特許第5804294号(P5804294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5804294サーボモータ製造方法、サーボモータ製造装置、サーボモータ、エンコーダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804294
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】サーボモータ製造方法、サーボモータ製造装置、サーボモータ、エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20151015BHJP
   H02K 11/00 20060101ALI20151015BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20151015BHJP
   H02K 15/16 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G01D5/347 110S
   H02K11/00 C
   H02K15/02 Z
   H02K15/16 Z
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-525449(P2013-525449)
(86)(22)【出願日】2011年7月22日
(86)【国際出願番号】JP2011066664
(87)【国際公開番号】WO2013014721
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2013年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100191112
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康
(72)【発明者】
【氏名】有永 雄司
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 史朗
(72)【発明者】
【氏名】松谷 泰裕
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−340623(JP,A)
【文献】 特開2010−249581(JP,A)
【文献】 特開平3−42518(JP,A)
【文献】 実開昭63−63716(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26− 5/38
H02K11/00−11/04
H02K15/02−15/03
H02K15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータのシャフトに取り付けられディスク中心周りに少なくとも1本形成された同心円スリットを有する回転ディスク及び光源から出射され前記同心円スリットの作用を受けた光を受光する受光素子を基板上に備えた光学モジュールを有するエンコーダと、を備えたサーボモータの製造方法であって、
前記光学モジュールを前記回転ディスクと対向させて固定配置する際に、前記同心円スリットを、前記受光素子による出力を介して、前記回転ディスクに対する前記光学モジュールの位置調整に使用するモジュール位置調整ステップを有し、
前記モジュール位置調整ステップでは、
前記基板上に前記回転ディスクの円周方向に対称配置され、前記回転ディスクに形成された一の前記同心円スリットの作用を受けた光をそれぞれ受光する第1受光素子及び第2受光素子の出力が略等しくなるように、前記光学モジュールの前記回転ディスクにおけるディスク中心から放射状に拡がる放射状線に対する傾斜方向の位置調整を行う
ことを特徴とするサーボモータ製造方法。
【請求項2】
前記モジュール位置調整ステップでは、
略等しくなった前記第1受光素子及び前記第2受光素子の少なくとも一方の出力が所定の値となるように、前記光学モジュールの前記回転ディスクに対する半径方向の位置調整を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボモータ製造方法。
【請求項3】
前記モジュール位置調整ステップでは、
略等しくなった前記第1受光素子及び前記第2受光素子の少なくとも一方の出力が、前記基板上における前記回転ディスクの半径方向において前記第1受光素子及び前記第2受光素子とは異なる位置に配置され前記回転ディスクの前記一の同心円スリット又は他の同心円スリットの作用を受けた光を受光する少なくとも1つの第3受光素子の出力と略等しくなるように、前記光学モジュールの前記回転ディスクに対する半径方向の位置調整を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のサーボモータ製造方法。
【請求項4】
光源から出射されモータのシャフトに取り付けられた回転ディスクのディスク中心周りに形成された一の同心円スリットの作用を受けた光をそれぞれ受光する第1受光素子及び第2受光素子を基板上に前記回転ディスクの円周方向に対称配置した光学モジュールの前記回転ディスクにおけるディスク中心から放射状に拡がる放射状線に対する傾斜方向の位置調整を行うモジュール位置調整装置と、
前記第1受光素子と前記第2受光素子の出力が略等しくなるように、前記モジュール位置調整装置を制御する制御部と、を有する
ことを特徴とするサーボモータ製造装置。
【請求項5】
モータとエンコーダを備えたサーボモータであって、
前記エンコーダは、
ディスク中心周りに少なくとも1本形成された同心円スリットを有する回転ディスクと、
光源から出射され前記同心円スリットの作用を受けた光を受光する受光素子を基板上に備えた光学モジュールと、を有し、
前記光学モジュールは、
前記受光素子として、それぞれの素子からの出力が互いに略等しくなるように前記基板上に前記回転ディスクの円周方向に対称配置された、第1受光素子及び第2受光素子を有し、
前記同心円スリットは、前記第1及び第2受光素子による出力を介して、前記回転ディスクに対する前記光学モジュールの前記ディスク中心から放射状に拡がる放射状線に対する傾斜方向の位置調整に使用される
ことを特徴とするサーボモータ。
【請求項6】
前記光学モジュールは、
前記受光素子として、前記基板上における前記回転ディスクの半径方向において前記第1受光素子及び前記第2受光素子とは異なる位置に配置された少なくとも1つの第3受光素子を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のサーボモータ。
【請求項7】
前記回転ディスクは、
半径方向において前記光源に対応する位置よりも一方側に形成された1本の前記同心円スリットを有し、
前記光学モジュールは、
前記回転ディスクの半径方向において前記基板上の前記光源に対応する位置よりも一方側に、前記1本の同心円スリットの作用を受けた光を同時に受光可能に配置された前記第1受光素子及び前記第2受光素子、並びに、前記第3受光素子を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のサーボモータ。
【請求項8】
前記回転ディスクは、
半径方向において前記光源に対応する位置の両側に形成された2本の前記同心円スリットを有し、
前記光学モジュールは、
前記回転ディスクの半径方向において前記基板上の前記光源に対応する位置よりも一方側に該一方側の前記同心円スリットの作用を受けた光を受光可能に配置された前記第1受光素子及び前記第2受光素子、並びに、前記光源に対応する位置よりも他方側に該他方側の前記同心円スリットの作用を受けた光を受光可能に配置された前記第3受光素子を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のサーボモータ。
【請求項9】
前記第1及び第2受光素子は、
前記回転ディスクの半径方向における幅が、前記光源から出射され前記同心円スリットの作用を受けた光が前記基板上に到達する領域の幅と略等しくなるように、構成されている
ことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のサーボモータ。
【請求項10】
ディスク中心周りに少なくとも1本形成された同心円スリットを有する回転ディスクと、
光源から出射され前記同心円スリットの作用を受けた光を受光する受光素子を基板上に備えた光学モジュールと、を有し、
前記光学モジュールは、
前記受光素子として、それぞれの素子からの出力が互いに略等しくなるように前記基板上に前記回転ディスクの円周方向に対称配置された、第1受光素子及び第2受光素子を有し、
前記同心円スリットは、前記第1及び第2受光素子による出力を介して、
前記回転ディスクに対する前記光学モジュールの前記ディスク中心から放射状に拡がる放射状線に対する傾斜方向の位置調整に使用される
ことを特徴とするエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、モータとエンコーダを備えたサーボモータの製造方法、サーボモータ製造装置、サーボモータ、及びエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
光学式エンコーダにおいては、位置調整用のパターンが形成された回転ディスクと、パターンの作用を受けた光を受光する受光素子を有する光学モジュールとが、位置決めされて対向配置されている。従来、回転ディスクに対する光学モジュールの位置調整方法として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この従来技術では、回転ディスクの最外周エッジに合わせて位置決め調整をするための複数の位置調整用マークが、光学モジュール(受光素子)に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−249581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、作業者が光学モジュールに設けられた位置調整用マークと回転ディスクの最外周エッジとの重なりを拡大鏡等を用いて確認することにより、光学モジュールの回転ディスクに対する位置を調整する。しかしながら、作業者の目視による位置調整であるため、精度の良い位置調整ができるとは言えなかった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、光学モジュールの位置調整を精度良く行いつつ、サーボモータを容易に製造することができるサーボモータの製造方法、サーボモータ製造装置、サーボモータ、及びエンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、モータと、上記モータのシャフトに取り付けられディスク中心周りに少なくとも1本形成された同心円スリットを有する回転ディスク及び光源から出射され上記同心円スリットの作用を受けた光を受光する受光素子を基板上に備えた光学モジュールを有するエンコーダと、を備えたサーボモータの製造方法であって、
上記光学モジュールを上記回転ディスクと対向させて固定配置する際に、上記同心円スリットを、上記受光素子による出力を介して、上記回転ディスクに対する上記光学モジュールの位置調整に使用するモジュール位置調整ステップを有する
ことを特徴とするサーボモータ製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、光学モジュールの位置調整を精度良く行いつつ、サーボモータを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るサーボモータの概略構成について説明するための説明図である。
図2】本実施形態に係る反射型エンコーダの概略構成について説明するための説明図である。
図3】反射型エンコーダが有する回転ディスクの表面の一部を表す平面図である。
図4】反射型エンコーダが有する光学モジュールの基板における受光素子の配置を表す配置図である。
図5】点光源を用いた場合の受光面上の光量分布を表す説明図である。
図6】受光領域に対し位置調整用受光素子の位置が半径方向に変化する際の位置調整用受光素子の出力の変化を説明するための説明図である。
図7】光学モジュールの回転ディスクに対する傾斜方向の位置調整動作の一例を説明するための説明図である。
図8】光学モジュールの回転ディスクに対する半径方向の位置調整動作の一例を説明するための説明図である。
図9】本実施形態に係るサーボモータ製造装置の概略構成を説明するための説明図である。
図10】制御装置のCPUによって実行されるモジュール位置調整時の制御内容を表すフローチャートである。
図11】光源が理想点光源である場合の受光面上の光量分布を表す説明図である。
図12】矩形状の受光領域に対し位置調整用受光素子の位置が半径方向に変化する際の位置調整用受光素子の出力の変化を説明するための説明図である。
図13】回転ディスクと光学モジュールとの軸方向距離が変動する場合の受光領域の位置変動を説明するための説明図である。
図14】内周側の位置調整用受光素子を2本構成とした場合の受光素子の配置を表す配置図である。
図15】位置調整用受光素子の全部を光源の半径方向一方側に集中配置した場合の受光素子の配置を表す配置図である。
図16】位置調整用受光素子の全部を光源の半径方向一方側に集中配置し、且つ、内周側の位置調整用受光素子を2本構成とした場合の受光素子の配置を表す配置図である。
図17】三角形状とした場合の光量分布を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<サーボモータ>
まず、図1を参照しつつ、本実施形態に係るサーボモータの構成の概略について説明する。図1に示すように、サーボモータSMは、本実施形態に係るエンコーダとしての反射型エンコーダ100と、モータMとを有する。モータMは、反射型エンコーダ100を含まない動力発生源の一例である。このモータM単体をサーボモータという場合もあるが、本実施形態では、反射型エンコーダ100を含む構成をサーボモータSMということにする。モータMは、少なくとも一端側に回転体としてのシャフトSHを有し、このシャフトSHを回転軸AX周りに回転させることにより、回転力を出力する。
【0011】
なお、モータMは、位置データに基づいて制御されるモータであれば特に限定されるものではない。また、モータMは、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限られるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。ただし、説明の便宜上、以下ではモータMが電動式モータである場合について説明する。
【0012】
反射型エンコーダ100は、モータMのシャフトSHの回転力出力端とは反対側の端部に連結される。そして、この反射型エンコーダ100は、シャフトSHの位置を検出することにより、モータMの回転対象(シャフトSH自体でもよい。)の相対位置(基準角度からの相対角度)を検出し、その位置を表す位置データを出力する。
【0013】
反射型エンコーダ100の配置位置は、本実施形態に示す例に特に限定されるものではない。例えば、反射型エンコーダ100は、シャフトSHの出力端側に直接連結されるように配置されてもよく、また、減速機や回転方向変換機、ブレーキなどの他の機構を介してシャフトSH等に連結されてもよい。
【0014】
なお、本実施形態は、図1及び図2に例示するような、モータMのシャフトSHにエンコーダ100の回転ディスク110を直接的に連結させる構造のサーボモータSMである場合に特に有効である。なぜなら、例えば回転ディスクが固定された回転軸や軸受を有するエンコーダを用いてサーボモータを製造する場合、このようなエンコーダでは回転ディスクや光学モジュールが回転軸や軸受と共に位置決めされて一体的に組み上げられているため、回転ディスクに対する光学モジュールの位置調整が特段に必要とならない。一方、本実施形態のようにエンコーダ100が回転軸や軸受を有しておらず、モータMのシャフトSHにエンコーダ100の回転ディスク110を直接的に連結させ、当該回転ディスク110に対向するように光学モジュール120を組み付ける構造の場合、サーボモータSMを製造する際に、回転ディスク110に対する光学モジュール120の位置調整をしなければ、エンコーダ100を精度良くモータMに組み付けることができないからである。また、回転ディスク110と光学モジュール120とが独立した支持構造となっているため、回転ディスク110と光学モジュール120との軸方向距離(ギャップ)の変動が生じ易いからである。但し、ここでは、図1及び図2に例示したモータMのシャフトSHに回転ディスク110が直接的に連結させるいわゆる「ビルトインタイプ」のエンコーダ100が使用される場合を例に挙げて説明しているが、回転ディスク110がエンコーダ100専用のシャフトに連結され、そのシャフトがモータMなどに連結可能に形成されるいわゆる「コンプリートタイプ」のエンコーダ100も使用可能であることは言うまでもない。
【0015】
<反射型エンコーダ>
次に、図2図4を参照しつつ、本実施形態に係る反射型エンコーダ100の構成について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る反射型エンコーダ100は、シャフトSHに連結された回転ディスク110と、回転ディスク110と対向して配置された光学モジュール120とを有している。光学モジュール120は、プリント基板190に実装されており、プリント基板190はスペーサ191を介してモータMのブラケット192に設けられている。スペーサ191により、光源130と回転ディスク110の表面との軸方向距離がd1、回転ディスク110の表面と基板121の表面(各受光素子140,150の受光面)との軸方向距離がd2となるように設定されている。
【0016】
(回転ディスク)
回転ディスク110は、図3に示すように円板状に形成され、ディスク中心Oが回転軸AXとほぼ一致するように配置される。そして、回転ディスク110は、この回転軸AX周りに回転可能なシャフトSHに例えばハブ等を介して連結される。従って、回転ディスク110は、モータMの回転に応じて回転軸AX周りに回転可能に配置されることとなる。
【0017】
図3に示すように、回転ディスク110には、インクリメンタルパターンIPが円周方向に沿って形成されている。また、インクリメンタルパターンIPの外周側及び内周側には、2本の同心円スリットCS1,CS2がディスク中心O周りに形成されている。図3に示すように、光学モジュール120は光源130がインクリメンタルパターンIPの半径方向中心位置に対応するように対向配置されるため、同心円スリットCS1,CS2は、半径方向において光源130に対応する位置の両側に形成されているとも言える。これら同心円スリットCS1,CS2は、互いに同じ幅Wで、インクリメンタルパターンIPからの半径方向距離がほぼ等しくなるように形成されている。なお、回転ディスク110は、例えば光を透過又は吸収する材質で形成される。そして、インクリメンタルパターンIP及び同心円スリットCS1,CS2は、その光を透過又は吸収する材質の回転ディスク110上に、例えば反射率の高い材質を蒸着するなどの方法により反射スリットが同心円状に形成されることにより、パターンニングされる。
【0018】
インクリメンタルパターンIPは、反射スリットが所定のピッチで等間隔に形成されることにより、当該ピッチで光の反射と吸収又は透過を繰り返すパターンを有する。一方、同心円スリットCS1,CS2は、各々が1本の環状の反射スリットとして、ディスク中心O周りに同心円状に形成されている。詳細は後述するが、この同心円スリットCS1,CS2は、サーボモータSMの製造時において、光学モジュール120を回転ディスク110と対向させて固定配置する際に、後述する位置調整用受光素子150UL,150URによる出力を介して、回転ディスク110に対する光学モジュール120の位置調整に用いられる。
【0019】
(光学モジュール)
図4に示すように、光学モジュール120は、回転ディスク110と対向配置される基板121を有する。基板121は、前述のプリント基板190よりも小さく構成されており、プリント基板190上に配置される。そして、この基板121における回転ディスク110への対向側の表面には、回転ディスク110に向けて光を出射する光源130と、インクリメンタルパターンIPからの反射光を受光する複数のインクレ用受光素子141を含むインクレ用受光素子群140L,140Rと、同心円スリットCS1からの反射光を受光する位置調整用受光素子150UL,150URと、同心円スリットCS2からの反射光を受光する位置調整用受光素子150Dとが設けられている。
【0020】
位置調整用受光素子150UL,150URと、位置調整用受光素子150Dとは、回転ディスク110の半径方向において異なる位置となるように配置されている。すなわち図4に示すように、位置調整用受光素子150UL,150URは、半径方向において光源130よりも一方側に配置され、位置調整用受光素子150Dは、光源130よりも他方側に配置されている。
【0021】
位置調整用受光素子150UL,150URは、回転ディスク110の円周方向に対称となるように、詳細には基板121の中心線Lcに対し軸対象となるように、配置されている。なお、中心線Lcは基板121の円周方向における対称軸と略一致する線であり、光源130は中心線Lc上に配置されている。また、位置調整用受光素子150Dも同様に、中心線Lcを中心位置として軸対称となるように配置されている。
【0022】
また、位置調整用受光素子150UL,150URは、回転ディスク110と光学モジュール120とが適正に位置決めされている場合において、光源130より出射され同心円スリットCS1より反射された反射光の受光領域AR1(図4中ハッチングで示す)に半径方向の一部(この例では半径方向内側の一部)が重複し、残りの部分は重複しないように配置されている。また、位置調整用受光素子150Dも同様に、光源130より出射され同心円スリットCS2より反射された反射光の受光領域AR2(図4中ハッチングで示す)に半径方向の一部(この例では半径方向外側の一部)が重複し、残りの部分は重複しないように配置されている。詳細は後述するが、このように半径方向の一部を反射光の受光領域と重複させる配置としたのは、位置調整をする際に受光信号の出力変化域を効率良く利用するためである。
【0023】
なお、上記では位置調整用受光素子150UL,150URの半径方向内側を受光領域AR1と重複させ、位置調整用受光素子150Dの半径方向外側を受光領域AR2と重複させるようにしたが、反対に、位置調整用受光素子150UL,150URの半径方向外側を受光領域AR1と重複させ、位置調整用受光素子150Dの半径方向内側を受光領域AR2と重複させてもよい。すなわち、位置調整用受光素子150UL,150URと位置調整用受光素子150Dとで、受光領域との重複位置が半径方向において反対側となる関係であればよい。
【0024】
光学モジュール120は、適正に位置決めされた場合、図3に示すように、基板121の中心線Lcが、回転ディスク110におけるディスク中心から放射状に拡がる放射状線Lrに一致し(傾斜方向の位置決め)、光源130がインクリメンタルパターンIPの半径方向中央位置(ディスク中心Oから半径Riの位置)に対峙する(半径方向の位置決め)ように配置される。このときの基板121に配置された位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dは、各々の受光信号の出力が略等しくなるように設定されている。
【0025】
位置調整用受光素子150UL,150URは、回転ディスク110の円周方向(図4中Cc1方向)に沿った形状、向きとなるように構成されている。なお、上記Cc1方向とは、図3に示すように、回転ディスク110におけるディスク中心Oから同心円スリットCS1の中心位置までの距離をRc1、ディスク中心Oから光源130までの距離をRiとした場合に、図4に示すように、光源130から距離Riのk倍(k=(d1+d2)/d1)であるkRiの距離にある基準位置O′を中心とする半径kRc1の円周方向である。上述した反射光の受光領域AR1は、この円周方向に沿った幅Wのk倍である幅kWを有する領域となる。これは、図2に示すように、反射型エンコーダ100においては、光源130から出射された光が回転ディスク110で反射され、反射光を位置調整用受光素子150UL,150URで受光するため、位置調整用受光素子150UL,150URには同心円スリットCS1の拡大像が反射投影されるためである。なお、本実施形態では、位置調整用受光素子150UL,150URの半径方向の幅は、受光領域AR1の幅と略一致するように構成されている。
【0026】
位置調整用受光素子150Dも同様に、回転ディスク110の円周方向(図4中Cc2方向)に沿った形状、向きとなるように構成されている。なお、上記Cc2方向とは、図3及び図4に示すように、回転ディスク110におけるディスク中心Oから同心円スリットCS2の中心位置までの距離をRc2とした場合に、上記基準位置O′を中心とする半径kRc2の円周方向である。上述した反射光の受光領域AR2は、この円周方向に沿った幅Wのk倍である幅kWを有する領域となる。位置調整用受光素子150Dの半径方向の幅も、上記同様に受光領域AR2の幅と略一致するように構成されている。
【0027】
インクレ用受光素子群140L,140Rは、この例では、光源130を間に挟んで上記円周方向に分割して配置されている。インクレ用受光素子群140L,140Rは各々、複数のインクレ用受光素子141が回転ディスク110の円周方向(図4中Ci方向)に沿ってアレイ状に配置された構成となっている。なお、上記Ci方向とは、図3及び図4に示すように、回転ディスク110におけるディスク中心OからインクリメンタルパターンIPの中心位置までの距離をRiとした場合に、上記基準位置O′を中心とする半径kRiの円周方向である。
【0028】
インクレ用受光素子群140及び位置調整用受光素子150は、例えばシリコンで形成された基板121上に、フォトリソグラフィ等を使用して形成されることが望ましい。この場合、インクレ用受光素子群140及び位置調整用受光素子150を非常に精度良く形成することが可能で、後述する光学モジュール120の位置合わせの精度を更に向上させる事が可能である。
【0029】
なお、上記位置調整用受光素子150UL及び位置調整用受光素子150URが、特許請求の範囲に記載の第1受光素子及び第2受光素子の一例に相当する。また、位置調整用受光素子150Dが、第3受光素子の一例に相当する。
【0030】
<位置調整の原理>
次に、図5図8を参照しつつ、本実施形態における光学モジュール120の回転ディスク110に対する位置調整の原理について説明する。
【0031】
本実施形態においては、光源130として、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。このため、光源130は完全な理想点光源とはならず、有限の発光面積を有する光源となる。この場合、図5に示すように、光源130から出射され回転ディスク110の同心円スリットCS1,CS2により反射された反射光の基板121の表面(受光面)における受光量は、境界部(半径方向の両端部)において少なくなり、いずれも台形状の光量分布となる。なお、図5では説明の便宜上、同心円スリットCS1,CS2により反射された光を透過した態様で示している。
【0032】
次に、図6を用いて、上記光量分布である受光領域に対し位置調整用受光素子の位置が半径方向に変化する際の受光素子の出力の変化について説明する。なお、前述したように各位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの半径方向の幅は受光領域AR1,AR2の幅とほぼ同等であるが、図6においては理解を容易とするため、位置調整用受光素子の幅を小さめ(この例では光量変動域Sの幅と同じ)に記載している。
【0033】
図6中(A)及び(B)に示すように、位置調整用受光素子が受光領域外に位置する場合には、位置調整用受光素子による受光信号出力は0である。半径方向の移動により位置調整用受光素子の一部が受光領域に進入すると、図6中(C)(D)(E)に示すように、位置調整用受光素子による受光信号出力は進入量に応じて徐々に増大する。その後、図6中(F)に示す位置で位置調整用受光素子の全体が受光領域内に位置する状態となるが、前述したように受光領域における光量分布は台形状であり光量が一定である光量一定域と光量が変化する光量変化域が存在するため、位置調整用受光素子の一部が光量変化域内に位置する間は、図6中(G)(H)(I)に示すように、位置調整用受光素子による受光信号出力は同等の割合で徐々に増大する。そして、図6中(J)に示す位置で位置調整用受光素子の全体が光量一定域内に位置する状態となった後は、図6中(K)に示すように、位置調整用受光素子による受光信号出力は一定となる。
【0034】
図6中(B)〜(J)の範囲(以下「出力変化域」と称する)においては位置調整用受光素子の出力が変化するため、位置調整用受光素子の半径方向位置を特定することが可能である。したがって、本実施形態では、位置調整用受光素子が適正な位置にある場合の出力が出力変化域の略中央位置(図6中(F)の位置)となるように、位置調整用受光素子の半径方向の一部を受光領域と重複させる配置としている。これにより、位置調整用受光素子の半径方向位置が適正位置より受光領域に進入する方向に位置ずれした場合には、図6中(G)〜(J)の範囲で検出可能となり、位置調整用受光素子の半径方向位置が適正位置より受光領域から退く方向に位置ずれした場合には、図6中(B)〜(E)の範囲で検出可能となり、受光信号の出力変化域を効率良く利用することができる。また、このように最大光量の半値部分を位置調整に用いることで、光量の変動による影響を抑制できる効果もある。
【0035】
次に、図7を用いて、光学モジュール120の傾斜方向の位置調整動作の一例を説明する。本実施形態では、上述した原理を利用し、位置調整用受光素子150UL,150URの出力が略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110におけるディスク中心から放射状に拡がる放射状線Lrに対する傾斜方向(θ方向)の位置調整を行う。
【0036】
例えば図7(a)に示す例では、光学モジュール120の基板121の中心線Lcが、回転ディスク110(図7では図示省略)におけるディスク中心から放射状に拡がる放射状線Lrに対してΔθだけずれており、傾斜方向のずれ量はΔθとなっている。この状態における位置調整用受光素子150URの出力は、適正位置より受光領域AR1に進入する方向に位置ずれした場合に相当するので、例えば図6中(I)に相当する。一方、この状態における位置調整用受光素子150ULの出力は、適正位置より受光領域AR1から退く方向に位置ずれした場合に相当するので、例えば図6中(C)に相当する。
【0037】
したがって、図7(a)に示す状態から、位置調整用受光素子150UL,150URの出力が略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、図7(b)に示すように、光学モジュール120は傾斜方向にΔθだけ移動され、傾斜方向の位置調整が完了する。この状態における位置調整用受光素子150UL,150URの出力は、適正位置に相当するので各々図6中(F)に相当する。
【0038】
次に、図8を用いて、光学モジュール120の半径方向の位置調整動作の一例を説明する。上述した光学モジュール120の傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(r方向)の位置調整を行う。
【0039】
例えば図8(a)に示す例では、光学モジュール120の基板121が、図8(b)に示す適正位置より回転ディスク110(図8では図示省略)の半径方向外周側にΔdだけずれており、半径方向のずれ量はΔdとなっている。この状態における位置調整用受光素子150UR又は位置調整用受光素子150ULの出力は、適正位置より受光領域AR1から退く方向に位置ずれした場合に相当するので、例えば図6中(C)に相当する。一方、この状態における位置調整用受光素子150Dの出力は、適正位置より受光領域AR2に進入する方向に位置ずれした場合に相当するので、例えば図6中(I)に相当する。
【0040】
したがって、図8(a)に示す状態から、位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、図8(b)に示すように、光学モジュール120は半径方向内周側にΔdだけ移動され、半径方向の位置調整が完了する。この状態における位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの出力は、適正位置に相当するので各々図6中(F)に相当する。
【0041】
<製造装置>
次に、図9を参照しつつ、本実施形態に係るサーボモータ製造装置の構成の概略について説明する。本実施形態に係るサーボモータ製造装置MDは、光学モジュール120を回転ディスク110と対向させて固定配置する際に回転ディスク110に対する光学モジュール120の位置調整を行うものである。
【0042】
図9に示すように、サーボモータ製造装置MDは、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dを備えた光学モジュール120の回転ディスク110に対する傾斜方向(矢印θで示す)の位置調整を行うロータリモータ175と、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(矢印rで示す)の位置調整を行うリニアモータ174と、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの出力に基づき、ロータリモータ175及びリニアモータ174を制御する制御装置180と、を有している。
【0043】
制御装置180としては、例えば汎用PC等が用いられる。この制御装置180は、図示は省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等を内蔵している。CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラム(後述の図10に示すサーボモータの製造方法手順を実行するプログラムを含む)に従って、信号処理を行う。
【0044】
光学モジュール120の位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの各出力信号は、制御装置180の出力情報取得部181に入力される。θ方向位置調整部182は、位置調整用受光素子150UL,150URの出力信号に基づき、これらの出力が略等しくなるようにロータリモータ175を駆動し、プリント基板190を傾斜方向に移動させる。またr方向位置調整部183は、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの出力信号に基づき、略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにリニアモータ174を駆動し、プリント基板190を半径方向に移動させる。このようにしてプリント基板190が移動する結果、光学モジュール120が位置調整される。光学モジュール120はプリント基板190上に実装されており、このプリント基板190は、回転ディスク110との間に所定の間隔をおきつつ、スペーサ191上に半径方向及び傾斜方向に移動自在に載置されている。なお、本実施形態では、光学モジュール120が実装されたプリント基板190を移動させることによって光学モジュール120の位置調整を行うようにしているが、ロータリモータ175及びリニアモータ174によって光学モジュール120を直接移動させる構成としてもよい。
【0045】
なお、ロータリモータ175が特許請求の範囲に記載のモジュール位置調整装置の一例に相当し、θ方向位置調整部182が制御部の一例に相当する。
【0046】
なお、リニアモータ174やロータリモータ175の配置位置や数は上記に限られず、適宜変更してもよい。また、本実施形態ではモジュール位置調整装置としてリニアモータ及びロータリモータを用いているが、プリント基板190を微量に移動させることが可能であれば、これ以外のアクチュエータを用いてもよい。
【0047】
<製造装置の動作(製造方法)>
次に、図10を用いて、サーボモータ製造装置MDによって上述した光学モジュール120の位置調整が行われる際に、制御装置180のCPUによって実行される制御内容を説明する。なお、各制御処理(ステップS20〜ステップS35)を行う主体は実際には制御装置180のCPUであるが、以下では制御装置180を主体として説明する。
【0048】
図10に示すように、まずステップS5では、回転ディスク110がシャフトSHに適宜の位置調整がなされることにより偏心なく固定される。この固定は、作業者によって行われ、例えばネジ等の固定部材による本止めや、接着剤の硬化等によってなされる。
【0049】
次のステップS10では、スペーサ191がモータMのブラケット192に固定される。この固定も作業者によって行われる。
【0050】
次のステップS15では、光学モジュール120が実装されたプリント基板190がスペーサ191上に仮配置される。この仮配置も作業者によって行われ、ロータリモータ175やリニアモータ174により面内で移動可能な方法又は移動時に弛緩させて移動可能な方法によってなされる。
【0051】
次のステップS20では、制御装置180は、出力情報取得部181により位置調整用受光素子150UL,150URの各出力信号を入力する。そして、位置調整用受光素子150UL,150URの出力信号に基づき、これらの出力が略等しくなるようにロータリモータ175を駆動し、プリント基板190を傾斜方向に移動させて光学モジュール120の傾斜方向の位置調整を行う。
【0052】
次のステップS25では、制御装置180は、出力情報取得部181により位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの各出力信号を入力する。そして、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dの出力信号に基づき、略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにリニアモータ174を駆動し、プリント基板190を半径方向に移動させて光学モジュール120の半径方向の位置調整を行う。
【0053】
次のステップS30では、制御装置180は、位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しいか否かを判定する。これらの出力が等しくない場合には(ステップS30でNO)、制御装置180は光学モジュール120の半径方向の位置調整が完了していないと判断し、ステップS25に戻る。一方、これらの出力が等しい場合には(ステップS30でYES)、制御装置180は光学モジュール120の半径方向の位置調整が完了していると判断し、次のステップS35に移る。
【0054】
ステップS35では、制御装置180は、位置調整用受光素子150UL,150URの出力が略等しいか否かを判定する。これらの出力が等しくない場合には(ステップS35でNO)、制御装置180は光学モジュール120の傾斜方向の位置調整が完了していないと判断し、ステップS20に戻る。一方、これらの出力が等しい場合には(ステップS35でYES)、制御装置180は光学モジュール120の傾斜方向の位置調整が完了していると判断し、次のステップS40に移る。
【0055】
ステップS40では、プリント基板190がスペーサ191に固定される。これにより、光学モジュール120が位置決めされて固定される。この固定は、作業者によって行われ、例えばネジ等の固定部材による本止めや、接着剤の硬化等によってなされる。以上により、本フローを終了する。
【0056】
以上において、ステップS20〜ステップS35が特許請求の範囲に記載のモジュール位置調整ステップ及びサーボモータ製造方法の一例に相当する。
【0057】
<効果の例>
以上説明した本実施形態に係るサーボモータSMおいては、光学モジュール120が回転ディスク110の同心円スリットCS1からの反射光を受光する位置調整用受光素子150UL,150URを備えている。これら位置調整用受光素子150UL,150URは、回転ディスク110の円周方向に対称となるように基板121上に配置されている。このような構成とすると、光学モジュール120の回転ディスク110に対する傾斜方向(θ方向)の位置ずれは、位置調整用受光素子150UL,150URの出力の差異として現れることから、これらの出力が略等しくなるようにすれば、光学モジュール120の傾斜方向の位置を調整することができる。このようにして、簡単な構成で光学モジュール120の傾斜方向の位置調整を精度良く行うことができるので、サーボモータSMを容易に製造することができる。
【0058】
また、サーボモータ製造装置MDが、光学モジュール120の回転ディスク110に対する傾斜方向の位置調整を行うロータリモータ175と、位置調整用受光素子150UL,150URの出力が略等しくなるようにロータリモータ175を制御するθ方向位置調整部182を有する制御装置180とを備える構成とすることにより、光学モジュール120の回転ディスク110に対する傾斜方向の位置調整を自動的に行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば次のような効果をも奏する。すなわち、光学モジュール120の傾斜方向の位置調整を行う手法として、例えば複数のスリットが並設された検査格子を回転ディスク110に設けるか、回転ディスク110の位置検出用パターンを検査格子として利用し、同様に複数のスリットが並設された基準格子又は基準受光素子アレイを、位置検出用の受光素子とは別に光学モジュール120の基板121に設け、基準格子と検査格子の相互作用により得られた受光信号に基づいて位置調整を行うことが考えられる。この場合、両格子の作用を受けた光を受光するために受光素子が比較的大きくなるが、本実施形態においては、回転ディスク110に設けた同心円スリットCS1の作用を受けた光を基板121上に対称配置された位置調整用受光素子150UL,150URで受光する構成であるため、各受光素子150UL,150URの径方向の幅は同心円スリットCS1の作用を受けた光が基板121上に到達する受光領域AR1の幅と略等しければ足り、受光素子を小さくできる。その上、位置調整用受光素子150UL,150URの各々の円周方向の長さを大きくすれば受光面積を拡大することが可能である。したがって、上記構成に比べ、光学モジュール120を小型化できる。
【0060】
また、本実施形態では特に、光学モジュール120が基板121上における回転ディスク110の半径方向において位置調整用受光素子150UL,150URとは異なる位置に配置された位置調整用受光素子150Dを備えている。このような構成とすると、位置調整用受光素子150UL,150URの出力が略等しくなるように光学モジュール120の傾斜方向の位置を調整した後であれば、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向の位置ずれは、略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力と位置調整用受光素子150Dとの出力の差異として現れる。したがって、位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力と位置調整用受光素子150Dとの出力が略等しくなるようにすれば、光学モジュール120の半径方向の位置を調整することができる。このようにして、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向の位置調整を簡単な構成で精度良く行うことができるので、サーボモータSMを容易に製造することができる。
【0061】
また、サーボモータ製造装置MDが、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向の位置調整を行うリニアモータ174と、位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力と位置調整用受光素子150Dとの出力が略等しくなるようにリニアモータ174を制御するr方向位置調整部183を有する制御装置180を備えた構成とすることにより、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向の位置調整を自動的に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では特に、有限の発光面積を有する光源130を使用することによって基板121の表面(受光面)における光量分布が台形状となる性質を利用する。これにより得られる効果を、図11及び図12を用いて説明する。
【0063】
例えば光源130が発光面積を有しない理想的な点光源である場合、図11に示すように、光源130から出射され回転ディスク110の同心円スリットCS1,CS2により反射された反射光の基板121の表面(受光面)における受光量は、いずれも矩形状の光量分布となる。
【0064】
このような矩形状の光量分布である受光領域に対し位置調整用受光素子の位置が半径方向に変化する際の受光素子の出力の変化は、図12に示すようになる。すなわち、図12中(A)及び(B)に示すように、位置調整用受光素子が受光領域外に位置する場合には、位置調整用受光素子による受光信号出力は0である。半径方向の移動により位置調整用受光素子の一部が受光領域に進入すると、図12中(C)(D)(E)に示すように、位置調整用受光素子による受光信号出力は進入量に応じて徐々に増大する。その後、図12中(F)に示す位置で位置調整用受光素子の全体が受光領域内に位置する状態となる。このとき、前述の台形状の光量分布と異なり、矩形状の光量分布では光量が一定である光量一定域のみしか存在しないため、図12中(F)に示す位置となった後は、図12中(G)に示すように、位置調整用受光素子による受光信号出力は一定となる。
【0065】
すなわちこの場合には、図12中(B)〜(F)の範囲が出力変化域となり、この範囲内で位置調整用受光素子の半径方向位置を特定することが可能となるが、矩形状の光量分布であるため出力変化域が狭くなっている。この場合、出力変化域を広くするには、位置調整用受光素子の半径方向の幅を広くしなければならず、他の受光素子、例えばインクレ用受光素子群140L,140Rとの集積化が困難となり、光学モジュール120の小型化が困難となってしまう。
【0066】
これに対し、本実施形態においては、前述の図6に示すように、台形状の光量分布の光量変化域を利用して図6中(B)〜(J)の広い範囲を出力変化域とすることができ、上記の場合に比べて出力変化域を拡大できる。その結果、位置調整用受光素子の半径方向の幅を狭くすることが可能となるため、他の受光素子との集積化を容易にし、光学モジュール120を小型化することができる。
【0067】
また、本実施形態では特に、回転ディスク110が、半径方向において光源130に対応する位置の両側に形成された2本の同心円スリットCS1,CS2を有し、光学モジュール120が、半径方向において基板121上の光源130よりも一方側に配置された位置調整用受光素子150UL,150UR、並びに、光源130よりも他方側に配置された位置調整用受光素子150Dとを有する構成とする。すなわち、半径方向の位置調整を行うための位置調整用受光素子を、光源130の半径方向両側に配置した構成とする。これにより得られる効果を、図13を用いて説明する。
【0068】
一般に、回転ディスク110と光学モジュール120とが対向配置されるエンコーダにおいては、回転ディスク110と光学モジュール120との軸方向距離(ギャップ)は一定となるように設定されるが、回転ディスク110の厚みの公差等により変動する場合がある。特に、本実施形態のように、モータMのシャフトSHに回転ディスク110が直接的に連結されるいわゆる「ビルトインタイプ」のエンコーダが使用される場合、回転ディスク110の位置がモータM側の部品精度や組立精度等の影響を受けるため、変動が生じやすい。このような距離の変動が生じると、例えば半径方向の位置調整を行うための位置調整用受光素子の全部を基板121上の光源130の一方側に集中配置した構成(例えば後述の図15及び図16に示す構成)の場合には、受光領域の半径方向の位置が変動するため、位置調整用受光素子の出力が変動し、光学モジュール120の半径方向の位置調整精度が低下するおそれがある。
【0069】
これに対し、本実施形態においては、半径方向の位置調整を行うための位置調整用受光素子、すなわち位置調整用受光素子150UL,150URと、位置調整用受光素子150Dとを、光源130の半径方向両側に配置した構成とする。このような構成とすると、図13に示すように、回転ディスク110と光学モジュール120との間隔(図13中d1及びd2)に変動が生じた場合、光源130から出射され2本の同心円スリットCS1,CS2で反射された光が基板121上に到達する2つの受光領域AR1,AR2は、光源130を中心として互いに半径方向に遠近するように位置が変動することになる。このような受光領域AR1,AR2の位置変動が生じたとしても、図13に示すように、位置調整用受光素子150UL又は位置調整用受光素子150URと、位置調整用受光素子150Dにおいては、各受光素子の受光領域AR1,AR2に対する重複面積(すなわち受光量、受光信号出力)が同じように増減するのみであるため、両者の出力が一致するように位置調整を行えば、光学モジュール120の半径方向の位置調整を精度良く行うことが可能である。したがって、回転ディスク110と光学モジュール120との軸方向距離(ギャップ)の変動の影響を抑制することができる。このため、本実施形態の構成は上述の「ビルトインタイプ」のエンコーダが使用される場合に特に有効であると言える。
【0070】
また、本実施形態では特に、次のような効果をも得ることができる。一般に、光源と受光素子を回転ディスクを挟んでその一方側と他方側に配置し、光源から出射された光を回転ディスクを通過させて受光素子に受光させる透過型エンコーダにおいては、受光素子を備えた光学モジュールと回転ディスクとが近接して配置されているため、光学モジュールを取り付ける際には、作業者が受光素子と回転ディスクとの位置関係を顕微鏡等を用いて確認しながら、手作業によって光学モジュールの位置調整を行うのが通常である。しかしながら、本実施形態のように反射型エンコーダを用いる場合、光学モジュールと回転ディスクとが比較的大きく離れて配置される場合があり、さらに、前述の図2に示すようにそもそも回転ディスク110を覆うように光学モジュール120を実装したプリント基板190を設けるため、その構成配置上、顕微鏡等を用いた目視による位置調整は困難である。
【0071】
これに対し、本実施形態によれば、上述したように光学モジュール120の位置調整に顕微鏡を用いる必要が無いので、反射型エンコーダを用いる場合であっても、回転ディスク110に対する光学モジュール120の位置調整を精度良く行うことができる。
【0072】
<変更例等>
なお、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0073】
(1)内周側の位置調整用受光素子を2本構成とする場合
上記実施形態では、位置調整用受光素子150UL,150URと半径方向において異なる位置に配置した位置調整用受光素子150Dを1本の受光素子で構成したが、これを2本の受光素子で構成してもよい。
【0074】
図14に示すように、本変形例の光学モジュール120では、位置調整用受光素子150UL,150URが、半径方向において光源130よりも一方側に配置されると共に、位置調整用受光素子150DL,150DRが、光源130よりも他方側に配置されている。位置調整用受光素子150DL,150DRは、基板121の中心線Lcに対し軸対象となるように配置されている。これらの位置調整用受光素子150DL,150DRは、受光領域AR2に半径方向の一部(この例では半径方向外側の一部)が重複し、残りの部分は重複しないように配置されている点は、前述の位置調整用受光素子150Dと同様である。
【0075】
本変形例の光学モジュール120が適正に位置決めされた場合、位置調整用受光素子150UL,150UR,150DL,150DRは、各々の受光信号の出力が略等しくなるように設定されている。したがって、前述した光学モジュール120の傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150DL,150DRのいずれか一方の出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(r方向)の位置調整を行うことが可能である。
【0076】
以上説明した変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(2)位置調整用受光素子の全部を光源の半径方向一方側に集中配置する場合
上記実施形態では、半径方向の位置調整を行うための位置調整用受光素子、すなわち位置調整用受光素子150UL,150URと、位置調整用受光素子150Dとを、光源130の半径方向両側に配置した構成としたが、これに限らず、位置調整用受光素子の全部を光源130の半径方向一方側に集中配置してもよい。図15及び図16を用いて、本変形例について説明する。
【0078】
図15に示す例では、位置調整用受光素子150UL,150URと、これらの受光素子と半径方向において異なる位置に配置した位置調整用受光素子150Dとが、回転ディスク110の半径方向において基板121上の光源130よりも一方側(この例では外周側)に配置されている。一方、図示は省略するが、本変形例の回転ディスク110では、半径方向において光源130に対応する位置よりも一方側(この例では外周側)にのみ1本の同心円スリットCS1が形成されている。あるいは、前述の実施形態と同様に2本の同心円スリットCS1,CS2が形成されてもよいが、同心円スリットCS1のみが位置調整に用いられる。そして、位置調整用受光素子150UL,150URは、光源130より出射され同心円スリットCS1より反射された反射光の受光領域AR1に半径方向の一部(この例では半径方向内側の一部)が重複し、位置調整用受光素子150Dは、受光領域AR1に半径方向の反対側の一部(この例では半径方向外側の一部)が重複するように配置されている。
【0079】
本変形例の光学モジュール120が適正に位置決めされた場合、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dは、各々の受光信号の出力が略等しくなるように設定されている。したがって、前述した光学モジュール120の傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(r方向)の位置調整を行うことが可能である。
【0080】
また図16に示す例は、図15に示す構成において位置調整用受光素子150Dを位置調整用受光素子150DL,150DRの2本構成としたものである。本変形例では、光学モジュール120が適正に位置決めされた場合、位置調整用受光素子150UL,150UR,150DL,150DRは、各々の受光信号の出力が略等しくなるように設定されている。したがって、前述した光学モジュール120の傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150DL,150DRのいずれか一方の出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(r方向)の位置調整を行うことが可能である。
【0081】
なお、図15及び図16に示す例では、全ての位置調整用受光素子を半径方向において基板121上の光源130よりも外周側に集中配置した例を示したが、反対に光源130よりも内周側に集中配置してもよい。この場合、回転ディスク110の同心円スリットCS2のみが位置調整に用いられることになる。
【0082】
以上説明した変形例によれば、位置調整用受光素子150UL,150UR,150D(150DL,150DR)の全部を光源130の半径方向一方側に集中配置するため、光源130の半径方向他方側に位置調整用受光素子を設ける必要がなくなり、光学モジュール120を半径方向に小型化することができる。
【0083】
(3)受光領域の光量分布を三角形状とする場合
上記実施形態では、受光面における光量分布が台形状であることを利用し、位置調整用受光素子の半径方向の幅を拡大せずとも出力変化域を拡大できるようにしたが、光量分布が三角形状となるように構成することで受光領域の幅を小さくし、さらなる受光素子の集積化を図ってもよい。なお、本変形例は、上記図15及び図16に示した位置調整用受光素子の全部を光源の半径方向一方側に集中配置する構成の場合に有効な変形例である。したがって、以下では光学モジュール120が図15に示す構成である場合を一例として説明する。
【0084】
図17に示すように、光源130と回転ディスク110の表面との軸方向距離をd1、回転ディスク110の表面と基板121の表面(各受光素子140,150の受光面)との軸方向距離をd2、光源130の半径方向の大きさをL1とする。この場合において、回転ディスク110の同心円スリット(この例ではCS1とする)の半径方向の幅L2が下記式1を満たす場合、光源130から出射され回転ディスク110の同心円スリットCS1により反射された反射光の基板121の表面(受光面)における受光量は、三角形状の光量分布となる。
【0085】
L2≦L1×{d2/(d1+d2)} ・・・ (式1)
なお、L2を小さくするほど受光領域AR1の半径方向の幅を小さくできるが、受光量の総量も減少してしまうため、光量分布を三角形状としつつ受光量を最大とするためには、L2=L1×{d2/(d1+d2)}とするのが好ましい。
【0086】
このように光量分布を三角形状とすることで、光量分布中の光量一定域をなくし、光量分布の全体を光量変化域とすることができる。これにより、前述の実施形態と同様に、光量変化域を利用することで広い範囲を位置調整用受光素子の出力変化域としつつ、受光領域AR1の半径方向の幅をより小さくすることができる。その結果、図17に示すように、位置調整用受光素子150UL,150URと、位置調整用受光素子150Dとを、半径方向により近接して配置することが可能となるため、さらなる集積化が可能となり、光学モジュール120をさらに小型化することができる。
【0087】
なお、上記では光学モジュール120が図15に示す構成である場合を一例として説明したが、図16に示す構成でもよく、また図15及び図16とは反対に位置調整用受光素子を光源130よりも内周側に集中配置した構成にも適用可能である。
【0088】
(4)位置調整用受光素子の出力が所定値となるように半径方向の位置調整をする場合
上記実施形態では、光学モジュール120の傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URのいずれか一方の出力が、位置調整用受光素子150Dの出力と略等しくなるようにプリント基板190を移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向(r方向)の位置調整を行うようにしたが、これに限らない。例えば、回転ディスク110と光学モジュール120とが適正に位置決めされた状態における位置調整用受光素子150UL,150URの出力値を予め測定し、記憶させておく。これにより、制御装置180のr方向位置調整部183が、傾斜方向(θ方向)の位置調整により略等しくなった位置調整用受光素子150UL,150URの出力が上記記憶された所定の値となるようにリニアモータ174を駆動させ、プリント基板190を半径方向に移動させることで、光学モジュール120の回転ディスク110に対する半径方向の位置調整を行うことが可能である。
【0089】
(5)その他
例えば、以上においては、光学モジュール120の基板121上に光源130及び位置調整用受光素子150L,150Rが共に配置された反射型エンコーダを用いた場合を例にとって説明したが、これに限られず、光源が回転ディスク110をはさみ位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dを備えた基板121と対向するように配置された、いわゆる透過型エンコーダを用いてもよい。この場合、回転ディスク110において同心円スリットCS1,CS2を透過孔として形成すれば、位置調整用受光素子150UL,150UR,150Dが光源より出射され回転ディスク110に形成された同心円スリットCS1,CS2を透過した光を受光して、光学モジュール120の回転ディスク110に対する位置調整を行うことが可能である。このような透過型エンコーダを用いた場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0090】
また、以上においては、回転ディスク110に位置検出用パターンとしてインクリメンタルパターンIPのみを形成したが、シリアルアブソリュートパターンを形成してもよい。この場合、基板121にシリアルアブソリュートパターンからの反射光を受光するアブソ用受光素子群を設けることで、シャフトSHの絶対位置(絶対角度)を検出することが可能となる。
【0091】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0092】
100 反射型エンコーダ(エンコーダの一例)
110 回転ディスク
120 光学モジュール
121 基板
130 光源
150UL 位置調整用受光素子(第1受光素子の一例)
150UR 位置調整用受光素子(第2受光素子の一例)
150D 位置調整用受光素子(第3受光素子の一例)
174 リニアモータ
175 ロータリモータ(モジュール位置調整装置の一例)
182 θ方向位置調整部(制御部の一例)
183 r方向位置調整部
CS1,CS2 同心円スリット
Lr 放射状線
M モータ
MD サーボモータ製造装置
O ディスク中心
SH シャフト
図1
図2
図3
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