特許第5804406号(P5804406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5804406ベッド用グリップ等の固定機構における操作ハンドルの保持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804406
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】ベッド用グリップ等の固定機構における操作ハンドルの保持装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/08 20060101AFI20151015BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   A47C21/08 Z
   A61G7/05
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-215791(P2010-215791)
(22)【出願日】2010年9月27日
(65)【公開番号】特開2012-70767(P2012-70767A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2013年9月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】394006129
【氏名又は名称】株式会社いうら
(72)【発明者】
【氏名】和田 憲三
(72)【発明者】
【氏名】永田 修二
(72)【発明者】
【氏名】細川 洋
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−334511(JP,A)
【文献】 特開2002−224172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/08
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定柵部に設ける一対の支柱のうち一方の支柱に回動操作自在とするための操作ハンドルを止着するとともに、該支柱を前記固定柵部に軸承し、該支柱には回動軸心に対して偏心する偏心軸部を一体的に設け、前記操作ハンドルの回動操作により他方の支柱との間隔を変位させてベッドに取り付けるよう構成してなる固定機構を備えたサイドレールあるいはベッド用グリップにおいて、前記固定機構のロック時における前記操作ハンドルと前記固定柵部との間に保持装置を配するに、該保持装置の操作ハンドル側に該操作ハンドルを保持する保持溝を設けるとともに、該操作ハンドルの回動操作に伴い該保持装置が上下に揺動するように弾性変形する取付片を一体的に設けたことを特徴とする操作ハンドルの保持装置。
【請求項2】
上記保持装置の上記操作ハンドルとの接触部を、前記操作ハンドルの回動面に交差するように支柱から離間する方向に向かって斜めに張り出す斜部としたことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
上記固定柵部の支柱取付部となるベースパイプの断面形状を矩形状とし、上記保持装置には前記ベースパイプに沿っての揺動を案内するガイド片を設けるとともに、通孔を設けて上記偏心軸部を備えた支柱を該通孔に遊挿してベースフレームに止着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の操作ハンドルの保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドに装着して使用するサイドレールあるいはベッド用グリップ等の固定機構における操作ハンドルの保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベッドのサイドフレーム等に設けられた取付孔等に装着して使用するサイドレールやベッド用グリップがある。前者のサイドレールは、掛け布団や利用者本人が落ちないように防止したり、ベッド上で寝返りや起き上がり等の補助として使用されるものである。後者のベッド用グリップは、座位保持、立ち上がり、乗り移りを容易に行なうためのグリップとして使用されるものである。
【0003】
前者のサイドレールについては、着脱を容易にするために少し緩めに作られたものがあるが、使用状況によっては誤って外されないようにしっかりと固定できるものが望ましい場合がある。後者のベッド用グリップについては、利用者の身体を支持することが目的となっているので、しっかり固定できるものでなければならない。
このようなサイドレールあるいはベッド用グリップの固定機構には種々あるが、その一つとして次のようなものがある。
【0004】
この固定機構は、ベッドのサイドフレーム等に設けられる複数の取付孔に嵌合する一対の支柱のうち1本の支柱の脚部を支柱本体の軸心に対し偏心した状態で設け、この支柱本体を軸心周りに回転操作自在に取り付けて構成したものである。
これは、脚部を回動操作するだけで、他方の支柱との間隔が変位して、サイドフレームの取付孔の間隔に対し狭くなったり、広くなったりすることで強固に固定することができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−298960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の固定機構はベッドに固定した際には、十分な固定力を発揮するものであるが、ベッドから外した状態では脚部に設けた操作ハンドルが回転自在な状態となっており、不必要に回転する問題がある。また、ベッドに固定する際に、操作ハンドルの向きによって固定状態に有るか無いか判断することはできるが、操作に不慣れな方の場合にはロック位置が分かりづらいという問題があった。
そこで、解決しようとする問題点は、このように偏心させた脚部を回動させてベッドに固定する固定機構において、操作ハンドルが固定位置に向いた状態で操作ハンドルを保持することができる保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固定柵部に設ける一対の支柱のうち一方の支柱に回動操作自在とするための操作ハンドルを止着するとともに、該支柱を前記固定柵部に軸承し、該支柱には回動軸心に対して偏心する偏心軸部を一体的に設け、前記操作ハンドルの回動操作により他方の支柱との間隔を変位させてベッドに取り付けるよう構成してなる固定機構を備えたサイドレールあるいはベッド用グリップにおいて、前記固定機構のロック時における前記操作ハンドルと前記固定柵部との間に保持装置を配するに、該保持装置の操作ハンドル側に該操作ハンドルを保持する保持溝を設けるとともに、該操作ハンドルの回動操作に伴い該保持装置が上下に揺動するように弾性変形する取付片を一体的に設けたことを最も主要な特徴とする。
また、上記保持装置の上記操作ハンドルとの接触部を、前記操作ハンドルの回動面に交差するように支柱から離間する方向に向かって斜めに張り出す斜部としたことを特徴とする。
さらに、上記固定柵部の支柱取付部となるベースパイプの断面形状を矩形状とし、上記保持装置には前記ベースパイプに沿っての揺動を案内するガイド片を設けるとともに、通孔を設けて上記偏心軸部を備えた支柱を該通孔に遊挿してベースフレームに止着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のベッド用グリップ等の偏心軸部を用いた固定機構における操作ハンドルの保持装置は、ロック時における該操作ハンドルと固定柵部との間に配している。そして、保持装置に設けた保持溝によって前記操作ハンドルが保持されるよう構成している。これは、該保持装置に前記固定柵部への取付部として設ける取付片が前記操作ハンドルの回動操作により該操作ハンドルが該保持装置に接触することで弾性変形し、当該保持装置が上下に揺動される。そして、保持装置に設けた保持溝に前記操作ハンドルが位置すると操作ハンドルの回動が拘束されるものとなっている。
このように構成した保持装置は、操作に不慣れな方であっても直感的に操作ハンドルのロック位置を認識できる効果がある。また、ベッドに装着していないときであっても、操作ハンドルを保持しておくことができ、不必要な回動を防止することができるという利点がある。さらに、最小の部品点数で目的を遂げることができ、安価に提供できる。
また、保持装置の操作ハンドルとの接触部を前述のように斜部とすることで、操作ハンドルの回動操作時に保持装置が円滑に揺動される。すなわち、操作力が増加することを防止できるという利点がある。
さらに、保持装置にはベースパイプに沿うガイド片と、回動操作する側の支柱が挿通される通孔が設けられており、この保持装置によって支柱取付部を覆い隠すように構成している。したがって、保持装置の上下揺動が円滑に行われるだけでなく、外観的にも優れたものとすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明の固定機構の安全装置を備えたベッド用グリップを示す全体正面図
図2】そのグリップ部の回動状態を示す平面図
図3】その全体斜視図
図4】グリップ部の構成を示す説明図
図5】全体の構成を示す説明図
図6】回動機構の作用を示す要部断面図(ロック時)
図7】回動機構の作用を示す要部断面図(ロック解除時)
図8】回動機構の作用を示す要部断面図(回動操作時)
図9】保持装置を示す説明図
図10】保持装置の保持状態を示す全体斜視図
図11】その要部断面図
図12】保持装置の作動状態を示す全体斜視図
図13】その要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
サイドレールあるいはベッド用グリップの固定柵部と回動操作してベッドへの固定を行う支柱との間に、最小の部品点数で、外観を損なうことなく、保持装置を配して支柱を回動操作するための操作ハンドルをロック位置で保持できるようにした。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
なお、本発明の一実施形態を説明するために、ベッド用グリップを用いていますが、これはベッド用グリップに限定するものではなく、上述したようにサイドレールであっても何ら問題はない。
【0012】
このベッド用グリップ1は、第1図から第3図に示すように、主として固定柵部2と、この固定柵部2の一側部に回動機構3を介して回動自在に連設するグリップ部4とからなる。なお、前記固定柵部2にはベッドBのサイドフレームBに設けられた取付孔h,h,・・・に取り付けるための固定手段5を具備するが、この固定手段5については後述する。
【0013】
まず、前記固定柵部2はベースパイプ6にコ字状に曲折してなる枠パイプ7を固着するとともに、この内部に補強部材8,8,・・・,9を固着して構成している。
一方、前記グリップ部4はグリップフレーム10にグリップ部材11を装着して構成している。なお、前記グリップフレーム10は第4図に示すように支持パイプ12にL字状に曲折した補強パイプ13を固着するとともに、前記グリップ部材11を固定するための空孔部14a,14a,・・・を穿設した取付プレート14を固着したものである。
【0014】
そして、このように構成した固定柵部2とグリップ部4は、次のように構成した回動機構3により、回動操作自在かつ所定の角度で保持できるように連設している。
【0015】
まず、前記固定柵部2に設ける回動機構3から説明する。
上記ベースパイプ6の一端部にシテンパイプ15を固着している。なお、このシテンパイプ15の軸心Oが前記グリップ部4の回動中心となるように構成している。
そして、該シテンパイプ15の上面には、内側に複数の溝部16a,16a,・・・を設けてなる内歯プレート16を固着している。なお、本実施例においては歯数8として図示している。そして、この内歯プレート16の下方に位置するように前記シテンパイプ15の内側に突出する状態で前記シテンパイプ15の軸心Oと直交する方向でストッパーピン17を固着している。
【0016】
一方、該シテンパイプ15の上方には、上記枠パイプ7に固着した取付支持プレート18とロック部支持プレート19を配している。該取付支持プレート18には前記軸心Oと同一となり前記支持パイプ12を挿通する空孔部18aを穿設している。また、前記ロック部支持プレート19には、後述するロックプレート20を所定の範囲で回動するための回動軸受部19aとロック部カバー21,21の取付部となる空孔部19b,19bが設けられている。さらに、該ロック部支持プレート19の上部には回動軸部19cを設けている。
【0017】
次に、前記グリップ部4に設けられる回動機構3は、上記グリップフレーム10の支持パイプ12の下端部に、上記内歯プレート16の外径程度の大きさのストッパープレート22と前記内歯プレート16に噛合する外歯プレート23と上記ストッパーピン17に接触することで回動範囲を規制する規制ピン24を固着している。
そして、カバーパイプ25を固着して、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合部を覆っている。なお、第4図は該カバーパイプ25の一部を切り取り、内部構造を示したものとしている。
【0018】
このように構成したグリップ部4は、上記取付支持プレート18の空孔部18aに前記支持パイプ12の上端を挿通した後、該支持パイプ12の下端部の外歯プレート23と前記内歯プレート16を噛合させている。このとき、前記ストッパープレート22の下面が内歯プレート16の上面に接して、それ以上下方移動できない状態となっている。すなわち、グリップ部4を下限まで移動させると、内歯プレート16と外歯プレート23が噛合した状態となるように構成している。
一方、前記ロック部支持プレート19に設けた回動軸部19cには回動ブシュ26を挿通し、該回動ブシュ26を前記グリップ部材11に嵌着している。
【0019】
次に、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態をロックするロック部の構成について説明する。
まず、前記ロックプレート20は、ストッパー片20aと作動片20bと回動軸20cを一体的に構成してなる。詳述すると、ストッパー片20aと作動片20bはL字状となるよう配置し、この角部に回動軸20cを一体的に設けたものである。
そして、該回動軸20cを前記ロック部支持プレート19の回動軸受部19aに挿通するとともに、該ロックプレート20とロック部支持プレート19にそれぞれ設けた掛止片19d,20dにスプリング27を掛止することで前記ロックプレート20が上方回動するように付勢したものである。
なお、前記作動片20bは後述するロック解除ボタン28を支持する。また、ストッパー片20aは、該ロックプレート20が上方回動したときにグリップ部4の支持パイプ12の上端が接することでグリップ部4が上下に摺動することができない状態とするための部位である。そのため、ストッパー片20aには回動軸20cと同心の円弧部あるいはこの円弧に対する接線による斜状部として、該ロックプレート20の回動時においても前記支持パイプ12の上端との間隔の変化量を小さくすることで、該ロックプレート20の回動時の円滑な動作とグリップ部4のガタつきを極力少なくするよう構成することが好ましい。
【0020】
そして、ガイドパイプ29の下方からロック解除ボタン28を挿通した状態で、該ガイドパイプ29に設けたガイド溝29aに前記ロックプレート20の作動片20bを挿通するとともに、上記空孔部18aに該ガイドパイプ29の下端部を挿通する。なお、該ガイドパイプ29の内側上端には鍔部を設け、前記ロック解除ボタン21の上部をこの鍔部程度の大きさとし、下部を前記ガイドパイプ29の内径程度とすることで上方への抜け止めとしている。
さらに、前記ロック部支持プレート19にロック部カバー21,21を止着し、該ロック部カバー21,21によって前記ガイドパイプ29に設けた溝部29bを挟むようにして、該ガイドパイプ29を固定している。
【0021】
このように構成したベッド用グリップ1の回動機構3は、第6図から第8図に示すように作用する。
第6図に示す通常の状態では、前記内歯プレート16と外歯プレート23が噛合しており、グリップ部4の回動はできない状態となっている。詳述すると、ロックプレート20はスプリング27によって上方回動されており、このロックプレート20のストッパー片20aが前記グリップ部4の支持パイプ12の上端に接当した状態となっており、グリップ部4を上方にスライドすることができず、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態を解除することができないものとなっている。
【0022】
この状態から、グリップ部4を回動するには、第7図に示すように、スプリング27に抗してロック解除ボタン28を押し下げ、ロックプレート20を下方回動する。すると、該ロックプレート20のストッパー片20aが支持パイプ12の上端から離間して作動片20bと支持パイプ12との間に空間Sが形成される。この状態になると、グリップ部4を上方に摺動することが可能となる。
なお、ロック解除ボタン28を押しただけでは、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態は解除されないので、グリップ部4を回動することはできない。すなわち、誤ってロック解除ボタン28を押してしまっても、意図しない回動動作が起きることが無いので安全なものとなっている。
【0023】
前述の状態からグリップ部4を上方摺動すると、第8図に示すように、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態を解除することができ、グリップ部4が回動操作自在な状態となっている。所望の角度にグリップ部4を回動させた後、下方摺動することで内歯プレート16と外歯プレート23が噛合し、スプリング27の付勢力によって自動的にロックプレート20が上方回動され、ロックが掛かった状態となり、回動することができないロック状態となる。
【0024】
なお、図面においては45度ごとに設定できるように内歯プレート16と外歯プレート23を形成しているが、歯数を多くすることでより細かな角度設定ができるように構成したり、逆に歯数を減らして固定柵部2に対してグリップ部4が直線状となる状態と直角状となる状態のみに限定するなど適宜設定できるものであり、特に限定するものではない。
さらに、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合による構成としているが、一方をピンあるいは掛止片等を固着したものとすることで、何れかの歯溝に掛合するように構成しても良い。
また、本実施例では、第2図に示す(a)及び(b)の位置までグリップ部4を回動したときに、ストッパーピン17と規制ピン24が接触してそれ以上回動しないように構成している。これは、固定柵部2とグリップ部4との間で挟み込みを防止するためのものである。
【0025】
このように構成した回動機構3によれば、片手でグリップ部4を把持した状態で、ロック解除ボタン28を押す動作からグリップ部4を持ち上げ回動させる操作を行うこともできる。したがって、操作が簡単であるとともに、両手を使う必要もないので煩わしさがない。さらに、ロックを解除するためにはロック解除ボタン28を押し下げつつ、グリップ部4を上方に摺動させるように構成しているので、誤ってロック解除ボタン28を押し下げただけではグリップ部4を回動することはできず、安全なものとなっている。
さらに、この回動機構3は、構成部品が少なく、安価に提供できるという効果もある。
【0026】
次に、上述のように構成されたベッド用グリップ1に具備する固定機構5について説明する。
この固定機構5は、上記ベースパイプ6の下方に突出するように配した一対の支柱30,31からなるものである。まず、一方の支柱30は、前記ベースパイプ6に設けた嵌通孔6aに挿通して固着している。
そして、他方の支柱31は、第11図に示すように、前記ベースパイプ6に設けた嵌通孔6aにボス32を固着して取付部としている。このボス32には、回動操作時の回動軸となる軸部31aと該軸部31aよりも大径となる鍔部31b、そして前記軸部31aの軸心Oに対して偏心させた偏心軸部31cとを一体的に形成してなる支柱31を挿通するとともに、抜け止めしている。なお、第11図において、Oは偏心軸部31cの軸心を示している。
なお、前記鍔部31bには水平方向に伸びる操作ハンドル33を固着している。
また、それぞれの支柱30,31の上端には保護キャップ34,34を取り付け、布団等が引っ掛からないようにしている。
【0027】
このように構成された固定機構5は、前記操作ハンドル33をグリップ部4に向けた状態で、支柱30と偏心軸部31cの間隔がベッドBのベッドフレームBに設けた取付孔h,hの間隔と等しくなるように構成している。
そして、この状態で前記取付孔h,hに、これら支柱30,31を挿通した後、前記操作ハンドル33を他方の支柱31側に向くように水平回動する。すると、上述したように軸部31aに対して偏心して偏心軸部31cが設けられているので、前記取付孔h,hの間隔よりもこれら支柱30と偏心軸部31cの間隔が狭くなり、大きな固定力となってベッド用グリップ1を固定するものとなっている。
なお、該操作ハンドル33は360度回転操作自在であるので、ベッドBの左右どちら側にも取り付けできる固定機構5となっていることは言うまでもない。
【0028】
次に、上述のように構成した固定機構5における操作ハンドル33の保持装置35について説明する。
この保持装置35は、第9図に示すように箱状に構成しており、上部は開口して内部には前記ベースパイプ6の下面に取り付けるための逆L字状の取付片35aが設けられ、この取付片35aの下方には取付孔35bを設けている。また、底面には、通孔35cが設けられ、前記ベースパイプ6に該保持装置35を取り付けた状態では前記ボス32と前記支柱31が挿通される。
さらに、該保持装置35の底面には、前記操作ハンドル33の保持溝35dを設けている。なお、該保持溝35d側の底面は前記操作ハンドル33の回動操作時に該操作ハンドル33の基端側とは接触することなく、ロック状態に近づくにつれて基端から徐々に離間する箇所が該保持装置35の底面に接触するように斜め下方に張り出す斜部35eを設けている。
また、本実施例では、ベースパイプ6に角パイプを用いていることから、このベースパイプ6の側面に沿って当該保持装置35が上下に揺動するように両側面を延設してガイド片35fとしている。
このように構成した保持装置35は、第11図に示すように、取付片35aをベースパイプ6にネジ止めして取り付けている。
【0029】
前述のように取り付けた保持装置35は、本願固定機構5の操作ハンドル33の回動位置に応じて次のように作動する。
まず、上述のように構成したベッド用グリップ1の支柱30,31をベッドBのサイドフレームBに挿通する。このとき、前記操作ハンドル33はグリップ部4側に向けておく。
ベッドBに固定するために前記操作ハンドル33を略180度水平回動する。該操作ハンドル33がロック状態に近づくと、第12図に示すように、前記保持装置35の下面に設けた斜部33eに該操作ハンドル33が接触して、前記取付片35aが撓み、前記ガイド片35fに案内されベースパイプ6に沿って当該保持装置35が上方揺動する。
さらに、操作ハンドル33を回動させると、第10図に示すように、前記保持溝35dに該操作ハンドル33が位置すると同時に保持装置35が下方揺動して該保持溝35dによって操作ハンドル33が保持される。このように保持溝35dに操作ハンドル33が位置することで保持装置35は傾いた状態から正常な状態に戻りロック状態となっていることが容易に確認できる。
なお、この保持装置35の取付片35aが弾性変形しやすい材質、例えば樹脂等で成形することによって、回動操作時の操作力はほとんど変化させることなく、ロック位置での保持ができるものとすることができる。
【0030】
また、この保持装置35は、ベッドBにこのベッド用グリップ1を装着していない状態でも、前記操作ハンドル33を前記保持溝33dに位置させることで操作ハンドル33を保持することができ、不必要な回動が防止できる。
【0031】
これまで説明したようにこの保持装置35は、前記操作ハンドル33の回動操作にあわせ、取付片35aが撓むことによって上方に揺動され、保持溝35dに操作ハンドル33が位置すると下方揺動し、この状態で操作ハンドル33を保持できる構成となっている。
そのため、操作に不慣れな方であっても、ロック位置を直感的に認識することができるので、正確なロック操作ができるものとなっている。
【符号の説明】
【0032】
1 ベッド用グリップ
2 固定柵部
3 回動機構
4 グリップ部
5 固定機構
6 ベースパイプ
30 支柱
31 支柱
31c 偏心軸部
33 操作ハンドル
35 保持装置
35a 取付片
35c 通孔
35d 保持溝
35e 斜部
35f ガイド片
B ベッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13