(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804877
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】中綴じ冊子による簡易上製本の製造方法
(51)【国際特許分類】
B42C 11/06 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
B42C11/06
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-214570(P2011-214570)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-71440(P2013-71440A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103791
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 勝弘
(74)【代理人】
【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
(72)【発明者】
【氏名】大内山 耕
(72)【発明者】
【氏名】福島 和行
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−030652(JP,A)
【文献】
特開2005−280014(JP,A)
【文献】
実公昭63−025176(JP,Y2)
【文献】
特開平08−282149(JP,A)
【文献】
実開平06−034965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00− 9/06
B42C 1/00−99/00
B42D 1/00− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部を冊子の背面とする用紙束に、片面全面に粘着剤を塗着し、中央部にホットメルト糊付き寒冷紗を貼り付けた見返し用紙を中央部を合わせて積み重ね、その中央部の中心部を針金または糸で綴じて二つ折りし、二つ折りした用紙束に表表紙、背表紙、裏表紙が厚紙からなる厚紙表紙でくるみ、厚紙表紙の外部のみぞの部分に熱を掛けた筋鏝で前記寒冷紗と前記厚紙表紙とを寒冷紗のホットメルト糊で接着し、前記表表紙の裏面と前記裏表紙の裏面に前記見返し用紙を前記粘着剤でベタ貼りしてなることを特徴とする中綴じ冊子による簡易上製本の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中綴じ冊子を厚紙表紙でくるんだ簡易上製本
の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4(a)(b)は、簡易の上製本の一例を示すもので、冊子を構成する用紙(本身)1と見返し用紙2とを糸あるいは針金3で中綴じし、これに表表紙5a、背表紙5b、裏表紙5cが厚紙からなる厚紙表紙5を合わせ、見返し用紙2を厚紙表紙の表表紙5aおよび裏表紙5c裏面にベタ貼りして簡易の上製本を仕上げる
簡易上製本の製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−282149号公報
【特許文献2】特開2009−214430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法による上製本では、特に本身がフォトアルバムに用いられるような厚いコート紙である場合、厚紙表紙5を合わせ、厚紙表紙5ののど際のみぞ部分5dに接着剤を引き、外部のみぞの部分に熱を掛けた筋鏝(銀杏)で表紙5と見返し用紙2とを貼り付けた状態で冊子を開くと、
図4(a)(b)で示すように本身1が引っ張られ、見返し用紙2を綴じた部分(図示では針金3の部分)6が破れてしまうといった問題があった。
【0005】
発明が解決しようとする課題は、中綴じ冊子を厚紙表紙でくるんだ簡易上製本において、厚紙表紙ののど際のみぞ部分に接着剤を塗着する手間を省くとともに、見返し用紙の綴じた部分を補強するようにし、掛かる問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、中央部を冊子の背面とする用紙束に、片面全面に粘着剤を塗着し、中央部にホットメルト糊付き寒冷紗を貼り付けた見返し用紙を、中央部を合わせて積み重ね、その中央部の中心部を針金または糸で綴じて二つ折りし、二つ折りした用紙束に表表紙、背表紙、裏表紙が厚紙からなる厚紙表紙でくるみ、厚紙表紙の外部のみぞの部分に熱を掛けた筋鏝で前記寒冷紗と前記厚紙表紙とを寒冷紗のホットメルト糊で貼り付けて、前記表表紙の裏面と前記裏表紙の裏面に前記見返し用紙を前記粘着剤でベタ貼りする構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、針金または糸による安価な中綴じであっても中綴じ部に寒冷紗があるので、針金または糸による中綴じ部の強度が増し、冊子を構成する用紙が厚いコート紙である場合でも冊子を開いた際に見返し用紙が破れることがなくなる。また、銀杏溝の形成に際し、ホットメルト糊付き寒冷紗が接着剤として利用でき、厚紙表紙ののど際のみぞ部分に接着剤を塗着する手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係る中綴じ冊子の構成を示す(a)は斜視図、(b)は要部拡大側面図、(c)は出来上がり状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1(c)に示す冊子を厚紙表紙でくるんだ状態を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【
図3】
図2(a)に示す厚紙表紙を開いた状態を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【
図4】簡易上製本を施した従来の中綴じ冊子の問題点を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例について、
図1ないし
図3を参照して説明する。なお、
図4に示す従来の簡易上製本を施した中綴じ冊子と同一または対応する部分には同一の符号を付している。
図1において、1は中央部を冊子の背面とする用紙を一冊分積み重ねた用紙束(本身)、2は片側一面全面に粘着剤を塗着し、その粘着剤層2aの上面に剥離紙2bを貼り合せた見返し用紙、3は綴じ針金である。7は布7aの片側一面全面にホットメルト糊を塗着し、そのホットメルト糊層7bの上面に剥離紙7cを貼り合せた所定幅(冊子の背面部を充分に包む幅)の帯状(冊子の天地間の長さ)の寒冷紗である。
【0010】
所定幅の帯状の寒冷紗7の布7aは、
図1(b)に示すように見返し用紙2の中央部分(冊子の背面にあたる部分)に、見返し用紙2に塗着した粘着剤層2aによって貼り付けられている。そして、一冊分積み重ねた用紙束1に寒冷紗7を貼り付けた見返し用紙2を重ねた状態で、寒冷紗3の天地に伸びる中心線に沿って2本の針金4を突き通して綴じ、
図1(c)に示すようにその中心部で寒冷紗3を外側に二つ折りして、背面に寒冷紗3を貼り付けた中綴じ折りした冊子5を作成する。
【0011】
このようにして作成した中綴じ折り冊子を、
図2に示すように予め背表紙5b部分の裏面、表表紙5a部分の裏面および裏表紙5c部分の裏面にボール紙を貼り付けて形成した厚紙表紙5でくるみ、厚紙表紙5の外部のみぞの部分5dに熱を掛けた筋鏝を押し当てて銀杏溝を形成する。この熱を掛けた筋鏝を押し当てで寒冷紗7のホットメルト糊が筋鏝の筋に沿って溶融し、寒冷紗7と厚紙表紙5が接着する。
【0012】
寒冷紗7と厚紙表紙5の接着後、
図3に示すように厚紙表紙を開き、厚紙表紙の表表紙5aの裏面および厚紙表紙の裏表紙5cの裏面に見返し用紙2を、見返し用紙2に途着した粘着剤でベタ貼りする。これにより銀杏溝を形成した見栄えが良く、丈夫な簡易上製本が完成する。
なお、以上の例は、針金で中綴じしているが、針金に代え糸で中綴じするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0013】
1 冊子本体を構成する用紙束
2 見返し用紙
2a 粘着剤層
3 綴じ針金
5 厚紙表紙
5d 銀杏溝
7 寒冷紗
7a 布
7b ホットメルト糊層