特許第5804990号(P5804990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5804990
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20151015BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   G03G15/08 222
   G03G21/00 384
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-61117(P2012-61117)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-195569(P2013-195569A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】石原 力
(72)【発明者】
【氏名】藤島 正之
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048087(JP,A)
【文献】 特開2002−271567(JP,A)
【文献】 特開2011−095440(JP,A)
【文献】 特開2003−015474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のシート本体及び該シート本体の周縁から延出するタブ部を有するタブシートにおける該タブ部に対する画像の形成が可能な画像形成装置であって、
現像装置であって、
少なくともキャリア及びトナーを含む2成分現像剤を磁力により担持し、該2成分現像剤に含まれるキャリアによる磁気ブラシが表面に形成される現像剤担持回転体と、
前記現像剤担持回転体に対向して配置され、前記現像剤担持回転体から移動されるトナーを担持し、前記磁気ブラシによりトナー層を形成するトナー担持回転体と、
前記現像剤担持回転体に第1バイアス電圧を印加すると共に前記トナー担持回転体に第2バイアス電圧を印加する電圧印加部であって、前記トナー担持回転体に担持されたトナーを像担持体の表面の静電潜像に飛翔させて静電潜像をトナー画像として現像するために、前記トナー担持回転体と前記像担持体との間に現像バイアス電圧を印加する電圧印加部と、
動作モードとして、前記電圧印加部による前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧との電圧差を、前記現像剤担持回転体と前記トナー担持回転体との間でトナーが双方向に移動可能であると共に前記トナー担持回転体の表面に前記トナー層が形成される第1電圧差とするトナー層形成モードと、前記電圧差を、前記トナー担持回転体の表面に形成された前記トナー層を前記トナー担持回転体が回転する間に剥離させると共に前記トナー担持回転体に形成された前記トナー層を形成するトナーの略全部を前記現像剤担持回転体に移動させる第2電圧差とするトナー層剥離モードと、を有する電圧制御部と、を有する現像装置と、
表面に静電潜像が形成されると共に、前記現像装置の前記トナー層からトナーの供給を受けて静電潜像にトナー画像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的に又は間接的にシートに転写させる転写部と、
転写されたトナー画像をシートに定着させる定着部と、を備え、
前記電圧制御部は、
前記タブ部に対してのみ画像の形成を行う場合に、前記タブ部に対して画像の形成を行うタイミングでは、前記トナー層形成モードで前記電圧差の制御を行い、その他のタイミングでは、前記トナー層剥離モードで前記電圧差の制御を行うと共に、
前記トナー層剥離モードおける、シート本体の幅方向の全域に対応する前記電圧差と、紙間に対応する前記電圧差とが互いに異なるように前記電圧差の制御を行う
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により形成された静電潜像を現像するための現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともキャリア及びトナーを含む2成分現像剤を磁力により現像剤担持回転体の表面に担持させて、2成分現像剤に含まれるキャリアによる磁気ブラシを形成し、現像剤担持体からトナー担持回転体に移動されるトナーを担持して、磁気ブラシによりトナー担持回転体の表面にトナー層を形成し、トナー担持回転体と像担持体との間に現像バイアス電圧を印加することにより、トナー層のトナーを像担持体に飛翔させて像担持体の表面の静電潜像をトナー画像として現像する、いわゆるタッチダウン方式(ハイブリッド方式とも言われる。)の現像装置を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
タッチダウン方式の現像装置においては、トナー担持回転体の表面に形成されるトナー層のトナーの一部が現像によって消費されないでトナー担持回転体の表面にそのまま残存し、トナー担持回転体の次の回転時における現像性能に差が生じる、いわゆる現像履歴が生じやすい。このような現像履歴が生じると、次の回転時にトナー担持回転体の表面に形成されるトナー層が不均一となり、トナーの選択性(トナー粒径、トリボ(摩擦帯電)等)の変化による画像の濃度の低下や未現像トナーの長時間の放置による画質の劣化、トナーの飛散、現像ゴースト等の現像不良を発生しやすい。
【0004】
上述のような現像不良の発生を抑制するために、今回の現像と次回の現像との間や被転写シート間(紙間)を利用して、トナー担持回転体の表面の未現像トナー層をトナー担持回転体から剥離すると共に、トナー担持回転体の表面に新たなトナー層を形成することが行われる。即ち、1枚の被転写シートへの画像の形成が行われる毎に、現像剤担持回転体及びトナー担持回転体それぞれに印加する第1及び第2バイアス電圧の電圧差を、トナー担持回転体の表面に残存するトナーの略全部をトナー担持回転体から剥離させて現像剤担持回転体側に移動させるのに適したトナー層剥離モードの電圧差に変化させる電圧差の制御手段を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−55837号公報
【特許文献2】特開2005−55840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の画像形成装置は、矩形のシート本体のみからなる被転写シート(汎用シート)に画像を形成する場合に有用であるものの、矩形のシート本体及びそのシート本体の周縁から延出するタブ部を有するタブシートにおけるタブ部に対してのみ画像を形成する場合に、次のような問題がある。
【0007】
即ち、タブシートのタブ部へ画像を形成する場合には、汎用シートにおける矩形のシート本体全域へ画像を形成する場合に比べて、画像の形成時間及び現像時間が非常に短い。このように現像時間が非常に短いタブ部への画像の形成時には、タブ部以外のシート本体への画像の形成が不要であるにも拘わらず、特許文献1及び特許文献2の画像形成装置では、タブ部以外のシート本体に対しても汎用シートの場合と同様に、トナー層形成モードの電圧差の制御が行われる。
そのため、トナー層担持回転体の表面に形成されるトナー層を保持する時間は、不必要に長くなる。これにより、トナーに添加されているチタン等の外添剤が飛散して、トナーを無駄に消費すると共に、飛散したトナーの外添剤が、画像の形成が不要なシート本体に付着して、シートを汚染しやすい。また、トナー層担持回転体の表面に保持されるトナー層のトナーがチャージアップされたりして劣化し、次の画像の形成時において画像の欠けや濃淡を生じて、不良画像を発生しやすい。
【0008】
本発明は、タブシートにおけるタブ部に対する画像の形成時において、トナーの無駄な消費及びシート本体の汚染を抑制すると共に、トナーのチャージアップに伴うトナーの劣化による不良画像の発生を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、矩形のシート本体及び該シート本体の周縁から延出するタブ部を有するタブシートにおける該タブ部に対する画像の形成が可能な画像形成装置であって、現像装置であって、少なくともキャリア及びトナーを含む2成分現像剤を磁力により担持し、該2成分現像剤に含まれるキャリアによる磁気ブラシが表面に形成される現像剤担持回転体と、前記現像剤担持回転体に対向して配置され、前記現像剤担持回転体から移動されるトナーを担持し、前記磁気ブラシによりトナー層を形成するトナー担持回転体と、前記現像剤担持回転体に第1バイアス電圧を印加すると共に前記トナー担持回転体に第2バイアス電圧を印加する電圧印加部であって、前記トナー担持回転体に担持されたトナーを像担持体の表面の静電潜像に飛翔させて静電潜像をトナー画像として現像するために、前記トナー担持回転体と前記像担持体との間に現像バイアス電圧を印加する電圧印加部と、動作モードとして、前記電圧印加部による前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧との電圧差を、前記現像剤担持回転体と前記トナー担持回転体との間でトナーが双方向に移動可能であると共に前記トナー担持回転体の表面に前記トナー層が形成される第1電圧差とするトナー層形成モードと、前記電圧差を、前記トナー担持回転体の表面に形成された前記トナー層を前記トナー担持回転体が回転する間に剥離させると共に前記トナー担持回転体に形成された前記トナー層を形成するトナーの略全部を前記現像剤担持回転体に移動させる第2電圧差とするトナー層剥離モードと、を有する電圧制御部と、を有する現像装置と、表面に静電潜像が形成されると共に、前記現像装置の前記トナー層からトナーの供給を受けて静電潜像にトナー画像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的に又は間接的にシートに転写させる転写部と、転写されたトナー画像をシートに定着させる定着部と、を備え、前記電圧制御部は、前記タブ部に対してのみ画像の形成を行う場合に、前記タブ部に対して画像の形成を行うタイミングでは、前記トナー層形成モードで前記電圧差の制御を行い、その他のタイミングでは、前記トナー層剥離モードで前記電圧差の制御を行う画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タブシートにおけるタブ部に対する画像の形成時において、トナーの無駄な消費及びシート本体の汚染を抑制すると共に、トナーのチャージアップに伴うトナーの劣化による不良画像の発生を低減することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コピー機1の各構成要素の配置を説明するための図である。
図2】現像装置16aの制御に関する機能ブロック図を示す図である。
図3】トナー層形成モードTMにおいて、現像ローラー150の表面に所定厚さのトナー層193が形成される様子を示す図である。
図4】トナー層剥離モードHMにおいて、現像ローラー150の表面からトナー192の略全部が正常に剥離される様子を示す図である。
図5】タブ用紙T1のタブ部Tbのみに印刷する場合の動作状況を説明する図である。
図6】タブ用紙T1のタブ部Tbのみに印刷する場合の動作モード及び電圧差の制御内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、本実施形態における画像形成装置としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、コピー機1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置としてのコピー機1は、コピー機1における上下方向Zの上方側に配置される画像読取装置300と、コピー機1における上下方向Zの下方側に配置され画像読取装置300により読み取られた画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する装置本体Mと、を備える。
なお、コピー機1の説明において、副走査方向Xをコピー機1の「左右方向」ともいい、主走査方向Y(図1を貫く方向、図2参照)をコピー機1の「前後方向」ともいう。コピー機1の上下方向Zは、副走査方向X及び主走査方向Yと直交する。
【0014】
まず、画像読取装置300について説明する。
図1に示すように、画像読取装置300は、蓋部材70と、原稿Gの画像を読み取る読取部301と、を備える。
蓋部材70は、読取部301に対して不図示の連結部により開閉可能に連結されている。蓋部材70は、後述する読取面302Aを保護する機能を有する。
【0015】
読取部301は、筐体306と、筐体306の上方側に配置される読取面302Aと、を備える。また、読取部301は、筐体306の内部空間304に、光源を含む照明部340と、複数のミラー321、322及び323と、副走査方向Xに移動する第1枠体311及び第2枠体312と、結像レンズ357と、読取装置としてのCCD358と、CCD358により読み取られた画像情報に対して所定の処理をすると共に該画像情報を装置本体M側に出力させるCCD基板361と、を備える。照明部340及び第1ミラー321は、第1枠体311に収容される。第2ミラー322及び第3ミラー323は、第2枠体312に収容される。
【0016】
読取面302Aは、副走査方向X及び主走査方向Yと直交する方向に拡がり、読取部301における副走査方向Xの大部分に亘っている。原稿Gは、読取面302Aに載置される。第1枠体311及び第2枠体312それぞれは、後述する光路Hの長さ(光路長)を一定に保持しながら副走査方向Xに移動する。これにより、読取面302Aに載置された原稿Gの画像が読み取られる。
【0017】
筐体306の内部空間304において、複数のミラー321、322及び323は、原稿Gからの光を結像レンズ357に入射させるための光路Hを形成する。また、第1枠体311が副走査方向Xに一定速度Aで移動すると共に、第2枠体312が副走査方向Xに一定速度A/2で移動するため、画像読み取り動作時においても、光路Hの長さは一定に維持される。読取部301の詳細については後述する。
【0018】
次に、装置本体Mについて説明する。
装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0019】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dと、現像装置16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラー8と、対抗ローラー18と、定着部9と、を備える。
【0020】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、第1排紙部50aと、第2排紙部50bとを備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbと、後処理搬送路Lcとの集合体である。
【0021】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像装置16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラー37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラー8及び対抗ローラー18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0022】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0023】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0024】
レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等を有して構成される。
【0025】
レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、読取部301により読み込まれた画像に関する画像情報に基づいて感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラー、トナー撹拌用の撹拌ローラー等を有して構成される。現像装置16a、16b、16c、16dの詳細については後述する。
【0027】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0028】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像装置16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像装置16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0029】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラー35、駆動ローラーである対抗ローラー18、テンションローラー36等に掛け渡される。テンションローラー36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0030】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0031】
1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色トナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0032】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0033】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0034】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラー8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0035】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0036】
中間転写ベルト7における2次転写ローラー8とは反対側には、対抗ローラー18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラー8と対抗ローラー18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。2次転写ローラー8と対抗ローラー18との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0037】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色トナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーターにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧されることで用紙Tに定着される。
【0038】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する2個の給紙カセット52が上下に積み重ねた状態で配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において左側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対63からなる重送防止機構を備える。
【0039】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0040】
装置本体Mにおける上方側には、第1排紙部50a及び第2排紙部50bが設けられる。第1排紙部50a及び第2排紙部50bは、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。第1排紙部50a及び第2排紙部50bの詳細については後述する。
【0041】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から第1排紙部50aまでの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を第2排紙部50bに接続された後処理装置(図示せず)に搬送する後処理搬送路Lcと、を備える。
【0042】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、後処理搬送路Lcが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出された用紙Tの搬送方向を、第1排紙部50aに向かう第3搬送路L3又は第2排紙部50bに向かう後処理搬送路Lcに整流させる(切り換える)。
【0043】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサーと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラー対80が配置される。センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0044】
第3搬送路L3の途中(詳細には、定着部9と第1分岐部Q1との間)には、用紙検出用のセンサーSが配置されている。センサーSは、用紙Tの搬送方向における定着部9の下流側に配置される。センサーSは、印刷された用紙Tが通過した場合に、検出信号を出力する。
【0045】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)にもトナー画像を形成させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1排紙部50a側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0046】
第3搬送路L3における端部には、第1排紙部50aが形成される。第1排紙部50aは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第1排紙部50aは、装置本体Mの右側面側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。第1排紙部50aは、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
【0047】
第1排紙部50aにおける開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され第1排紙部50aから排紙された用紙Tが積層して集積される。
【0048】
後処理搬送路Lcにおける端部には、第2排紙部50bが形成される。第2排紙部50bは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第2排紙部50bは、装置本体Mの左側面側(図1において左側、後処理装置が連結される側)に向けて開口している。第2排紙部50bは、後処理搬送路Lcを搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
第2排紙部50bにおける開口側には、後処理装置(図示せず)が連結される。後処理装置は、画像形成装置(コピー機1)から排出される用紙の後処理(ステープル、パンチ等)を行うものである。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサーが配置される。
【0049】
次に、主搬送路L1からL3(第1搬送路L1、第2搬送路L2及び第3搬送路L3を合わせて以下「主搬送路」ともいう)及び戻り搬送路Lbにおける紙詰まり(JAM)を解消するための構造について簡単に説明する。
図1に示すように、装置本体Mの左側面側(図1において左側)には、主搬送路L1からL3及び戻り搬送路Lbが主に上下方向に延びるように並列している。装置本体Mの左側面側(図1において左側)には、装置本体Mの側面の一部を形成するように、カバー体40が設けられている。カバー体40は、その下端部において、支点軸43を介して装置本体Mに連結されている。支点軸43は、その軸方向が主搬送路L1からL3及び戻り搬送路Lbを横断する方向に沿って配設されている。カバー体40は、支点軸43を中心として閉位置(図1に示す位置)と開位置(図示せず)との間を回動自在に構成されている。
【0050】
カバー体40は、支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第1のカバー部41と、同じ支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第2のカバー部42とから構成されている。第1のカバー部41は、第2のカバー部42よりも装置本体Mの外側(側面側)に位置する。なお、図1において、左下がりの破線でハッチングされた部分が第1のカバー部41であり、右下がりの破線でハッチングされた部分が第2のカバー部42である。
【0051】
カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41は、その外面側が装置本体Mの外面(側面)の一部を形成している。
また、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第2のカバー部42は、その内面側(装置本体M側)が主搬送路L1からL3の一部を形成している。
更に、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41の内面側と第2のカバー部42の外面側とが、戻り搬送路Lbの少なくとも一部を形成している。つまり、戻り搬送路Lbは、第1のカバー部41と第2のカバー部42との間に形成されている。
【0052】
本実施形態のコピー機1は、このような構成のカバー体40を備えることにより、主搬送路L1からL3で紙詰まり(JAM)が発生した際には、カバー体40を図1に示す閉位置から、開位置(図示せず)に回動して主搬送路L1からL3を開放することにより、主搬送路L1からL3に詰まった用紙を処理することができる。一方、戻り搬送路Lbで紙詰まりが発生した際には、カバー体40を開位置に回動した後、支点軸43を中心に第2のカバー部42を装置本体M側(図1において右側)に回動させて戻り搬送路Lbを開放することにより、戻り搬送路Lbに詰まった用紙を処理することができる。
【0053】
次に、図2から図5により、本実施形態の現像装置について詳細に説明する。前述の通り、コピー機1は、4個の感光体ドラム2a、2b、2c、2d及び4個の現像装置16a、16b、16c、16dを備えているが、それぞれ同様の構成を有しているため、ここでは感光体ドラム2a及び現像装置16aを代表して説明する。
【0054】
図2は、現像装置16aの制御に関する機能ブロック図を示す図である。図3は、トナー層形成モードTMにおいて、現像ローラー150の表面に所定厚さのトナー層193が形成される様子を示す図である。図4は、トナー層剥離モードHMにおいて、現像ローラー150の表面からトナー192の全部が正常に剥離される様子を示す図である。図5は、タブ用紙T1のタブ部Tbのみに印刷する場合の動作状況を説明する図である。
【0055】
図2から図4に示すように、本実施形態の現像装置16aは、トナー192及び磁性キャリア191を含む2成分現像剤190を収容する現像容器110と、現像容器110の内部に配置される撹拌ローラー120a,120bと、撹拌ローラー120aの垂直方向における上方に配置される現像剤担持回転体としての磁気ローラー130と、磁気ローラー130の側方(図2において左側)に磁気ローラー130に近接して配置される層厚規制ブレード140と、層厚規制ブレード140の垂直方向における上方に配置されるカバー部材141と、磁気ローラー130に対向して配置されるトナー担持回転体としての現像ローラー150と、電圧印加部としての第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262と、制御部270と、記憶部280と、入力部250と、を備える。
【0056】
現像容器110には、トナーカートリッジ5a(図1参照)からトナー供給部6a(図1参照)を介してトナー192が供給される。
撹拌ローラー120a,120bは、現像容器110に収容された2成分現像剤190を撹拌する。撹拌された2成分現像剤190には、摩擦により静電気が発生し、磁性キャリア191はマイナスに帯電し、本実施形態において、トナー192はプラスに帯電する。また、静電気力により、トナー192は、磁性キャリア191に付着する。
【0057】
磁気ローラー130は、所定方向に回転可能であって、磁気ローラー130の表面を構成する磁気スリーブ131と、磁気スリーブ131の内部に配置された複数の磁気ローラー磁極部材132から136と、を備える。
磁気スリーブ131は、円筒形状であり、非磁性部材により構成される。磁気スリーブ131は、図2から図4に示す矢印Bの方向に回転駆動される。磁気スリーブ131には、後述の第1電圧印加部261により、所定の第1バイアス電圧V1が印加される。
【0058】
図2から図4に示すように、複数の磁気ローラー磁極部材132から136は、磁気スリーブ131の内部において、周方向に並んで所定間隔あけて固定される。
第1磁気ローラー磁極部材132は、磁気ローラー130における後述する現像スリーブ151に最も近接する部分に対応して配置される。第1磁気ローラー磁極部材132は、外側(磁気スリーブ131の周面側)にN極が位置するように配置される。
【0059】
その他の磁気ローラー磁極部材133から136は、磁気スリーブ131の内部において、第1磁気ローラー磁極部材132よりも回転方向Bの上流側に所定の間隔をあけて固定される。磁気ローラー磁極部材133,134,136は、外側(磁気スリーブ131の周面側)にS極が位置するように配置される。また、磁気ローラー磁極部材135は、外側外側(磁気スリーブ131の周面側)にN極が位置するように配置される。
【0060】
図3及び図4に示すように、磁気ローラー磁極部材132から136の磁力によって、現像容器110に収容された2成分現像剤190の一部は、磁気スリーブ131の表面に保持される。また、磁気ローラー130の表面に保持された一部の2成分現像剤190は、現像剤層(磁気ブラシ)194を形成する。
【0061】
層厚規制ブレード140は、磁気ローラー130の表面に形成される現像剤層194の層厚を規制する。つまり、層厚規制ブレード140は、磁気ローラー130に保持された2成分現像剤190により形成された現像剤層194の層厚(高さ)を規制して、この層厚規制ブレード140を通過した現像剤層194の層厚を一定に保つ。層厚規制ブレード140は、板状の部材からなり、先端部142側が磁気スリーブ131の表面に対向し且つ近接するよう配置される。層厚規制ブレード140の先端部142と磁気スリーブ131の表面との間には、所定の隙間(ギャップ)が形成される。
【0062】
カバー部材141は、現像装置16aのケース体の一部を構成する部材である。カバー部材141は、層厚規制ブレード140の垂直方向における上方であって磁気ローラー130の側方(図2における左側)に配置される。カバー部材141は、トナー192が現像装置16aの外部へ飛散することを抑制する。
【0063】
現像ローラー150は、磁気ローラー130に対向して配置される。現像ローラー150の表面には、磁気ローラー130から移動したトナー192により、トナー層193が形成される。具体的には、現像ローラー150の表面には、層厚規制ブレード140により層厚が規制された現像剤層194からトナー192が移動されて、トナー層193が形成される。現像ローラー150は、現像ローラー150の表面を構成する現像スリーブ151と、現像スリーブ151の内部に配置された現像ローラー磁極部材152と、を備える。
【0064】
現像スリーブ151は、円筒形状であり、非磁性部材により構成される。現像スリーブ151は、回転駆動される。現像スリーブ151の移動方向は、現像スリーブ151と磁気スリーブ131とが対向する位置において、磁気スリーブ131の移動方向とは反対方向(図2から図4に示す矢印Cの方向)である。現像スリーブ151には、後述の第2電圧印加部262により、所定の第2バイアス電圧V2が印加される。
【0065】
現像ローラー磁極部材152は、現像スリーブ151の内部において、第1磁気ローラー磁極部材132と対向して固定される。現像ローラー磁極部材152は、現像ローラー150における磁気スリーブ131に最も近接する部分に対応して配置される。言い換えると、現像ローラー磁極部材152と第1磁気ローラー磁極部材132とは、現像スリーブ151と磁気スリーブ131とが最も近接する領域を挟んで、互いに対向して配置される。
【0066】
現像ローラー磁極部材152は、第1磁気ローラー磁極部材132と向かい合う側の端部において、第1磁気ローラー磁極部材132における外側の極性とは異なる極性を有する。つまり、現像ローラー磁極部材152は、外側(現像スリーブ151の周面側)にS極が位置するように配置される。そして、磁気ローラー130の内部に配置された第1磁気ローラー磁極部材132と、現像ローラー150の内部に配置された現像ローラー磁極部材152との間には、磁界171が形成される。磁気ローラー130と現像ローラー150との間における磁界171が形成された領域においては、現像剤層194は、磁界171の影響を受けて磁気ローラー130の表面から立ち上がり、磁気ブラシ194を形成して現像ローラー150に接触する。
【0067】
図2に示すように、第1電圧印加部261は、後述の電圧制御部271から出力される制御信号S4を受けて、磁気ローラー130に第1バイアス電圧V1を印加する。
第2電圧印加部262は、後述の電圧制御部271から出力される制御信号S4を受けて、現像ローラー150に第2バイアス電圧V2を印加する。
【0068】
第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2は、直流電圧(DC)に交流電圧(AC)を重畳させて形成される。バイアス電圧差(磁気ローラー130に印加された第1バイアス電圧V1と現像ローラー150に印加された第2バイアス電圧V2と関係)VBにより、磁気ローラー130と現像ローラー150との間でトナー192を移動させる電界が生じる。ここで、バイアス電圧差(第2バイアス電圧V2と第1バイアス電圧V1との関係)VBとは、第2バイアス電圧V2を基準した場合における第2バイアス電圧V2と第1バイアス電圧V1との電圧差である。
【0069】
図2に示すように、制御部270は、電圧制御部271と、剥離制御部272と、トナー層形成制御部273と、モード設定部274と、タブ用紙印刷認識部275を有する。
【0070】
電圧制御部271は、後述のトナー層形成制御部273から出力される制御信号S2又は後述の剥離制御部272から出力される制御信号S3を受けて、第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262に制御信号S4を出力する。
【0071】
タブ用紙印刷認識部275は、入力部250にユーザーが入力設定することにより、印刷対象がタブ用紙T1のタブ部Tbのみであることを認識する。
図5に示すように、タブ用紙T1は、矩形のシート本体Ta、及びシート本体Taの周縁から延出するタブ部Tbを有する。
【0072】
モード設定部274は、動作モードとして、トナー層形成モードTM又はトナー層剥離モードHMを選択的に設定する(切り替える)。
トナー層形成モードTMは、現像装置16aによる現像が行われる際に、現像ローラー150の表面に所定厚さのトナー層193を形成する動作モードである。具体的には、モード設定部274は、コピー機1の電源オンに対応して、ユーザーが入力部250に入力設定することによりタブ用紙印刷認識部275がタブ用紙T1のタブ部Tbのみの印刷であることを認識した場合に、タブ部Tbに対して印刷を行うタイミングにおいて、動作モードをトナー層形成モードTMに設定する。また、モード設定部274は、トナー層形成モードTMが終了した場合に、動作モードをトナー層形成モードTMからトナー層剥離モードHMに切り替える。
【0073】
トナー層剥離モードHMは、現像ローラー150の表面に形成されたトナー層193を形成するトナー192を、現像ローラー150が複数回回転する間に剥離させる動作モードである。具体的には、モード設定部274は、ユーザーによる入力部250への入力設定がなく矩形の本体のみからなる汎用用紙Tを印刷対象とする場合及びユーザーによる入力部250への入力設定によりタブ用紙T1を印刷対象とする場合でも、タブ部Tbに対する印刷以外の矩形のシート本体Ta及び次のタブ用紙T1との間のいわゆる紙間が通過するタイミングでは、動作モードをトナー層形成モードTMからトナー層剥離モードHMに切り替える。
【0074】
トナー層形成制御部273は、トナー層形成モードTMにおいて、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1とするように電圧制御部271に指示する。バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1とすることにより、磁気ローラー130と現像ローラー150との間には、磁気ローラー130と現像ローラー150との間においてトナー192を移動させる電界が生じる。例えば、トナー層形成モードTMにおけるバイアス電圧の条件の具体例は、次の通りである。
第1バイアス電圧V1 直流電圧(DC):350V
交流電圧(AC):2500V
第2バイアス電圧V2 直流電圧(DC):50V
交流電圧(AC):1500V
周波数 4700Hz
【0075】
図4に示すように、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1とした所定時間経過後には、磁気ローラー130と現像ローラー150との間をトナー192が移動しない平衡状態となる。つまり、トナー192の移動の平衡状態とは、磁気ローラー130から現像ローラー150へ向かう方向へのトナー192の移動及び現像ローラー150から磁気ローラー130へ向かう方向へのトナー192の移動が釣り合っている状態である。
【0076】
この平衡状態から、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1よりも大きいバイアス電圧差VBに変更することにより、プラス帯電したトナー192は、現像ローラー150から磁気ローラー130に移動される。また、第1電圧差VB1における平衡状態から第1電圧差VB1よりも小さいバイアス電圧差VBに変更された場合には、プラス帯電したトナー192は、磁気ローラー130から現像ローラー150に移動される。
【0077】
図2に示すように、トナー層形成制御部273は、後述する記憶部280を参照して、記憶部280に記憶された第1電圧差VB1に関する電圧情報を取得する。トナー層形成制御部273は、記憶部280に記憶された電圧情報に基づいて、電圧制御部271に指示する。具体的には、トナー層形成制御部273は、トナー層形成モードTMにおいて、電圧制御部271に制御信号S2を出力することによりバイアス電圧差VBを第1電圧差VB1とするように指示する。これにより、現像ローラー150の表面には、所定厚さのトナー層193が形成される。
【0078】
図2に示すように、剥離制御部272は、トナー層剥離モードHMにおいて、バイアス電圧差VBを第2電圧差VB2とするように、電圧制御部271に指示する。
【0079】
剥離制御部272は、後述する記憶部280を参照して、記憶部280に記憶された第2電圧差VB2に関する電圧情報を取得する。剥離制御部272は、現像ローラー150の表面に形成されたトナー層193を、現像ローラー150が複数回回転する間に剥離させるように、電圧制御部271に指示する。
【0080】
具体的には、剥離制御部272は、記憶部280に記憶された電圧情報に基づいて、トナー層剥離モードHMにおいて、最初の回転で、バイアス電圧差VBが第1電圧差VB1から第2電圧差VB2となるように、電圧制御部271に対して制御信号S3を出力する。
【0081】
第2電圧差VB2は、現像ローラー150の表面にトナー層193が形成されている状態から、最初の回転で、トナー層193からトナー192を磁気ローラー130に移動させるバイアス電圧差VBである。具体的には、トナー192がプラスに帯電している場合には、第2電圧差VB2は、第1電圧差VB1よりも大きいバイアス電圧差VBである。
【0082】
詳細には、剥離制御部272は、トナー層剥離モードHMにおいて、現像ローラー150の第1回転目(最初の回転)の1回転で、バイアス電圧差VBが、第1電圧差VB1よりも大きい電圧差である第2電圧差VB2となるように、電圧制御部271に指示する。これにより、第2電圧差VB2は、現像ローラー150から磁気ローラー130にトナー192を移動させるような電界を生じさせる。例えば、トナー層剥離モードHMにおけるバイアス電圧の条件の具体例は、次の通りである。
第1バイアス電圧V1 直流電圧(DC):150V
交流電圧(AC):2000V
第2バイアス電圧V2 直流電圧(DC):50V
交流電圧(AC):1500V
周波数 4700Hz
【0083】
本実施形態においては、図4に示すように、動作モードがトナー層剥離モードHMになるように、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1から第2電圧差VB2に変更した場合、トナー192は、現像ローラー150に形成されたトナー層193から磁気ローラー130に移動する。具体的には、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1から第2電圧差VB2に変更した場合、現像ローラー150に形成されたトナー層193を形成するトナー192の略全部は、第2電圧差VB2による電界の影響を受けて、磁気ブラシ194により現像ローラー150から磁気ローラー130に移動される。
【0084】
また、制御部270は、タブ用紙印刷認識部275がタブ用紙T1のタブ部Tbのみの印刷であることを認識した場合に、定着部9による定着温度を、その他の場合における定着温度よりも下げることもできる。
【0085】
図2に示すように、記憶部280は、バイアス電圧記憶部281を有する。
バイアス電圧記憶部281には、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1又は第2電圧差VB2とするための第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2に関する電圧情報が記憶されている。
【0086】
次に、本実施形態のコピー機1による印刷動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。図6は、タブ用紙T1のタブ部Tbに対してのみ印刷する場合の動作モード及び電圧制御部271による電圧差の制御内容を説明するフローチャートである。
【0087】
まず、図6に示すように、ステップST1において、ユーザーが電源をオンして、コピー機1の印刷動作を開始する。
【0088】
次に、ステップST2において、ユーザーが入力部250によりタブ用紙印刷認識部275に入力設定したか否かに基づいて、印刷対象が、図5に示すタブ用紙T1であるか否かが判定される。印刷対象がタブ用紙T1である場合(YES)には、処理はステップST6へ進む。印刷対象がタブ用紙T1ではない場合(NO)には、即ち、印刷対象が矩形のシート本体のみからなる汎用用紙Tである判定された場合には、処理はステップST3へ進む。
【0089】
ステップST3において、モード設定部274は、動作モードをトナー層形成モードTMに設定する。トナー層形成モードTMにおいては、トナー層形成制御部273は、バイアス電圧差VBが第1電圧差VB1になるように電圧制御部271に指示し、第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262は、それぞれ第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2を、その差が第1電圧差VB1になるように印加する。
そして、ステップST4において、1枚の汎用用紙Tへの印刷が完了する。
【0090】
ステップST5において、モード設定部274は、動作モードをトナー層剥離モードHMに切り替える。トナー層剥離モードHMにおいては、剥離制御部272は、バイアス電圧差VBを第2電圧差VB2に変更するように電圧制御部271に指示する。第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262は、それぞれ第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2を、その差が第2電圧差VB2になるように印加する。
上述のように、印刷対象が汎用用紙Tである場合、トナー層形成モードTMとトナー層剥離モードHMとが順次切り替えられると共に、バイアス電圧差VBが各モードTM及びHMにそれぞれ対応する第1電圧差VB1及び第2電圧差VB2に制御されて、汎用用紙Tに対する通常の印刷が行われる。
【0091】
一方、ステップST2においてYESと判定された場合には、処理はステップST6に進む。ステップST6において、タブ用紙印刷認識部275による認識を参照して、タブ用紙T1のタブ部Tbのみの印刷であるかどうかが判定される。
【0092】
ステップST6において、タブ部Tbのみの印刷である場合(YES)には、処理はステップST7へ進む。タブ部Tbのみの印刷ではない場合(NO)には、処理はステップST3へ進む。この場合、タブ用紙T1におけるシート本体Ta及びタブ部Tbの両方に印刷を行うことになるので、印刷対象が汎用用紙Tである場合と同様に、ステップST3からステップST5の処理を行う。
【0093】
ステップST7において、モード設定部274は、動作モードをトナー層剥離モードHMに設定する。また、剥離制御部272は、バイアス電圧差VBを、第1電圧差VB1よりも大きい第2電圧差VB2に設定するように電圧制御部271に指示する。また、第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262は、それぞれ第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2を、その差が第2電圧差VB2となるように印加する。
【0094】
上述のような第2電圧差VB2でのトナー層剥離モードHMは、図5に示すように、タブ用紙T1における矩形のシート本体Taの幅方向の全域W1が所定の印刷対応位置を通過するまで継続される。
【0095】
次に、ステップST8において、タブ用紙T1におけるタブ部Tbの始端が所定の印刷対応位置にまで移送されるタイミングで、モード設定部274は、動作モードをトナー層形成モードTMに切り替える。また、トナー層形成制御部273は、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1に変更するように電圧制御部271に指示する。また、第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262は、それぞれ第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2を、その差が第1電圧差VB1となるように印加する。
これにより、第1電圧差VB1の状況で、タブ用紙T1におけるタブ部Tbへのトナー画像の形成(印刷)が行われる。
【0096】
そして、ステップST9において、タブ用紙T1におけるタブ部Tbへの印刷が完了する。
【0097】
ステップST10において、モード設定部274は、動作モードをトナー層剥離モードHMに切り替える。また、剥離制御部272は、バイアス電圧差VBを、第1電圧差VB1よりも大きい第2電圧差VB2に変更するように電圧制御部271に指示する。また、第1電圧印加部261及び第2電圧印加部262は、それぞれ第1バイアス電圧V1及び第2バイアス電圧V2を、その差が第2電圧差VB2となるように印加する。
【0098】
第2電圧差VB2でのトナー層剥離モードHMは、図5に示すように、タブ部Tbへの印刷が終了したタブ用紙T1と、次のタブ用紙T1との間のいわゆる紙間W2、及び、次のタブ用紙T1における矩形のシート本体Taの幅方向の全域W1が所定の印刷対応位置を通過して次のタブ用紙T1におけるタブ部Tbが所定の印刷対応位置に移送されるまで、継続される。
【0099】
上述のように、タブ用紙T1におけるタブ部Tbのみが印刷対象である場合、タブ部Tbの印刷タイミングでのみ、動作モードがトナー層形成モードTMに切り替えられると共に、バイアス電圧差VBがトナー層形成モードTMに対応する第1電圧差VB1に制御される。一方、タブ部Tbの印刷タイミング以外のタイミング、即ち、矩形のシート本体Taの幅方向の全域W1が所定の印刷対応位置を通過するタイミング及びタブ用紙T1と次のタブ用紙T1との間の紙間W2が所定の印刷対応位置を通過するタイミングでは、動作モードは、トナー層剥離モードHMに切り替えられると共に、バイアス電圧差VBは、トナー層剥離モードHMに対応する第2電圧差VB2に制御される。
【0100】
なお、印刷対象が汎用用紙T及びタブ用紙T1のいずれであっても、トナー層形成モードTMにおいて、現像ローラー150の表面へのトナー層の形成及び用紙T又はT1への印刷動作は、次のようにして行われる。
図2及び図3に示すように、2成分現像剤190は、まず、撹拌ローラー120a,120bにより撹拌される。撹拌された2成分現像剤190に摩擦による静電気が発生する。これにより、磁性キャリア191はマイナスに帯電し、トナー192はプラスに帯電する。また、静電気力により磁性キャリア191に、トナー192が付着する。
【0101】
図3に示すように、2成分現像剤190は、磁気スリーブ131の内部に配置された磁気ローラー磁極部材132から136の磁力により、回転方向Bに回転する磁気ローラー130の表面に保持される。複数の磁気ローラー磁極部材134から136の磁力により、磁気ローラー130の表面には、現像剤層194が形成される。
磁気ローラー130の表面に形成された現像剤層194は、磁気スリーブ131の回転に伴って回転移動し、層厚規制ブレード140に接触して所定の層厚に規制される。
【0102】
層厚規制ブレード140により所定の層厚に規制された現像剤層194は、磁気ローラー130と現像ローラー150との対向位置近傍に移動して、磁界171が形成された領域に位置する。この領域において、現像剤層194は、磁界171の影響を受けて立ち上がり、磁気ブラシ194を形成して現像ローラー150に接触する。
【0103】
そして、トナー層形成制御部273が、バイアス電圧差VBを第1電圧差VB1とするように電圧制御部271に指示することにより、図2及び図3に示すように、磁気ローラー130の表面に保持された2成分現像剤190を構成するプラスに帯電しているトナー192は、バイアス電圧差VBとしての第1電圧差VB1による電界の影響を受けて、磁気ブラシ194により現像ローラー150に移送される。これにより、現像ローラー150の表面には、トナー層193が形成される。
【0104】
現像装置16aは、現像ローラーに形成されたトナー層193により感光体ドラム2aに形成された静電潜像を現像する。
具体的には、トナー層193が形成された現像ローラー150の表面は、感光体ドラム2aの表面と対向し、現像ローラー150と感光体ドラム2aとの電位差によって静電潜像が現像される。つまり、感光体ドラム2aにおいては、表面に静電潜像が形成されると共に、現像装置16aのトナー層193からトナーの供給を受けて静電潜像に、トナー画像が形成される。
【0105】
そして、図1に示すように、感光体ドラム2aに現像されたトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像は、2次転写ローラー8により用紙T又はT1のタブ部Tbに2次転写される。用紙T又はT1のタブ部Tbに2次転写されたトナー画像は、定着部9に搬送されて、定着部9によりトナーが用紙T又はT1のタブ部Tbに定着される。
その後、用紙T又はT1は、第3搬送路L3により第1排紙部50aに搬送され、第1排紙部50aから排紙集積部M1に排出される。このようにして、コピー機1による用紙T又はT1の印刷が完了する。
【0106】
本実施形態のコピー機1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のコピー機1は、タブ用紙T1におけるタブ部Tbに対してのみ印刷を行う場合に、タブ部Tbに対して印刷を行うタイミングでは、トナー層形成モードTMで、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧との電圧差を、現像ローラー150の表面にトナー層193が形成される第1電圧差VB1となるような制御を行い、その他のタイミングでは、トナー層剥離モードHMで、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧との電圧差を、トナー層193を形成するトナー192の略全部を磁気ローラー130に移動させる第2電圧差VB2となるような制御を行う。
【0107】
そのため、矩形のシート本体Taの全域に印刷する場合に比べて、印刷時間及び現像時間が非常に短いタブ部Tbへの印刷以外のタイミングにおいては、現像ローラー150の表面にトナー層193を不必要に形成して保持することがない。
これによって、トナー層193を形成するトナー192及びトナー192に添加されているチタン等の外添剤が飛散して無駄に消費されること、及び、印刷が不要なシート本体への飛散トナーの付着を抑制できる。したがって、ユーザーにおけるランニングコストの低減に寄与することができると共に、用紙の汚染を抑えることができる。
【0108】
また、現像ローラー150の表面に保持されるトナー層193のトナー192がチャージアップされるなどトナーの劣化を抑制することが可能である。これによって、次の印刷時において、画像の欠けや濃淡の発生等といった不良画像の発生を低減することができる。
【0109】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
前述の実施形態においては、印刷対象がタブ用紙T1であることを、ユーザーによる入力部250への入力設定によって認識することができるようにタブ用紙印刷認識部275を制御部270に備えたものについて説明しているが、これに制限されない。例えば、タブ用紙T1のタブ部Tbを光学的に検出するセンサーを設け、このセンサーにより印刷対象がタブ用紙T1であることを検出するようにしてもよい。
【0110】
また、前述の実施形態においては、タブ用紙T1における矩形のシート本体Taの幅方向の全域W1と紙間W2との両方に亘るトナー層剥離モードHMにおいて、一定の第2電圧差VB2に制御されると説明したが、これに制限されない。例えば、シート本体Taの幅方向の全域W1のトナー層剥離モードHMと紙間W2のトナー層剥離モードHMとにおける電圧差が、互いに異なるような電圧制御を行ってもよい。
【0111】
また、前述の実施形態においては、汎用用紙T及びタブ用紙T1のいずれを印刷対象とする場合も、トナー層形成モードTMにおける電圧差VBは、一定の第1電圧差VB1であると説明したが、これに制限されない。例えば、汎用用紙Tを印刷対象とする場合とタブ用紙T1を印刷対象とする場合とで、トナー層形成モードTMにおける電圧差VBを変えてもよい。
【0112】
また、トナー層剥離モードHMにおいて現像ローラー150の回転を停止させることも可能である。
【0113】
更に、前述の実施形態は、中間転写ベルト7を用いて複数色のトナー画像を用紙Tに転写するカラーの間接転写方式の画像形成装置であるが、画像形成装置の種類は、これに制限されない。本発明は、中間転写ベルトを用いない直接転写方式の画像形成装置や、モノクロ印刷用の画像形成装置であってもよい。
【0114】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、カラーコピー機、プリンター、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シートは、用紙Tに制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1……コピー機(画像形成装置)、2a、2b、2c、2d……感光体ドラム(像担持体)、7……中間転写ベルト(転写部)、16a、16b、16c、16d……現像装置、130……磁気ローラー(現像剤担持回転体)、150……現像ローラー(トナー担持回転体)、190……現像剤、191……キャリア、192……トナー、193……トナー層、194……現像剤層(磁気ブラシ)、261……第1電圧印加部(電圧印加部)、262……第2電圧印加部(電圧印加部)、271……電圧制御部、272……剥離制御部、273……トナー層形成制御部、T……汎用用紙(シート)、T1……タブ用紙(タブシート)、Ta……シート本体、Tb……タブ部、TM……トナー層形成モード、HM……トナー層剥離モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6