(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光部から出射される光の真空中での波長をλ、前記第1のピッチをp1、前記第2のピッチをp2とすると、前記波長λに対する前記第1のピッチp1の比(p1/λ)と、前記波長λに対する前記第2のピッチp2の比(p2/λ)とが、
0.4<(p1/λ)<0.8<(p2/λ)<1.2
の関係を満たす、請求項1または2に記載の発光素子。
前記発光部が、前記活性層を含む複数の層で構成された半導体層を有し、該半導体層の光の出射面側に前記複数の構造体が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光素子。
前記発光部が、前記半導体層の光の出射面側に設置され、前記第1の方向に平行な偏光成分を透過させ、前記他の方向の偏光成分を反射させるようになっている偏光子をさらに有する、請求項4または5に記載の発光素子。
請求項1から9のいずれか1項に記載の発光素子を含む光源と、画像信号に応じて前記光源から出射される光を変調する光変調素子と、該光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えた投写型表示装置。
【背景技術】
【0002】
近年、光源に用いる発光素子として発光ダイオード(LED)を用いた投写型表示装置(LEDプロジェクタ)が提案されている。
【0003】
例えば、液晶パネルなどの光変調素子を用いて画像表示を行うLEDプロジェクタでは、液晶パネルに偏光依存性があるため、LEDプロジェクタの光源としての発光素子には、偏光状態が制御された光を出射することが求められる。ここで、偏光状態が制御された光とは、特定の方向の偏光成分の光強度が、他の方向の偏光成分の光強度よりも強い光を意味する。
【0004】
偏光状態を制御する1つの方法として、偏光子を用いる方法がある。例えば、特許文献1には、発光層を有する半導体多層膜上に、発光層で生成されて放出される光の偏光を制御する偏光制御層(偏光子)を備えた発光素子が開示されている。
【0005】
一方、特許文献2には、非極性面または半極性面を主面とした半導体からなる活性層を有し、特定の偏光成分の光強度が他の偏光成分の光強度よりも大きい光を生成する発光部を有する発光素子が開示されている。これにより、偏光子を用いることなく、出射光の偏光状態の制御が可能となっている。
【0006】
また、LEDプロジェクタでは高輝度な画像表示が求められており、そのための高輝度な光源の実現には、光源である発光素子の出射面からの光の取り出し効率の向上が有効である。
【0007】
さらに、光変調素子へ光を投射する光学系においては、光源の面積と発散角とで決まるエテンデューという制約がある。つまり、光源からの光を投射光として利用するためには、光源の面積と発散角との積の値を、表示素子の面積と投射レンズのFナンバーで決まる取り込み角(立体角)との積の値以下にする必要がある。そのため、光源からの光を有効に利用し、高輝度なLEDプロジェクタを実現するためには、光源の指向性を向上させてエテンデューを下げることが不可欠である。
【0008】
このような、光源の光の取り出し効率と指向性を向上させる方法として、発光素子の出射面にフォトニック結晶を設けることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、特許文献4には、この光の取り出し効率と指向性との向上に加えて、偏光子により出射光の偏光制御を行う技術が提案されている。すなわち、特許文献4に記載の発光素子は、光を供給する発光部の出射側に、特定の偏光成分を透過させ、それに直交する偏光成分を反射させる反射型偏光板(偏光子)と、反射型偏光板からの光を透過させ、基準面に略平行な二次元方向につき屈折率が周期的に変化するように形成された光学部(フォトニック結晶)とを有している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明の第1の実施形態における発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態における発光素子のフォトニック結晶を概略的に示す斜視図である。
【
図1C】
図1Bのフォトニック結晶を概略的に示す平面図である。
【
図2A】本発明のフォトニック結晶を最適化するための計算に用いた、フォトニック結晶のモデルを概略的に示す断面図である。
【
図2B】偏光方向とフォトニック結晶の格子方向との関係を説明するためのTM偏光およびTE偏光の概念図である。
【
図3A】
図2Aのフォトニック結晶のピッチに対する、TM偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図3B】
図2Aのフォトニック結晶のピッチに対する、TE偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図4A】
図2Aのフォトニック結晶のデューティ比に対する、TM偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図4B】
図2Aのフォトニック結晶のデューティ比に対する、TE偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図5A】本発明の第1の実施形態における発光素子のフォトニック結晶の変形例を概略的に示す斜視図である。
【
図5B】
図5Aのフォトニック結晶を概略的に示す平面図である。
【
図6A】本発明の第1の実施形態における発光素子のフォトニック結晶の別の変形例を概略的に示す斜視図である。
【
図6B】
図6Aのフォトニック結晶を概略的に示す平面図である。
【
図7A】本発明の第1の実施形態における発光素子のフォトニック結晶のさらに別の変形例を概略的に示す斜視図である。
【
図7B】
図7Aのフォトニック結晶を概略的に示す平面図である。
【
図8A】
図2Aのフォトニック結晶のデューティ比に対する、TM偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図8B】
図2Aのフォトニック結晶のデューティ比に対する、TE偏光の取り出し効率の計算結果を示すグラフである。
【
図9】本発明の第2の実施形態における発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図10】本発明の発光素子を備えた投写型表示装置の一実施形態における構成を概略的に示す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
まず、
図1Aから
図8を参照しながら、本発明の発光素子の第1の実施形態について説明する。
【0020】
図1Aから
図1Cに、本実施形態の発光素子を概略的に示す。
図1Aは、本実施形態の発光素子の概略断面図であり、基板に直交する方向の断面を示している。また、
図1Bおよび
図1Cは、本実施形態の発光素子に設けられたフォトニック結晶(複数の構造体)の概略斜視図および概略平面図である。なお、以下の説明では、
図1Aから
図1Cに示すように、基板に平行な面、すなわち発光素子の光の出射面に平行な面をxy平面とし、基板に直交する方向をz方向とする。
【0021】
本実施形態の発光素子1は、基板3と、基板3上に設けられた反射層4と、反射層4上に設けられた正電極5および発光部10と、発光部10の光の出射面上に設けられた正電極6と、を有している。
【0022】
発光部10は、反射層4の上面に設けられたp型半導体層11と、p型半導体層11上に設けられ、光を発生させる活性層12と、活性層12上に設けられたn型半導体層13aとによって構成された半導体層を有している。p型半導体層11は、マグネシウムがドープされたGaNからなる。活性層12は、交互に積層されたInGaNとGaNとからなり、量子井戸構造を有する。n型半導体層13aは、シリコンがドープされた導電性のGaNからなる。各半導体層11,12,13aは、主面が非極性面または半極性面となるように、反射層4上に形成されている。ここで、主面とは、xy平面に平行な面である。これにより、活性層12は、特定方向の偏光成分の光強度が大きい光を発生させることが可能となる。以下、このような光強度が大きくなっている偏光成分の方向を、便宜的に「偏光方向」と呼ぶことにする。本実施形態では、活性層12は、活性層12から発生する光の偏光方向がx方向(第1の方向)となるように構成されている。
【0023】
本実施形態では、この偏光方向がx方向である光の取り出し効率と指向性とを向上させるために、発光部10の出射面、すなわちn型半導体層13aの上面に、フォトニック結晶14aが設けられている。
【0024】
フォトニック結晶14aは、
図1Bに示すように、n型半導体層13aの表面から突出するように形成され、x方向およびy方向に沿って2次元的かつ周期的に配列された複数の凸部15aによって構成されている。z方向から見た凸部15aは、
図1Cに示すように、n型半導体層13aの下にある活性層12で発生する光の偏光方向(x方向)に直交する方向(y方向)に延びるような形状を有している。すなわち、凸部15aの、出射光の偏光方向であるx方向(第1の方向)の幅w1が、x方向に直交するy方向(第2の方向)の幅w2よりも小さくなっている。さらに、本実施形態では、フォトニック結晶14aのデューティ比が、後述する理由から、x方向およびy方向で共に0.5である。すなわち、x方向のピッチ(第1のピッチ)p1に対するx方向の幅w1の比r1=w1/p1、および、y方向のピッチ(第2のピッチ)p2に対するy方向の幅w2の比r2=w2/p2が、共に0.5である。
【0025】
本実施形態のフォトニック結晶14aでは、上述のように構成された複数の凸部15aが、活性層12で発生する光の偏光方向(x方向)と、それに直交する方向(y方向)に周期的に配列されている。このとき、x方向およびy方向のピッチp1,p2は、
図1Cに示すように、互いに異なっており、かつp2>p1の関係を満たしている。この関係が満たされていると、活性層で発生した光をフォトニック結晶を通じて発光素子の外部へと取り出す際に、光の取り出し効率と指向性とを向上させることが可能となる。このことは、以下に示す計算結果に基づいて本願発明者らが見出した新たな知見であり、本発明の大きな特徴である。
【0026】
以下に、
図2Aから
図3Bを参照しながら、光の取り出し効率と指向性とを向上させる、フォトニック結晶の最適なピッチを設定するために行ったFDTD(Finite−Difference Time−Domain)法による計算について説明する。
【0027】
図2Aは、この計算に使用したフォトニック結晶のモデルの概略断面図であり、x方向またはy方向から見た断面を示している。このモデルにおいて、GaN中に配置された光源からの出射光は、出射面に設けられたフォトニック結晶を通して空気中に取り出される。
図2Bは、偏光方向とフォトニック結晶の格子方向との関係を説明するためのTM偏光およびTE偏光の概念図である。
【0028】
ここでは、
図1Bおよび
図1Cに示す2次元のフォトニック結晶に対して、偏光方向に平行な格子方向(x方向)と、偏光方向に直交する格子方向(y方向)との2方向で、それぞれ光の取り出し効率の計算を行った。
【0029】
実際には、
図2Aに示す1次元のフォトニック結晶のモデルを用い、このフォトニック結晶において、偏光方向が互いに直交するTM偏光およびTE偏光(
図2B参照)が出射される場合の取り出し効率を計算した。TM偏光の偏光成分と1次元フォトニック結晶の格子方向との関係は、偏光方向がx方向の光と、2次元フォトニック結晶(
図1Bおよび
図1C参照)のx方向に配列された凸部との関係と等価である。一方で、TE偏光の偏光成分と1次元のフォトニック結晶の格子方向との関係は、偏光方向がx方向の光と、2次元のフォトニック結晶のy方向に配列された凸部との関係と等価である。したがって、
図2Aに示す1次元のフォトニック結晶に対して、TM偏光の光の取り出し効率の計算から、
図1Cに示すx方向のピッチp1に対する光の取り出し効率が得られ、TE偏光の光の取り出し効率の計算から、2次元のフォトニック結晶のy方向のピッチp2に対する光の取り出し効率が得られることになる。
【0030】
なお、光の取り出し効率は、指向性を考慮するために、出射面に垂直な方向に対して±30°以内の角度で出射される光の光量の、光源で発生する全光量に対する割合とした。このとき、フォトニック結晶(凸部)の断面形状に関しては、デューティ比が0.5である矩形形状として計算を行った。また、ここでは、GaNからなるフォトニック結晶から空気中に光が出射する場合について、結晶(凸部)の高さdをいくつか変化させながら、出射光の真空中での波長λで規格化したピッチpiに対して、光の取り出し効率の計算を行った。
【0031】
図3Aおよび
図3Bに、このようにして得られた、フォトニック結晶の周期(ピッチ)に対する光の取り出し効率の計算結果を示す。
図3AはTM偏光の場合、
図3BはTE偏光の場合の計算結果である。
【0032】
図3Aおよび
図3Bからわかるように、取り出し効率が極大を示すフォトニック結晶のピッチ範囲(図の陰影部分に相当)は、TM偏光およびTE偏光でそれぞれ異なっている。
図3AのTM偏光の場合、偏光成分に平行な方向のピッチは、0.4λ〜0.8λが取り出し効率が極大となる最適値である。したがって、偏光方向がx方向の光に対する2次元フォトニック結晶のx方向の最適化されたピッチp1は、0.4λ<p1<0.8λとなる。同様に、
図3BのTE偏光の場合から、偏光方向がx方向の光に対する2次元フォトニック結晶のy方向の最適化されたピッチp2は、0.8λ<p2<1.2λとなる。したがって、フォトニック結晶の各方向のピッチp1,p2と、出射光の真空中での波長λとの関係は、
0.4<(p1/λ)<0.8<(p2/λ)<1.2 (1)
を満たすことになる。
【0033】
また、
図2Aに示す1次元のフォトニック結晶のモデルを用い、ピッチpiに対するフォトニック結晶の凸部の幅wiの比(デューティ比ri=wi/pi)を、0.1から0.9まで変化させたときの、TM偏光およびTE偏光の取り出し効率を計算した。このとき、フォトニック結晶のピッチpiは、TM偏光およびTE偏光の計算に対して、それぞれ0.6λおよび1.0λとし、高さdは、TM偏光とTE偏光のいずれを計算するときも0.15μmとした。なお、光の取り出し効率は、指向性を考慮するために、出射面に垂直な方向に対して±30°以内の角度で出射される光の光量の、光源で発生する全光量に対する割合とした。
【0034】
図4Aおよび
図4Bに、このようにして得られた、デューティ比riに対する取り出し効率の計算結果を示す。
図4AはTM偏光の場合、
図4BはTE偏光の場合の計算結果である。
【0035】
図4Aおよび
図4Bからわかるように、デューティ比に応じて、光の取り出し効率は変化する。最も取り出し効率が大きくなる最適なデューティ比は、TM偏光およびTE偏光のいずれにおいても0.5である。この最適な値よりデューティ比が大きくまたは小さくなるほど、光の取り出し効率は低下する。したがって、高い光の取り出し効率を得るためには、フォトニック結晶のそれぞれの方向におけるデューティ比r1およびデューティ比r2が、0.5であればよい。
【0036】
周期構造が上記関係式(1)を満たすフォトニック結晶の構成は、
図1Bおよび
図1Cに示す構成に限定されず、例えば、
図5Aおよび
図5Bに示すような構成も可能である。
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ本実施形態のフォトニック結晶の変形例を概略的に示す斜視図および平面図である。
【0037】
図5Aおよび
図5Bに示すフォトニック結晶14bは、
図1Bおよび
図1Cにおける凸部15aの正方格子が2つ組み合わされたような構成を有している。凸部15bがこのような配置をとることで、n型半導体層13bの表面に占める凸部15bの割合が増加することになる。それにより、
図5Aおよび
図5Bに示すフォトニック結晶14bには、光の取り出し効率をより向上させることができるという効果もある。
【0038】
なお、
図1Bおよび
図1Cに示すフォトニック結晶14aと、
図5Aおよび
図5Bに示すフォトニック結晶14bでは、z方向から見た凸部15a,15bの形状はそれぞれ楕円である。しかしながら、x方向の幅とy方向の幅とが互いに異なっていれば、これに限定されることはなく、例えば、y方向に延びる矩形であってもよい。また、長い方の対角線がy方向に延びる菱形など、さらに別の幾何形状であってもよい。
【0039】
一方、
図3Aおよび
図3Bでは、フォトニック結晶の凸部の高さdが正の場合の計算結果のみを示したが、凸部の高さdが負の場合、すなわち凹部の場合も同様の計算結果となる。そのため、本実施形態のフォトニック結晶は、n型半導体層の表面に開口するように形成された凹部によって構成されていてもよい。
【0040】
図6Aおよび
図7Aは、そのようなフォトニック結晶を概略的に示す斜視図であり、
図6Bおよび
図7Bは、それぞれ
図6Aおよび
図7Aのフォトニック結晶を概略的に示す平面図である。
図6Aおよび
図6Bには、
図1Bおよび
図1Cのフォトニック結晶14aに対応するフォトニック結晶14cを示し、
図7Aおよび
図7Bには、
図5Aおよび
図5Bのフォトニック結晶14bに対応するフォトニック結晶14dを示してある。
図1Bおよび
図1Cに示すフォトニック結晶14aと、
図5Aおよび
図5Bに示すフォトニック結晶14bにおいては、凸部15a,15bのx方向およびy方向の幅を、それぞれw1およびw2とした。それに対し、
図6Aから
図7Bに示すフォトニック結晶14c,14dにおいては、凹部15c,15dのx方向およびy方向の幅を、それぞれw1とw2としている。
【0041】
図8Aおよび
図8Bは、
図2Aに示す1次元のフォトニック結晶のモデルを用い、ピッチpiに対するフォトニック結晶の凹部の幅wiの比(デューティ比ri)を、0.1から0.9まで変化させたときの、TM偏光(
図8A)およびTE偏光(
図8B)の取り出し効率の計算結果である。各計算結果は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、デューティ比が0.5のときを対称軸として、
図4Aおよび
図4Bに対してそれぞれ左右対称となる。したがって、フォトニック結晶が凹部により構成されている場合も、凸部の場合と同様に、高い取り出し効率を得るためには、フォトニック結晶のそれぞれの方向におけるデューティ比r1およびデューティ比r2が、0.5であればよい。
【0042】
また、
図6Aから
図7Bに示すフォトニック結晶においても、
図1Bおよび
図1Cに示すフォトニック結晶や、
図5Aおよび
図5Bに示すフォトニック結晶の場合と同様に、z方向から見た凹部の形状は、矩形や菱形などに変更可能である。
【0043】
以上のように、本実施形態の発光素子では、活性層からの光の偏光状態に応じて周期が最適化されたフォトニック結晶が発光部の出射面に形成されているため、発光部からの光の取り出し効率と指向性とを最大限に向上させることが可能となる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態における発光素子について説明する。
【0045】
図9は、本実施形態の発光素子を概略的に示す断面図であり、基板に直交する方向の断面を示している。
【0046】
本実施形態の発光素子1は、基板3と、基板3上に設けられた反射層4と、反射層4上に設けられた正電極5と、反射層4上に設けられ、半導体層21−23と偏光選択層26とを有する発光部20と、発光部20の出射面上に設けられた正電極6と、を有している。
【0047】
発光部20は、第1の実施形態と同様に、反射層4の上面に設けられたp型半導体層21と、p型半導体層21上に設けられ、光を発生させる活性層22と、活性層22上に設けられたn型半導体層23とによって構成された半導体層を有している。
【0048】
さらに、本実施形態では、発光部20が、n型半導体層23の上面に形成されたフォトニック結晶24上に、x方向に平行な偏光成分を透過させ、それ以外の偏光成分を反射させるようになっている、ワイヤグリッド偏光子からなる偏光選択層26を有している。この偏光選択層26が設けられる点を除いて、外見上は、フォトニック結晶24の構成を含めて、本実施形態と第1の実施形態とは同様である。
【0049】
しかしながら、本実施形態では、この偏光選択層26が設けられる代わりに、発光部20が、偏光方向がx方向の光ではなく、無偏光の光を出射するように構成されていてもよい。すなわち、各半導体層21,22,23は、主面が極性面となるように、反射層4上に形成されていてもよい。いずれにしても、発光部20で出射された光は、フォトニック結晶24によってx方向の偏光成分の取り出し効率と指向性とが高められた後で、偏光選択層26を透過するようになっている。このようにして、本実施形態の発光素子2においても、第1の実施形態と同様の効果が得られることになる。
【0050】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、フォトニック結晶の凸部の構成および形状の変更が可能である。
【0051】
最後に、本発明の発光素子を備えた投写型表示装置としてのLEDプロジェクタの一実施形態について説明する。
【0052】
図10は、本実施形態のLEDプロジェクタの光学系の構成を概略的に示す配置図である。
【0053】
本実施形態のLEDプロジェクタ30は、各色光R(赤),G(緑),B(青)に対して、光源31R,31G,31Bと、光源31R,31G,31Bから出射された色光R,G,Bを画像情報に応じて変調する表示素子(光変調素子)33R,33G,33Bと、をそれぞれ備えている。光源31G,31Bは、本発明の発光素子を含んでいる。光源31Rには、半導体材料としてGaAsやAlGaAs、GaP、GaAsP等を用いた発光素子が用いられる。本実施形態では、表示素子として、透過型の液晶表示素子が用いられている。
【0054】
また、本実施形態のLEDプロジェクタ30は、表示素子33R,33G,33Bによって変調された各色光R,G,Bを合成して射出するクロスダイクロイックプリズム34と、合成された光を投射して表示する投写レンズ(投写光学系)37と、を備えている。さらに、光源31R,31G,31Bと表示素子33R,33G,33Bとの間にはそれぞれ、光を表示素子へ照射するためのレンズ32R,32G,32Bが設けられている。
【0055】
クロスダイクロイックプリズム34は、第1の膜35が、赤色光Rのs偏光成分を反射して、緑色光Gのp偏光成分と青色光Bのs偏光成分とを透過させるように構成されている。一方で、クロスダイクロイックプリズム34の第2の膜36は、赤色光Rのs偏光成分と緑色光Gのp偏光成分とを透過させ、青色光Bのs偏光成分を反射するように構成されている。本発明の発光素子は、特定の方向の偏光成分の光の取り出し効率および指向性が高くなっている。そのため、緑色光Gのp偏光成分の光と青色光Bのs偏光成分の光とが前記の特定の方向の偏光成分となるように、光源Gおよび光源Bを配置することにより、LEDプロジェクタ30の光学系の光利用効率を向上させることが可能となる。
【0056】
なお、LEDプロジェクタの表示素子としては、反射型液晶表示素子やデジタルミラーデバイスなどの、反射型の表示素子を用いることも可能である。
【0057】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0058】
この出願は、2009年10月23曰に出願された日本出願特願2009−244434を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。