(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
駆動源としての、燃料をエネルギーとするエンジン(11)及び電力をエネルギーとするモータ(12)と、前記モータに電力を供給するとともに、車両外部の電力供給源から電力を充電可能なバッテリ(19)と、を備える車両(10)において、前記エンジン及び前記モータの作動を制御する車両制御装置であって、
停止状態から車両を起動させる起動処理期間において、所定処理を実行する実行手段として、
設定された目的値までの予定走行経路を取得する経路取得手段(21,S50)と、
前記予定走行経路が設定される走行エリアにおいて、予め所定の条件により設定された地域データを取得する地域データ取得手段(21,S51)と、
前記地域データとして取得された、前記走行エリア内に存在する地域ごとに、推定されるエネルギー指標として、単位距離当たりの燃料コストとCO2排出量との乗算値である推定燃料指標と、単位距離当たりの電力コストとCO2排出量との乗算値である推定電力指標と、を取得する推定指標取得手段(21,S53,S57,S61,S70)と、
前記地域ごとに、前記推定燃料指標及び前記推定電力指標のうち、値の小さい方の前記エネルギーを使用する前記駆動源を選択して走行するように走行パターンを設定する走行パターン設定手段(21,S62,S71)と、を備えることを特徴とする車両制御装置。
前記実行手段として、エネルギー変換効率に関する履歴である単位燃料当たりの走行可能距離である燃料変換効率と、単位電力当たりの走行可能距離である電力変換効率と、を取得する変換効率取得手段(21,S11)を備え、
前記推定指標取得手段は、
前記地域ごとの、燃料単価、単位燃料当たりのCO2排出量、電力単価、及び単位電力当たりのCO2排出量を、外部から取得する地域情報取得手段(21,S53,S57)と、
前記燃料単価、前記単位燃料当たりのCO2排出量、及び前記燃料変換効率に基づいて前記推定燃料指標を算出するとともに、前記電力単価、前記単位電力当たりのCO2排出量、及び前記電力変換効率に基づいて前記推定電力指標を算出する推定指標算出手段(21,S61,S70)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。なお、各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
【0015】
図1は、本発明の実施形態となる車両制御装置を備えたプラグインハイブリッド車両(以下、単に車両と示す)10の要部構成を示す図である。
【0016】
この車両10は、エンジン11とモータジェネレータ(以下、MGと示す)12とを駆動源として備えており、エンジン11とMG12は直列に接続されてディファレンシャル13を介して駆動輪14に駆動力または制動力を伝達する。
【0017】
エンジン11は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、エンジンECU15からの信号に基づいて運転制御が行われる。変速機16はエンジン11の出力軸の回転を変速して駆動輪14側へ出力する。その変速機16とMG12との間にはクラッチ17が設けられており、このクラッチ17によって、変速機16の出力軸とMG12の回転軸との間の動力の断続が切り替えられる。
【0018】
MG12は、例えば交流同期モータであり、インバータ18を介してバッテリ19と電気的に接続されている。インバータ18は、MG−ECU20からの信号に基づいて、MG12をモータ(電動機)あるいはジェネレータ(発電機)として機能させることで力行制御あるいは回生制御する。すなわち、このMG12は、駆動輪14の駆動時にはバッテリ19からの電力の供給を受けて駆動力を発生するモータ(電動機)として機能する。また、駆動輪14から回転エネルギーをうける回生制動時や、エンジン11の動力を用いてMG12を回転させる際には、ジェネレータ(発電機)として機能し、インバータ18を介してバッテリ19を充電することができる。
【0019】
インバータ18は、MG−ECU20からの指令に基づいて動作する。MG−ECU20は、レゾルバ等の回転速度センサを用いてMG12の回転速度を逐次検出している。そして、MG12の回転速度を検出しつつ、ハイブリッドECU(以下、HV−ECU)21から供給される指令信号に基づいて、その指令信号が示す駆動動力または回生制動動力をMG12に発生させるようにインバータ18を制御する。
【0020】
バッテリ19は、リチウムイオン電池等の二次電池であり、MG12は、インバータ18を介してこのバッテリ19及びMG−ECU20に接続されている。MG12の駆動によるモータ走行時には、駆動のための電力をインバータ18を介してMG12に供給する。一方、回生制動時や、エンジン11の動力を用いてMG12を回転させる際には、MG12によって得られた電力をインバータ18を介して充電する。また、バッテリ19には、外部電源に接続してこのバッテリ19を充電するための充電器22が電気的に接続されている。そして、充電コネクタ23が外部電源に差し込まれることにより、バッテリ19が充填される。
【0021】
HV−ECU21は、特許請求の範囲に記載の車両制御装置に相当し、後述するように、走行エリアの地域情報に基づいて、地域ごとの走行パターンを設定する。そして、その設定した走行パターンに基づいてエンジンECU15及びMG−ECU20に指令信号を出力する。
【0022】
また、HV−ECU21は、運転者によってブレーキペダルに入力される操作量を、例えばブレーキペダルの踏力に応じて変化するマスタシリンダ油圧値から検出し、その操作量に基づいて必要制動力を決定する。そして、その必要制動力及び車速と予め記憶されている関係とに基づいて回生制動動力を決定し、決定した回生制動動力を発生させることを指令する指令信号をMG−ECU20へ出力する。なお、回生制動動力を図示しないブレーキECUが決定するようにしてもよい。
【0023】
また、HV−ECU21は、MG−ECU20からMG12の回転速度等、MG12の状態に関する情報を逐次取得する。さらに、HV−ECU21には、例えば電流センサ24によって検出されるバッテリ19の入出力電流値が供給される。また、HV−ECU21には、燃料タンク25に設置された液面センサ26の検出値が供給される。
【0024】
また、HV−ECU21は、ナビゲーションシステム27にも接続されており、HV−ECU21とナビゲーションシステム27とは相互に情報の送受信が可能となっている。HV−ECU21には、ナビゲーションシステム27のECU(以下、ナビゲーションECU)から、所定の情報が入力される。なお、所定の情報としては、自車両の現在位置データや目的地までの予定走行経路だけでなく、地域情報も入力される。この地域情報とは、走行エリアにおける地域データ、地域ごとのエネルギー単価、単位エネルギー当たりのCO
2排出量、走行経路付近のエネルギー補充ポイント、エミッション規制情報などが含まれる。地域情報は、ナビゲーションシステム27を介して無線通信によりセンタから取得される。
【0025】
それ以外にも、地域情報は、地図情報とともに予めナビゲーションシステム27内の記憶装置に記憶されても良い。この場合、地域情報は、例えばネットでダウンロードすることで最新のデータに更新される。さらには、例えばナビゲーションシステム27が備える入力装置を介して、ユーザの入力により地域情報を取得しても良い。また、地域情報が、HV−ECU21内のメモリに記憶されても良いし、ナビゲーションシステム27を介さずに、無線通信により外部から取得しても良い。
【0026】
このように構成される車両10では、エンジン11の駆動によるエンジン走行と、MG12の駆動によるモータ走行とを切り替えて走行することができる。
【0027】
次に、車両用制御装置であるHV−ECU21の処理について説明する。HV−ECU21は、図示しないCPU、ROM、RAM、バス等を有している。CPUは、ROMに格納された制御プログラムに従ってRAMを用い、所定の処理を実行する。なお、HV−ECU21は、E
2PROMなどの不揮発性メモリを有している。
【0028】
図2は、HV−ECU21が実行する車両起動時の処理を示している。HV−ECU21は、車両10のメインスイッチがオン(スタート・ストップボタンの押下によるスタート、イグニッションキーがオン)されると、走行を開始する前に起動処理を実行する。
【0029】
先ずステップS10では、起動時に車両10に蓄積されているエネルギー残量を取得する。このステップS10では、液面センサ26の検出値に基づいて、燃料タンク25に蓄積されている燃料の残量(以下、残燃料Vfaと示す)を算出する。また、電流センサ24の検出値にもとづいて、バッテリ19に蓄積されている電力の残量(以下、残電力Veaと示す)を算出する。そして、これら算出をもってエネルギー残量を取得する。このステップS10は、残量取得手段に相当する。
【0030】
続くステップS11では、エネルギー変換効率に関する履歴として、単位燃料当たりの走行可能距離である燃料変換効率Pf[km/L]と、単位電力当たりの走行可能距離である電力変換効率Pe[km/kWh]と、を取得する。このステップS11は、変換効率取得手段に相当する。これら変換効率Pf,Peは、HV−ECU21のメモリに保存されており、走行にともなって随時更新される。それ以外にも、HV−ECU21とは別のECUから取得しても良い。燃料変換効率Pfは所謂燃費であり、電力変換効率Peは所謂電費である。
【0031】
続くステップS12では、取得したエネルギー残量Vfa,Veaとエネルギー変換効率Pf,Peに基づいて、走行可能距離をエネルギーごとに算出する。残燃料Vfaと燃料変換効率Pfにより、残燃料Vfaでの走行可能距離Df0を算出し、残電力Veaと電力変換効率Peに基づいて、残電力Veaでの走行可能距離De0を算出する。
【0032】
続くステップS13では、車両起動時に蓄積されているエネルギーに関するエネルギー指標、すなわち実際のエネルギー指標(以下、実エネルギー指標と示す)を算出する。このステップS13は、実指標算出手段と実指標記憶手段に相当する。エネルギー指標とは、単位距離当たりのエネルギーコストとCO
2排出量との乗算値[$・g−CO
2/km]である。ここでは、残燃料Vfaに関する単位距離当たりの燃料コストとCO
2排出量との乗算値である実燃料指標F0と、残電力Veaに関する単位距離当たりの電力コストとCO
2排出量との乗算値である実電力指標E0とを算出する。その詳細については後述する。
【0033】
続くステップS14では、走行パターンを設定するために必要な地域情報を取得する。また、続くステップS15では、ステップS14で取得した地域情報などに基づいて、設定された地域ごとに走行パターンを設定する。これらステップS14,S15の詳細については後述する。そして、ステップS15が完了すると、
図3に示す走行中処理に移行する。
【0034】
図3は、HV−ECU21が実行する車両走行中の処理を示している。
【0035】
先ずステップS20では、ステップS14で取得した地域データに基づき、地域を跨いだか否かを判定する。
【0036】
走行エリアに複数の地域を有し、且つ、地域(隣接する地域の境界)を跨いだと判定すると、ステップS21では、ステップS15で設定した走行パターンに応じて、新たに走行する地域の走行パターンに切り替える。
【0037】
続くステップS22では、車両の停止処理が開始されたか否かを判定する。例えば車両の上記したメインスイッチがオフとされることで、車両停止処理開始と判断する。車両停止処理が開始されない限り、すなわち車両が走行中において、ステップS20からステップS22の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS20において、地域を跨いでいないと判定した場合、走行パターンの切り替えは行わずに、ステップS22に移行する。
【0038】
図4は、HV−ECU21が実行する車両停止処理を示している。HV−ECU21は、メインスチッチがオフされてから所定期間は電源が供給され、処理を実行できるようになっている。そこで、HV−ECU21は、ステップS30を実行する。
【0039】
ステップS30では、液面センサ26の検出値に基づいて、この停止処理時に燃料タンク25に蓄積されている燃料の残量(以下、残燃料Vfbと示す)を算出する。また、電流センサ24の検出値にもとづいて、この停止処理時にバッテリ19に蓄積されている電力の残量(以下、残電力Vebと示す)を算出する。そして、これら算出をもってエネルギー残量を取得し、取得したエネルギー残量を不揮発性メモリに保存する。このステップS30が、残量記憶手段に相当する。なお、HV−ECU21がメインスチッチのオフから所定期間、処理を実行できる例を示したが、HV−ECU21の少なくとも一部が、メインスチッチがオフされる期間中、処理を実行できる構成としても良い。
【0040】
次に、上記したステップS13の実エネルギー指標算出処理について、
図5を用いて説明する。
【0041】
先ずステップS40では、不揮発性メモリに保存されている実エネルギー指標を取得する。言うなれば走行停止処理が実行される前の車両起動処理において、後述するステップS47にて不揮発性メモリに保存した実エネルギー指標を取得する。実エネルギー指標として、上記した残燃料に関する実燃料指標F0と、残電力に関する実電力指標E0を取得する。
【0042】
続くステップS41では、不揮発性メモリから、ステップS30で保存したエネルギー残量を取得する。車両停止時にエネルギー補充した場合、言うなればエネルギー補充前のエネルギー残量を取得することとなる。エネルギー残量として、上記したように、残燃料Vfbと残電力Vebを取得する。
【0043】
続くステップS42では、車両停止中にエネルギー補充があったか否かを判定する。車両停止中のエネルギー補充としては、ガソリンスタンド、充電スタンド等の補充ポイント、自宅での充電などが考えられる。この判定では、ステップS10で取得したエネルギー残量Vfa,Veaと、ステップS41で取得したエネルギー残量Vfb,Vebとの一致/不一致で判断する。エネルギー残量Vfa,Veaがエネルギー残量Vfb,Vebと一致する場合、エネルギー補充なしと判定し、エネルギー残量Vfa,Veaがエネルギー残量Vfb,Vebと異なる場合(Vfa>Vfb,Vea>Veb)、エネルギー補充ありと判定する。燃料、電力別個に、エネルギー補充有無を判定する。それ以外にも、HV−ECU21が有するメモリに補充がるとフラグを立てるようにしておき、このフラグがある場合に補充有りと判定しても良い。その場合、後述のステップs46の終了でフラグをリセットする。
【0044】
エネルギー補充ありと判定した場合、ステップS43に移行する。ステップ43では、補充エネルギーに関する情報を取得する。具体的には、エネルギー補充時に、HV−ECU21が、エネルギー単価と、単位エネルギー当たりのCO
2排出量を、ナビゲーションシステム27を介して外部(スタンドなど)から取得する。燃料を補充した場合、燃料単価[$/L]と単位燃料当たりのCO
2排出量[g-CO
2/L]を取得する。電力を補充した場合、電力単価[$/kWh]と単位電力当たりのCO
2排出量[g-CO
2/kWh]を取得する。なお、g-CO
2とは、排出されるCO
2のグラム数である。また、ナビゲーションシステム27が備える入力装置を介して、ユーザの入力により補充したエネルギーに関する情報を取得しても良い。
【0045】
続くステップS44では、補充分のエネルギーに関する実エネルギー指標を取得する。実エネルギー指標として、燃料を補充した場合、補充した燃料に関する実燃料指標F0aを取得する。電力を補充した場合、補充した電力に関する実電力指標E0aを取得する。補充エネルギーが燃料の場合、ステップS43で取得した燃料単価と単位燃料当たりのCO
2排出量とを乗算し、ステップS11で取得した燃料変換効率Pfで除算することで、実燃料指標F0aを算出する。一方、補充エネルギーが燃料の場合、ステップS43で取得した電力単価と単位電力当たりのCO
2排出量とを乗算し、ステップS11で取得した電力変換効率Peで除算することで、実電力指標E0aを算出する。
【0046】
続くステップS45では、補充後の残エネルギーに関する実エネルギー指標を算出する。すなわち、補充前の残エネルギーに補充分のエネルギーを加味してなるエネルギーに関して、実エネルギー指標F0m,E0mを算出する。燃料に関する実エネルギー指標F0mは、停止前のエネルギー残量Vfb、ステップS10で取得した起動時のエネルギー残量Vfa、補充量Vfc(=Vfa−Vfb)、停止前の残燃料に関する実燃料指標F0、補充した残燃料に関する実燃料指標F0aを用いて、次式により算出される。
(式1)F0m=(
Vfb・F0+Vfc・F0a)/(
Vfb+Vfc)
同様に、電力に関する実エネルギー指標E0mは、停止前のエネルギー残量Veb、ステップS10で取得した起動時のエネルギー残量Vea、補充量Vec(=Vea−Veb)、停止前の残電力に関する実電力指標E0、補充した残電力に関する実電力指標E0aを用いて、次式により算出される。
(式2)E0m=(
Veb・E0+Vec・E0a)/(
Veb+Vec)
上記したステップS43〜S45が実質的に実指標算出手段に相当する。
【0047】
続くステップS46では、ステップ45で算出した実エネルギー指標F0m,E0mを、残エネルギーに関する新たな実エネルギー指標F0,E0として、メモリに保存する。このステップS46が実質的に実指標記憶手段に相当する。以上により、実エネルギー算出処理を終了する。なお、ステップS42において、エネルギー補充なしと判定した場合も、ステップS43からステップS46を経ることなく、実エネルギー算出処理を終了する。
【0048】
次に、上記したステップS14の地域情報取得処理について、
図6を用いて説明する。
【0049】
先ずステップS50では、ナビゲーションシステム27から、目的地までの予定走行経路を取得する。このステップS50が、経路取得手段に相当する。
【0050】
続くステップS51では、予定走行経路が設定される走行エリアにおいて、予め所定の条件により設定された地域データを取得する。すなわち、走行エリア内に、どの地域が存在するのかを取得する。このステップS51が、地域データ取得手段に相当する。
【0051】
ここで、地域とは、例えば異なる国、異なる州、電力管轄の異なる地域、異なる県、同一県内の異なる地方(例えばA地方とB地方)など、所定の単位(範囲)で設定されている。また、エネルギー単価及び単位エネルギー当たりのCO
2排出量の少なくとも一方が異なることを所定の条件として、地域が設定されても良い。本実施形態では、この地域データを、上記したようにナビゲーションシステム27を介して無線通信によりセンタから取得する。この地域は、ナビゲーションシステム27での経路案内にも反映される。
【0052】
続くステップS52では、ステップS51及びステップS52で取得した情報に基づいて、走行エリア内における地域ごとの予定走行距離D(N)を取得する。例えば地域1の予定走行距離はD1、地域2の予定走行距離はD2である。このステップS52が予定距離取得手段に相当する。地域ごとの予定走行距離D(N)は、例えばナビゲーションECU側で算出され、この算出された予定走行距離をナビゲーションシステム27から取得する。しかしながら、HV−ECU21側で算出することをもって取得しても良い。
【0053】
続くステップS53では、車両10が現在位置する現在地域に関する地域情報を取得する。地域情報としては、現在地域におけるエネルギー単価、単位エネルギー当たりのCO
2排出量、走行経路付近のエネルギー補充ポイント、エミッション規制情報などが含まれる。この地域情報についても、上記したようにナビゲーションシステム27を介して無線通信によりセンタから取得する。なお、ここでのエネルギー単価、単位エネルギー当たりのCO
2排出量は、外部から取得した値であり、例えば地域の平均値である。
【0054】
続くステップS54では、ステップS50,51で取得したデータに基づき、地域跨ぎがあるか否か、すなわち複数の地域を有するか否かを判定する。
【0055】
地域跨ぎがある場合、ステップS55では、予定走行経路において通過する地域数mを取得する。具体的には、カウンタのカウントアップ値(カウント終了値)としてmを設定する。そして、ステップS56では、地域情報を取得する地域としてN=2を設定する。具体的には、カウンタの初期値としてN=2を設定する。これにより、現在地域の次に走行する地域について、地域情報を取得することとなる。
【0056】
続くステップS57では、カウンタの値に対応する地域Nについて、ステップS53同様に、地域情報を取得する。このステップS57と上記したステップS53とが、地域情報取得手段に相当する。
【0057】
続くステップS58では、地域Nが地域数mと一致するか否かを判定する。換言すれば、カウンタの値がカウントアップ値mとなったか否かを判定する。地域Nが地域数mと一致する場合、走行エリアの全ての地域について、地域情報取得が完了したとして、地域情報取得処理を完了する。
【0058】
ステップS58で、地域Nが地域数mと一致しない場合、ステップS59では、(N+1)を地域Nに設定する。例えば、N=2が設定されている場合、ステップS59により、N=3が新たに設定されることとなる。そして、地域Nが地域数mと一致するまで、ステップS57からステップS59を繰り返し実行する。
【0059】
また、ステップS54にて、地域跨ぎなし、すなわち走行エリア内の地域は1つのみと判定した場合は、ステップS55からステップS59の処理を経ることなく、地域情報取得処理を完了する。
【0060】
次に、上記したステップS15の走行パターン設定処理について、
図7を用いて説明する。
【0061】
図7に示すように、先ずステップS60では、ステップS54同様、地域跨ぎがあるか否か、すなわち複数の地域を有するか否かを判定する。
【0062】
地域跨ぎがない場合、続くステップS61では、現在地域(地域1)について、推定されるエネルギー指標F1,E1を取得する。ここでは、ステップS14で取得した地域情報、具体的には、エネルギー単価及び単位エネルギー当たりのCO
2排出量と、ステップS11で取得したエネルギー変換効率Pf,Peとにより、推定エネルギー指標F1,E1を算出する。推定燃料指標F1は、燃料単価と単位燃料当たりのCO
2排出量の乗算値を、燃料変換効率Pfで除算することで算出される。推定電力指標E1は、電力単価と単位電力当たりのCO
2排出量の乗算値を、電力変換効率Peで除算することで算出される。これら推定エネルギー指標F1,E1の算出をもって、推定エネルギー指標F1,E1を取得する。
【0063】
続くステップS62では、ステップS61で取得した推定エネルギー指標F1,E1と、ステップS14で取得したエミッション規制情報に基づいて、現在地域の走行パターンを決定する。エミッション規制がない場合、現在地域である地域1において、推定燃料指標F1と推定電力指標E1を比較し、値の小さい方の駆動源を選択して走行するように走行パターンを決定する。
【0064】
続くステップS63では、ステップS62で決定した走行パターンにおいて、残エネルギーでの走行可能距離を取得する。上記したように、ステップS12で取得した走行可能距離Df0、De0のうち、使用予定のエネルギーに関する走行可能距離を取得する。
【0065】
続くステップS64では、ステップS52で取得した現在地域の予定走行距離D1と、ステップS63で選択した使用予定のエネルギーに関する走行可能距離を比較する。そして、目的地に到達できる否かを判定する。
【0066】
目的地に到達できると判定した場合、走行パターン設定処理を終了する。一方、目的地に到達できないと判定した場合、続くステップS65では、使用予定の残エネルギーで到達できる範囲内の所定地点に、使用予定のエネルギーを補充する補充ポイントを設定する。また、現在地域を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップS14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、使用予定の残エネルギーで到達できる限界地点の10km手前付近のものを選択し、補充ポイントを設定する。また、補充ポイントから目的地までの予定走行距離を算出し、エネルギー変換効率から逆算して、補充量を設定する。なお、1つの補充ポイント及び補充では現在地域を完走できない場合には、補充ポイントを複数設定する。
【0067】
続くステップS66では、ステップS65で設定した補充ポイント、補充量を含む補充情報を、ナビゲーションシステム27を介してユーザに通知する。ステップS14では、地域情報として、補充ポイント(位置)とともに、補充ポイントにおける台数を取得し、この補充情報として台数を通知しても良い。また、補充量から補充時間を算出し、補充情報として併せて通知しても良い。
【0068】
ステップS66の通知処理をもって、走行パターン設定処理を終了しても良いが、ステップS66に続いて、ステップS67,S68が実行しても良い。
【0069】
ステップS67では、未使用予定のエネルギーについて、ユーザにその使用の問い合わせを通知する。例えば、現在地域の走行パターンがモータの場合、電力がなくなった後は、燃料を使用するか否かを問い合わせる。なお、上記した台数や補充時間も、ユーザが未使用予定のエネルギーの使用可否を判断する材料となる。
【0070】
そして、ステップS66,S67に基づいてユーザが判断した結果を、例えばナビゲーションシステム27を介して取得し、この問い合わせ結果に基づいて、ステップS68では、走行パターンの再決定を実行する。例えば、走行パターンがモータであるが、燃料の使用を許可する回答を得た場合、現在地域の走行パターンを、先ずモータ走行とし、電力がなくなった後をエンジン走行となるパターンに設定する。そして、走行パターン設定処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS60にて、地域跨ぎ有りと判定した場合、次いでステップS69を実行する。ステップS69では、ステップS14で取得した地域データに基づいて、予定走行経路における通過地域数m(mは2以上の整数)を取得する。具体的には、カウンタのカウントアップ値(カウント終了値)としてmを設定する。
【0072】
続くステップS70では、地域ごとに、推定エネルギー指標F(N),E(N)を取得する。このステップS70と上記したステップS61が、推定指標取得手段に相当する。このステップでも、ステップS61同様に、ステップS14で取得した地域情報、具体的には、エネルギー単価及び単位エネルギー当たりのCO
2排出量と、ステップS11で取得したエネルギー変換効率Pf,Peとにより、各地域の推定エネルギー指標F(N),E(N)を算出する。例えば3つの地域を有する場合、地域1の情報に基づいて、地域1における推定エネルギー指標F1,E1を算出し、地域2の情報に基づいて、地域2における推定エネルギー指標F2,E2を算出する。また、地域3の情報に基づいて、地域3における推定エネルギー指標F3,E3を算出する。そして、これら推定エネルギー指標F(N),E(N)の算出をもって、推定エネルギー指標F(N),E(N)を取得する。
【0073】
続くステップS71では、走行パターン決定処理を実行する。このステップS71と、上記したステップS62とが、走行パターン設定手段に相当する。この走行パターン決定処理は、
図8に示すように、先ずステップS80を実行する。
【0074】
ステップS80では、ステップS70で取得した地域ごとの推定エネルギー指標F(N),E(N)に基づいて、地域ごとに、推定エネルギー指標の最小値を算出する。例えば、地域1において、推定燃料指標F1が推定電力指標E1よりも小さい場合、最小値を推定熱指標F1とする。
【0075】
続くステップS81では、ステップS80で取得した、地域ごとの推定エネルギー指標F(N),E(N)の最小値と、ステップS14で取得したエミッション規制情報に基づいて、地域ごとに走行パターンを決定する。エミッション規制がない場合、ステップS80で算出した最小値側の駆動源を選択して走行するように走行パターンを決定する。
【0076】
続くステップS72では、補充ポイント及び補充量を設定する補充設定処理を実行する。詳細については後述する。
【0077】
続くステップS73では、エネルギー補充があるか否かを判定する。換言すれば、ステップS72に基づき、少なくとも1つの地域に補充ポイントが設定されたか否かを判定する。
【0078】
そして、エネルギー補充ありと判定した場合、続くステップS74では、ステップS72で設定した補充ポイント、補充量を含む補充情報を、ナビゲーションシステム27を介してユーザに通知する。ステップS66同様、補充機器の台数や補充時間も、補充情報として併せて通知しても良い。
【0079】
ステップS74の通知処理をもって、走行パターン設定処理を終了しても良いが、ステップS74に続いて、ステップS75,S76が実行しても良い。
【0080】
ステップS75では、ステップS67同様、未使用予定のエネルギーについて、ユーザにその使用の問い合わせを通知する。
【0081】
そして、ステップS74,S75に基づいてユーザが判断した結果を、例えばナビゲーションシステム27を介して取得し、この問い合わせ結果に基づいて、ステップS76では、ステップS68同様、走行パターンの再決定を実行する。そして、走行パターン設定処理を終了する。
【0082】
一方、ステップS73にて、エネルギー補充なしと判定した場合、ステップS74などを経ること無く、走行パターン設定処理を終了する。
【0083】
次に、上記したステップS72の補充設定処理について、
図9を用いて説明する。
【0084】
先ずステップS82では、カウンタの初期値としてN=0を設定する。続くステップS83では、ステップS70に基づき、地域(N+1)の走行パターンがモータ走行であるか否かを判定する。N=0の場合、地域1がモータ走行か否かを判定する。
【0085】
モータ走行であると判定した場合、続くステップS84では、モータ走行に使用する残電力での走行可能距離De(N)を取得する。N=0の場合、ステップS12で算出したDe0を取得する。N≠0の場合、後述するステップS101で算出するエネルギー残量Veaと、ステップS11で取得したエネルギー変換効率Peに基づいて、走行可能距離De(N)を算出する。
【0086】
続くステップS85では、ステップS84で取得した走行可能距離De(N)と、ステップS52で取得した地域(N+1)の予定走行距離D(N+1)とを比較して、残電力による走行可能距離De(N)が、走行予定の地域(N+1)の予定走行距離D(N+1)よりも長いか否かを判定する。
【0087】
走行可能距離De(N)が予定走行距離D(N+1)よりも短い場合、すなわち、残電力で地域(N+1)を完走できないと判定した場合、続くステップS86では、地域(N+1)の所定地点に、電力の補充ポイントを設定する。また、地域(N+1)を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップS14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、使用予定の残エネルギーで到達できる限界地点の10km手前付近のものを選択し、補充ポイントを設定する。また、補充ポイントから地域(N+1)の残りの距離を算出し、エネルギー変換効率から逆算して、補充量を設定する。なお、1つの補充ポイント及び補充では地域(N+1)を完走できない場合には、補充ポイントを複数設定する。なお、ステップS85において、走行可能距離De(N)が予定走行距離D(N+1)よりも長いと判定した場合には、上記ステップS86を経ずにステップS87に移行する。
【0088】
続くステップS87では、地域(N+2)以降において、同一の走行パターン、すなわちモータ走行があるか否かを判定する。
【0089】
そして、地域(N+2)以降にもモータ走行があると判定した場合、続くステップS88では、地域(N+1)における推定電力指標E(N+1)と、モータ走行する次の地域(N+α)における推定電力指標E(N+α)とを比較する。そして、推定電力指標E(N+1)が推定電力指標E(N+α)よりも大きいか否かを判定する。なお、αは2以上の整数である。例えば、地域1の次に地域3にモータ走行の場合、推定電力指標E1が、地域3の推定電力指標E3よりも大きいか否かを判定する。
【0090】
推定電力指標E(N+1)が推定電力指標E(N+α)よりも大きいと判定した場合、ステップS101に移行する。一方、推定電力指標E(N+1)が推定電力指標E(N+α)よりも小さいと判定した場合、続くステップS89では、地域(N+1)の離脱直前に、補充ポイントを設定する。また、例えば地域(N+α)を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップ14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、地域(N+1)の離脱直前付近で、補充ポイントを設定する。また、ステップS10で取得した残電力、ステップS86での補充量、ステップS84での走行可能距離De(N)をステップS11で取得した電力変換効率Peから逆算した予想電力消費量から、補充量を設定する。なお、補充しても地域(N+α)を完走できない場合には、フル状態となるように補充するものとする。
【0091】
一方、ステップS83において、エンジン走行であると判定した場合、続くステップS90では、エンジン走行に使用する残燃料での走行可能距離Df(N)を取得する。このステップS90と、上記したステップS12,S84が、可能距離算出手段に相当する。N=0の場合、ステップS12で算出したDf0を取得する。N≠0の場合、後述するステップS101で算出するエネルギー残量Vfaと、ステップS11で取得したエネルギー変換効率Pfに基づいて、走行可能距離Df(N)を算出する。
【0092】
続くステップS91では、地域(N+1)を走行するための残燃料に関する燃料指標F(N)と、地域(N+1)の推定燃料指標F(N+1)とを比較する。そして、残燃料に関する燃料指標F(N)が、推定燃料指標F(N+1)よりも大きいか否かを判定する。例えばN=0の場合、ステップS13で取得した実燃料指標F0と、ステップS70で取得した地域1の推定燃料指標F1とを比較する。また、N=1の場合、ステップS70で取得した地域1の推定燃料指標F1と地域2の推定燃料指標F2とを比較する。
【0093】
残燃料に関する燃料指標F(N)が、推定エネルギー指標F(N+1)よりも大きいと判定した場合、続くステップS92では、地域(N+1)突入直後付近に補充ポイントを設定する。また、地域(N+1)を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップ14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、地域(N+1)のスタート地点付近のものを選択し、補充ポイントを設定する。また、ステップS10で取得した残燃料、ステップS90での走行可能距離Df(N)、ステップS11で取得した燃料変換効率Pfから、補充量を設定する。なお、1つの補充ポイント及び補充では地域(N+1)を完走できない場合には、補充ポイントを複数設定する。
【0094】
続くステップS93では、ステップS92で設定する補充を加味して、地域(N+1)における推定燃料指標F(N+1)を再計算する。このとき、補充前の残燃料、残燃料に関する燃料指標F(N)、補充量、地域
(N+1)における推定
燃料指標F(N+1)から、上記した数式1同様に、補充後の残燃料による推定燃料指標F(N+1)を算出する。そして、ステップS97に移行する。
【0095】
一方、ステップS91で、残燃料に関する燃料指標F(N)が、推定エネルギー指標F(N+1)よりも小さいと判定した場合、続くステップS94では、ステップS90で取得した走行可能距離Df(N)と、ステップS52で取得した地域(N+1)の予定走行距離D(N+1)とを比較して、走行可能距離Df(N)が予定走行距離D(N+1)よりも長いか否かを判定する。
【0096】
走行可能距離Df(N)が予定走行距離D(N+1)よりも長いと判定した場合、ステップS97に移行する。一方、走行可能距離Df(N)が予定走行距離D(N+1)よりも短い、すなわち、残燃料で地域(N+1)を完走できないと判定した場合、続くステップS95では、地域(N+1)の所定地点に、燃料の補充ポイントを設定する。また、地域(N+1)を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップS14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、使用予定の残エネルギーで到達できる限界地点の10km手前付近のものを選択し、補充ポイントを設定する。また、補充ポイントから地域(N+1)の残りの距離を算出し、燃料変換効率Pfから逆算して、補充量を設定する。なお、1つの補充ポイント及び補充では現在地域を完走できない場合には、補充ポイントを複数設定する。
【0097】
続くステップS96では、ステップS95で設定する補充を加味して、ステップS93同様、燃料補充後の推定燃料指標F(N+1)を再計算する。
【0098】
続くステップS97では、地域(N+2)以降において、ステップS71に基づいて、同一の走行パターン、すなわちエンジン走行があるか否かを判定する。
【0099】
そして、地域(N+2)以降にもエンジン走行がないと判定した場合、ステップS101に移行する。一方、地域(N+2)以降にもエンジン走行があると判定した場合、続くステップS98では、地域(N+1)における推定燃料指標E(N+1)と、エンジン走行する次の地域(N+β)における推定燃料指標E(N+β)とを比較する。そして、推定燃料指標F(N+1)が推定燃料指標F(N+β)よりも大きいか否かを判定する。なお、βは2以上の整数である。例えば、地域1の次が地域3の場合、推定燃料指標E1が、地域1の次にエンジン走行する地域3の推定燃料指標E3よりも大きいか否かを判定する。
【0100】
推定燃料指標F(N+1)が推定燃料指標F(N+β)よりも大きいと判定した場合、ステップS101に移行する。一方、推定燃料指標F(N+1)が推定燃料指標F(N+β)よりも小さいと判定した場合、続くステップS99では、地域(N+1)の離脱直前に、補充ポイントを設定する。また、例えば地域(N+β)を完走するのに必要な所定の補充量を設定する。例えば、ステップ14で取得したエネルギー補充ポイントの中から、地域(N+1)の離脱直前付近で、補充ポイントを設定する。また、ステップS10で取得した残燃料、ステップS92,S95での補充量、ステップS90での走行可能距離Df(N)をステップS11で取得した燃料変換効率Pfから逆算した予想燃料消費量から、補充量を設定する。なお、補充しても地域(N+β)を完走できない場合には、フル状態となるように補充するものとする。
【0101】
続くステップS100では、ステップS99で設定する補充を加味して、ステップS93同様、燃料補充後の推定燃料指標F(N+1)を再計算する。このステップS100と、上記したステップS93,S96が更新手段に相当する。
【0102】
続くステップS101では、地域(N+1)完走時に推定されるエネルギー残量Vfa,Veaを算出する。これは、ステップS10で取得した残エネルギー、ステップS86,S89,S92,S95での補充量、ステップS84,S90での走行可能距離De(N),Df(N)、ステップS11で取得したエネルギー変換効率Pf,Peより算出される。
【0103】
続くステップS102では、地域Nが地域数mと一致するか否かを判定する。換言すれば、カウンタの値がカウントアップ値mとなったか否かを判定する。地域Nが地域数mと一致する場合、走行エリアの全ての地域について、補充設定が完了したとして、補充設定処理を完了する。
【0104】
ステップS102で、地域Nが地域数mと一致しない場合、ステップS103では、N+1を地域Nに設定する。そして、地域Nが地域数mと一致するまで、ステップS83からステップS102を繰り返し実行する。
【0105】
次に、本実施形態に係るHV−ECU21の特徴部分の効果について説明する。
【0106】
先ず、HV−ECU21は、起動処理時において、予定走行経路をナビゲーションシステム27から取得する(ステップS50)。また、予定走行経路が設定される走行エリアにおいて、予め所定の条件により設定された地域データを、ナビゲーションシステム27を介してセンタから取得する(ステップS51)。これにより、予定走行経路が通過する地域が明らかとなる。例えば
図10に示すように、予定走行経路が3つの地域を通過することが明らかとなる。
【0107】
さらに、予定走行経路が通過する地域ごとに、推定されるエネルギー指標として、単位距離当たりの燃料コストとCO
2排出量との乗算値である推定燃料指標F(N)と、単位距離当たりの電力コストとCO
2排出量との乗算値である推定電力指標E(N)と、をそれぞれ取得する(ステップS53,S57,S61,S70)。例えば
図10に示すように、地域1に関する推定燃料指標F1及び推定電力指標E1、地域2に関する推定燃料指標F2及び推定電力指標E2、地域3に関する推定燃料指標F3及び推定電力指標E3を取得する。なお、
図10の縦軸がエネルギー指標[$・g−CO
2/km]、横軸が距離を示している。
【0108】
そして、地域ごとに、推定燃料指標F(N)及び推定電力指標E(N)のうち、値の小さい方の駆動源を選択して走行するように走行パターンを設定する(ステップS62,S71)。例えば
図10に示すように、地域1では、推定電力指標E1の方が小さいのでモータ走行とし、地域2では、推定燃料指標F2の方が小さいのでエンジン走行とする。また、地域3では、推定電力指標E3の方が小さいのでモータ走行とする。
【0109】
このように、地域ごとに、推定されるエネルギー指標の値の小さい方の駆動源を使用するように走行パターンを設定する。したがって、走行中にエネルギーが無くなっても、エネルギー指標の小さい方のエネルギーを補充することができる。そして、補充した、エネルギー指標の小さい方のエネルギーを用いて走行することができる。これにより、各地域において、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。換言すれば環境負荷を軽減して地球に優しく、財布にやさしい走行を実現することができる。
【0110】
なお、上記したように、地域とは、例えば異なる国、異なる州、電力管轄の異なる地域、異なる県、同一県内の異なる地方(例えばA地方とB地方)など、所定の単位(範囲)で設定される。また、エネルギー単価及び単位エネルギー当たりのCO
2排出量の少なくとも一方が異なることを所定の条件として設定されても良い。特に国の単位で地域が決定される場合、予定走行経路が通過する地域として、産油国と非産油国を含むことが考えられる。また、電力生産手段が異なる国同士、例えば原子力発電が主体の国と、火力が主体の国を含むことが考えられる。このような場合において、本実施形態に係るHV−ECU21によれば、各地域(国)において、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。
【0111】
特に本実施形態では、起動処理時に、HV−ECU21が、エネルギー変換効率に関する履歴として、燃料変換効率Pfと電力変換効率Peとを取得する(ステップS11)。そして、外部から取得する燃料単価及び単位燃料当たりのCO
2排出量と燃料変換効率に基づいて、推定燃料指標F(N)を算出する。また、外部から取得する電力単価及び単位電力当たりのCO
2排出量と電力変換効率に基づいて、推定電力指標E(N)を算出する(以上、ステップS61,70)。このように、外部から情報を取得し(ステップS53,S57)、算出することをもって、推定燃料指標F(N)及び推定電力指標E(N)取得することができる。
【0112】
また、HV−ECU21は、
図9に示したように、各地域の予定走行距離と、該地域の走行に使用予定のエネルギー残量に基づく走行可能距離とを比較して、予定走行距離よりも走行可能距離が短い場合、該地域の予定走行経路における所定位置に使用予定のエネルギーの補充ポイントを設定する。また、該地域の完走に必要な補充量を設定する(以上、ステップS64,S65,S85,S86,S94,S95)。そして、補充ポイント及び補充量を含む補充情報をユーザに通知する(ステップS66,S74)。したがって、設定された走行パターンのエネルギーを用いて、該当する地域を完走することができる。これにより、使用予定のエネルギーがなくなる際に、別の走行パターンで走行する場合に較べて、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。
【0113】
また、HV−ECU21は、
図7に示したように、予定走行距離よりも走行可能距離が短い場合、走行に使用しない予定のエネルギーについての使用問い合わせをユーザに通知する(ステップS67,S75)。そして、ユーザからの問い合わせに対する回答をナビゲーションシステム27を介して取得し、その回答に応じて、走行パターンを設定する(ステップS68,S76)。例えば、地域1において、推定電力指標E1が小さくても、補充できる台数や補充時間が長くかかる場合には、ユーザが電力の補充を許可せず、残燃料を用いたエンジン走行を選択することも考えられる。本実施形態では、このようなユーザの意思も反映して、走行パターンを設定することができる。
【0114】
また、同じ走行パターンとなる複数の地域を有する場合、HV−ECU21は、
図9に示したように、同じ走行パターンで先に走行する予定の第1地域と次に走行する予定の第2地域について、走行に使用するエネルギーに関する推定エネルギー指標を比較する(ステップS88,S98)。そして、第1地域の推定エネルギー指標のほうが小さい場合、第1地域を離脱する直前に使用予定のエネルギーの補充ポイントを設定する(ステップS89,S99)。また、第2地域の完走に必要なエネルギーの補充量を設定する(ステップS89,S99)。このように、同じエネルギーで走行する次の地域の推定エネルギー指標も考慮して、補充ポイントを設定するため、エネルギーコストとCO
2排出量の両方を、より効果的に低減することができる。
図10では、同じ走行パターンとなる地域1と地域3の推定電力指標E1,E3を比較し、推定電力指標E1のほうが小さいため、地域1の離脱直前に充電ポイントを設定している。
【0115】
また、HV−ECU21は、
図9に示したように、任意地域に設定される走行パターンに関する推定燃料指標F(N+1)と、該任意地域の走行に使用予定の残燃料に関する燃料指標F(N)とを比較する(ステップS91)。なお、N=0の場合、燃料指標F(N)は実燃料指標F0となり、N≠0の場合、燃料指標F(N)は推定燃料指標F(N)となる。そして、任意地域の推定燃料指標F(N+1)が小さい場合に、任意地域に突入直後に補充ポイントを設定する(ステップS92)。また、任意地域の完走に必要なエネルギーの補充量を設定する(ステップS92)。このように、残燃料に関する燃料指標よりも、次に走行する地域の推定燃料指標のほうが小さい場合は、積極的に補充する。これにより、エネルギーコスト及びCO
2排出量を、より効果的に低減することができる。
図10では、実燃料指標F0と、地域2の推定燃料指標F2とを比較し、推定燃料指標F2のほうが小さいため、地域2の突入直後に給油ポイントを設定している。
【0116】
なお、
図9のステップS91〜S93に示したように、エンジン走行側のフローには、上記した推定燃料指標F(N+1)と、該任意地域の走行に使用予定の残燃料に関する燃料指標F(N)との比較が含まれている。また、ステップS96,S100に示したように、補充ポイントを設定した場合に、補充量を加味した地域(N+1)に関する推定燃料指標F(N+1)の再計算が含まれている。しかしながら、モータ走行側には上記に対応するステップがない。これは、モータ走行の場合、発電所でCO
2が発生するため、電力を補充した地域内の走行中はCO
2を排出し、地域を跨いだら、走行中にCO
2を排出しないという考えに基づくものである。したがって、モータ走行の地域2で充電して、エンジン走行の地域1にある自宅に戻るとする。この場合、地域2→地域1によって、残電力に関するCO
2を排出はゼロとなり、すなわち実電力指標もゼロとなる。また、モータ走行の地域1で充電して、地域を跨ぐこと無く、地域1にある自宅に戻るとする。この場合、実電力指標は、地域1の推定電力指標と同じか、ほぼ等しくなる。したがって、残電力に関しては、ステップS91〜S93,S96,S100に対応するステップは不要である。
【0117】
なお、上記実施形態では、推定エネルギー指標を算出することで取得する例を示したが、直接取得できる場合には、算出することなく取得しても良い。
【0118】
(第1変形例)
上記実施形態に示すHV−ECU21によれば、
図11に示すように、走行エリアに1つの地域のみが含まれる場合でも、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減するように、走行パターンを設定することができる。
【0119】
図11では、推定電力指標E1のほうが推定燃料指標F1よりも小さいので、地域1をモータ走行としている。
【0120】
(第2変形例)
上記実施形態に示すHV−ECU21によれば、
図12に示すように、エミッション規制情報も考慮して、走行パターンを設定することができる。
【0121】
図12では、推定電力指標E1のほうが推定燃料指標F1よりも小さいので、地域1をモータ走行としている。また、推定燃料指標F3のほうが推定電力指標E3よりも小さいので、地域3をエンジン走行としている。そして、推定燃料指標F2のほうが推定電力指標E2よりも小さいものの、エミッション規制があるため、地域2をモータ走行としている。
【0122】
これによれば、エミッション規制も考慮した上で、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。
【0123】
なお、
図12でも、地域1の離脱直前に充電ポイントを設けている。また、地域3の突入直後に給油ポイントを設けている。
【0124】
(第3変形例)
上記実施形態に示すHV−ECU21によれば、
図13に示すように、ユーザの問い合わせ結果も考慮して、走行パターンを設定することができる。
【0125】
図13では、推定電力指標E1のほうが推定燃料指標F1よりも小さいので、地域1をモータ走行としている。しかしながら、ユーザの入力により、地域1内で電力ゼロとなっても充電せず、残りの地域1をエンジン走行としている。これは、実燃料指標F0が推定電力指標E1よりも小さいためである。なお、推定燃料指標F2のほうが推定電力指標E2よりも小さいので、地域2をエンジン走行としている。また、推定電力指標E3のほうが推定燃料指標F3よりも小さいので、地域3をモータ走行としている。
【0126】
これによれば、ユーザの問い合わせ結果も反映しつつ、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。
【0127】
なお、
図13でも、地域2の突入直後に給油ポイントを設けている。また、地域3の突入直後に充電ポイントを設けている。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0129】
(第4変形例)
上記実施形態では、地域情報として、エネルギー単価と、単位エネルギー当たりのCO
2排出量を取得する例を示した。しかしながら、特に電力について、単位電力当たりのCO
2排出量を直接取得できない地域がある場合も考えられる。この場合には、
図6のステップS53,S57に示す地域情報取得手段が、地域ごとの電力生成手段による電力の生成比率と、各電力生成手段の単位電力当たりのCO
2排出量を、外部から取得する。そして、生成比率及び単位電力当たりのCO
2排出量に基づいて、単位電力当たりのCO
2排出量を算出しても良い。
図14は、地域ごとの電力生成手段による電力の生成比率の一例を示している。このように、地域、特に国によって、電力生成手段による電力の生成比率は異なる。地域1では、石油による火力発電が主であり、地域2では原子力発電が主となっている。1kWhに占める各電力生成手段の生成比率と、各電力生成手段の単位電力当たりのCO
2排出量から、単位電力当たりのCO
2排出量を算出することができる。
【0130】
(第5変形例)
図15〜
図17に第5変形例を示す。第5変形例では、HV−ECU21が、走行パターン設定に関わる手段のみを有している。このHV−ECU21が、本願発明の最小構成である。
【0131】
図15に示すように、車両起動処理として、ステップS14の地域情報取得処理と、ステップS15の走行パターン設定処理を有する。ステップS11のエネルギー変換効率取得については、推定エネルギー指標を算出することなく直接取得できる場合には不要である。
【0132】
地域情報取得処理は、
図16に示すように、基本的に
図6と同じであり、
図6に対して、ステップS52の予定走行距離取得を削除した点のみが相違している。
【0133】
走行パターン設定処理は、
図17に示すように、
図7に示すステップS60〜S76のうち、走行パターン決定に関わるステップS60〜S62,S69〜71のみを有している。
【0134】
このように構成されるHV−ECU21によっても、地域ごとに、推定されるエネルギー指標の値の小さい方の駆動源を使用するように走行パターンを設定する。したがって、走行中にエネルギーが無くなっても、エネルギー指標の小さい方のエネルギーを補充することができる。そして、補充した、エネルギー指標の小さい方のエネルギーを用いて走行することができる。これにより、各地域において、エネルギーコストとともに、CO
2排出量を低減することができる。
【0135】
(第6変形例)
図18に第6変形例を示す。第6変形例では、ステップS72の補充設定処理が上記実施形態と異なっている。詳しくは、
図9に対して、エネルギー指標に関するステップS91〜S93,S100を削除した点が相違している。この場合、図示しないが、
図2に示した車両起動処理において、ステップS13の実エネルギー指標算出処理が不要となる。また、
図4の車両停止処理に示したステップS30のエネルギー残量取得、保存も不要となる
このように構成されるHV−ECU21によれば、上記ステップS91〜S93,S100に関する効果は奏することができないものの、その他の点については同様の効果を奏することができる。
【0136】
(第7変形例)
図19に第7変形例を示す。第7変形例では、第6変形例同様、ステップS72の補充設定処理が上記実施形態と異なっている。詳しくは、
図18に対して、同一走行パターンの次地域との比較に関するステップS87〜S89,S97〜S99を削除した点が相違している。
【0137】
このように構成されるHV−ECU21によれば、上記ステップS91〜S93,S100、及び、ステップS87〜S89,S97〜S99に関する効果は奏することができないものの、その他の点については同様の効果を奏することができる。