(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号をつけ、その説明を省略する場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
(構成)
図1は本発明の第1の実施形態にかかる同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0015】
本発明の放送設備群は
図1に示す通り、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、操作卓5を有する。遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、操作卓5それぞれは単体で放送設備とも呼ばれる。これらのうち、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3は必須の構成ではなく、同報無線システムの規模や使用目的によって、接続したり接続しなかったりすることをそれぞれについて選択してよい。自動起動装置2としては、例えば全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機がある。
【0016】
また、本発明の親局設備は
図1に示す通り、無線送受信装置4、操作卓5から構成される。また、操作卓5は記録部6、制御部7、演算部8、インターフェース(I/F)部9を機能部として持つ。
【0017】
(作用)
ここからは特に断りがない限り、「放送設備の優先度の値」が小さい方が、「放送設備の優先度」が高い場合を仮定して、実施形態の動作を説明する。ここで、「放送設備の優先度の値」および「放送設備の優先度」は放送設備の優先順位を示す指標である。「放送設備の優先度の値」および「放送設備の優先度」は放送設備毎に設定される。「放送設備の優先度の値」は数値で表され、最小値は0である。
【0018】
ここでは、放送要求と呼ばれる信号を後から発信した放送設備の「放送設備の優先度」が高い場合を説明する。つまり、「放送設備の優先度の値」が10である外部起動装置3が一般放送(放送Aとする。)を発信し、無線送受信装置4が放送Aを放送中に、「放送設備の優先度の値」が8である遠隔制御局設備1が一般放送(放送Bとする。)を後から発信する場合について説明する。ここで、放送要求とは無線送受信装置4が放送を実施することを要求する信号である。放送要求は、一つの放送毎に放送設備から発信される。I/F部9は放送設備から発信される放送要求を受信する。
【0019】
このとき、「放送設備の優先度の値」が8である遠隔制御局設備1から放送要求が発信される。I/F部9は、「放送設備の優先度の値」が8である遠隔制御局設備1が発信した放送要求を受信する。
【0020】
図2は本発明の第1の実施形態にかかる演算部の動作を説明するフローチャートである。
【0021】
割り込み放送の可否を判断するために、演算部8は動作が開始されると(開始)、まず、無線送受信装置4が放送を行っているか否か確認する(ステップS1)。ここで、割り込み放送の可否を判断するとは、同報無線システムが割り込みで放送を実施するか否か判断するということもできる。
【0022】
ステップS1において、無線送受信装置4が放送を行っていない場合(ステップS1no)、演算部8は再度ステップS1の動作をはじめから行う。
【0023】
ステップS1において、無線送受信装置4が放送を行っている場合(ステップS1yes)、次に、演算部8は予め定められた一定時間内にI/F部9が放送要求を受信したどうか確認する(ステップS2)。
【0024】
ステップS2において、I/F部9が放送要求を受信していない場合(ステップS1no)、演算部8は再度ステップS1の動作をはじめから行う。
【0025】
ステップS2において、I/F部9が放送要求を受信した場合(ステップS2yes)、次に、演算部8は、放送中の放送(放送A)の「放送の優先度」及び放送Aの放送要求の発信元である放送設備(放送設備A)の「放送設備の優先度」と、後から受信した放送要求に対応する放送(放送B)の「放送の優先度」および後から受信した放送要求の発信元の放送設備(放送設備B)の「放送設備の優先度」とを取得する(ステップS3)。ここで、「放送の優先度」とは、放送の優先順位を示す指標であり、例えば「一般」や「緊急」等がある。「一般」よりも「緊急」の方が優先される。「放送設備の優先度」を第一の優先度と呼び、「放送の優先度」を第二の優先度と呼ぶこともできる。
【0026】
なお、演算部8が取得する各「放送設備の優先度」は、記録部6に予め記録しておいても良い。そして、演算部8は、I/F部9が通信を行っている放送設備に応じて記録部6から対応する「放送設備の優先度」を取得する。または、演算部8が比較に用いる各「放送設備の優先度」は、放送要求の発信元の放送設備と操作卓5のI/F部9との通信により取得されることとしてもよい。この場合演算部8はI/F部9から「放送設備の優先度」を取得する。
【0027】
次に、演算部8は、放送Aの「放送の優先度」が、放送Bの「放送の優先度」よりも優先であるかどうか判断する(ステップS4)。
【0028】
ステップS4において、放送Aの「放送の優先度」が優先であれば(ステップS4yes)、次に、演算部8は割り込み放送不可と判断し、制御部7にこの結果を伝え(ステップS7)、処理を終了する(終了)。
【0029】
ステップS4において、放送Aの「放送の優先度」が優先でなければ(ステップS4no)、次に、演算部8は放送Aの「放送の優先度」と、放送Bの「放送の優先度」とが同等かどうか判断する(ステップS5)。
【0030】
ステップS5において、放送Aの「放送の優先度」と、放送Bの「放送の優先度」とが同等であれば(ステップS5yes)、次に、演算部8は放送設備Aの「放送設備の優先度」が、放送設備Bの「放送設備の優先度」より高いかどうか判断する(ステップS6)。
【0031】
ステップS5において、放送Aの「放送の優先度」と、放送Bの「放送の優先度」とが同等でなければ(ステップS5no)、次に、演算部8は割り込み放送可と判断し、制御部7にこの結果を伝え(ステップS8)、処理を終了する(終了)。
【0032】
ステップS6において、もし放送設備Aの「放送設備の優先度」が、放送設備Bの「放送設備の優先度」と同じか、高ければ(放送設備Aの放送の優先度≧放送設備Bの放送の優先度)(ステップS6yes)、演算部8は割り込み放送不可と判断し、制御部7にこの結果を伝え(ステップS7)、処理を終了する(終了)。
【0033】
ステップS6において、もし放送設備Aの「放送設備の優先度」が、放送設備Bの「放送設備の優先度」より低ければ(放送設備Aの放送の優先度<放送設備Bの放送の優先度)(ステップS6no)、次に、演算部8は割り込み放送可と判断し、制御部7にこの結果を伝え(ステップS8)、処理を終了する(終了)。
【0034】
演算部8は処理を終了した後再びステップS1から処理を開始する。また、演算部8は処理を終了した後一定時間経過してからステップS1の処理を開始することとしてもよい。このようにすることにより時間あたりの平均的な処理の負荷を低減でき、それにより消費電力が低減するという効果が期待できる。
【0035】
あるいは、演算部8は処理を終了した後制御部7から動作開始の指示が来るまで待機することとしてもよい。この場合、制御部7はI/F部9が放送要求を受信したか確認し続ける。I/F部9が放送要求を受信したことが確認された場合、制御部7は演算部8に動作開始の指示を行う。演算部8は、制御部7から動作開始の指示が来た場合、ステップS1から処理を開始する。
【0036】
制御部7は、割り込み放送可という割り込み放送の可否の判断の結果を演算部8から受け取った場合、割り込み放送の処理として、無線送受信装置4に割り込みで放送を実施する旨を指示する。そして、無線送受信装置4は、制御部7から割り込みで放送を実施する旨の指示を受け取った場合、割り込みで放送を実施する。
【0037】
また、制御部7は、割り込み放送不可という割り込み放送の可否の判断の結果を演算部8から受け取った場合、処理を終了する。
【0038】
今回の例では、「放送の優先度」はどちらも「一般」であり同等である(ステップS4no、ステップS5yes)。また、今回の例では、放送中の放送(放送A)の放送要求元である放送設備(放送設備A)は外部起動装置3であり、その「放送設備の優先度の値」は10である。また、後から受信した放送要求の放送要求元である放送設備(放送設備B)は遠隔制御局設備1であり、その「放送設備の優先度の値」は8である。
【0039】
この場合、演算部8は、放送設備Bの「放送設備の優先度」の方が放送設備Aの「放送設備の優先度」より高いと判断する(ステップS6no)。さらに、演算部8は、割り込み放送の可否の判断の結果として割り込み放送可と判断し、制御部7にこの結果を伝える。制御部7は、割り込み放送の処理として、無線送受信装置4に割り込みで放送を実施する旨を指示する。そして、無線送受信装置4は、制御部7から割り込みで放送を実施する旨の指示を受け取った場合、割り込みで放送を実施する。
【0040】
(効果)
本実施形態によれば、ある放送設備から発信された一般放送を放送中に、その放送設備よりも「放送設備の優先度」が高い放送設備から発信された別の一般放送を割り込みで放送することができる。また、ある放送設備から発信された緊急放送を放送中に、その放送設備より「放送設備の優先度」が高い放送設備から発信された別の緊急放送を割り込みで放送することができる。これにより、重要な情報を迅速に住民に周知することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
(構成)
本発明の第2の実施形態として、上述した第1の実施形態の構成に加えて、各「放送設備の優先度」を可変とする実施形態が考えられる。つまり、各「放送設備の優先度」を、予め指定する時刻またはある時刻から予め指定する任意の時間経過後に、予め指定する任意の値に変更する事ができる、または各「放送設備の優先度」を手動または自動で任意の値に変更する事ができる実施形態である。このような構成により、柔軟な放送制御が可能となる。
【0042】
(作用)
本実施形態は、例えば、役場に操作卓が設置し、宿直室に遠隔制御局設備が設置している同報無線システムを想定する。このような場合に、本実施形態では昼間は操作卓の「放送設備の優先度」の方が遠隔制御局設備の「放送設備の優先度」より高く、夜間は遠隔制御局設備の「放送設備の優先度」の方が操作卓の「放送設備の優先度」より高い、という運用形態とすることができる。
【0043】
また、本実施形態は同報無線システム内の放送設備及び親局設備に障害が発生した場合に、各「放送設備の優先度」を別の値に変更する運用形態とすることができる。ここでは、操作卓5が備える制御部7が、I/F部9を介して操作卓5に接続されている放送設備と操作卓5との通信が正常に行えるかどうかの確認を定期的に行っているものとする。以下、この確認の処理を死活監視と呼ぶ。
【0044】
死活監視の実施方法の一例として、制御部7が、死活監視信号という信号を定期的に送信することにより、死活監視の対象とする放送設備に対し応答の信号(死活監視応答信号)を発信することを要求する方法が考えられる。
【0045】
死活監視信号は、死活監視信号を受信した放送設備が操作卓5に対して死活応答監視信号を送信すると判断する信号である。また、放送設備が操作卓5に対して送信する死活監視応答信号は、死活監視応答信号を受信した操作卓5が備える制御部7がその死活監視応答信号の送信元である放送設備との通信が正常に行われていると判断する信号である。死活監視応答信号には、送信元の放送設備を判別するための「放送設備を特定できる情報」(放送設備の名称、管理番号、IP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレス、型番、品名等)が含まれているとする。以下、「放送設備を特定できる情報」を「放送設備のID」と呼ぶ。各放送設備の「放送設備のID(identification)」は操作卓の記録部6に記録されている。
【0046】
この場合、制御部7は、I/F部9が放送設備から受信する死活監視応答信号を監視する。またこの場合、放送設備を他装置から死活監視信号を受信したとき応答する機能が有るもの(死活監視機能有り)と他装置から死活監視信号を受信したとき応答する機能が無いもの(死活監視機能無し)とに分類する。
【0047】
制御部7は、I/F部9に接続されている放送設備のうち死活監視機能有りの放送設備へ死活監視信号を送信するようにI/F部9に指示する(死活監視の実施要求)。I/F部9は、制御部7から死活監視の実施要求を受けた場合、I/F部9に接続されている放送設備のうち死活監視機能有りの放送設備に対して死活監視信号を送信する。死活監視機能有りの放送設備は、I/F部9から死活監視信号を受信した場合、死活監視応答信号をI/F部9に送信する。
【0048】
操作卓5が備える制御部7は、I/F部9がある放送設備からの死活監視応答信号を、死活監視の実施要求から一定時間内に受信できた場合、または単位時間あたりに一定回数以上受信できた場合、対象の放送設備との通信が正常に行える(死活監視成功)と判断する。さらに、制御部7は、死活監視応答信号内の「放送設備のID」と「死活監視成功」という情報とを関係づけて記録部6に記録する。
【0049】
操作卓5が備える制御部7は、I/F部9がある放送設備からの死活監視応答信号を、死活監視の実施要求から一定時間内に受信できなかった場合、または単位時間あたりに一定回数以上受信できなかった場合、対象の放送設備との通信が正常に行えない(死活監視失敗)と判断する。さらに、制御部7は、死活監視応答信号内の「放送設備のID」と「死活監視失敗」という情報とを関係づけて「死活監視に失敗した放送設備」として記録部6に記録する。またこの時、制御部7は対象の放送設備に障害が発生したと判断する。さらに、制御部7は、記録部6に記録されている、対象の放送設備の「放送設備の優先度」を低くする。これにより、同報無線システム内の放送設備及び親局設備に障害が発生した場合に、各「放送設備の優先度」を自動で別の値に変更する事ができる。
【0050】
上述したように死活監視は定期的に繰り返されるが、死活監視失敗と判断された放送設備が後から死活監視成功と判断された場合、制御部7は記録部6に記録されている対象の「死活監視に失敗した放送設備」の情報を削除する。このとき、死活監視失敗と判断した時に変更した「放送設備の優先度」を自動で元の値に戻すこととするか、自動で元の値に戻さないこととするかは、システム上のパラメータ(設定項目、システム初期設定ファイル等)で設定可能 とする。
【0051】
死活監視の実施方法の他の例としては、放送設備が死活監視応答信号を定期的に操作卓5に送信する方法が考えられる。
【0052】
また、本実施形態は放送設備が特定の条件において放送要求を行った場合のみ、放送要求を行った放送設備及び、他の放送設備の「放送設備の優先度」を自動で別の値に変更する運用形態とすることができる。この場合、制御部7は、I/F部9が放送設備から受信する信号を監視する。また、この場合、自動起動装置2は全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機であり、ゲリラ攻撃情報、気象情報、災害情報など多様な情報について自動で放送要求を行う機能を持つ。また、この全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機である自動起動装置2は、放送要求時に、I/F部9に対して、放送内容の種類(国民保護関係情報、緊急地震速報、火山噴火警報、気象情報等)を示す「通報番号」という番号情報を放送要求信号の一部として送信する機能を持つこととする。なお、「通報番号」と、通報番号が示す放送内容の種類は、記録部6にも予め記録されているものとする。また、この場合、外部起動装置3は津波警報装置であり、津波が発生する可能性が高い場合、もしくは津波が発生した後、自動で放送起動を行う。
【0053】
以下に示すように、全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機である自動起動装置2から緊急地震速報に関する放送の放送要求を行った場合、親局設備は津波警報装置の「放送設備の優先度」を自動で高くする。
【0054】
I/F部9は、自動起動装置2からの放送要求を受信する。制御部7は、I/F部9が自動起動装置2からの放送要求を受信したことを確認する。次に、制御部7はI/F部9が自動起動装置2から受信した放送要求信号に含まれる「通報番号」を取得して演算部8に送ると共に、記録部6から「通報番号」が示す放送内容の種類の情報を取得して、演算部8に送る。演算部8では、自動起動装置2から受信した「通報番号」が、緊急地震速報に関する内容を示す通報番号と一致するか比較を行う。比較の結果、自動起動装置2から受信した「通報番号」が、緊急地震速報に関する内容を示す通報番号と一致する場合、演算部8は制御部7に対して、「自動起動装置2から受信した通報番号は緊急地震速報に関する放送の番号」という旨の情報を送る。制御部7は、演算部8から「自動起動装置2から受信した通報番号は緊急地震速報に関する放送の番号」という旨の情報を取得した場合、記録部6に記録されている津波警報装置の「放送設備の優先度」を高くし、自動起動装置2から受信した放送要求に基づいて無線送受信装置に放送の実施を指示する。また、演算部8での比較の結果、自動起動装置2から受信した「通報番号」が、緊急地震速報に関する内容を示す通報番号と一致しない場合、演算部8は制御部7に対して、「自動起動装置2から受信した通報番号は緊急地震速報に関する放送の番号ではない」という旨の情報を送る。制御部7は、演算部8から「自動起動装置2から受信した通報番号は緊急地震速報に関する放送の番号ではない」という旨の情報を取得した場合、記録部6に記録されている、津波警報装置の「放送設備の優先度」を変更することなく、自動起動装置2から受信した放送要求に基づいて無線送受信装置に放送の実施を指示する。
【0055】
以上のようにすることで、全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機である自動起動装置2が緊急地震速報に関する放送要求を行った場合には、津波警報装置である外部起動装置3の「放送設備の優先度」を自動で高くすることができる。これにより全国瞬時警報システム(J−ALERT)受信機である自動起動装置2から放送要求を行う緊急地震速報に関する緊急放送を放送中に、津波警報装置である外部起動装置3が放送要求を行う津波に関する緊急放送を割り込みで放送することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、システム内の各放送設備の「放送設備の優先度の値」として予め0より大きな値を設定しておいて、後から任意の放送設備に対し「放送設備の優先度の値」を手動で0とすれば、その放送設備からの緊急放送は必ず割り込みで放送することができる。
【0057】
さらに、別の任意のタイミングで「放送設備の優先度の値」を元に戻すか或いは0より大きな値とすれば、さらに別の任意の放送設備に対しても同様の手順で必ず割り込みで放送を行わせることができる。反対に、「放送設備の優先度の値」を0のまま変更しなければ、その放送設備は割り込みを受けずに放送することができる。
【0058】
(効果)
本実施形態によれば、昼間は操作卓から割り込み放送を行い、夜間は遠隔制御局設備から割り込み放送を行う、というような時間帯に応じた運用が可能となる。
【0059】
(第3の実施形態)
(構成)
図3は本発明の第3の実施形態にかかる同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0060】
図3に示すように、本発明の第3の実施形態においては、第1の実施形態の構成に加えて、操作卓5または遠隔制御局設備7がセンサ部10を有する。
【0061】
(作用)
センサ部10は、各放送設備の周辺環境に関する情報を取得する。そして、操作卓5または遠隔制御局設備7は、センサ部10が取得した各放送設備の周辺環境に関する情報に応じて、各放送設備の「放送設備の優先度」を変更する。
【0062】
より具体的には、操作卓5が有するセンサ部10または遠隔制御局設備7が有するセンサ部10に各種センサを接続し、その各種センサが取り付けられた操作卓または遠隔制御局設備の周辺環境に関する情報を各種センサから取得する。各種センサとは例えば、人感センサ、光センサ、温度センサ、風圧センサ、音センサ、振動センサ等、放射線センサ、化学物質センサ、臭いセンサ、カメラ等である。周辺環境に関する情報とは例えば周辺の人の数や人の動作、匂い物質等の化学物質や放射線の量等である。
【0063】
そして、操作卓5または遠隔制御局設備7は、各種センサから取得した周辺環境に関する情報に基づき、その「放送設備の優先度」を変更する。
【0064】
例えば操作卓5、遠隔制御局設備7それぞれが、周辺の人の数や人の動きを、人感センサや音センサ、振動センサ、カメラ等で収集して、その情報に応じて「放送設備の優先度」を設定するという動きが想定される。また、活火山や化学工場、原子力発電所等の近くに放送設備がある場合、化学物質センサや臭いセンサ、放射線センサ等で周辺環境情報を収集して、それらの値が高い場合を緊急事態と判断し、その放送設備の「放送設備の優先度」を高く設定する。これにより、緊急事態にある放送設備からの放送を優先的に放送するという放送制御を実現できる。なお、本実施形態において、放送設備の「放送設備の優先度」を放送中に変更するかどうかは予め任意に決めることができる。
【0065】
(効果)
本実施形態によれば、緊急事態にある放送設備からの放送を優先的に放送するという放送制御を実現できる。
【0066】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0067】
図4に示すように、本実施形態では、無線送受信装置4が記録部6、制御部7、演算部8、I/F部9を機能部として持つ。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。また、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3は無線送受信装置4が有するI/F部9に接続する。
【0068】
本実施形態では無線送受信装置4がシステム全体の制御の大半を担う。また、本実施形態によれば、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3を操作卓5に接続することなく制御を行うことができる。
【0069】
(第5の実施形態)
図5は本発明の第5の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0070】
図5に示すように、本実施形態では、無線送受信装置4が記録部6、制御部7、演算部8を機能部として持つ。また、操作卓5がI/F部9を機能部として持つ。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。また、本実施形態では無線送受信装置4を操作卓5に複数接続する。
【0071】
本実施形態によれば複数台の無線送受信装置4が、機能部の処理を分担して行うことができる。
【0072】
(第6の実施形態)
図6は本発明の第6の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、本実施形態では、無線送受信装置4が記録部6、制御部7、I/F部9を機能部として持つ。また、操作卓5が演算部8を機能部として持つ。また、遠隔制御装置1、自動起動装置2、外部起動装置3それぞれの放送設備が演算部8を機能部として持つ。あるいは、遠隔制御装置1、自動起動装置2、外部起動装置3それぞれの放送設備のいずれか1つ又は複数が演算部8を機能部として持ち、演算部8を持たない放送設備があっても良い。また、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、は、無線送受信装置4が有するI/F部9に接続する。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。
【0074】
本実施形態では無線送受信装置4と放送設備群とを含めて親局設備とみなすことができる。本実施形態では制御部7と演算部8とをそれぞれ別の装置が持つので、機能部の処理の負荷が各装置へ分散される効果が期待できる。また、本実施形態によれば遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3を操作卓5に接続することなく制御を行うことができる。
【0075】
(第7の実施形態)
図7は本発明の第7の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0076】
図7に示すように、本実施形態では、無線送受信装置4が記録部6、制御部7を機能部として持つ。また、操作卓5が演算部8、I/F部9を機能部として持つ。また、遠隔制御装置1、自動起動装置2、外部起動装置3それぞれの放送設備が演算部8を機能部として持つ。あるいは、遠隔制御装置1、自動起動装置2、外部起動装置3それぞれの放送設備のいずれか1つ又は複数が演算部8を機能部として持ち、演算部8を持たない放送設備があっても良い。また、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3は、操作卓5が有するI/F部9に接続する。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態では無線送受信装置4と放送設備群とを含めて親局設備とみなすことができる。本実施形態では制御部7と演算部8とをそれぞれ別の装置が持つので、機能部の処理の負荷が各装置へ分散される効果が期待できる。
【0078】
(第8の実施形態)
図8は本発明の第8の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0079】
図8に示すように、本実施形態では、無線送受信装置4がI/F部9を機能部として持つ。また、別途設ける放送制御設備11が記録部6、制御部7、演算部8を機能部として持つ。また、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、放送制御設備11は、無線送受信装置4が有するI/F部9に接続する。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。
【0080】
本実施形態では無線送受信装置4と放送設備群と放送制御設備11を含めて親局設備とみなすことができる。また、本実施形態では制御部7および演算部8を放送制御設備11が持つので、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、無線送受信装置4、操作卓5の各装置の負荷が軽減される効果が期待できる。また、本実施形態では遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3を操作卓5に接続することなく制御を行うことができる。
【0081】
(第9の実施形態)
図9は本発明の第9の実施形態に係る同報無線システムの、放送設備群および親局設備の構成を示すブロック図である。
【0082】
図9に示すように、本実施形態では、操作卓5がI/F部9を機能部として持つ。また、別途設ける放送制御設備11が記録部6、制御部7、演算部8を機能部として持つ。また、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、放送制御設備11は、操作卓5が有するI/F部9に接続する。各機能部の動作は第1の実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態では無線送受信装置4と放送設備群と放送制御設備11を含めて親局設備とみなすことができる。また、本実施形態では制御部7および演算部8を放送制御設備11が持つので、遠隔制御局設備1、自動起動装置2、外部起動装置3、無線送受信装置4、操作卓5の各装置の負荷が軽減される効果が期待できる。
【0084】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもないことである。
【解決手段】 本発明の同報無線システムは、指示に基づいて放送を実施する無線送受信装置と、無線送受信装置が放送を実施することを要求する信号である放送要求を発信することができる一つ以上の放送設備と、放送要求を受信するインターフェース部と、放送設備の優先順位を示す指標である第一の優先度を記憶する記録部と、インターフェース部が放送要求を受信した場合に、無線送受信装置が実施する放送の優先順位を示す指標である第二の優先度と記録部が取得する第一の優先度とを用いて割り込みで放送を実施するか否かを判断する演算部と、演算部が割り込みで放送を実施すると判断した場合に無線送受信装置に対し割り込みで放送を実施することを指示する制御部とを備える。