【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 発行所 社団法人 電子情報通信学会 刊行物名 第24回 回路とシステムワークショップ論文集 発行日 平成23年8月1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1を用いて、本実施形態に係る電源モジュール1を説明する。電源モジュール1は、電源11、スイッチトキャパシタ部12、レギュレータ13、及び制御部14を備えている。電源モジュール1は、負荷回路Rに接続される。電源モジュール1は、負荷回路Rに電力を供給する。
【0016】
電源11は、例えばバッテリーなどの充電池であり、スイッチトキャパシタ部12に電圧Vinを供給する。
【0017】
スイッチトキャパシタ部12は、複数のスイッチ及び複数のキャパシタで構成される回路である。電源11から供給される電圧Vin(以下、「入力電圧Vin」とする)をs/r倍に降圧した出力電圧Voutをレギュレータ13に出力する。レギュレータ13は、出力電圧Voutをさらに降圧し、一定電圧Vを生成する。制御部14は、スイッチトキャパシタ部12のスイッチを制御し、スイッチトキャパシタ部12の状態を遷移させる。また、制御部14は、スイッチの制御方法を変えることで、降圧比(s/r)を可変に制御する。スイッチトキャパシタ部12、レギュレータ13及び制御部14をあわせてDC/DC変換器とする。スイッチトキャパシタ部12及びレギュレータ13の詳細については後述する。
【0018】
負荷回路Rは、電源モジュール1が電力を供給する回路である。例えば、電源モジュール1が携帯電話に搭載される場合、負荷回路Rは、例えば画像処理回路や通信回路など、携帯電話の機能を実現する回路である。
【0019】
図2を用いてスイッチトキャパシタ部12の詳細を説明する。
図2に示すように、スイッチトキャパシタ部12は、複数のキャパシタ及び複数のスイッチを有する。スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinが印可される入力側正極端子Vin+及び入力側負極端子Vin−、出力電圧Voutが印可される出力側正極端子Vout+及び出力側負極端子Vout−を備える。
【0020】
スイッチトキャパシタ部12は、第1〜第NキャパシタC1〜CNを有する。第1〜第NキャパシタC1〜CNは、後述する複数のスイッチを介してそれぞれが直列・並列に接続される。第1〜第NキャパシタC1〜CNは、いずれも容量値が等しいものとする。ただし、各キャパシタC1〜CNの充電電圧が異なる場合は、各キャパシタC1〜CNの容量値が異なる方が電力変換効率が向上するときがある。したがって、第1〜第NキャパシタC1〜CNの容量値については、全て等しい値の場合に限定されない。
【0021】
スイッチトキャパシタ部12は、一端が第n(n=1,2,・・・,N−1)キャパシタCnの一端に接続され、他端が第n+1キャパシタCn+1に接続された第1nスイッチS1nを有する第1スイッチ群を備える。第11スイッチS11は、一端が第1キャパシタC1の一端に、他端が第2キャパシタC2の一端に接続される。同様に、第1N−1スイッチS1N−1は、一端が第N−1キャパシタCN−1の一端に、他端が第NキャパシタCNの一端に接続される。
【0022】
スイッチトキャパシタ部12は、一端が第nキャパシタCnの他端に接続された第2nスイッチS2nを有する第2スイッチ群を有する。第2nスイッチS2nの他端同士は互いに接続される。第21スイッチS21は、一端が第1キャパシタC1の他端に、他端が第22〜第2N−1スイッチS22〜S2N−1スイッチの他端に接続される。
【0023】
スイッチトキャパシタ部12は、一端が第nキャパシタCnの他端に接続され、他端が第n+1キャパシタCn+1の一端に接続された第3nスイッチを有する第3スイッチ群を備える。第31スイッチS31は、一端が第1キャパシタC1の他端に接続され、他端が第2キャパシタC2の一端に接続される。
【0024】
スイッチトキャパシタ部12は、一端が入力側正極端子Vin+に接続され、他端が第1キャパシタC1の一端に接続される第4スイッチS4を備える。上述した第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4は、
図1に示す制御部14によってオン/オフが制御される。
【0025】
スイッチトキャパシタ部12の入力側負極端子Vin−は、第2スイッチ群の第2nスイッチS2nの他端に接続される。出力側正極端子Vout+は、第NキャパシタCNの一端に接続される。出力側負極端子Vout−は、第NキャパシタCNの他端に接続される。
【0026】
続いて、スイッチトキャパシタ部12の動作について説明する。後段の負荷回路Rによってスイッチトキャパシタ部12に求められる降圧比は異なる。本実施形態に係るスイッチトキャパシタ部12は、求められる降圧比1/rに応じて、異なる4つのモードで動作する。
【0027】
(デジタル選択モード)
スイッチトキャパシタ部12の降圧比が1/rであるとする。rが、r≦2
(N−1)である場合、制御部14は、デジタル選択モードで動作するようスイッチトキャパシタ部12を制御する。この場合、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオン/オフを切り替えることで、入力電圧Vinの2
(N−1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電する。
【0028】
具体的には、第1〜第NキャパシタC1〜CNが直列接続され、この第1〜第NキャパシタC1〜CNの両端に入力電圧Vinが印可される第1期間と、直列接続された第j〜第NキャパシタCj〜CNと、第j−1キャパシタCj−1とが並列接続される第j期間(j=2〜N−1)と、第N−1キャパシタCN−1と第NキャパシタCNとが並列接続される第N期間と、を繰り返すように、制御部14は各スイッチを制御する。
【0029】
以下、説明を簡略化するため、N=4の場合について説明する。つまり、スイッチトキャパシタ部12に求められる降圧比が1/8以上である場合、スイッチトキャパシタ部12は、デジタル選択モードで動作する。
【0030】
図3は、N=4の場合のスイッチトキャパシタ部12を示す図である。ここでは、スイッチトキャパシタ部12が、第1〜第4期間を繰り返すことで、入力電圧Vinを1/8倍に降圧した出力電圧Vout=1/8Vinを生成する場合について説明する。なお、制御部14は、図示しない内部クロックまたは外部から供給されるクロックに基づき第1〜第4期間を切り替えるようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0031】
(第1期間)
まず、第1期間の間、全てのキャパシタC1〜C4が直列接続される。直列接続された第1〜第4キャパシタC1〜C4の両端に入力電圧Vinが印可され、第1〜第4キャパシタC1〜C4が入力電圧Vinで充電される。具体的には、制御部14が第4スイッチS4及び第3スイッチ群をオンし、第1スイッチ群及び第2スイッチ群をオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御することで、第1〜第4キャパシタC1〜C4を直列接続し、両端に入力電圧Vinを印可する。
【0032】
図4に、第4スイッチS4及び第3スイッチ群をオンし、第1,第2スイッチ群をオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。
図4に示す抵抗Ronは、第4スイッチS4または第3スイッチ群の各スイッチのオン抵抗である。
【0033】
第1〜第4キャパシタC1〜C4の容量値はそれぞれ等しく、またオン抵抗Ronの影響を考慮しない場合、各第1〜第4キャパシタにはそれぞれ等しい電荷が充電される。
【0034】
つまり、第1期間の入力電圧Vinと各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNの関係は次式に示す通りである。
【0036】
(第2期間)
次に、第2期間の間、第1キャパシタC1と、直列接続された第2〜第4キャパシタC2〜C4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第11スイッチS11、第21スイッチS21及び第32,第33スイッチS32,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0037】
図5に、第11スイッチS11、第21スイッチS21及び第32,第33スイッチS32,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。
図5に示すように、最初の1周期目は第2〜第4キャパシタC2〜C4の電圧Vc2〜Vc4はそれぞれ1/3Vc1となる。
【0038】
(第3期間)
第3期間の間、第2キャパシタC2と、直列接続された第3,第4キャパシタC3,C4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第12スイッチS12、第22スイッチS22及び第33スイッチS33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0039】
図6に、第12スイッチS12、第22スイッチS22及び第33スイッチS33をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。
図6に示すように、第3,第4キャパシタC3,C4の電圧Vc3,Vc4はそれぞれ1/2Vc2となる。
【0040】
このように、第j期間(j=2,3,・・・,N−1)の間の、各キャパシタの電圧の関係は次式に示す通りである。
【0042】
(第4期間)
第4期間の間、第3キャパシタC3と第4キャパシタC4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第13スイッチS13及び第23スイッチS23をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0043】
図7に、第13スイッチS13及び第23スイッチS23をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。
図7に示すように、第4キャパシタC4の電圧Vc4は、第3キャパシタVc3と等しくVc4=Vc3となる。
【0044】
このように、第N期間の間、第N−1キャパシタCN−1の電圧VcN−1と、第NキャパシタVcNとの関係は、VcN−1=VcNとなる。
【0045】
第1〜第4期間を繰り返すことにより、定常状態での各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNは、次式の通りになる。
【0047】
N=4の場合、第1キャパシタC1の電圧Vc1はVc1=1/2Vin、第2キャパシタC2の電圧Vc2はVc2=1/4Vin、第3,第4キャパシタC3,C4の電圧Vc3,Vc3はVc3=Vc4=1/8Vinとなる。出力側正極端子Vout+は第4キャパシタC4の一端に接続され、出力側負極端子Vout−は第4キャパシタC4の他端に接続されているため、出力電圧Voutは定常状態で1/8Vinとなる。
【0048】
このように、第1〜第4期間を繰り返すことで、入力電圧Vinの2
(N−1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電することができ、スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinに対して1/8倍に降圧した出力電圧Voutを生成することができる。
【0049】
(トリボナッチモード)
スイッチトキャパシタ部12の降圧比が1/rであり、rが、r≦Tri(N+1)である場合、制御部14は、トリボナッチモードで動作するようスイッチトキャパシタ部12を制御する。この場合、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオン/オフを切り替えることで、入力電圧VinのTri(N+1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電する。ここで、Tri(x)は、いわゆるトリボナッチ数列をあらわし、次式で定義される。
Tri(0)=0
Tri(1)=1
Tri(2)=1
Tri(x+3)=Tri(x)+Tri(x+1)+Tri(x+2)
【0050】
スイッチトキャパシタ部12がトリボナッチモードで動作する場合、第1〜第3キャパシタC1〜C3が直列接続され、第1〜第3キャパシタC1〜C3の両端に入力電圧Vinが印可されるとともに、直列接続された第3k−2,第3k−1,及び第3kキャパシタと、第3k−3キャパシタとが並列接続される第1期間と、直列接続された第3k−1,第3k,及び第3k+1キャパシタと、第3k−2キャパシタとが並列接続される第2期間と、直列接続された第3k,第3k+1,及び第3k+2キャパシタと、第3k−1キャパシタとが並列接続される(kは、2以上、N/3以下の整数)第3期間と、を繰り返すように、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオンオフを切り替えるよう制御する。
【0051】
以下、説明を簡略化するため、N=4の場合について説明する。つまり、スイッチトキャパシタ部12に求められる降圧比が1/7以上である場合、スイッチトキャパシタ部12は、トリボナッチモードで動作する。
【0052】
本実施形態では、スイッチトキャパシタ部12がトリボナッチモードで動作し、第1〜第3期間を繰り返すことで、入力電圧Vinを1/7倍に降圧した出力電圧Vout=1/7Vinを生成する場合について説明する。
【0053】
(第1期間)
まず、第1期間の間、第1〜第3キャパシタC1〜C3が直列接続され、第3キャパシタC3と第4キャパシタC4とが並列接続される。また、直列接続された第1〜第3キャパシタC1〜C3の両端に入力電圧Vinが印可される。具体的には、制御部14が第4スイッチS4、第23スイッチS23、第13スイッチS13、及び第31、第32スイッチS31,S32をオンし、それ以外のスイッチをオフするようにスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0054】
図8に、第4スイッチS4、第23スイッチS23、第13スイッチS13、及び第31、第32スイッチS31,S32をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。この場合、第1〜第4キャパシタC1〜C4の各電圧Vc1〜Vc4は、ほぼ1/3Vinとなる。
【0055】
つまり、第1期間の入力電圧Vinと各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNの関係は次式に示す通りである。
Vin=Vc1+Vc2+Vc3
Vc(3k−3)=Vc(3k−2)+Vc(3k−1)+Vc3k
【0056】
(第2期間)
次に、第2期間の間、第1キャパシタC1と、直列接続された第2〜第4キャパシタC2〜C4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第11スイッチS11、第21スイッチS21及び第32,第33スイッチS32,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0057】
この場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路は、
図5に示す回路と同じになる。従って、第2〜第4キャパシタC2〜C4の電圧Vc2〜Vc4はそれぞれ1/3Vc1となる。
【0058】
また、第2期間の間の各キャパシタの電圧の関係は次式に示す通りとなる。
Vc(3k−2)=Vc(3k−1)+Vc3k+Vc(3k+1)
【0059】
(第3期間)
第3期間の間、第2キャパシタC2と、直列接続された第3,第4キャパシタC3,C4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第12スイッチS12、第22スイッチS22及び第33スイッチS33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0060】
この場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路は、
図6に示す回路と同じになる。従って、第3,第4キャパシタC3,C4の電圧Vc3,Vc4はそれぞれ1/2Vc2となる。
【0061】
また、第3期間の間の各キャパシタの電圧の関係は次式に示す通りとなる。
Vc(3k−1)=Vc3k+Vc(3k+1)+Vc(3k+2)
【0062】
第1〜第3期間を繰り返すことにより、定常状態での各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNは、次式の通りになる。
【0064】
N=4の場合、第1キャパシタC1の電圧Vc1はVc1=4/7Vin、第2キャパシタC2の電圧Vc2はVc2=2/7Vin、第3,第4キャパシタC3,C4の電圧Vc3,Vc3はVc3=Vc4=1/7Vinとなる。出力側正極端子Vout+は第4キャパシタC4の一端に接続され、出力側負極端子Vout−は第4キャパシタC4の他端に接続されているため、出力電圧Voutは定常状態で1/7Vinとなる。
【0065】
このように、第1〜第3期間を繰り返すことで、入力電圧VinのTri(N+1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電することができ、スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinに対して1/7倍に降圧した出力電圧Voutを生成することができる。また、スイッチトキャパシタ部12の動作における繰り返し回数は第1〜第3期間の3回ですみ、N個の期間を繰り返すデジタル選択モードに比べ繰り返し回数が少ない。
【0066】
(フィボナッチモード)
スイッチトキャパシタ部12の降圧比が1/rであり、rが、r≦Fib(N+1)である場合、制御部14は、フィボナッチモードで動作するようスイッチトキャパシタ部12を制御する。この場合、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオン/オフを切り替えることで、入力電圧VinのFib(N+1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電する。ここで、Fib(x)は、いわゆるフィボナッチ数列をあらわし、次式で定義される。
Fib(0)=0
Fib(1)=1
Fib(x+2)=Fib(x)+Fib(x+1)
【0067】
スイッチトキャパシタ部12がフィボナッチモードで動作する場合、第1及び第2キャパシタC1,C2が直列接続され、第1及び第2キャパシタC1,C2の両端に入力電圧Vinが印可されるとともに、直列接続された第2k−1及び第2kキャパシタと、第2k−2キャパシタとが並列接続される第1期間と、直列接続された第2、第3キャパシタC2,C3と、第1キャパシタC1とが並列接続され、直列接続された第2k及び第2k+1キャパシタと、第2k−1キャパシタとが並列接続される(kは、2以上、N/2以下の整数)第2期間と、を繰り返すように、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオンオフを切り替えるよう制御する。
【0068】
以下、説明を簡略化するため、N=4の場合について説明する。つまり、スイッチトキャパシタ部12に求められる降圧比が1/5以上である場合、スイッチトキャパシタ部12は、フィボナッチモードで動作する。
【0069】
本実施形態では、スイッチトキャパシタ部12がフィボナッチモードで動作し、第1、第2期間を繰り返すことで、入力電圧Vinを1/5倍に降圧した出力電圧Vout=1/5Vinを生成する場合について説明する。
【0070】
(第1期間)
まず、第1期間の間、第1,第2キャパシタC1,C2が直列接続され、第2キャパシタC2と直列接続された第3,第4キャパシタC3,C4とが並列接続される。また、直列接続された第1,第2キャパシタC1,C2の両端に入力電圧Vinが印可される。具体的には、制御部14が第4スイッチS4、第12スイッチS12、第22スイッチS22、及び第31、第33スイッチS31,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようにスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0071】
図9に、第4スイッチS4、第12スイッチS12、第22スイッチS22、及び第31、第33スイッチS31,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。この場合、第1〜第4キャパシタC1〜C4の各電圧Vc1〜Vc4は、Vc1≒Vc2≒1/2Vin、Vc3≒Vc4≒1/4Vinとなる。
【0072】
つまり、第1期間の入力電圧Vinと各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNの関係は次式に示す通りである。
Vin=Vc1+Vc2
Vc(2k−2)=Vc(2k−1)+Vc2k
【0073】
(第2期間)
次に、第2期間の間、第1キャパシタC1と直列接続された第2,第3キャパシタC2,C3とが並列接続され、第2キャパシタC2と直列接続された第3,第4キャパシタC3,C4とが並列接続される。具体的には、制御部14は、第11スイッチS11、第21,第22スイッチS21,S22及び第32,第33スイッチS32,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフするようスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0074】
図10に、第11スイッチS11、第21,第22スイッチS21,S22及び第32,第33スイッチS32,S33をオンし、それ以外のスイッチをオフした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。この場合、第2〜第4キャパシタC2〜C4の各電圧Vc2〜Vc4は、Vc2=Vc3=1/2Vc1、Vc4=1/4Vc1となる。
【0075】
また、第2期間の間の各キャパシタの電圧の関係は次式に示す通りとなる。
Vc1=Vc2+Vc3
Vc(2k−1)=Vc2k+Vc(2k+1)
【0076】
第1,第2期間を繰り返すことにより、定常状態での各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNは、次式の通りになる。
【0078】
N=4の場合、第1キャパシタC1の電圧Vc1はVc1=3/5Vin、第2キャパシタC2の電圧Vc2はVc2=2/5Vin、第3,第4キャパシタC3,C4の電圧Vc3,Vc3はVc3=Vc4=1/5Vinとなる。出力側正極端子Vout+は第4キャパシタC4の一端に接続され、出力側負極端子Vout−は第4キャパシタC4の他端に接続されているため、出力電圧Voutは定常状態で1/5Vinとなる。
【0079】
このように、第1,第2期間を繰り返すことで、入力電圧VinのFib(N+1)分の1の整数倍を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電することができ、スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinに対して1/5倍に降圧した出力電圧Voutを生成することができる。また、スイッチトキャパシタ部12の動作における繰り返し回数は第1、第2期間の2回ですみ、N個の期間を繰り返すデジタル選択モードに比べ繰り返し回数が少ない。
【0080】
(直並列モード)
スイッチトキャパシタ部12の降圧比が1/rであり、rが、r≦Nである場合、制御部14は、直並列モードで動作するようスイッチトキャパシタ部12を制御する。この場合、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオン/オフを切り替えることで、入力電圧VinのN分の1を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電する。
【0081】
スイッチトキャパシタ部12が直並列モードで動作する場合、第1〜第NキャパシタC1〜CNのうちk個のキャパシタが直列接続され、k個のキャパシタの両端に入力電圧Vinが印可される第1期間と、k個のキャパシタのうち1個のキャパシタが直列接続される第2期間とを繰り返すように、制御部14は、第1〜第3スイッチ群及び第4スイッチS4のオンオフを切り替えるよう制御する。
【0082】
以下、説明を簡略化するため、N=4の場合について説明する。つまり、スイッチトキャパシタ部12に求められる降圧比が1/4以上である場合、スイッチトキャパシタ部12は、直並列モードで動作する。
【0083】
本実施形態では、スイッチトキャパシタ部12が直並列モードで動作し、第1、第2期間を繰り返すことで、入力電圧Vinを1/4倍に降圧した出力電圧Vout=1/4Vinを生成する場合について説明する。
【0084】
(第1期間)
まず、第1期間の間、第1〜第NキャパシタC1〜CNが直列接続される。また、直列接続された第1〜第NキャパシタC1〜CNの両端に入力電圧Vinが印可される。具体的には、制御部14が第4スイッチS4、第3スイッチ群をオンし、第1,第2スイッチ群をオフするようにスイッチトキャパシタ部12を制御する。
【0085】
この場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路は、
図4に示す回路と同じになる。従って、第1〜第1キャパシタC1〜C4の電圧Vc1〜Vc4はそれぞれ1/4Vinとなる。
【0086】
また、第2期間の間の各キャパシタの電圧の関係は次式に示す通りとなる。
Vcj=Vin/N (j=1,2,・・・,N)
【0087】
(第2期間)
次に、第2期間の間、第1〜第NキャパシタC1〜CNは、それぞれ並列接続される。具体的には、制御部14が第4スイッチS4、第3スイッチ群をオフし、第1,第2スイッチ群をオンするようにスイッチトキャパシタ部12を制御する。
図11に、制御部14が第4スイッチS4、第3スイッチ群をオフし、第1,第2スイッチ群をオンした場合のスイッチトキャパシタ部12の瞬時等価回路を示す。この場合、第2〜第4キャパシタC2〜C4の各電圧Vc2〜Vc4は、Vc1と等しくなる。
【0088】
つまり、第1期間の入力電圧Vinと各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNは、互いにほぼ等しくなる。
【0089】
第1〜第3期間を繰り返すことにより、定常状態での各キャパシタC1〜CNの電圧Vc1〜VcNは、次式の通りになる。
Vcj=Vin/N (j=1,2,・・・,N)
【0090】
N=4の場合、第1〜第4キャパシタC1〜C4の電圧Vc1〜Vc4はVc1=Vc2=Vc3=Vc4=1/4Vinとなる。出力側正極端子Vout+は第4キャパシタC4の一端に接続され、出力側負極端子Vout−は第4キャパシタC4の他端に接続されているため、出力電圧Voutは定常状態で1/4Vinとなる。
【0091】
このように、第1,第2期間を繰り返すことで、入力電圧VinのN分の1を掛け合わせた電圧で、第1〜第NキャパシタC1〜CNを充電することができ、スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinに対して1/N倍に降圧した出力電圧Voutを生成することができる。また、スイッチトキャパシタ部12の動作における繰り返し回数は第1、第2期間の2回ですみ、N個の期間を繰り返すデジタル選択モードに比べ繰り返し回数が少ない。
【0092】
次に、
図12を用いて、本実施形態に係るレギュレータ13の一例について説明する。
図12に示すレギュレータ13は、スイッチトキャパシタ部12の出力電圧Voutを降圧し、一定電圧Vを生成する。スイッチトキャパシタ部12は、入力電圧Vinを1/r倍して出力電圧Voutを生成するが、負荷回路Rに必要な電圧を必ずしも生成できるとは限らない。また、入力電圧Vinが変動すると、出力電圧Voutも変動してしまう。そこで、スイッチトキャパシタ部12の後段にレギュレータ13を設け、出力電圧Vout及び負荷回路Rに必要な電圧に応じて、出力電圧Voutを降圧することで、負荷回路Rに一定電圧Vを供給する。
【0093】
図12に示す、レギュレータ13は、一端がスイッチトキャパシタ部12の出力側正極端子Vout+に接続され、他端が負荷回路Rの一端に接続された可変抵抗R1、及び一端が負荷回路Rの一端に接続され、他端が負荷回路Rの他端に接続されたキャパシタCrを有している。
【0094】
レギュレータ13は、出力電圧Voutを可変抵抗R1で降圧することで一定電圧Vを生成する。このとき、可変抵抗R1の抵抗値R1を、出力電圧Voutと負荷抵抗Rに必要な電圧に応じて変更することで、出力電圧Voutによらず一定電圧Vを生成することができる。可変抵抗R1の抵抗値R1は、制御部14が制御してもよく、またレギュレータ13に抵抗値を制御するための制御部を設けても良い。
【0095】
レギュレータ13で出力電圧Voutを降圧する場合、可変抵抗R1で電力が消費される。出力電圧Voutと一定電圧Vとの差が大きいほど可変抵抗R1で消費される電力が大きくなる。従って、スイッチトキャパシタ部12が、一定電圧Vに近い出力電圧Voutを生成するほど、レギュレータ13での消費電力が少なくなる。これにより、DC/DC変換器の消費電力を少なくし、電力変換効率を向上させることができる。
【0096】
続いて、
図13を用いて本実施形態に係る電源モジュール1を用いた場合の効果について説明する。
図13は、スイッチトキャパシタ部12が有するキャパシタの個数Nと、各動作モード時の降圧比1/rのrとの関係を示す図である。例えば、キャパシタの個数が2個であり、動作モードが直並列モードである場合、r=2、すなわち降圧比は1/2倍となる。
【0097】
例えば、スイッチトキャパシタ部12が直並列モードのみで動作する場合、キャパシタの個数を変更することで、スイッチトキャパシタ部12の降圧比は、1/2,1/3,・・・と変更することができる。しかし、スイッチトキャパシタ部12の降圧比の分解能を向上させるためにはキャパシタの個数を増やすしかない。
【0098】
また、スイッチトキャパシタ部12がデジタル選択モードのみで動作する場合、キャパシタの個数を変更することで、スイッチトキャパシタ部12の降圧比は、1/2,1/4,1/8,・・・と変更させることができる。スイッチトキャパシタ部12が直並列モードのみで動作する場合に比べ、降圧比を小さくすることができる。例えば、キャパシタの個数が3個の場合、直並列モードでの降圧比は1/3であるのに対し、デジタル選択モードでは1/4となる。
【0099】
一方、一定電圧Vとして入力電圧Vinを1/3倍に降圧した電圧を得たい場合、直並列モードの場合は、キャパシタの個数を3個としてスイッチトキャパシタ部12を動作させればよい。しかし、デジタル選択モードの場合、スイッチトキャパシタ部12では入力電圧Vinを1/3倍に降圧できないため、スイッチトキャパシタ部12で入力電圧Vinを1/2倍に降圧した出力電圧Voutを、さらにレギュレータ13で一定電圧V=1/3Vinとなるよう降圧する必要がある。そのため、降圧比によっては、レギュレータ13での電力損失が大きくなってしまう。
【0100】
そこで、本実施形態に係る電源モジュール1では、降圧比1/rに応じてスイッチトキャパシタ部12の動作モードを変更することによって、レギュレータ13の電力損失を抑えられる動作モードを選択でき、電源モジュール1の電力損失を抑制することができる。従って、DC/DC変換器、及び電源モジュール1の消費電力を削減し、電力変換効率を向上させることができる。
【0101】
図14を用いて、本実施形態に係るDC/DC変換器のシミュレーション結果を示す。ここでは、入力電圧Vinを12V、N=4、第1〜第4キャパシタC1〜C4の容量及びキャパシタCrの容量をそれぞれC1=C2=C3=C4=Cr=3μF、負荷回路Rの抵抗値Rを10Ω、第1〜第4期間等の切り替え周期(クロック周期)を2μs、第1〜第3スイッチ群、第4スイッチS4のオン抵抗Ron=0.1Ωとしてシミュレーションを行った。
【0102】
図14は、一定電圧Vの値を変更した場合のDC/DC変換器の電力変換効率ηを示す図である。
図14に示す太い破線は、直並列モードのみの場合の電力変換効率を示す。直並列モード時の降圧比は1/4倍である。一定電圧Vが大きい場合、電力変換効率は大きいが、一定電圧Vが小さくなるに従い電力変換効率が低下していく。
【0103】
細い点線は、フィボナッチモードのみの場合の電力変換効率を示す。フィボナッチモード時の降圧比は1/5倍である。直並列モード時と同様に、一定電圧Vが大きい場合、電力変換効率は大きいが、一定電圧Vが小さくなるに従い電力変換効率が低下していく。但し、フィボナッチモードのみの場合は、1/5倍以上には降圧できないため、一定電圧Vは約2.3V以上にはならない。
【0104】
太い点線は、トリボナッチモードのみの場合の電圧変換効率を示す。トリボナッチモード時の降圧比は1/7倍である。直並列モード時と同様に、一定電圧Vが大きい場合、電力変換効率は大きいが、一定電圧Vが小さくなるに従い電力変換効率が低下していく。但し、トリボナッチモードのみの場合は、1/7倍以上には降圧できないため、一定電圧Vは約1.6V以上にはならない。
【0105】
細い破線は、デジタル選択モードのみの場合の電圧変換効率を示す。デジタル選択モード時の降圧比は1/8倍である。直並列モード時と同様に、一定電圧Vが大きい場合、電力変換効率は大きいが、一定電圧Vが小さくなるに従い電力変換効率が低下していく。但し、デジタル選択モードのみの場合は、1/8倍以上には降圧できないため、一定電圧Vは約1.4V以上にはならない。
【0106】
本実施形態に係るDC/DC変換器の場合、デジタル選択モードで入力電圧Vinを降圧できる範囲(
図14では、一定電圧Vが1V<V≦約1.4Vの範囲)では、スイッチトキャパシタ部12はデジタル選択モードで動作する。デジタル選択モードでは降圧できず、トリボナッチモードで入力電圧Vinを降圧できる範囲(一定電圧Vが約1.4V<V≦約1.6Vの範囲)では、スイッチトキャパシタ部12はトリボナッチモードで動作する。トリボナッチモードでは降圧できず、フィボナッチモードで入力電圧Vinを降圧できる範囲(一定電圧Vが約1.6V<V≦約2.3Vの範囲)では、スイッチトキャパシタ部12はフィボナッチモードで動作する。フィボナッチモードでは降圧できず、直並列モードで入力電圧Vinを降圧できる範囲(一定電圧Vが約2.3V<V≦約2.9Vの範囲)では、スイッチトキャパシタ部12は直並列モードで動作する。
【0107】
この場合の電力変換効率を
図14の直線で示す。
図14で示すように、本実施形態に係るDC/DC変換器の場合、一定電圧Vが約1.1Vから約2.9Vの範囲で変化しても約70%以上の電力変換効率を実現できる。このように、本実施形態に係るDC/DC変換器は、スイッチトキャパシタ部12の動作モードを降圧比に応じて変更することで、一定電圧Vが幅広く変化しても電力変換効率を向上させることができる。
【0108】
図15は、一定電圧VをV=2.25Vに固定し、負荷回路Rの抵抗値Rを変更することで、負荷回路Rに流れる出力電流Ioutを変更した場合のシミュレーション結果を示す図である。それ以外の構成要素の値は
図14と同じである。
図15の横軸は出力電流Ioutを、縦軸は電力変換効率ηを示している。
【0109】
図15の点線は、フィボナッチモードのみの場合の電力変換効率を示す。フィボナッチモード時の降圧比は1/5倍である。フィボナッチモード時には出力電流Ioutが0.45A以下の場合は、電力変換効率は約90%以上であるが、0.45より大きくなると、一定電圧Vが2.25Vより小さくなってしまい、DC/DC変換器が動作できなくなる。
【0110】
図15の破線は、直並列モードのみの場合の電力変換効率を示す。直並列モード時の降圧比は1/4倍である。直並列モード時には、電力変換効率は約73.5%程度とフィボナッチモードより低くなるが、出力電流Ioutが0.45Aより大きくなっても一定電圧Vを2.25Vとすることができる。
【0111】
そこで、本実施形態のDC/DC変換器では、降圧比によってスイッチトキャパシタ部12の動作モードを変更するだけでなく、負荷回路Rの抵抗値Rの変化によって出力電流Ioutが変化した場合にも動作モードを変更することで、一定電圧Vを一定に保つことができる。この場合、制御部14は、例えばレギュレータ13の出力電流Iout及び出力電圧Voutを観測し、これらの値に応じて動作モードを変更するようにする。
【0112】
図2に示すスイッチトキャパシタ部12は、充放電するキャパシタの最大個数を変更できず、降圧比1/r倍のrの値がキャパシタの個数Nによって決定される。そこで、
図16に示すように、第4スイッチS4以外にも一端が入力側正極端子Vin+に接続された複数のスイッチをスイッチトキャパシタ部12に設ける。
【0113】
図16に示すスイッチトキャパシタ部12は、一端が入力側正極端子Vin+に接続され、他端が第nキャパシタCnに接続された第4nスイッチS4n(n=2,3,・・・,N−1)を備える。第4スイッチS4及び第4nスイッチS4nをあわせて第4スイッチ群と称する。第4スイッチ群は制御部14によって制御される。
【0114】
制御部14は、スイッチトキャパシタ部12の降圧動作に使用するキャパシタの個数に応じて第4スイッチ群を制御する。具体的には、N個のキャパシタを用いて入力電圧Vinの降圧を行う場合は、第4スイッチS4をオンとし、それ以外の第4スイッチ群のスイッチをオフする。また、N−n個のキャパシタを用いて入力電圧Vinを降圧を行う場合は、第4nスイッチS4nをオンとし、それ以外の第4スイッチ群のスイッチをオフする。これにより、スイッチトキャパシタ部12の充放電するキャパシタの最大個数を変更でき、スイッチトキャパシタ部12の降圧比をより柔軟に変更することができる。
【0115】
また、上述した実施形態では、スイッチトキャパシタ部12の降圧比s/rのsをs=1として説明したが、1≦s<rの値とすることができる。この場合、
図16に示すように一端が出力側正極端子Vout+に接続された複数のスイッチをスイッチトキャパシタ部12に設ける。
【0116】
図16に示すスイッチトキャパシタ部12は、一端が出力側正極端子Vout+に接続され、他端が第nキャパシタCnに接続された第5nスイッチS5n(n=1,2,・・・,N)を有する第5スイッチ群を有する。第5スイッチ群は制御部14によって制御される。
【0117】
制御部14は、スイッチトキャパシタ部12の降圧比s/rのsの値に応じて第1〜第5スイッチ群を制御する。具体的には、sの値に応じて出力側に近いp(p=1,2,・・・,N)個のキャパシタを直列接続し、p個のキャパシタの両端を出力側正極端子Vout+と出力側負極端子Vout−とに接続することで、入力電圧Vinをs/r倍した出力電圧Voutを生成する。制御部14は、p個のキャパシタの両端を出力側正極端子Vout+及び出力側負極端子Vout−に接続するために、第5(N−p+1)スイッチS5(N−p+1)をオンとし、それ以外の第5スイッチ群のスイッチをオフする。また、制御部14は、p個のキャパシタが直列接続されるよう第1〜第3スイッチ群を制御する。このスイッチの制御は、直並列モード及びフィボナッチモードの場合は第2期間に、トリボナッチモードの場合は第3期間に、デジタル選択モードの場合は第N期間に行われる。
【0118】
このように第4,第5スイッチ群を追加することで、スイッチトキャパシタ部12の降圧比s/rをより柔軟に変更することができる。そのため、出力電圧Voutを一定電圧Vにより近い値に降圧することができるようになり、レギュレータ13での消費電力をより削減することができる。これにより、DC/DC変換器の電力変換効率をより向上させることができる。
【0119】
なお、上述した実施形態では、SC変換器を用いて入力電圧Vinをs/r(s<r)に降圧して出力電圧Voutを生成する場合について説明したが、同様の回路構成のSC変換器を用いて、各スイッチの制御を変更することによって、入力電圧Vinをs/r(s>r)に昇圧して出力電圧Voutを生成することもできる。
【0120】
最後に、上述した各実施形態の説明は本開示の一例であり、本開示は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。