(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
相互接続および電極などの導電性素子を形成する方法、ならびに、そのような導電性素子を含む半導体構造およびメモリデバイスについて開示される。導電性素子は、銀または銀合金などの銀材料から形成される。銀は抵抗が低く、別の材料と合金や混合物となるので、導電性素子の抵抗を、銅から形成される導電性素子の抵抗以下にすることができる。
さらに、銀合金または混合物の使用は、そのような導電性素子を含む半導体処理の最終段階において行われる銀の熱処理中の凝塊に関する問題を実質的に低減もしくは排除することができる。銀、銀合金、または銀混合物を使用することで、少なくとも1つの寸法が約20nm未満といった充填される微小な開口を形成することも可能である。
【0012】
本明細書において用いられる、「合金」という用語は、複数の材料(例えば金属または非金属)の均一な混合物、または固溶体で、材料のうちの1つの原子がその材料のうちの別のものの原子の間の格子間位置を占めることを意味し含んでいる。一例であって限定はされないが、合金には、銀と、白金、アルミニウム、スズ、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムから選ばれる金属との混合物を含むことができる。
【0013】
本明細書において用いられる、「混合物」という用語は、複数の金属、または金属と非金属とを混合して製造される材料を意味し含んでいる。一例であって限定はされないが、銀と、タングステンなどの金属との混合物を含むことができる。
【0014】
本明細書において用いられる、「ライナー」という用語は、少なくとも1つの材料の表面上を覆ういかなる構造も意味し含んでいる。一例であって限定はされないが、ライナーは、別の材料の上に配された材料の層を含むことができる。
【0015】
本明細書において用いられる、「接着材料」という用語は、第1の材料と第1の材料にすぐに隣接する第2の材料との接着を容易にするために選択された材料を意味し含んでいる。
【0016】
本明細書において用いられる、「カルコゲナイド」という用語は、ガラスまたは結晶材料を含む金属を意味し含んでおり、元素周期表のVIA族(16族とも識別される)からの元素を含んでいる。VIA族元素は、しばしば「カルコゲン」と呼ばれ、硫黄(S)、セレニウム(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)、および酸素(O)を含んでいる。カルコゲナイドの例は、特に限定されないが、セレン化ゲルマニウム(GeSe)、硫化ゲルマニウム(GeS)、テルル化ゲルマニウム(GeTe)、セレン化インジウム(InSe)、およびセレン化アンチモン(SbSe)を含んでいる。典型的なカルコゲナイドは各元素が一原子の化学量論比を有しているが、カルコゲナイドは、他の化学量論比を有することもできる。
【0017】
本明細書において用いられる、「再配分(再配置)する」および「再配分(再配置)すること」という用語は、表面にわたって、構造中の部分的に充填され、被覆され、またはあらかじめ充填されていない開口(例えば、ビアホールや溝)に、材料を拡げるか塗りつけて、開口を材料で充填または実質的に充填することを意味し含んでいる。
【0018】
本明細書において用いられる、「基板」という用語は、その上に付加的な材料が形成される土台の材料または構造を意味し含んでいる。基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体層、金属電極、または、1以上の層、構造もしくはそれらの上に形成された領域を有する半導体基板とすることができる。基板は従来からあるシリコン基板または半導体材料の層を含む別のバルク基板とすることもできる。本開示において、「バルク基板」は、シリコンウェハの他に、シリコンオンサファイア(SOS)基板およびシリコンオングラス(SOG)基板などのシリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ベース半導体素地上のシリコンのエピタキシャル層、ならびにシリコン−ゲルマニウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、およびリン化インジウムなどのほかの半導体または光電子材料を意味し含んでいる。基板は、ドープされていてもよいしドープされていなくてもよい。
【0019】
以下の説明は、本開示の実施形態を十分な説明を提供するために、材料の種類や工程条件などの具合的詳細を提供するものである。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの具体的詳細を採用しなくても実施できることは、当業者によって理解し得る。実際に、本開示の実施形態は、この産業において採用されている従来からある技術と併せて実施される。さらに、以下に提供する説明は、半導体デバイスの製造のための完全な工程フローを形成してはいない。以下に説明する半導体構造は、必ずしも完全な半導体デバイスを形成していない。本開示の実施形態を理解するために必要な工程行為および構造のみ以下に詳細に説明する。この半導体構造から完全な半導体デバイスを形成するための付加的な行為は、従来からある製造技術によって行うことができる。
【0020】
図1A〜1Eは、半導体構造100の簡略化した部分断面図であり、相互接続を形成する方法の実施形態を示している。
図1Aを参照すると、半導体構造100は、基板102の上に重なる材料104内に、開口106を含むことができる。材料104は、例えば、窒化ケイ素(Si
3N
4)、二酸化ケイ素(SiO
2)、または酸窒化ケイ素(SiO
xN
y)から形成することができる。材料104は、化学気相堆積工程、原子層堆積工程、または物理気相堆積工程などの従来からある堆積工程を使用し、基板102上に形成することができる。
【0021】
半導体構造100は、任意で、材料104と基板102との間に電極材料108(破線で表示)を含むことができる。電極材料108は、タングステン(W)、白金(Pt)、窒化チタン(TiN)、またはニッケル(Ni)などの導電性材料から形成することができる。電極材料108は、化学気相堆積工程または原子層堆積工程などの従来からある堆積工程を使用し、基板102上に形成することができる。
図1A〜1Eにおいては、電極材料108が存在するが、電極材料108は任意であり、材料104が直接基板102に接し、開口106が少なくとも部分的に材料104を通して伸びていてもよい。
【0022】
開口106は、例えば、集積回路製造の技術分野において知られている、従来からあるフォトリソグラフィー技術(例えば、マスキングおよびエッチング)を使用し、材料104の一部を除去することによって形成することができる。一例であって限定はされないが、開口106は、
図1Aの面を貫くように長く伸びていてよい。材料104を部分的に除去することで、材料104の表面、またはもし存在する場合は電極材料108の表面を露呈させることができる。一例であって限定はされないが、開口106の幅W1は、約100nm未満、特に約20nm未満にすることができる。開口106のアスペクト比は、約1:1〜約20:1、特に、約5:1〜約10:1にすることができる。
図1Aおよびそれ以降の図に示す要素は、説明図の目的で描かれており、正確な縮尺で描かれてはいないことは理解し得るだろう。
【0023】
図1Bを参照すると、ライナー材料110は、半導体構造100(すなわち、材料104の露呈された表面、および存在する場合は、電極材料108)の表面の上に形成することができる。例えば、ライナー材料110は、開口106の範囲内の露呈された表面(すなわち、材料104の露呈された側壁、および存在する場合は、電極材料108の露呈された表面)および材料104の露呈された凹んでいない表面の上に形成することができる。電極材料108の存在する実施形態においては、ライナー材料110は、電極材料108への接着を容易にするおよび接触抵抗を低減する材料、または両方の特性を与える材料から形成することができる。例えば、ライナー材料110は、白金(Pt)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、およびロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つから形成することができる。ライナー材料110は、化学気相堆積工程、物理気相堆積工程、またはスパッタ工程などの従来からある堆積工程を使用して形成することができる。一例であって限定はされないが、ライナー材料110は、約0.5nm〜約20nm、特に、約1nm〜約5nmの厚さに形成することができる。
【0024】
図1Cを参照すると、導電性材料112は、ライナー材料110の上に形成することができる。導電性材料112は、物理気相堆積工程または物理堆積工程などの従来からある堆積工程を使用し、銀(Ag)もしくはその合金またはその混合物から形成することができる。従来からある気相堆積工程(例えば化学気相堆積および物理気相堆積)は、微小な開口(例えば、少なくとも1つの寸法が20nm以下の開口)に銀を効果的に堆積できないかもしれない。ゆえに、開口106の少なくとも1つの寸法(すなわち幅W1)が約20nm以下の実施形態では、スパッタ工程を使用し、開口106の範囲内に導電性材料112を形成することができる。特に限定されることのない例として、導電性材料112は、ライナー材料110の全体に露呈された表面の上に実質的にコンフォーマルに堆積することができる。導電性材料112は、開口106の残っている部分を少なくとも部分的に充填するに十分な厚さに形成することができる。
図1Cに示すように、開口106の一部は、導電性材料112が半導体構造100の上に形成された後も、充填されないままにすることができる(すなわち、非充填領域116)。一例であって限定はされないが、導電性材料112は、銀から形成することができ、約5nm〜約30nm、特に、約10nm〜約20nmの厚さにすることができる。
【0025】
ライナー材料110および導電性材料112の厚さは、材料の所望の比に基づいて選択することができる。ライナー材料110が白金を含み、導電性材料112が銀を含む実施形態においては、ライナー材料110の導電性材料112に対する比は、約1〜2以下とすることができる。
【0026】
図1Dを参照すると、ライナー材料110(破線で図示)が導電性材料112と合金を形成する材料を含む場合の実施形態においては、任意で、アニールを行い、ライナー材料110および導電性材料112の合金を形成することができる。ライナー材料110と導電性材料112とが反応することによって、金属間化合物が形成される。例えば、導電性材料112は銀を含み、ライナー材料110は、例えば白金、アルミニウム、スズ、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムのうちの少なくとも1つの材料(銀と反応して合金を形成する)を含むことができる。一例であって限定はされないが、アニール工程は、半導体構造100を約100℃〜約500℃の温度、特に、約200℃の温度に曝露することを含むことができる。アニールの間に、合金を含む材料114(破線で図示)が導電性材料112と材料104との界面であって、導電性材料112の残り(すなわち、合金となっていない)の部分の下に形成されることがある。この合金は、ライナー材料110および導電性材料112の実質的に均一な混合物、または、ライナー材料110の導電性材料112に対する比が異なる領域を含む不均質な混合物であってもよい。ライナー材料110が白金を含み、導電性材料112が銀を含む実施形態においては、半導体構造100は、白金と銀とが結合し銀−白金合金を形成する約200℃の温度に曝露することができる。ライナー材料110は少なくとも実質的に完全に導電性材料112と合金化して、材料114を形成することもできるし、または、ライナー材料110の一部を、材料114と材料104の表面との間の界面、存在する場合には電極材料108との界面に残すこともできる。
【0027】
ライナー材料110が導電性材料112と合金を形成しない材料から形成される実施形態においては、アニール工程を迂回することができ、ライナー材料110を、導電性材料112と材料104との間、存在する場合は電極材料108(
図1Cに図示)との間の界面に残すことができる。例えば、導電性材料112は銀を含むことができ、ライナー材料110はタンタルを含むことができ、タンタルは、銀と、材料104との間、存在する場合は電極材料108との間に配することができる。
【0028】
半導体構造100の露呈された表面には、例えば化学機械研磨(CMP)工程または機械研磨工程の形で、いわゆる研磨工程などの材料の除去工程を施し、
図1Eに示すような相互接続120を形成することができる。例えば、採用する工程は、ライナー材料110、導電性材料112、および存在する場合は材料104の上に重なる、材料114(
図1D)のそれぞれの部分を除去するのに使用することができる。さらに、その工程は、少なくとも、導電性材料112、ライナー材料110、および存在する場合は材料114のうちの少なくとも1つを、開口106の非充填領域116(
図1D)内に再配分(再配置)するのに使用して、開口106を実質的に完全に充填することができる。特定の理論に従うことを望んではいないが、研磨工程中に、導電性材料112ならびに任意のライナー材料110および材料114などの展性材料は、ボイド(例えば、非充填領域116)内に機械的に押されるかまたは再配分されると、その結果開口106の非充填領域116が充填されることが考えられる。しかしながら、研磨工程中に展性材料にかかる機械的応力によって、展性材料が開口106の外に引き出されることが起こる場合がある。そのような機械的応力は、開口106の一部を充填されないままにすることによって、かつ、導電性材料112と下にある材料(すなわち、材料104、または存在する場合は電極材料108)との接着を改善することによって、実質的に低減または取り除くことができる。例えば、導電性材料112が、下にある領域(例えば、電極材料108)と弱い接着性を示す材料(例えば、銀)から形成されている実施形態においては、ライナー材料110は、実質的に導電性材料112と下にある領域との接着性を実質的に改善することによって、導電性材料112が、機械的圧力によって開口106から除去されることを防ぐことができる。
【0029】
研磨工程は、従来からある化学機械研磨装置およびスラリーを使用した化学機械研磨工程とすることができ、これにより、展性のある材料(例えば、導電性材料112および、任意で、ライナー材料110)を開口106の非充填領域116に再配分して相互接続120を形成することを可能にする。そのようなスラリーは、例えば、中性または、実質的に酸化剤を含まないわずかに塩基性のpHのアルミナ系スラリーとすることができる。研磨工程は、従来からある化学機械研磨装置、および化学スラリーに代えて水(例えば、脱イオン水)を使用した機械研磨工程とすることもできる。化学的エッチング剤を添加せずに、研磨工程内の液体成分に水を使用することによって、そのような材料を実質的に除去することなく、導電性材料112、存在する場合はライナー材料110を開口106の非充填領域に再配分することが可能である。
【0030】
相互接続120を形成した後、別のアニール工程を、任意で行うこともできる。一例であって限定はされないが、このアニールは、
図1Eの半導体構造100を約100℃〜約500℃の温度、特に、約200℃に曝露することを含むことができる。このアニール工程は、上述のように、相互接続120の材料(導電性材料112およびライナー材料110)の合金を結果的に形成することがある。アニール後、相互接続120は、導電性材料112、ライナー材料110、および合金の領域を含むこともできるし、あるいは実質的な合金を含むこともできる。
【0031】
簡略化を目的として、
図1A〜1Eに関して説明した方法は、単一の相互接続120を形成する方法を示している。しかしながら、複数の相互接続、または金属配線(例えば、メタライゼーション層)のネットワークを、
図1A〜1Eに関して説明した方法によって形成することは、当業者であれば理解し得るであろう。相互接続120が多様な半導体デバイス内に配置し得ることは、当業者であれば理解し得るであろう。例えば、相互接続120は、トランジスタ、コンデンサなどの電気的に接続される能動デバイスに使用することもできる。相互接続120は、能動デバイスなどの電気的に接続されている金属配線のネットワークの一部を含むことができる。
【0032】
図2A〜2Eは、半導体構造200の簡略化した部分断面図であり、相互接続を形成する方法の別の実施形態を示している。
図2Aに示したように、半導体構造200は、基板202の上に重なる材料204内に、開口206を含んで形成することができる。開口206の幅W2は、約100nm未満、特に約20nm未満にすることができる。開口206は、材料204、またはもし存在する場合は、材料204と基板202との間に配された任意の電極材料208の表面を露呈させることができる。
図2Aに示した半導体構造200は、
図1Aに示した半導体構造100と実質的に同じ方法を使用して形成することができる。
図2A〜2Eには、電極材料208が存在することを示しているが、電極材料208は任意であり、材料204が直接基板202と接触し、開口206が少なくとも部分的に材料204を通して伸びていてもよい。
【0033】
図2Bを参照すると、導電性材料212は、半導体構造200の上方(例えば、材料204および存在すれば電極材料208のそれぞれの露呈された表面の上方)に形成することができる。導電性材料212は、物理気相堆積工程または物理堆積工程といった従来からある堆積工程を使用し、銀(Ag)もしくはその合金またはその混合物から形成することができる。従来からある気相堆積工程(例えば、化学気相堆積および物理気相堆積)は、微小な開口(例えば、少なくとも1つの寸法が20nm以下の開口)に銀を効果的に堆積できないかもしれない。このような、開口206の少なくとも1つの寸法(例えば幅W2)が約20nm以下の実施形態では、スパッタ工程を使用し、開口206の範囲内で導電性材料212を形成することができる。限定はされない一例として、導電性材料212は、半導体構造200の全体に露呈された表面の上に実質的にコンフォーマルに堆積することができる。導電性材料212は、開口206を少なくとも部分的に充填するに十分な厚さに形成することができる。開口206の一部は、導電性材料212の配された後も、充填されないままにすることができる(すなわち、非充填領域216)。一例であって限定はされないが、導電性材料212は、銀から形成することができ、約5nm〜約30nm、特に、約10nm〜約20nmの厚さにすることができる。
【0034】
図2Cを参照すると、ライナー材料210は、導電性材料212の表面の上に形成することができる。ライナー材料210は、さらに詳細に説明されるが、完成した相互接続の上に形成することができる上部電極(図示せず)との、接着をし易くするおよび/または接触抵抗を下げる材料から形成することができる。例えば、ライナー材料210は、白金、アルミニウム、スズ、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムのうちの少なくとも1つから形成することができる。ライナー材料210は、化学気相堆積工程、物理気相堆積工程、またはスパッタ工程といった従来からある堆積工程を使用して形成することができる。
図2Cに示したように、ライナー材料210が導電性材料212の上に形成された後に、開口206の非充填領域216の一部を残すこともできる。一例であって限定はされないが、ライナー材料210は、約0.5〜約20nm、特に、約1nm〜約5nmの厚さに形成することができる。
【0035】
ライナー材料210および導電性材料212の厚さは、材料の所望の比に基づいて選択することができる。ライナー材料210に白金を含み、導電性材料212に銀を含む実施形態においては、ライナー材料210の導電性材料212に対する比は、約1〜2以下とすることができる。
【0036】
図2Dを参照すると、ライナー材料210(破線で図示)が導電性材料212と合金を形成する材料を含む実施形態においては、アニール工程を任意で行い、導電性材料212とライナー材料210との合金を形成することができる。例えば、導電性材料212は銀を含み、ライナー材料210は、例えば白金、アルミニウム、スズ、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムのうちの少なくとも1つの材料(銀と反応して合金を形成する)を含むことができる。一例であって限定はされないが、アニール工程は、半導体構造200を約100℃〜約500℃、特に、約200℃の温度に曝露することを含むことができる。アニール工程の間に、導電性材料212およびライナー材料210の少なくとも一部が、被覆され、合金を含む材料214(破線で図示)が形成されることがある。この材料214内の合金は、ライナー材料210と導電性材料212との実質的に均一な混合物、または、ライナー材料210の導電性材料212に対する比が異なる領域を含む不均質な混合物であってもよい。ライナー材料110が白金を含み、導電性材料212が銀を含む実施形態においては、半導体構造200は、白金と銀とが結合し銀−白金合金を形成するように約200℃の温度に曝露することができる。ライナー材料210は少なくとも実質的に完全に導電性材料212と合金化して、材料214を形成することもできるし、または、ライナー材料210の一部を、材料214を被覆して残すこともできる。
【0037】
ライナー材料210が導電性材料212と合金を形成しない材料から形成される実施形態においては、アニール工程を省略することができ、ライナー材料210を、導電性材料212(
図2Cに図示)上に残すことができる。例えば、導電性材料212は、銀を含むことができ、ライナー材料210は、タンタルを含むことができ、タンタルは、銀の上に配することができる。
【0038】
半導体構造200の露呈された表面には、例えば化学機械研磨(CMP)工程または機械研磨工程の形で、いわゆる研磨工程などの材料の除去工程を施し、
図2Eに示すような相互接続220を形成することができる。例えば、採用する工程は、材料204の上に重なる、導電性材料212および存在する場合は材料114および/またはライナー材料210(
図2D)のそれぞれの一部を除去するのに使用することができる。さらに、その研磨工程は、少なくとも、導電性材料212、材料214、および/またはライナー材料210の1つを、開口206の非充填領域216(
図2D)に再配分するのに使用し、開口206を実質的に完全に充填することができる。特定の理論に従うことを望んではいないが、研磨工程中に、展性材料(例えば、導電性材料212ならびに任意のライナー材料210および/または材料214)は、ボイド(例えば、開口206の非充填領域216)内に機械的に押されるかまたは再配分されると、その結果開口206の非充填領域216を充填することが考えられる。しかしながら、研磨工程中に展性材料にかかる機械的応力によって、展性材料が開口206の外に引き出されることが起こる場合がある。そのような機械的応力は、開口206の一部を充填されないままにすることにより、かつ、導電性材料212と下にある材料(すなわち、材料204、または存在する場合は電極材料208)との接着を改善することにより、実質的に低減または取り除くことができる。研磨工程は、
図1Eに関して先に議論したように、化学機械研磨工程または機械研磨工程とすることができる。
【0039】
相互接続220を形成した後、別のアニール工程を、任意で行うこともできる。一例であって限定はされないが、このアニール工程は、半導体構造200を約100℃〜約500℃、特に、約200℃の温度に曝露することを含むことができる。このアニール工程は、上述のように、相互接続220の材料(導電性材料212およびライナー材料210)の合金を結果的に形成することがある。アニール後、相互接続220は、導電性材料212、ライナー材料210および合金の領域を含むこともできるし、あるいは実質的な合金を含むこともできる。
【0040】
簡略化を目的として、
図2A〜2Eに関して説明した方法は、単一の相互接続220を形成する方法を示している。しかしながら、複数の相互接続、または金属配線(例えば、メタライゼーション層)のネットワークを、
図2A〜2Eに関して説明した方法によって形成することは、当業者であれば理解し得る。相互接続220が多様な半導体デバイス内に配置し得ることは、当業者であれば理解し得る。例えば、相互接続220は、トランジスタ、コンデンサなどの電気的に接続される能動デバイスに使用することもできる。相互接続220は、能動デバイスなどの電気的に接続されている金属配線のネットワークの一部を含むことができる。
【0041】
図3A〜3Dは、半導体構造300の簡略化した部分断面図であり、導電性ブリッジランダムアクセスメモリ(CBRAM)デバイスの電極311といった半導体デバイス用の導電性素子を形成する方法の実施形態を示している。CBRAMは、複数のメモリセルを含むことができ、その1つは、
図3Aに示されている。CBRAMセル330は、第1の電極308および第2の電極311の間に配された、メモリ材料309を含むことができる。例えば、さらに詳細に説明されるように、メモリ材料309は、下にある材料または開口306の露呈された表面の上に配することができる。メモリ材料309および第2の電極311は、第1および第2の電極308および311の間の電気的接合を提供する導電性構造303の上に重なることができる。第2の電極311は銀から形成することができる。
【0042】
特定の理論に従うことを望んではいないが、CBRAMセル330の動作は、メモリ材料309内への銀の電子的移動によって形成される導電性ブリッジの選択的形成と分解とに起因して起こると考えられる。ゆえに、第2の電極311の堆積中に、メモリ材料309内への銀イオンの拡散を制御することは重要である。
【0043】
図3B〜3Dは、
図3Aに示したCBRAMセル330を形成する方法の実施形態を示している。
図3B1に示すように、半導体構造300は、誘電性材料304内に開口306を含み、開口306が、第1の電極308の上に重なる層間誘電性材料305の内の導電性構造303の上に重なるように形成することができる。第1の電極308は、タングステン、白金、窒化チタン(TiN)、またはニッケルなどの導電性材料から形成することができる。第1の電極308は、化学気相堆積工程または原子層堆積工程などの従来からある堆積工程を使用して基板(図示せず)上に形成することができる。半導体構造300は、導電性構造303のおよび層間誘電性材料305の表面の上に重なるメモリ材料309を含むことができる。
【0044】
層間誘電性材料305は、例えば、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、または酸窒化ケイ素から形成することができる。層間誘電性材料305は、従来からある化学気相堆積工程、原子層堆積工程、または物理気相堆積工程などの従来からある堆積技術を使用し、第1の電極308上に形成することができる。
【0045】
導電性構造303は、たとえば、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、タンタル、および窒化タンタルのうちの少なくとも1つの導電性材料から形成することができる。導電性構造303は、第1の電極308と電気的に接触して形成することができる。導電性構造303は、従来からある技術を使用し、層間誘電性材料305内に形成することができ、その詳細はこの技術分野において知られており、それゆえに、ここでは詳細に説明しない。例えば、従来からあるダマシン工程を使用し、層間誘電性材料305内に溝を形成し、層間誘電性材料305の上に導電性材料を形成してトレンチを充填し、化学機械研磨工程(CMP)を行って層間誘電性材料305の上に重なる導電性材料の一部を除去することによって、層間誘電性材料305内に導電性構造303を形成することができる。
【0046】
メモリ材料309は、セレン化ゲルマニウムもしくは硫化ゲルマニウムなどのカルコゲナイド材料、または高誘電率酸化物などの酸化物材料から形成することができる。好ましい高誘電率材料の例は、限定されるものではないが、二酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化窒素、酸化ジルコニウム、および酸化ハフニウムが含まれる。例えば、メモリ材料309は、物理気相堆積工程、化学気相堆積工程、または原子層堆積工程などの従来からある堆積工程を使用して堆積させることができる。
【0047】
誘電性材料304は、例えば、窒化ケイ素、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)二酸化ケイ素、または酸窒化ケイ素から形成することができる。誘電性材料304は、化学気相堆積工程、原子層堆積工程、または物理気相堆積工程などの従来からある堆積工程を使用し、層間誘電性材料305および導電性構造303の上に形成することができる。いくつかの実施形態では、誘電性材料304は、一体構造として形成することができる。また他の実施形態では、誘電性材料304は、破線で示すように、複数の材料304A、304B、304Cを含む積層構造として形成することができる。例えば、材料304Aおよび304Cは窒化ケイ素から形成し、材料304Bはテトラエチルオルトシリケートから形成することができる。
【0048】
開口306は、例えば、集積回路製造の技術分野において知られている、従来からあるフォトリソグラフィー技術(例えばマスキングおよびエッチング)を使用し、誘電性材料304の一部を除去することによって、誘電性材料304内に形成することができる。開口306を形成するために除去された誘電性材料304の部分は、開口306が導電性構造303の表面、そして任意で、導電性構造303の表面に隣接する層間誘電性材料305の表面を露呈するように、導電性構造303の上に重なることができる。一例であって限定はされないが、開口306の幅W3は、約100nm未満、特に約20nm未満とすることができる。
【0049】
或いは、
図3B2を参照すると、メモリ材料309は、誘電性材料304および誘電性材料304内の開口306を形成した後に、誘電性材料304の側面ならびに導電性構造303および層間誘電性材料305の表面の上に形成することもできる。
図3B1に関して先に議論したように、メモリ材料309は、物理気相堆積工程、化学気相堆積工程、または原子層堆積工程などの従来からある堆積工程を使用し、セレン化ゲルマニウムもしくは硫化ゲルマニウムなどのカルコゲナイド材料、または高誘電率酸化材料などの酸化物材料から形成することができる。
【0050】
メモリ材料309の堆積後、アニール工程を任意で行うことができる。一例であって限定はされないが、アニールは、半導体構造300を約100℃〜約500℃の温度、特に約200℃の温度に曝露することを含むことができる。
【0051】
図3Cに示したように、銀を含む導電性材料312は、メモリ材料309の上に形成することができる。簡略化のために、半導体構造300は、開口306内の表面の上および誘電性材料304の表面の上に配されたメモリ材料309(破線で図示)を用いて示されている。しかしながら、構成されている様に、
図3B1に示されたメモリ材料309のように、メモリ材料300は、層間誘電性材料305と誘電性材料304との間に配することもできる。
【0052】
物理気相堆積工程(PVD)や化学気相堆積工程(CVD)などの従来からある気相堆積工程によって銀を形成することは、第2電極311の形成中に、銀のメモリ材料309内への好ましくない拡散を引き起こすかもしれない。そのような銀の拡散は、CBRAMデバイスのセル間動作における変動をもたらすことがある。ゆえに、導電性材料312は、従来からあるスパッタ工程を使用して銀(Ag)または銀合金から形成することができる。一例であって限定はされないが、導電性材料312は、メモリ材料309の全体に露呈された表面の上に実質的にコンフォーマルに堆積することができる。導電性材料312の厚さは、開口306の一部が充填されないままにすることができる(すなわち非充填領域316)。一例であって限定はされないが、導電性材料312は約10nm〜約20nmの厚さに形成することができる。
【0053】
図3Dを参照すると、ライナー材料310は、導電性材料312の表面の上に形成することができる。例えば、ライナー材料310は、白金、タンタル、アルミニウム(Al)、鉛(Sb)、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムのうちの少なくとも1つから形成することができる。ライナー材料310は、化学気相堆積工程、物理気相堆積工程、またはスパッタ工程などの従来からある堆積工程を使用して形成することができる。一例であって限定はされないが、ライナー材料310は、約0.5nm〜約20nm、特に約1nm〜約5nmの厚さに形成することができる。
【0054】
現在他の材料に対して銀を選択的に除去するためのエッチング剤が無いため、望ましくない領域からの銀の除去は、複雑であるかもしれない。ゆえに、
図3Dに関して説明したように、半導体構造300の露呈した表面に研磨工程を施すことによって、材料(すなわち、導電性材料312およびライナー材料310)は、誘電性材料304の上面からボイド(例えば、開口306の非充填領域316)内に押されるかまたは再配分されることができる。研磨工程の間に、非充填領域316(
図3Cおよび3D)を充填し、
図3Aに示す第2の電極311を形成することができる。任意で、その後にアニール工程して、導電性材料312およびライナー材料310の合金を形成することもできる。例えば、ライナー材料310が白金、アルミニウム(Al)、鉛(Sb)、銅、イリジウム、チタン、ニッケル、コバルト、ルテニウム、およびロジウムを含む実施形態においては、アニール工程により合金を形成することができる。導電性材料312の堆積前にアニールを行う実施形態では、この段階でアニール工程を省略することができる。アニール工程は、半導体構造300を約100℃〜約500℃、特に約200℃の温度に曝露することを含むことができる。一例であって限定はされないが、導電性材料312は銀から形成することができ、ライナー材料310は白金から形成し、さらにアニール工程の間に銀−白金合金から形成することができる。合金の大部分または実質的に全部の合金は、相互接続320がメモリ材料309に接触または接着する部分が実質的に銀を含むように、相互接続320の領域内でメモリ材料309の表面に対向して位置することができる。
【0055】
図3A〜3Dには、CBRAMセル330内における銀含有導電性素子(すなわち、第2電極311)を形成する方法の実施形態が示されている。しかしながら、そのような方法は、多様な半導体構造およびデバイス内の別の導電性素子を形成するにも利用することができることは、当業者であれば理解し得るであろう。
【実施例1】
【0056】
シリコンウェハを被覆する二酸化ケイ素材料内に、複数の溝を形成した。各複数の溝は、約50nmの深さとした。従来からあるスパッタ工程によってシリコンウェハの表面に銀を堆積させた。このスパッタ工程は、市販のスパッタコート装置によって行った。銀をシリコンウェハの表面に約2分間スパッタした。その間に銀の厚さは約15nmに達した。その後、同じスパッタコート装置によって、銀の上に白金を形成した。白金をシリコンウェハの表面に約30秒間スパッタした。その間に白金の厚さは約6nmに達した。
【0057】
脱イオン水および市販の研磨パッドを使用し、銀および白金を形成したシリコンウェハの機械研磨工程を行った。この機械研磨工程の間は、化学スラリーは使用しなかった。白金表面の研磨は、約100RPMの回転速度の研磨パッドで行った。機械研磨工程後、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、材料(すなわち、銀および白金)で溝が実質的に充填されていることを確認した。
【0058】
その後、市販の工業用オーブンを使用し、アニールを行った。工業用オーブンを200℃に設定し、表面に銀および白金を形成したシリコンウェハを約10分間その中に入れた。アニール後の銀−白金合金は、実質的に平坦で低い抵抗を有していた。
【0059】
本発明は、種々の修正および代替形態が可能であり、ここでは、特定の実施形態を、図中の例で示し、その詳細な説明を行った。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではない。正しくは、本発明は、以下に添付の特許請求の範囲および法的に等価な書面において定義される発明の範囲内に含まれる、修正、均等物、および代替形態を全て網羅する。