特許第5804580号(P5804580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804580
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】無線綴じ製本装置の糊付けユニット
(51)【国際特許分類】
   B42C 9/00 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
   B42C9/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-530986(P2013-530986)
(86)(22)【出願日】2011年9月2日
(86)【国際出願番号】JP2011070001
(87)【国際公開番号】WO2013031014
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 洋人
(72)【発明者】
【氏名】大内山 耕
(72)【発明者】
【氏名】横木 健人
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 昭
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−285906(JP,A)
【文献】 特開平9−24682(JP,A)
【文献】 特開2002−192041(JP,A)
【文献】 実開昭56−144660(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線綴じ製本装置に組み込まれるとともに、前記無線綴じ製本装置のクランプユニットの軌道の途中において前記軌道の下方に配置され、前記クランプユニットが通過する間に、前記クランプユニットに挟持された本身の前記クランプユニットから下方に突出する背および背両側ののど領域に糊を塗布する糊付けユニットであって、
フレームと、
前記フレームに取付けられた、糊を収容する糊タンクと、
前記糊タンク内に収容され、かつ、前記フレームに対し、前記クランプユニットの軌道を横切ってのびる軸のまわりに回転可能に取付けられた、前記本身の背に糊を塗布する糊塗布ローラと、
前記フレームに取付けられ、前記糊塗布ローラを回転させるモータと、を備え、
前記糊塗布ローラの一部が前記糊タンクの糊に浸漬されるとともに、糊が付着した前記糊塗布ローラの頂面領域が前記本身の背に係合するようになっており、さらに、
前記フレームに取付けられて、前記本身の前記クランプユニットから下方に突出する部分の経路の両側に配置され、前記本身の背両側ののど領域に係合し得る横糊塗部材を備え、
前記横糊塗布部材が、一対のスクレーパを備え、
前記一対のスクレーパは、それぞれ、
弾力性を有する棒状または細長い板状の本体と、
前記本体の先端に設けられたスクレープ部と、からなり、
前記一対のスクレーパが、前記本身の前記クランプユニットから下方に突出する部分の経路の両外側から前記本身の移動方向に沿って前記経路内に斜めに進入して、前記経路を塞ぐように逆V字状に交差して配置され、前記本体の後端が前記経路の両外側において前記フレームまたは前記糊タンクに固定され、前記スクレープ部が前記経路内において前記糊塗布ローラの頂面よりも下流側に位置し、それによって、前記本身の前記下方に突出する部分が前記一対のスクレーパ間を通過する間に、前記スクレープ部が前記本体によって弾性付勢されつつ前記本身の背両側ののど領域に係合するものであることを特徴とする糊付けユニット。
【請求項2】
前記スクレーパの前記本体は棒状を有し、前記スクレープ部は、下向きに折り曲げられた前記本体の先端部からなっていることを特徴とする請求項1に記載の糊付けユニット。
【請求項3】
前記スクレーパの前記スクレープ部は、上下方向にのびる中空のまたは中身の詰まった円筒体からなり、前記円筒体の外周面の一部が前記本身の背両側ののど領域に係合することを特徴とする請求項1に記載の糊付けユニット。
【請求項4】
前記スクレーパの前記本体は細長い板状を有し、前記本体の先端部が、前記本体の幅方向に沿って折り曲げられることによって、折り線に沿って角が形成されており、前記スクレープ部は前記角からなり、前記一対のスクレーパは、前記スクレープ部が互いに対向するような配置で、前記フレームに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の糊付けユニット。
【請求項5】
前記スクレーパの前記スクレープ部は、
前記本体の先端に設けられたローラ受け部を備え、前記ローラ受け部は、上下に間隔をあけて対向配置された上側および下側支持面と、前記上側および下側支持面の間に形成されたローラ収容開口とを有し、
前記スクレープ部は、さらに、
前記ローラ収容開口内に配置され、前記上側および下側支持面に対し、上下方向にのびる軸のまわりに回転可能に取付けられたスクレープローラを備え、前記スクレープローラの外周面が、前記本身の背両側ののど領域に係合することを特徴とする請求項1に記載の糊付けユニット。
【請求項6】
前記スクレーパの前記本体の後端は、前記フレームまたは前記糊タンクに設けられた高さ調節可能な支持台に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の糊付けユニット。
【請求項7】
前記フレームに取付けられるとともに、前記糊塗布ローラの回転方向の前記糊塗布ローラの前記頂面よりも上流側において前記糊塗布ローラの外周面に対し当接および離間可能に配置された、前記糊塗布ローラに付着する糊の量を調節するワイパーと、
前記フレームに取付けられ、前記ワイパーを動かすワイパー駆動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の糊付けユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線綴じ製本装置の糊付けユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線綴じ製本装置として、例えば、一連の処理ユニットと、これらの処理ユニット上を順次通過する少なくとも1つのクランプユニットとを備え、本身が、背を下向きにしてクランプユニットに挟持され、クランプユニットによって搬送される間に無線綴じ製本処理が行われる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、この無線綴じ製本装置の概略的な構成を示す平面図である。図6を参照して、無線綴じ製本装置は、搬送路Fに沿って配置された一連の処理ユニット(ミリングユニットB、糊付けユニットCおよび表紙付けユニットD)と、搬送路Fに沿って往復運動し得る単一のクランプユニット31と、クランプユニット31を往復運動させる駆動機構(図示されない)と、を備えている。クランプユニット31は、固定クランプ板31aおよび可動クランプ板31bと、可動クランプ板31bを固定クランプ板31aに対し近接および離間する方向に動かすモータM1と、を備えている。
【0004】
製本処理が開始されると、本身挿入位置Aにおいて、本身(図示されない)が、背を下にして揃え板31c上に置かれるとともに、クランプユニット31の一対のクランプ板31a、31bの間に挿入され、本身ののど領域がクランプユニット1から下向きに突出した状態で挟持された後、クランプユニット31によって搬送路Fに沿ってミリングユニットBに送られる。
【0005】
ミリングユニットBは、フライスカッター32aと、固定ガイド板32bおよび可動ガイド板32cと、可動ガイド板32cを固定ガイド板32bに対し近接および離間する方向に動かすモータM2と、を備えている。そして、本身がクランプユニット31とともにフライスカッター32a上を通過する間に、本身の背両側ののど領域が一対のガイド板32b、32c間に案内されつつ、本身の背が切削される。その後、本身は、クランプユニット31とともに糊付けユニットCに送られる。
【0006】
糊付けユニットCは、糊を収容する糊タンク33aと、糊塗布ローラ33bと、固定横糊塗布ローラ33cおよび可動横糊塗布ローラ33dと、可動横糊塗布ローラ33dを固定横糊塗布ローラ33cに対し近接および離間する方向に動かすモータM3と、余分な糊を拭き取るローラ33eと、を備えている。糊付けが終了すると、本身は、クランプユニット31とともに表紙付けユニットDに送られる。
【0007】
表紙付けユニットDは、底板34cと、固定ニップ板34aおよび可動ニップ板34bと、可動ニップ板34bを固定ニップ板34aに対し近接および離間する方向に動かすモータM4と、を備えている。
【0008】
表紙供給ユニットEは、表紙Qが置かれたトレイと、表紙Qをトレイから表紙付けユニットDの底板34cおよび一対のニップ板34a、34b上に搬送する表紙搬送機構と、を備えている。
表紙搬送機構は、表紙Qの所定位置に折目を付ける一対の折目形成ローラ35a、35bを有している。一対の折目形成ローラ35a、35bは、固定折目形成ローラ35aと、可動折目形成ローラ35bとから構成される。可動折目形成ローラ35bは、モータM5の駆動によって、固定折目形成ローラ35aに対し近接および離間する方向に動かされる。
【0009】
無線綴じ製本装置は、さらに、本身の厚さを測定する測定ユニット36を備えており、製本処理に先立って、本身の厚さが、操作者により、測定ユニット36を用いて測定される。そして、当該測定値に基づき、本身の挟持前の一対のクランプ板31a、31bの間隔、ミリングユニットBの一対のガイド板32b、32cの間隔、糊付けユニットCの一対の横糊ローラ33c、33dの間隔、表紙付けユニットDの一対のニップ板34a、34bの間隔および表紙供給ユニットEの一対の折目形成ローラ35a、35bの間隔が、制御部37によって、本身の厚さに対応するように予め調節される。
こうして、本身がクランプユニット31の一対のクランプ板31a、31bに挟持されて一連の処理ユニットB〜Dを順次通過せしめられる間に無線綴じ製本処理がなされる。
【0010】
この無線綴じ製本装置の糊付けユニットCにおいては、製本に先立って、一対の横糊塗布ローラ33c、33dの間隔が、製本すべき本身の厚さに対応するように調節された後、固定されるので、本身が一対のクランプ板31a、31bに締付け、挟持されるにもかかわらず、本身の背がその長さ方向に波打っているような場合には、本身が糊付けユニットC上を通過する間に、横糊塗布ローラ33c、33dが、本身の背の全長にわたって背両側ののど領域に一様な圧力を及ぼしながら係合することができず、その結果、糊の塗布ムラが生じて、製本の仕上がりが悪くなるという問題があった。
【0011】
また、この糊付けユニットCにおいては、一対の横糊塗布ローラ33c、33d間の間隔の調節が、モータM3によって、可動横糊塗布ローラ33dを固定横糊塗布ローラ33cに対して動かすことによって行われるため、間隔調節機構が複雑であり、それが、糊付けユニットCの製造コストを押し上げ、また大型化を招く要因の1つとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−285906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、糊付けユニットの構造をより簡素化することで低コスト化を図りつつ、本身の背両側ののど領域への糊の塗布が確実に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決すべく、本発明によれば、無線綴じ製本装置に組み込まれるとともに、前記無線綴じ製本装置のクランプユニットの軌道の途中において前記軌道の下方に配置され、前記クランプユニットが通過する間に、前記クランプユニットに挟持された本身の前記クランプユニットから下方に突出する背および背両側ののど領域に糊を塗布する糊付けユニットであって、フレームと、前記フレームに取付けられた、糊を収容する糊タンクと、前記糊タンク内に収容され、かつ、前記フレームに対し、前記クランプユニットの軌道を横切ってのびる軸のまわりに回転可能に取付けられた、前記本身の背に糊を塗布する糊塗布ローラと、前記フレームに取付けられ、前記糊塗布ローラを回転させるモータと、を備え、前記糊塗布ローラの一部が前記糊タンクの糊に浸漬されるとともに、糊が付着した前記糊塗布ローラの頂面領域が前記本身の背に係合するようになっており、さらに、前記フレームに取付けられて、前記本身の前記クランプユニットから下方に突出する部分の経路の両側に配置され、前記本身の背両側ののど領域に係合し得る横糊塗部材を備え、前記横糊塗布部材が、一対のスクレーパを備え、前記一対のスクレーパは、それぞれ、弾力性を有する棒状または細長い板状の本体と、前記本体の先端に設けられたスクレープ部と、からなり、前記一対のスクレーパが、前記本身の前記クランプユニットから下方に突出する部分の経路の両外側から前記本身の移動方向に沿って前記経路内に斜めに進入して、前記経路を塞ぐように逆V字状に交差して配置され、前記本体の後端が前記経路の両外側において前記フレームまたは前記糊タンクに固定され、前記スクレープ部が前記経路内において前記糊塗布ローラの頂面よりも下流側に位置し、それによって、前記本身の前記下方に突出する部分が前記一対のスクレーパ間を通過する間に、前記スクレープ部が前記本体によって弾性付勢されつつ前記本身の背両側ののど領域に係合するものであることを特徴とする糊付けユニットが提供される。
【0015】
本発明の好ましい実施例によれば、前記スクレーパの前記本体は棒状を有し、前記スクレープ部は、下向きに折り曲げられた前記本体の先端部からなっている。
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記スクレーパの前記スクレープ部は、上下方向にのびる中空のまたは中身の詰まった円筒体からなり、前記円筒体の外周面の一部が前記本身の背両側ののど領域に係合する。
【0016】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記スクレーパの前記本体は細長い板状を有し、前記本体の先端部が、前記本体の幅方向に沿って折り曲げられることによって、折り線に沿って角が形成されており、前記スクレープ部は前記角からなり、前記一対のスクレーパは、前記スクレープ部が互いに対向するような配置で、前記フレームに取付けられている。
【0017】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記スクレーパの前記スクレープ部は、前記本体の先端に設けられたローラ受け部を備え、前記ローラ受け部は、上下に間隔をあけて対向配置された上側および下側支持面と、前記上側および下側支持面の間に形成されたローラ収容開口とを有し、前記スクレープ部は、さらに、前記ローラ収容開口内に配置され、前記上側および下側支持面に対し、上下方向にのびる軸のまわりに回転可能に取付けられたスクレープローラを備え、前記スクレープローラの外周面が、前記本身の背両側ののど領域に係合する。
【0018】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記スクレーパの前記本体の後端は、前記フレームまたは前記糊タンクに設けられた高さ調節可能な支持台に固定されている。
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記糊付けユニットは、前記フレームに取付けられるとともに、前記糊塗布ローラの回転方向の前記糊塗布ローラの前記頂面よりも上流側において前記糊塗布ローラの外周面に対し当接および離間可能に配置された、前記糊塗布ローラに付着する糊の量を調節するワイパーと、前記フレームに取付けられ、前記ワイパーを動かすワイパー駆動機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一対のスクレーパ間が常時は逆V字状に閉じて、本身のクランプユニットから下方に突出する部分の経路を塞いだ状態にあり、クランプユニットが糊付けユニット上を通過する間に、本身のクランプユニットから下方に突出する部分が、スクレーパの本体の弾性付勢力に抗して一対のスクレーパ間の間隙を広げながら、一対のスクレーパ間を通過する。
それによって、本身の厚さが異なる場合であっても、スクレーパのスクレープ部が本身の背両側ののど領域に確実に係合し、背の長さ方向に沿って横糊の塗布が均一に行われる。また、スクレーパのスクレープ部の位置が固定されず、本身の背両側ののど領域の変位に容易に追従し得るので、本身が背の長さ方向に波打っている場合であっても、クランプユニットの通過の間に、スクレープ部が、本身の背両側ののど領域に確実に係合し、横糊の塗布が均一に行われる。
【0020】
また、本身の厚さに応じて一対のスクレーパ間の間隔を調節しなくてもよいので、一対のスクレーパの間隔調節機構を備える必要がなく、糊付けユニットの構造が簡素化され、それによって糊付けユニットの製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の1実施例による無線綴じ製本装置の糊付けユニットの概略構成を示す斜視図である。
図2】本身通過時の図1の糊付けユニットを示す概略的な側面図である。
図3】本身通過時の図1の糊付けユニットを示す平面図である。
図4】スクレーパの変形例を示す斜視図である。
図5】背が波打った本身が図1の糊付けユニット上を通過する状態を示す平面図である。
図6】従来の無線綴じ製本装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明の1実施例による無線綴じ製本装置の糊付けユニットの主要部を示す斜視図である。図2は、本身通過時の図1の糊付けユニットの側面図であり、図3は、本身通過時の図1の糊付けユニットの主要部を示す平面図である。
【0023】
本発明による糊付けユニットは、無線綴じ製本装置に組み込まれるとともに、無線綴じ製本装置のクランプユニットKの軌道の途中において軌道の下方に配置され、クランプユニットKが通過する間に、クランプユニットKに挟持された本身PのクランプユニットKから下方に突出する背rおよび背両側ののど領域sに糊を塗布する。
【0024】
糊付けユニットは、図1および図2に示されるように、フレーム1と、フレーム1に取付けられた、糊を収容する糊タンク2を備えている。糊は、ホットメルト等の加熱によって溶融される糊からなっており、糊タンク2は、糊付けユニットの作動中、(図示されない)ヒータによって加熱されるようになっている。
【0025】
糊付けユニットは、また、糊タンク2内に収容され、フレーム1に対し、クランプユニットKの軌道を横切ってのびる回転軸3aのまわりに回転可能に取付けられた、本身Pの背rに糊を塗布する糊塗布ローラ3と、フレーム1に取付けられるとともに、糊塗布ローラの回転軸3aに連結され、糊塗布ローラ3を回転させるモータ4を備えている。
【0026】
糊塗布ローラ3は、その一部が糊タンク2の糊に浸漬されるとともに、糊が付着した糊塗布ローラ3の頂面3bの領域が本身Pの背rに係合するようになっている。糊塗布ローラ3は、モータ4によって、クランプユニットKの移動方向に対し順方向または逆方向に一定速度で回転せしめられる。なお、図示の実施例では、糊塗布ローラ3は、クランプユニットKの移動方向に対し逆方向に回転せしめられる。
【0027】
糊付けユニットは、また、フレーム1に対し、クランプユニットKの軌道を横切ってのびる軸5aのまわりに回動可能に取付けられ、糊塗布ローラ3の回転方向の糊塗布ローラ3の頂面よりも上流側において糊塗布ローラ3の外周面に対し当接および離間し得るワイパー5と、ワイパー5を回動させるワイパー駆動機構6を備えている。そして、ワイパー5と糊塗布ローラ3の外周面との間の間隔が調節されることで、糊塗布ローラに付着する糊の量が調節される。なお、ワイパー5およびワイパー駆動機構6は、必要に応じて備えられる。
【0028】
さらに、糊付けユニットは、フレーム1に取付けられて、本身PのクランプユニットKから下方に突出する部分の経路の両側に配置され、本身Pの背両側ののど領域sに係合することにより、糊塗布ローラ3によって本身Pの背rに塗布され、背rの両側にはみ出した糊を、のど領域sに塗布する横糊塗布部材を備えている。
本発明によれば、横糊塗布部材は、一対のスクレーパ7、7を備えている。スクレーパ7は、この実施例では、弾力性を有する棒状の本体7aと、本体7aの先端に設けられたスクレープ部7bとから構成され、スクレープ部7bは、下向きに直角に折り曲げられた後、前方斜め下向きに折り曲げられた本体7aの先端部からなっている。なお、この実施例では、スクレープ部7bは、本体7aの先端部を下向きに2回折り曲げたものからなっているが、スクレープ部7bは、本体7aの先端部を下向きに任意の角度で任意の回数折り曲げたものからなっていてよい。
【0029】
一対のスクレーパ7、7は、図1に示されるように、本身PのクランプユニットKから下方に突出する部分の経路の両外側から本身Pの移動方向に沿って該経路内に斜めに進入して、該経路を塞ぐように逆V字状に交差するように配置され、本体7aの後端が該経路の両外側においてフレーム1または糊タンク2に固定され、スクレープ部7bが該経路内において糊塗布ローラ3の頂面3bよりも下流側に位置する。
この実施例では、本身PのクランプKから下方に突出する部分の経路の下方において本身Pの移動方向を横切って延びる支持板8がフレーム1に固定され、この支持板の該経路の両外側の位置にそれぞれ支持台9が設けられており、各支持台9に、対応するスクレーパ7の本体7aの後端が固定される。この場合、各支持台9は、高さ調節可能になっていてもよい。
【0030】
本発明によれば、一対のスクレーパ7、7間が常時は逆V字状に閉じて、本身PのクランプユニットKから下方に突出する部分の経路を塞いだ状態にあり、クランプユニットKが糊付けユニット上を通過する間に、本身PのクランプユニットKから下方に突出する部分が、スクレーパ7、7の本体7a、7aの弾性付勢力に抗して一対のスクレーパ7、7間の間隙を広げながら、一対のスクレーパ7、7間を通過する。
【0031】
それによって、図3に示されるように、本身Pの厚さが異なる場合でも、スクレーパ7のスクレープ部7bが確実に本身Pの背両側ののど領域sに係合する。その結果、糊塗布ローラ3によって本身Pの背rに塗布され、背rの両側にはみ出した糊が、スクレーパ7によって掻き取られながら、本身Pの背両側ののど領域sに均一に塗布される。また、スクレーパ7、7のスクレープ部7b、7bの位置が固定されず、本身Pの背両側ののど領域sの変位に容易に追従し得るので、本身Pが背の長さ方向に波打っている場合であっても、図5に示されるように、クランプユニットKの通過の間に、スクレープ部7b、7bが、本身Pの背両側ののど領域sに確実に係合し、横糊の塗布が均一に行われる。
【0032】
また、本発明によれば、本身Pの厚さに応じて一対のスクレーパ7、7間の間隔を調節しなくてもよいので、一対のスクレーパ7、7の間隔調節機構を備える必要がなく、それによって、糊付けユニットの構造が従来のものよりも簡素化され、糊付けユニットの低コスト化が実現される。
【0033】
以上、本発明を好ましい1実施例に基づいて説明したが、本発明の構成はこの実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲に記載された構成の範囲内において種々の変形例を案出することができる。
【0034】
例えば、本発明の別の好ましい実施例によれば、図4Aに示されるように、スクレーパ20の本体20aは、弾力性を有する棒状を有し、スクレープ部20bは、本体20aの先端に設けられた、上下方向にのびる中空のまたは中身の詰まった円筒体からなっている。そして、スクレープ部(円筒体)20bの外周面の一部が本身Pの背両側ののど領域sに係合する。
【0035】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、図4Bに示されるように、スクレーパ21は、弾力性を有する細長い板状の本体21aを有し、本体21aの先端部が、本体21aの幅方向に沿って折り曲げられることによって、折り線に沿って角21bが形成される。そして、スクレープ部はこの角21bからなり、一対のスクレーパ21、21は、スクレープ部(角)21b、21bが互いに対向するような配置で、フレーム1に取付けられる。
【0036】
また、別の好ましい実施例によれば、図4Cに示されるように、スクレーパ22の本体23は、弾力性を有する細長い板状を有し、スクレープ部24は、本体23の先端に設けられたローラ受け部24aを備えている。ローラ受け部24aは、上下に間隔をあけて対向配置された上側および下側支持面と、上側および下側支持面の間に形成されたローラ収容開口24bとを有している。スクレープ24部は、さらに、ローラ収容開口内24bに配置され、上側および下側支持面に対し、上下方向にのびる軸のまわりに回転可能に取付けられたスクレープローラ24cを備えている。そして、スクレープローラ24cの外周面が、本身Pの背両側ののど領域sに係合する。
【符号の説明】
【0037】
1 フレーム
2 糊タンク
3 糊塗布ローラ3
3a 回転軸
3b 頂面
4 モータ
5 ワイパー
5a 軸
6 ワイパー駆動機構
7 スクレーパ
7a 本体
7b スクレープ部
8 支持板
9 支持台
20 スクレーパ
20a 本体
20b スクレープ部(円筒体)
21 スクレーパ
21a 本体
21b スクレープ部(角)
22 スクレーパ
23 本体
24 スクレープ部
24a ローラ受け部
24b ローラ収容空間
24c スクレープローラ
K クランプユニット
P 本身
r 背
s 背両側ののど領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6