特許第5804511号(P5804511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804511
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20151015BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   G01B11/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-225050(P2011-225050)
(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公開番号】特開2013-83884(P2013-83884A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】野村 義昭
(72)【発明者】
【氏名】竹下 琢郎
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−046522(JP,A)
【文献】 特開2007−102094(JP,A)
【文献】 特開2009−288301(JP,A)
【文献】 特開2010−026369(JP,A)
【文献】 特開2012−027271(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/113933(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/077697(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板を搬送可能な基板搬送部と、
前記基板に露光光を照射するための露光窓と、前記基板のパターンを観察するための透光窓とを有し、該透光窓に遮蔽線を備えるフォトマスクから構成されるマスク部と、
前記基板の画像情報を取得するために、前記マスク部に対して複数種の透過光を照射する画像検出光源部と
前記マスク部の透光窓を介して取得された前記透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部とを備えるものであって、
前記変換された画像情報において、前記マスク部の遮蔽線の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置するパターンを覆い、前記隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれを部分的に覆うように設定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記マスク部の遮蔽線の幅は、前記画像情報に変換された際に、前記隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの中心と中心との間隔幅を画素ピッチ幅とするものであることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記露光装置は、更に、
前記画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、
前記マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、
前記画像検出部は、前記隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺に該当するエッジを検出し、
前記マスク部は、前記検出されたエッジの情報に基づいて、前記基板上を相対的に移動し、
前記露光部は、前記マスク部が移動した後に露光光を照射するものであることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
前記露光装置は、更に、
前記画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、
前記マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、
前記基板は、前記基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品毎にアライメントマークを付与されたものであって、
前記画像検出部は、当該アライメントマークを検出し、
前記マスク部は、前記検出されたアライメントマークの情報に基づいて、前記基板上を相対的に移動し、
前記露光部は、前記マスク部が移動した後に露光光を照射するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の露光装置。
【請求項5】
前記露光装置は、更に、
前記画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、
前記マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、
前記基板は、前記基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品を区切るようにアライメントラインを付与されたものであって、
前記画像検出部は、当該アライメントラインを検出し、
前記マスク部は、前記検出されたアライメントラインの情報に基づいて、前記基板上を相対的に移動し、
前記露光部は、前記マスク部が移動した後に露光光を照射するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の露光装置。
【請求項6】
前記露光装置は、
前記基板上に、前記アライメントラインと平行であって、所定のパターン無し領域を設けたものであることを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記基板部品は、携帯機器の液晶画面に利用されるものであることを特徴とする請求項4から6いずれか1項記載の露光装置。
【請求項8】
前記画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板は、カラーフィルタ基板または、アレイ基板であることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の露光装置。
【請求項9】
前記画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンは、前記カラーフィルタ基板の際には、予めパターンは着色されたものであって、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列された、隣り合う同一色のパターンであり、前記アレイ基板の際には、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列されたパターンであることを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関するものであって、特に、イメージセンサを用いてフォトマスクの位置調整を行う露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される被露光体である液晶パネル用の基板と露光光を透過するマスクとの位置調整を行う露光装置が知られている。例えば、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)が、基板に予め形成された各種配線やブラックマトリックスなどの既存パターンおよびフォトマスクの基準マーク(透過光を遮蔽する遮蔽線)に対して同時に焦点を合わせることにより、画像照合を行い、この既存パターンに対するマスクのズレを補正するように制御する露光装置に関する技術が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO2007/113933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような露光装置は、例えば、携帯機器(例えば、携帯電話、携帯型パーソナルコンピュータ等)のような小さい液晶画面向けの基板を露光するに際し、既存パターンも小さくなるために高精度なCCDを備えていないと、上記既存パターンの照合が困難となる。また、基準マークも同様に小さくする必要が生じるために、高精度なCCDを備えていないと、上記既存パターンの照合が困難となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、露光装置のCCDを高精度にすることなく、所定のパターンに対して正確なマスク位置を保持することができる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の露光装置は、画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板を搬送可能な基板搬送部と、基板に露光光を照射するための露光窓と、基板のパターンを観察するための透光窓とを有し、透光窓に遮蔽線を備えるフォトマスクから構成されるマスク部と、基板の画像情報を取得するために、マスク部に対して透過光を照射する画像検出光源部とマスク部の透光窓を介して取得された透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部とを備えるものであって、変換された画像情報において、マスク部の遮蔽線の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置するパターンを覆い、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれを部分的に覆うように設定されているものである。
「透光窓」とは、基板のパターンを観察するための覗き窓であって、例えばラインCCDにより観察される窓であってもよい。
「画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板」は、例えば、カラーフィルタ基板または、アレイ基板であってもよい。また、「画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターン」は、カラーフィルタ基板の際には、予めパターンは着色されたものであって、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列された、隣り合う同一色のパターンであり、アレイ基板の際には、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列されたパターンである。「マスク部の遮蔽線の幅」は、画像情報に変換された際に、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの中心と中心との間隔幅を画素ピッチ幅とするものであってもよい。
【0007】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、画像検出部は、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺に該当するエッジを検出し、マスク部は、検出されたエッジの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射するものであってもよい。
【0008】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、基板は、基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品毎にアライメントマークを付与されたものであって、画像検出部は、当該アライメントマークを検出し、マスク部は、検出されたアライメントマークの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射するものであってもよい。
【0009】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、基板は、基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品を区切るようにアライメントラインを付与されたものであって、画像検出部は、当該アライメントラインを検出し、マスク部は、検出されたアライメントラインの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射するものであってもよい。また、本発明の露光装置は、アライメントラインと平行であって、所定のパターン無し領域を設けたものであってもよい。
【0010】
「基板部品」は、携帯機器毎の液晶画面に利用されるものである。具体的には、携帯電話、携帯型のパーソナルコンピュータのための液晶用の基板が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の露光装置によれば、画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板を搬送可能な基板搬送部と、基板に露光光を照射するための露光窓と、基板のパターンを観察するための透光窓とを有し、該透光窓に遮蔽線を備えるフォトマスクから構成されるマスク部と、基板の画像情報を取得するために、マスク部に対して透過光を照射する画像検出光源部とマスク部の透光窓を介して取得された前記透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部とを備えるものであって、変換された画像情報において、マスク部の遮蔽線の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置するパターンを覆い、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれを部分的に覆うように設定されているものであることにより、上記隣り合う同一色の画素に対応するパターンの辺のみ検出することにより、携帯機器向けのような小さい液晶製品の基板部品であっても、高精度なCCDを用いることなく、露光のためのマスク部の正確な位置合わせを行うことができる。
【0012】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、画像検出部は、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺に該当するエッジを検出し、マスク部は、検出されたエッジの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射する際には、携帯機器向けのような小さな液晶画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、露光のためのマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【0013】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、基板は、基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品毎にアライメントマークを付与されたものであって、画像検出部は、当該アライメントマークを検出し、マスク部は、検出されたアライメントマークの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射する際には、アライメントマークを基準として基板の位置を追従することができるため、携帯機器向けのような小さない液晶製品画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、アライメントマークを基準として、基板とマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【0014】
本発明の露光装置は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部と、マスク部の上方から露光光を照射可能とする露光部を備えるものであって、基板は、基板の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品を区切るようにアライメントラインを付与されたものであって、画像検出部は、当該アライメントラインを検出し、マスク部は、検出されたアライメントラインの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部が移動した後に露光光を照射する際には、アライメントラインを基準として基板の位置を追従することができるため、携帯機器向けのような小さない液晶製品画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、アライメントラインを基準として、基板とマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態における露光装置の構成を説明するための図
図2】本発明の実施形態におけるマスク部と、基板との構成を模式的に示した図
図3】本発明の実施形態におけるイメージセンサ部の二重焦点構造を模式的に示した図
図4】本発明の実施形態におけるイメージセンサ部が撮影した基板上の既存パターンと遮蔽線の関係を示す画像情報例を示した図
図5】本発明の実施形態における遮蔽線と既存パターンの画像情報を示した図
図6】本発明の実施形態における基板上のアライメントマークとセルとの配置関係を示した図
図7】本発明の実施形態における基板上のアライメントラインとセルとの配置関係を示した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一の実施の形態となる遮蔽線(マスクスリット)を用いた露光装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、露光装置100の構成を示した図である。また、図2は、マスク部と基板との構成を模式的に示した図である。露光装置100は、図1および2に示すように、画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターン4をマトリクス状に備えた基板5を搬送可能な基板搬送部10と、基板5に露光光を照射するための露光窓22と、基板5のパターンを観察するための透光窓23とを有し、該透光窓23に遮蔽線45を備えるフォトマスクから構成されるマスク部35と、基板5の画像情報を取得するために、マスク部35に対して、透過光を照射する画像検出光源部20と、マスク部35の透光窓23を介して取得された透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部25とを備えるものであって、変換された画像情報において、マスク部35の遮蔽線45の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置するパターンを覆い、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺は覆うことなく設定されているものである。上述した画像表示画面のそれぞれの色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板は、例えば、カラーフィルタ基板または、アレイ基板である。また、上述した画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンは、カラーフィルタ基板の際には、予めパターンは着色されたものであって、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列された、隣り合う同一色のパターンであり、アレイ基板の際には、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素の配列位置に対応する位置に配列されたパターンである。以下、基板5は、カラーフィルタ基板を例に説明するが、基板5は、アレイ基板(例えば、TFT回路等)であってもよい。図1に示すように、画像検出光源部20は、基板5の下方から複数種の透過光を照射するものである。なお、画像検出光源部20は、基板5の上方から複数種の透過光を照射するものであってもよく、その際には、イメージセンサ部25は、基板5の下方に設置する。
【0018】
露光装置100は、具体的には、基板5を搬送可能な基板搬送部10と、フォトマスクから構成されるマスク部35と、該マスク部35の透光窓23から透過される光を画像情報に変換するイメージセンサ部25とを備えるものであって、該遮蔽線を除いて透過された光を受光したイメージセンサ部25から取得された画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50と、マスク部35の画像情報を取得させるために、マスク部35の下方から光を照射する画像検出光源部20と、マスク部35の上方にあって、画像検出光源部20の光を受光し、画像情報を取得するイメージセンサ部25と、基板搬送部10と、露光部50の間に配置された、露光部50から照射される露光光の一部を透過させる露光窓22および、画像検出光源部20から照射される光の一部を透過させる透光窓23を備えたマスク部35と、マスク部位置調整ユニット70とを備えたものである。なお、露光装置100は、露光部50の露光位置/露光出力を制御可能とする露光制御部60を備えていてもよい。
【0019】
基板搬送部10は、基板を搬送するものである。例えば、基板搬送部10は、図1に示すように、基板5を載置して所定の搬送方向に搬送するものであり、上面に気体を噴出する多数の噴出孔と気体を吸引する多数の吸引孔とを有した複数の単位ステージを基板5の搬送方向に並設し、気体の噴出と吸引とのバランスにより基板5を複数の単位ステージ上に所定量だけ浮かせた状態で、搬送ローラにより基板5の両端縁部を支持して搬送するようにする。
【0020】
露光部50は、紫外線を照射するものであって、例えば露光波長域は280〜400nmである。また、露光部50は、紫外線を照射するものであって、具体的には、レーザ発振器やキセノンフラッシュランプ等である。また、露光部50には、フォトインテグレータ(不図示)を搭載してもよく、露光部50から照射された露光光の横断面内の輝度分布を均一にする。このフォトインテグレータは、フライアイレンズやロッドレンズ又はライトパイプ等であってもよい。また、露光部50に搭載されたコンデンサーレンズ(不図示)は、露光光を平行光にしてマスク部35に照射させるものである。露光部50は、露光制御部60の制御指令に応じて、露光を行うものである。
【0021】
図2は、マスク部35と、基板5との構成を模式的に示した図である。マスク部35は石英ガラスなどからなる透明基板の表面に、所定のパターンに形成された遮光部21と露光窓22を有する。図2は、マスク部35の構成の例を模式的に示した外観斜視図である。図中の矢印aは基板5の搬送方向を示す。このマスク部35は、たとえば縦長スリット形状の露光窓22が、基板の搬送方向aの直角方向に沿って所定のピッチで並列して形成される構成を備える。図2においては、遮光処理を施した領域が遮光部21を示し、施していない領域が露光窓22を示す。マスク部35の基板5に対する搬送開始側には、横長スリット形状の透光窓23が形成されている。そして、透光窓23には、マスク部35に遮蔽線45が形成されている。遮光部21は、例えば、クロムなどにより遮光されている。また、遮蔽線45もクロムなどの遮蔽材から構成される。
【0022】
イメージセンサ部25は、マスク部35の透光窓23を介して、基板5に予め形成された既存パターン、例えば、ゲートバスライン、ソースバスラインやブラックマトリクスを撮影する。この際、イメージセンサ部25は、基板5の搬送方向aに平行に形成された図中縦に延びる既存パターン4の開始端から他方の終了端までを画像検出するための撮影を行う。イメージセンサ部25は、透光窓23下を帯状に流れるように移動する既存パターン4が、イメージセンサ部25の撮影により画像検出する。
【0023】
例えば、イメージセンサ部25は、多重焦点可能なラインCCD等が挙げられる。
【0024】
イメージセンサ部25は、撮影している間、透光窓23下を移動している既存パターン4が、基板5の移動方向aに対して直角となる方向へずれていってしまう場合は、そのズレ量を算出し、そのズレ量に応じたマスク35の位置合わせのための移動が行われる。このように、既存パターン4に追従したマスク部35の移動制御によってアライメント調整が行われる。これにより、露光部50は、既存パターン4に沿った位置に対して、正確な露光がなされる。
【0025】
イメージセンサ部25は、透光窓23下を移動する既存パターン4を撮影すると同時に、同じく透光窓23に形成された遮蔽線45も撮影する。イメージセンサ部25が撮影している間、上述したようなズレを補正するためのマスク部35の移動がなされ、撮影している遮蔽線45も移動する。このマスク補正は基板移動中、常に実行され基板移動終了まで行われる。
【0026】
イメージセンサ部25は、マスク部35と対になって設けられている。また、イメージセンサ部25は、マスク部35の移動に用いられる移動手段とは異なる図示しない移動手段によってそれぞれ独立して移動可能である。このイメージセンサ部25に設けられた移動手段は、露光開始前のマスク部35との位置合わせのためなどに用いられる。
【0027】
イメージセンサ部25は、多重焦点カメラである。例えば、図3に示すような焦点が二つある二重焦点カメラであってもよい。具体的には、基板5上の既存パターン4と遮蔽線45のそれぞれに焦点を合わせることが可能になっており、双方を鮮明に撮影することができるようになっている。図示されるようにイメージセンサ部25の視野半分に光路長調整板25aを介在させ、焦点距離が異なる基板上の既存パターン4及びマスク部35の遮蔽線45に対して同時に焦点が合うようになっている。
【0028】
画像検出部55は、マスク部35の位置合わせに用いる基準画像が記憶されており、更にはイメージセンサ部25が撮影した既存パターン4の画像やマスク部35の遮蔽線45の画像も記憶することができる。
【0029】
画像検出部55は、イメージセンサ部25が撮影した基板5上の既存パターン4の画像から既存パターン4のエッジ情報等を検出し、基板5の被照射面に対して実際に光エネルギーを照射している範囲と本来光エネルギーを照射すべき範囲との位置、つまり既存パターン4に対するマスク部35の位置のズレ量を算出することができる。
【0030】
マスク部位置調整ユニット70は、画像検出部55が算出したズレ量に基づいて、マスク部35の位置を移動させて補正する。
【0031】
露光制御部60は、マスク部位置調整ユニット70の補正結果に応じて、基板5の被照射面の光エネルギーを照射すべき範囲に対して実際に光エネルギーを照射できるようにする。
【0032】
更に、画像検出部55は、マスク部位置調整ユニット70によりマスク部35の位置が補正される前にイメージセンサ部25が撮影したマスク部35の遮蔽線45の画像と、補正された後にイメージセンサ部25が撮影したマスク部35の遮蔽線45の画像とを比較して、移動補正の際のマスク部35の実際の移動量を算出し、マスク部35の位置補正が的確になされたか否かを判定する。
【0033】
上述したように基板5を移動させて光エネルギーを照射しつつ、既存パターン4に追従したマスク部35のアライメント調整を行い、既存パターン4の開始端から終了端までマスク部35が移動すると露光処理が終了する。
【0034】
このようにイメージセンサ部25によって撮影された既存パターン4とマスク部35の遮蔽線45のそれぞれの画像を用いて、それぞれの位置関係が露光中監視することにより、既存パターン4に対するマスク部35の位置合わせの精度を向上させることができる。
透光窓(基板のパターンを観察するための覗き窓、具体的にはラインCCD観察窓)23は、画像検出光源部20から照射される光を透過させるものである。
【0035】
ここで、遮蔽線45および既存パターン4との関係について説明する。図4は、イメージセンサ部25により撮影された基板上の既存パターン4と遮蔽線45の関係を示す画像情報である。なお、図4に示す既存パターンおよび遮蔽線45は、画像情報の既存パターン4および遮蔽線であることから、既存パターン4'および遮蔽線45'と記す。
【0036】
図4に示す既存パターン4'は、RGB色素(R:赤、G:緑、B:青)のパターンであり、例えば、既存パターン4'aはR色素、既存パターン4'bはG色素、既存パターン4'cはB色素、既存パターン4'dはR色素、既存パターン4'eはG色素、既存パターン4'fはB色素である。
【0037】
イメージセンサ部25は、前述のように基板5とマスク部35を同時に撮影し、遮蔽線45と基板5の既存パターン4を観察する。具体的には、イメージセンサ部25が、図4に示すように、遮蔽線45と基板5を撮影し、画像検出部55が、画像情報から既存パターン4'e上の略中心に配置された遮蔽線45'の中心線C1を検出し、更に、同じ色素となる既存パターン4'bの両辺の中心線C2を求める。そして、イメージセンサ25は、C1とC2の距離を認識し、基板5とマスク部35の位置ズレ量を計算し、補正できるように監視する。
【0038】
しかしながら、携帯機器(例えば、携帯電話、携帯型パーソナルコンピュータ)用の高精細な液晶画面の基板では、画素サイズが非常に小さくなってしまい、既存パターン4'eも同様に極小(例えば、15μm程度まで狭くなることが想定される)になる。そうすると、イメージセンサ部25は、高分解能機能からなる撮影手段を備えることを要し、既存パターン4を観察するための十分な画像が取得できない場合が想定される。
【0039】
なお、画像検出部55は、同一色素となる既存パターン4'bと4'eの画像情報から、マスク部35と基板5の相対的な位置を検出している。イメージセンサ部25は、画像検出光源部20により照射される透過光の種類により既存パターン4のRGB色素のうち、1種の色素となる既存パターンのみに対して透過光が抜け、その透過光から画像情報を取得している。
【0040】
図5は、本発明特有の遮蔽線45と既存パターン4の画像情報を示す図である。なお、図5に示す既存パターンおよび遮蔽線45は、画像情報の既存パターンおよび遮蔽線であることから、既存パターン4'および遮蔽線45'と記す。
【0041】
露光装置100は、画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板5を搬送可能な基板搬送部10と、透光窓23に遮蔽線45を有するフォトマスクから構成されるマスク部35と、基板5の画像情報を取得するために、該基板5の下方から複数種の透過光を照射する画像検出光源部20と、マスク部35の透光窓23を介して取得された透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部25とを備えるものであって、図5に示すように変換された画像情報において、マスク部35の遮蔽線45の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置する別の色のパターンを覆い、上記隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれを部分的に覆うように設定する。図5に示すように、遮蔽線45'の幅は、例えば、透過光がG色素の既存パターン4'bと4'eを透過し、隣り合うG色のパターンの間に位置する別の色のR、B色素のパターン(既存パターン4'c〜4'd)を覆い、隣り合うG色のパターン4'b、4'eそれぞれを部分的に覆うように設定する。具体的には、マスク部35の遮蔽線45の幅は、画像情報に変換された際に、隣り合う同一色素となるパターンそれぞれの中心と中心との間隔幅を画素ピッチ幅とするものである。遮蔽線45を画素ピッチ幅(例えば45〜100μm)にすることで、遮蔽線45'が基板5の既存パターン2つを跨るように配置する。これにより、画像検出部55は、携帯機器(例えば、携帯電話、携帯型パーソナルコンピュータ)用の高精細な液晶画面用の基板であり、画素サイズが非常に小さくなった場合であっても、隣り合う同一色のパターンである片側エッジ(辺)をそれぞれ検出することでマスク部35と基板5の位置調整を容易に行うことができる。このように遮蔽線45が、画素ピッチ幅となることで、マスク部35の誤取付(誤配置)防止になる。
【0042】
なお、上述した実施例においては、透過光が透過したのはG色のパターンを例に説明したが、B色のパターンを透過光が透過された場合は、遮蔽線45'は、G色およびR色のパターンを覆い、R色のパターンが透過された場合は、遮蔽線45'は、G色およびB色のパターンを覆うように配置される。
【0043】
これにより、露光装置100は、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、画像検出部55は、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺に該当するエッジを検出し、マスク部35は、検出されたエッジの情報に基づいて、基板5上を相対的に移動し、露光部50は、マスク部35が移動した後に露光光を照射する。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態で説明した露光装置100と同様の構成となる部分は説明を省略する。
【0045】
露光装置100は、図6に示すように画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、基板5は、基板5の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品(セルc1〜c6)毎にアライメントマークMを付与されたものであって、画像検出部55は、当該アライメントマークMを検出し、マスク部35は、検出されたアライメントマークMの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部50は、マスク部35が移動した後に露光光を照射する。
【0046】
図6は、基板上のアライメントマークMとセルとの配置関係を示したものである。基板5は、図6に示すように、基板5の搬送方向の基板部品(セルc1〜c6)間にアライメントマークM1〜4(引き込みマーク、または追従補助用マーク)を備え、画像検出部55は、アライメントマークMでマスク部35と基板5の相対的な位置の追従を行い、セル間での基板搬送精度を高めて露光することができる。
【0047】
このアライメントマークMを短い間隔に配置することにより、露光のアクティブエリア内で追従することなく、マスク部35と基板5の相対的な位置精度を高めることができる。
【0048】
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。第一の実施形態で説明した露光装置100と同様の構成となる部分は説明を省略する。
露光装置100は、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、図7に示すように、基板5は、基板5の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品を区切るようにアライメントラインLを付与されたものであって、画像検出部55は、当該アライメントラインLを検出し、マスク部35は、検出されたアライメントラインLの情報に基づいて、基板5上を相対的に移動し、露光部50は、マスク部35が移動した後に露光光を照射する。
【0049】
図7は、基板5上のアライメントラインLとセルとの配置関係を示したものである。基板5は、図7に示すように、基板5の搬送方向の基板部品(セルc1、2またはc3,4)間にアライメントラインLを備え、画像検出部55は、アライメントラインLでマスク部35と基板5の相対的な位置の追従を行い、セル間での基板搬送精度を高めて露光することができる。また、基板5上に、アライメントラインLと平行であって、所定のパターン無し領域Rを設けたものである。
【0050】
このアライメントラインL、パターン無し領域Rを設けることにより、画像検出部55は、基板5の搬送方向の最初と最後まで容易に追従を行うことを可能とし、マスク部35と基板5の相対的な位置精度を高めることができる。上述した基板部品(セル)は、携帯機器の液晶画面に利用されるものである。
【0051】
露光装置100によれば、画像表示画面に表示される其々の色の画素に対応する、規則的に配置されたパターンをマトリクス状に備えた基板5を搬送可能な基板搬送部10と、基板5に露光光を照射するための露光窓22と、基板5のパターンを観察するための透光窓23とを有し、該透光窓23に遮蔽線45(透光窓23の略中心位置)を備えるフォトマスクから構成されるマスク部35と、基板5の画像情報を取得するために、マスク部35に対して透過光を照射する画像検出光源部20とマスク部35の透光窓23を介して取得された透過光を画像情報に変換するイメージセンサ部25とを備えるものであって、変換された画像情報において、マスク部35の遮蔽線45の幅は、所定の透過光を透過した、画像表示画面に表示される隣り合う同一色の画素に対応するパターンの間に位置するパターンを覆い、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれを部分的に覆うように設定されているものであることにより、上記隣り合う同一色の画素に対応するパターンの辺のみ検出することにより、携帯機器向けのような小さい液晶製品の基板部品であっても、正確な露光のためのマスク部の正確な位置合わせを設定することができる。本発明の第一の実施形態において、遮蔽線45を画素ピッチ幅のマスクスリットにする実施形態を説明し、第二の実施形態においては、基板上にアライメントマークMを付与した実施形態を説明し、第三の実施形態においては、基板上にアライメントラインLを付与した実施形態を説明した。これらの実施形態は全て組み合わせて実施してもよいし、それぞれ2つ以上の実施形態を組み合わせて実施するものであってもよいし、それぞれの実施形態を独立して実施するものであってもよい。
【0052】
露光装置100は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、画像検出部55は、隣り合う同一色の画素に対応するパターンそれぞれの辺に該当するエッジを検出し、マスク部35は、検出されたエッジの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部50は、マスク部が移動した後に露光光を照射する際には、携帯機器向けのような小さな液晶製品画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、正確な露光のためのマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【0053】
また、露光装置100は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、基板5は、基板5の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品毎にアライメントマークを付与されたものであって、画像検出部50は、当該アライメントマークを検出し、マスク部35は、検出されたアライメントマークの情報に基づいて、基板上を相対的に移動し、露光部は、マスク部35が移動した後に露光光を照射する際には、アライメントマークを基準として基板の位置を追従することができるため、携帯機器向けのような小さな液晶製品画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、アライメントマークを基準として、基板とマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【0054】
露光装置100は、更に、画像情報から画像検出処理を行う画像検出部55と、マスク部35の上方から露光光を照射可能とする露光部50を備えるものであって、基板5は、基板5の搬送方向に、所定間隔で、切断される基板部品毎を区切るようにアライメントラインを付与されたものであって、画像検出部55は、当該アライメントラインを検出し、マスク部は、検出されたアライメントラインの情報に基づいて、基板5上を相対的に移動し、露光部50は、マスク部35が移動した後に露光光を照射する際には、アライメントラインを基準として基板の位置を追従することができるため、携帯機器向けのような小さない液晶製品画面を有する携帯機器用の基板部品であっても、アライメントラインを基準として、基板とマスク部の正確な位置合わせを設定し、正確な露光を行うことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について、詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
c セル
C 中心線
L アライメントライン
M アライメントマーク
R 領域
4 パターン
5 基板
10 基板搬送部
20 画像検出光源部
21 遮光部
22 露光窓
23 透光窓
25 イメージセンサ部
35 マスク部
45 遮蔽線
50 露光部
55 画像検出部
60 露光制御部
70 マスク部位置調整ユニット
100 露光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7