特許第5805024号(P5805024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5805024混練造粒製造装置における熱の再利用方法及び混練造粒製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805024
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】混練造粒製造装置における熱の再利用方法及び混練造粒製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
   B29B9/06
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-155658(P2012-155658)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-15026(P2014-15026A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】東 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】福谷 和久
(72)【発明者】
【氏名】宝谷 晋
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−171356(JP,A)
【文献】 特表2003−530237(JP,A)
【文献】 特開平04−263906(JP,A)
【文献】 特開2012−020438(JP,A)
【文献】 特表2009−537345(JP,A)
【文献】 特表2010−521334(JP,A)
【文献】 特表2012−521940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置における熱の再利用方法であって、前記分離器から排出された粒状樹脂分離後の冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給し、
前記混練造粒製造装置は、膨張弁と圧縮機とを備えており、
前記膨張弁で粒状樹脂分離後の冷却水を気化し、この気化した冷却水を前記圧縮機で断熱圧縮して過熱蒸気を生成し、
前記生成された過熱蒸気が有する熱量を前記混練機及び/又は造粒機へと供給する
ことを特徴とする混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項2】
前記過熱蒸気の熱量を熱交換器を介して不活性ガスに付与し、
熱量が付与された不活性ガスを、混練機に備えられたホッパ内に通過させることで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱することを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項3】
前記過熱蒸気の熱量により前記混練機に備えられたホッパを加熱することで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱することを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項4】
前記過熱蒸気の熱量を熱交換器を介して作動媒体に付与し、
熱量が付与された作動媒体を、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に通過させることで、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するようにしていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項5】
前記過熱蒸気を造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に通過させることで、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するようにしていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項6】
前記造粒機へ供給される冷却水を工場内の水供給源から供給し、前記圧縮機で過熱蒸気とされ樹脂材料と熱交換された冷却水を再度工場内の水供給源へ返送することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の混練造粒製造装置における熱の再利用方法。
【請求項7】
樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置であって、
前記分離器から排出された冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給する熱量回収手段を備えていて、
前記熱量回収手段は、粒状樹脂分離後の冷却水を気化させる膨張弁と、前記膨張弁で気化した冷却水を断熱圧縮して過熱蒸気を生成する圧縮機と、を備えている
ことを特徴とする混練造粒製造装置。
【請求項8】
前記熱量回収手段は、前記圧縮機で生成された過熱蒸気の熱を不活性ガスに付与する熱交換器を備え、
前記熱交換器により熱量を付与された不活性ガスは、混練機に備えられたホッパ内を通過するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置。
【請求項9】
前記熱量回収手段は、前記過熱蒸気の熱量により前記混練機に備えられたホッパを加熱することで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置。
【請求項10】
前記熱量回収手段は、前記圧縮機で生成された過熱蒸気の熱量を作動媒体に付与する熱交換器を備え、
前記熱交換器により熱量を付与された作動媒体は、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部を通過し、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置。
【請求項11】
前記熱量回収手段は、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に過熱蒸気を通過させ、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の混練造粒製造装置。
【請求項12】
前記造粒機へ供給される冷却水を工場内の水供給源から供給し、前記圧縮機で過熱蒸気とされ樹脂材料と熱交換された冷却水を再度工場内の水供給源へ返送するように構成されていることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の混練造粒製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練造粒製造装置における熱の再利用方法、熱の再利用方法を適応可能な混練造粒製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、混練造粒製造装置は、PEやPPなどの樹脂材料を溶融しながら混練し、混練された樹脂を押し出す混練機と、混練された樹脂をカッティングし冷却水で冷却することで粒状樹脂を製造する造粒機と、冷却水から粒状樹脂を分離する分離器とで構成されている。
具体的には、混練機は、内部が空洞とされたバレル内に、樹脂材料を混練する混練ロータが回転自在に収容され、混練ロータが回転するバレル内を樹脂材料が通過することで樹脂などの材料が混練されるようになっている。混練機の下流側には、造粒機が配置されている。造粒機は、混練され流動状態となった樹脂を押し出すダイ(ダイプレート)と、このダイから押し出された樹脂を回転しながら粒状に切断するカッタと、を有している。これらダイとカッタは、冷却水が流通する水室内に収納される構造となっている。この水室では、冷却水が切断された樹脂の冷却を行っている。造粒機の下流側には、分離器が配置されている。分離器は、冷却された樹脂と冷却水とを分離するものであり、冷却された樹脂が外部に排出されるようになっている。冷却水は、冷却器などで温度を下げた後、再度樹脂の冷却に用いられ、循環するようになっている。
【0003】
粒状樹脂を製造するには、まず、混練機で樹脂材料を溶融状態の樹脂に混練し、造粒機に送る。次に、造粒機に備えられたダイから溶融樹脂を押し出しつつ、ダイに備えられたカッタで切断する。切断された樹脂は、粒状樹脂となり、冷却水で満たされている水室に送られ、冷却される。冷却された樹脂は、冷却水とともに分離器に送られ、粒状樹脂と冷却水とに分離される。分離された粒状樹脂は、外部に排出され、次工程に送られる。
【0004】
ところで、造粒機の水室では、高温の熱を有した樹脂を冷却水によって冷却している。そのため、冷却後の冷却水は比較的高温の温水となり、所定の熱量を有することとなる。この冷却水が有する熱量を有効に再利用することは、省エネなどの観点から好ましく、混練造粒製造装置における熱の再利用の技術として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0005】
特許文献1は、押出機から押出された合成樹脂を水中切断ユニットの循環水中で粒状に切断し、循環水を循環水冷却器で冷却するようにした水中切断式合成樹脂造粒方法及び装置において、前記循環水冷却器で熱交換して得られた高温をエネルギ源として用い、省エネルギを達成するとされている。具体的には、特許文献1の混練造粒製造装置は、循環水冷却器で熱交換して得られた温水の熱量を熱源として発電を行うものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−263906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、混練造粒製造装置の混練機で溶融状態とされた樹脂は、200℃以上の高温状態で造粒機に供給され、ダイから押し出され回転カッタにより粒状に切断される。切断された粒状樹脂は、造粒機の水室内を流れる冷却水により100℃以下に冷却される。このとき、冷却水は粒状樹脂と熱交換され70℃〜90℃の温水となり、造粒機から排出される。
【0008】
このように、造粒機から排出された冷却水(温水)は所定量の熱エネルギを有するものであるが、その温度が70〜90℃ということで、冷却水が有する熱エネルギを高い効率で取り出して再利用するためには、特許文献1のように何らかの技術が必要となる。
しかしながら、特許文献1に開示された熱エネルギの再利用方法では、排出熱量を発電機を用いて電気に変換しているため、熱エネルギの利用効率が低下してしまう虞がある。
それ故、多くの熱エネルギが失われることとなる。また、発電機や膨張機などの発電設備を混練造粒製造装置に用いることにより、混練造粒製造装置の設備が大型となってしまう。このような、大型の混練造粒製造装置を設置するためには、多額の費用と、広い設置場所とが必要となってくる。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、混練造粒製造装置から排出された粒状樹脂分離後の冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、混練造粒製造装置に返送することで、熱の再利用が高効率で行える混練造粒製造装置及びこの混練造粒製造装置を用いた熱の再利用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
本発明に係る混練造粒製造装置における熱の再利用方法は、樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置における熱の再利用方法であって、前記分離器から排出された粒状樹脂分離後の冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記混練造粒製造装置は、膨張弁と圧縮機とを備えており、前記膨張弁で粒状樹脂分離後の冷却水を気化し、この気化した冷却水を前記圧縮機で断熱圧縮して過熱蒸気を生成し、前記生成された過熱蒸気が有する熱量を前記混練機及び/又は造粒機へと供給するとよい。
好ましくは、前記過熱蒸気の熱量を熱交換器を介して不活性ガスに付与し、熱量が付与された不活性ガスを、混練機に備えられたホッパ内に通過させることで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱するとよい。
【0012】
好ましくは、前記過熱蒸気の熱量により前記混練機に備えられたホッパを加熱することで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱することを特徴とするとよい。
好ましくは、前記過熱蒸気の熱量を熱交換器を介して作動媒体に付与し、熱量が付与された作動媒体を、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に通過させることで、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するようにしているとよい。
【0013】
好ましくは、前記過熱蒸気を造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に通過させることで、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するようにしていることを特徴とするとよい。
好ましくは、前記造粒機へ供給される冷却水を工場内の水供給源から供給し、前記圧縮機で過熱蒸気とされ樹脂材料と熱交換された冷却水を再度工場内の水供給源へ返送することを特徴とするとよい。
【0014】
本発明に係る混練造粒製造装置は、樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置であって、前記分離器から排出された冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給する熱量回収手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記熱量回収手段は、粒状樹脂分離後の冷却水を気化させる膨張弁と、前記膨張弁で気化した冷却水を断熱圧縮して過熱蒸気を生成する圧縮機と、を備えているとよい。
好ましくは、前記熱量回収手段は、前記圧縮機で生成された過熱蒸気の熱を不活性ガスに付与する熱交換器を備え、前記熱交換器により熱量を付与された不活性ガスは、混練機に備えられたホッパ内を通過するように構成されているとよい。
【0016】
好ましくは、前記熱量回収手段は、前記過熱蒸気の熱量により前記混練機に備えられたホッパを加熱することで、前記ホッパ内に存在する樹脂材料を加熱するように構成されているとよい。
好ましくは、前記熱量回収手段は、前記圧縮機で生成された過熱蒸気の熱量を作動媒体
に付与する熱交換器を備え、前記熱交換器により熱量を付与された作動媒体は、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部を通過し、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するように構成されているとよい。
【0017】
好ましくは、前記熱量回収手段は、造粒機のダイの内部及び/又は混練機のチャンバの内部に過熱蒸気を通過させ、前記造粒機のダイ及び/又は混練機のチャンバを加熱するように構成されているとよい。
好ましくは、前記造粒機へ供給される冷却水を工場内の水供給源から供給し、前記圧縮機で過熱蒸気とされ樹脂材料と熱交換された冷却水を再度工場内の水供給源へ返送するように構成されているとよい。
なお、本発明の混練造粒製造装置における熱の再利用方法の最も好ましい形態は、樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の
粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置における熱の再利用方法であって、前記分離器から排出された粒状樹脂分離後の冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給し、前記混練造粒製造装置は、膨張弁と圧縮機とを備えており、前記膨張弁で粒状樹脂分離後の冷却水を気化し、この気化した冷却水を前記圧縮機で断熱圧縮して過熱蒸気を生成し、前記生成された過熱蒸気が有する熱量を前記混練機及び/又は造粒機へと供給することを特徴とする。
なお、本発明の混練造粒製造装置の最も好ましい形態は、樹脂を混練する混練機と、混練機で混練された樹脂を造粒機で粒状に切断すると共に切断後の粒状樹脂を冷却水で冷却する造粒機と、前記造粒機から排出された粒状樹脂を冷却水から分離する分離器と、を備えた混練造粒製造装置であって、前記分離器から排出された冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、前記混練機及び/又は造粒機へと供給する熱量回収手段を備えていて、前記熱量回収手段は、粒状樹脂分離後の冷却水を気化させる膨張弁と、前記膨張弁で気化した冷却水を断熱圧縮して過熱蒸気を生成する圧縮機と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、混練造粒製造装置から排出された粒状樹脂分離後の冷却水が有する熱量を回収し、熱の状態を維持しつつ、混練造粒製造装置に返送することで、混練造粒製造装置の熱の再利用が高効率で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】混練造粒製造装置で生じた熱を再利用する方法を示した図である。
図2】第1実施形態の混練造粒製造装置を示した図である。
図3】第1実施形態の混練造粒製造装置の変形例を示した図である。
図4】第2実施形態の混練造粒製造装置を示した図である。
図5】第2実施形態の混練造粒製造装置の変形例を示した図である。
図6】第3実施形態の混練造粒製造装置を示した図である。
図7】第3実施形態の混練造粒製造装置の変形例を示した図である。
図8】第4実施形態の混練造粒製造装置を示した図である。
図9】第4実施形態の混練造粒製造装置の変形例を示した図である。
図10】第5実施形態の混練造粒製造装置を示した図である。
図11】第5実施形態の混練造粒製造装置の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る混練造粒製造装置1における熱の再利用方法の実施形態を、図を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態の混練造粒製造装置1は、PE、PPなどの樹脂材料M(パウダ)を溶融しながら混練し、混練された樹脂を押し出す混練機2と、混練された樹脂Mをカッティングし冷却水Wで冷却することで粒状樹脂Nを製造する造粒機7と、冷却水Wから粒状樹脂Nを分離する分離器11とで構成されている。加えて、造粒機7から排出され分離器11を通過した冷却水Wを貯留する貯留タンク12と、貯留タンク12から排出された冷却水Wを冷却する冷却器14とを有している。
【0021】
具体的には、混練機2は、内部が空洞とされたバレル4内に、樹脂材料Mを混練する混練ロータ3が回転自在に収容され、混練ロータ3が回転するバレル4内を樹脂材料Mが通過することで、PEなどの樹脂材料Mが混練されるようになっている。
混練機2の下流側には、造粒機7が配置されている。造粒機7は、混練され流動状態となった樹脂材料Mを押し出すダイ8(ダイプレート)と、このダイ8から押し出された樹脂材料Mを回転しながら粒状に切断するカッタ9と、冷却水Wが流通する水室10とを有している。これらダイ8とカッタ9は、冷却水Wが流通する水室10内に収納される構造となっている。この水室10では、冷却水Wが切断された樹脂(粒状樹脂N)の冷却を行っている。冷却後の冷却水Wは、高温の粒状樹脂Nから熱をもらい、温水となっている。
【0022】
造粒機7の下流側には、分離器11が配置されている。分離器11は、冷却された粒状樹脂Nが混入する冷却水Wから粒状樹脂Nのみを分離するものであり、冷却水Wと粒状樹脂Nが分離され、分離器11の外部に排出されるようになっている。
図2に示すように、分離器11の下流側には、貯留タンク12が配置されている。貯留タンク12は、分離器11で分離された高温の冷却水Wを貯留する内部が空洞の筐体であり、上流側(分離器11側)から流入した冷却水Wを下流側へ排出するようになっている
。この貯留タンク12の形状としては、内部が空洞で流入口と流出口を備えていれば、様々なものが採用可能である。例えば、内部が空洞の円筒形状などが挙げられる。
【0023】
貯留タンク12の下流側には、循環ポンプ13が配置されている。循環ポンプ13は、上流側にある貯留タンク12から排出された冷却水Wを下流側にある冷却器14の圧送するものである。
循環ポンプ13の下流側には、冷却器14が配置されている。冷却器14は、造粒機7で粒状樹脂Nとの熱交換によって温水となった冷却水Wを降温し、再び粒状樹脂Nの冷却に用いることが可能な温度の冷却水Wに低下させるものである。冷却器14によって冷却された冷却水Wは、再び造粒機7の水室10内に供給されるようになる。
【0024】
冷却器14の冷却方式は、大気中の空気と冷却水Wとを熱交換することによって、この冷却水Wの温度を低下させる方法(空冷方式)であったり、冷媒と冷却水Wとを熱交換することによって、この冷却水Wの温度を低下させる方法(冷媒冷却方式)が採用可能である。
まとめれば、これらの造粒機7(造粒機の水室10)、分離器11、貯留タンク12、冷却器14、循環ポンプ13は、閉ループ状の第1水流路19により接続され、循環ポンプ13の働きにより、冷却水Wを造粒機7から分離器11→貯留タンク12→冷却器14の順に経由して造粒機7に循環させるようになっている。つまり、冷却水Wは、これら第1水流路19を循環するようになっている。
【0025】
次に、上記した混練造粒製造装置1を用いた粒状樹脂Nを製造する製造工程について説明する。
図1及び図2に示すように、樹脂材料Mの製造工程では、まず混練機2に備えられたホッパ5に樹脂材料Mが装入される。装入された樹脂材料Mは、混練機2の混練部6に送られ、混練ロータ3が回転し樹脂材料Mの混練が開始される。このとき、混練された樹脂材料Mは溶融状態となり、200℃以上の高温となり、多くの熱エネルギ(以下、熱量と呼ぶことがある)を有することとなる。混練機2で樹脂材料Mの混練が終了すると、溶融状態で高温となった樹脂は、混練機2の下流側にある造粒機7に送られる。
【0026】
造粒機7に送られた溶融樹脂は、造粒機7に備えられたダイ8から造粒機内の水室10へ押し出されつつ、このダイ8に備えられたカッタ9で粒状に切断される。粒状樹脂Nは、冷却水Wで満たされている水室10で100℃以下に冷却される。このとき、冷却水Wは、粒状樹脂Nとの熱交換により、70〜90℃の温水となる。
冷却された粒状樹脂Nは、冷却水Wと共に分離器11に送られる。分離器11では、冷却水Wから粒状樹脂Nが分離される。
【0027】
分離器11から排出された冷却水Wは、貯留タンク12に送られる。貯留タンク12に流入した冷却水Wは、所定の水量まで貯留タンク12に貯留され、その後、循環ポンプ13で圧送される。
循環ポンプ13で圧送された冷却水Wは、冷却器14に送られる。冷却器14に流入した冷却水Wは、大気中の空気若しくは冷温媒体などと熱交換され、低温の冷却水Wに冷却される。
【0028】
冷却された冷却水Wは、造粒機7に送られ、再び粒状樹脂Nの冷却水Wとして用いられる。
その結果、冷却水Wは第1水流路19を循環することで、粒状樹脂Nの冷却を複数回行えるようになっている。
さて、粒状樹脂Nと熱交換された冷却水W(70〜90℃の温水)は所定の熱エネルギを有している。このような熱エネルギを取り出して利用することは、非常に有益なことであるが、熱源として用いるには比較的低温であるため、回収して効率よく再利用することが難しいのが実情であった。
【0029】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、粒状樹脂Nと熱交換された冷却水W(温水)の熱エネルギを熱の状態を維持しつつ、再び混練機2及び/又は造粒機7に供給する方法を用いることで、有効な熱の再利用(廃熱の再利用)を行うことができることを知見した。
以下、本発明に係る混練造粒製造装置1での熱の再利用方法、すなわち、廃熱の回収方法を具体的に述べる。
【0030】
図2に示すように、第1実施形態の混練造粒製造装置1は、前述した混練機2、造粒機7、分離器11、製造された粒状樹脂Nを冷却する冷却水Wが流れる第1水流路19とを有すると共に、造粒機7内で熱交換され温水となった冷却水Wの熱エネルギを回収し、この熱エネルギを用いて不活性ガスTを蒸発させ、蒸発した不活性ガスTの蒸気で樹脂材料Mを加熱する熱量回収手段15を備えていることを特徴としている。
【0031】
この熱量回収手段15は、造粒機7から排出された冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16と、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xに生成する圧縮機17と、過熱蒸気Xの熱量を不活性ガスTに付与する熱交換器18と、で構成されている。
具体的には、造粒機7から分離器11を経由して吐出された冷却水Wは、貯留タンク12に一時的に貯留される。この貯留タンク12の下流側には、冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16が接続されており、貯留タンク12の冷却水Wを分岐し気化することができるようになっている。
【0032】
この膨張弁16の下流側には、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xを生成させる圧縮機17が備えられている。
圧縮機17の下流側には、熱交換器18が備えられている。この熱交換器18の一次側には、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xが流通し、二次側には不活性ガスT(例えば、窒素)が流通しており、過熱蒸気Xから不活性ガスTへと熱が付与される。すなわち、過熱蒸気Xが不活性ガスTと熱交換される。熱交換後の過熱蒸気Xは液体へと相変化し、冷却器14の上流側へと返送され、第1水流路19内を流れる冷却水Wと合流するようになっている。
【0033】
これらの膨張弁16、圧縮機17、熱交換器18の一次側は、貯留タンク12から分岐されて第1水流路19上の冷却器14と循環ポンプ13の間に戻る第2水流路20上(閉ループ状の第2水流路20上)に配備されることになる。
熱交換器18の二次側には、不活性ガスT(窒素)が流通している媒体流路21が配備されており、この媒体流路21は、混練機2に備えられているホッパ5内を通過するように配備されている。
【0034】
このように、上記した熱量回収手段15を用いて、熱エネルギを再利用するに際しては、造粒機7内で熱交換され温水となった冷却水Wの熱エネルギを回収し、この熱エネルギを用いて不活性ガスTを加熱し、加熱した不活性ガスTで樹脂材料Mを加熱するようにしている。
具体的には、造粒機7に備えられたカッタ9で切断された粒状樹脂Nが造粒機7内を流通する冷却水W中に押し出され、粒状樹脂Nの熱エネルギが冷却水Wに付与される。この冷却水Wは、70〜90℃程度に上昇し温水となる。熱エネルギが付与された冷却水W(温水)は、第1水流路19を通って、冷却された粒状樹脂Nと共に分離器11に送られる。
【0035】
分離器11では、熱エネルギが付与された冷却水Wが粒状樹脂Nから分離される。このとき、冷却水Wは貯留タンク12に送られ、粒状樹脂Nは外部に排出される。貯留タンク12では、第1水流路19を通って冷却器14に送られる冷却水Wと、第2水流路20を通って膨張弁16に送られる冷却水Wとに分岐される。
第2水流路20に分岐された冷却水Wは、膨張弁16で減圧され70℃以上の蒸気となり、圧縮機17に送られる。蒸気となった冷却水Wは、圧縮機17で断熱圧縮され、215℃以上の過熱蒸気Xに生成され、熱交換器18に送られる。熱交換器18では、圧縮機17から送られてきた過熱蒸気Xが媒体流路21内を流れる不活性ガスTと熱交換され、不活性ガスTは110℃以上に加熱される。熱交換器18を介して降温された冷却水Wは、冷却器14の上流側に返送される。
【0036】
熱エネルギが付与され110℃以上とされた不活性ガスTは、混練機2に備えられているホッパ5内を下側から流入し上側から流出するように通過し、ホッパ5内の樹脂材料Mに直接接触することで、ホッパ5内の樹脂材料Mを100℃程度に加熱する。このとき、
ホッパ5内の樹脂材料Mの温度が110℃を超えないように制御する。樹脂材料Mが110℃を超えると、樹脂材料Mが溶融しホッパ5内で固着してしまう恐れがあるため、溶融しないように樹脂の温度の制御を行う。樹脂材料Mの加熱を終えた不活性ガスTは、樹脂材料Mとの熱交換によって降温され、熱交換器18に返送される。
【0037】
つまり、本発明の第1実施形態は、冷却水Wが貯留タンク12→膨張弁16→圧縮機17→熱交換器18→冷却器14の順に閉ループ状に形成された第2水流路20を循環し、このとき熱交換器18で、媒体流路21内の不活性ガスTに熱が付与される。熱が付与された不活性ガスTは、媒体流路21を流れ、低温(〜80℃)の樹脂材料M(パウダ)を直接加熱させるようになっている。
【0038】
このようにすることで、粒状樹脂Nの冷却で生じた熱エネルギを回収し、熱エネルギをホッパ5内の樹脂材料Mに付与し、高い効率で熱エネルギの再利用が行われるようになっている。さらに、このような方法を用いて樹脂材料Mを加熱することで樹脂材料Mが柔らかくなり、混練機2の混練ロータ3の駆動力を低減することができる。
[第1実施形態の変形例]
次に、本発明の製造装置1における第1実施形態の変形例について、図を参照して説明する。
【0039】
図3に示すように、第1実施形態の変形例に係る混練造粒製造装置1の構成は、第1実施形態の装置(図2参照)と略同じである。
すなわち、本変形例の混練造粒製造装置1は、混練された樹脂を押し出す混練機2と、混練された樹脂をカッティングし冷却水Wで冷却することで粒状樹脂Nを製造する造粒機7と、冷却水Wから粒状樹脂Nを分離する分離器11とを備えている点が同じである。加えて、造粒機7から排出され分離器11を通過した冷却水Wを貯留する貯留タンク12と、貯留タンク12から排出された冷却水Wを冷却する冷却器14とを有し、冷却水Wが第1水流路19を循環する点も同じである。
【0040】
さらに、熱量回収手段15として、貯留タンク12から排出された冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xを生成させる圧縮機17を備えている点も同じである。
しかしながら、本変形例では、冷却水Wが貯留タンク12→膨張弁16→圧縮機17→熱交換器18を経た後、熱交換器18の一次側の配管が、工場内の排水設備22や工場内を循環する循環水設備22に繋がるように構成され、熱交換器18における熱交換後の冷却水Wが、工場内の排水設備22などに返送されるようになっている点(ループ状の水流路となっていない点)が大きく異なっている。
【0041】
また、造粒機7、分離器11、貯留タンク12、冷却器14を順に接続し、冷却水Wを循環ポンプ13で循環させる閉ループ状の第1水流路19に、工場内を循環する循環水設備22からの冷却水Wが冷却器14の上流側に供給される点も第1実施形態と大きく異なっている。
つまり、本変形例は、造粒機7へ供給される冷却水Wを工場内の水供給源(排水設備22)から供給し、圧縮機17で過熱蒸気Xとされ樹脂材料Mと熱交換された冷却水Wを再度工場内の水供給源(排水設備22)へ返送することが大きな特徴となっている。このようにすることで、多量の冷却水Wを工場内から供給することができ、粒状樹脂Nの冷却や不活性ガスTへの熱の付与を高い効率で行うことができるようになる。
【0042】
なお、第1実施形態の変形例におけるその他の構成、奏する作用効果は第1実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第2実施形態]
次に、本発明の製造装置1における第2実施形態について、図を参照して説明する。
図4に示すように、第2実施形態に係る混練造粒製造装置1の構成は、第1実施形態の装置(図2参照)と略同じである。
【0043】
すなわち、第2実施形態の混練造粒製造装置1は、混練された樹脂を押し出す混練機2と、混練された樹脂をカッティングし冷却水Wで冷却することで粒状樹脂Nを製造する造粒機7と、冷却水Wから粒状樹脂Nを分離する分離器11とを備えている点が同じである
。加えて、造粒機7から排出され分離器11を通過した冷却水Wを貯留する貯留タンク12と、貯留タンク12から排出された冷却水Wを冷却する冷却器14とを有し、冷却水Wが第1水流路19を循環する点も同じである。
【0044】
さらに、熱量回収手段15として、貯留タンク12から排出された冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xを生成させる圧縮機17を備えている点も同じである。
しかしながら、第2実施形態では、第2水流路20に熱交換器18が設けられておらず、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xが流通する第2水流路20が、図4に示すように、ホッパ5の外周面をらせん状に取り巻くように配置され、過熱蒸気Xがホッパ5の下側から上側に向かって通過するようになっている。過熱蒸気Xが流通する第2水流路20をホッパ5の内周面に敷設してもよい。
【0045】
このようにすることで、過熱蒸気Xの熱エネルギをホッパ5に付与することができるようになっており、ホッパ5内の樹脂材料Mを間接的に加熱することができるようになっている点が大きく異なっている。
このように、熱交換器18を不要とすることで不活性ガスTを用いる必要が無くなり、この不活性ガスTの供給量の制御することを省略することができる。さらに、ホッパ5内の樹脂材料Mと過熱蒸気Xが直接接触しない構造としているため、熱量回収手段15を簡単な構成で且つ低コストで構成することが可能となる。
【0046】
なお、第2実施形態におけるその他の構成、奏する作用効果は第1実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第2実施形態の変形例]
次に、本発明の製造装置1における第2実施形態の変形例について、図を参照して説明する。
【0047】
図5に示すように、第2実施形態の変形例に係る混練造粒製造装置1の構成は、第2実施形態の装置(図4参照)と略同じである。
しかしながら、本変形例では、図5に示すように、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xが流通する第2水流路20が閉ループ状となっていない点が、第2実施形態の装置とは大きく異なる。すなわち、第2水流路20は、ホッパ5の外周面をらせん状に取り巻くように配置され、過熱蒸気Xがホッパ5の下側から上側に向かって通過するようになっている。配置された第2水流路20は、その出側(下流側)で、工場内の排水設備22や工場内を循環する循環水設備22に繋がるように構成され、熱交換後の冷却水Wが、工場内の排水設備22などに返送されるようになっている。
【0048】
また、造粒機7、分離器11、貯留タンク12、冷却器14を順に接続し、冷却水Wを循環ポンプ13で循環させる閉ループ状の第1水流路19に、工場内を循環する循環水設備22からの冷却水Wが冷却器14の上流側に供給される点も第1実施形態と大きく異なっている。
つまり、本変形例は、造粒機7へ供給される冷却水Wを工場内の水供給源(排水設備22)から供給し、圧縮機17で過熱蒸気Xとされ、樹脂材料Mと熱交換された冷却水Wを再度工場内の水供給源(排水設備22)へ返送することが大きな特徴となっている。このようにすることで、多量の冷却水Wを工場内から供給することができ、粒状樹脂Nの冷却やホッパ5への熱の付与を高い効率で行うことができるようになる。
【0049】
なお、第2実施形態の変形例におけるその他の構成、奏する作用効果は第2実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第3実施形態]
次に、本発明の製造装置1における第3実施形態について、図を参照して説明する。
図6に示すように、第3実施形態に係る混練造粒製造装置1の構成は、第1実施形態の装置(図2参照)と略同じである。
【0050】
すなわち、第3実施形態の混練造粒製造装置1は、混練された樹脂を押し出す混練機2と、混練された樹脂をカッティングし冷却水Wで冷却することで粒状樹脂Nを製造する造粒機7と、冷却水Wから粒状樹脂Nを分離する分離器11とを備えている点が同じである
。加えて、造粒機7から排出され且つ分離器11を通過した冷却水Wを貯留する貯留タンク12と、貯留タンク12から排出された冷却水Wを冷却する冷却器14とを有し、冷却水Wが第1水流路19を循環する点も同じである。
【0051】
さらに、造粒機7から排出された冷却水Wが有する熱を再利用するために回収する熱量回収手段15として、貯留タンク12から排出された冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xを生成させる圧縮機17、過熱蒸気Xが有する熱を交換するための熱交換器18の一次側とで第2水流路20を形成し、第1水流路19から分岐した冷却水Wが第2水流路20を循環する点も同じである。また、熱交換器18の二次側には、オイルR(加熱媒体)が流通する媒体流路21が接続されている点も同じである。
【0052】
しかしながら、第3実施形態では、第2水流路20に備えられた熱交換器18で熱交換されたオイルRの熱エネルギにより、造粒機7(ペレタイザ)のダイ8を加熱するように構成されている点が、第1実施形態と大きく異なるものとなっている。造粒機7のダイ8の内部を媒体流路21が貫通しており、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xの熱エネルギにより加熱されたオイルRが通過するようになっている。
【0053】
具体的には、造粒機7のダイ8は、円柱状であって、ダイ8の外側を構成するリング状の外側体と、この外側体の内部に設けられてノズル(ダイ孔)が設けられたダイ本体8と、このダイ本体8の内部に設けられた円柱状の内側体とで構成されている。これら外側体、ダイ本体8の間、及び内側体とダイ本体8の間には空隙が形成されている。この空隙はダイ本体8の内部に形成された流路と連通しており、ダイ内部の流路と空隙とで、媒体流路21を流入するオイルR(加熱媒体)が通る流路が形成されている。このようなダイ8の構成は、特開2010−23404号公報の[0011]〜[0020]に記載されているように一般的なものである。
【0054】
このように、上記した熱量回収手段15を用いて、熱エネルギを再利用するに際しては、造粒機7内で熱交換され温水となった冷却水Wの熱エネルギを回収し、この熱エネルギを用いて加熱媒体(オイルR)を加熱し、加熱したオイルRでダイ自体を加熱するようになっている。
具体的には、上記した第1実施形態と同様に、第2水流路20に分岐された冷却水Wは、圧縮機17で断熱圧縮され215℃以上の過熱蒸気Xとなり、熱交換器18の一次側に送られる。熱交換器18では、圧縮機17から送られてきた過熱蒸気Xが、二次側の媒体流路21内を流れるオイルRと熱交換され、オイルRは200℃以上に加熱される。熱交換器18を介して降温された一次側の冷却水Wは、第1水流路19に備えられた冷却器14の入側に返送される。
【0055】
熱交換器18により熱エネルギが付与され200℃以上とされたオイルRは、製造装置1に備えられている造粒機7のダイ8の内部に流入し、ダイ8を200℃以上に加熱することで、ダイ8に形成されたノズルの目詰まり(溶融樹脂による詰まり)を防止する。このとき、溶融樹脂がノズル内に固着し、粒状樹脂Nの製造が停止しないように、オイルRの温度を制御する。ダイ8の加熱を終え降温したオイルRは、熱交換器18の二次側に返送され、再び加熱されるようになる。
【0056】
なお、第3実施形態におけるその他の構成、奏する作用効果は第1実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第3実施形態の変形例]
次に、本発明の製造装置1における第3実施形態の変形例について、図を参照して説明する。
【0057】
図7に示すように、第3実施形態の変形例に係る混練造粒製造装置1の構成は、第3実施形態の装置(図6参照)と略同じであり、第2水流路20に備えられた熱交換器18により取り出された熱エネルギにより、造粒機7のダイ8を加熱するように構成されている点も同じである。
しかしながら、第3実施形態では、第2水流路20において、冷却水Wが貯留タンク12→膨張弁16→圧縮機17→熱交換器18の一次側を経た後、熱交換器18の一次側の
配管が、工場内の排水設備22や工場内を循環する循環水設備22に繋がるように構成され、熱交換器18における熱交換後の冷却水Wが、工場内の排水設備22などに返送されるようになっている点(ループ状の循環水流路となっていない点)が大きく異なっている。
【0058】
また、第1水流路19に接続された冷却器14の上流側に工場内を循環する循環水設備22からの冷却水Wが供給される点も第3実施形態と大きく異なっている。
つまり、本変形例は、造粒機7へ供給される冷却水Wを工場内の水供給源(排水設備22)から供給し、圧縮機17で過熱蒸気Xとされ樹脂材料Mと熱交換された冷却水Wを再度工場内の水供給源(排水設備22)へ返送することが大きな特徴となっている。このようにすることで、多量の冷却水Wを工場内から供給することができ、粒状樹脂Nの冷却やオイルRへの熱の付与を高い効率で行うことができるようになる。
【0059】
なお、第3実施形態の変形例におけるその他の構成、奏する作用効果は第3実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第4実施形態]
次に、本発明の製造装置1における第4実施形態について、図を参照して説明する。
図8に示すように、第4実施形態に係る混練造粒製造装置1の構成は、第2実施形態の装置(図4参照)と略同じである。
【0060】
しかしながら、第4実施形態では、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xが流通する第2水流路20が、図8に示すように、造粒機7のダイ8に接続されていて、ダイ内部に形成された流路内を圧縮機17で断熱圧縮されて昇温された過熱蒸気Xが流通している点が、第2実施形態とは大きく異なる。
さらには、第4実施形態では、圧縮機17の下流側において、工場内からの過熱蒸気Xが供給される過熱蒸気配管23が閉ループ状の第2水流路20に繋げられ、この過熱蒸気Xが圧縮機17で生じた過熱蒸気Xと合流し、ダイ8に送られるようになっている点も大きく異なる。また、ダイ8(造粒機7)の下流側において、工場内の排水設備22などに排出できる配管が閉ループ状の第2水流路20に繋げられ、降温した冷却水Wの一部を工場内の排水設備22などに排出できるようになっている点が大きく異なる。
【0061】
つまり、本発明の第4実施形態は、過熱蒸気Xを直接ダイ8の内部に流通させることで、ダイ8を過熱することができ、粒状樹脂Nの固着によるノズルの目詰まりを防止することができる。過熱蒸気Xを直接ダイ8の内部に流通させるようにしているため、オイルRなどの加熱媒体を省略することができる。また、造粒機7から排出された冷却水Wの温度が低い場合(熱エネルギが少ない場合)であっても、工場内の過熱蒸気Xを用いることで、ダイ8を確実に昇温することが可能となる。
[第4実施形態の変形例]
次に、本発明の製造装置1における第4実施形態の変形例について、図を参照して説明する。
【0062】
図9に示すように、第4実施形態の変形例に係る混練造粒製造装置1の構成は、第4実施形態の装置(図8参照)と略同じである。
しかしながら、本変形例では、貯留タンク12→膨張弁16→圧縮機17→造粒機7を経た後の配管が、工場内の排水設備22や工場内を循環する循環水設備22に繋がるように構成され、第2水流路20内を流れて造粒機7のダイ8を加熱した後の冷却水Wが、工場内の排水設備22などに全て返送されるようになっている点が、第4実施形態とは大きく異なっている。
【0063】
また、造粒機7、分離器11、貯留タンク12、冷却器14を順に接続し、冷却水Wを循環ポンプ13で循環させる閉ループ状の第1水流路19(冷却器14の上流側)に、工場内の水供給源(工場内の排水設備22)からの冷却水Wが供給される点も第4実施形態と大きく異なっている。
つまり、本変形例は、造粒機7へ供給する冷却水Wを工場内の水供給源(排水設備22)から供給されることが大きな特徴となっており、このようにすることで、多量の冷却水Wを工場内から供給することができ、冷却効率や熱回収効率の工場に資することができる
【0064】
なお、第4実施形態の変形例におけるその他の構成、奏する作用効果は第4実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
[第5実施形態]
次に、本発明の製造装置1における第5実施形態について、図を参照して説明する。
図10に示すように、第5実施形態に係る混練造粒製造装置1の構成は、第4実施形態の装置(図8参照)と略同じである。
【0065】
すなわち、第4実施形態の混練造粒製造装置1は、混練された樹脂を押し出す混練機2と、混練された樹脂をカッティングし冷却水Wで冷却することで粒状樹脂Nを製造する造粒機7と、冷却水Wから粒状樹脂Nを分離する分離器11とを備えている点が同じである。加えて、造粒機7から排出され分離器11を通過した冷却水Wを貯留する貯留タンク12と、貯留タンク12から排出された冷却水Wを冷却する冷却器14とを有し、冷却水Wが第1水流路19を循環するようになっている点も同じである。
【0066】
さらに、熱量回収手段15として、貯留タンク12から排出された冷却水Wを減圧し気化させる膨張弁16、気化した冷却水Wを断熱圧縮し過熱蒸気Xを生成させる圧縮機17を備えている点も同じである。
さらには、圧縮機17の下流側において、工場内からの過熱蒸気Xが供給される過熱蒸気配管23と、降温した冷却水Wの一部を工場内の排水設備22などに排出できる配管とが第2水流路20に繋げられている点も同じである。
【0067】
しかしながら、第5実施形態では、圧縮機17で生成された過熱蒸気Xが流通する第2水流路20が、図10に示すように、混練機2のチャンバ4(バレル)に接続されていて、チャンバ4内部に形成された流路内を、圧縮機17で断熱圧縮されて昇温された過熱蒸気Xが流通している点が、第4実施形態とは大きく異なる。
具体的には、混練機2のチャンバ4は、その内部に空洞とされた混練室が形成され、この混練室に2本の混練ロータ3が挿入(収容)された構成となっている。この混練室の断面は、2つの円形が連通された形状(めがね孔状)をしており、混練室に収容された2本の混練ロータ3が回転することで樹脂材料Mが混練されるようになっている。
【0068】
チャンバ4の中実部であって混練室の内壁面の外周側には、加熱乃至は冷却された流体が流通可能な流路(温調流路)が形成されている。この温調流路は、混練室の内壁面に沿って、チャンバ4の軸方向(混練ロータ3の軸心方向)を向くように形成されている。このようなチャンバ4の構成は、例えば、特開2008−238824号公報の[0011]〜[0018]及び図1に記載されているように一般的なものである。
【0069】
そこで、第5実施形態においては、圧縮機17で生成され且つ第2水流路20を流れる過熱蒸気Xをチャンバ4内の温調流路へと導いて流通させることで、チャンバ4(混練室)内の樹脂材料Mを加熱することができる。この樹脂材料Mを加熱することで、樹脂材料Mを混練する際に必要な混練ロータ3の駆動力を抑制することができ、造粒機7から排出された排水が有する熱量を有効に再利用することが可能となる。
【0070】
また、第4実施形態と同じように、また、第2水流路20に工場内からの過熱蒸気Xが供給される構成(過熱蒸気配管23)となっているため、造粒機7から排出された冷却水Wの温度が低い場合(熱エネルギが少ない場合)であっても、工場内の過熱蒸気Xを用いることで、チャンバ4を確実に昇温することが可能となる。
[第5実施形態の変形例]
次に、本発明の製造装置1における第5実施形態の変形例について、図を参照して説明する。
【0071】
図11に示すように、第5実施形態の変形例に係る混練造粒製造装置1の構成は、第5実施形態の装置(図10参照)と略同じである。
しかしながら、本変形例では、造粒機7、分離器11、貯留タンク12、冷却器14を順に接続し、冷却水Wを循環ポンプ13で循環させる閉ループ状の第1水流路19に、工場内を水供給源(排水設備22)からの冷却水Wが供給される点が、第5実施形態とは大きく異なっている。
【0072】
また、貯留タンク12→膨張弁16→圧縮機17→チャンバ4を経た後、チャンバ4を加熱した冷却水Wが、工場内の排水設備22などに全て返送されるようになっている点も、第5実施形態とは大きく異なっている。
つまり、本変形例は、造粒機7へ供給する冷却水Wを工場内の水供給源(工場内の排水設備22)から供給されることが大きな特徴となっており、このようにすることで、多量の冷却水Wを工場内から供給することができ、冷却効率や熱回収効率の向上に資することができる。
【0073】
なお、第5実施形態の変形例におけるその他の構成、奏する作用効果は第5実施形態と略同じであるため、その説明は省略する。
以上、数々の実施形態を通じて述べたように、本発明の製造装置1及びこの製造装置1における熱エネルギの再利用方法によれば、粒状樹脂Nの冷却する際に生じた冷却水Wの熱エネルギを回収し、この熱エネルギを電気変換することなく、高い回収効率で熱エネルギの再利用することができる。さらに、このような再利用方法を用いて樹脂材料Mを加熱すると、樹脂材料Mを混練する際の混練ロータ3の駆動力を低減することができる。
【0074】
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0075】
1 混練造粒製造装置(製造装置)
2 混練機
3 混練ロータ
4 チャンバ(バレル)
5 ホッパ
6 混練部
7 造粒機(ペレタイザ)
8 ダイ(ダイプレート)
9 カッタ
10 水室
11 分離器
12 貯留タンク
13 循環ポンプ
14 冷却器
15 熱量回収手段
16 膨張弁
17 圧縮機
18 熱交換器
19 第1水流路
20 第2水流路
21 媒体流路
22 排水設備(循環水設備)
23 過熱蒸気配管
M 樹脂材料(パウダ)
N 粒状樹脂
T 不活性ガス(媒体)
R オイル(媒体)
W 冷却水
X 過熱蒸気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11