(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1表示制御手段は、前記第2情報が前記重複部分を含む範囲で表示される場合に、前記第1表示領域内で前記図形画像を縮小して表示させるとともに、その縮小量に応じて前記図形画像の表示色又は表示の明るさを変更することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車の運転席側において運転者の正面、すなわちハンドル前方に設けられる車両用表示装置として具体化したものであり、当該表示装置は、車速やエンジン回転速度、燃費などの走行基本情報に加え、暗視画像情報やナビ情報(経路案内情報)といった走行補助情報を表示パネルに画像表示できるものとなっている。
【0014】
図1は、本実施形態の車両用表示システムの電気的構成の概略を示すブロック図である。本表示システムは、車載ECUとしてのメータECU11とボデー系ECU12とを含むものであり、それら各ECU11,12はシリアル通信バス13により相互に通信可能に接続されている。
【0015】
メータECU11は、情報表示に関しての主要制御を司る表示制御部として構成されている。メータECU11は、CPU21、ワークメモリを有するRAM22、各種プログラムを記憶するROM23、入出力部(図ではI/Oと表示)24、通信インターフェース(図ではIFと表示)25、及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(図では外部メモリと表示)26を備え、それらが内部バス27にて接続されて構成されている。
【0016】
本表示システムは、運転席から視認可能な位置(本実施形態では運転席の正面となる位置)に配置されて各種情報の画像を視覚表示する表示パネル31を有しており、メータECU11は、その表示パネル31を制御対象として表示制御を実施する。表示パネル31は、TFTカラーLCD(Thin Film Transistor−Color Liquid Crystal Display)からなる画像ディスプレイである。なお、表示パネル31として、例えば有機ELやプラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等、他の形態の表示器を用いることも可能である。
【0017】
メータECU11には、画像合成出力制御部としての周知の描画LSI32が接続されている。描画LSI32は、表示パネル31に表示される各種の画像データをメータECU11から受け取り、グラフィックメモリ33上で画像合成した後、画像合成したデータを表示パネル31に出力する。これにより、表示パネル31において所定の領域に所望の画像データが適宜表示されることとなる。なお、メータECU11、表示パネル31、描画LSI32及びグラフィックメモリ33を含む構成が「車両用表示装置」に相当する。
【0018】
また、メータECU11には、車両前方を撮影する暗視カメラ34と、ユーザにより入力操作が行われる操作部35とが接続されるとともに、端末接続部36を介して、スマートフォン等の携帯端末からなる外部装置37が接続されている。
【0019】
暗視カメラ34は、例えばバックミラーに装着されて車両前方を撮影する撮像手段であり、十分な光量が得られない夜間においても撮影可能な周知のカメラである。本実施形態では、視野範囲内の物体が放射する赤外線を検出する赤外線カメラを用いるとともに、光源として、自然光や他の外部からの光に加え、車両のヘッドライトあるいはフォグライトを利用することが可能となっている。なお、暗視カメラ34の取付位置は、車両前方を撮影可能な位置であれば特に限定はされない。また、撮像手段として、レーダ等を用いた暗視カメラを用いることもできる。図示は省略するが、暗視カメラ34には、同暗視カメラ34の撮影を開始するためのスイッチや、撮影範囲を調整するためのスイッチ等が設けられている。
【0020】
操作部35には、暗視カメラ34で撮影された撮影画像(暗視画像)を表示パネル31に表示させることを指示する指示スイッチや、表示パネル31の輝度調整などを行なうためのスイッチ等が設けられている。この場合、ユーザが操作部35を操作することで、暗視画像の表示要求が生じ、暗視カメラ34の撮影画像が表示パネル31の所定位置に表示される。
【0021】
なお、暗視カメラ34の撮影画像を表示パネル31に表示させる表示条件は、ユーザによる操作部35の操作だけに限られるものではない。例えば、車両のヘッドライト又はフォグライトの点灯をトリガとして表示要求を生じさせ、暗視カメラ34の撮影画像が表示パネル31に表示される構成としたり、車外の明るさ(例えば日射センサにより検出される明るさ)に応じて表示要求を生じさせ、暗視カメラ34の撮影画像が表示パネル31に表示されるものであってもよい。
【0022】
端末接続部36は、例えばUSB(Universal Serial Bus)を用いてメータECU11と外部装置37とを有線により接続するものであり、この端末接続部36において外部装置37の接続及び分断が行われる。外部装置37が端末接続部36に接続されると、メータECU11は外部装置37を自動で認識し、外部装置37との間で相互の送受信を実施する。なお、メータECU11と外部装置37との間で無線通信を行わせる構成とすることも可能であり、かかる場合には、端末接続部36に代えて、Bluetooth(登録商標)などを用いた無線通信部を設けるとよい。
【0023】
外部装置37は、他の端末等との間で電話や電子メールのやりとりが可能であり、外部装置37が端末接続部36に接続された状態では、電話や電子メールを受信した場合にその受信情報がメータECU11に対して送信される。メータECU11は、電話や電子メールの受信時に、例えば受信があったことや発信元の情報(名前、電話番号、メールアドレス)、電子メールの内容といった受信情報を把握する。
【0024】
一方で、ボデー系ECU12には、車両や車載エンジンの状態であって、表示パネル31に表示されるべき基本情報を取得するためのセンサ群が接続されている。センサ群は具体的には、車速を検出する車速センサ41、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ42、ガソリン(燃料)の残量を検出する燃料残量センサ43、エンジン水温を検出する水温センサ44などである。
【0025】
メータECU11は、上記の各センサ41〜44から各検出情報をボデー系ECU12と通信バス13を介して取得する。そして、取得した検出情報に基づいて、表示パネル31に表示する画像の描画データを作成する。
【0026】
メータECU11は、暗視カメラ34の撮影画像に基づいて、車両前方に障害物が存在しているか否かを判断する障害物識別機能を有している。つまり、メータECU11は、暗視カメラ34により車両の前方視界が撮影されている状況下でその撮影画像を解析し、車両前方に歩行者や他車両など、衝突の可能性のある障害物が存在しているか否かを判定する。
【0027】
次に、表示パネル31の画像表示領域について説明する。本実施形態では、表示パネル31に表示される各種情報を、数値表示可能であって車両走行中に常時表示される「第1情報」と、この第1情報とは異なる情報であって車両走行中に生じる表示要求に応じて表示される「第2情報」とに分け、それらの画像を表示パネル31の各々異なる領域に表示させる構成としており、その領域の区分を
図2を用いて説明する。
図2は、表示パネル31における画像表示領域の正面図である。
【0028】
図2において、表示パネル31には、第1情報を表示させる第1表示領域110と、第2情報を表示させる第2表示領域120とが、左右に並べて、かつ一部が互いに重複するようにして配置されている。第1表示領域110は、円形状をなす円形領域として設けられ、その外周縁110aを領域限界としてその内側の領域に第1情報が表示される。また、第2表示領域120は、矩形状をなす矩形領域として設けられ、その外周縁120aを領域限界としてその内側の領域に第2情報が表示される。
【0029】
第1表示領域110は、円形状をなす内側領域111と、その内側領域111を囲むリング状の外側領域112とから構成されている。これら両領域111,112はいずれも中心点を同じにするものであり、内側領域111の半径はR1、外側領域112の半径はR2である。また、外側領域112の幅は一定であり、幅=Wである。
【0030】
本実施形態では、第1情報として車速を想定しており、第1表示領域110において内側領域111及び外側領域112にはそれぞれ車速が表示される。ただし、内側領域111及び外側領域112にはいずれも、共通の車速情報に基づいて車速表示の画像が表示されるものの、その表示形態が相違しており、内側領域111では車速が数値表示画像(アラビア数字を表す画像)で表示されるのに対し、外側領域112では車速に応じて長さの異なる帯図形画像で表示されるようになっている。この場合、内側領域111における車速の数値表示に連動して、外側領域112における帯図形画像の長さが変化する。
【0031】
具体的には、
図3(a)に示すように、内側領域111には車速情報が「60km/h」のように数値表示画像で表示されるのに対し、外側領域112には車速情報が「60km/h」に応じた帯長さLの帯図形画像で表示される。この帯図形画像は、車速が大きくなるほど、帯基端部113からの帯長さLが長くなる可変長画像であり、円弧状をなす弧状図形画像でもある。
【0032】
ここで特に、内側領域111は、その大きさ及び位置が変化することがなく、車速を示す数値表示画像が常に同一の形態で表示される領域である。これにより、運転者が車速を数値表示画像から読み取る際には、常に同じ位置に視線を向ければ良いこととなり、車速の読み取りを好適に実施できる。
【0033】
これに対し、外側領域112の表示は、帯図形画像を見ることで、数字を読み取らなくても車速を直感的に把握できるものとなっている。また、外側領域112では、その外側領域の幅Wで規定される範囲内において帯図形画像の幅が変更可能になっている。この場合、車速が同一のままであっても帯図形画像の幅寸法を変更でき、例えば
図3(a)では帯図形画像の幅がWaであるのに対し、
図3(b)では帯図形画像の幅が縮小されてWbとなっている。帯図形画像の幅が縮小される場合、外側領域112の内周側と外周側とのうち外周側が狭められるようになっている。そのため、帯図形画像の幅が縮小されても、内側領域111と接する部位、つまり内側領域111の外側の境界部分においては画像に変わりがなく、内側領域111と外側領域112との関連性が阻害されないようになっている。
【0034】
内側領域111は、車速を固定位置で表示することから「固定表示領域」とも言え、外側領域112は、車速を数値表示画像に加えて補助的に表示することから「補助表示領域」とも言える。
【0035】
図2に示すように、第2表示領域120は、第1表示領域110のうち外側領域112にのみ重複するように設けられており、ハッチングを付したOL部分が重複部分である。第2表示領域120に表示される第2情報としては、エンジン回転速度や燃費(瞬時燃費)、燃料残量、水温といった基本情報に加え、暗視カメラ34で撮影した暗視画像や、外部装置37から受信した受信情報が含まれており、これらの各情報のうち少なくとも1つが選択されて、その情報が第2表示領域120に表示される。つまり、第2表示領域120に表示される情報は、車両走行中に生じる都度の表示要求に応じてその表示内容が切り替えられるようになっている。
【0036】
第2表示領域120では、第2情報としていずれの情報を表示するのかに応じて、画像表示に用いる表示範囲が変更される。例えば、エンジン回転速度を表示する場合には、
図4(a)に示すように、第2表示領域120において重複部分OLを含まない範囲を表示範囲としてエンジン回転速度が表示される。なお、
図4(a)では、エンジン回転速度を、第1表示領域110の車速情報と同様に、内外二重の表示領域において数値表示画像と帯図形画像とを用いて表示するようにしているが、車速と同じ表示形態にする必要はなく、数値表示画像のみの表示であってもよい。エンジン回転速度以外の、燃費や燃料残量、水温といった、他の数値表示可能な情報も、各々の表示要求に応じて同様に表示されるとよい。
【0037】
本実施形態では、車両の電源スイッチがオンされた後において表示パネル31のデフォルト画像として、
図4(a)に示すように、第1表示領域110に車速情報が表示されるとともに、第2表示領域120にエンジン回転速度の情報が表示されるようになっている。なお、デフォルト画像としては、第2情報として走行基本情報が表示されればよく、エンジン回転速度に代えて、燃費(瞬時燃費)、燃料残量、水温が表示される構成であってもよい。
【0038】
車両の電源スイッチがオンされた後において、表示パネル31に
図4(a)に示すデフォルト画像が表示される前に電源オン時用の画像(アニメーション画像を含む)が表示される構成であってもよい。また、電源スイッチのオン後において車両が停止している状態(すなわち非走行状態)では、上述した走行基本情報とは異なる情報を表示したり、節電のために表示パネル31を非表示(表示停止)にしたりすることも可能である。
【0039】
また、暗視画像を表示する場合には、
図4(b)、(c)に示すように、第2表示領域120に暗視画像が表示される。この場合、
図4(b)では、第2表示領域120において重複部分OLを含まない範囲を表示範囲として暗視画像が表示されており、図ではこれを「ナイトビュー通常画像」としている。これに対し、
図4(c)では、第2表示領域120において重複部分OLを含む範囲を表示範囲として暗視画像が表示されており、図ではこれを「ナイトビュー拡大画像」としている。ナイトビュー拡大画像が表示される場合には、第1表示領域110側における車速の帯図形画像にナイトビュー拡大画像が重複しないようにすべく、車速の帯図形画像の幅が縮小されている(
図3(b)参照)。
【0040】
ここで、操作部35の操作に伴い暗視画像の表示要求が生じている場合には、基本的に
図4(b)のようにナイトビュー通常画像が表示される。そして、暗視画像の表示要求が生じている場合において、メータECU11により車両前方の障害物の存在が確認されると、
図4(c)に示すように第2表示領域120において暗視画像が拡大されてナイトビュー拡大画像が表示される。
【0041】
また、外部装置37の受信情報に関するメッセージを表示する場合には、
図4(d)に示すように、第2表示領域120にメッセージ画像が表示される。ここで、メッセージ画像の大きさ、すなわち第2表示領域120におけるメッセージ画像の表示範囲は、都度のメッセージ情報量に応じて可変に設定され、第2表示領域120において重複部分OLを含まない範囲を表示範囲としてメッセージ画像が表示される以外に、図示のように第2表示領域120において重複部分OLを含む範囲を表示範囲としてメッセージ画像が表示されるようになっている。そのため、重複部分OLを含む範囲でメッセージ画像が表示される場合には、車速の帯図形画像の幅が縮小されるようになっている。
【0042】
第2情報に、車両又はエンジンの故障に関する情報や、車両運転の安全性に関する情報を含ませておき、それらの情報に関するメッセージを表示パネル31に表示させることも可能である。この場合、車両又はエンジンの故障発生時において、メータECU11が、故障発生に関するメッセージを表示パネル31の第2表示領域120に表示させるとよい。これにより、第1情報の視認性を確保した上で、運転者に対して、車両の退避走行が実施されることが伝達される。又は、メータECU11が、車両の走行距離や運転時間に基づいて運転者による疲れの状況を判断し、その運転疲れに関するメッセージを表示パネル31の第2表示領域120に表示させるとよい。
【0043】
次に、メータECU11により実施される表示制御処理について説明する。
図5は、表示制御処理のメインルーチンを示すフローチャートであり、本処理は、メータECU11により、所定時間周期で繰り返し実施される。
【0044】
図5において、ステップS01では、第2表示領域120についての表示制御を実施し、続くステップS02では、第1表示領域110についての表示制御を実施する。以下、第2表示領域120の表示制御を
図6のサブルーチンを用いて説明し、第1表示領域110の表示制御を
図7のサブルーチンを用いて説明する。
【0045】
図6において、ステップS11では、表示パネル31にメッセージ画像を表示するように要求するメッセージ表示要求が生じているか否かを判定する。メッセージ表示要求が生じている場合、ステップS12に進み、外部装置37からの受信情報を取得するとともに、その受信情報に基づいて、表示パネル31に表示させるメッセージを作成する。このとき、
(1)電話や電子メールを受信したことを表すメッセージ、
(2)電話や電子メールの発信元を表すメッセージ、
(3)電子メールのタイトル又は内容に相当するメッセージ(メール受信の場合)、
のうち少なくともいずれかが作成される。なお、メッセージの作成内容を上記(1)〜(3)のうちいずれにするかは、例えばユーザの設定操作に応じて決められるとよい。
【0046】
続くステップS13では、上記作成したメッセージについて第2表示領域120における表示範囲を決定する。このとき、メッセージの情報量(文字数)に基づいて、メッセージの表示範囲を、重複部分OLを含む範囲にするか、重複部分OLを含まない範囲にするかが決定される。
【0047】
その後、ステップS14では、今回のメッセージの表示範囲に重複部分OLが含まれているか否かを判定する。そして、メッセージ表示範囲に重複部分OLが含まれていなければ、そのままステップS15に進み、上記ステップS12で作成したメッセージを、上記ステップS13で決定した表示範囲に表示させる。
【0048】
また、メッセージ表示範囲に重複部分OLが含まれていれば、ステップS16に進む。ステップS16では、重複部分OLを用いてメッセージを表示させてよいか否かの表示条件を判定する。このとき、表示条件は車両の走行状態に基づいて定められており、具体的には、車両が高速走行中でないこと、車両の走行経路が蛇行していないこと(コーナー多発経路でないこと)等が含まれている。なお、車速が所定値(例えば80km/h)以下である場合に、高速走行中でないと判断されるとよい。また、車両の走行経路が蛇行しているかどうかは、ナビゲーション地図情報や運転者によるハンドル操作頻度等に基づいて判断されるとよい。この場合、車速センサ41やナビゲーション装置が車両走行状態検出手段に相当する。ナビゲーション装置は外部装置37により構成されていてもよい。
【0049】
そして、表示条件が成立していれば、ステップS15に進み、上記ステップS12で作成したメッセージを、上記ステップS13で決定した表示範囲(ここでは重複部分OLを含む範囲)に表示させる。また、表示条件が不成立であれば、ステップS17に進み、今回の受信情報に基づき作成したメッセージを表示せず、第2表示領域120における前回までの表示内容を維持する。そして、メインルーチンに戻る。
【0050】
つまり、重複部分OLを含む範囲でメッセージを表示すると、その分、第1表示領域110における車速の表示領域(実際には外側領域112)が狭められる。そのため走行状態によっては、車速の視認性を最大化することを優先し、メッセージ表示要求が生じていてもメッセージを表示しないようにしている。
【0051】
ステップS17では、メッセージ情報(重複部分OLを含む範囲を表示範囲とするメッセージ情報)が一時記憶され、メインルーチンに戻る。その後、第2表示領域120の表示制御処理が再度行われ、ステップS16の判定で表示条件が成立した際に、第2表示領域120に表示されるようになっている。
【0052】
また、メッセージ表示要求が生じていない場合(S11:NO)、ステップS18に進み、表示パネル31に暗視画像を表示するように要求する暗視画像表示要求が生じているか否かを判定する。暗視画像表示要求が生じている場合、ステップS19に進み、暗視カメラ34から暗視画像の情報を取得する。
【0053】
その後、ステップS20では、車両前方に障害物が確認されたか否かを判定する。障害物が確認されていない場合、ステップS21に進み、第2表示領域120に暗視画像を通常の大きさ(重複部分OLを含まない大きさ)で表示させる。これが
図4(b)に示す表示形態である。
【0054】
また、障害物が確認されている場合、ステップS22に進み、重複部分OLを含む範囲まで暗視画像の表示範囲を拡大してよいか否かの表示条件を判定する。なお、表示条件は、上記のステップS16と同じ内容としている。ただし、ステップS16とS22とで条件の内容が相違していてもよい。
【0055】
そして、表示条件が成立していれば、ステップS23に進む。ステップS23では、第2表示領域120において重複部分OLを含む範囲まで暗視画像の表示範囲を拡大して表示させる。これが
図4(c)に示す表示形態である。ステップS23の後、メインルーチンに戻る。また、表示条件が不成立であれば、ステップS21に進み、暗視画像の表示範囲を拡大せず通常の大きさで表示させ、メインルーチンに戻る。
【0056】
また、メッセージ表示要求、暗視画像表示要求が共に生じていない場合(S11,S18:NO)には、ステップS24に進む。ステップS24では、第2表示領域120に、走行基本情報であるエンジン回転速度等を表示させ(
図4(a)参照)、その後、メインルーチンに戻る。
【0057】
また、
図7では、まずステップS31において車速を取得する。続くステップS32では、今回、第2表示領域120に表示される情報(第2情報)が、重複部分OLを含む範囲で表示されるか否かを判定する。そして、重複部分OLを含む範囲で表示されるのでなければ、ステップS33に進み、第1表示領域110の外側領域112に表示される帯図形画像の幅を、外側領域112と同じ幅とする。つまり、帯図形画像の幅を最大値(=W)とする。
【0058】
また、重複部分OLを含む範囲で表示されるのであれば、ステップS34に進み、第1表示領域110の外側領域112に表示される帯図形画像の幅を、第2表示領域120におけるメッセージや暗視画像の表示範囲に応じて決定する。つまり、帯図形画像の縮小両を決定する。
【0059】
その後、ステップS35では、車速について、数値表示画像を第1表示領域110の内側領域111に表示させるとともに、帯図形画像を第1表示領域110の外側領域112に表示させる。そしてその後、メインルーチンに戻る。これにより、第1表示領域110において、車速が、数値表示画像によって所定位置に所定の大きさで固定表示されるとともに、数値表示画像に隣接する位置に帯図形画像によって補助表示される。
【0060】
以下、本実施形態の奏する効果を述べる。
【0061】
(1)本実施形態の車両用表示システムでは、車両走行に際して第1情報としての車速が第1表示領域110に常時表示されるようになっており、特にその車速が、数値表示画像として内側領域111に表示されるとともに外側領域112に図形画像として表示される。これにより、運転者にとっては、数値表示画像により正確に車速を認知できるとともに、図形画像により一見しただけで直感的に車速を認知でき、表示パネル31における視認性を良好なものにすることができる。さらに数値表示画像を所定の位置・所定の大きさで表示することで、運転者が、例えば前方視界から表示パネル31に視線を移動した際に、即座にその数値表示画像を見つけ出すことが可能となる。
【0062】
また、第2表示領域120に、車両走行中に生じる表示要求に応じて表示内容が変わる第2情報が表示されるようになっている。さらに、第2情報は、第1表示領域110との重複部分OLを用いることで、拡大表示が可能となっており、その拡大表示がなされる場合には、その表示された第2情報に重複しないように第1情報である車速を表す図形画像が縮小して表示される。
【0063】
この場合、第1情報について、その表示画像が縮小されるのは、補助表示される図形画像に限られ、固定表示される数値表示画像は何ら表示形態が変更されない。したがって、表示パネル31の有限の表示領域を有効に使用しつつ、車速と、第2情報とを、第2情報の重要性や必要領域や車速との優先度を考慮して、適正に表示することが可能となる。このとき、車速を表す数値表示画像は、表示形態が何ら変更されないため、運転者による視認性は維持される。また、図形画像は縮小されるものの、表示の大きさ(帯図形画像の長さ)に応じて直感的に車速を認知することができる。すなわち、第2情報の画像が拡大表示される場合においても、車速を表す画像の視認性を確保し、さらに最大化することができる。
【0064】
(2)数値表示画像に隣接する位置に設けられる図形画像は、数値表示画像を囲むように設けられる帯状図形の画像(帯図形画像)である。このため、図形画像を縮小させていない状態と縮小させた状態とのいずれにおいても、数値表示画像と図形画像との一体感を維持する上で好適であると考えられる。特に、帯図形画像として弧状図形画像を用いることで、弧状図形画像により数値表示画像が囲まれる表示状況が生じる。これにより、数値表示画像と図形画像との一体感が向上する。さらに、その弧状図形の中央部分に数値表示画像を表示することで、数値表示画像と図形画像とが同一の情報を表示していることを表現する上でより好適であると考えられる。
【0065】
(3)車両の走行状態に基づいて重複部分OLを含む範囲にメッセージを表示する場合に、表示条件が成立していなければ、メッセージの表示を行わない。表示条件が不成立である場合に、重複部分OLにメッセージを表示しないことで、車速の視認度を高めておくことが優先され、車速の視認度に影響が出ることを抑制できる。
【0066】
また、メッセージの表示範囲に重複部分OLが含まれており、かつ、表示条件が成立していない場合には、メッセージ情報を一時記憶し、表示条件が再度の判定で成立したことを条件としてメッセージの表示を行う。すなわち、重複部分OLにわたってメッセージを表示するのに適した状態となると、速やかにメッセージの表示が行われる。
【0067】
(4)暗視画像は車両前方の障害物を発見するために用いられるため、より広い領域で表示することが望ましい。そこで、第2情報として暗視画像を第2表示領域120に表示する場合、第1表示領域110との重複部分OLにわたって、暗視画像を表示する。そして、暗視画像の大きさに応じて、図形画像を縮小して表示する。これにより、暗視画像に表示される障害物が発見されやすくなるとともに、第1情報である車速の視認性を確保することが可能になる。
【0068】
(5)暗視画像表示中に車両前方に障害物が識別された場合に、車両前方の暗視画像を拡大するとともに、図形画像を縮小する。暗視画像及び図形画像の大きさを変動させることで、運転者の注意を表示パネル31に向けさせることができる。さらに、暗視画像を拡大することで暗視画像中の障害物の視認性を向上させることができる。また、図形画像は縮小されるものの、表示された状態は継続されるため、車速を表す画像の視認性を確保することができる。
【0069】
(他の実施形態)
・表示パネル31において、第1表示領域110を複数備える構成としてもよい。具体的には、
図8(a)に示すように、表示パネル31に、左右2つの第1表示領域110を設け、それぞれに第1情報を表示させる構成とする。各第1表示領域110は、上述した
図2と同様に、それぞれに内側領域111と外側領域112とを有している。ここでは、第1情報として車速情報と燃費情報とを想定しており、右側の第1表示領域110に車速が表示され、左側の第1表示領域110に燃費が表示される。また、表示パネル31において、第2表示領域120は、2つの第1表示領域110の上方に設けられ、各第1表示領域110の外側領域112と重複するように設けられている。図の斜線部分が重複部分OLである。ここでは、第2表示領域120に、外部装置37の受信情報に基づくメッセージが表示されるようになっている。
【0070】
メータECU11による表示制御を以下に簡単に説明する。メッセージの表示要求が生じていない場合には、
図8(a)に示すように、第2表示領域120にメッセージは表示されない。この場合、各第1表示領域110では、車速と燃費とが、内側領域111に固定表示されるとともに、外側領域112の最大幅で帯図形画像によって補助表示される。
【0071】
また、
図8(b)、(c)では、メッセージ表示要求が生じ、メッセージが第2表示領域120に表示されている。この場合、
図8の(b)と(c)とではメッセージ情報量(文字数)が異なり、
図8(b)では重複部分OLを含まない表示範囲でメッセージが表示されるのに対し、
図8(c)では重複部分OLを含む表示範囲でメッセージが表示されている。
図8(c)では、車速及び燃費における外側領域112の表示部分(補助表示の部分)が縮小されている。
【0072】
・第1表示領域110の外側領域112を、リング状以外の形状をなす領域としてもよい。例えば、
図9に示すように、外側領域112を略L字状の形状をなす領域とし、その外側領域112に帯図形画像を表示させる構成とする。この場合にもやはり、外側領域112と第2表示領域120とが重複しており、その重複部分OLを含む範囲で第2情報が表示される際には帯図形画像の幅が縮小される。なお、外側領域112は、内側領域111に隣接して設けられ第1表示領域110の外縁部となる位置に図形画像を表示させるものであれば形状は任意であり、外側領域112に表示される図形画像は、内側領域111に表示される数値表示画像と視覚的に一体感を生じさせるものであるとよい。
【0073】
・表示パネル31において、第2表示領域120を複数備える構成としてもよい。具体的には、
図10に示すように、表示パネル31に、第1表示領域110を挟んで左右2つの第2表示領域120を設け、各第2表示領域120にそれぞれ第2情報を表示させる構成とする。例えば、左側の第2表示領域120ではエンジン回転速度等の基本情報を表示させ、右側の第2表示領域120では暗視画像を表示させる。図示の構成では、2カ所に重複部分OLが設けられている。本構成では、左右の両第2表示領域120のうちいずれかにおいて重複部分OLを含む範囲で第2情報が表示される場合に、外側領域112において図形画像が縮小される。
【0074】
・表示パネル31において、第1表示領域110を複数設け、そのいずれかのみを縮小、それ以外を拡大又は大きさ維持にする構成としてもよい。例えば、第2情報が重複部分OLを含む範囲で表示される場合に、複数の第1表示領域110のうちいずれかだけを縮小する。また、複数の第1表示領域110について、走行状況によっていずれかを拡大し、それ以外を縮小する構成としてもよい。例えば、2つの第1表示領域110を有し、一方の第1表示領域110に第1情報として車速が表示され、他方の第1表示領域110に第1情報として航続可能距離が表示される場合に、航続可能距離が短くなり情報の重要度が高くなったときに、航続可能距離を表示する側の第1表示領域110について外側領域112を拡大し、航続可能距離を表示する側の第1表示領域110について外側領域112を縮小するとよい。
【0075】
・複数の情報のうちいずれを表示するかに応じて、重複部分OLを含む範囲で第2情報を表示させるか否かを決定する。つまり、エンジン回転速度や燃費といった走行基本情報を第2表示領域120に表示する場合には重複部分OLを含まない範囲で表示を行い、暗視画像又はメッセージ画像を第2表示領域120に表示する場合には重複部分OLを含む範囲で表示を行う構成とする。具体的には、
図11に示すように、
図6のステップS21、S23に代えて、それぞれステップS41、S43の処理を行う。また、
図6のステップS22の処理は行わない。
【0076】
暗視画像表示要求があり(S18:YES)、障害物が確認されない場合(S20:NO)、ステップS41において、第2表示領域120において重複部分OLを含む範囲まで暗視画像の表示範囲を第1拡大率で拡大して表示させる。暗視画像表示要求があり(S18:YES)、障害物が確認されている場合(S20:YES)、ステップS43において、第2表示領域120において重複部分OLを含む範囲まで暗視画像の表示範囲を第2拡大率で拡大して表示させる。ここで、第2拡大率は第1拡大率より大きく、ステップS41において表示されるナイトビュー拡大画像に比べて、ステップS43において表示されるナイトビュー拡大画像は大きい画像として表示される。すなわち、ステップS43において、ステップS41と比べると、暗視画像と重複部分OLとの重複する面積は大きくなり、その分、第1表示領域110における車速の表示領域が狭められることとなる。
【0077】
この構成によれば、エンジン回転速度や燃費といった走行基本情報を第2表示領域120に表示する場合には、第1表示領域110の外側領域112に表示される図形画像の幅が縮小されず車速の視認度を高めておくことができる。また、暗視画像やメッセージのような表示領域を要する情報を第2表示領域120に表示する場合には、第1表示領域110との重複部分OLを含む範囲で表示を行うことで、第2情報の視認性を高めることができる。
【0078】
・第2表示領域120に表示される第2情報は、地図データや自車両の現在位置に基づいてナビゲーションシステムによって作成されるナビゲーション情報であってもよい。つまり、メータECU11は、ナビゲーションシステムからナビゲーション情報を取得し、その取得情報を表示パネル31に表示させる。この場合、操作部35(又はナビゲーションシステムとして設けられた操作スイッチ)の操作に伴う表示要求に応じて地図画像が第2表示領域120に表示され、通常時は重複部分OLを含まない範囲で地図画像が表示される。そして、例えば目的地周辺又は走行注意地点などの指定場所に自車両が到達すると、重複部分OLを含む範囲、すなわち通常時よりも拡張された範囲で地図画像が表示される。この場合やはり、重複部分OLを含む範囲で第2情報(地図画像)が表示される際には外側領域112の帯図形画像の幅が縮小される。
【0079】
・上記実施形態では、帯図形画像の長さにより車速(第1情報)の変化を表す構成としたが、これに代えて、帯図形画像の色や明るさを変化させる構成としてもよい。つまり、メータECU11が、数値表示画像として表示される数値情報に応じて図形画像の表示色又は表示の明るさを変更する。具体的には、帯図形画像の色を緑色〜黄色〜赤色に複数段階で変化させる構成とし、車速が低速域(例えば40km/h以下)である場合には緑色、車速が中速域(例えば40〜80km/h)である場合には黄色、車速が高速域(例えば80km/h超)である場合には赤色で表示する。又は、帯図形画像の明るさを変化させる場合には、車速が高速になるほど、帯図形画像の表示を明るくする(輝度を大きくする)とよい。なお、帯図形画像の色と長さとを同時に変化させる構成としてもよい。又は、帯図形画像と数値表示画像との一体感を向上させるために、帯図形画像の色や明るさを変更するのと同時に、数値表示画像の色や明るさを帯図形画像と同じ色や明るさに変更しても良い。
【0080】
・第2情報が重複部分OLを含む範囲で表示される場合に、第1表示領域110内で図形画像を縮小して表示させるとともに、その縮小量に応じて図形画像の表示色又は表示の明るさを変更するようにしてもよい。具体的には、
図7のステップS34,S35において、帯図形画像の幅を決定するとともに、その帯図形画像の幅に応じて当該帯図形画像の色又は表示の明るさを決定する。この場合、帯図形画像の幅が小さくなるほど、すなわち縮小量が大きくなるほど、帯図形画像の色をより目立つ色(言い換えれば注意をひく色)に変更することが考えられる。例えば、帯図形画像の幅が100%の場合には緑色、帯図形画像の幅が60%の場合には黄色、帯図形画像の幅が30%の場合には赤色にする。又は、縮小量が大きくなるほど、帯図形画像の表示を明るくする(輝度を大きくする)ことが考えられる。
【0081】
・第2表示領域120におけるメッセージ表示範囲を決定する際に、メッセージの情報量に代えて又は加えて、メッセージの重要度に基づいて、メッセージの表示範囲を、重複部分OLを含む範囲にするか、重複部分OLを含まない範囲にするかを決定するようにしてもよい。メッセージの重要度は、発信元が誰なのか、メールに指定ワード等が含まれているかなどに応じて判断されるとよい。重要度が大きい場合には、フォントを大きくしたり、制限文字数を多くしたりするとよい。
【0082】
・上記実施形態では、重複部分OLを用いてメッセージを表示させてよいか否かを判定するための表示条件を定めておき、その表示条件が成立する場合に、重複部分OLを用いてのメッセージ表示を許可する構成としたが(
図6のステップS15,S16)、これを変更し、メッセージの内容によっては、表示条件が成立していなくても、重複部分OLを用いてのメッセージ表示を許可するようにしてもよい。例えば、あらかじめ指定した送信元からの受信情報をメッセージ画像として表示する場合には、表示条件の成否に関係なく、重複部分OLを用いてのメッセージ表示を許可するようにしてもよい。
【0083】
・表示パネル31に常時表示される第1情報は、数値化が可能な情報であれば、車速以外であってもよい。エンジン回転速度や、燃料残量、水温を第1情報とし、これらを表示パネル31に常時表示させる構成としてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、表示パネル31において第1表示領域110の内側領域111に、数値表示画像としてアラビア数字を表す画像を表示したが、これを変更し、数値表示画像として、数字付きの計器盤画像(目盛り画像)と、その計器盤上で回転し車速に応じた数値を指し示す指針画像とを表示させる構成としてもよい。具体的には、
図12(a),(b)に示すように計器盤画像と指針画像とを表示させるとよい。
【0085】
・上記実施形態では、運転席の正面側に表示パネル31を配置する構成としたが、これを変更し、車両のダッシュボードにおいて中央部等に表示パネル31を配置する構成としてもよい。