(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2領域は、前記一方向における前記第1出力電極部の前記一端部からの距離に応じて前記一方向に垂直な他方向の幅が減少して各前記線状導電部にそれぞれ接続している請求項1に記載の光電変換装置。
各前記分割電極部は、前記基板の上面の法線方向における厚さが前記他方向における前記分割電極部の端縁部からの距離に応じて増大している他方向傾斜部を含んでいる請求項3に記載の光電変換装置。
各前記凸部は、前記基板の上面の法線方向における厚さが前記一方向における前記第1出力電極部の前記一端部からの距離に応じて増大している一方向傾斜部を含んでいる請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の光電変換装置。
前記塗布工程において、前記一方向における前記一縁部からの距離に応じて前記他方向の幅が徐々に減少するように前記塗布液を塗布することで、前記第2領域のうちの各前記線状導電部にそれぞれ接続している複数の接続部のパターンを形成する請求項8または請求項9に記載の光電変換装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態および各種変形例を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。なお、
図1から
図5、
図7から
図27には、光電変換セル10の配列方向(
図1の図面視右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
【0016】
<(1)一実施形態>
<(1−1)光電変換装置の概略構成>
図1および
図2で示されるように、光電変換装置1は、基板101と、複数の光電変換セル10と、第1および第2出力電極部12a,12bと、複数の線状導電部105と、第1および第2導体13a,13bとを備えている。
【0017】
基板101は、複数の光電変換セル10を支持するものである。基板1に含まれる主な材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が採用され得る。本実施形態では、基板101が青板ガラス(ソーダライムガラス)である例が示されている。また、基板101の厚さは、1mm以上で且つ3mm以下程度であれば良い。さらに、例えば、基板101の形状は平板状であれば良く、基板101の+Z側の一主面(上面とも言う)は略平坦であれば良い。なお、例えば、金属製の基板上に絶縁性の被膜が被覆されたものが、基板101として採用されても良い。
【0018】
第1出力電極部12aは、基板101上のうちの一方向としてのX軸方向における一端部としての−X側の端部の近傍に配されている。そして、該第1出力電極部12aは、一方向に垂直な他方向としてのY軸方向に延在している。なお、本実施形態では、基板101上に、複数の光電変換セル10のうちの最も−X側の光電変換セル10から延出している下部電極層102が配され、該下部電極層102上に第1出力電極部12aが配されている。
【0019】
第2出力電極部12bは、基板101上のうちのX軸方向における他端部としての+X側の端部の近傍に配されている。つまり、第2出力電極部12bは、基板101上において、第1出力電極部12aから一方向に離れて配されている。そして、該第2出力電極部12bは、Y軸方向に延在している。なお、本実施形態では、基板101上に、複数の光電変換セル10のうちの最も+X側の光電変換セル10から延出している下部電極層102が配され、該下部電極層102上に第2出力電極部12bが配されている。
【0020】
複数の光電変換セル10は、基板101上において、第1出力電極部12aと第2出力電極部12bとの間に、X軸方向に沿って平面的に配列されている。そして、複数の光電変換セル10が複数の線状導電部105によって電気的に直列に接続されている。
図1には、8つの光電変換セル10がX軸方向に配列されている構成が例示されている。
【0021】
複数の線状導電部105は、第1出力電極部12aから複数の光電変換セル10の一主面を介して第2出力電極部12bにかけてX軸方向に延在している。また、複数の線状導電部105は、Y軸方向に離間している。そして、X軸に沿って一直線上に配されている線状導電部105は、各光電変換セル10の端部を規定する溝部P3によって分断されている。このため、ここでは、各線状導電部105は、第1出力電極部12aから延出され、複数の光電変換セル10の一主面上においてX軸方向に延在している。そして、各線状導電部105は、複数の光電変換セル10のうちの最も+X側の光電変換セル10の一主面上から第2出力電極部12bにかけて延在している。
【0022】
ここで、第1および第2出力電極部12a,12bならびに複数の線状導電部105は、例えば、塗布液としての金属ペーストがスクリーン印刷等によって塗布された後に乾燥されて該金属ペーストが固化されることで形成され得る。金属ペーストは、例えば、透光性を有する樹脂等のバインダーに光反射率が高く且つ導電性を有する粒子が添加されることで作製され得る。ここで、透光性を有する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂等が採用され得る。また、金属ペーストに含まれる粒子としては、例えば、Cu、Al、NiならびにZnとAgとの合金等の金属粒子が採用され得る。この場合、線状導電部105には、導電性を有する多数の粒子が含まれており、該多数の粒子が相互に接触し合うことで、線状導電部105における導電性が確保され得る。
【0023】
第1導体13aは、第1出力電極部12a上に配されている出力用のタブとしての導体である。第1導体13aは、基板101に設けられている貫通孔14aを介して、基板101の裏面に配されている電源ボックス内の端子等に電気的に接続されている。
【0024】
第2導体13bは、第2出力電極部12b上に配されている出力用のタブとしての導体である。第2導体13bは、基板101に設けられている貫通孔14bを介して、基板101の裏面に配されている電源ボックス内の端子等に電気的に接続されている。
【0025】
なお、第1および第2導体13a,13bは、例えば、1mm以上で且つ10mm以下の幅と、0.08μm以上で且つ1μm以下の厚さとを有するリボン状の形態を有していれば良い。第1および第2導体13a,13bの材料としては、例えば、Cu、Al、およびNiとCrとの合金であるニクロム等の導電性に優れた材料が採用され得る。
【0026】
また、複数の光電変換セル10のうちの隣り合う一方の光電変換セル10と他方の光電変換セル10との間に、該一方の光電変換セル10と該他方の光電変換セル10とを分離する領域としての溝部P3が配されている。換言すれば、該一方の光電変換セル10と該他方の光電変換セル10とが、溝部P3を介して離間している。具体的には、溝部P3は、隣り合う一方の光電変換セル10と他方の光電変換セル10との間においてY軸方向に延在している。そして、溝部P3は、光電変換セル10の+Z側の一主面(上面とも言う)から下部電極層102の+Z側の一主面(上面とも言う)に至るまで配されている。溝部P3の幅は、例えば、40μm以上で且つ1000μm以下程度であれば良い。なお、各溝部P3には、光電変換装置1がモジュール化される際に、例えば、樹脂等の絶縁材料が入り込む。
【0027】
上記構成により、複数の光電変換セル10における光電変換によって生じる電圧が電源ボックスを介して出力され得る。
【0028】
<(1−2)光電変換セルの構成>
各光電変換セル10は、下部電極層102、光電変換層103、および上部電極層104を備えている。また、各光電変換セル10には、溝部P1,P2が配されている。そして、本実施形態に係る光電変換装置1では、上部電極層104が配されている側の主面が受光面となっている。
【0029】
下部電極層102は、基板1の上面上に配されている導電層である。下部電極層102に含まれる主な材料としては、例えば、モリブデン、アルミニウム、チタン、タンタルおよび金等の導電性を有する各種金属等が採用され得る。また、下部電極層102の厚さは、例えば、0.2μm以上で且つ1μm以下程度であれば良い。下部電極層102は、例えば、スパッタリング法または蒸着法等によって形成され得る。
【0030】
また、下部電極層102には、溝部P1が配されている。溝部P1は、Y軸方向に直線状に延在している。下部電極層102に溝部P1が配されていることで、下部電極層102が、X軸方向に分離されている。溝部P1の幅は、例えば、50μm以上で且つ400μm以下程度であれば良い。
【0031】
光電変換層103は、下部電極層102の上面上に配されている。該光電変換層103は、光吸収層131とバッファ層132とを備えている。光吸収層131およびバッファ層132は、この順に下部電極層102上に積層されている。
【0032】
光吸収層131は、下部電極層102の上面上に配されている。ここで、下部電極層102に配されている各溝部P1には、直上に配されている光吸収層131の延在部分が埋入している。これにより、溝部P1を介して隣り合う一方の下部電極層102と他方の下部電極層102とが電気的に分離されている。
【0033】
また、光吸収層131は、第1導電型を有する半導体を主に含んでおり、光を吸収して電荷を生じる。ここで、第1導電型を有する半導体としては、例えば、カルコパイライト系の化合物半導体であるI−III−VI族化合物半導体等が採用され得る。なお、第1導電型は、例えば、p型の導電型であれば良い。
【0034】
I−III−VI族化合物半導体とは、I−III−VI族化合物を主に含む半導体である。なお、I−III−VI族化合物を主に含む半導体とは、半導体がI−III−VI族化合物を70mol%以上含むことを言う。以下の記載においても、「主に含む」は「70mol%以上含む」ことを意味する。I−III−VI族化合物は、I−B族元素(11族元素とも言う)とIII−B族元素(13族元素とも言う)とVI−B族元素(16族元素とも言う)とを主に含む化合物である。
【0035】
I−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga)Se
2(CIGSとも言う)、Cu(In,Ga)(Se,S)
2(CIGSSとも言う)およびCuInSe
2(CISとも言う)等が採用され得る。なお、Cu(In,Ga)Se
2は、CuとInとGaとSeとを主に含む化合物である。また、Cu(In,Ga)(Se,S)
2は、CuとInとGaとSeとSとを主に含む化合物である。
【0036】
なお、光吸収層131がI−III−VI族化合物半導体を主に含んでいれば、光吸収層131の厚さが10μm以下であっても、光吸収層131による光電変換の効率が高めら得る。このため、光吸収層131の厚さは、例えば、1μm以上で且つ3μm以下程度であれば良い。
【0037】
光吸収層131は、スパッタリング法または蒸着法等といった真空プロセスによって形成され得る。また、光吸収層131は、塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによっても形成され得る。塗布法あるいは印刷法では、例えば、光吸収層131に主に含まれる金属元素を含む溶液が下部電極層102の上面上に塗布され、その後、乾燥および熱処理が行われる。
【0038】
バッファ層132は、光吸収層131の+Z側の一主面(上面とも言う)上に配されている。また、バッファ層132は、光吸収層131の第1導電型とは異なる第2導電型を有する半導体を主に含む。ここで、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体である。そして、第2導電型は、例えば、n型の導電型であれば良い。なお、光吸収層131の導電型がn型であり、バッファ層132の導電型がp型であっても良い。ここでは、光吸収層131とバッファ層132との間にヘテロ接合領域が形成されている。このため、光電変換セル10では、ヘテロ接合領域を形成する光吸収層131とバッファ層132とにおいて光電変換が生じ得る。
【0039】
バッファ層132は、化合物半導体を主に含む。バッファ層132に含まれる化合物半導体としては、例えば、CdS、In
2S
3、ZnS、ZnO、In
2Se
3、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)および(Zn,Mg)O等が採用され得る。そして、バッファ層132が1Ω・cm以上の抵抗率を有していれば、リーク電流の発生が抑制され得る。
【0040】
バッファ層132は、例えば、化学浴槽堆積(CBD)法等によって形成され得る。バッファ層132の厚さは、例えば、10nm以上で且つ200nm以下であれば良い。バッファ層132の厚さが100nm以上で且つ200nm以下であれば、バッファ層132上に上部電極層104がスパッタリング法等で形成される際に、バッファ層132において損傷が生じ難くなる。
【0041】
上部電極層104は、光電変換層103の+Z側の一主面(上面とも言う)上に配されている。そして、上部電極層104は、例えば、n型の導電型を有する透明の導電層であれば良い。上部電極層104は、光電変換層103において生じた電荷を取り出す電極となる。上部電極層104は、バッファ層132よりも低い抵抗率を有する材料を主に含んでいれば良い。上部電極層104には、いわゆる窓層と呼ばれるものが含まれても良いし、窓層と透明の導電層とが含まれても良い。
【0042】
上部電極層104は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、ZnOの化合物、ならびにSnが含まれたITOおよびSnO
2などの金属酸化物半導体が採用され得る。ZnOの化合物は、例えば、Al、B、Ga、InおよびFのうちの何れか1つの元素が含まれたものであれば良い。
【0043】
上部電極層104は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法などによって形成され得る。上部電極層104の厚さは、例えば、0.1μm以上で且つ2μm以下程度であれば良い。ここで、上部電極層104が、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有していれば、上部電極層104を介して光電変換層103から電荷が良好に取り出され得る。
【0044】
ここで、バッファ層132および上部電極層104が、光吸収層131が吸収し得る光の波長帯域に対して、光を透過させ易い性質(光透過性とも言う)を有していれば、光吸収層131における光の吸収効率の低下が抑制され得る。また、上部電極層104の厚さが0.05μm以上で且つ0.5μm以下であれば、上部電極層104における光透過性が高められ、光電変換によって生じた電流が上部電極層104によって良好に伝送され得る。さらに、上部電極層104の絶対屈折率とバッファ層132の絶対屈折率とが略同一であれば、上部電極層104とバッファ層132との界面で光が反射することで生じる入射光のロスが低減され得る。
【0045】
光電変換層103において発生して上部電極層104において取り出された電荷は、上部電極層104の上に配されている線状導電部105によって集電される。ここでは、線状導電部105が配されていることで、上部電極層104における導電性が補われるため、上部電極層104の薄層化が可能となる。その結果、電荷の取り出し効率の確保と、上部電極層104における光透過性の向上とが両立し得る。
【0046】
また、線状導電部105は、溝部P2を通って+X方向に配されている隣の光電変換セル10の下部から延伸されている下部電極層102に接続されている。つまり、隣り合う光電変換セル10については、線状導電部105によって、一方の光電変換セル10の上部電極層104と、他方の光電変換セル10の下部電極層102とが電気的に接続されている。
【0047】
ここで、溝部P2は、Y軸方向に直線状に延在している。そして、溝部P2は、上部電極層104の+Z側の一主面(上面とも言う)から下部電極層102の上面に至るまで配されている。このため、溝部P2は、1つの光電変換セル10内において、光電変換層103と上部電極層104とが積層された積層体をX軸方向に分離している。なお、溝部P2内に、上部電極層104の垂下部が配されている構成が採用されても良い。
【0048】
また、受光面の上方(ここでは+Z側)から各光電変換セル10を平面透視した場合、+X方向に溝部P1と溝部P2と溝部P3とがこの順に配されている。このため、隣り合う一方の光電変換セル10と他方の光電変換セル10との間で、下部電極層102が、該他方の光電変換セル10の下部から該一方の光電変換セル10の下部まで延伸している。そして、該一方の光電変換セル10では、X軸方向に隣り合う一方の下部電極層102と他方の下部電極層102との間において、該一方の下部電極層102の上から溝部P1を越えて、該他方の下部電極層102の上に至るまで光電変換層103が配されている。ここで、該他方の下部電極層102は、他方の光電変換セル10の下部から一方の光電変換セル10の下部に延伸している下部電極層102である。
【0049】
また、受光面の上方(ここでは+Z側)から各光電変換セル10を平面透視した場合、各光電変換セル10には、溝部P2を包含して溝部P1と溝部P3とに挟まれた領域と、溝部P1が配されている領域と、残余の領域とがある。そして、該残余の領域が、各光電変換セル10において発電に寄与する領域となる。
【0050】
なお、本実施形態では、各光電変換セル10において、光電変換層103が、下部電極層102の上から隣の下部電極層102の上にかけて配されていたが、これに限られない。例えば、光電変換層103が、下部電極層102の上から溝部P1の内部に至るまで配されていれば良い。
【0051】
上記構成を有する光電変換セル10では、上部電極層104および複数の線状導電部105によって集電された電荷が、+X方向に配されている隣の光電変換セル10に伝達される。これにより、隣り合う光電変換セル10が電気的に直列に接続されている。
【0052】
また、線状導電部105の幅が50μm以上で且つ400μm以下であれば、隣接する光電変換セル10の間における良好な導電が確保され、光吸収層131への光の入射量の低下が抑制され得る。1つの光電変換セル10に配されている複数の線状導電部105のY軸方向における間隔は、例えば、2.5mm程度であれば良い。
【0053】
<(1−3)出力電極部の構成>
第1および第2出力電極部12a,12bは、X軸方向における向きが逆となっているが、同様な構成を有している。このため、ここでは、第1出力電極部12aの構成を例にとって説明する。
【0054】
図3には、第1出力電極部12aのうちのY軸方向に沿った一部分が示されている。
【0055】
図3で示されるように、第1出力電極部12aは、第1領域A1と第2領域A2と第3領域A3とを有している。第1領域A1は、X軸方向において第1出力電極部12aの−X側の端部(一端部とも言う)E1側に位置する領域である。第2領域A2は、X軸方向において第1出力電極部12aの+X側の端部(他端部とも言う)E2側に位置する領域である。第3領域A3は、第1領域A1と第2領域A2との間に位置する領域である。
【0056】
第1領域A1は、X軸方向とは反対の−X方向に向かって突出している複数の凸部CV1を含んでいる。各凸部CV1では、Y軸方向の幅が、−X方向に行けば行くほど狭まっている。換言すれば、各凸部CV1では、Y軸方向の幅が、X軸方向における一端部E1からの距離に応じて増大している。
【0057】
上記構成によって、例えば、金属ペーストを用いたスクリーン印刷等によって一端部E1側から+X方向に第1出力電極部12aのパターンが形成される際に、金属ペーストの塗布量が徐々に増大し得る。このため、第1出力電極部12aのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。その結果、第1出力電極部12aに対する第1導体13aの貼り付けの信頼性が向上し、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0058】
また、
図4で示されるように、各凸部CV1は、一方向傾斜部12uをそれぞれ含んでいる。各一方向傾斜部12uでは、基板101の上面の法線方向としてのZ軸方向における厚さが+X方向における一端部E1からの距離に応じて増大している。
【0059】
このように、第1出力電極部12aの厚さが薄くなっている部分が存在することで、第1出力電極部12aの存在によって光電変換装置1からの放熱が阻害される度合いが低減され得る。その結果、光電変換セル10における光電変換性能の向上が図られ、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。また、光電変換装置1における各層の熱膨張に起因する光電変換装置1内への水分の進入が生じ難くなり得る。したがって、光電変換装置1の劣化が生じ難くなる。
【0060】
また、各一方向傾斜部12uの存在によって、第1出力電極部12aの一端部E1付近におけるZ軸方向の厚さが薄くなっている。このため、例えば、金属ペーストを用いたスクリーン印刷等によって一端部E1側から+X方向に第1出力電極部12aのパターンが形成される際に、金属ペーストの塗布量が徐々に増大し得る。このため、第1出力電極部12aのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。その結果、第1出力電極部12aに対する第1導体13aの貼り付けの信頼性が向上し、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0061】
第2領域A2は、他端部E2において複数の線状導電部105に接続している。また、第2領域A2は、複数の幅減少部D1を含んでいる。各幅減少部D1は、+X方向における一端部E1からの距離に応じて、Y軸方向の幅が減少して各接続部CN1において各線状導電部105にそれぞれ接続している。換言すれば、各幅減少部D1は、Y軸方向の幅が、−X方向における他端部E2からの距離に応じて増大している。
【0062】
このような幅減少部D1の存在によって、例えば、金属ペーストを用いたスクリーン印刷等によって第1出力電極部12aから複数の線状導電部105にかけたパターンが一端部E1側から+X方向に形成される際に、金属ペーストの塗布量が緩やかに変化し得る。このため、接続部CN1付近における線状導電部105のパターンの線幅が設計値からずれ難い。その結果、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0063】
また、
図4で示されるように、各幅減少部D1は、一方向傾斜部12dをそれぞれ含んでいる。各一方向傾斜部12dでは、+Z方向における厚さが+X方向における一端部E1からの距離に応じて減少している。
【0064】
第3領域A3は、Y軸方向における幅およびZ軸方向における厚さが、X軸方向の位置に拘わらず略一定となっている領域である。
【0065】
そして、
図5で示されるように、第1導体13aは、第1出力電極部12aのうちの第1領域A1上から第3領域A3上にかけて配されている。つまり、第1導体13aは、一方向傾斜部12u上に配されている。これによって、例えば、第1出力電極部12aの下に一導電層としての下部電極層102が配されている場合に、第1出力電極部12aの一端部E1付近における厚さが薄くなっている部分を介して、第1導体13aと下部電極層102とが電気的に接続される。このため、第1導体13aと下部電極層102との間における電気抵抗が低減され得る。その結果、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0066】
また、第1出力電極部12aの厚さが薄くなっている部分を介して基板101および下部電極層102側から第1導体13aに熱が伝達され易くなる。このため、光電変換装置1からの放熱が促進され得る。その結果、光電変換セル10における光電変換性能の向上が図られ、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。また、光電変換装置1における各層の熱膨張に起因する光電変換装置1内への水分の進入が生じ難くなり得る。したがって、光電変換装置1の劣化が生じ難くなる。
【0067】
<(1−4)光電変換装置の製造方法>
ここで、上記構成を有する光電変換装置1の製造プロセスの一例について説明する。
図6は、光電変換装置1の製造フローを例示するフローチャートである。
図7から
図14は、光電変換装置1の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。
図15から
図17は、第1出力電極部12aの形成途中の様子を模式的に示す平面図である。なお、
図15から
図17では、スキージの進行方向が矢印AR1で示されている。
【0068】
まず、
図6のステップSp1では、基板101(
図7参照)が準備される。基板101は、例えば、略矩形の盤面を有する平板状のものであれば良い。
【0069】
ステップSp2では、基板101上に、一導電層としての下部電極層102(
図8参照)が形成される。下部電極層102は、例えば、洗浄された基板101の一主面の略全面上に、スパッタリング法または蒸着法等が用いられて形成され得る。
【0070】
ステップSp3では、下部電極層102の上面のうちの所定の形成対象位置からその直下の基板101の上面にかけて、Y軸方向に直線状に延在する溝部P1(
図9参照)が形成される。なお、溝部P1は、例えば、YAGレーザーまたはその他のレーザーの光が走査されつつ所定の形成対象位置に照射されることで形成され得る。
【0071】
ステップSp4では、下部電極層102上に、光吸収層131(
図10参照)が形成される。ここでは、例えば、下部電極層102上に光吸収層131に主に含まれる金属元素を含有している溶液が塗布された後に乾燥される処理が行われることで皮膜が形成され、該皮膜に対する加熱処理が行われることで、光吸収層131が形成され得る。
【0072】
ステップSp5では、光吸収層131上にバッファ層132(
図11参照)が形成される。これにより、光吸収層131とバッファ層132とが積層されている光電変換層103が形成される。バッファ層132は、例えば、化学浴槽堆積(CBD)法によって形成され得る。具体的には、例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とがアンモニア水に溶解させられることで作製された溶液に光吸収層131が浸漬されることで、CdSを主に含むバッファ層132が形成され得る。
【0073】
ステップSp6では、光電変換層103上に上部電極層104(
図12参照)が形成される。上部電極層104は、例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成され得る。具体的には、例えば、バッファ層132上に、Alが添加されたZnOを主に含む透明な上部電極層104が形成される。
【0074】
上記ステップSp1〜Sp6の処理によって、基板101上に光電変換層103と電極層としての下部電極層102および上部電極層104とを含む積層体110が形成される。
【0075】
ステップSp7では、上部電極層104の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層102の上面に至る領域に、Y軸方向に直線状に延在する溝部P2(
図13参照)が形成される。溝部P2は、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビング等によって形成され得る。
【0076】
ステップSp8では、基板101上および積層体110の上面にX軸方向に塗布液としての金属ペーストが塗布される。このとき、第1出力電極部12aのパターンと複数の線状導電部105のパターン(
図14参照)と第2出力電極部12bのパターンとが順に形成される。本実施形態では、具体的には、基板101上に形成された下部電極層102の上面に、第1および第2出力電極部12a,12bのパターンが形成される。また、基板101上に形成された下部電極層102の上面および積層体110の上面に複数の線状導電部105のパターンが形成される。
【0077】
これらの金属ペーストのパターンは、例えば、スクリーン印刷等によって形成され得る。該スクリーン印刷では、例えば、まず、枠体に張られたスクリーンメッシュに乳剤で所望のパターンが形成された印刷版が準備される。この印刷版のパターンは、形成される金属ペーストのパターンに合わせて乳剤に開口部を設けることで調整され得る。次に、該所望のパターンに金属ペーストが充填される。そして、スキージがX軸方向に移動されつつ、該スキージによって基板101上および積層体110の上面に、上記開口部から吐出される金属ペーストが転写によって塗布される。なお、このとき、溝部P2内にも複数の線状導電部105のパターンの一部が形成される。
【0078】
ここで、第1出力電極部12aから複数の線状導電部105にかけたパターンを形成する金属ペーストの塗布工程について説明する。
【0079】
まず、
図15で示されるように、基板101上に、X軸方向における基板101の−X側の一縁部からの距離に応じてY軸方向の幅が徐々に拡大するように金属ペーストが塗布される。このとき、第1出力電極部12aのうちの一端部E1側に位置する第1領域A1のパターンが形成される。
【0080】
このような金属ペーストの塗布量が徐々に増大するような塗布方法によって、第1出力電極部12aのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。また、第1領域A1のパターンは、乳剤の開口部の形状がテーパー状にされた印刷版が用いられることによって、一方向傾斜部12uが形成され得る。また、一方向傾斜部12uの傾斜角度は、スキージの移動速度が変えられることによって調整され得る。このとき、一方向傾斜部12uは、金属ペーストの粘度が80Pa・s以下であれば、より形成され易い。
【0081】
次に、
図16および
図17で示されるように、第3領域A3が形成された後に、第1出力電極部12aのうちの他端部E2側に位置するように、複数の線状導電部105にそれぞれ接続している複数の接続部CN1のパターンが形成される。具体的には、例えば、X軸方向における基板101の−X側の一縁部からの距離に応じてY軸方向の幅が徐々に減少するように金属ペーストが塗布される。このとき、第2領域A2に含まれている複数の幅減少部D1のパターンが形成され得る。各幅減少部D1のパターンには、線状導電部105に接続している接続部CN1のパターンがそれぞれ含まれている。
【0082】
このような幅減少部D1のパターンの存在によって、金属ペーストの塗布量が徐々に減少された後に各線状導電部105のパターンが形成される。このため、接続部CN1付近における線状導電部105のパターンの線幅が設計値からずれ難い。また、第2領域A2のパターンが形成される際は、乳剤の開口部の形状がテーパー状にされた印刷版が用いられることによって、一方向傾斜部12dが形成され得る。また、一方向傾斜部12dの傾斜角度は、スキージの移動速度が変えられることによって調整され得る。このとき、一方向傾斜部12uは、金属ペーストの粘度が80Pa・s以下であれば、より形成され易い。
【0083】
ステップSp9では、ステップSp8で形成された金属ペーストのパターンに乾燥処理が施されることで、該金属ペーストが固化される。このとき、第1出力電極部12a、複数の線状導電部105および第2出力電極部12bが形成される。
【0084】
ステップSp10では、上部電極層104の上面および複数の線状導電部105の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層102の上面に至る領域に、Y軸方向に直線状に延在する溝部P3(
図1、
図2および
図18参照)が形成される。
【0085】
ステップSp11では、第1出力電極部12a上に第1導体13aが貼り付けられるとともに、第2出力電極部12b上に第2導体13bが貼り付けられる。
【0086】
ここでは、例えば、まず、裏面に銀ペーストが塗布された第1および第2導体13a,13bが、第1および第2出力電極部12a,12b上にそれぞれ置かれる。銀ペーストは、例えば、熱硬化性樹脂に銀の粒子が分散されたものであれば良い。次に、第1および第2導体13a,13bが上方としての+Z側から押さえつけられる。そして、所定温度に加熱された熱処理炉で第1および第2導体13a,13bに加熱処理が施されることで、銀ペースト内の熱硬化性樹脂が硬化する。所定温度は、例えば、約200℃であれば良い。これにより、第1および第2出力電極部12a,12b上に第1および第2導体13a,13bがそれぞれ貼り付けられる。
【0087】
なお、半田が被覆されている第1および第2導体13a,13bがホットエアー法によって加熱されることで、第1および第2出力電極部12a,12b上に第1および第2導体13a,13bが接着によって貼り付けられても良い。例えば、Sn−Pb系の共晶半田が用いられる場合、加熱温度は180℃以上で且つ200℃以下であれば良い。また、Sn−Ag−Cu系のPbフリー半田が用いられる場合、加熱温度は200℃以上で且つ220℃以下であれば良い。
【0088】
<(1−5)一実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態に係る光電変換装置1では、第1出力電極部12aの一端部E1側の第1領域A1が、−X方向に向かって突出している複数の凸部CV1を含んでいる。これにより、例えば、金属ペーストを用いたスクリーン印刷等によって一端部E1側からX軸方向に第1出力電極部12aのパターンが形成される際に、金属ペーストの塗布量が徐々に増大し得る。その結果、第1出力電極部12aのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。その結果、第1出力電極部12aに対する第1導体13aの貼り付けの信頼性が向上し、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0089】
また、第1出力電極部12aの他端部E2側の第2領域A2が、+X方向における一端部E1からの距離に応じて、Y軸方向の幅が減少して各線状導電部105にそれぞれ接続している。これにより、例えば、金属ペーストを用いたスクリーン印刷等によって第1出力電極部12aから複数の線状導電部105にかけたパターンが一端部E1側からX軸方向に形成される際に、金属ペーストの塗布量が緩やかに変化し得る。このため、接続部CN1付近における線状導電部105のパターンの線幅が設計値からずれ難い。その結果、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0090】
<(2)変形例>
なお、本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0091】
◎例えば、第1および第2出力電極部12a,12bの形態については、種々のバリエーションが考えられ得る。以下、具体例として、第1〜7変形例に係る第1出力電極部12aA〜12aGについて説明する。
【0092】
<(2−1)第1変形例>
図19で示されるように、第1変形例に係る第1出力電極部12aAは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、複数の分割電極部12DAに分割され、第1〜3領域A1〜A3が、第1〜3領域A1A〜A3Aに変更されたものである。
【0093】
第1出力電極部12aAに含まれる複数の分割電極部12DAは、Y軸方向に相互に離れて配列されている。
【0094】
このように、複数の分割電極部12DAがY軸方向に相互に離れていれば、第1出力電極部12aを形成するために必要な金属ペーストの量が低減され得る。すなわち、資源の無駄遣いの低減ならびに製造コストの低減が図られ得る。また、複数の分割電極部12DAが形成されていない部分が存在することで、第1出力電極部12aAの存在によって光電変換装置1からの放熱が阻害される度合いが低減され得る。その結果、光電変換セル10における光電変換性能の向上が図られる。また、光電変換装置1における各層の熱膨張に起因する光電変換装置1内への水分の進入が生じ難くなり得る。したがって、光電変換装置1の劣化が生じ難くなる。
【0095】
なお、複数の分割電極部12DAがY軸方向に相互に離れていても、第1出力電極部12aA上に第1導体13aが貼付されることで、光電変換層103における光電変換によって得られる電圧の出力が確保され得る。
【0096】
また、第1領域A1Aには、上記一実施形態に係る第1領域A1と同様に、複数の凸部CV1が配されている。そして、各分割電極部12DAは、複数の凸部CV1のうちの少なくとも1つの凸部CV1を含んでいれば良い。また、第2領域A2Aには、上記一実施形態に係る第2領域A2と同様に、線状導電部105にそれぞれ接続している複数の接続部CN1が配されている。そして、各分割電極部12DAは、複数の接続部CN1のうちの少なくとも1つの接続部CN1を含んでいれば良い。
図19には、各分割電極部12DAに、1つの凸部CV1と1つの接続部CN1とが含まれている構成が例示されている。これにより、各分割電極部12DAのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。
【0097】
また、
図20で示されるように、各分割電極部12DAは、+Y側および−Y側の双方において他方向傾斜部12sAをそれぞれ含んでいる。各他方向傾斜部12sAでは、Z軸方向における厚さが、±Y方向における該分割電極部12DAの端縁部からの距離に応じて増大している。このような他方向傾斜部12sAは、金属ペーストが塗布されて各分割電極部12DAのパターンが形成される際に、乳剤の開口部の形状がテーパー状にされた印刷版が用いられることによって形成され得る。また、他方向傾斜部12sAの傾斜角度は、スキージの移動速度が変えられることによって調整され得る。
【0098】
このように、分割電極部12DAの厚さが薄くなる部分が存在することで、第1出力電極部12aAの存在によって光電変換装置1からの放熱が阻害される度合いが低減され得る。その結果、光電変換セル10における光電変換性能の向上が図られる。また、光電変換装置1における各層の熱膨張に起因する光電変換装置1内への水分の進入が生じ難くなり得る。したがって、光電変換装置1の劣化が生じ難くなる。
【0099】
そして、
図21で示されるように、第1導体13aは、第1出力電極部12a上に配されている。つまり、第1導体13aは、他方向傾斜部12sA上に配されている。これによって、例えば、第1出力電極部12aAの下に一導電層としての下部電極層102が配されている場合に、各他方傾斜部12sAにおける厚さが薄くなっている部分を介して、第1導体13aと下部電極層102との間における電気抵抗が低減され得る。また、第1導体13aと下部電極層102とが直接接触する部分が存在する。このため、第1導体13aと下部電極層102との間における電気抵抗が低減され得る。その結果、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0100】
また、各分割電極部12DAの厚さが薄くなっている部分ならびに複数の分割電極部12DAが設けられていない部分を介して基板101および下部電極層102側から第1導体13aに熱が伝達され易くなる。このため、光電変換装置1からの放熱が促進され得る。その結果、光電変換セル10における光電変換性能の向上が図られ、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。また、光電変換装置1における各層の熱膨張に起因する光電変換装置1内への水分の進入が生じ難くなり得る。したがって、光電変換装置1の劣化が生じ難くなる。
【0101】
さらに、
図21で示されるように、第1導体13aは、複数の分割電極部12DAによって生じる凹凸に沿って貼付されている。このため、所謂アンカー効果によって、第1導体13aが第1出力電極部12aAから剥離し難くなる。その結果、光電変換装置1における発電効率の向上が図られ得る。
【0102】
<(2−2)第2変形例>
図22で示されるように、第2変形例に係る第1出力電極部12aBは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、第3領域A3が削除され、第1および第2領域A1,A2が、第1および第2領域A1B,A2Bに変更されたものである。
【0103】
第1領域A1Bには、上記一実施形態に係る複数の凸部CV1から形状がそれぞれ変更された複数の凸部CV1Bが含まれている。各凸部CV1Bは、−X方向に向かって突出している半楕円形状の構成を有している。
【0104】
第2領域A2Bには、上記一実施形態に係る複数の幅減少部D1から形状がそれぞれ変更された複数の幅減少部D1Bが含まれている。そして、1つの凸部CV1Bの+X側に2つの幅減少部D1Bが接続されている。また、Y軸方向に隣り合う2つの凸部CV1Bは、共通する1つの幅減少部D1Bに接続されている。
【0105】
上記構成が採用されても、上記一実施形態と同様な効果が得られる。
【0106】
<(2−3)第3変形例>
図23で示されるように、第3変形例に係る第1出力電極部12aCは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、第3領域A3が削除され、第1および第2領域A1,A2が、第1および第2領域A1C,A2Cに変更されたものである。
【0107】
第1領域A1Cには、上記一実施形態に係る複数の凸部CV1から形状がそれぞれ変更された複数の凸部CV1Cが含まれている。各凸部CV1Cは、−X側の一端部E1に頂点を有する二等辺三角形状の構成を有している。
【0108】
第2領域A2Cには、上記一実施形態に係る複数の幅減少部D1から形状がそれぞれ変更された複数の幅減少部D1Cが含まれている。各幅減少部D1Cは、Y軸方向の幅が+X側の他端部E2に近づけば近づくほど減少する二等辺三角形状の構成を有している。
【0109】
上記構成が採用されても、上記一実施形態と同様な効果が得られる。
【0110】
<(2−4)第4変形例>
図24で示されるように、第4変形例に係る第1出力電極部12aDは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、第3領域A3が削除され、第1および第2領域A1,A2が、第1および第2領域A1D,A2Dに変更されたものである。
【0111】
第1領域A1Dには、上記一実施形態に係る複数の凸部CV1から形状がそれぞれ変更された複数の凸部CV1Dが含まれている。各凸部CV1Dは、−X側の一端部E1に頂点を有する二等辺三角形状の構成を有している。
【0112】
第2領域A2Dには、上記一実施形態に係る複数の幅減少部D1から形状がそれぞれ変更された複数の幅減少部D1Dが含まれている。そして、1つの凸部CV1Dの+X側に2つの幅減少部D1Dが接続されている。該2つの幅減少部D1Dは、X軸に対して傾けられている。また、複数の接続部CN1のうちのY軸方向の両端の2つの接続部CN1を除く各接続部CN1が、Y軸方向に隣り合う2つの幅減少部D1Dによって共有されている。換言すれば、複数の線状導電部105のうちのY軸方向の両端の2本の線状導電部105を除く各線状導電部105は、Y軸方向に隣り合う2つの幅減少部D1Dに接続されている。
【0113】
上記構成が採用されても、上記一実施形態と同様な効果が得られる。
【0114】
<(2−5)第5変形例>
図25で示されるように、第5変形例に係る第1出力電極部12aEは、上記第1変形例に係る第1出力電極部12aAがベースとされて、複数の分割電極部12DAが、形状の異なる複数の分割電極部12DEに変更されたものである。
【0115】
各分割電極部12DEは、略円形の構成を有している。そして、各分割電極部12DEは、−X側の一端部E1に配されている第1領域A1Eと、+X側の他端部E2に配されている第2領域A2Eとを有している。
【0116】
第1領域A1Eは、上記一変形例に係る第1領域A1Aがベースとされて、複数の凸部CV1Aが、複数の凸部CV1Eに変更されたものである。各凸部CV1Eは、−X方向に向かって突出している半円状の構成を有している。
【0117】
第2領域A2Eは、上記一変形例に係る第2領域A2Aがベースとされて、複数の幅減少部D1Aが、複数の幅減少部D1Eに変更されたものである。各幅減少部D1Eは、Y軸方向の幅が+X側の他端部E2に近づけば近づくほど減少する半円状の構成を有している。
【0118】
上記構成が採用されても、上記一実施形態および上記一変形例と同様な効果が得られる。加えて、分割電極部12DEが略円形の構成を有しているため、分割電極部12DEに生じる応力集中が緩和され得る。
【0119】
<(2−6)第6変形例>
上記一実施形態および上記第1〜5変形例に係る第1出力電極部12a,12aA〜12aEでは、第1領域A1,A1A〜A1Eに複数の凸部CV1,CV1A〜CV1Eが含まれていたが、これに限られない。例えば、第1領域A1,A1A〜A1Eには、−X方向に向かって突出している1以上の凸部CV1,CV1A〜CV1Eが含まれる構成が採用されれば良い。
【0120】
図26で示されるように、第6変形例に係る第1出力電極部12aFは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、第3領域A3が削除され、第1および第2領域A1,A2が、第1および第2領域A1F,A2Fに変更されたものである。
【0121】
第1領域A1Fには、上記一実施形態に係る複数の凸部CV1の代わりに1つの凸部CV1Fが含まれている。該凸部CV1Fは、−X方向に向かって突出している構成を有している。
【0122】
第2領域A2Fには、上記一実施形態に係る複数の幅減少部D1から形状がそれぞれ変更された複数の幅減少部D1Fが含まれている。そして、1つの凸部CV1Fの+X側に複数の幅減少部D1Fが接続されている。
【0123】
上記構成が採用されても、上記一実施形態と同様な効果が得られる。例えば、第1領域A1Fに1つの凸部CV1Fが含まれているため、金属ペーストが塗布される際に、第1出力電極部12aFのパターンの一端部E1付近において、該パターンが波打つ所謂にじみが発生し難くなり得る。
【0124】
<(2−7)第7変形例>
上記一実施形態および上記第1〜6変形例に係る第1出力電極部12a,12aA〜12aFでは、第2領域A2,A2A〜A2Fに複数の幅減少部D1,D1A〜D1Fが含まれていたが、これに限られない。例えば、第2領域A2,A2A〜A2Fに複数の幅減少部D1,D1A〜D1Fが含まれていなくても良い。
【0125】
図27で示されるように、第7変形例に係る第1出力電極部12aGは、上記一実施形態に係る第1出力電極部12aがベースとされて、第2領域A2が、形状の異なる第2領域A2Gに変更されたものである。
【0126】
第2領域A2Gは、X軸方向において第1出力電極部12aGの他端部E2側に位置して複数の線状導電部105に接続している。そして、該第2領域A1Gでは、第3領域A3と同様に、Y軸方向における幅およびZ軸方向における厚さが、X軸方向の位置に拘わらず略一定となっている。
【0127】
上記構成が採用されても、上記一実施形態において得られる効果のうち、少なくとも第1領域A1が−X側に向かって突出している凸部CV1を有していることによる効果と、同様な効果が得られる。
【0128】
<(2−8)その他の変形例>
◎例えば、上記一実施形態および上記第1〜7変形例では、光電変換装置1に8つの光電変換セル10が含まれていたが、これに限られない。例えば、光電変換装置1には、1以上の光電変換セル10が含まれていれば良い。
【0129】
◎また、上記一実施形態および上記第1〜7変形例では、基板101上に積層体110が形成された後に、基板101上ならびに積層体110の上面に、塗布液としての金属ペーストが塗布されたが、これに限られない。
【0130】
例えば、基板101上に積層体110が形成される前に、基板101上に塗布液としての金属ペーストが塗布されることで、第1出力電極部12aのパターンと複数の線状導電部105のパターンと第2出力電極部12bのパターンとが順に形成されても良い。このとき、基板101上においてX軸方向に塗布液が塗布されれば良い。また、第1出力電極部12a,12aA〜12aGから複数の線状導電部105にかけたパターンを形成する金属ペーストの塗布工程については、上記一実施形態と同様な塗布工程が採用されれば良い。
【0131】
また、この場合、塗布工程の後に乾燥処理によって第1出力電極部12a,12aA〜12aGおよび複数の線状導電部105が形成される。そして、基板101上および複数の線状導電部105の上に、光電変換層103と電極層としての下部電極層102および上部電極層104とを含む積層体110が形成されれば良い。
【0132】
上記工程によって製造される光電変換装置では、基板101のうちの積層体110が形成されていない側の主面(裏面とも言う)が受光面となる。また、複数の線状導電部105が配されている光電変換セルの一主面は、光電変換セルのうちの基板101側の一主面となる。そして、上記構成が採用されても、上記一実施形態ならびに上記第1〜7変形例と同様な効果が得られる。
【0133】
◎また、上記一実施形態および上記第1〜7変形例では、第1出力電極部12a,12aA〜12aGが、基板101上の−X側の端部の近傍に配され、第2出力電極部12bが、基板101上の+X側の端部の近傍に配されていたが、これに限られない。例えば、第1出力電極部12a,12aA〜12aGが、基板101上の+X側の端部の近傍に配され、第2出力電極部12bが、基板101上の−X側の端部の近傍に配されても良い。この場合、例えば、一方向としての−X方向に、第1出力電極部12a,12aA〜12aGのパターンと複数の線状導電部105のパターンと第2出力電極部12bのパターンとが順に形成されれば良い。
【0134】
◎なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。