特許第5804490号(P5804490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5804490車両の故障診断システムにおける電子制御装置および故障診断情報送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804490
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】車両の故障診断システムにおける電子制御装置および故障診断情報送信方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20151015BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   B60R16/02 650J
   B60Q1/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-34301(P2011-34301)
(22)【出願日】2011年2月21日
(65)【公開番号】特開2012-171449(P2012-171449A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】原 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 豊
(72)【発明者】
【氏名】八木 完
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−005901(JP,A)
【文献】 特開2008−128669(JP,A)
【文献】 特開2007−324671(JP,A)
【文献】 特開2008−149771(JP,A)
【文献】 特開2006−206262(JP,A)
【文献】 特表2009−542497(JP,A)
【文献】 特開2008−001233(JP,A)
【文献】 特開2010−137644(JP,A)
【文献】 特開2004−302677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置であって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットワークを通して受信し格納する故障診断情報格納手段と、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する可視光通信制御手段と、
を有し、
前記可視光通信制御手段は、前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記可視光通信制御手段は前記照明ランプの輝度を変調することを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記可視光通信制御手段は前記照明ランプを制御する照明ランプ駆動制御部を前記ネットワークを通して制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記故障診断情報格納手段および前記可視光通信制御手段を含み、前記ネットワークに接続された一つの電子制御ユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項5】
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置における故障診断情報送信方法であって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットワークを通して受信して故障診断情報格納手段に格納し、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを前記ネットワークを通して制御して前記照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する、
ことを特徴とする故障診断情報送信方法。
【請求項6】
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムであって、
前記車両に搭載された照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットと、
前記車両内に設けられ前記ネットワークに接続された電子制御装置と、
前記車両外に位置し前記照明ランプの照明光を受光する受信装置と、
を有し、
前記電子制御装置が、前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットアークを通して受信し、当該故障診断情報に従って前記照明ランプ用電子制御ユニットを制御することで、前記照明ランプの照明光を変調し前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信し、
前記受信装置が前記照明ランプの照明光を受光して前記故障診断情報を受信する、
ことを特徴とする故障診断システム。
【請求項7】
請求項1−3のいずれか1項に記載の電子制御装置を組み込み、前記ネットワークに接続された電子制御ユニット。
【請求項8】
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置のプログラム制御プロセッサを機能させるプログラムであって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットワークを通して受信して故障診断情報格納手段に格納し、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを前記ネットワークを通して制御して前記照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する、
ように前記」プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の故障診断システムに係り、特に故障診断情報を収集して送信する電子制御装置および故障診断情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高機能化に伴って、多数の電子制御ユニット(以下、ECU(Electronic Control Unit)という)を接続した車載ネットワークが搭載されるようになり、100個を超えるECUを搭載した自動車も市販されている。最近では、これらのECUが故障診断機能を有し、診断結果を故障履歴としてメモリに蓄積し、外部の診断ツールがこの蓄積情報を読み出すことが可能である。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された遠隔故障診断システムでは、車両内に設けられた異常検出装置が車両の各種状態情報を取得して遠隔故障診断の必要性を判断し、必要ならば近距離無線通信回線あるいはモバイル通信回線を利用して状態情報を故障診断サーバへ送信する。
【0004】
また、特許文献2に開示された故障診断装置では、データ収集装置が各ECUから状態データあるいは不具合コードを収集して記憶し、データ収集装置の出力端子に故障診断機の接続端子を接続して収集したデータを読み出し故障診断を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−302677号公報
【特許文献2】特開2010−137644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような無線通信回線あるいは無線LANや携帯電話網等の公衆網を使って通信するシステムでは、無線通信用の特別な装置が必要であり、そのための部品スペースを設けなければならない。また電波を使用するための免許や申請等が必要であり、公衆網を使用すると通信費もかかり利用者にとって経済的負担も大きいという難点がある。さらに、電波を使った場合には他の機器に影響を及ぼす可能性があるために工場での使用や海外での使用が容易ではない。
【0007】
また特許文献2のような端子接続あるいはケーブルを用いた有線接続は、自動車のボンネットや室内のBOX等にあるコネクタにユーザあるいは整備員がケーブルを接続する必要があり、検査の自動化やチェックが容易にできないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ケーブルや電波を用いずに、車両に搭載されている発光部品を利用して非接触で故障診断情報を送信可能な故障診断システム、電子制御装置および故障診断情報送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電子制御装置は、複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置であって、前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットワークを通して受信し格納する故障診断情報格納手段と、前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する可視光通信制御手段と、を有し、前記可視光通信制御手段は、前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することを特徴とする。
【0010】
本発明による故障診断情報送信方法は、複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置における故障診断情報送信方法であって、前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットワークを通して受信して故障診断情報格納手段に格納し、前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを前記ネットワークを通して制御して前記照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明による故障診断システムは、複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムであって、前記車両に搭載された照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットと、前記車両内に設けられ前記ネットワークに接続された電子制御装置と、前記車両外に位置し前記照明ランプの照明光を受光する受信装置と、を有し、前記電子制御装置が、前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を前記ネットアークを通して受信し、当該故障診断情報に従って前記照明ランプ用電子制御ユニットを制御することで、前記照明ランプの照明光を変調し前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信し、前記受信装置が前記照明ランプの照明光を受光して前記故障診断情報を受信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブルや電波を用いずに、車両に搭載されている発光部品を利用して非接触で故障診断情報を送信可能なる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1実施形態による故障診断システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態によるヘッドライト/可視光通信用ECUの構成を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態による故障診断システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、第1あるいは第2実施形態による故障診断システムを生産工場内の生産ラインで使用した場合のシステム構成図である。
図5図5は、第1あるいは第2実施形態による故障診断システムを整備工場内で使用した場合のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によれば、車両に搭載されている照明用ランプ(たとえばヘッドランプ、テールランプ、あるいはその他車載ランプ)を可視光通信の光源として利用し、車両内に設けられた複数の電子制御ユニット(ECU)から収集した故障診断情報に従って照明光を変調することで可視光通信により故障診断情報を受信端末へ送信する。以下、照明用ランプとしてヘッドライトを例示し、本発明の実施形態について図面参照しながら詳細に説明する。
【0015】
1.第1実施形態
図1に示すように、自動車等の車両10には車載ネットワーク101が設けられ、ヘッドライト/可視光通信用ECU102および103を含む複数のECUやセンサ群は車載ネットワーク101を通して相互に情報通信が可能である。各ECUは車両用デバイスの制御用マイクロコンピュータユニットであり、たとえば自動車に搭載されるメータ、エアコン、エアバッグ、リモートキー、シフト、パワーウィンドウ、ナビ等のユニットを制御する。各EUCは自ら担当するユニットの診断機能を具備し、その診断結果を後述するようにヘッドライト/可視光通信用ECU102および103へ送信する。診断結果の送信は定期的に、あるいは常時行なってもよいし、運転席からのボタン押下等の指示により行なってもよい。車載ネットワーク101は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、MOST(Media Oriented Systems Transport)、FlexRayなどが用いられる。
【0016】
ヘッドライト/可視光通信用ECU102および103は、ヘッドライトの点灯/消灯制御および輝度制御を行う機能と、次に述べるようにヘッドライト104および105を利用した可視光通信制御機能とを有する。ヘッドライト/可視光通信用ECU102は左側ヘッドライト104の制御を、ヘッドライト/可視光通信用ECU103は右側ヘッドライト105の制御をそれぞれ実行する。
【0017】
ヘッドライト/可視光通信用ECU102および103によりヘッドライト104および105から出射した可視光通信用の送信光は可視光通信受信端末20により受信される。可視光通信受信端末20は、可視光受信部201、信号処理部202および表示部203を有する。ヘッドライト104および105からの可視光は可視光受信部201で受光されて電気信号に変換され、信号処理部202は故障診断情報を復号し診断結果として表示部203に表示する。
【0018】
ヘッドライト/可視光通信用ECU102および103は同一構成および機能を有するので、以下、図2を参照しながら、ヘッドライト/可視光通信用ECU102について説明する。
【0019】
図2に示すように、ヘッドライト/可視光通信用ECU102は、車載ネットワーク101を通して受信した種々の指令やデータの処理およびヘッドライトの故障診断情報の生成を行うデータ処理部301を有する。電源制御部302は車両10のバッテリからの電力を制御して当該ECUの電源を供給すると共に、ヘッドライト点灯用の電力をヘッドライト駆動制御部303へ供給する。ヘッドライト駆動制御部303はデータ処理部301からの輝度制御信号あるいは可視光送信制御信号に従ってヘッドライト104を駆動し、ヘッドライトの点灯/消灯制御あるいは可視光通信用の点滅制御を行う。
【0020】
ヘッドライト/可視光通信用ECU102は、さらに故障診断情報記憶部304および可視光送信制御部305を有する。データ処理部301の制御下で、故障診断情報記憶部304は他のECUが送信する故障診断情報を記憶し、可視光送信制御部305は、故障診断を開始するときに、故障診断情報記憶部304から故障診断情報を読み出して可視光送信用に変調した可視光送信制御信号をデータ処理部301へ出力する。データ処理部301は可視光送信制御信号をヘッドライト駆動制御部303へ出力し、これに従ってヘッドライト104が駆動され、変調された可視光が出射することでデータ送信が行われる。具体的には、ヘッドライト104に供給する電力をオン/オフしたり周波数を変えたりすることでヘッドランプの可視光を変化させデータ送信を行う。
【0021】
ただし,単純に照明の点滅で信号で送ろうとすると、周囲にいる人が明るさの変化を感じてしまう。可視光通信ではこの問題を回避するために、人間の視覚には照明の光が変化していないように見せる変調方式、たとえばSC-I-PPM(サブキャリア反転パルス位相変調)などの変調方式を使用する。こうした方式を使えば、光はほんの短い時間しか暗くならないので人はほとんど気付かなくなる。
【0022】
このように、本実施形態によれば、ヘッドライトから可視光通信で内部ECUの診断結果を送信しているので、被検査対象の車両に何も物理的に接続することなく内部の情報を取得することができる。またヘッドライトを可視光通信の送信光源として使用するため、無線機器等の特別な装置を必要としない。さらに可視光通信で情報を伝達するため、通信費を必要としない点も利点である。
【0023】
なお、データ処理部301および可視光送信制御部305の上記機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。
【0024】
2.第2実施形態
上述した第1実施形態によるヘッドライト/可視光通信用ECU102および103では、可視光通信機能がヘッドライト用ECUに組み込まされているが、別個の専用のECUを車載ネットワーク101に接続することもできる。以下、本発明の第2実施形態による故障診断システムを図3を参照しながら説明する。
【0025】
図3において、車載ネットワーク101には、ヘッドライト用ECU401および402と故障診断システム用ECU403とが接続され、故障診断システム用ECU403がヘッドライト用ECU401および402を制御して可視光通信を可能にする。
【0026】
故障診断システム用ECU403には、データ処理部406、故障診断情報記憶部404および可視光送信制御部405が設けられている。故障診断情報記憶部404は、各ECUから故障診断情報を収集して記憶する。可視光送信制御部405は、故障診断を開始するときに故障診断情報記憶部404から故障診断情報を読み出して可視光送信用送信制御信号に変換し、車載ネットワーク101を通してヘッドライト用ECU401および402へ送信する。
【0027】
ヘッドライト用ECU401および402は、可視光送信用送信制御信号を受信すると、可視光送信用送信制御信号に従ってヘッドライト104および105を駆動制御し、可視光通信用の送信光を出射する。具体的には、ヘッドライト104および105に供給する電力をオン/オフしたり周波数を変えたりすることでヘッドランプの可視光を変化させデータ送信を行う。
【0028】
なお、データ処理部406および可視光送信制御部405の上記機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。
【0029】
また、故障診断システム用ECU403の可視光送信制御部405は、ヘッドライト用ECU401および402に対してそれぞれ異なる可視光送信用送信制御信号を送信することも可能である。すなわち、ヘッドライト104および105から異なる可視光通信用の光信号を送信し、それぞれ異なる可視光通信用受信端末で受信することも可能である。
【0030】
3.使用例
図4に示すように、上述した第1あるいは第2実施形態による故障診断システムを自動車製品工場での検査チェックシステムに適用することができる。すなわち、図1あるいは図3に示す車両10を被検査対象となる自動車とすれば、自動車生産ラインの最終工程で、製品となる自動車の出荷検査が行なわれる。自動車に搭載されている各ECUは自律で故障診断等を行ない、正しく製造されているか不良がないかをチェックし、その結果が車載ネットワーク101を経由してヘッドライト104および105の発光部品から送信される。したがって、可視光受信端末20を出荷検査装置30に接続するだけで機械による自動判別が可能となり、検査時間の大幅な短縮が可能となる。また、生産工場内で電波を使用することもないので他の装置に影響を与えることもない。
【0031】
図5に示すように、上述した第1あるいは第2実施形態による故障診断システムを自動車ディーラや整備工場での検査チェックシステムに適用することができる。すなわち、上述した可視光受信端末20を組み込んだ携帯用の故障診断情報受信専用端末50を用意し、整備員が故障診断情報受信専用端末50を自動車10のヘッドライト104および105へ向けるだけで自動車の故障状況や整備状況を即座に知ることができる。
【0032】
上述したように、本発明によれば、内部ECUの診断情報等を可視光通信で出力しているのでケーブル接続の必要がなく、検査時間や手間が大幅に省ける。また、無線方式として可視光通信を使用しているので、免許などが不要で他の機器に影響のある電波を送出しない。したがって工場内や海外でも使用可能であり、通信費がかからないため費用削減できる。さらに、ヘッドライト等の既存自動車にある部品を通信機器として使用しているので、通信用に特別な機器を必要とせず、搭載スペースの小型化、費用削減に貢献できる。
【0033】
なお、上記実施形態では可視光通信の送信機器としてヘッドライトを利用したが、車載ランプであれば本発明の光源として利用可能であり、たとえばテールランプ等の他の車載光源を用いることもできる。また、ランプの種類も可視光通信用にオン/オフ制御可能であればよく、既存の高輝度ランプだけでなく発光ダイオード(LED)も利用できる。
【0034】
また本発明は自動車だけに適用されるものではなく、照明ランプを搭載した車両、たとえばバイク、電車あるいは飛行機等の乗り物にも適用可能である。
【0035】
4.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
(付記1)
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置であって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を受信し格納する故障診断情報格納手段と、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する可視光通信制御手段と、
を有することを特徴とする電子制御装置。
【0037】
(付記2)
前記可視光通信制御手段は前記照明ランプの輝度を変調することを特徴とする付記1に記載の電子制御装置。
【0038】
(付記3)
前記可視光通信制御手段は前記照明ランプを制御する照明ランプ駆動制御部を直接制御することを特徴とする付記1または2に記載の電子制御装置。
【0039】
(付記4)
前記可視光通信制御手段は、前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することを特徴とする付記1または2に記載の電子制御装置。
【0040】
(付記5)
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置における故障診断情報送信方法であって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を受信して故障診断情報格納手段に格納し、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する、
ことを特徴とする故障診断情報送信方法。
【0041】
(付記6)
前記照明ランプの輝度を変調することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記5に記載の故障診断情報送信方法。
【0042】
(付記7)
前記照明ランプを制御する照明ランプ駆動制御部を直接制御することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記5または6に記載の故障診断情報送信方法。
【0043】
(付記8)
前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記5または6に記載の故障診断情報送信方法。
【0044】
(付記9)
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムであって、
前記車両に搭載された照明ランプと、
前記車両内に設けられ前記ネットワークに接続された電子制御装置と、
前記車両外に位置し前記照明ランプの照明光を受光する受信装置と、
を有し、
前記電子制御装置が、前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報に従って前記照明ランプの照明光を変調し前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信し、
前記受信装置が前記照明ランプの照明光を受光して前記故障診断情報を受信する、
ことを特徴とする故障診断システム。
【0045】
(付記10)
前記電子制御装置は前記照明ランプの輝度を変調することを特徴とする付記9に記載の故障診断システム。
【0046】
(付記11)
前記電子制御装置は前記照明ランプを制御する照明ランプ駆動制御部を直接制御することを特徴とする付記9または10に記載の故障診断システム。
【0047】
(付記12)
前記電子制御装置は、前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することを特徴とする付記9または10に記載の故障診断システム。
【0048】
(付記13)
付記3に記載の電子制御装置を組み込んだ前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニット。
【0049】
(付記14)
付記4に記載の電子制御装置を組み込み、前記ネットワークに接続された電子制御ユニット。
【0050】
(付記15)
複数の電子制御ユニットを接続するネットワークを搭載した車両の故障診断システムに用いられる電子制御装置のプログラム制御プロセッサを機能させるプログラムであって、
前記複数の電子制御ユニットがそれぞれ制御するユニットの故障診断情報を受信して故障診断情報格納手段に格納し、
前記故障診断情報に従って前記車両に搭載された照明ランプの照明光を変調することで前記故障診断情報を前記照明ランプを用いた可視光通信により外部へ送信する、
ように前記」プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。
【0051】
(付記16)
前記照明ランプの輝度を変調することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記15に記載のプログラム。
【0052】
(付記17)
前記照明ランプを制御する照明ランプ駆動制御部を直接制御することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記15または16に記載のプログラム。
【0053】
(付記18)
前記ネットワークを通して、前記照明ランプを制御する照明ランプ用電子制御ユニットを制御することで前記故障診断情報を可視光通信により外部へ送信することを特徴とする付記15または16に記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明はECUおよび照明ランプを搭載した車両の故障診断システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 車両
20 可視光通信受信端末
101 車載ネットワーク
102、103 ヘッドライト/可視光通信用ECU
104、105 ヘッドライト
201 可視光受信部
202 信号処理部
203 表示部
301 データ処理部
302 電源制御部
303 ヘッドライト駆動制御部
304 故障診断情報記憶部
305 可視光送信制御部
401、402 ヘッドライト用ECU
403 故障診断システム用ECU
404 故障診断情報記憶部
405 可視光送信制御部
図1
図2
図3
図4
図5