(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805061
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】炭素を含有する乾燥した金属灰の焼却方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/34 20060101AFI20151015BHJP
F23G 7/00 20060101ALI20151015BHJP
F23L 7/00 20060101ALI20151015BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20151015BHJP
C22B 11/02 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
F23G5/34
F23G7/00 DZAB
F23L7/00 Z
C22B7/00 E
C22B11/02
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-279363(P2012-279363)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-134053(P2013-134053A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】10 2011 122 139.9
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512069429
【氏名又は名称】ヘレーウス プレシャス メタルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Precious Metals GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン フォス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シャップ
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト リッチェル
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−120627(JP,A)
【文献】
特開昭62−046117(JP,A)
【文献】
特開2009−270123(JP,A)
【文献】
特開2003−096503(JP,A)
【文献】
特開2001−151556(JP,A)
【文献】
米国特許第4450776(US,A)
【文献】
米国特許第4466358(US,A)
【文献】
米国特許第6202573(US,B1)
【文献】
特開平8−35630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/34
F23G 7/00
F23L 7/00
C22B 7/00
C22B 11/02
B01D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素を含む乾燥した金属灰の焼却方法であって、
a)金属灰を槽中に加える工程;
b)上方から周囲空気を曝気させる工程;
c)空気及び/又は酸素を、金属繊維を含む二重の槽底部を通じて吹き込む工程;
d)点火温度に至らしめる工程;
e)前記の金属灰を好適な道具によって撹拌する工程;
を含み、その際、
f)炭素含有率が3%未満にまで低減され;
前記工程b)、c)及びd)は、同時に又は順序を交替して行われてよく、又はこれらの工程の組み合わせもしくは全ては、同時に行われてよく、かつ
工程b)及びc)は、少なくとも一部の時間にわたって、同時に行われ、
工程d)は、また、前記金属灰の部分量で選択的に行われてよい前記焼却方法において、前記灰の前記槽底部を通じた逆方向の輸送を防ぐ一方で、空気及び/又は酸素の供給を維持することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
k)前記金属繊維が、織物、布、フリース又は編物として存在する、前記方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法を実施するための装置であって、
a)槽(a1)を有し、
b)前記槽(a1)は、平坦な底部(b2)を有し、その際、
c)前記底部(b2)は、複数の開口部(c3)を含み、
d)前記底部(b2)の下方に金属繊維(d4)が配置され、間隔(d4a)を形成し、
e)前記間隔(d4a)は、底部(b2)と平行に配置されたもう一つの槽底部(e5)によって下方向で閉じられており、
f)前記底部(e5)は、前記開口部(c3)からずれて配置された更なる複数の開口部(f6)を有し、その際、
g)前記底部(e5)及び底部(b2)は、連結手段(g7)によって、前記金属繊維(d4)がしっかり閉じ込められるように連結されており、
h)間隔(h8)は、前記底部(e5)の下方に設けられ、
i)前記底部(e5)には、空気及び/又は酸素を供給するための手段(i9)が設けられている、前記装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
j)空気循環を最適化するための流動ガイドが、間隔(h8)中に設けられている、前記装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の装置であって、
k)前記金属繊維(d4)が、織物、布、フリース又は編物として存在する、前記装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素を含有する乾燥した金属灰の焼却方法及び該方法の実施のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属灰とは、プラスチック材料及び溶剤を含有するリサイクル材料であってその貴金属含分のため後処理されるべき材料の一次焼却の生成物であると解されるべきである。貴金属は、この種のリサイクル材料中に、元素形で又は化学的に結合された形で、例えば塩もしくは酸化物として存在することがある。従って、該金属灰は、これらの物質を含有することもある。
【0003】
一次焼却/炭化の後に、前記灰は、依然として相当の割合の炭素を含有するが、それは、更なるリサイクル工程前に除去されるべきであり、かつ/又は3%未満の割合にまで低減させるべきである。
【0004】
特許文献1/特許文献2は、有機含分の焼却が、ケイ酸塩含分のスラグ形成温度を下回る温度で行われる金属リサイクル方法を記載している。この目的は、有用な金属がガラス中に含まれるのを防ぐことにある:
"石英のスラグ形成温度は、約760℃である。従って、その焼却が315〜480℃の温度でかつ十分な酸素又は過剰な酸素の存在下で十分に撹拌しつつ行われる場合に、有機含分は、不所望なケイ酸塩の形成を伴わずに焼却されることが判明した。"
【0005】
従って、特許文献2は、以下の特徴を有する方法を記載している:
"選択された金属含分を石英含有スラッジから、該スラッジを焼却して有機含分を分解し、引き続き灰の酸浸出を行い、残りの固体及び液体の残留物から前記金属含分を湿式冶金的に回収することによってリサイクルするための方法において、前記焼却を、後続の酸浸出工程と湿式冶金学的な方法工程によって攻撃されないガラスマトリクス中に金属含分が収蔵されるのを防ぐために、ケイ酸塩のスラグ形成温度を下回る温度で行う前記方法。"
【0006】
特許文献2によれば、該方法は、炉内で行われる。前記方法の効率は、撹拌と給気を通じて高められると述べられている:
"更に、全体を通じて温度を一様な水準で保持することと、有機材料への酸素の到達性を高めることとを目的とするスラッジの撹拌はその方法を大きく改善させることが裏付けられた。明らかに、撹拌又は強制通気は、どちらか一方が多くのスラッジ焼却設備において使用されており、それらはそれ自体が新規の特徴であるとは見なされない。"
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US4360380
【特許文献2】DE3134733A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術の欠点を有さない炭素を含有する乾燥した金属灰の焼却方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それに対して、本発明は、請求項1に記載されるように、炭素を含有するスラグを、開放槽(open trough)中で、空気中でひっくり返して下方から追加の通気をしつつ焼却するための方法を提供する。先行技術である特許文献2と一致することは、レーキによって頻繁にひっくり返しつつ開放槽中で焼却することである。本発明による下方からの追加の通気は、驚くべきことに、焼却プロセスの期間を50〜80%だけ短縮する。これは、相加効果を超えるものであって、むしろ驚くべき相乗作用である。また、点火後により迅速に材料が燃焼することにも留意する必要がある。レーキによるひっくり返しは、槽の底部領域に又は被焼却物の表面上に外被が形成されないことを保証するための適切な理由のため継続される。炭素含有率は、3%未満にまで低減される。
【0010】
もう一つの選択肢は、下方から吹き込まれる空気に酸素を富化させて、焼却の効率を向上させることである。
【0011】
本発明による方法の必須の特徴によれば、灰のいかなる逆方向の輸送も防がれる一方で、空気及び/又は酸素の供給は維持される。
【0012】
詳細には、本方法は、
a)金属灰を槽中に加える工程;
b)上方から周囲空気を曝気させる工程;
c)空気及び/又は酸素を槽底部を通じて吹き込む工程;
d)点火温度に至らしめる工程;
e)前記の金属灰を好適な道具によって撹拌する工程;
を含み、その際、
f)炭素含有率が3%未満にまで低減され;
前記工程b)、c)及びd)は、同時に又は順序を交替して行われてよく、又はこれらの工程の組み合わせもしくは全ては、同時に行われてよく、
工程d)は、また、前記金属灰の部分量で選択的に行われてよく;かつ
前記灰の前記槽底部を通じた逆方向の輸送は防がれる一方で、空気及び/又は酸素の供給は維持される。
【0013】
適切な一実施形態においては、本焼却法は、多段炉床型の焼却装置において、開放した槽上部で周囲空気に曝して下方から空気を吹き込むことによって行われる。炭素含分が3%未満の水準に達する時間は、2時間である。
【0014】
また、本発明は、請求項2に記載される、前記の種類の方法を実施するための装置であって、下方から通気される底部を有する容器の形の、好ましくは槽の形の装置に関する。
【0015】
前記底部は、灰が火格子を通じて落下することを防ぐ一方で、下方からの空気及び/又は酸素の供給が妨げられない手段を有する。
【0016】
好ましくは、本発明は、上方底部と下方底部とを有する中空の二重底部型の槽を提供する。上方底部と下方底部とにある複数の開口部、例えばホール又はスリットなどは、下方からの給気は保証する一方で、前記底部間の空間にある金属繊維、例えば金網もしくは類似の材料などは、前記灰がそれら2つの底部を通じて完全に落下しえないことを保証する。加えて、前記開口部は、互いに直接的に向かい合っていない位置にあることが適切であり、これにより最初から好ましい流動状態が生ずる。
【0017】
まとめると、金属繊維を含む二重底部型の槽を有するという特徴は、驚くべきことに、下方からの所望な物質輸送が行われる一方で、上方からの不所望な物質輸送を十分に妨げる簡単な解決策を提供する。
【0018】
流動ガイドは、それらが適切に配置されていれば、流動状態を更に最適化するもう一つの適切な特徴である。
【0019】
前記繊維は、織物、布、不織布又は編物として存在してよい。前記繊維は、編まれていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本装置の好ましい一実施形態を示している。
【0021】
前記装置は、
a)槽(a1)を有し、
b)前記槽(a1)は、平坦な底部(b2)を有し、その際、
c)前記底部(b2)は、複数の開口部(c3)を含み、
d)前記底部(b2)の下方に金属繊維(d4)が配置され、間隔(d4a)を形成し、
e)前記間隔(d4a)は、底部(b2)と平行に配置されたもう一つの槽底部(e5)によって下方向で閉じられており、
f)前記底部(e5)は、前記開口部(c3)からずれて配置された更なる複数の開口部(f6)を有し、その際、
g)前記底部(e5)及び底部(b2)は、連結手段(g7)によって、前記金属繊維(d4)がしっかり閉じ込められる(firmly occluded)ように連結されており、
h)間隔(h8)は、前記底部(e5)の下方に設けられ、
i)前記底部(e5)には、空気及び/又は酸素を供給するための手段(i9)が設けられている。
【0022】
空気循環を最適化するための流動ガイドは、間隔(h8)中に設けられていてよい。前記金属繊維(d4)は、織物、布、フリース又は編物として存在してよい。前記繊維は、編まれていることが好ましい。
【0023】
金属繊維は、間隔(d4a)を規定しているので、前記金属繊維は必要であれば底部(b2)と底部(e5)との間の間隔全体に適宜存在すると解される。連結手段(g7)は、底部(b2)と底部(e5)の歪みを種々の温度での運転中に最小限に保つという結果をもたらす。このように、金属繊維の織物、布、フリース又は編物は、しっかり閉じ込められて、運転中に定位置に留められる。
【0024】
底部(e5)中の開口部(f6)は、
図1においては直接的には見て取れない(点線矢印)。
【0025】
[本発明の態様]
1. 炭素を含む乾燥した金属灰の焼却方法であって、
a)金属灰を槽中に加える工程;
b)上方から周囲空気を曝気させる工程;
c)空気及び/又は酸素を槽底部を通じて吹き込む工程;
d)点火温度に至らしめる工程;
e)前記の金属灰を好適な道具によって撹拌する工程;
を含み、その際、
f)炭素含有率が3%未満にまで低減され;
前記工程b)、c)及びd)は、同時に又は順序を交替して行われてよく、又はこれらの工程の組み合わせもしくは全ては、同時に行われてよく、かつ
工程b)及びc)は、少なくとも一部の時間にわたって、同時に行われ、
工程d)は、また、前記金属灰の部分量で選択的に行われてよい前記焼却方法において、前記灰の前記槽底部を通じた逆方向の輸送を防ぐ一方で、空気及び/又は酸素の供給を維持することを特徴とする、前記方法。
【0026】
2. 1に記載の方法を実施するための装置であって、
a)槽(a1)を有し、
b)前記槽(a1)は、平坦な底部(b2)を有し、その際、
c)前記底部(b2)は、複数の開口部(c3)を含み、
d)前記底部(b2)の下方に金属繊維(d4)が配置され、間隔(d4a)を形成し、
e)前記間隔(d4a)は、底部(b2)と平行に配置されたもう一つの槽底部(e5)によって下方向で閉じられており、
f)前記底部(e5)は、前記開口部(c3)からずれて配置された更なる複数の開口部(f6)を有し、その際、
g)前記底部(e5)及び底部(b2)は、連結手段(g7)によって、前記金属繊維(d4)がしっかりと閉じ込められるように連結されており、
h)間隔(h8)は、前記底部(e5)の下方に設けられ、
i)前記底部(e5)には、空気及び/又は酸素を供給するための手段(i9)が設けられている、前記装置。
【0027】
3. 2に記載の装置であって、
j)空気循環を最適化するための流動ガイドが、間隔(h8)中に設けられている、前記装置。
【0028】
4. 2又は3に記載の装置であって、
k)前記金属繊維(d4)が、織物、布、フリース又は編物として存在する、前記装置。
【符号の説明】
【0029】
a1 槽、 b2 平坦な底部、 c3 開口部、 d4 金属繊維、 d4a 間隔、 e5 槽底部、 f6 開口部、 g7 連結手段、 h8 間隔、 i9 空気及び/又は酸素を供給するための手段