特許第5805172号(P5805172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5805172タッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805172
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】タッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
   G06F3/041 532
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-253213(P2013-253213)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-116011(P2014-116011A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142644
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ジョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ギドク
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−070544(JP,A)
【文献】 特開平08−292839(JP,A)
【文献】 特開2010−003307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041−048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチポイントの座標を計算する段階と、
前記タッチポイントの座標を表示パネルの解像度に合わせて変換する段階と、
前記タッチポイントの現在の座標が映像が表示される前記表示パネルのアクティブ領域外のベゼル領域内に存在する座標であるかを判断する段階と、
前記タッチポイントの現在の座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階とを含み、
前記タッチポイントの座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階は、前記タッチポイントの現在の座標と前の座標間の最短経路上で前記アクティブ領域のエッジ座標に修正することを特徴とする、タッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法。
【請求項2】
前記タッチポイントの座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階は、前記タッチポイントが前記アクティブ領域内の前の座標から左側ベゼル領域内の現在の座標に移動された場合に、前記現在の座標のx値を0に修正し、前記現在の座標のy値を前記現在の座標と前記前の座標の間の最短経路上で前記アクティブ領域の左側エッジ座標に修正することを特徴とする、請求項記載のタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法。
【請求項3】
前記タッチポイントの座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階は、前記タッチポイントが前記アクティブ領域内の前の座標から右側ベゼル領域内の現在の座標に移動された場合に、前記現在の座標のx値を前記アクティブ領域の最大のx座標値に修正し、前記現在の座標のy値を前記現在の座標と前記前の座標間の最短経路上で前記アクティブ領域の右側エッジ座標に修正することを特徴とする、請求項記載のタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法。
【請求項4】
前記タッチポイントの座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、
前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階は、
前記タッチポイントが前記アクティブ領域内の前の座標から上側ベゼル領域内の現在
の座標に移動された場合に、前記現在の座標のy値を0に修正し、前記現在の座標のx値を前記現在の座標と前記前の座標の間の最短経路上で前記アクティブ領域の上側エッジ座標に修正することを特徴とする、請求項2又は3記載のタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法。
【請求項5】
前記タッチポイントの座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階は、前記タッチポイントが前記アクティブ領域の前の座標から下側ベゼル領域内の現在の座標に移動された場合に、前記現在の座標のy値を前記アクティブ領域の最大y座標の値に修正し、前記現在の座標のx値を前記現在の座標と前記前の座標間の最短経路上で前記アクティブ領域の下側エッジ座標に修正することを特徴とする、請求項記載のタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザインタフェース(User Interface、UI)は、人(ユーザ)と各種電気、電子機器等の通信を可能にし、ユーザが機器を簡単に自分の所望通り簡単に制御できるようにする。ユーザインタフェースの代表的な例としては、キーパッド、キーボード、マウス、オンスクリーンディスプレイ(On Screen Display 、OSD)、赤外線通信または高周波(RF)通信機能を有するリモートコントローラ(Remote controller)などがある。ユーザインタフェース技術は、ユーザの感性と操作利便性を高める方向に発展を重ねている。 最近では、ユーザインターフェイスは、タッチUI、音声認識UI、3D UIなどに進化している。
【0003】
タッチUIは、携帯情報機器に不可欠で採用されている傾向にあり、家電製品にも拡大適用されている。静電容量方式のタッチセンサシステムは、タッチスクリーンの構造が従来の抵抗膜方式に比べて耐久性と透明度が高く、様々なアプリケーションに適用することができる利点がある。最近では、タッチスクリーンはほとんど静電容量方式で実現されている。
【0004】
タッチスクリーンは、一般的に表示装置の表示パネル上に配置される。タッチスクリーンに形成されたタッチセンサの数は、一般的に表示パネルの画素数よりも小さい。したがって、タッチスクリーンの解像度が表示パネルの解像度よりも小さいため、タッチスクリーンの解像度を表示パネルの解像度と一致するアルゴリズム(Algorithm)が必要である。一例として、本願出願人は、米国特許出願13/598、243(2012.08.29)を介してタッチポイントの座標を表示パネルの解像度に変換する座標変換アルゴリズムを提案したことがある。このような座標変換アルゴリズムは、映像が表示されるアクティブ領域(Active area)と非表示領域のベゼル(bezel)の間のエッジ部でのタッチ入力が発生した場合には、タッチポイントの座標を表示パネルの解像度に合わせて変換すると、アクティブ領域(Active area)外に逃れることがある。このような座標変換のアルゴリズム以外に、知られているほとんどの座標変換アルゴリズムでおいても変換後の座標がアクティブ領域を外れる場合があります。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、タッチスクリーンのエッジ部でタッチポイントの座標がアクティブ領域外に離れるとき、その座標を適切に補正することができるタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の実施形態に係るタッチセンサシステムのエッジ部の座標補償方法は、タッチポイントの座標を計算する段階と、前記タッチポイントの座標を表示パネルの解像度に合わせて変換する段階と、前記タッチポイントの現在座標が映像が表示される前記表示パネルのアクティブ領域外のベゼル領域内に存在する座標であるかを判断する段階と、前記タッチポイントの現在座標がベゼル領域内に存在する座標であれば、前記ベゼル領域と接する前記アクティブ領域のエッジ座標に修正する段階を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、タッチポイントの座標を表示パネルの解像度に合わせて変換した後に、そのタッチポイントの座標が映像が表示されるアクティブ領域を外れた場合、その座標をベゼル領域と接するアクティブ領域のエッジ座標に修正する。その結果、本発明は、アクティブ領域の最大面積でタッチ認識を可能にするため、ユーザが感じるタッチ感度を向上させることができ、ユーザがタッチ入力でラインドローイング(line drawing)するとき、そのドローイング軌跡で実際のユーザが入力したドローイングと近づけて再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るタッチセンサシステムを示す図である。
図2図1に示されたタッチスクリーンの等価回路図である。
図3】表示パネルとタッチスクリーンの様々な組み合わせの形を示す図である。
図4】表示パネルとタッチスクリーンの様々な組み合わせの形を示す図である。
図5】表示パネルとタッチスクリーンの様々な組み合わせの形を示す図である。
図6】アルゴリズム実行部の動作例を示すフローチャートである。
図7】表示パネルの解像度に合わせてタッチポイントの座標を変換するときに座標が負の値を有する例を示す図である。
図8図6のアクティブ領域を外れた座標が除却される例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係るアルゴリズム実行部の動作を示すフローチャートである。
図10】表示パネルの解像度に合わせてタッチポイントの座標を変換するときに座標がアクティブアレイのエッジ部に修正される例を示す図である。
図11図10のタッチポイントの移動部分を拡大して示す図である。
図12図9に示されたエッジ部の座標報償アルゴリズムの座標報償の原理を示す図である。
図13図9に示されたエッジ部の座標報償アルゴリズムの座標報償の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタッチセンサシステムは、複数の静電容量センサを介してタッチ入力を感知する静電容量方式のタッチスクリーンに実現することができる。静電容量方式のタッチスクリーンは、複数のタッチセンサを含む。タッチセンサのそれぞれは、等価回路と見る時、静電容量(capacitance)を含む。静電容量方式のタッチスクリーンは、自己静電容量(Self capacitance)や相互静電容量(Mutual capacitance)に分けられることができる。自己静電容量は、一方向に形成された単層の導体配線に沿って形成される。相互静電容量は、直交する2導体配線との間に形成される。以下の実施形態では、相互静電容量方式のタッチスクリーンを例示したが、本発明は、タッチポイントの座標情報を補正することにその特徴があるので、相互静電容量方式のタッチスクリーンに限定されず、タッチポイントの座標を表示パネルの解像度に変換するアルゴリズムが必要ないずれのタッチセンサシステムにも適用することができる。
【0010】
本発明の表示装置は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display:FED)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、有機発光ダイオード表示装置(Organic Light Emitting Display、OLED)、電気泳動表示素子(Electrophoresis、EPD)などの平板表示装置に実現することができる。以下の実施形態では、平板表示装置の一例として、液晶表示素子を説明するが、本発明の表示装置は、液晶表示装置に限定されず、公知の全ての表示装置に実現できることに注意しなければならない。
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。明細書全体にかけて同一の参照番号は実質的に同一の構成要素を意味する。以下の説明で、本発明に関する公知の機能や構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に不明確にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0012】
図1図5を参照すると、本発明の本発明のタッチセンサシステムは、タッチセンサ(Cts)が配置されたタッチスクリーン(TSP)、タッチスクリーン駆動回路などを含む。タッチスクリーン(TSP)は、図3のように表示パネル(DIS)の上部偏光板(POL1)上に接合されたり、図4のように表示パネル(DIS)の上部偏光板(POL1)と上部基板(GLS1)との間に形成することができる。また、タッチスクリーン(TSP)のタッチセンサ(Cts)は、図5のように表示パネル(DIS)内で画素配列 と一緒にインセル(In−cell)タイプで下部基板に内蔵することができる。図3図5の“PIX”は、液晶セルの画素電極、“GLS2”は、下部基板、“POL2”は、下部偏光板をそれぞれ意味する。
【0013】
表示パネル(DIS)は、二枚の基板の間に形成された液晶層を含む。表示パネル(DIS)の画素配列(pixel array)は、 m(mは正の整数)個のデータライン(D1〜Dm)とn(nは正の整数)個のゲートライン(G1〜Gn)によって定義された画素領域に形成されたm×n個の画素を含む。画素の各々は、データライン(D1〜Dm)とゲートライン(G1 〜 Gn)の交差部に形成されたTFT(Thin Film Transistor)、データ電圧を充電する画素電極、画素電極に接続されて液晶セルの電圧を維持させるためのストレージキャパシタ(Storage Capacitor、Cst)などを含む。アクティブ領域は、入力映像とタッチポイントが表示されます。アクティブ領域は、画素配列と同等か、それより小さいことがある。
【0014】
表示パネル(DIS)の上部基板には、ブラックマトリクス、カラーフィルタなどが形成される。表示パネル(DIS)の下部基板COT(Color filter OnTFT)構造で実現することができる。この場合には、ブラックマトリクスとカラーフィルターは、表示パネル(DIS)の下部基板に形成することができる。共通電圧が供給される共通電極は、表示パネル(DIS)の上部基板や下部基板に形成することができる。表示パネル(DIS)の上部基板と下部基板には、それぞれ偏光板が付着され、液晶と接する内面に液晶のプレチルト角を設定するための配向膜が形成される。表示パネル(DIS)の上部基板と下部基板との間には、液晶セルのセルギャップ(Cell gap)を維持するためのカラムスペーサが形成される。
【0015】
表示パネル(DIS)の背面下には、バックライトユニットを配置することができる。バックライトユニットは、エッジ型(edge type)または直下型(Direct type)バックライトユニットに実現されて表示パネル(DIS)に光を照射する。表示パネル(DIS)は、 TN(Twisted Nematic)モード、 VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの公知のいずれの液晶モードでも実現することができる。
【0016】
ディスプレイ駆動回路は、データ駆動回路12、スキャン駆動回路14とタイミングコントローラ20を含み入力映像のビデオデータ電圧を表示パネル(DIS)の画素に書き込む。データ駆動回路12は、タイミングコントローラ20から入力されるデジタルビデオデータ(RGB)をアナログ正極性/負極性ガンマ補償電圧に変換して、データ電圧を出力する。データ駆動回路12から出力されたデータ電圧は、データライン(D1〜Dm)に供給される。スキャン駆動回路14は、データ電圧に同期されるゲートパルス(またはスキャンパルス)をゲートラインの(G1〜Gn)に順次供給して、データ電圧が入力される表示パネル(DIS)のラインを選択する。
【0017】
タイミングコントローラ20は、ホストシステム50から入力される垂直同期信号(Vsync)、水平同期信号(Hsync)、データイネーブル信号(Data Enable、DE)、メインクロック(MCLK)などのタイミング信号の入力を受け、データ駆動回路12とスキャン駆動回路14の動作タイミングを同期させる。スキャンのタイミング制御信号は、ゲートスタートパルス(Gate Start Pulse 、GSP)、ゲートシフトクロック(Gate Shift Clock)、ゲート出力イネーブル信号(Gate Output Enable、GOE)などを含む。データタイミング制御信号は、ソースサンプリングクロック(Source Sampling Clock 、SSC)、極性制御信号(Polarity、POL)、ソース出力イネーブル信号(Source Output Enable、SOE)などを含む。
【0018】
タッチスクリーン(TSP)は、Txライン(Tx1〜Txj、jはnより小さい正の整数)、Txライン(Tx1〜Txj)と交差するRxライン(Rx1〜Rxi、iはmより小さな正の整数)、及びTxライン(Tx1 〜Txj)とRxライン(Rx1〜Rxi)の交差部に形成されたi×j個のタッチセンサ(Cts)を含む。タッチセンサ(Cts)それぞれは、相互容量を含む。
【0019】
タッチスクリーン駆動回路は、タッチセンシング回路30は、アルゴリズム実行部36などを含む。タッチスクリーン駆動回路は、タッチセンサに駆動信号を供給して、タッチセンサの電荷変化量をセンシングし、その電荷変化量を所定のしきい値と比較し、タッチ入力位置を検出する。タッチスクリーン駆動回路は、タッチ座標アルゴリズムを実行して、タッチ入力位置の座標を計算し、座標変換のアルゴリズムを実行して、タッチ入力位置の座標を表示パネルの解像度ベースの座標に変換する。タッチ座標アルゴリズムと座標変換のアルゴリズムは、公知のどのようなことも可能である。続いて、タッチスクリーンの駆動回路は、エッジ部の座標報償アルゴリズムを実行し、アクティブ領域外に外れる座標を適切に補償する。タッチスクリーン駆動回路は、タッチ座標のアルゴリズム、座標変換のアルゴリズム、エッジ部の座標報償アルゴリズムを実行した結果表示パネルの解像度に基づいて座標を変換し、アクティブ領域外に外れる座標を報償して最終的な座標(XY)を出力する。最終座標(XY)は、ホストシステム50に伝送される。エッジ部の座標報償アルゴリズムについては、図6図13を結びつけて詳細に説明する。
【0020】
ホストシステム50は、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、DVDプレーヤー、ブルーレイプレーヤー、パーソナルコンピュータ(PC)、ホームシアターシステム、携帯電話システム(Phone system)のうちいずれか1つで実現することができる。ホストシステム50は、スケーラー(scaler)を内蔵したSoC(System on chip)を含み入力映像のデジタルビデオデータ(RGB)を表示パネル(DIS)に表示するに適した形式に変換する。ホストシステム50は、入力映像のデジタルビデオデータ(RGB)と一緒にタイミング信号(Vsync、Hsync、DE、MCLK)をタイミングコントローラ20に伝送する。また、ホストシステム50は、タッチスクリーン駆動回路から受信された座標(XY)と連携したアプリケーションを実行する。
【0021】
タッチセンシング回路30は、Tx駆動部32、Rxセンシング部34、タイミング発生部38などを含む。タッチセンシング回路30は、Tx駆動部32を使用して、Txライン(Tx1 〜 Txj )を介してタッチセンサ(Cts)に駆動信号を印加し、駆動信号に同期してRxライン(Rx1〜Rxi)とRxセンシング部34を介してタッチセンサ(Cts)の電荷変化量をセンシングしてタッチ生データ(Touch raw data)を出力する。タッチセンシング回路30は、一つのROIC(Read-out Integrated Circuit)に集積することができる。
【0022】
Tx駆動部32は、タイミング発生部38からのTxセットアップ信号(setup signal)に応答して駆動信号を出力するTxチャンネルを選択し、選択されたTxチャネルに関連付けられたTxライン(Tx1〜Txj)に駆動信号を印加する。Txライン(Tx1〜Txj)は、駆動信号の高電位区間の間に充電されてタッチセンサ(Cts)に電荷を供給する。駆動信号は、パルス、正弦波、三角波など、さまざまな形で発生することができる。駆動信号はRxラインの(Rx1〜Rxi)を介してタッチセンサ(Cts)の電圧がRxセンシング部34に内蔵された積分器(Integrator)のキャパシターにN(Nは2以上の正の整数)回累積することができるようにタッチセンサ(Cst)それぞれにN回連続供給することができる。
【0023】
Rxセンシング部34は、タイミング発生部38からのRxセットアップ信号に応答して、タッチセンサの電圧を受信するRxラインを選択する。Rxセンシング部34は、駆動信号に同期して選択されたRxラインを介してタッチセンサ(Cts)の電荷を受信する。そしてRxセンシング部34は、受信した電荷をサンプリングして積分器のキャパシターに累積し、そのキャパシターの電圧をアナログ−デジタル変換器(Analog to digital converter、以下“ADC”と称する)を用いてデジタルデータに変換する。Rxセンシング部34は、デジタルデータに変換されたタッチ生データ(Touch raw data)を出力する。
【0024】
タイミング発生部38は、アルゴリズム実行部36からのTxセットアップ信号とRxセットアップ信号に応答してTxチャネルとRxチャネルの設定を制御し、Tx駆動部32とRxセンシング部34を同期させる。また、Rxセンシング部34から出力されたタッチ生データを図示しないバッファメモリに格納し、そのメモリからのタッチ生データを読み込んでアルゴリズム実行部36に伝送する。
【0025】
アルゴリズム実行部36は、タイミング発生部38にTxセットアップ信号とRxセットアップ信号を供給し、Rxセンシング部34ADCを動作させるためのADCクロック信号をRxセンシング部34に供給する。アルゴリズム実行部36は、あらかじめ設定されたタッチ座標アルゴリズムを実行して、タッチセンシング回路30から受信されたタッチ生データをあらかじめ設定されたしきい値と比較する。タッチ座標のアルゴリズムは、しきい値以上のタッチ生データをタッチ入力領域のデータで判定して、タッチ入力領域のそれぞれの座標を計算する。そして、アルゴリズム実行部36は、座標変換アルゴリズムとエッジ部の座標報償アルゴリズムを実行して、表示パネルの解像度に合わせてタッチ入力領域の座標を変換し、アクティブ領域外に外れる座標を補正する。アルゴリズム実行部36は、MCU(Micro Controller Unit、MCU)で実現することができる。
【0026】
アルゴリズム実行部36は、図6のようにタッチ座標アルゴリズム(S61)、座標変換アルゴリズム(S62)およびエッジ部の座標報償アルゴリズム(S63とS64)を実行することができる。
【0027】
座標変換アルゴリズム(S62)は、タッチ座標を表示パネル(DIS)の解像度に合わせて変換する。タッチスクリーン(TSP)のエッジ部近くでタッチ入力が発生した場合には、タッチ入力位置のタッチポイントの座標を表示パネル(DIS)の解像度に変換すると、変換後の座標が表示パネル(DIS)のアクティブ領域の外に外れることがある。例えば、表示パネル(DIS)のアクティブ領域の解像度が1366×768である場合には、xy座標系でのx値が0より小さい負の値か、または1366より大きな値を有すると変換後のタッチポイントの座標は、表示パネル(DIS)の左側または右側のベゼル(bezel)の方向に外れるようになる。また、y値が0より小さい負の値を有するか、768より大きい値を有する変換後のタッチポイントの座標は、表示パネル(DIS)の上側または下側の方向に外れるようになる。
【0028】
座標変換アルゴリズム(S62)の演算結果、タッチポイントの座標が負の値を有する例の図7を説明することにする。タッチ入力がアクティブ領域(AA)とベゼルの間のエッジ部に発生した場合に、そのタッチ入力領域でのタッチ入力領域の中心点(center point)のタッチ生データが3988であり、その中心点の上下方向に隣接するタッチセンサから得られたタッチ生データが3398、3731であり、 中心点の右側方向に隣接するタッチセンサから得られたタッチ生データが2413で有り得る。米国特許出願13/598、243(2012.08.29)で提案された座標変換アルゴリズムは、以下の式(1)及び(2)を用いて、図7の中央ポイントの座標を表示パネルの解像度に合わせて変換する。


----式( 1 )

【0029】
ここで、xは変換後のx座標である。xpatternは、中心点がx軸方向から見たときに、タッチセンサの順番を示す。図7において中央ポイントは、x軸方向から見たときに0番目のタッチセンサなのでxpatternは0である。Δxはx座標オフセット(offset)として、式(2)で計算される。Nxはx軸方向から見たときのタッチスクリーンの解像度と表示パネルの解像度の違いを示すもので、x軸方向に隣接したタッチセンサ(Cts)の間の距離を表示パネルの画素数で示す。x軸方向に隣接したタッチセンサ(Cts)の間に24個の画素が存在する例では、Nxは24である。 edge_offsetは、アクティブ領域とベゼルの間のエッジ部で座標を変換するときに使用されるエッジのオフセットである。図7の例では、edge_offsetは16に設定されるが、これに限定されない。


----式(2)

【0030】
ここで、centerは中央ポイントに対応するタッチセンサのタッチ生データ、rightは、中央ポイントの右側に隣接するタッチセンサのタッチ生データ(以下“右側データ”と称する)、leftは、中央ポイントの左側に隣接するタッチセンサのタッチ生データ(以下“左側データ”と称する)をそれぞれ示す。
【0031】
図7のように、アクティブ領域の左端の最初のタッチセンサ(中央ポイント)の座標を変換するときに、左側データがないため、仮想のデータを 左側データで選定し、Δxを計算する。仮想のデータは、中央ポイントとその周辺のタッチ生データの平均値で計算されることがありますが、その平均値が右側データより大きい場合、変換後負の値で計算されることができる。図7の例では、平均値は(3998+3731+3398+2413)/4=3385であり、3385を式(2)に代入すると、Δxは−0.8程度である。このΔxを式(1)に代入するとx=(0+(−0.8))×24+16=−3.2で計算される。
【0032】
図6において、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S63とS64)は、アクティブ領域(AA)の外に外れた座標があるか検索する。図8は、このようなエッジ部の座標報償アルゴリズム(S63)の実行結果を示す図である。座標変換アルゴリズム(S62)の実行結果、図8のタッチポイントの座標は、前のフレーム期間(x1、y1)から現在のフレーム期間の座標(x2、y2)に変化された。現在のフレーム期間のタッチポイントの座標(x2、y2)は、図8の(a)に示すように、左側ベゼル領域内の座標である。この場合に、図6のエッジ部の座標報償アルゴリズム(S63とS64)は、図8の(b)に示すように、アクティブ領域(AA)を超えてベゼル領域内の座標を除却する。ところが、このようなエッジ部の座標報償アルゴリズム(S63とS64)は、アクティブ領域とベゼル領域の間のエッジ部でのタッチ認識を不可能にする。特に、エッジ部のタッチ認識を可能にするためにベゼル領域にもタッチセンサを追加すると、座標変換アルゴリズムによって変換された座標がベゼル領域の座標に変換される場合がさらに多くなるため、単純に、エッジ部の座標を削除する方法は、タッチ感度を落とす結果を招く。したがって、本発明のエッジ部の座標報償アルゴリズムは、図9図13のようにアクティブ領域を外れた座標を削除せずに修正する。
【0033】
図9は、本発明の実施形態に係るアルゴリズム実行部36の動作を示すフローチャートである。図10は、表示パネルの解像度に合わせてタッチポイントの座標を変換するときに座標がアクティブアレイのエッジ部に修正される例を示す図である。図11は、図10のタッチポイントの移動の部分を拡大して示す図である。
【0034】
図9図11を参照すると、アルゴリズム実行部36は、タッチ座標アルゴリズム(S91)、座標変換アルゴリズム(S92)及びエッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)を実行する。
【0035】
座標変換アルゴリズム(S92)は、タッチ座標を表示パネル(DIS)の解像度に合わせて変換する。エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、座標変換アルゴリズム(S92)によって変換されたタッチポイントの座標の中でアクティブ領域(AA)の外に外れた座標を検索する。エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、図10及び図11のようにアクティブアレイ(AA)からベゼルに移動されたタッチポイントを検索されると、タッチポイントの現在のフレーム座標(x2、y2)を、現在のフレーム座標(x2、y2)と、前のフレーム座標(x1、y1)との間の最短経路上でアクティブ領域(AA)のエッジ座標(x3、y3)に修正する。
【0036】
エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、図10図13のように、タッチポイントがアクティブ領域(AA)内の前のフレーム座標(x1、y1)から、左側ベゼル領域内の現在のフレーム座標(x2、y2)に移動された場合に、現在のフレーム座標(x2、y2)のx値を0に修正する。そして、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、現在のフレーム座標(x2、y2)のy値を、現在のフレーム座標(x2、y2)と、前のフレーム座標(x1、y1)との間の最短経路上でアクティブ領域(AA)の左側エッジ座標(y3)に修正する。
【0037】
エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、タッチポイントがアクティブ領域(AA)内の前のフレーム座標(x1、y1)から右側ベゼル領域(AA)内の現在のフレーム座標(x2、y2)に移動された場合には、現在のフレーム座標(x2、y2)のx値をアクティブ領域(AA)の最大のx座標値に修正する。そして、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、現在のフレーム座標(x2、y2)のy値を、現在のフレーム座標(x2、y2)と、前のフレーム座標(x1 、y2)との間の最短経路上でアクティブ領域(AA)の右側エッジ座標に修正する。
【0038】
エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、タッチポイントがアクティブ領域(AA)内の前のフレーム座標(x1、y1)から上側のベゼル領域(AA)内の現在のフレーム座標(x2、y2)に移動された場合には、現在の座標のy値を0に修正する。そして、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、現在のフレーム座標(x2、y2)のx値を、現在のフレーム座標(x2、y2)と、前のフレーム座標(x1、y1)との間の最短経路上でアクティブ領域(AA)の上側エッジ座標に修正する。
【0039】
エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、タッチポイントがアクティブ領域(AA)内の前のフレーム座標(x1、y1)から下側ベゼル領域(AA)内の現在のフレーム座標(x2、y2)に移動された場合には、現在のフレーム座標のy値をアクティブ領域の最大y座標の値に修正する。そして、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、現在のフレーム座標(x2、y2)のx値を、現在のフレーム座標(x2、y2)と、前のフレーム座標(x1、y1)との間の最短経路上でアクティブ領域(AA)の下側エッジ座標に修正する。
【0040】
図10及び図11は、図9に示されたエッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)の実行結果を示す図である。座標変換アルゴリズム(S62)の実行結果は、タッチポイントの座標は、図10の(a)及び図11の(a)に示すように、前のフレーム期間にアクティブ領域(AA)内の(x1、y1)から現在のフレーム期間にベゼル領域内の座標(x2、y2)に変化された。この場合に、図9でエッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)は、図10の(b)及び図11(b)に示すように、アクティブ領域(AA)を超えベゼル領域内の座標(x2、y2)を前の座標と現在の座標の比例式を利用して、前の座標と現在の座標間の最短経路上ベゼル領域と接したアクティブ領域のエッジ座標に修正する。
【0041】
図12及び図13は、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)の座標報償の原理を示す図である。図12は、図10及び図11のように、アクティブ領域(AA)の左エッジと接する左ベゼル内の座標をアクティブ領域(AA)の左側エッジ座標に修正する原理を示す図である。図13は、アクティブ領域(AA)の上側エッジと接した上側のベゼル内の座標をアクティブ領域(AA)の上側エッジ座標に修正する原理を示す図である。
【0042】
タッチポイントが前のフレーム期間にアクティブ領域(AA)内の(x1、y1)から現在のフレーム期間に、左側ベゼル領域内の座標(x2、y2)に移動された場合に、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93及びS94)は、修正するx座標(x3)を0に修正した後、以下の式(3)と、図12に示すように、前のフレーム座標(x1、y1)と、現在のフレーム座標(x2、y2)の比例式を利用して修正するy座標(y3)を前のフレーム座標(x1、y1)と、現在のフレーム座標(x2、y2)との間の最短経路上でアクティブ領域の左側エッジ座標に修正する。
【0043】


----式(3)
【0044】
式(3)によって図12でΔyは、


なので、

で計算される。
【0045】
図12の例では、xy座標系で、現在のフレームのx座標が0より小さい負の値である場合である。現在のフレームのx座標がアクティブ領域の最大のx座標値よりも大きい場合、現在のフレームのタッチポイントの座標が右側ベゼル領域内に存在する場合である。この場合には、修正するx座標(x3)をアクティブ領域の最大x座標値に修正し、式(3)のような比例式を利用して修正するy座標(y3)を計算し、右側ベゼル内の座標をアクティブ領域(AA)の右側エッジ座標に修正する。
【0046】
タッチポイントが前のフレーム期間にアクティブ領域(AA)内の(x1、y1)から図13のように、現在のフレーム期間の上側のベゼル領域内の座標(x2、y2)に移動された場合に、エッジ部の座標報償アルゴリズム(S93とS94)を修正するy座標(y3)を0に修正した後、式(4)と、図13のように、前のフレーム座標(x1、y1)と、現在のフレーム座標(x2、y2)の比例式を利用して修正するx座標(x3)を前のフレーム座標(x1、y1)と、現在のフレーム座標(x2、y2)との間の最短経路上でアクティブ領域の上側エッジ座標に修正する。


----式(4)

【0047】
式(4)によって図13でΔxは、


であるため


に計算される。
【0048】
図13の例では、xy座標系で、現在のフレームのy座標が0より小さい負の値である場合である。現在のフレームのy座標がアクティブ領域(AA)の最大y座標の値より大きい場合、現在のフレームのタッチポイントの座標が下側ベゼル領域内に存在する場合である。この場合には、修正するy座標(y3)をアクティブ領域の最大y座標の値に修正し、式(4)のような比例式を用いて修正するx座標(x3)を計算し、下側のベゼル内の座標をアクティブ領域(AA)の下側エッジ座標に修正する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13