(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(表示装置)
3つの光拡散層が設けられている例(
図1〜
図5)
2.変形例(表示装置)
2つの光拡散層が設けられている例(
図6〜
図11)
3.反射輝度角度特性(
図12〜
図21)
4.適用例(電子機器)
上記の表示装置が電子機器に利用されている例(
図22)
【0016】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表すものである。なお、
図1は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。表示装置1は、例えば、
図1に示したように、複数の画素(図示せず)が2次元配置された表示パネル10と、映像信号に応じて表示パネル10の各画素を駆動する駆動部20とを備えたものである。
【0017】
表示パネル10は、反射型、または反射部と透過部とを兼ね備えた半透過型の液晶パネルである。表示パネル10は、各画素が映像信号に応じて駆動されているときに各画素に入射した外光が反射電極(図示せず)等によって反射され、外部に出射することによって画像を表示するものである。表示パネル10は、例えば、
図1に示したように、パネル部11と、パネル部11の上面に設けられた3つの光拡散層12,13,14とを有している。光拡散層12が、3つの光拡散層12,13,14のうちの最下層となっている。光拡散層14が、3つの光拡散層12,13,14のうちの最上層となっている。光拡散層13が、光拡散層12と光拡散層14との間に配置されている。光拡散層12は、例えば、パネル部11に対して接着剤で貼り合わされている。
【0018】
なお、
図1では、パネル部11と光拡散層12との間や、光拡散層12と光拡散層13との間、光拡散層13と光拡散層14との間に隙間が存在しているが、これらの隙間は存在していなくてもよい。また、これらの隙間に、3つの光拡散層12,13,14の相互作用による得られる効果を阻害しない何らかの光学層が設けられていてもよい。なお、光拡散層12が本技術の「第1光拡散層」の一具体例に相当し、光拡散層13が本技術の「第3光拡散層」の一具体例に相当し、光拡散層14が本技術の「第2光拡散層」の一具体例に相当する。
【0019】
(パネル部11)
パネル部11は、例えば、図示しないが、所定の間隙を介して互いに対向する下側基板および上側基板と、下側基板と上側基板との間に設けられた液晶層とを有している。液晶層は、例えば、ネマティック(Nematic)液晶を含んで構成され、後述するように、駆動部20からの印加電圧により、液晶層に入射する光を画素ごとに透過または遮断する変調機能を有している。なお、液晶の光透過レベルを変えることにより画素ごとの階調が調整される。下側基板は、例えば、図示しないが、ガラス基板の上面に、複数の画素電極と、配向膜とを有している。上側基板は、例えば、図示しないが、ガラス基板の下面に、カラーフィルタ、遮光部、透明電極および配向膜を有している。遮光部は、例えば、カラーフィルタと同一面に部分的に設けられている。
【0020】
複数の画素電極は、透明電極と共に液晶層を駆動するものである。各画素電極は、駆動部20と電気的に接続されている。各画素電極は、駆動部20によって電圧が印加されると、画素電極および透明電極間の電位差に応じた電界を、画素電極と透明電極の間に発生させ、その電界の大きさ応じて液晶層を駆動するようになっている。複数の画素電極は、さらに、液晶層を介して上側基板側から入射した光を反射する反射層として機能する。各画素電極は、可視光を反射する導電性材料からなり、例えば、Al−Nd合金などの金属材料からなる。各画素電極の上面は、例えば、鏡面となっている。このように、各画素電極が反射層として用いられる場合には、各画素電極以外の部材が反射層として用いられる場合と比べて、反射層を上側基板に対して最も近づけることができる。透明電極は、可視光に対して透明な導電性材料からなり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)からなる。透明電極は、例えば、上側基板内の所定の層内全体に形成された電極であり、全ての画素電極と向き合って配置されている。従って、透明電極は、各画素電極に対して対向する共通電極として機能する。表示パネル10のうち、画素電極と透明電極とが互いに対向する部分に対応する部分が、画素電極および透明電極間に印加される電圧によって液晶層を部分的に駆動することの可能な最小単位となっている。この最小単位が画素に相当する。
【0021】
配向膜は、液晶層内の液晶分子を所定の方向に配向させるものであり、液層層と直接に接している。配向膜は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成されたものである。カラーフィルタは、液晶層を透過してきた光を、例えば、赤、緑および青の三原色にそれぞれ色分離するためのカラーフィルタを、画素に対応させて配列したものである。遮光部は、画素間のクロストークを低減するものであり、例えば、可視光を吸収する機能を有している。遮光部は、画素と画素の間に形成されている。
【0022】
(光拡散層12,13,14)
光拡散層12,13,14は、特定方向から入射した光を強く拡散し、それ以外の方向から入射した光を弱く拡散するものである。光拡散層12,13,14は、パネル部11で反射され下面側から入射する外光のうち、特定の方位から特定の範囲の角度で入射する成分の光を強く拡散し、それ以外の成分の光を弱く拡散する異方性拡散層である。
【0023】
図2(A)〜(C)は、3つの光拡散層12,13,14の光学的な作用の一例を模式的に表したものである。光拡散層12は、例えば、
図2(A)に示したように、光拡散層12の下面側から入射する外光(入射光L1)の入射角がψ1のときに入射光L1の拡散がピークとなる拡散中心軸AX2を有している。なお、入射光L1の入射角は、入射光L1の光軸と光拡散層12の法線AX1とのなす角である。また、「入射角がψ1のときに入射光L1の拡散がピークとなる」とは、
図2(A)に示したように、入射光L1が光拡散層12によって拡散されて光拡散層12の上面に出射したときに、光拡散層12の上面に出射した拡散光L2の拡散範囲D1が極大となる入射光L1の入射角がψ1であることを意味するものである。従って、拡散中心軸AX2は、角度ψ1で光拡散層12の法線AX1と交差する方向に延在する軸を指している。なお、拡散中心軸AX2の角度ψ1は、例えば、30度である。
【0024】
光拡散層13は、例えば、
図2(B)に示したように、光拡散層13の下面側から入射する外光(入射光L3)の入射角がψ3(ψ1<ψ3<90度)のときに入射光L3の拡散がピークとなる拡散中心軸AX4を有している。なお、入射光L3の入射角は、入射光L3の光軸と光拡散層13の法線AX3とのなす角である。また、「入射角がψ3のときに入射光L3の拡散がピークとなる」とは、
図2(B)に示したように、入射光L3が光拡散層13によって拡散されて光拡散層13の上面に出射したときに、光拡散層13の上面に出射した拡散光L4の拡散範囲D2が極大となる入射光L3の入射角がψ3であることを意味するものである。従って、拡散中心軸AX4は、角度ψ3で光拡散層13の法線AX3と交差する方向に延在する軸を指している。なお、拡散中心軸AX4の角度ψ3は、例えば、45度である。
【0025】
光拡散層14は、例えば、
図2(C)に示したように、光拡散層14の下面側から入射する外光(入射光L5)の入射角がψ2(0<ψ2<ψ1)のときに入射光L5の拡散がピークとなる拡散中心軸AX6を有している。なお、入射光L5の入射角は、入射光L5の光軸と光拡散層14の法線AX5とのなす角である。また、「入射角がψ2のときに入射光L5の拡散がピークとなる」とは、
図2(C)に示したように、入射光L5が光拡散層14によって拡散されて光拡散層14の上面に出射したときに、光拡散層14の上面に出射した拡散光L6の拡散範囲D3が極大となる入射光L5の入射角がψ2であることを意味するものである。従って、拡散中心軸AX6は、角度ψ2で光拡散層14の法線AX5と交差する方向に延在する軸を指している。なお、拡散中心軸AX6の角度ψ2は、例えば、10度である。従って、3つの光拡散層12,13,14のうち光拡散層14以外の光拡散層12,13の拡散中心軸AX2,AX4の角度ψ1,ψ3は、光拡散層14の拡散中心軸AX6の角度ψ2よりも大きくなっている。
【0026】
ここで、外光とは、表示パネル10に入射する平行光を指しており、さらに、無偏光光を指している。また、「特定の方位」とは、
図2(A)〜(C)に示したように、各光拡散層12,13,14の拡散中心軸AX2,AX4,AX6の正射影I1,I2,I3が延在する方位に対応するものである。なお、
図2(A)〜(C)では、正射影I1,I2,I3が、互いに同一の方向(Y軸方向)を向いている場合が例示されているが、正射影I1,I2,I3は、完全に互いに同一の方向を向いている必要はない。例えば、正射影I1,I2,I3が、製造誤差の範囲内のわずかな角度で互いに交差する方向を向いていてもよい。また、正射影I1,I2,I3が、3つの光拡散層12,13,14の相互作用による得られる効果が阻害されない範囲内の角度で互いに交差する方向を向いていてもよい。
【0027】
また、「特定の範囲の角度」とは、
図2(A)〜(C)において、Y座標が負となると共にZ座標が負となる象限の方向のうち限られた範囲の角度を指すものである。「特定の範囲の角度」は、入射光L1,L3,L5の入射角を変位させたときに、例えば、ヘイズが所定の値よりも大きくなる範囲の角度を指している。
【0028】
光拡散層12,13,14は、例えば、
図3(A)または
図3(B)に示したように、屈折率の互いに異なる2種類の領域R1、R2を含んで構成されている。なお、
図3(A),(B)は、光拡散層12,13,14の構成の一例を斜視的に表すとともに、Y軸と平行な方向で切断した断面構成の一例も表したものである。光拡散層12は、例えば、領域R1、R2が厚さ方向に延在するとともに所定の方向(具体的には拡散中心軸AX2の向きと同一またはほぼ同一の方向)に傾斜して形成されたものである。光拡散層13は、例えば、領域R1、R2が厚さ方向に延在するとともに所定の方向(具体的には拡散中心軸AX4の向きと同一またはほぼ同一の方向)に傾斜して形成されたものである。光拡散層14は、例えば、領域R1、R2が厚さ方向に延在するとともに所定の方向(具体的には拡散中心軸AX6の向きと同一またはほぼ同一の方向)に傾斜して形成されたものである。
【0029】
光拡散層12,13,14は、例えば、屈折率の互いに異なる2種類以上の光重合可能なモノマーまたはオリゴマーの混合物である樹脂シートに、紫外線を斜め方向から照射することにより形成されたものである。なお、光拡散層12,13,14は、上記とは異なる構造となっていてもよく、また、上記とは異なる方法で製造されたものであってもよい。
【0030】
なお、本実施の形態において、パネル部11の上面に、3つの光拡散層12,13,14の他に、必要に応じて、位相差層や偏光層などが設けられていてもよい。偏光層は、所定の直線偏光成分を吸収し、それ以外の偏光成分を透過する機能を有している。従って、偏光層は、外部から入射してきた光を直線偏光に変換する機能を有している。一方、位相差層は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂の一軸延伸フィルムである。そのリタデーションは、可視光領域のうち最も視感度の高い緑色光波長の約1/4に相当する値となっている。従って、位相差層は、偏光層側から入射してきた直線偏光光を円偏光に変換する機能を有しており、1/4波長板として機能する。なお、高帯域にするために、偏光層と位相差層(1/4波長板)との間に、可視光の最も視感度が高い緑色光波長の約1/2に相当するリタデーションを有する位相差層(1/2波長板)がさらに設けられていてもよい。
【0031】
[作用、効果]
次に、
図4を参照しつつ、本実施の形態の表示装置1の作用、効果の一例について説明する。
【0032】
特定の方位から特定の範囲の角度(具体的にはY軸の負の方向の方位から入射角30度)で入射してきた外光Laは、上記の偏光層によって直線偏光に変換され、さらに上記の位相差層によって円偏光に変換され、パネル部11に到達する。パネル部11に到達した外光Laのうち、電圧の印加されていない液晶層に入射した光は、例えば、液晶層で直線偏光に変換されて画素電極11Aに達する。これは、あらかじめそうなるように液晶層のリタデーションとツイスト角が設定されているためである。画素電極11Aで反射された光(反射光Lb)は、上記とは逆の経路をたどって、元の円偏光に戻される。円偏光は、上記の位相差層によって元の直線偏光に戻り、上記の偏光層を通過する。従って、この場合には、画素は、明表示となる。また、パネル部11に到達した外光Laのうち、電圧の印加されている液晶層に入射した光は、円偏光のまま画素電極11Aに達し、画素電極11Aで反射されて円偏光になる。この光は上記の位相差層によって直線偏光に戻るが、この直線偏光の偏光軸が上記の偏光層の透過軸と直交する。そのため、この直線偏光は上記の偏光層で吸収される。従って、この場合には、画素は暗表示となる。
【0033】
ところで、外光Laは、光拡散層12,13,14を通過したのち、パネル部11に到達する。しかし、光拡散層12,13,14の拡散強度には入射角依存性があるので、外光Laは、ほとんど散乱されずに光拡散層12,13,14を透過し、パネル部11に到達する。一方、反射光Lbは、光拡散層12,13,14を通過したのち、表示パネル10の外部に射出される。このとき、反射光Lbは、例えば入射角30度で光拡散層12の下面に入射するので、光拡散層12で強く拡散される。光拡散層12で強く拡散された光のうち、小さな入射角(おおむね10度)で光拡散層13の下面に入射した拡散光Lcは、光拡散層13の「特定の範囲の角度」に入らないので、ほとんど散乱されずに光拡散層13を透過する。一方、光拡散層12で強く拡散された光のうち、大きな入射角(おおむね60度)で光拡散層13の下面に入射した拡散光Ldは、光拡散層13で強く拡散される。
【0034】
光拡散層13でほとんど散乱されずに光拡散層13を透過した拡散光Lcは、小さな入射角(おおむね10度)で光拡散層13の下面に入射する。すると、拡散光Lcは、光拡散層14で強く拡散されて、表示パネル10の外部に射出される。一方、光拡散層13で強く拡散されて光拡散層13を透過した拡散光Leは、大きな入射角(10度よりも大幅に大きな角度)で光拡散層13の下面に入射する。すると、拡散光Leは、光拡散層14の「特定の範囲の角度」に入らないので、ほとんど散乱されずに光拡散層14を透過して、表示パネル10の外部に射出される。
【0035】
このように、本実施の形態では、パネル部11で反射され下面側から入射してきた外光に対する拡散範囲を限定的にすることができる一方で、3つの光拡散層12,13,14のうち最下層である光拡散層12の拡散範囲よりも広げることができる。さらに、拡散強度の強弱の境界での強度変化を少なくすることができる。これにより、見栄えの自然な画像を表示することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、最上層である光拡散層14の拡散中心軸AX6の角度ψ2が、残りの2つの光拡散層12,13の拡散中心軸AX2,AX6の角度ψ1,ψ3よりも小さくなっているので、画像ボケの少ない自然な画像を表示することができる。さらに、白輝度の高い画像を表示することができる。
【0037】
<2.変形例>
[第1変形例]
上記実施の形態では、光拡散層14が3つの光拡散層12,13,14の中で最上層となっていたが、3つの光拡散層12,13,14の中で最上層となっていなくてもよい。例えば、
図5に示したように、光拡散層14が光拡散層12と光拡散層13との間に設けられていてもよい。なお、本変形例においては、光拡散層13が本技術の「第4光拡散層」の一具体例に相当する。
【0038】
[第2変形例]
上記実施の形態において、例えば、
図6に示したように、2つの光拡散層12,13の機能を備えた光拡散層15が、2つの光拡散層12,13の代わりに設けられていてもよい。このとき、光拡散層15は、光拡散層15の下面側から入射する外光の入射角がψ1のときに入射光の拡散がピークとなる拡散中心軸AX2を有している。さらに、光拡散層15は、光拡散層15の下面側から入射する外光の入射角がψ3のときに入射光の拡散がピークとなる拡散中心軸AX4も有している。光拡散層15は、拡散中心軸AX2と、拡散中心軸AX4とを同時に備えていることから、光拡散層15で拡散された光の光強度分布は、例えば、
図7に示したようになる。
【0039】
光拡散層15は、例えば、
図8に示したように、屈折率の互いに異なる2種類の領域(領域R1と、領域R3,R4)を含んで構成されている。なお、
図8は、光拡散層15の構成の一例を斜視的に表すとともに、Y軸と平行な方向で切断した断面構成の一例も表したものである。光拡散層15は、例えば、領域R1、R3、R4が厚さ方向に延在するとともに所定の方向に傾斜して形成されたものである。ここで、領域R1は、領域R3、R4を埋め込んだ形状となっている。領域R3は、拡散中心軸AX2の向きと同一またはほぼ同一の方向に延在する棒状の形状となっている。領域R4は、拡散中心軸AX4の向きと同一またはほぼ同一の方向に延在する棒状の形状となっている。
【0040】
光拡散層15は、例えば、屈折率の互いに異なる2種類以上の光重合可能なモノマーまたはオリゴマーの混合物である樹脂シートに、紫外線を斜め方向から照射することにより形成されたものである。なお、光拡散層15は、上記とは異なる構造となっていてもよく、また、上記とは異なる方法で製造されたものであってもよい。
【0041】
[第3変形例]
上記実施の形態において、例えば、
図9に示したように、2つの光拡散層13,14の機能を備えた光拡散層16が、2つの光拡散層13,14の代わりに設けられていてもよい。このとき、光拡散層16は、光拡散層16の下面側から入射する外光の入射角がψ3のときに入射光の拡散がピークとなる拡散中心軸AX4を有している。さらに、光拡散層16は、光拡散層16の下面側から入射する外光の入射角がψ2のときに入射光の拡散がピークとなる拡散中心軸AX6も有している。光拡散層16は、拡散中心軸AX4と、拡散中心軸AX6とを同時に備えていることから、光拡散層16で拡散された光の光強度分布は、例えば、
図10に示したようになる。
【0042】
光拡散層16は、例えば、
図11に示したように、屈折率の互いに異なる2種類の領域(領域R1と、領域R4,R5)を含んで構成されている。なお、
図11は、光拡散層16の構成の一例を斜視的に表すとともに、Y軸と平行な方向で切断した断面構成の一例も表したものである。光拡散層16は、例えば、領域R1、R4、R5が厚さ方向に延在するとともに所定の方向に傾斜して形成されたものである。ここで、領域R1は、領域R4、R5を埋め込んだ形状となっている。領域R4は、拡散中心軸AX4の向きと同一またはほぼ同一の方向に延在する棒状の形状となっている。領域R5は、拡散中心軸AX6の向きと同一またはほぼ同一の方向に延在する棒状の形状となっている。
【0043】
光拡散層16は、例えば、屈折率の互いに異なる2種類以上の光重合可能なモノマーまたはオリゴマーの混合物である樹脂シートに、紫外線を斜め方向から照射することにより形成されたものである。なお、光拡散層16は、上記とは異なる構造となっていてもよく、また、上記とは異なる方法で製造されたものであってもよい。
【0044】
[第4変形例]
上記実施の形態およびその変形例において、3つの光拡散層12,13,14以外に、これらの3つの光拡散層12,13,14と同様の機能(異方性前方散乱層としての機能)を有する1または複数の光拡散層がさらに設けられていてもよい。また、上記変形例において、2つの光拡散層14,15以外に、これらの2つの光拡散層14,15と同様の機能(異方性前方散乱層としての機能)を有する1または複数の光拡散層がさらに設けられていてもよい。また、上記変形例において、2つの光拡散層12,16以外に、これらの2つの光拡散層12,16と同様の機能(異方性前方散乱層としての機能)を有する1または複数の光拡散層がさらに設けられていてもよい。ただし、新たに追加された1または複数の光拡散層の拡散中心軸の角度は、光拡散層14の拡散中心軸AX6の角度ψ2よりも大きくなっていることが必要である。なお、そのようにした場合には、3つの光拡散層12,13,14、2つの光拡散層14,15、または2つの光拡散層12,16の相互作用による得られる効果が、新たに追加された1または複数の光拡散層によって阻害される虞がない。
【0045】
[第5変形例]
上記実施の形態およびその変形例では、表示パネル10はカラー表示可能な構成となっている場合が例示されていたが、表示パネル10はモノクロ表示だけ可能な構成となっていてもよい。例えば、上記実施の形態において、カラーフィルターが省略されていてもよい。
【0046】
[第6変形例]
上記実施の形態およびその変形例では、各画素電極が反射層として機能している場合が例示されていたが、画素電極以外の部材が反射層として機能してもよい。この場合には、各画素電極は反射層として機能する必要はなく、例えば、ITOなどの透明な導電性材料によって構成されていてもよい。
【0047】
[第7変形例]
上記実施の形態およびその変形例では、下側基板の電極が、2次元配置された複数の画素電極により構成されていたが、それ以外の構成となっていてもよい。
【0048】
<3.反射輝度角度特性>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の反射輝度角度特性について説明する。反射輝度角度特性とは、
図12に示したように、方位角φ=90度、極角θ=30度から光源200の光L4を表示装置1の映像表示面に入射させ、方位角φ=0度、180度方向(左右方向)と、方位角φ=90度、270度方向(上下方向)にディテクタ300を走査し、それにより得られた輝度分布を指している。
【0049】
なお、本明細書において、方位角φは、
図13に示したように、ある方向と基準となる方向との間の角の角度であり、図の右側を基準方位とし、反時計回りを正の角度とするものである。また、極角θは、表示装置1の映像表示面の法線Lxに対する角度である。
【0050】
図14〜
図17は、表示装置1内の1つの光拡散層における拡散光の拡散分布が異方性を有しているときの結果である。
図14は、上下方向にディテクタ300を走査したときの輝度分布L(θ)である。
図15は、
図14の輝度分布L(θ)を極角θで微分し、さらに輝度分布L(θ)で割った値の上下方向の分布(dL(θ)/dθ/L(θ))である。
図16は、左右方向にディテクタ300を走査したときの輝度分布L(θ)である。
図17は、
図16の輝度分布L(θ)を極角θで微分し、さらに輝度分布L(θ)で割った値の上下方向の分布(dL(θ)/dθ/L(θ))である。なお、
図14〜
図17の横軸はディテクタ300の走査角度である。
【0051】
図15から、極角θが、グレーの色となっている箇所に対応する角度範囲(−20≦θ≦0、−80≦θ≦−40)となっている場合には、(dL(θ)/dθ/L(θ))が以下の式を満たしていることがわかる。また、
図17から、極角θが、グレーの色となっている箇所に対応する角度範囲(−80≦θ≦+80)となっている場合にも、(dL(θ)/dθ/L(θ))が以下の式を満たしていることがわかる。
|(dL(θ)/dθ/L(θ))|≦0.06
【0052】
図18は、上下方向にディテクタ300を走査したときの輝度分布L(θ)を極角θで微分し、さらに輝度分布L(θ)で割った値の上下方向の分布(dL(θ)/dθ/L(θ))である。
図19は、左右方向にディテクタ300を走査したときの輝度分布L(θ)を極角θで微分し、さらに輝度分布L(θ)で割った値の上下方向の分布(dL(θ)/dθ/L(θ))である。
図18中のαは、所定の角度範囲(−20≦θ≦0、−80≦θ≦−40)において、(dL(θ)/dθ/L(θ))が上記の式を満たしている場合の結果である。
図19中のαは、所定の角度範囲(−80≦θ≦+80)において、(dL(θ)/dθ/L(θ))が上記の式を満たしている場合の結果である。一方、
図18中のβは、所定の角度範囲(−20≦θ≦0、−80≦θ≦−40)において、(dL(θ)/dθ/L(θ))が上記の式を満たしていない場合の結果である。
図19中のβは、所定の角度範囲(−80≦θ≦+80)において、(dL(θ)/dθ/L(θ))が上記の式を満たしていない場合の結果である。
【0053】
図18、
図19に示したαの特性を有する2つの表示装置と、
図18、
図19に示したβの特性を有する2つの表示装置とにおいて、官能試験を実施した。具体的には、
図20に示したように、(dL(θ)/dθ/L(θ))が、上下方向および左右方向に関して上述した所定の角度範囲において、|(dL(θ)/dθ/L(θ))|が0.05、0.06、0.07または0,08となっているときに、映像表示面が紙のように見えるか否か、被験者A〜Eに官能試験を実施した。
図20に示したように、被験者A〜Eによる官能試験の評価を点数によって行った。
図21に示したように、点数が大きくなるにつれて、映像表示面の質感が紙に近づいていることを示している。4点、5点を合格点とすると、被験者A〜Eが採点した点数の平均値から、|(dL(θ)/dθ/L(θ))|が0.05、0.06となっていれば、映像表示面が紙のように見えることがわかる。以上のことから、|(dL(θ)/dθ/L(θ))|が上述した所定の角度範囲において、0.06以下となっている場合には、映像表示面が紙のように見えるといえる。
【0054】
<4.適用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の一適用例について説明する。22は、本適用例に係る電子機器100の概略構成の一例を表す斜視図である。電子機器100は、携帯電話機であり、例えば、
図22に示したように、本体部111と、本体部111に対して開閉可能に設けられた表示体部112とを備えている。本体部111は、操作ボタン115と、送話部116を有している。表示体部112は、表示装置113と、受話部117とを有している。表示装置113は、電話通信に関する各種表示を、表示装置113の表示画面114に表示するようになっている。電子機器100は、表示装置113の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、例えば、表示装置113に対して映像信号を出力するようになっている。この制御部は、電子機器100全体の制御を司る制御部の一部として、またはその制御部とは別に、本体部111または表示体部112の内部に設けられている。
【0055】
表示装置113は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1と同一の構成を備えている。これにより、表示装置113において、見栄えの自然な画像を表示することができる。また、表示装置113において、光拡散層14の拡散中心軸AX6の角度ψ2が光拡散層12,13の拡散中心軸AX2,AX6の角度ψ1,ψ3よりも小さくなっている表示装置1が用いられている場合には、画像ボケの少ない自然な画像を表示することができる。さらに、白輝度の高い画像を表示することができる。
【0056】
なお、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1を適用可能な電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【0057】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(a)
反射型または半透過型のパネル部と、
前記パネル部上に設けられた複数の光拡散層と
を備え、
各光拡散層は、前記パネル部で反射され下面側から入射する外光のうち、特定の方位から特定の範囲の角度で入射する成分の光を強く拡散し、それ以外の成分の光を弱く拡散する異方性拡散層であり、
前記複数の光拡散層のうち最下層の第1光拡散層は、前記外光の入射角がψ1のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
前記複数の光拡散層のうち前記第1光拡散層とは異なる第2光拡散層は、前記外光の入射角がψ2(ψ2<ψ1)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
下記の(1)〜(4)のいずれかに記載の光拡散層は、前記外光の入射角がψ3(ψ1<ψ3)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有する
表示パネル。
(1)前記第1光拡散層
(2)前記第2光拡散層
(3)前記複数の光拡散層において前記第1光拡散層と前記第2光拡散層との間に第3光拡散層がある場合の前記第3光拡散層
(4)前記複数の光拡散層において前記第2光拡散層との関係で前記パネル部とは反対側に第4光拡散層がある場合の前記第4光拡散層
(b)
各光拡散層の拡散中心軸の正射影は、互いに同一の方向を向いている
(a)に記載の表示パネル。
(c)
前記第2光拡散層は、前記複数の光拡散層のうち最上層の光拡散層である
(a)または(b)に記載の表示パネル。
(d)
前記複数の光拡散層のうち前記第2光拡散層以外の光拡散層の拡散中心軸の角度は、前記第2光拡散層の拡散中心軸の角度ψ2よりも大きくなっている
(c)に記載の表示パネル。
(e)
前記第1光拡散層は、前記パネル部に対して接着剤で貼り合わされている
(c)に記載の表示パネル。
(f)
複数の画素が2次元配置された表示パネルと、
映像信号に基づいて各画素を駆動する駆動部と
を備え、
前記表示パネルは、
反射型または半透過型のパネル部と、
前記パネル部上に設けられた複数の光拡散層と
を有し、
各光拡散層は、前記反射層で反射され下面側から入射する外光のうち、特定の方位から特定の範囲の角度で入射する成分の光を強く拡散し、それ以外の成分の光を弱く拡散する異方性拡散層であり、
前記複数の光拡散層のうち最下層の第1光拡散層は、前記外光の入射角がψ1のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
前記複数の光拡散層のうち前記第1光拡散層とは異なる第2光拡散層は、前記外光の入射角がψ2(ψ2<ψ1)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
下記の(1)〜(4)のいずれかに記載の光拡散層は、前記外光の入射角がψ3(ψ1<ψ3)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有する
表示装置。
(1)前記第1光拡散層
(2)前記第2光拡散層
(3)前記複数の光拡散層において前記第1光拡散層と前記第2光拡散層との間に第3光拡散層がある場合の前記第3光拡散層
(4)前記複数の光拡散層において前記第2光拡散層との関係で前記パネル部とは反対側に第4光拡散層がある場合の前記第4光拡散層
(g)
表示装置と、
映像信号を前記表示装置に出力する制御部と
を備え、
前記表示装置は、
複数の画素が2次元配置された表示パネルと、
前記映像信号に基づいて各画素を駆動する駆動部と
を有し、
前記表示パネルは、
反射型または半透過型のパネル部と、
前記パネル部上に設けられた複数の光拡散層と
を有し、
各光拡散層は、前記反射層で反射され下面側から入射する外光のうち、特定の方位から特定の範囲の角度で入射する成分の光を強く拡散し、それ以外の成分の光を弱く拡散する異方性拡散層であり、
前記複数の光拡散層のうち最下層の第1光拡散層は、前記外光の入射角がψ1のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
前記複数の光拡散層のうち前記第1光拡散層とは異なる第2光拡散層は、前記外光の入射角がψ2(ψ2<ψ1)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有し、
下記の(1)〜(4)のいずれかに記載の光拡散層は、前記外光の入射角がψ3(ψ1<ψ3)のときに前記外光の拡散がピークとなる拡散中心軸を有する
電子機器。
(1)前記第1光拡散層
(2)前記第2光拡散層
(3)前記複数の光拡散層において前記第1光拡散層と前記第2光拡散層との間に第3光拡散層がある場合の前記第3光拡散層
(4)前記複数の光拡散層において前記第2光拡散層との関係で前記パネル部とは反対側に第4光拡散層がある場合の前記第4光拡散層