、下流端である右端縁11aが、記録用紙Sの幅方向の外側から中央に行くに連れて下流側に傾斜する凸状に形成されている。すなわち、特開2007−304430号公報に記載されている技術と同様に、記録用紙Sの後端が、第1の案内面の一例としてのベース部11の下面であるベース案内面11bを案内されながら通過する際に、記録用紙Sの後端と右端縁11aとの幅方向の接触領域が徐々に狭くなることで、右端縁が幅方向に沿って形成された構成において後端と右端縁の接触が一度に解除される場合に比べて、記録用紙Sの跳ね上げを低減している。なお、実施例1では、右端縁11aの最も二次転写領域Q4側の端の位置は二次転写領域Q4から41mm上流側の位置に設定されている。
【0036】
ベース部11の上面、すなわち、中間転写ベルトB側の面には、凹部の一例として、記録用紙Sの搬送方向に対して交差する方向である前後方向に沿って延びる溝状のポケット部12が形成されている。実施例1のポケット部12は、右側に形成された平面視台形状の右側ポケット12aと、右側ポケット12aの左方に形成された平面視四角形状の左側ポケット12bと、を有する。実施例1のポケット部12は、ベース部11の下流端部の剛性を部分的に下げて弾性を付与して、弾性変形可能にすると共に、中間転写ベルトBの表面から落下した現像剤等の粉体を収容して、記録用紙Sに付着しないように保持する機能も併せ持つ。
【0037】
なお、実施例1では、ベース部11は、板厚が1.2mmの板金により構成されると共に、ポケット部12が深さ0.5mmの溝により構成されている。
ベース部11の前後両端部には、予め設定された画像形成装置Uで使用可能な最大の大きさの記録用紙Sの幅よりも、前後方向の外方に突出する板状の側端部11cが形成されている。前記側端部11cには、画像形成装置本体U3の図示しない枠体に支持されるベース被支持部11dが形成されている。
【0038】
図2、
図3Bにおいて、ベース部11の下面には、接触部の一例としてのガイド本体13が支持されている。実施例1のガイド本体13は、ベース部11の下面に接触する板状の基端部13aと、基端部13aの左端からベース部11に対して離間する方向に傾斜する傾斜部13bと、傾斜部13bの左端からベース部11の下面と間隔をあけ且つ平行に延びる自由端部13cと、を有する。
図3Bにおいて、ガイド本体13は、基端部13aの前後両端部に形成された被支持部13dがベース部11の側端部11cに固定支持されており、傾斜部13bおよび自由端部13cが基端部13aを基端として、ベース部11に接近、離間する方向に弾性変形可能に構成されている。したがって、記録用紙Sが通過する場合、ガイド本体13の下面の接触案内面およびベース部11の下面のベース案内面11bからなる下流上ガイド6の下面6aにより記録用紙Sの上面が案内されると共に、記録用紙Sの跳ね上がり等が発生した場合に、傾斜部13bおよび自由端部13cが弾性変形して緩衝可能に構成されている。
なお、実施例1では、ガイド本体13は、板厚がベース部11よりも薄い板金により構成されており、ベース部11に比べて剛性、ヤング率が低く設定されており、ベース部11よりも先にガイド本体13の方が弾性変形しやすく構成されている。
【0039】
図2において、前記下流下ガイド7は、第1の対向案内部材の本体の一例として、二次転写領域Q4側の右端から左方に行くに連れてベース部11の下面であるベース案内面11bとの間隔が広くなるように傾斜する下ガイド本体16を有する。前記下ガイド本体16の左端には、第1の対向案内部材の入口部の一例として、上流下ガイド2側に折り曲げられた形状に形成され、下流下ガイドの導入部17が設けられている。したがって、下ガイド本体16と導入部17との境界部18は、下流上ガイド6側に向けて凸状に形成されている。
なお、実施例1の下ガイド本体16の右端16aは、ベース部11の右端縁11aよりも二次転写領域Q4側に延びており、記録用紙Sを二次転写領域Q4に向けて案内する。
【0040】
(案内部材の位置関係の説明)
図2において、実施例1の各ガイドSG1,SG2では、下流上ガイド6において、ベース部11のベース案内面11bの右端縁11aは、上流上ガイド1の下面1aの仮想的な延長線21と交差する交点21aに対して、記録用紙Sの搬送方向に対して下流側、すなわち、交点21aの方が、右端縁11aよりも上流側に設定されている。なお、実施例1では、ガイド本体13の基端部13aの右端は、右端縁11aよりも、上流側に設定されており、傾斜部13bの下面、すなわち、ガイド面13b1は、弾性変形していない状態で、延長線21上に配置されるように設定されている。
また、実施例1では、下流上ガイド6の右端縁11aと上流上ガイド1の右端1bとを接続する仮想的な接続線23に対して、下流下ガイド7の凸の頂点である境界部18が、接続線23上に配置されている。したがって、実施例1では、下流上ガイド6と下流下ガイド7は、境界部18の位置で間隔が狭くなり、境界部18の上流側および下流側で、境界部18よりも間隔が広くなるように設定されている。したがって、記録用紙Sが通過する際に、境界部18の位置で、ガイド6,7に一時的に挟まれるような状態となる。
【0041】
さらに、実施例1では、ガイド本体13の自由端部13cは、延長線21に対する傾斜角度24が30度に設定されているが、傾斜角度24は、記録用紙Sを傾斜部13bに円滑に案内するために、30度以下であることが望ましい。
また、実施例1では、上流搬送路3の搬送方向である右斜め上方に対して、下流搬送路8の搬送方向が傾斜する右斜め下方に設定されており、記録用紙Sは、上流搬送路3および下流搬送路8を搬送される際に、上に凸の状態に湾曲して搬送されるように設定されている。そして、下流搬送路8の延長線26が、二次転写領域Q4に対して二次転写ロールT2b側に設定されており、中間転写ベルトB側に先に接触して画像を乱すことが低減された状態で二次転写領域Q4に記録用紙Sが案内されるように設定されている。
さらに、二次転写ロールT2bとバックアップロールT2aとの接触領域である二次転写領域Q4の接線方向27に対して、下流搬送路8の延長線26が水平に近い傾斜角度に設定されると共に、延長線26が二次転写ロールT2b側に設定されており、二次転写領域Q4を通過する記録用紙Sが凸状に撓んだ状態で搬送されるように設定されている。したがって、二次転写領域Q4を通過した記録用紙Sは、記録用紙Sの剛性、いわゆるコシにより、記録用紙Sが中間転写ベルトBから自然に離間しやすくなっており、中間転写ベルトBへの記録用紙Sの貼り付きが低減されている。
【0042】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、感光体ドラムPy〜Pkで形成されたトナー像は、中間転写ベルトBを介して、2次転写領域Q4において、記録用紙Sに転写される。
記録用紙Sは、二次転写領域Q4に向けてレジロールRrから送り出されると、上流ガイドSG1を案内されて、下流ガイドSG2に到達する。
実施例1では、傾斜部13bが上流上ガイド1の下面1aの延長線21に沿って配置されており、厚紙やOHPシートのような剛性の高い記録用紙Sが使用された場合でも、記録用紙Sの前端が引っ掛からずに円滑に案内されやすくなっている。また、記録用紙Sの後端が上流上ガイド1を抜けたときの、下流上ガイド6の方向への衝突力を傾斜部13bで抑制することができる。したがって、円滑に案内されず剛性の高い記録用紙Sが下流上ガイド6に衝突する構成に比べて、記録用紙Sの姿勢が安定することで中間転写ベルトBに保持された画像が乱れることが低減されている。特に、単位時間当たりの印刷枚数が多く、高速で媒体が搬送される場合でも、衝撃の発生が低減され、画像の乱れが低減される。
【0043】
また、下流搬送路8に記録用紙Sが搬入される場合に、記録用紙Sに巻き癖、いわゆるカールがある場合でも、上流搬送路3の延長線21に対して傾斜する自由端部13cや下流下ガイド7の導入部17に案内されて下流搬送路8に搬送される。また、薄紙のような剛性の低い記録用紙Sが使用される場合、搬送される記録用紙Sの先端が搬送の勢いで上がったり重力で記録用紙Sが垂れ下がったりすることがあるが、自由端部13cや導入部17に案内されて下流搬送路8に搬送され、剛性の低い媒体の走行性が向上しており、紙詰まりの発生が低減されている。
下流搬送路8に搬入された記録用紙Sの前端は、傾斜部13bを案内された後、ベース案内面11bに接触して案内される。実施例1では、延長線21の交点21aに対してベース案内面11bの下流端が、右側、すなわち、下流側に配置されており、カールした記録用紙Sや薄紙等でも、ベース案内面11bに案内されながら下流側に搬送される。このとき、上流搬送路3と下流搬送路8との搬送方向の差に伴って、記録用紙Sが全体として上に凸の状態に湾曲しながら搬送される。
【0044】
実施例1では、下流下ガイド7の境界部18が、下流上ガイド6側に突出して形成されており、接続線23上に境界部18が配置されている。したがって、レジロールRrから交点21aまでの間の記録用紙Sが接続線23に沿って直線上になっている場合には、境界部18と傾斜部13bとの間で記録用紙Sが両側から挟まれた状態となる。したがって、挟まれない場合に比べて、記録用紙Sの姿勢が安定しやすく、薄紙から厚紙まで走行性が安定しやすい。特に、記録用紙Sが高速で搬送される場合には、姿勢が乱れやすくなるが、搬送路3,8の途中で記録用紙Sを挟むように狭い領域を設けた実施例1の構成では、姿勢が安定しやすくなる。したがって、記録用紙Sの前端が二次転写領域Q4に突入する際の姿勢も安定しやすく、記録用紙Sの前端が二次転写領域Q4の上流側で中間転写ベルトBに接触して衝撃が発生することが低減される。よって、中間転写ベルトBに発生する衝撃が大きくなることが低減され、姿勢が安定しない場合に比べて、衝撃が緩和され、像乱れの発生が低減されている。
【0045】
図5は従来の構成における画質低下の説明図である。
ガイドSG1,SG2を搬送される記録用紙Sの後端が、上流ガイドSG1を通過すると、上に凸の状態に撓んでいた記録用紙Sの撓みが戻り、後端が跳ね上がる。後端が跳ね上がると、記録用紙Sに振動、衝撃が発生したり、中間転写ベルトBに接触して中間転写ベルトBが振動等する場合があり、後端の跳ね上がり時に、記録用紙Sの前部が二次転写領域Q4を通過していると、二次転写領域Q4で転写中の画像に悪影響が発生する恐れがある。すなわち、
図5に示すように、幅方向に沿った線状の像乱れ31が発生しやすくなる。特に、厚紙等の剛性の高い記録用紙Sを高速で搬送する場合には、跳ね上がり時の衝撃も普通紙の場合に比べて大きく、特許文献1〜5に記載されているような後端を案内する構成では、対応しきれないことがある。
これに対して、実施例1では、下流上ガイド6のガイド本体13に、弾性変形可能な自由端部13cが設けられており、後端が跳ね上がる際に、自由端部13cが弾性変形して、記録用紙Sに発生する振動や衝撃が減衰、緩衝される。したがって、厚紙等が高速で搬送される場合でも、像乱れ31の発生が低減される。
【0046】
図6は記録用紙の後端が凸形状の案内部材の先端の部分を通過する状態の説明図であり、
図6Aが従来の構成の説明図、
図6Bが実施例1の構成の説明図である。
記録用紙Sの後端部が、下流上ガイド6のベース部11の下流端部まで搬送されると、右端縁11aに差し掛かる。実施例1では、記録用紙Sは、上流搬送路3と下流搬送路8との搬送方向のずれに応じて、上に凸の状態で搬送され、下流上ガイド6の右端縁11aの部分では、記録用紙Sの上面が上方の下流上ガイド6に押し当てられる状態で搬送される。したがって、
図6Aに示すように、特許文献1に記載されているような構成では、記録用紙Sの後端が右端縁11aに差し掛かった状況では、記録用紙Sの幅方向の両側が中央部に比べて、上方に湾曲した状態となりやすい。記録用紙Sが幅方向に対して湾曲すると、二次転写領域Q4を通過中の記録用紙Sに湾曲の影響が伝わり、
図5に示すように転写される画像が弧状に湾曲する像乱れ32が発生することがある。
さらに、記録用紙Sの後端が、ベース部11の右端縁11aから離間すると、記録用紙Sの後端が跳ね上がることがある。このとき、右端縁11aと二次転写領域Q4の間のベルト裏面にベルト支持ロールがあると、用紙が支持ロールに衝突時に支持ロール位置において、幅方向に沿った像乱れ33が発生することがある。
【0047】
これに対して、実施例1では、
図6Bに示すようにポケット部12が形成されており、ベース部11の剛性が
図6Aに示す状態に比べて低減されている。したがって、記録用紙Sの後端が通過する際に、ベース部11の右端縁11aの先端部、すなわち幅方向の中央部分が上方に湾曲しやすくなっている。よって、ベース部11の右端縁が湾曲しにくい従来の構成に比べて、記録用紙Sが幅方向に対して湾曲することが低減されており、弧状の像乱れ32,33の発生が低減されている。
特に、実施例1のベース部11では、ポケット部12の形状や深さ、幅等を変化させて、ベース部11の剛性の調整が可能であり、ベース部11の板厚自体を変更したり、ベース部11の材料を変更して剛性を調整したりする場合に比べて、剛性の調整が容易な構成となっている。
【0048】
さらに、記録用紙Sの後端が、ベース部11の右端縁11aから離間すると、記録用紙Sの後端が跳ね上がることがある。このとき、後端とガイドとの接触が幅方向で、一度に接触が解除されると、衝撃が大きくなりやすく、
図5に示すように、幅方向に沿った像乱れ32,33が発生しやすくなる。
これに応じて、実施例1では、下流側に行くに連れて幅方向中央部が突出する右端縁11aが、記録用紙Sに対して、徐々に接触幅が狭くなっており、一度に接触が解除される場合に比べて、跳ね上がり時の衝撃が低減されやすくなっている。特に、実施例1では、ポケット部12が形成されたベース部11が弾性変形しやすく、後端の跳ね上がりが緩和されやすく、衝撃が緩和されやすい。したがって、像乱れ32,33の発生が低減されている。
【実施例4】
【0054】
図9は実施例4の下流上ガイドの説明図であり、
図9Aは斜視図、
図9Bは
図9AのIXB−IXB線断面図である。
なお、この実施例4の説明において、前記実施例1、3の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図9において、実施例4の下流上ガイドでは、実施例1のベース部材11に替えて、
実施例4のベース部材11′が使用されている。実施例4のベース部材11′では、実施例1のポケット部12のように右端縁11aが前端から後端まで板厚が同一の構成とは異なり、右端縁66の板厚が、幅方向の中央部に比べて、両端部において薄くなるように、右側ポケット67が形成されている。
【0055】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の下流上ガイド61では、右端縁66において幅方向の両端部で薄くなるように形成されており、実施例1のように右端縁11aが板厚の厚い部分で縁取りされているような形態に比べて、撓みやすくなっている。したがって、記録用紙Sの後端が通過する際に、記録用紙Sが幅方向に対して湾曲することが、更に低減されやすくなっている。
【0056】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H012)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色の画像形成装置に限定されず、単色の画像形成装置にも適用可能である。また、Y,M,C,Kの4色の画像形成装置に限定されず、他の色を含む5色以上のトナー像形成装置を有する画像形成装置にも適用可能である。
【0057】
(H02)前記実施例において、像保持体の一例であって、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBを備える構成を例示したが、これに限定されず、中間転写ドラム等の中間転写体を有する構成としたり、中間転写体が設けられておらず、像保持体の一例としての感光体ドラムから直接記録用紙に転写する構成にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、例示した具体的な数値等については、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
(H04)前記実施例において、実施例1〜4の構成を組み合わせることが可能である。例えば、実施例3において、傾斜部61bや自由端部61cの板厚を、基端部61aの板厚よりも薄くしたりポケット部12を設けたりして剛性を低くし、バネ41やダッシュポッド42を省略することで、実施例1と同様に、傾斜部61bや自由端部61cが弾性変形可能な構成とすることも可能である。すなわち、実施例1において、下流上ガイド6を、ベース部材11とガイド本体13との2つの部材で構成せず、1つの部材で構成することが可能である。なお、自由端部を設けることが望ましいが、省略することも可能である。
【0058】
(H05)前記実施例1において、基端部13aがベース部材11の右端縁11aよりも上流側に配置する構成としたが、これに限定されず、基端部13aの右端縁をベース部材11よりも下流側に延ばし、基端部13aの右端縁を、実施例1の右端縁11aと同様の形状とする等、適宜変更が可能である。
(H06)前記実施例において、自由端部13c、13e、61cの形態について、実施例に例示した構成に限定されず、緩衝可能な任意の構成を採用可能である。例えば、実施例1,2において、記録用紙Sの跳ね上がり等で発生する衝撃に応じて弾性変形して緩衝可能であれば、自由端部13c,13eの剛性、ヤング率、板厚等を、ベース部材11の剛性等よりも大きくすることも可能である。また、実施例3において、バネ41およびダッシュポッド42の両方を備えることが望ましいが、一方を省略することが可能である。また、緩衝部材としては、バネ41やダッシュポッド42に限定されず、スポンジやゴム等の任意の緩衝部材を使用することが可能である。さらに、実施例3において、バネ41およびダッシュポッド42で緩衝可能であれば、下流上ガイド61が撓む構成に限定されず、実施例1の構成からガイド本体13を省略したベース部材11のみで下流上ガイドを構成して、ベース部材11に対してバネ41およびダッシュポッド42を設けることも可能である。
【0059】
(H07)前記実施例において、傾斜部13bを上流上ガイド1の下面1aの延長線21上に配置することが望ましいが、これに限定されず、傾斜部13bを延長線21に対して傾斜、交差させたり、傾斜部13bを延長線21よりも下流側あるいは上流側に設定する等の変更が可能である。
(H08)前記実施例において、下流上ガイド6の下流端部の剛性を低くするためにポケット部12を形成する構成を例示したが、これに限定されず、下流端部の板厚を薄くしたり、複数の丸穴状の凹部を形成したり、下流端部のみ材料を変更したり、或いは、下流端部のベース案内面11bにゴムやスポンジ等の弾性部材を支持して、記録用紙Sの通過時に下流端部が中間転写ベルトB側に移動可能な構成とすることが可能である。したがって、ポケット部12以外の方法で剛性を低下させる場合では、ポケット部12は設けることが望ましいが、省略することも可能である。
【0060】
(H09)前記実施例において、境界部18、13fを設けて、下流搬送路8において、狭くなる部分を設けることが望ましいが、境界部18,13fの設置を省略することも可能であり、あるいは、3つ以上設けることも可能である。また、境界部18は、接続線24上に配置することが望ましいが、これに限定されず、接続線24を跨いだり、跨がない位置に境界部18を配置することも可能である。
(H010)前記実施例において、右端縁11aを幅方向の中央に行くに連れて下流側に突出する二等辺三角形状に形成したが、これに限定されず、台形状や直角三角形状、不等辺三角形状、ノコギリ歯状等、下流側に行くに連れて、媒体との接触幅が狭くなる任意の構成を採用可能である。
【0061】
(H011)前記実施例において、ポケット部12を凹部状に形成する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、板厚1.0mmの板金の上に、板厚0.2mmでポケット部12aの形状に中抜きされた板金をスポット溶接などで貼り付けてもよい。すなわち、平板状の板の上に、ポケット部12aの形状に対応する孔や開口が形成された薄板を貼り付ける構成とすることが可能である。
(H012)前記実施例において、ポケット部12bは設けることが望ましいが、省略することも可能である。