特許第5804092号(P5804092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804092
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】送信機および送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
   H04B1/04 R
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-557370(P2013-557370)
(86)(22)【出願日】2012年11月19日
(86)【国際出願番号】JP2012079929
(87)【国際公開番号】WO2013118367
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-26254(P2012-26254)
(32)【優先日】2012年2月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】椎熊 一実
(72)【発明者】
【氏名】芦田 順也
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−345718(JP,A)
【文献】 特開2011−019029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部にて周波数変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備え
前記共通のローカル信号の周波数は、前記複数の送信回路から送信される、前記互いに異なる周波数帯域の信号の中心周波数の平均値に設定されている、送信機。
【請求項2】
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部にて周波数変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備え、
前記複数の送信回路は、
中心周波数がf1である第1の周波数帯域の信号を送信する第1の送信回路と、
中心周波数がf2(f1<f2)である第2の周波数帯域の信号を送信する第2の送信回路と、であり、
前記共通のローカル信号の周波数が(f1+f2)/2である、送信機。
【請求項3】
前記共通の帰還回路は、
前記共通のローカル信号を生成するローカル信号生成部をさらに備える、請求項に記載の送信機。
【請求項4】
前記第1および第2の送信回路の各々は、
入力された信号を、前記歪補償係数算出部にて算出された歪補償係数を用いて、歪補償する歪補償演算処理回路と、
前記歪補償演算処理回路により歪補償された信号を増幅して送信する送信増幅部と、を備える、請求項またはに記載の送信機。
【請求項5】
前記第1および第2の送信回路の各々は、
前記歪補償演算処理回路により歪補償された信号を直交変調する直交変調部と、
前記直交変調部にて直交変調された信号をD/A変換するDAコンバータと、
前記DAコンバータにてD/A変換された信号に対し、前記ローカル信号と乗算することで周波数変換する送信側周波数変換器と、をさらに備え、
前記第1および第2の送信回路の各々の送信増幅部は、
前記送信側周波数変換器にて周波数変換された信号を増幅して送信し、
前記第1および第2の送信回路の各々の前記DAコンバータは、
周波数が(f2−f1)/2である信号を出力し、
前記第1の送信回路の前記送信側周波数変換器は、
前記D/A変換された信号に対し、ローサイド側の周波数スペクトラムを選択した上で、周波数変換をし、
前記第2の送信回路の前記送信側周波数変換器は、
前記D/A変換された信号に対し、ハイサイド側の周波数スペクトラムを選択した上で、周波数変換をする、請求項に記載の送信機。
【請求項6】
前記第1および第2の送信回路は、前記送信増幅器を共有する、請求項に記載の送信機。
【請求項7】
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換するADコンバータと、
前記ADコンバータにてA/D変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備え
前記共通のクロック信号は、前記複数の周波数帯域の各々が互いに異なるナイキストゾーンに割り当てられるようなサンプリング周波数のクロック信号である、送信機。
【請求項8】
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換するADコンバータと、
前記ADコンバータにてA/D変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備え、
前記共通のクロック信号は、前記複数の周波数帯域の各々が互いに異なるナイキストゾーンに割り当てられ、かつ、前記複数の周波数帯域の各々の中心周波数がナイキストゾーンの略中央部に位置するようなサンプリング周波数のクロック信号である、送信機。
【請求項9】
前記共通の帰還回路は、前記共通のクロック信号を生成するクロック信号生成部をさらに備える、請求項7または8に記載の送信機。
【請求項10】
前記複数の送信回路の各々に入力された信号の電力を計算する電力計算部と、
前記複数の送信回路の各々に入力された信号の電力の計算結果に基づいて、前記経路切替部が入力する信号を判定する切替判定部と、
前記経路切替部に対し、前記判定された信号を入力するよう指示する切替制御部と、をさらに有する、請求項1からのいずれか1項に記載の送信機。
【請求項11】
前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる前記歪補償係数に基づいて、前記経路切替部が入力する信号を判定する切替判定部と、
前記経路切替部に対し、前記判定された信号を入力するよう指示する切替制御部と、をさらに有する、請求項1からのいずれか1項に記載の送信機。
【請求項12】
前記共通の帰還回路は、
前記周波数変換部にて周波数変換された信号をA/D変換するADコンバータと、
前記ADコンバータにてA/D変換された信号を直交復調する直交復調部と、をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の送信機。
【請求項13】
前記共通の帰還回路は、
前記ADコンバータにてA/D変換された信号を直交復調する直交復調部をさらに備える、請求項からのいずれか1項に記載の送信機。
【請求項14】
前記直交復調部から出力された信号の電力を計算する電力計算部と、
前記電力の計算結果に基づいて、前記経路切替部が入力する信号を判定する切替判定部と、
前記経路切替部に対し、前記判定された信号を入力するよう指示する切替制御部と、をさらに有する、請求項12または13に記載の送信機。
【請求項15】
前記直交復調部から出力された信号の周波数スペクトラムを検出するスペクトラム検出部と、
前記周波数スペクトラムの検出結果に基づいて、前記経路切替部が入力する信号を判定する切替判定部と、
前記経路切替部に対し、前記判定された信号を入力するよう指示する切替制御部と、をさらに有する、請求項12または13に記載の送信機。
【請求項16】
送信機による送信方法であって、
複数の送信回路の各々が、互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する送信ステップと、
共通の帰還回路が、前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えてフィードバックして入力する入力ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する処理ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記周波数変換が行われた各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する算出ステップと、を有し、
前記共通のローカル信号の周波数が、前記複数の送信回路から送信される、前記互いに異なる周波数帯域の信号の中心周波数の平均値に設定されている、送信方法。
【請求項17】
送信機による送信方法であって、
複数の送信回路の各々が、互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する送信ステップと、
共通の帰還回路が、前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えてフィードバックして入力する入力ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換する処理ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記A/D変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する算出ステップと、を有し、
前記共通のクロック信号が、前記複数の周波数帯域の各々が互いに異なるナイキストゾーンに割り当てられるようなサンプリング周波数のクロック信号である、送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数帯域の信号を送信する送信機および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムの基地局等の送信機においては、電力増幅器に発生する歪みを補償する歪補償方式として、ディジタル信号の段階で歪みを補償するディジタルプリディストーション(DPD:Digital Pre-Distortion)方式が採用されている。
【0003】
ディジタルプリディストーション方式を採用した送信機においては、電力増幅器にて増幅され送信されたRF(Radio Frequency)信号をフィードバックしてディジタル信号に変換し、そのディジタル信号に基づいて歪補償係数を算出する。そして、電力増幅器に入力されるディジタル信号に対し、歪補償係数を用いて複素乗算を行うことで、電力増幅器に発生する歪みを補償する。
【0004】
また、送信機においては、周波数の効率的な利用や経済性の観点から、複数の周波数帯域の信号を増幅して送信するマルチバンド対応への要求が高まっている。
【0005】
例えば、非特許文献1のFig.14には、ディジタルプリディストーション方式を採用し、Lower bandとUpper bandの2通りの周波数帯域の信号を増幅して送信するマルチバンド対応の送信機が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wenhua Chen, et al., “Design and Linearization of Concurrent Dual-Band Doherty Power Amplifier With Frequency-Dependent Power Ranges”, Microwave Theory and Techniques, IEEE Transactions on Volume 59, 2011年10月発行, P.2537-2546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ディジタルプリディストーション方式においては、電力増幅器にて増幅され送信されたRF信号をディジタル信号に変換する必要がある。
【0008】
そのため、非特許文献1に記載のデュアルバンド対応の送信機においては、電力増幅器にて増幅され送信されたRF信号をディジタル信号に変換するための経路(非特許文献1では、ダウンコンバータからADコンバータまでの経路)が、Lower band用とUpper band用との計2つ設けられている。
【0009】
このように、関連するデュアルバンド対応の送信機においては、複数の周波数帯域にそれぞれ対応して、上記の経路を設ける必要があるため、送信機の小型化、低コスト化を図ることができないという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決することができる送信機および送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の送信機は、
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部にて周波数変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備える。
【0012】
本発明の第2の送信機は、
各々が互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する複数の送信回路と、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号をフィードバックする共通の帰還回路と、を有し、
前記共通の帰還回路は、
前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えて入力する経路切替部と、
前記経路切替部により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換するADコンバータと、
前記ADコンバータにてA/D変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する歪補償係数算出部と、を備える。
【0013】
本発明の第1の送信方法は、
送信機による送信方法であって、
複数の送信回路の各々が、互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する送信ステップと、
共通の帰還回路が、前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えてフィードバックして入力する入力ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する処理ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記周波数変換が行われた各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する算出ステップと、を有する。
【0014】
本発明の第2の送信方法は、
送信機による送信方法であって、
複数の送信回路の各々が、互いに異なる周波数帯域の信号を歪補償して増幅して送信する送信ステップと、
共通の帰還回路が、前記複数の送信回路の各々から送信された信号を切り替えてフィードバックして入力する入力ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換する処理ステップと、
前記共通の帰還回路が、前記A/D変換された各々の信号に基づいて、前記複数の送信回路の各々にて前記歪補償に用いる歪補償係数を算出する算出ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送信機の小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図2図1に示した送信機の帰還回路において、RF領域とIF領域とで周波数スペクトラムが反転する様子を説明する図である。
図3】本発明の第2の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第3の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図5図4に示した送信機の送信回路において、RF領域とIF領域とで周波数スペクトラムが反転する様子を説明する図である。
図6】本発明の第4の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図7】ナイキスト定理を説明する図である。
図8図6に示した送信機において、サンプリング周波数を決定する方法を説明する図である。
図9】本発明の第5の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第6の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図11】本発明の第7の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第8の実施形態の送信機の構成を示すブロック図である。
図13】本発明の送信機の構成の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態は、周波数帯域(以下、単に「帯域」と称す)f1と帯域f2との2通りの帯域の信号を増幅して送信するマルチバンド対応の送信機に適用されるものである。
【0018】
なお、本明細書において、帯域Xという場合、この帯域は、中心周波数がXであり、帯域幅がXL〜XH(XL<X<XH)であるとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の送信機は、帯域f1用の送信回路TX−1と、帯域f2用の送信回路TX−2と、方向性結合器17と、帯域制限部18−1,18−2と、帰還回路FBと、を有している。
【0020】
また、送信回路TX−1は、歪補償演算処理回路11−1と、直交変調部12−1と、DAコンバータ(ディジタルアナログコンバータ)13−1と、送信LO(ローカル)信号生成部14−1と、周波数変換器(送信側周波数変換器)15−1と、送信増幅器16と、を有している。また、歪補償演算処理回路11−1は、電力計算部111−1と、歪補償係数データメモリ112−1と、歪補償演算部113−1と、を有している。
【0021】
また、送信回路TX−2は、歪補償演算処理回路11−2と、直交変調部12−2と、DAコンバータ13−2と、送信LO信号生成部14−2と、周波数変換器(送信側周波数変換器)15−2と、送信回路TX−1と共用の送信増幅器16と、を有している。また、歪補償演算処理回路11−2は、電力計算部111−2と、歪補償係数データメモリ112−2と、歪補償演算部113−2と、を有している。
【0022】
このように、本実施形態においては、送信回路TX−1と送信回路TX−2とで、送信増幅器16を共有している。
【0023】
また、歪補償演算処理回路11−1,11−2の構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0024】
また、帰還回路FBは、経路切替部19と、帰還LO信号生成部20と、周波数変換器(帰還側周波数変換器)21と、ADコンバータ(アナログディジタルコンバータ)22と、直交復調部23と、歪補償係数算出部24と、を有している。
【0025】
電力計算部111−1は、帯域f1用のディジタル直交ベースバンド信号の電力を計算する。
【0026】
歪補償係数データメモリ112−1は、電力計算部111−1が計算した帯域f1用のディジタル直交ベースバンド信号の電力に応じた歪補償係数を格納する。なお、この歪補償係数は、歪補償係数算出部24により更新可能である。
【0027】
歪補償演算部113−1は、電力計算部111−1が計算した電力に応じた歪補償係数を歪補償係数データメモリ112−1から読み出す。そして、歪補償演算部113−1は、帯域f1用のディジタル直交ベースバンド信号に対し、上記で読み出した歪補償係数を用いて、複素乗算による歪補償演算を行うことで、歪み補償を行う。
【0028】
直交変調部12−1は、歪補償演算部113−1が歪補償をしたディジタル直交ベースバンド信号を直交変調し、ディジタルIF(Intermediate Frequency)信号に変換する。
【0029】
DAコンバータ13−1は、直交変調部12−1が変換したディジタルIF信号をアナログIF信号にD/A変換する。
【0030】
送信LO信号生成部14−1は、送信LO信号を生成する。
【0031】
周波数変換器15−1は、DAコンバータ13−1がD/A変換したアナログIF信号を、送信LO信号生成部14−1が生成した送信LO信号と乗算することで周波数変換し、RF信号を生成する。
【0032】
送信増幅器16は、周波数変換器15−1が生成した帯域f1のRF信号を増幅して送信する。
【0033】
以上のようにして、送信回路TX−1において、帯域f1のRF信号が生成されて送信される。
【0034】
また、歪補償演算処理回路11−2、直交変調部12−2、DAコンバータ13−2、送信LO信号生成部14−2、および周波数変換器15−2は、それぞれ、歪補償演算処理回路11−1、直交変調部12−1、DAコンバータ13−1、送信LO信号生成部14−1、および周波数変換器15−1と略同様の動作を行う。また、送信増幅器16は、周波数変換器15−2が生成した帯域f2のRF信号を増幅して送信する。
【0035】
これにより、送信回路TX−2において、帯域f2のRF信号が生成されて送信される。
【0036】
方向性結合器17は、送信増幅器16が送信したRF信号の一部を分岐して参照用信号として帰還回路FBにフィードバックする。
【0037】
帯域制限部18−1は、方向性結合器17がフィードバックしたRF信号の帯域を制限し、帯域f1のRF信号のみを出力する。
【0038】
帯域制限部18−2は、方向性結合器17がフィードバックしたRF信号の帯域を制限し、帯域f2のRF信号のみを出力する。
【0039】
経路切替部19は、周波数変換器21に接続する経路を、帯域f1用の帯域制限部18−1側または帯域f2用の帯域制限部18−2側に時分割で切り替える。
【0040】
すなわち、経路切替部19は、帯域f1のRF信号または帯域f2のRF信号を時分割で切り替えて入力する。
【0041】
帰還LO信号生成部20は、帰還LO信号を生成する。
【0042】
周波数変換器21は、経路切替部19に入力されたRF信号を、帰還LO信号生成部20が生成した帰還LO信号と乗算することで周波数変換し、アナログIF信号を生成する。
【0043】
ADコンバータ22は、周波数変換器21が生成したアナログIF信号をディジタルIF信号にA/D変換する。
【0044】
直交復調部23は、ADコンバータ22がA/D変換したディジタルIF信号を直交復調し、ディジタル直交ベースバンド信号に変換する。
【0045】
歪補償係数算出部24は、直交復調部23が出力した帯域f1用と帯域f2用のディジタル直交ベースバンド信号に基づいて、帯域f1用と帯域f2用の歪補償係数をそれぞれ算出し、算出した歪補償係数で歪補償係数データメモリ112−1,112−2に格納された歪補償係数をそれぞれ更新する。
【0046】
本実施形態においては、帰還LO信号生成部20が生成する帰還LO信号のLO周波数fLOを、以下のようにする。
【0047】
fLO=(f1+f2)/2
この場合、周波数変換器21に帯域f1のRF信号が入力されている時には、周波数変換器21にて生成されたアナログIF信号の周波数fFBIFは、以下のようになる。
【0048】
fFBIF=(f1−f2)/2
また、周波数変換器21に帯域f2のRF信号が入力されている時には、周波数fFBIFは、以下のようになる。
【0049】
fFBIF=(f2−f1)/2
したがって、以降に、ADコンバータ22および直交復調部23の処理を経て、帯域f1用と帯域f2用のディジタル直交ベースバンド信号をそれぞれ復調することができるため、歪補償係数算出部24は、帯域f1用と帯域f2用の歪補償係数をそれぞれ算出することができる。
【0050】
このように、本実施形態においては、送信増幅器16から送信されたRF信号をディジタル信号に変換するための経路(周波数変換器21、ADコンバータ22、および直交復調部23からなる経路)を、帯域f1用と帯域f2用にそれぞれ設けなくても、帯域f1用と帯域f2用のそれぞれの歪補償係数を算出することができる。
【0051】
ただし、周波数fFBIFは、経路切替部19の切り替えに応じて、(f1−f2)/2または(f2−f1)/2のいずれかとなるが、これらの周波数は、f1とf2の大小関係に応じて、一方が負となる。この場合、周波数fFBIFが負となる方のアナログIF信号は、周波数変換前後で周波数スペクトラムが反転してしまう。
【0052】
そこで、歪補償係数算出部24は、周波数変換の前後で周波数スペクトラムが反転しているか否かを判断し、反転している場合、ディジタル直交ベースバンド信号のIb信号とQb信号とを交換するI/Q交換を行う。
【0053】
ここで、帰還回路FBにおける周波数変換前後の周波数スペクトラムについて、図2を参照して説明する。
【0054】
なお、図2においては、f1<f2の関係にある。また、図2において、右側は、周波数変換前のRF信号の周波数スペクトラムを示し、左側は、周波数変換後のアナログIF信号の周波数スペクトラムを示している。
【0055】
図2に示すように、周波数変換器21には、経路切替部19により、時分割で帯域f1または帯域f2のどちらかのRF信号が入力される。
【0056】
本実施形態においては、帰還LO信号のLO周波数fLOを、(f1+f2)/2としているため、帯域f1のRF信号の入力時には、周波数変換器21にて周波数変換されるアナログIF信号の周波数fFBIFは、(f1−f2)/2となり、また、帯域f2のRF信号の入力時には、周波数fFBIFは、(f2−f1)/2となる。
【0057】
ここでは、f1<f2の関係にあるため、帯域f1のRF信号を周波数変換したアナログIF信号の周波数fFBIF(=(f1−f2)/2)は負となる。そのため、帯域f1のRF信号は、周波数変換前後で周波数スペクトラムが反転してしまい、歪補償係数を正しく算出することができなくなってしまう。
【0058】
そこで、歪補償係数算出部24は、帯域f1のRF信号を周波数変換したアナログIF信号については、ADコンバータ22によりA/D変換され、直交復調部23により直交復調された後のディジタル直交ベースバンド信号のIb信号とQb信号とを交換する。
【0059】
上述したように、本実施形態においては、経路切替部19は、帯域f1,f2のRF信号を時分割で切り替えて入力し、周波数変換器21は、時分割に入力された帯域f1,f2のそれぞれのRF信号に対し、LO周波数fLO=(f1+f2)/2である帰還LO信号と乗算することで周波数変換する。
【0060】
したがって、帯域f1,f2用のそれぞれのディジタル直交ベースバンド信号を復調し歪補償係数を算出することができるため、周波数変換器21、ADコンバータ22、および直交復調部23からなる経路を、帯域f1用と帯域f2用とで共通化することができる。
【0061】
これにより、送信機の小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0062】
また、本実施形態においては、歪補償係数算出部24は、周波数変換の前後で周波数スペクトラムが反転している場合、ディジタル直交ベースバンド信号のIb信号とQb信号とを交換するI/Q交換を行う。
【0063】
これにより、周波数スペクトラムが反転したとしても、歪補償係数を正しく算出することができるという効果が得られる。
【0064】
(2)第2の実施形態
第1の実施形態は、送信回路TX−1と送信回路TX−2とで送信増幅器16を共有していた。これに対して、本実施形態は、送信回路TX−1と送信回路TX−2とに個別に送信増幅器を設ける。
【0065】
図3に示すように、本実施形態の送信機は、図1の第1の実施形態と比較して、送信増幅器16の代わりに、送信回路TX−1,TX−2のそれぞれに送信増幅器16−1,16−2を設けた点と、方向性結合器17の代わりに、方向性結合器17−1,17−2を設けた点と、が異なる。
【0066】
すなわち、本実施形態においては、帯域f1のRF信号は、送信増幅器16−1により増幅されて送信され、方向性結合器17−1によりフィードバックさせられる。
【0067】
また、帯域f2のRF信号は、送信増幅器16−2により増幅されて送信され、方向性結合器17−2によりフィードバックさせられる。
【0068】
上述したように本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、周波数変換器21、ADコンバータ22、および直交復調部23からなる経路を、帯域f1用と帯域f2用とで共通化することができるため、送信機の小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0069】
なお、本実施形態においては、帯域f1のRF信号と帯域f2のRF信号とを、それぞれ個別に送信増幅器16−1,16−2にて増幅しているため、帯域制限部18−1,18−2は必ずしも必要はない。しかし、RF信号に所望の周波数成分以外の妨害信号が含まれる可能性がある場合は(例えば、帯域f1,f2が近い帯域にある場合等)、帯域制限部18−1,18−2を設ける必要がある。
【0070】
(3)第3の実施形態
第1および第2の実施形態は、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでそれぞれ個別にLO信号を生成していた。これに対して、本実施形態は、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとで共通のLO信号を生成する。
【0071】
図4に示すように、本実施形態の送信機は、図3の第2の実施形態と比較して、送信LO信号生成部14−1,14−2および帰還LO信号生成部20の代わりに、帰還回路FBに共通LO信号生成部25を設けた点と、送信回路TX−1,TX−2のそれぞれに帯域制限部26−1,26−2を追加で設けた点と、が異なる。
【0072】
本実施形態においては、f1<f2の関係にあるものとし、共通LO信号生成部25が生成する共通LO信号のLO周波数fLOを、以下のようにする。
【0073】
fLO=(f1+f2)/2
この共通LO信号は、周波数変換器15−1,15−2,21にそれぞれ入力される。
【0074】
また、DAコンバータ13−1,13−2のそれぞれから出力されるアナログIF信号の周波数fTXIFを、以下のようにする。
【0075】
fTXIF=(f2−f1)/2
この周波数fTXIFは、f1<f2の関係にあることから、必ず正となる。
【0076】
なお、周波数fTXIFを上記の値にする方法としては、歪補償演算処理回路11−1,11−2に入力される元々のディジタル直交ベースバンド信号の周波数を制御する方法や、直交変調部12−1,12−2またはDAコンバータ13−1,13−2の内部で周波数変換を行う方法が考えられる。
【0077】
また、周波数変換器15−1,15−2は、イメージ抑圧(キャンセル)型の周波数変換器とする(例えば、David M. Pozar, “MICROWAVE ENGINEERING -THIRD EDITION”, P.627-630, 2004年)。
【0078】
イメージ抑圧型の周波数変換器において、周波数変換後の周波数を、LO周波数に対して上側波帯または下側波帯のどちらになるかを選択可能であることはよく知られている。
【0079】
そこで、本実施形態においては、周波数変換器15−1は、DAコンバータ13−1から出力されるアナログIF信号のローサイド側の周波数スペクトラム(すなわち、周波数変換後のRF信号の周波数がLO周波数に対して下側波帯になる周波数スペクトラム)を選択し、選択した周波数スペクトラムに対して周波数変換を行う。
【0080】
一方、周波数変換器15−2は、DAコンバータ13−2から出力されるアナログIF信号のハイサイド側の周波数スペクトラム(すなわち、周波数変換後のRF信号の周波数がLO周波数に対して上側波帯になる周波数スペクトラム)を選択し、選択した周波数スペクトラムに対して周波数変換を行う。
【0081】
ここで、送信回路TX−1における周波数変換前後の周波数スペクトラムについて、図5を参照して説明する。
【0082】
なお、図5において、右側は、周波数変換後のRF信号の周波数スペクトラムを示し、左側は、周波数変換前のアナログIF信号の周波数スペクトラムを示している。
【0083】
図5に示すように、DAコンバータ13−1,13−2のそれぞれから出力されるアナログIF信号の周波数fTXIFは(f2−f1)/2である。
【0084】
周波数変換器15−1は、周波数変換後のRF信号の周波数がLO周波数fLO(=(f1+f2)/2)に対して下側波帯のf1になるように、ローサイド側の周波数スペクトラムを選択し、周波数変換を行う。
【0085】
一方、周波数変換器15−2は、周波数変換後のRF信号の周波数がLO周波数fLO(=(f1+f2)/2)に対して上側波帯のf2になるように、ハイサイド側の周波数スペクトラムを選択し、周波数変換を行う。
【0086】
ただし、周波数変換器15−1による周波数変換後のRF信号の周波数f1は、LO周波数fLO(=(f1+f2)/2)に対して下側波帯となるため、図2で説明したように、周波数変換の前後で周波数スペクトラムは反転してしまう。
【0087】
そこで、本実施形態においては、歪補償演算部113−1は、ディジタル直交ベースバンド信号のI’信号とQ’信号とを予め交換し、直交変調部12−1に出力する。
【0088】
一方、周波数変換器15−2による周波数変換後のRF信号の周波数f2は、LO周波数fLO(=(f1+f2)/2)に対して上側波帯となるため、図2で説明したように、周波数変換の前後で周波数スペクトラムが反転することはない。
【0089】
周波数変換器15−1にて周波数変換が行われたRF信号は、帯域制限部26−1により帯域がf1に制限された上で、送信増幅器16−1に入力され、また、周波数変換器15−2にて周波数変換が行われたRF信号は、帯域制限部26−2により帯域がf2に制限された上で、送信増幅器16−2に入力される。
【0090】
上述したように本実施形態においては、第1および第2の実施形態と同様に、周波数変換器21、ADコンバータ22、および直交復調部23からなる経路を、帯域f1用と帯域f2用とで共通化することができるため、送信機の小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0091】
また、本実施形態においては、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでLO信号を共通化しているため、部品点数を削減することができるという効果や、送信機の小型化が図れるという効果が得られる。
【0092】
また、第1および第2の実施形態においては、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでLO信号を個別に生成している。この場合、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでLO信号の位相揺らぎ(位相雑音)に相関はない。そのため、例えば、送信回路TX−1,TX−2側のLO信号に正方向の位相揺らぎが生じ、帰還回路FB側のLO信号に負方向の位相揺らぎが生じたとすると、それらの揺れ幅も方向にも相関がない。そのため、帰還回路FB側のRF信号に対するTX−1,TX−2側のLO信号の位相雑音による影響は大きくなる。
【0093】
これに対して、本実施形態においては、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでLO信号を共通にしているため、送信回路TX−1,TX−2と帰還回路FBとでLO信号の位相揺らぎの方向も揺れ幅も同様になり、その結果、帰還回路FB側のRF信号に対する送信回路TX−1,TX−2側のLO信号の位相雑音による影響が小さくなるという効果が得られる。
【0094】
なお、本実施形態においては、帯域制限部18−1,18−2,26−1,26−2は必ずしも必要はない。しかし、RF信号に所望の周波数成分以外の妨害信号が含まれる可能性がある場合は(例えば、帯域f1,f2が近い帯域にある場合等)、帯域制限部18−1,18−2,26−1,26−2を設ける必要がある。
【0095】
また、本実施形態においては、送信回路TX−1と送信回路TX−2とに個別に送信増幅器16−1,16−2を設けていたが、第1の実施形態のように、送信回路TX−1と送信回路TX−2とで送信増幅器16や、さらには方向性結合器17までを共有しても良い。
【0096】
(4)第4の実施形態
図6に示すように、本実施形態の送信機は、図4の第3の実施形態と比較して、周波数変換器15−1,15−2,21を削除した点と、共通LO信号生成部25を削除した点と、帰還回路FBにクロック信号生成部27を追加で設けた点と、が異なる。
【0097】
第1〜第3の実施形態は、周波数変換器21が、時分割で入力された帯域f1,f2のそれぞれのRF信号に対し、LO周波数fLO=(f1+f2)/2である帰還LO信号と乗算し周波数変換することで、帯域f1,f2用の信号を取り出していた。
【0098】
これに対して、本実施形態は、ADコンバータ22が、時分割で入力された帯域f1,f2のそれぞれのRF信号のサンプリングを行うことで、帯域f1,f2用の信号を取り出す。このように、ADコンバータ22にはRF信号を直接入力する構成であるため、帰還回路FBに周波数変換器21は不要である。また、これに伴い、送信回路TX−1,TX−2の周波数変換器15−1,15−2も不要である。
【0099】
図6に示すように、本実施形態の送信機は、図4の第3の実施形態と比較して、周波数変換器15−1,15−2,21を削除した点と、共通LO信号生成部25を削除した点と、帰還回路FBにクロック信号生成部27を追加で設けた点と、が異なる。
【0100】
クロック信号生成部27は、サンプリング周波数fsのクロック信号を生成する。
【0101】
ADコンバータ22は、経路切替部19に入力されたRF信号をサンプリング周波数fsでサンプリング(アンダーサンプリングを含む)し、サンプリングしたRF信号をディジタル信号にA/D変換する。
【0102】
ここで、サンプリング周波数fsの選択方法について説明する。
【0103】
図7に示すように、ナイキスト定理によれば、サンプリング周波数fsでサンプリング可能な歪みを含む信号の帯域幅はfs/2までとされている。また、fs/2を単位とする帯域はナイキストゾーンと称される。また、nを自然数としたとき、(n−1)*(fs/2)〜n*(fs/2)の帯域は、第nナイキストゾーンと称される。
【0104】
図8に示すように、サンプリング周波数fsは、帯域f1とf2がそれぞれ異なるナイキストゾーンに割り当てられるように選択する。なお、帯域f1とf2を同一のナイキストゾーンに含むようにサンプリング周波数fsを選択することも可能ではあるが、相当高いサンプリング周波数fsが必要となる場合があるためf1やf2の周波数が離れたり、増幅器で発生する歪みの周波数帯域が広くなる場合には実現に困難を伴う場合が多い。
【0105】
すなわち、f1<f2の関係にあり、N,Mを互いに異なる自然数とし、N<Mの関係にあるとき、
f1L>(N−1)*fs/2 かつ f1H<N*fs/2
と、
f2L>(M−1)*fs/2 かつ f2H<M*fs/2
と、を満たすように、fsを選択する。
【0106】
また、望ましくは、サンプリング周波数fsは、f1,f2がナイキストゾーンの略中央部に配置されるように選択する。これによれば、広帯域化を実現できる。
【0107】
すなわち、
fs≒4*f1/(2*N−1) かつ fs≒4*f2/(2*M−1)
を満たすように、fsを選択する。
【0108】
より具体的には、fsは、以下のいずれかを満たすように選択する。
(A)f1とf2がナイキストゾーンのちょうど中央に配置される。
(B)f1の信号帯域、f2の信号帯域の両方が、各ナイキストゾーンの中心周波数を含む(ここでいう信号帯域は図8の直角三角形の部分で歪みの帯域は含まない。以下同様)。
(C)f1の信号帯域、f2の信号帯域の少なくともどちらか一方は各ナイキストゾーンの中心周波数を含む。
(D)f1の信号帯域、f2の信号帯域のどちらもナイキストゾーンの中心周波数を含まないが、各々歪みまで含めた帯域はナイキストゾーン内にある。
(E)f1の信号帯域、f2の信号帯域の両方が、ナイキストゾーンを3分割した場合における中央の領域に配置される。
【0109】
また、望ましくは、広帯域化の実現のためには、サンプリング周波数fsは、大きい値を選択する。
【0110】
例えば、帯域f1を第一ナイキストゾーンに割り当て、帯域f2を第二ナイキストゾーンに割り当てることを考えた場合には
f1H<1*fs/2<f2L
を満たすように、fsを選択する。
【0111】
上述したように本実施形態においては、ADコンバータ22および直交復調部23からなる経路を、帯域f1用と帯域f2用とで共通化することができるため、送信機の小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0112】
また、本実施形態においては、第1〜第3の実施形態と比較して、周波数変換器が不要となるため、送信機のさらなる小型化、低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0113】
なお、本実施形態においては、図4の第3の実施形態と同様に、帯域制限部18−1,18−2,26−1,26−2は必ずしも必要はない。
【0114】
また、本実施形態においては、第1の実施形態のように、送信回路TX−1と送信回路TX−2とで送信増幅器16を共有しても良い。
【0115】
また、本実施形態においては、第1〜第3の実施形態のように、送信回路TX−1,TX−2に周波数変換器を設けても良い。
【0116】
また、本実施形態においては、2帯域のデュアルバンドを例に説明しているが、n(nは2以上の自然数)帯域まで拡張することが可能である。
【0117】
(5)第5の実施形態
第1〜第4の実施形態において、経路切替部19は、時分割で帯域f1用の経路または帯域f2用の経路に切り替えている。経路切替部19が切り替えを行う比率は、例えば、各経路に均等に、例えば50%ずつとすることも考えられる。
【0118】
しかし、帯域f1のRF信号と帯域f2のRF信号とは、例えばモバイル通信用基地局を考慮すると、複数周波数帯のそれぞれに、ユーザー数やデータチャネルの相違などのトラフィック状況や通信の伝搬品質状況など、周波数帯域ごとに大いに異なることが考えられる。さらには送信増幅器の非線形具合(振幅歪み、位相歪み)も異なる場合が多いと考えられる。これより送信増幅器で帯域f1と帯域f2で歪みの発生状況が異なることになる。
【0119】
そのため、歪みが多く発生している経路に切り替える時間を多くして、歪み補償の時間を多く取れば、送信機の動作の安定化を図ることができる。
【0120】
そこで、本実施形態、および、以降の第6〜第8の実施形態においては、帯域f1のRF信号と帯域f2のRF信号の情報に基づいて、経路切替部19の切替動作を制御する。
【0121】
なお、本実施形態、および、以降の第6〜第8の実施形態においては、図3の第2の実施形態に適用する場合を例に挙げて説明するが、第1、第3、および第4の実施形態に適用することも当然に可能である。
【0122】
一般的に、信号の電力が高ければ、送信増幅器16−1,16−2に発生する歪みも多く発生する。
【0123】
そこで、本実施形態は、歪補償演算処理回路11−1,11−2に入力されるディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて、経路切替部19の切替動作を制御する。
【0124】
図9に示すように、本実施形態の送信機は、図3の第2の実施形態と比較して、切替判定部28と、切替制御部29と、を追加で設けた点が異なる。
【0125】
切替判定部28は、電力計算部111−1,111−2のそれぞれにて計算された、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のそれぞれの電力の計算結果に基づいて、経路切替部19が切り替える経路(すなわち、経路切替部19に入力するRF信号)を判定する。
【0126】
例えば、帯域f1用の経路に切り替える時間比率をτ[%]、帯域f1側の電力をPf1[W]、帯域f2側の電力をPf2[W]とすると、切替判定部28は、以下のように、τを判定する。
【0127】
τ=Pf1/(Pf1+Pf2)*100[%]
また、Pf1またはPf2の一方の絶対値が低く、一方の経路に歪み補償が不要になった場合には、切替判定部28は、他方の経路のみに継続して切り替えておくことも可能である。
【0128】
また、Pf1およびPf2の両方の絶対値が低く、両方の経路ともに歪み補償が不要になった場合には、切替判定部28は、両方の経路を遮断することも、両方の経路に均等の割合で切り替えることも可能である。
【0129】
切替判定部28は、現時点で切り替える経路を示す判定結果を歪補償係数算出部24に出力する。この判定結果は、歪補償係数算出部24により切替制御部29に出力される。
【0130】
切替制御部29は、判定結果が示す経路への切り替えを行うよう経路切替部19に指示する。
【0131】
これを受けて、経路切替部19は、判定結果が示す経路への切り替えを行い、歪補償係数算出部24は、判定結果が示す経路の歪補償係数を算出する。
【0132】
上述したように本実施形態においては、歪補償演算処理回路11−1,11−2に入力されるディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて、経路切替部19が切り替える経路を判定する。
【0133】
そのため、ディジタル直交ベースバンド信号の電力が高く、歪みが多く発生している経路に切り替える時間を多くすることができるため、送信機の動作の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0134】
また、本実施形態においては、歪補償演算処理回路11−1,11−2に入力されるディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて経路を判定するため、経路切替部19の切替動作の高速化を図れるという効果が得られる。
【0135】
その他の効果は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0136】
(6)第6の実施形態
第5の実施形態は、歪補償演算処理回路11−1,11−2に入力されるディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて、経路切替部19の切替動作を制御していた。
【0137】
これに対して、本実施形態は、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて、経路切替部19の切替動作を制御する。
【0138】
図10に示すように、本実施形態の送信機は、図3の第2の実施形態と比較して、電力計算部30と、切替判定部31と、切替制御部32と、を追加で設けた点が異なる。
【0139】
電力計算部30は、直交復調部23から出力された、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のそれぞれの電力を計算する。
【0140】
切替判定部31は、電力計算部30にて計算された、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のそれぞれの電力の計算結果に基づいて、経路切替部19が切り替える経路(すなわち、経路切替部19に入力するRF信号)を判定する。なお、この判定方法は、第5の実施形態と同様の方法が利用できる。
【0141】
また、切替判定部31は、現時点で切り替える経路を示す判定結果を電力計算部30に出力する。これにより、電力計算部30は、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のどちらの電力を計算しているかを判断することができる。
【0142】
また、切替判定部31は、上記の判定結果を歪補償係数算出部24にも出力する。この判定結果は、歪補償係数算出部24により切替制御部32に出力される。
【0143】
切替制御部32は、判定結果が示す経路への切り替えを行うよう経路切替部19に指示する。
【0144】
これを受けて、経路切替部19は、判定結果が示す経路への切り替えを行い、歪補償係数算出部24は、判定結果が示す経路の歪補償係数を算出する。
【0145】
上述したように本実施形態においては、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて、経路切替部19が切り替える経路を判定する。
【0146】
そのため、第5の実施形態と同様に、ディジタル直交ベースバンド信号の電力が高く、歪みが多く発生している経路に切り替える時間を多くすることができるため、送信機の動作の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0147】
また、本実施形態においては、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の電力に基づいて経路を判定するため、例えば、温度などの影響で送信増幅器16−1,16−2の利得が変動した場合等でも、送信機の動作の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0148】
その他の効果は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0149】
なお、本実施形態においては、判定結果は、切替判定部31から直接電力計算部30に出力する構成であったが、切替制御部32から電力計算部30に出力しても良い。
【0150】
(7)第7の実施形態
歪補償係数データメモリ111−1,111−2にそれぞれ格納された、帯域f1,f2用の歪補償係数は、送信増幅器16−1,16−2に発生する歪みの非線形具合(振幅歪み、位相歪み)を反映したものとなる。
【0151】
そこで、本実施形態は、歪補償係数データメモリ111−1,111−2にそれぞれ格納された、帯域f1,f2用の歪補償係数に基づいて、経路切替部19の切替動作を制御する。
【0152】
図11に示すように、本実施形態の送信機は、図3の第2の実施形態と比較して、切替判定部33と、切替制御部34と、を追加で設けた点が異なる。
【0153】
切替判定部33は、歪補償係数データメモリ111−1,111−2にそれぞれ格納された、帯域f1,f2用の歪補償係数に基づいて、経路切替部19が切り替える経路(すなわち、経路切替部19に入力するRF信号)を判定する。
【0154】
例えば、切替判定部33は、歪補償係数に基づいて、帯域f1,f2用の経路のうち歪みが多く発生している経路を特定し、特定した経路に切り替える時間比率τ[%]を、50%よりも多くする。
【0155】
また、切替判定部33は、現時点で切り替える経路を示す判定結果を歪補償係数算出部24に出力する。この判定結果は、歪補償係数算出部24により切替制御部34に出力される。
【0156】
切替制御部34は、判定結果が示す経路への切り替えを行うよう経路切替部19に指示する。
【0157】
これを受けて、経路切替部19は、判定結果が示す経路への切り替えを行い、歪補償係数算出部24は、判定結果が示す経路の歪補償係数を算出する。
【0158】
上述したように本実施形態においては、歪補償係数データメモリ111−1,111−2に格納された歪補償係数に基づいて、経路切替部19が切り替える経路を判定する。
【0159】
そのため、第5および第6の実施形態と同様に、歪みが多く発生している経路に切り替える時間を多くすることができるため、送信機の動作の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0160】
また、本実施形態においては、送信増幅器16−1,16−2に発生する歪みの非線形具合(振幅歪み、位相歪み)を反映した歪補償係数に基づいて経路を判定するため、送信機の動作のさらなる安定化を図ることができると共に、歪み補償の精度の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0161】
その他の効果は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0162】
(8)第8の実施形態
直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の周波数スペクトラムを検出した場合、その周波数スペクトラムは、送信増幅器16−1,16−2に発生する歪みの非線形具合(振幅歪み、位相歪み)を反映したものとなる。
【0163】
そこで、本実施形態は、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の周波数スペクトラムに基づいて、経路切替部19の切替動作を制御する。
【0164】
図12に示すように、本実施形態の送信機は、図3の第2の実施形態と比較して、スペクトラム検出部35と、切替判定部36と、切替制御部37と、を追加で設けた点が異なる。
【0165】
スペクトラム検出部35は、直交復調部23から出力された、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のそれぞれをFFT(Fast Fourier Transform)処理する等により、周波数スペクトラムを検出する。
【0166】
切替判定部36は、スペクトラム検出部35にて検出された、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のそれぞれの周波数スペクトラムの検出結果に基づいて、経路切替部19が切り替える経路(すなわち、経路切替部19に入力するRF信号)を判定する。
【0167】
例えば、切替判定部36は、周波数スペクトラムの検出結果に基づいて、帯域f1,f2用の経路のうち歪みが多く発生している経路を特定し、特定した経路に切り替える時間比率τ[%]を、他方の経路よりも多くする。
【0168】
また、切替判定部36は、現時点で切り替える経路を示す判定結果をスペクトラム検出部35に出力する。これにより、スペクトラム検出部35は、帯域f1,f2用のディジタル直交ベースバンド信号のどちらの周波数スペクトラムを検出しているかを判断することができる。
【0169】
また、切替判定部36は、上記の判定結果を歪補償係数算出部24にも出力する。この判定結果は、歪補償係数算出部24により切替制御部37に出力される。
【0170】
切替制御部37は、判定結果が示す経路への切り替えを行うよう経路切替部19に指示する。
【0171】
これを受けて、経路切替部19は、判定結果が示す経路への切り替えを行い、歪補償係数算出部24は、判定結果が示す経路の歪補償係数を算出する。
【0172】
上述したように本実施形態においては、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の周波数スペクトラムに基づいて、経路切替部19が切り替える経路を判定する。
【0173】
そのため、第5〜第7の実施形態と同様に、歪みが多く発生している経路に切り替える時間を多くすることができるため、送信機の動作の安定化を図ることができるという効果が得られる。
【0174】
また、本実施形態においては、直交復調部23から出力されたディジタル直交ベースバンド信号の周波数スペクトラムに基づいて経路を判定するため、送信機の動作のさらなる安定化を図ることができると共に、歪み補償の精度の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0175】
その他の効果は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0176】
なお、本実施形態においては、判定結果は、切替判定部36から直接スペクトラム検出部35に出力する構成であったが、切替制御部37からスペクトラム検出部35に出力しても良い。
【0177】
ここで、本発明の概要について説明する。
【0178】
図13に示すように、本発明の送信機は、複数の送信回路TX−1〜TX−n(nは2以上の自然数)と、帰還回路FBと、を有している。
【0179】
送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれは、互いに異なる帯域の信号を歪補償して増幅して送信する。
【0180】
帰還回路FBは、送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれから送信された信号をフィードバックするもので、複数の送信回路TX−1〜TX−nに共通する回路である。
【0181】
また、帰還回路FBは、経路切替部100と、処理部200と、歪補償係数算出部300と、を有している。
【0182】
経路切替部100は、送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれから送信された信号を切り替えて入力する。
【0183】
処理部200は、経路切替部100により入力された互いに異なる帯域の信号に対して、共通の信号を用いて所定の処理を行う。
【0184】
具体的には、処理部200は、n=2である場合、第1〜第3の実施形態の周波数変換器21として実現することができ、この場合、処理部200は、経路切替部100により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、同じ周波数の共通のローカル信号と乗算することで周波数変換する処理を所定の処理として行う。
【0185】
または、処理部200は、第4の実施形態のADコンバータ22として実現することができ、この場合、処理部200は、経路切替部100により入力された互いに異なる周波数帯域の信号の各々に対し、共通のクロック信号のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした信号をA/D変換する処理を所定の処理として行う。
【0186】
歪補償係数算出部300は、処理部200にて所定の処理が行われた各々の信号に基づいて、送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれにて歪みを補償するために用いる歪補償係数を算出し、算出した歪補償係数を送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれに出力する。
【0187】
上述したように、本発明においては、経路切替部100は、送信回路TX−1〜TX−nのそれぞれから送信された信号を切り替えて入力し、処理部200は、経路切替部100により入力された互いに異なる帯域の信号に対して、共通の信号を用いて所定の処理を行う。
【0188】
そのため、歪補償係数算出部300において、複数の帯域用の歪補償係数をそれぞれ算出することができるため、複数の帯域用に処理部200を共通化することができる。
【0189】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0190】
本出願は、2012年2月9日に出願された日本出願特願2012−26254を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
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図8
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図10
図11
図12
図13