特許第5803952号(P5803952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社安川電機の特許一覧

特許5803952コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法
<>
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000002
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000003
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000004
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000005
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000006
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000007
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000008
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000009
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000010
  • 特許5803952-コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803952
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
   G05B19/05 B
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-28440(P2013-28440)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157514(P2014-157514A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 武
(72)【発明者】
【氏名】原 浩二
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 泰史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 健一
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−110541(JP,A)
【文献】 特開平02−218573(JP,A)
【文献】 特開2003−150220(JP,A)
【文献】 特開平02−205717(JP,A)
【文献】 特開2008−097281(JP,A)
【文献】 特開2007−028865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/00 − 19/05
G05D 3/00 − 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、
時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、
前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、
前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行し、
前記サーボ軸の既定の速度、加速度及び現在の位置に基いて前記復帰動作を自動生成する、
コントローラ。
【請求項2】
前記初期位置は、前記サーボ軸の原点位置と独立に設定される請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記復帰動作は、前記タイムチャートに記述された動作について、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることを条件の少なくとも1つとして実行される請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記回帰動作は、前記復帰動作について、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることを条件の少なくとも1つとして実行される請求項1〜3のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記タイムチャートに記述された動作の実施後に、出力接点の出力信号を初期状態にする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項6】
タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、
時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、
前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、
前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行する、
コントローラの動作を記述するタイムチャートを作成するタイムチャート作成装置であって、
前記速度チャート及び/又は前記変位チャートを作成する速度/変位チャート作成部と、
前記サーボ軸に対し、前記初期位置を指定する初期位置指定部と、
前記サーボ軸に対して、既定の速度及び加速度にて前記復帰動作の波形である復帰波形を生成する復帰波形生成部
を有するタイムチャート作成装置。
【請求項7】
前記復帰波形を前記速度チャート及び/又は前記変位チャートに表示する復帰波形表示部を有する請求項に記載のタイムチャート作成装置。
【請求項8】
前記タイムチャートの開始時点から前記回帰動作終了までの時間である予測サイクル時間を表示する予測サイクル時間表示部を有する請求項6又は7に記載のタイムチャート作成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記タイムチャートの開始時点から、前記回帰動作の実行時点までの時間である実測サイクル時間を前記タイムチャートの実行毎に計測し、
前記タイムチャート作成装置は前記実測サイクル時間を表示する実測サイクル時間表示部を有する請求項6〜8のいずれか1項に記載のタイムチャート作成装置。
【請求項10】
前記回帰動作の回数を指定する回帰回数指定部を有する請求項6〜9のいずれか1項に記載のタイムチャート作成装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項6〜10のいずれか1項に記載のタイムチャート作成装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読情報記憶媒体。
【請求項13】
タイムチャートに基いて機器を制御する機器制御方法であって、
時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御するステップと、
前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定され初期位置へと復帰させる復帰動作を実行するステップと、
前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行するステップと、
前記サーボ軸の既定の速度、加速度及び現在の位置に基いて前記復帰動作を自動生成するステップと、
を有する機器制御方法。
【請求項14】
タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、
時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、
前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、
前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行する、
コントローラの動作を記述するタイムチャートを作成するタイムチャート作成方法であって、
前記速度チャート及び/又は前記変位チャートを作成するステップと、
各サーボ軸に対し、前記初期位置を指定するステップと、
前記サーボ軸に対して、既定の速度及び加速度にて前記復帰動作の波形である復帰波形を生成するステップと、
を有するタイムチャート作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラ、タイムチャート作成装置、コンピュータプログラム、情報記憶媒体、機器制御方法及びタイムチャート作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイムチャートからラダープログラムを自動作成する制御プログラム自動作成装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、パソコンを用いて入力機器及び出力機器のタイムチャートを編集するとともに、タイムチャートデータを機械語にコンパイル処理し、コンパイル処理された機械語を処理装置にインターフェースにより伝送することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−191717号公報
【特許文献2】特開2003−228403号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、タイムチャートに基づいて機器を制御するコントローラにより実行される一連の動作を、簡便に反復して実行させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るコントローラは、タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行し、前記サーボ軸の既定の速度、加速度及び現在の位置に基いて前記復帰動作を自動生成する。
【0009】
また、本発明の別の一側面に係るコントローラでは、前記初期位置は、前記サーボ軸の原点位置と独立に設定される。
【0010】
また、本発明の別の一側面に係るコントローラでは、前記復帰動作は、前記タイムチャートに記述された動作について、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることを条件の少なくとも1つとして実行される。
【0011】
また、本発明の別の一側面に係るコントローラでは、前記回帰動作は、前記復帰動作について、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることを条件の少なくとも1つとして実行される。
【0012】
また、本発明の別の一側面に係るコントローラでは、前記タイムチャートに記述された動作の実施後に、出力接点の出力信号を初期状態にする。
【0013】
また、本発明の一側面に係るタイムチャート作成装置は、タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行する、コントローラの動作を記述するタイムチャートを作成するタイムチャート作成装置であって、前記速度チャート及び/又は前記変位チャートを作成する速度/変位チャート作成部と、前記サーボ軸に対し、前記初期位置を指定する初期位置指定部と、前記サーボ軸に対して、既定の速度及び加速度にて前記復帰動作の波形である復帰波形を生成する復帰波形生成部を有する。
【0015】
また、本発明の別の一側面に係るタイムチャート作成装置では、前記復帰波形を前記速度チャート及び/又は前記変位チャートに表示する復帰波形表示部を有する。
【0016】
また、本発明の別の一側面に係るタイムチャート作成装置では、前記タイムチャートの開始時点から前記回帰動作終了までの時間である予測サイクル時間を表示する予測サイクル時間表示部を有する。
【0017】
また、本発明の別の一側面に係るタイムチャート作成装置では、前記コントローラは、前記タイムチャートの開始時点から、前記回帰動作の実行時点までの時間である実測サイクル時間を前記タイムチャートの実行毎に計測し、前記タイムチャート作成装置は前記実測サイクル時間を表示する実測サイクル時間表示部を有する。
【0018】
また、本発明の別の一側面に係るタイムチャート作成装置では、前記回帰動作の回数を指定する回帰回数指定部を有する。
【0019】
また、本発明の一側面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上述のタイムチャート作成装置として機能させる。
【0020】
また、本発明の一側面に係るコンピュータ可読情報記憶媒体は、上述のコンピュータプログラムを記憶している。
【0021】
また、本発明の一側面に係る機器制御方法は、タイムチャートに基いて機器を制御する
機器制御方法であって、時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び
/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御するステップと、前記タ
イムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位
置へと復帰させる復帰動作を実行するステップと、前記復帰動作の完了後に、前記タイム
チャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行
するステップと、前記サーボ軸の既定の速度、加速度及び現在の位置に基いて前記復帰動作を自動生成するステップと、を有する。
【0022】
また、本発明の一側面に係るタイムチャート作成方法は、タイムチャートに基いて機器を制御するコントローラであって、時間軸に対し、サーボ軸の速度をプロットする速度チャート及び/又は変位をプロットする変位チャートに基いてサーボ軸を制御し、前記タイムチャートに記述された動作を実施後に、前記タイムチャートに予め設定された初期位置へと復帰させる復帰動作を実行し、前記復帰動作の完了後に、前記タイムチャートの開始時点へと回帰して前記タイムチャートを繰り返し実行する回帰動作を実行する、コントローラの動作を記述するタイムチャートを作成するタイムチャート作成方法であって、前記速度チャート及び/又は前記変位チャートを作成するステップと、各サーボ軸に対し、前記初期位置を指定するステップと、前記サーボ軸に対して、既定の速度及び加速度にて前記復帰動作の波形である復帰波形を生成するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0023】
上記発明によれば、タイムチャートに基づいて機器を制御するコントローラにより実行される一連の動作を、簡便に反復して実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るコントローラを含む機器制御システムの例を示す概略図である。
図2】タイムチャート作成装置の物理的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るコントローラ及びタイムチャート作成装置の機能ブロック図である。
図4】タイムチャート作成装置により作成され、コントローラで実行されるタイムチャートの一例である。
図5図4に示すタイムチャートによる本実施形態に係る機器制御システムの実動作を示した図である。
図6】第1の実施形態に係るコントローラがタイムチャートを実行する際の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態に係るコントローラ及びタイムチャート作成装置の機能ブロック図である。
図8】復帰波形、回帰指令及び接点初期化指令の追加が行われたタイムチャートを示す図である。
図9】第2の実施形態に係るタイムチャート作成装置がタイムチャートを作成する際の動作を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態に係るコントローラがタイムチャートを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の発明者の見地によれば、コントローラにより実行される機械制御プログラムにより制御される機器には、一連の動作を反復して行うことが求められている。一般的なラダープログラム等のシーケンスプログラムを実行するPLC(プログラマブルロジックコントローラ)をコントローラとして用いる場合には、外部より入力されるタイミング信号を契機として一連の動作を開始するようにしたり、一連の動作が繰り返し行われるようにプログラムを記述したりすることにより反復する動作が実現されている。しかしながら、ラダープログラム等のシーケンスプログラムによらずに、タイムチャートに基づいて各機器の動作のタイミングを制御しようとする場合に、繰り返し制御をどのように記述しどのように実行すればよいのかという点は、これまで考慮されていなかった。
【0026】
そこで本発明の発明者は、このような反復動作を実現できるタイムチャートを簡便に作成することについて鋭意研究開発を行った結果、新規かつ独創的なタイムチャート作成装置等に想到した。以下、かかるタイムチャート作成装置等をその実施形態を通じ詳細に説明する。
【0027】
<実施形態に係る機器制御システム>
図1は本発明の実施形態に係るコントローラ2を含む機器制御システム1の例を示す概略図である。なお、以降の説明では第1の実施形態、第2の実施形態を区別して説明するが、本図はいずれの実施形態においても共通である。同図には、コントローラ2、サーボコントローラ3、I/Oユニット4と、リニアスライダ5、スイッチ6及びランプ7からなる機器制御システム1と、コントローラ2に接続されたタイムチャート作成装置8が示されている。
【0028】
コントローラ2は機器制御システム1全体を制御する機器であって、本実施形態では、タイムチャートに基いて少なくとも1以上の機器を制御するものである。なお、ここでタイムチャートとは、コントローラ2に接続される機器の動作を、時間軸に対して記述した情報を意味しており、その表現形式は問わない。また、サーボコントローラ3を通じて駆動されるリニアスライダ5等のサーボ軸、スイッチ6、ランプ7等の入出力機器は、いずれもコントローラ2による制御の対象となる機器の一例である。コントローラ2で実行されるタイムチャートは、タイムチャート作成装置8により作成され、電子データの形でコントローラ2に入力され、記憶される。コントローラ2には情報通信コネクタ2aが設けられている。
【0029】
サーボコントローラ3は、サーボモータを制御するためのサーボアンプ及びその制御回路が一体となったものであり、コントローラ2をはじめとする他の機器と接続するための情報通信コネクタ3aと、リニアスライダ5等のサーボ機構と接続するためのサーボコネクタ3bが設けられている。本実施形態では、サーボコネクタ3bにはサーボ軸の一例として、リニアスライダ5が接続されている。
【0030】
リニアスライダ5は、サーボモータ、エンコーダ、サーボモータの出力軸に連結されたボールねじと、リニアガイドにより案内され、ボールねじにより駆動されるスライドテーブルを一体とした機構であり、サーボコントローラ3からの出力に応じてスライドテーブルが駆動される。なお、ここでサーボ軸とは、サーボモータを動力源として駆動される機構をそのサーボモータを主眼としてとらえた呼び方である。
【0031】
I/Oユニット4は、コントローラ2をはじめとする他の機器と接続するための情報通信コネクタ4aと、入出力機器を接続するための多数の入出力接点を備えた機器である。I/Oユニット4には入出力接点として、入力コネクタ4bと出力コネクタ4cが備えられており、入力コネクタ4b及び出力コネクタ4cにはそれぞれ多数の入力用又は出力用の接点(それぞれ、入力接点及び出力接点と呼ぶ)が含まれている。I/Oユニット4は、入力コネクタ4bに含まれる入力接点の入力状態を情報通信コネクタ4aを介してコントローラ2に伝達する一方、同じく情報通信コネクタ4aを介してコントローラ2から伝達された指令に応じて出力コネクタ4cに含まれる出力接点の状態を制御するものであり、機能的には、コントローラ2に外付けの入出力接点を増設する働きをする。本実施形態では、入出力機器の例として、I/Oユニット4の入力コネクタ4bにはノーマルオープン型(すなわち、A接点)の機械式スイッチであるスイッチ6が、また出力コネクタ4cにはランプ7が接続されている。なお、ここで入出力接点とは、ハイインピーダンス及びローインピーダンスの別により情報の入力又は出力をする接点を指しており、また、入出力機器とは、入出力接点によりコントローラ2に接続される機器を指す。
【0032】
本実施形態では、図1に示されているように、コントローラ2、サーボコントローラ3及びI/Oユニット4は、情報通信コネクタ2a,3a及び4aをケーブルでカスケード接続することにより互いに通信可能とされている。
【0033】
タイムチャート作成装置8は、コントローラ2にて実行されるタイムチャートをユーザが作成するのを支援する。また、タイムチャート作成装置8は、本実施形態では、コントローラ2から動作状況等の情報を取得して、機器制御システム1の状態をモニタするために、ユーザに表示することも可能である。タイムチャート作成装置8は専用の装置であってもよいが、図示の通りの一般的なコンピュータを用い、タイムチャート作成装置8として機能させるコンピュータプログラムを実行することにより実現されている。かかるコンピュータプログラムは、各種の光ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてよく、該媒体からコンピュータにインストールされるようにすることが好ましい。或いは、インターネット等の各種の情報通信ネットワークからコンピュータにダウンロードされてもよく、さらには情報通信ネットワークを通じて遠隔地にあるサーバによりその機能が提供される、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0034】
図2は、タイムチャート作成装置8の物理的な構成を示すブロック図である。タイムチャート作成装置8は一般的なコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)8a、RAM(Random Access Memory)8b、外部記憶装置8c、GC(Graphics Controller)8d、入力デバイス8e及びI/O(Inpur/Output)8fがデータバス8gにより相互に電気信号のやり取りができるよう接続されている。ここで、外部記憶装置8cはHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の静的に情報を記録できる装置である。またGC8dからの信号はCRT(Cathode Ray Tube)やいわゆるフラットパネルディスプレイ等の、使用者が視覚的に画像を認識するモニタ8hに出力され、画像として表示される。入力デバイス8eはキーボードやマウス、タッチパネル等の、ユーザが情報を入力するための機器であり、I/O8fはタイムチャート作成装置8が外部の機器、ここでは、コントローラ2と情報をやり取りするためのインタフェースである。
【0035】
なお、以上の説明、図1及び2では、本実施形態の説明に不要な他の詳細な構成や配線、例えば、電源線や接地線の接続については説明及び図示を簡略化するため省略している。また、接続態様やコネクタの種類、制御対象の機器の種類や個数等は、特に限定されるものではなく、様々なバリエーションが考えられる。さらに、機器制御システム1が動作するにあたっては、必ずしもコントローラ2にタイムチャート作成装置8が接続されている必要はなく、コントローラ2にタイムチャートが転送されているならば、タイムチャート作成装置8がなくとも機器制御システム1は動作可能である。また、タイムチャート作成装置8もまた必ずしもコントローラ2に接続されている必要はなく、タイムチャートの作成はタイムチャート作成装置8単独で可能である。
【0036】
<第1の実施形態に係るコントローラ及びタイムチャート作成装置の構成>
図3は、本発明の第1の実施形態に係るコントローラ2及びタイムチャート作成装置8の機能ブロック図である。
【0037】
コントローラ2は、タイムチャート作成装置8側に接続されるインタフェース20、制御対象となる各機器側に接続されるインタフェース21を備えている。タイムチャート作成装置8により作成されたタイムチャートは、インタフェース20を通してデータ取得部22により取得され、タイムチャート記憶部23に電子データの形で記憶される。
【0038】
内部時刻生成部24は、コントローラ2がタイムチャートに記述された各機器の動作を実行するタイミングを規定する時刻である内部時刻を生成する。すなわち、ここで言う内部時刻は、タイムチャートの時間軸に示される時刻として使用される。
【0039】
内部時刻は、内部時刻生成部24に含まれる適宜のクロック回路等からなる実時刻生成部24aにより生成される。また、内部時刻は、現実の時刻に対応して進む実時刻に対し、オーバーライド部24bにより適宜のオーバーライド係数によりその進行速度が調整されたものとして生成される。
【0040】
ここで、オーバーライド係数は、実時刻の進行速度に対する内部時刻の進行速度の割合を示している。例えば、オーバーライド係数が0.8であれば、内部時刻は実時刻に対し80%の速度でゆっくり進行し、オーバーライド係数が1.2であれば内部時刻は実時刻に対し120%の速度で早く進行することになる。オーバーライド係数が1の場合には、内部時刻の進行速度と実時刻の進行速度は一致する。なお、オーバーライド係数は、インタフェース20を通じてタイムチャート作成装置8により、或いは適宜のティーチングペンダント等任意の機器を用いてユーザにより設定される。また、生成された内部時刻は、各機器の動作をモニタするために、インタフェース20を通じてタイムチャート作成装置8に出力されてもよい。
【0041】
タイムチャート実行部25は、内部時刻生成部24が生成した内部時刻に基いて、タイムチャート記憶部23に記憶されたタイムチャートに記述された各機器の動作を解釈し、その動作を実行するためにインタフェース21を通じて各機器に制御信号を出力する。タイムチャート実行部25の基本的な動作は、タイムチャートに動作が記述された時点に内部時刻が到来したならば、かかる記述を実現する制御信号を出力する、というものである。
【0042】
タイムチャート終了判定部26は、タイムチャートに記述されている動作が終了しているか否かを判定する。この判定は、単に、内部時刻がタイムチャートが予定している終了時刻に到達したことを判定するものではなく、各機器の実動作が終了していることを判定するものである。したがって、タイムチャート終了判定部26は、内部時刻が予定されている終了時刻に到達していることに加え、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されていること、及び、入出力接点の状態がタイムチャート終了時に予定されている状態と一致していることの少なくともいずれかが満たされている場合にタイムチャートに記述されている動作が終了したものと判定する。各機器の状態はインタフェース21を通じて取得され、本実施形態では、全サーボ軸が位置決め完了信号を出力すること、及び、入出力接点の状態が終了時に予定されている状態と一致していることの全てが満たされた場合にタイムチャートに記述されている動作が終了したものと判定している。なお、本実施形態では、タイムチャートには後述する復帰動作の記述は含まれていないため、タイムチャート終了判定部26は、ユーザが明示的に作成した動作が終了したことをもってタイムチャートに記述されている動作が終了したものと判定することになる。また、タイムチャート終了判定部26は回帰回数をカウントしており、ユーザにより回帰回数、すなわちタイムチャートの繰り返し実行回数が指定されている場合に、回帰回数がユーザによる指定値に到達した場合には、次の復帰動作実行部・接点初期化部27の動作をすることなく機器の制御を終了する。
【0043】
復帰動作実行部・接点初期化部27は、タイムチャート終了判定部26による終了判定を受けて、サーボ軸を規定の速度及び加速度にてタイムチャート固有の初期位置へと復帰させる復帰動作を実行するとともに、入出力接点のうち、特に出力接点の状態をタイムチャート開始時に予定されている初期状態へと初期化する制御信号をインタフェース21へと送出する。ここで使用される規定の速度及び加速度並びに初期位置は、インタフェース20を通じてタイムチャート作成装置8により、或いは適宜のティーチングペンダント等任意の機器を用いてユーザにより設定される。また、初期位置は、タイムチャートごとに予め設定されるサーボ軸の位置であって、サーボ軸の物理的な原点位置と異なっていてもよい。すなわち、初期位置は、原点位置とは独立に設定される位置である。本実施形態では、復帰動作実行部・接点初期化部27は全てのサーボ軸を初期位置へと復帰させる。なお、復帰動作実行部・接点初期化部27による復帰動作の実行の条件は、タイムチャート終了判定部26による終了判定のみには限定されず、他の条件を追加してもよい。サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることは、復帰動作の実行条件の少なくとも1つである。
【0044】
復帰波形生成部28は、復帰動作実行部・接点初期化部27にて実行される復帰動作においてサーボ軸が使用する波形である復帰波形、すなわち、速度又は変位のプロファイルを自動生成する。ここで、自動生成の意味は、ユーザが波形を指定することなくコントローラ2が復帰波形を生成するということである。復帰動作実行部・接点初期化部27は、復帰波形生成部28が生成した復帰波形にしたがってサーボ軸を制御することにより復帰動作を実行する。なお、復帰波形生成部28が復帰波形を生成するタイミングは、復帰動作実行部・接点初期化部27により復帰動作が行われる時点であってもよいし、タイムチャート記憶部23に記憶されたタイムチャートに基いて、予め生成しておいてもよい。
【0045】
復帰波形生成部28が復帰波形を生成するにあたっては、既定の速度及び加速度並びに初期位置を参照する。ここで復帰波形生成部28についてより詳細に説明する。例えばサーボ軸には、速度及び加速度並びに初期位置が設定される。速度及び加速度は、例えば、サーボ軸の定格速度や加速度であってもよく、ユーザが予め設定してもよい。また、初期位置は、後述するようにユーザによって、タイムチャート固有に予め設定される。ただし、この初期位置は、サーボ軸の原点位置と一致してもよいが、サーボ軸の原点位置はサーボ軸固有のものであるため、タイムチャートの作成上又は実行のタイムサイクル短縮のために、別途の適宜の値に設定されることが望ましい。一方、タイムチャートの実行終了時点におけるサーボ軸の位置はタイムチャートに表されているか、又は算出可能である。そこで、復帰波形生成部28は、この実行終了時点の位置及び初期位置と、既定の速度及び加速度とから、復帰動作の波形を自動で生成することが可能である。この際、復帰波形生成部28は、サーボ軸が多回転軸である場合、その回転方向を予め設定されてもよく、また、複数軸があり相互に干渉が懸念される場合には、予め干渉又は非干渉条件を設定され、その条件を満たすように、復帰動作の波形を生成することも可能である。なお、本実施形態のように、復帰波形生成部28は、復帰動作が行われる時点のタイミングで復帰波形を生成する場合、更に、サーボ軸等の制御対象の機器の情報を収集し、その情報を復帰波形に反映させてもよい。つまり、復帰波形生成部28は、サーボ軸のタイムチャート上での実行終了時点の位置に換えて、より正確な現在位置を使用して復帰波形を生成することにより、より正確かつ迅速な復帰動作を可能にすることができる。
【0046】
復帰動作終了判定部29は、復帰動作実行部・接点初期化部27にて実行される復帰動作が終了しているか否かを判定する。この判定もまた、各機器の実動作が終了していることを判定するものであり、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されていることが終了判定の条件となっている。本実施形態では、全サーボ軸が位置決め完了信号を出力することが判定条件となっている。
【0047】
回帰動作実行部30は、復帰動作終了判定部29による終了判定を受けて、タイムチャートを繰り返し実行すべく、その実行位置をタイムチャートの開始時点へと回帰させる回帰動作を行う。この回帰動作の具体的方法はどのようなものであってもよいが、本実施形態では、内部時刻をタイムチャートの開始時刻である0秒時点に書き換えることにより回帰動作を行っている。なお、回帰動作の実行条件について、他の条件を追加してもよく、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されることは、回帰動作の実行条件の少なくとも1つである。
【0048】
実測サイクル時間計測部31は、実時刻生成部24aにより生成される実時刻をモニタしており、タイムチャートの開始時点から回帰動作実行部30により回帰動作の実行時点までの時間である実測サイクル時間をタイムチャートの実行毎に計測し、インタフェース20を通じてタイムチャート作成装置8へと出力する。
【0049】
スタート指令部32は、タイムチャートの実行を開始するときや、コントローラ2が通電され起動したときに動作する。更にスタート指令部32は、リセットスイッチ又はリセット信号によりコントローラ2の再起動が行われたときなどに動作してもよい。スタート指令部32は、復帰波形生成部28に、各サーボ軸に対し、現在の位置から初期位置へと移動する復帰波形を生成するよう指令し、生成された復帰波形により、復帰動作実行部・接点初期化部27が復帰動作を実行すると共に接点の初期化を行う。これにより、コントローラ2のタイムチャート実行開始時、起動時又は再起動時に、各サーボ軸と出力接点はタイムチャートの開始時点の状態となり、直ちにタイムチャートを実行可能な状態となる。なお、スタート指令部32の動作は、新たなタイムチャートがタイムチャート作成装置8からコントローラ2に転送された時や、タイムチャート作成装置8側から指令がなされた時にも行われるようにして良い。
【0050】
タイムチャート作成装置8は、ユーザインタフェース80、コントローラ2に接続されるインタフェース81を備えている。ユーザインタフェース80は物理的には図2の入力デバイス8e及びモニタ8hが、インタフェース81は図2のI/O8fがそれぞれ相当することとなる。
【0051】
タイムチャート作成部82は、ユーザインタフェース80に表示したGUI(Graphical User Interface)等を用いてユーザから必要な情報を受け付け、タイムチャートを作成する。本実施形態では、タイムチャート作成部82は、速度/変位チャート作成部82a、入出力チャート作成部82b、終了時刻設定部82c及び回帰回数指定部82dを含む。
【0052】
速度/変位チャート作成部82aは、サーボ軸の速度をプロットするチャートである速度チャート又は変位をプロットするチャートである変位チャートをユーザからの入力に基いて作成する。一般に、速度チャートを時間について積分すれば変位チャートが得られるため、速度/変位チャート作成部82aは速度チャート、変位チャートのいずれを作成するものとしてもよいが、本実施形態では、ユーザの指定によりどちらのチャートであっても作成できるようになっている。
【0053】
入出力チャート作成部82bは、入出力機器の動作、すなわち、入出力接点の状態をプロットするチャートをユーザからの入力に基いて作成する。このチャートは、入力機器に対しては、時間軸に対し予期される入力の変化を記述するものであり、出力機器に対しては、時間軸に対しコントローラ2からの出力の変化を記述するものである。
【0054】
なお、速度/変位チャート作成部82a、入出力チャート作成部82bは、各チャートにその動作が記述される機器の動作を、他の機器の状態変化に連動して開始するように指定することができることが好ましい。かかる指定をすることにより、例えば、スイッチが押されることによりサーボ軸が起動する、といった複数の機器が関連する動作の記述がなされる。このように、ある機器の動作が他の機器の状態変化に連動している関係を例えば「リンク」又は「関連付け」等と呼ぶ場合もある。
【0055】
終了時刻設定部82cは、タイムチャートにより記述される一連の動作が終了する時刻をユーザの指定により設定する。タイムチャートに記述された各機器の動作は、開始時刻である0秒時点からこの終了時刻までを1サイクルとして、繰り返し実行される。なお、ここで設定された終了時刻は、タイムチャート上で予定されている終了時刻であり、実動作時には1サイクルの動作の終了時点は終了時刻とは必ずしも一致しない。
【0056】
回帰回数指定部82dは、タイムチャートに記述された各機器の動作を何度繰り返し実行するか、すなわち、回帰動作の回数をユーザからの入力に基いて指定する。なお、回帰回数を無限とする指定も可能であることが好ましい。
【0057】
速度/変位チャート作成部82a及び入出力チャート作成部82bにより作成されたチャート、終了時刻設定部82cにより設定された終了時刻及び回帰回数指定部82dにより指定された回帰回数はタイムチャートを構成する電子データとしてタイムチャート記憶部83に記憶される。また、そのようにして作成されたタイムチャートは、タイムチャート表示部84により読み出され、ユーザインタフェース80によりユーザに表示され、常に内容の確認ができるようになっている。
【0058】
初期位置指定部85は、サーボ軸毎の初期位置をユーザからの入力に基いて指定する。初期位置は、タイムチャートの実行開始時点において予定されているサーボ軸の位置であり、前述の通り、必ずしもサーボ軸の原点位置に一致しない。初期位置は、タイムチャート毎に固有のものとして指定されるため、対応するタイムチャートと併せてタイムチャート記憶部83に記憶される。
【0059】
タイムチャート記憶部83に記憶されたタイムチャートをはじめとする情報は、必要に応じてインタフェース81を通じてコントローラ2に転送される。
【0060】
実測サイクル時間表示部86は、コントローラ2の実測サイクル時間計測部31により計測された実測サイクル時間をインタフェース81を通じて受け取り、ユーザインタフェース80に表示する。ユーザは、かかる表示を見て、実際に機器を動作させた際の1サイクルの動作に要する時間を知ることができる。
【0061】
<第1の実施形態に係る機器制御システムの動作>
続いて、本実施形態に係る機器制御システム1の動作を具体的なタイムチャートを例示しつつ説明する。
【0062】
図4はタイムチャート作成装置8により作成され、コントローラ2で実行されるタイムチャートの一例である。同タイムチャートにおいて、横軸が時間軸となっており、縦軸には制御対象となる各機器が順に示されている。各機器に対応して示される曲線は、それぞれの機器の状態を示すものであり、「UNIT#01」として示されるスイッチ6及び、「UNIT#03」として示されるランプ7は入出力機器であるから、曲線が上の位置にある場合はローインピーダンス(接続)を、曲線が下の位置にある時はハイインピーダンス(切断)を意味している。また、「UNIT#02」として示されるサーボ軸、この場合はリニアスライダ5について示されている曲線は、スライダの速度を示している。
【0063】
このタイムチャートで意図されている動作は、開始より1000ms経過した時点でスイッチ6がオンとなり(図中A点)、かかるスイッチ6の状態変化に連動してタイマが起動し、設定時間である500msの間待機し(図中太線B)、サーボ軸(リニアスライダ5)を所定の移動量だけ移動させ(図中区間C)、またサーボ軸の移動開始時点(図中D点)に連動してランプ7を点灯するというものである。タイムチャートの終了時刻はサーボ軸の移動終了と同時となる6000msの時点に設定されており、図中EOC(End Of Controlのイニシャル)として示されている。
【0064】
タイムチャート中示した破線矢印は、一の機器の動作、すなわち状態変化に連動して他の機器が動作すること、すなわち、リンク(又は関連付け)を示している。もちろん、矢印による表記は一例であり、一の機器の状態変化に他の機器の動作が連動することをどのように表現するかは自由である。かかる動作の連動は、一の機器のある動作と他の機器のある動作とが何らかの形で関連付けられていればよいのであって、タイムチャートを図4のように目に見える形で示した際に、かかる関連付けが必ずしも明に示されていなくともよい。また、図4に示したタイムチャートの例では、サーボ軸の動作の開始が、スイッチ6の状態変化に関連付けられている場合を例示しているが、この関連付けは、サーボ軸同士やサーボ軸以外の機器同士で行われても良い。また、サーボ軸の動作の終了を他の機器の状態変化に関連付けてもよい。さらに、一の機器の状態変化に対し、同じ一の機器自体のさらなる動作が連動するようにしてもよい。例えば、サーボ軸が正転方向に一定量移動した後、移動終了のタイミングで直ちに逆転方向に移動開始するような場合には、一の機器の状態変化に対し、同じ一の機器自体のさらなる動作が連動することとなる。
【0065】
図5は、図4に示すタイムチャートによる本実施形態に係る機器制御システム1の実動作を示した図である。同図に示した各曲線は、実際の機器であるスイッチ6、サーボ軸であるリニアスライダ5及びランプ7の実際の動作をタイムチャートの形式で示したものである。
【0066】
コントローラ2のタイムチャート実行部25は、図4に示すタイムチャートに記述された各機器の動作を解釈し、逐次実行していく。図5のD点の段階では各機器の動作はタイムチャートの記載通りのものであり、スイッチ6がオンとなった時刻の500ms後にリアスライダ5が移動を開始し、同時にランプ7が点灯している。
【0067】
そのまま内部時刻が6000msに到来した時点で、タイムチャート上は終了時刻となる。このとき、タイムチャート終了判定部26は、タイムチャートに記述されている動作が終了しているか否かを判定する。この例では、リニアスライダ5の動作が完了しておらず、動作完了を示す位置決め完了信号がサーボコントローラ3から出力されていない。このため、タイムチャート終了判定部26は、タイムチャートに記述された動作が未だ終了していないと判定する。
【0068】
さらに時間が経過し、図中E点の時点でリニアスライダ5が目標位置に停止し、位置決め完了信号が出力される。スイッチ6はタイムチャート上における終了時点での状態であるオフとなっているため、この時点でタイムチャート終了判定部26は、タイムチャートに記述された動作が終了したと判定する。さらに、タイムチャート終了判定部26は回帰動作の回数をカウントしており、回帰動作の回数が指定された回帰回数に達した場合には機器の制御を終了する。そのため、本実施形態では、機器の制御が終了された場合の各機器の状態は、ユーザがタイムチャートに明示的に示した動作が終了した時点における状態と一致する。
【0069】
タイムチャート終了判定部26がタイムチャートに記述された動作が終了したと判定し、更に回帰動作の回数が指定された回帰回数に達していなければ、復帰動作実行部・接点初期化部27によりリニアスライダ5に対し復帰動作が実行され、また、出力接点が初期化される。図5の例では、区間Fに示した波形が復帰波形であり、規定の速度及び加速度により初期位置にリニアスライダ5を移動させる波形として、復帰波形生成部28により生成される。また、復帰動作実行部・接点初期化部27は出力接点、この場合はランプ7への出力を点等の状態から、初期状態である消灯状態へと切り替える。
【0070】
さらに時間が経過し、リニアスライダ5が初期位置に停止し、位置決め完了信号が出力されるG点の時点で、復帰動作終了判定部29は復帰動作が終了したと判定する。その結果、回帰動作実行部30が回帰動作を実行する。この回帰動作の時点は、図中REVとして示されている。かかる回帰動作により、内部時刻は再度0msの時点に巻き戻され、再びタイムチャートに記述された動作が実行されることになる。
【0071】
また、タイムチャートの実行が開始された時刻(内部時刻では、0ms)から回帰動作が実行された時刻(内部時刻で、この場合9500ms)までの実時間が実測サイクル時間計測部31により計測され、インタフェース20を通してタイムチャート作成装置8に出力される。図5の例で、オーバーライド係数が1であったとすれば、実測サイクル時間は9500msとなる。
【0072】
上述のように、コントローラ2は、初期位置への復帰動作を行うので、タイムチャートに基く機器の制御を繰り返し実行することができる。さらに、コントローラ2は、上述のように復帰波形を自動生成し、復帰動作、回帰動作を行い、出力接点の出力信号を初期状態にするので、ユーザは、タイムチャートの終了時点における各機器の状態を特に意識することなく、タイムチャートに記述された一連の動作を簡便に反復させられる。また、サーボ軸の初期位置は原点位置と独立に設定できるので、タイムチャートの開始時点におけるサーボ軸の位置は原点位置に限定されることなく自由に設定できる。また、復帰動作、回帰動作はサーボ軸の位置決め完了信号の出力後になされるので、復帰動作や回帰動作が他のサーボ軸の動作中に実行されることが無く、機器同士が干渉するなどの不測の事態が防止される。
【0073】
なお、上述の説明では、タイムチャート終了判定部26が、タイムチャートに記述された動作が終了したと判断した時点(図中E点)の後も、内部時刻が進行し、区間Fに示した復帰波形に従って復帰動作がなされるものとして説明した。これに対し、タイムチャート終了判定部26がタイムチャートに記述された動作が終了したと判断した時点で内部時刻の進行を停止し、復帰動作は、単に、復帰動作実行部・接点初期化部27が、サーボコントローラ3に対し初期位置への位置決めを指示する信号を出力するものとしてもよい。この場合、復帰波形をタイムチャートに追加する形で生成しなくともよい。復帰波形は、サーボコントローラ3が初期位置への位置決めを行う際に使用する加速度や速度等のパラメータにより定まることになる。
【0074】
<第1の実施形態に係るコントローラの動作フロー>
図6は、本実施形態に係るコントローラ2がタイムチャートを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【0075】
コントローラ2は、タイムチャートの実行を開始すると、内部時刻に従い、ステップS1にてタイムチャートに記載された動作を解釈し実行する。そして、ステップS2で内部時刻が終了時刻に到達しているか否かを判断し、到達していなければ、内部時間を進めステップS1に戻る。
【0076】
内部時刻が終了時刻に到達していればステップS3へと進み、タイムチャート上の動作が終了しているか否かを判断する。ここでは、入力接点の状態がタイムチャートの終了時刻における状態と一致しており、サーボ軸が位置決め完了信号を出力していることによりタイムチャート上の動作が終了していると判断する。タイムチャート上の動作が終了していなければステップS1へと戻り、終了していればステップS4へと進む。
【0077】
ステップS4では、回帰動作のカウントを1増加させる。続くステップS5で、このカウントが指定された回帰回数に到達していれば、コントローラ2は動作を終了する。カウントが回帰回数に到達していなければ、ステップS6へと進み、復帰動作及び接点初期化を実行する。続くステップS7では、復帰動作が終了しているか否かを判断する。復帰動作の終了は、サーボ軸の位置決め完了信号が出力されていることにより判断される。復帰動作が終了していなければ、内部時間を進め、ステップS6へと戻る。
【0078】
復帰動作が終了していれば、ステップS8へと進み、内部時刻を開始時刻である0msにリセットし、さらにステップS1へと戻りタイムチャートの実行を繰り返す。
【0079】
なお、以上の説明では、タイムチャート終了判定部26が回帰回数のカウントをし、回帰動作の回数が指定された回帰回数に達した場合には機器の制御を終了するようにしていた。これにより、タイムチャートを繰り返し実行する場合にも、制御の終了時点における各機器の状態は、ユーザが明示的にタイムチャートに示した動作が終了した時点における状態と一致する。これに対し、回帰動作実行部30が回帰回数のカウントをし、回帰動作の回数が指定された回帰回数に達した場合に機器の制御を終了するようにしてもよい。この場合、制御の終了は復帰動作及び接点初期化動作の後になされるから、制御の終了時点における各機器の状態は、タイムチャートの開始時点における初期状態と一致することとなる。
【0080】
<第2の実施形態に係るコントローラ及びタイムチャート作成装置の構成>
図7は、本発明の第2の実施形態に係るコントローラ2及びタイムチャート作成装置8の機能ブロック図である。本実施形態において、先の実施形態と共通している部分に対しては、同符号を付し、その重複する説明は省略するものとする。本実施形態に係るコントローラ2と先の実施形態に係るコントローラ2との主たる相違点は、本実施形態に係るコントローラ2においては復帰動作実行部・接点初期化部27、復帰動作終了判定部29、復帰波形生成部28が省略されており、スタート指令部32に換えてスタート動作実行部33が設けられている点である。また、本実施形態に係るタイムチャート作成装置8と先の実施形態に係るタイムチャート作成装置8との主たる相違点は、復帰波形生成部82e、回帰指令生成部82f、接点初期化指令生成部82g、復帰波形表示部87及び予測サイクル時間表示部88が新たに設けられている点である。
【0081】
コントローラ2に関して、以下では本実施形態において先の実施形態のものと異なる部分について説明する。
【0082】
タイムチャート終了判定部26は、先の実施形態と同じく、タイムチャートに記述されている動作が終了しているか否か、特に各機器の実動作が終了していることを判定するものであるが、本実施形態では、タイムチャートに復帰動作の記述が含まれているため、タイムチャート終了判定部26は、ユーザが明示的に作成した動作が終了したことに加え、復帰動作をも終了したことをもってタイムチャートに記述されている動作が終了したものと判定することになる。
【0083】
回帰動作実行部30は、タイムチャート終了判定部26による終了判定を受けて、タイムチャートを繰り返し実行すべく、その実行位置をタイムチャートの開始時点へと回帰させる回帰動作を行う。本実施形態においても、回帰動作は内部時刻をタイムチャートの開始時刻である0秒時点に書き換えることにより行われる。また、本実施形態では回帰動作実行部30が回帰回数をカウントし、回帰回数がユーザによる指定値に到達した場合には回帰動作をすることなく機器の制御を終了する。
【0084】
タイムチャート作成装置8に関して、以下では本実施形態において先の実施形態のものと異なる部分について説明する。
【0085】
復帰波形生成部82eは、ユーザにより設定された終了時刻以降であって、タイムチャート上で各機器の動作が終了する時点以降に、サーボ軸を規定の速度及び加速度にて初期位置へと復帰させる復帰動作の波形である復帰波形を生成し、タイムチャートに追加する。復帰波形生成部82eによる復帰波形の生成のタイミングは、ユーザによる明示的な動作の作成が終了し、タイムチャートの作成の終了が指示されたときや、ユーザから復帰波形を作成するよう指示があったとき、或いは、タイムチャートをコントローラ2に転送するとき等として良い。なお、復帰波形生成部82eは、先の実施形態の復帰波形生成部28と同様に復帰波形を生成することが可能である。
【0086】
回帰指令生成部82fは、復帰波形の追加の際に、復帰波形生成部82eによりタイムチャートに追加された復帰動作の終了時点に、回帰動作を指示する回帰指令を追加する。
【0087】
接点初期化指令生成部82gは、復帰波形の追加の際に、ユーザにより設定された終了時刻以降の各機器の動作が終了する時点以降であって、回帰指令より前に、入出力接点のうち、特に出力接点の状態をタイムチャート開始時に予定されている初期状態へと初期化する指令である接点初期化指令をタイムチャートに追加する。本実施形態では、復帰動作と同時に接点初期化指令が追加される。
【0088】
復帰波形表示部87は、復帰波形生成部82eにより生成された復帰波形をユーザインタフェース80によりユーザに表示し、復帰動作の確認をするためのものである。
【0089】
予測サイクル時間表示部88は、タイムチャート上において、タイムチャートの開始時点から回帰指令生成部82fにより生成された回帰指令までの時間である予測サイクル時間をユーザインタフェース80によりユーザに表示する。予測サイクル時間は、タイムチャートに記述された動作が理想的に(すなわち、タイムチャートの記述どおりに)なされたと仮定した場合に予想される、機器制御システム1の一連の動作に要する時間である。なお、予測サイクル時間表示部88を、第1の実施形態に係るタイムチャート作成装置8(図3参照)にも設けるようにしてもよい。なお、予測サイクル時間を得るには、復帰波形の終了時点を知ることが必要となるが、第1の実施形態に係るコントローラ2の復帰波形生成部28が、タイムチャートの実行前に予め復帰波形を生成しておくものである場合には、かかる復帰波形又はその終了時点をインタフェース20及びインタフェース81を通じて取得することにより、タイムチャート作成装置8側で予測サイクル時間を表示することが可能である。
【0090】
<第2の実施形態に係る機器制御システムの動作>
続いて、本実施形態に係る機器制御システム1の動作を具体的なタイムチャートを例示しつつ説明する。
【0091】
本実施形態においても、ユーザは、図4に示したと同様のタイムチャートを作成したものとする。ユーザがタイムチャートの作成終了を指示し、或いは、復帰波形を自動生成するよう指示すると、タイムチャートには、復帰波形生成部82eによる復帰波形の追加、回帰指令生成部82fによる回帰指令の追加、及び、接点初期化指令生成部82gによる接点初期化指令の追加が行われる。図8は、かかる復帰波形、回帰指令及び接点初期化指令の追加が行われたタイムチャートを示す図である。
【0092】
図中区間Fに示す波形が復帰波形である。復帰波形の開始時点は、ユーザにより指定された終了時点(図中EOC)以降であり、且つ、各機器の状態が終了状態にある時点が選択される。この例では、タイムチャートの終了時点と、サーボ軸であるリニアスライダ5の動作の終了時点はともに6000msであるため、復帰波形の開始時点も6000msが選択される。なお、復帰波形の開始を他の機器、好ましくは他の全ての入力機器及びサーボ軸の終了状態にリンクさせておくことにより、実動作において、他の機器が終了状態にあることを条件として復帰動作を開始させることができる。図示の例では、復帰波形の開始時点は、スイッチ6が終了状態であるオフの状態であること(図中G点)とリンクしている。また、復帰波形の終了時点には回帰指令(図中REV)が追加される。さらに、終了時点においてスイッチ6がオフであること(G点)、サーボ軸の動作が終了していること(E点)とリンクして、ランプ7をオフにする信号が追加される。これが、接点初期化指令に相当する。このように、出力接点を初期状態とする指令を他の機器の終了状態とリンクさせることにより、接点初期化動作を、ユーザが明示的に作成したタイムチャート上の動作の終了後に行わせることができる。コントローラ2には、図8に示したタイムチャート、すなわち、復帰波形、回帰指令及び接点初期化指令が自動的に生成され追加されたタイムチャートが転送される。また、このときの予測サイクル時間は回帰指令が追加された時刻である、9100msと予測される。
【0093】
本実施形態に係る機器制御システム1により、図8のタイムチャートを実行した際の実動作は、例えば、図5に示したものと同様となる。すなわち、図5に示されるように、コントローラ2のタイムチャート実行部25により、図8に示すタイムチャートに記述された各機器の動作を解釈し、逐次実行していく。そして、図5に示すように、内部時刻が6000msに到達した段階で、リニアスライダ5の動作が完了していないものとする。
【0094】
この場合、図8に示すタイムチャート上では6000msの時点でサーボ軸の復帰動作及び接点初期化動作、すなわち、ランプ7の消灯が行われるよう記述されているが、サーボ軸に関しては直前の動作が終了しておらず、また、ランプ7についてはリンク先の動作であるサーボ軸の動作が終了していないため、いずれも実行されない。内部時間が、サーボ軸の動作が終了し、位置決め完了信号が出力される時点Eに達した時点で、復帰動作が開始され、同時に、ランプ7が消灯される。
【0095】
ここまでの動作は、タイムチャートをタイムチャート実行部25が実行することにより行われる。そして、本実施形態では、図8に示すタイムチャート上で9100msの時点に記述された回帰指令がタイムチャートに記述された動作の終了位置を示しているので、タイムチャート終了判定部26は、回帰指令が記述されている9100msの時点以降において、各機器の実動作が終了したことをもってタイムチャートに記述されている動作が終了したものと判定する。図5の例では、サーボ軸の復帰動作が終了するのは9500msであるから、タイムチャート終了判定部26による終了判定は、内部時刻が9500msの時点でなされる。
【0096】
そして、回帰動作実行部30は、回帰指令を実行し、内部時間を0msに巻き戻してタイムチャートを繰り返し実行する。この回帰動作の時点は、図中REVとして示されている時点である。本実施形態においても、回帰動作実行部30は回帰動作の回数をカウントしており、回帰動作の回数が指定された回帰回数に達した場合には機器の制御を終了する。
【0097】
また、タイムチャートの実行が開始された時刻(内部時刻では、0ms)から回帰動作が実行された時刻(内部時刻で、この場合9500ms)までの実時間が実測サイクル時間計測部31により計測され、インタフェース20を通してタイムチャート作成装置8に出力される。本実施形態においても、オーバーライド係数が1であったとすれば、実測サイクル時間は9500msとなる。
【0098】
本実施形態では、上述のように、タイムチャート作成装置8が復帰波形及び接点初期化指令を自動生成しタイムチャートに追加するので、ユーザは、タイムチャートの終了時点における各機器の状態を特に意識することなく、タイムチャートに記述された一連の動作を簡便に反復させられる。また、復帰波形及び接点初期化指令をタイムチャート作成装置8側で表示させることができるので、ユーザが復帰動作及び接点初期化動作を確認できる。さらに、復帰動作を含めた予測サイクル時間を各機器を実際に動作させる前に知ることができる。また、回帰回数を指定することにより、タイムチャートを任意の回数だけ繰り返して実行することができる。
【0099】
<第2の実施形態に係るタイムチャート作成装置の動作フロー>
図9は、本実施形態に係るタイムチャート作成装置8がタイムチャートを作成する際の動作を示すフローチャートである。
【0100】
タイムチャート作成装置8は、ステップS11でユーザからの指示に従い、タイムチャートを作成する。このステップS11には、速度/変位チャートの作成、入出力チャートの作成、終了時刻の設定、回帰回数の指定、及び、初期位置の指定が含まれる。
【0101】
ステップS11に示す動作は、ユーザがタイムチャートの作成終了を指示するまで繰り返し実行される。ステップS12は、ユーザからのタイムチャートの作成終了指示の有無を判断し、作成終了指示が無ければステップS11に戻るというものである。
【0102】
ユーザからのタイムチャートの作成終了指示があれば、ステップS13へと進み、復帰波形を生成し、タイムチャートに追加する。続くステップS14では、回帰指令を生成し、タイムチャートに追加する。さらに続くステップS15では、接点初期化指令を生成し、タイムチャートに追加する。かかる動作により、タイムチャート作成装置8は、復帰波形、回帰指令及び接点初期化指令を含むタイムチャートを作成する。
【0103】
<第2の実施形態に係るコントローラの動作フロー>
図10は、本実施形態に係るコントローラ2がタイムチャートを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【0104】
コントローラ2は、タイムチャートの実行を開始すると、内部時刻に従い、ステップS21にてタイムチャートに記載された動作を解釈し実行する。そして、ステップS22で内部時刻が終了時刻に到達しているか否かを判断し、到達していなければ、内部時間を進めステップS21に戻る。
【0105】
ステップS23では、内部時刻が回帰指令の時点に到達しているか否かを判断する。到達していなければステップS21へと戻り、そうでなければステップS24へと進み、タイムチャート上の動作が終了しているか否かを判断する。すなわち、入力接点の状態がタイムチャートの終了時刻における状態と一致しており、サーボ軸が位置決め完了信号を出力していることによりタイムチャート上の動作が終了していると判断する。タイムチャート上の動作が終了していなければステップS21へと戻り、終了していればステップS24へと進む。
【0106】
本実施形態では、タイムチャートは復帰波形、接点初期化指令を含んでいるため、回帰指令の時点がタイムチャート上での動作の終了時点となる。したがって、上述のステップS22及びステップS23により、コントローラ2は、タイムチャートに記述された動作が終了しているか否かを判断していることになる。
【0107】
ステップS24では回帰動作のカウントを1増加させる。続くステップS25で、このカウントが指定された回帰回数に到達していなければ、ステップS26へと進み、内部時刻を介し時刻である0msにリセットし、さらにステップS21へと戻りタイムチャートの実行を繰り返す。カウントが回帰回数に到達していれば、コントローラ2は動作を終了する。
【0108】
なお、以上説明した第2の実施形態に係るコントローラ2では、タイムチャート作成装置8により生成された復帰波形及び接点初期化指令は、ユーザが作成した動作と同様にタイムチャート実行部25により実行されるものとして説明したが、本実施形態においても、第1の実施形態に係るコントローラと同様に、復帰波形の実行及び接点初期化指令の実行を復帰動作実行部・接点初期化部27(図3参照)を設けて実行させるようにしてもよい。復帰波形及び接点初期化指令と、ユーザが作成した動作とは、各動作に復帰波形又は接点初期化指令であることを示す情報を付加することにより区別できるようにしてもよいし、ユーザにより設定された終了時刻の前後によりこれを区別してもよい。復帰動作実行部・接点初期化部27により復帰動作及び接点初期化動作をさせる場合には、復帰波形や接点初期化指令を他の機器の終了状態に必ずしもリンクさせておく必要はない。
【0109】
また、以上の説明では、回帰動作の回数が指定された回帰回数に達した場合の機器の制御の終了は、回帰指令の時点でなされているが、これを第1の実施形態のように、ユーザが明示的にタイムチャートに示した動作が終了した時点でするようにしてもよい。
【0110】
以上説明した各実施形態の構成は具体例として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定するものではない。当業者はこれら開示された実施形態に種々の変形、例えば、各部材あるいはその部分の形状や数、配置等を適宜変更してもよく、また、フローチャートに示した制御は、同等の機能を奏する他の制御に置き換えてもよい。本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0111】
1 機器制御システム、2 コントローラ、2a 情報通信コネクタ、3 サーボコントローラ、3a 情報通信コネクタ、3b サーボコネクタ、4 I/Oユニット、4a 情報通信コネクタ、4b 入力コネクタ、4c 出力コネクタ、5 リニアスライダ、6 スイッチ、7 ランプ、8 タイムチャート作成装置、8a CPU、8b RAM、8c 外部記憶装置、8d GC、8e 入力デバイス、8f I/O、8g データバス、8h モニタ、20 インタフェース、21 インタフェース、22 データ取得部、23 タイムチャート記憶部、24 内部時刻生成部、24a 実時刻生成部、24b オーバーライド部、25 タイムチャート実行部、26 タイムチャート終了判定部、27 復帰動作実行部・接点初期化部、28 復帰波形生成部、29 復帰動作終了判定部、30 回帰動作実行部、31 実測サイクル時間計測部、32 スタート指令部、33 スタート動作実行部、80 ユーザインタフェース、81 インタフェース、82 タイムチャート作成部、82a 速度/変位チャート作成部、82b 入出力チャート作成部、82c 終了時刻設定部、82d 回帰回数指定部、82e 復帰波形生成部、82f 回帰指令生成部、82g 接点初期化指令生成部、83 タイムチャート記憶部、84 タイムチャート表示部、85 初期位置指定部、86 実測サイクル時間表示部、87 復帰波形表示部、88 予測サイクル時間表示部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10