(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805276
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】p型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/337 20060101AFI20151015BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20151015BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20151015BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20151015BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 652E
H01L29/78 653B
H01L29/78 652G
H01L29/78 658A
H01L29/44 L
H01L29/44 P
H01L21/28 301B
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-142115(P2014-142115)
(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-19070(P2015-19070A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年7月10日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0081622
(32)【優先日】2013年7月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507194969
【氏名又は名称】ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 元伸
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲寛▼ 鉉
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 暎 都
【審査官】
棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/177699(WO,A1)
【文献】
再公表特許第2011/024549(JP,A1)
【文献】
特開2004−055869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/337
H01L 21/28
H01L 21/336
H01L 21/338
H01L 29/12
H01L 29/41
H01L 29/778
H01L 29/78
H01L 29/808
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1領域上のドレイン電極と、
前記基板における、前記第1領域と離隔した第2領域上のドリフト層と、
前記ドリフト層の上部に配置されたp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層であって、それらの間に電流アパーチャを構成し、前記電流アパーチャが、垂直方向にキャリアが移動する経路を提供する、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層と、
前記p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層およびドリフト層の上に配置され、その表面に隣接して2次元電子ガス層を有するチャネル層と、
前記チャネル層上に配置され、前記2次元電子ガス層の形成を引き起こす半導体層と、
前記チャネル層内に配置され、前記p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層とコンタクトする複数の金属コンタクトプラグと、
前記複数の金属コンタクトプラグおよび前記チャネル層上のソース電極と、
前記チャネル層の反対側である前記半導体層の上部面上に順に積層されたゲート絶縁層およびゲート電極とを含み、
前記複数の金属コンタクトプラグそれぞれの下部面は、前記p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層の上部面とコンタクトし、
前記複数の金属コンタクトプラグそれぞれの上部面は、前記ソース電極の下部面とコンタクトする、垂直型トランジスタ。
【請求項2】
前記ドリフト層は、n型ガリウムナイトライド(GaN)層を含む、請求項1に記載の垂直型トランジスタ。
【請求項3】
前記チャネル層は、ガリウムナイトライド(GaN)層を含み、前記半導体層は、アルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)層を含む、請求項1に記載の垂直型トランジスタ。
【請求項4】
前記金属コンタクトプラグは、平面視で円形形状を有する、請求項1に記載の垂直型トランジスタ。
【請求項5】
前記金属コンタクトプラグは、平面視で矩形形状を有する、請求項1に記載の垂直型トランジスタ。
【請求項6】
隣接する前記金属コンタクトプラグ間の距離は、5μm以下である、請求項1に記載の垂直型トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、トランジスタおよびその製造方法に関するものであって、特に、p型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス産業の技術分野において、情報通信技術の発達により、高速に動作する高耐圧トランジスタの要請が増加している。そのような要求に対応して、ガリウムナイトライド(GaN)トランジスタが提案されている。GaNトランジスタは、従来のシリコントランジスタに比べて高速スイッチング特性と、高い降伏電圧特性とを示す。このように、GaNトランジスタは、コミュニケーションシステムの性能を向上させる候補として注目されている。特に、ガリウムナイトライド(GaN)を用いた高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;以下、HEMT)は、異種物質間の界面で発生する2次元電子ガス(2DEG;2−Dimensional Electron Gas)を用いることにより、電子の移動度(mobility)が高められ、高速信号伝送に適する利点がある。
【0003】
このようなGaNトランジスタは、水平型構造(planar−type configuration)を有することが一般的である。しかし、水平型GaNトランジスタの場合、表面に形成される電界によって、チャネルを介して移動するキャリアの流れが阻害され、キャリア移動度が制限される場合がある。さらに、素子の動作時にゲート電極の角部に電界が集中する。このような電界集中は、水平型GaNトランジスタの降伏電圧特性を低下させる要因となる。
【0004】
これにより、最近は、キャリアが垂直方向に移動する垂直型GaNトランジスタが提案されているが、一例として、米国特許出願公開第2012/0319127号明細書(Chowdhuryら,「Current Aperture Vertical Electron Transistors with Ammonia Molecular Beam Epitaxy Grown P-type Gallium Nitride as a Current Blocking Layer」)(特許文献1)では、電流アパーチャ垂直電子トランジスタ(CAVET;Current Aperture Vertical Electron Transistor)が開示されている。この特許文献1によれば、ソース電極とドレイン電極とが垂直方向に互いに対向して配置され、その間に、電流障壁層としてp型ガリウムナイトライド(p−GaN)層が配置される。そして、電流は、p型ガリウムナイトライド(p−GaN)層によって提供されるアパーチャ(aperture)を介してソース電極からドレイン電極まで垂直方向に流れる。
【0005】
電流障壁層として使用されるp型ガリウムナイトライド(p−GaN)層は、ガリウムナイトライド層を形成しながら、ドーパントとしてマグネシウム(Mg)をドーピングさせる。この時、ドーピング物質として使用されるマグネシウム(Mg)原子は、ガリウムナイトライド層においてガリウム(Ga)の位置に完全に置換されない。このように、残存したマグネシウムイオンは、ナイトライド原料として用いられるアンモニア(NH
3)ガスが熱分解することにより生成される水素(H)イオンと結合して水素化マグネシウム(Mg−H)複合体となる。このように生成された水素化マグネシウム(Mg−H)複合体がp型ガリウムナイトライド(p−GaN)層内に存在すると、ガリウムナイトライドトランジスタの電気的特性を低下させる。例えば、水素化マグネシウム(Mg−H)複合体は、p型ガリウムナイトライド(p−GaN)層の活性化を阻害して電流障壁層としての機能を低下させる。
【0006】
上記背景技術に開示された情報は、本開示の背景の理解を向上させるためのものであり、先行技術の一部を形成するものではないし、当業者への示唆を形成するものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0319127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、p型ガリウムナイトライド電流障壁を有する垂直型トランジスタ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
本開示のさらなる特徴は、以下に続く説明によって明らかにされるであろう。また、その一部は以下の説明から自明であるか、実施例から導かれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による垂直型トランジスタは、基板上のドレイン電極と、基板上のドリフト層と、ドリフト層の上部に配置され、それらの間の電流アパーチャを画定するp型ガリウムナイトライド電流障壁層とを備える。電流アパーチャは、垂直方向にキャリアが移動する経路を提供する。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層およびドリフト層の上には、表面に2次元電子ガス層を有するチャネル層が配置される。チャネル層上には、2次元電子ガス層の形成を誘引する半導体層が配置される。金属コンタクトプラグ(metal contact plug)は、チャネル層を貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層とコンタクトするように配置される。金属コンタクトプラグおよびチャネル層上には、ソース電極が配置される。チャネル層の反対側である半導体層の表面には、順に積層されたゲート絶縁層およびゲート電極が配置される。
【0011】
他の実施形態による垂直型トランジスタは、ドレイン電極上のドリフト層と、ドリフト層の上部に配置されるp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層と、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層上に配置されるドナー層と、ドナー層を貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層とコンタクトする金属コンタクトプラグと、金属コンタクトプラグおよびドナー層上のソース電極と、ドナー層およびp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層を貫通してドリフト層に至るまで形成されるトレンチと、トレンチの内壁に順に積層されたゲート絶縁層及びゲート電極とを含む。
【0012】
さらに他の実施形態による垂直型トランジスタは、ドレイン電極と、ドレイン電極の上部に配置され、開口部を画定する電流遮断パターンとを備える。前記開口部は、電流流れ経路(current flow path)を提供する。電流遮断パターンによって限定される開口部において、ドレイン電極上に低抵抗パターン(low−resistance pattern)が配置される。低抵抗パターンおよび電流遮断パターン上には、ドリフト層が配置される。複数のp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層はドリフト層の中に配置される。各p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層は、それらの上面に隣接したチャネル領域を有する。ドナー層は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層のそれぞれの上に配置される。金属コンタクトプラグは、ドナー層を貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層とコンタクトする。ソース電極は、金属コンタクトプラグおよびドナー層上に配置される。ゲート絶縁層及びゲート電極は、p型ガリウムナイトライド電流障壁層の間のドリフト層の上に順に積層され、p型ガリウムナイトライド電流障壁層のチャネル領域の上まで拡張される。
【0013】
さらに他の実施形態による垂直型トランジスタの製造方法は、ドレイン電極と、ドレイン電極上のドリフト層と、ドリフト層内に配置されたp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層と、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層のそれぞれの上に配置されたドナー層とを含む構造体を準備することを含む。ドナー層は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層の一部表面を露出させるホールを形成するためにパターにングされる。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層内の水素成分は、ホールを形成した後に除去される。
【0014】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明は例示的かつ説明的であり、特許請求される本開示のさらなる説明を提供することを意図していることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明と共に本開示の原理を説明する。
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図2】
図1の線II−II’に沿った断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図8】
図7の線VIII−VIII’に沿った断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタを示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図17】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図19】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、開示の実施形態を示す添付図面を参照しながら詳細に説明する。本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではない。各実施形態は、本開示が完全になるように設けられており、十分に、当業者には本開示の範囲を十分に伝えるであろう。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズは、明確にするために誇張されている場合がある。図面中の参照符号は同じ要素を示す。
【0018】
要素または層が、別の要素または層に対して「上に」ある場合や「接続する」場合、それらは直接上にある場合や直接接続する場合だけでなく、要素間または層間に介在する要素が存在していてもよい。対照的に、要素が、別の要素または層に対して「直接上に」ある場合や「直接接続する」場合、要素間または層間に別の要素や層は介在しない。この開示の目的のために、「X、Y及びZの少なくとも1つ」との記載は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または、二つ以上の要素の組み合わせ(例えば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)と解釈され得る。
【0019】
例えば、「下」や「上」といった空間的に相対的な用語は、図面における要素間または特徴間の関係の説明を容易にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図面に示された方向に加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されていることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素の「下」にある要素は、他の要素の「上」になる。このように、「下」という用語は、下と上の両方の向きを包含し得る。デバイスが他の態様で回転した場合(90度やその他の角度で回転した場合)は、前述の空間的な相対的記述は、それに従って解釈される。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ100を示す平面図である。
図2は、
図1の線II−II’に沿った断面図である。
図1は、
図2のチャネル層112の表面レベルでの平面構造を示す。
【0021】
図1および
図2を参照すれば、基板102上にN型不純物を大量にドーピングしたn+型ガリウムナイトライド(GaN)層104が配置される。n+型ガリウムナイトライド(GaN)層104の第1領域上には、ドリフト層108が配置される。n+型ガリウムナイトライド(GaN)層104の第2領域上には、ドレイン電極106が配置される。一例において、ドリフト層108は、n+型ガリウムナイトライド(GaN)層104よりも低い濃度でN型不純物をドーピングしたn型ガリウムナイトライド(GaN)層からなる。
【0022】
ドリフト層108の上部の一定領域(縁部分)には、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110が配置される。
図1に示すように、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110は、一方向に沿って長く配置されるストライプ形態からなる。各p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110は、p型ドーパントとしてマグネシウム(Mg)がドーピングされたガリウムナイトライド(GaN)層である。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110の間の領域に対応する電流アパーチャ(current aperture)109が、ドリフト層108の上部に位置する。
【0023】
ドリフト層108およびp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110の上には、その表面に隣接して2次元電子ガス層113を有するチャネル層112が配置される。2次元電子ガス層113は、ドリフト層108に対向するチャネル層112の表面に配置される。一例において、チャネル層112は、n型ガリウムナイトライド(GaN)層からなる。チャネル層112上には、2次元電子ガス層113の形成を引き起こす半導体層114が配置される。一例において、半導体層114は、アルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)層からなる。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110上のチャネル層112には、チャネル層112を貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110の上部面と直接コンタクトする複数の金属コンタクトプラグ124を有する。
【0024】
金属コンタクトプラグ124のそれぞれは、
図1に示すように、平面視において円柱形状となっている。すなわち、金属コンタクトプラグ124は、チャネル層112を貫通する円柱形状のホール122の内部が金属層で満たされる構造を有する。金属コンタクトプラグ124は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層110とオーミックコンタクト(ohmic contact)特性を示す金属材料を含む。金属コンタクトプラグ124の間の間隔d1、d2は、5μm以下となるようにする。金属コンタクトプラグ124およびチャネル層112の上には、ソース電極116が配置される。半導体層114上には、ゲート絶縁層118が配置され、ゲート絶縁層118上には、ゲート電極層120が配置される。
【0025】
図3は、本開示の代表的な実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ300を示す平面図である。
図3における線II−II’に沿った断面構造は、
図2に示しているのと同様である。
図3において、
図1および
図2と同一の参照符号は同一の要素を表し、以下、
図1及び
図2で説明したものと同じ要素についての詳細な説明は、重複を避けるために省略する。
図3を参照すれば、本実施形態による垂直型トランジスタ300は、金属コンタクトプラグ324が四角柱形状からなる点で、
図1に示す円柱形状の金属コンタクトプラグ124を有する垂直型トランジスタ100と異なる。具体的には、金属コンタクトプラグ324は、チャネル層112を貫通する四角柱形状のホール322の内部が金属層で満たされる構造を有する。金属コンタクトプラグ324の間の間隔d3、d4は、5μm以下となるようにする。
【0026】
図4は、さらに他の実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ400を示す平面図である。そして、
図5は、
図4の線V−V’に沿った断面図である。図面の一致のために、
図4は、
図5のドナー層412の表面レベルでの平面構造を示す。
図4および
図5を参照すれば、基板402の下部面および上部面の上には、それぞれドレイン電極404およびバッファ層406が配置される。一例において、基板402は、ガリウムナイトライド(GaN)基板であってもよい。また、バッファ層406は、n+型ガリウムナイトライド(GaN)層であってもよい。バッファ層406上には、ドリフト層408が配置される。一例において、ドリフト層408は、バッファ層406よりも不純物濃度が低いn−型ガリウムナイトライド(GaN)層であってもよい。ドリフト層408上には、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410が配置される。一例において、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410は、p型ドーパントとしてマグネシウム(Mg)がドーピングされたガリウムナイトライド(GaN)層である。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410上には、ドナー層412が配置される。一例において、ドナー層412は、ドリフト層408よりも不純物濃度が高いn+型ガリウムナイトライド(GaN)層であってもよい。
【0027】
ドナー層412およびp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410を貫通してドリフト層408まで達するトレンチ416が配置される。このトレンチ416によって、ドナー層412およびp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410は、一方向に長く配置されるストライプ構造の2つの分離部分に分割される。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410は、チャネルボディ領域として機能してもよい。例えば、垂直型トランジスタ400のドレイン電流は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410のバルク領域を流れずに、トレンチ416によって露出したp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410の側面に形成されたチャネル層411を流れる。
【0028】
複数の金属コンタクトプラグ424は、ドナー層412を垂直に貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410のそれぞれに直接コンタクトする。金属コンタクトプラグ424のそれぞれは、
図4に示すように、平面視で円形形状からなる。すなわち、金属コンタクトプラグ424は、ドナー層412を貫通する円柱形状のホール422の内部を満たす構造を有する。金属コンタクトプラグ424のそれぞれは、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層410に対してオーミックコンタクト(ohmic contact)特性を示す金属材料を含む。一実施形態において、
図4に示すように、金属コンタクトプラグ424の間の間隔d5、d6は、5μm以下となるようにする。金属コンタクトプラグ424およびドナー層412の上には、ソース電極414が配置される。トレンチ416の内壁に沿ってゲート絶縁層418が配置され、ゲート絶縁層418上には、ゲート電極420が配置される。
【0029】
図6は、さらに他の実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ600を示す平面図である。
図6における線V−V’に沿った断面構造は、
図5に示しているのと同様である。
図6において、
図4および
図5と同一の参照符号は同一の要素を表し、以下、
図4及び
図5で説明したものと同じ要素についての詳細な説明は、重複を避けるために省略する。
図6を参照すれば、本実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ600は、金属コンタクトプラグ624の形状が、
図4に示す垂直型トランジスタ400と異なる。特に、垂直型トランジスタ400の金属コンタクトプラグ424が平面視で円形形状であるのに対し、垂直型トランジスタ600の金属コンタクトプラグ624は平面視で矩形形状である。すなわち、金属コンタクトプラグ624のそれぞれは、ドナー層412を貫通する四角形状のホール622の内部を満たす構造を有する。金属コンタクトプラグ624の間の間隔d7、d8は、5μm以下となるようにする。
【0030】
図7は、さらに他の実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ700を示す平面図である。そして、
図8は、
図7の線VIII−VIII’に沿った断面図である。
図7および
図8を参照すれば、基板702上にドレイン電極704が配置される。一実施形態において、基板702は、支持基板である。ドレイン電極704の上部の一定領域には、電流遮断パターン706が配置される。電流遮断パターン706の間のドレイン電極704上には、低抵抗パターン708が配置される。一実施形態において、低抵抗パターン708は、n+型ガリウムナイトライド(GaN)層であっても良い。電流遮断パターン706および低抵抗パターン708の上には、ドリフト層710が配置される。一実施形態において、ドリフト層710は、低抵抗パターン708よりも不純物濃度の低いn型ガリウムナイトライド(GaN)層からなる。ドリフト層710内には、相互に離隔してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712が配置される。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712は、
図7に示すように、一方向に沿って長く配置されるストライプ構造を有する。また、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712のそれぞれは、
図8に示されるように、「U」字状断面を有することができる。垂直型トランジスタ700のドレイン電流は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712のバルク領域を流れるのではなく、ゲート電極と重畳するp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の表面に形成されたチャネル層のみを流れる。
【0031】
「U」字状電流障壁層712によって取り囲まれた空間内に、それぞれドナー層714が配置される。一実施形態において、ドナー層714は、n+型ガリウムナイトライド(GaN)層であっても良い。ドナー層714は、
図7に示すように、一方向に沿って長く配置されるストライプ構造を有する。すなわち、ドナー層714は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712と平行に配置される。ドナー層714内には、ドナー層714を貫通してp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712とコンタクトする複数の金属コンタクトプラグ724が配置される。金属コンタクトプラグ724のそれぞれは、
図7に示すように、円形形状からなる。すなわち、金属コンタクトプラグ724は、ドナー層714を貫通する円柱形状のホール722の内部を満たす構造を有する。金属コンタクトプラグ724のそれぞれは、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712に対して、オーミックコンタクト(ohmic contact)特性を示す金属材料を含む。一実施形態において、
図7に示すように、金属コンタクトプラグ724の間の間隔d9、d10は、5μm以下となるようにする。金属コンタクトプラグ724およびドナー層714の上には、ソース電極716が配置される。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の間のドリフト層710の表面上とp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の上部面上には、ゲート絶縁層718が配置され、ゲート絶縁層718上には、ゲート電極720が配置される。
【0032】
図9は、さらに他の実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ900を示す平面図である。
図9における線VIII−VIII’に沿った断面構造は、
図8に示しているのと同様である。
図9において、
図7および
図8と同一の参照符号は同一の要素を表し、以下、
図7及び
図8で説明したものと同じ要素についての詳細な説明は、重複を避けるために省略する。
図9を参照すれば、本実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタ900は、金属コンタクトプラグ924の形状が
図7に示す垂直型トランジスタ700と異なる。特に、垂直型トランジスタ700の金属コンタクトプラグ724が平面視で円形形状であるのに対し、垂直型トランジスタ900の金属コンタクトプラグ924は平面視で矩形形状である。すなわち、金属コンタクトプラグ924は、ドナー層714を貫通する矩形形状のホール922の内部を満たす構造を有する。金属コンタクトプラグ924の間の間隔d11、d12は、5μm以下となるようにする。
【0033】
図10〜
図20は、一例実施形態によるp型ガリウムナイトライド電流障壁層を有する垂直型トランジスタの製造方法を説明するために示す断面図である。まず、
図10に示すように、第1基板810上に半導体層820を形成する。第1基板810は、成長基板であって、例えば、サファイア基板またはガリウムナイトライド(GaN)基板であってもよい。本実施形態において、半導体層820は、ガリウムナイトライド(GaN)層で形成する。次に、
図11に示すように、半導体層820に対するパターニングを行って第1基板810の一部表面を露出させる半導体パターン822を形成する。次に、
図12に示すように、半導体パターン822上にドナー層714を形成する。本実施形態において、ドナー層714は、n+型ガリウムナイトライド(GaN)層で形成する。次に、ドナー層714上にp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712を形成する。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712は、p型ドーパントとしてマグネシウム(Mg)をドーピングさせたガリウムナイトライド(GaN)層で形成する。p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712は、ドナー層714の側面および上部を取り囲むように形成される。次に、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712上にドリフト層710を形成する。ドリフト層710は、ドナー層714よりも不純物濃度の低いn型ガリウムナイトライド(GaN)層で形成する。
【0034】
次に、
図13に示すように、ドリフト層710上に電流遮断パターン706を形成する。一実施形態において、電流遮断パターン706は、シリコンオキサイド(SiO
2)層で形成することができる。電流遮断パターン706によってドリフト層710の一部表面は露出する。次に、ドリフト層710の露出部分に低抵抗パターン708を形成する。低抵抗パターン708は、ドリフト層710よりも不純物濃度の高いn+型ガリウムナイトライド(GaN)層で形成することができる。一実施形態として、電流遮断層パターン706をマスクとして、ドリフト層710の露出部分に対するドライエッチングを行うことができる。その結果、ドリフト層710の露出部分には、低抵抗パターン708として機能するエッチング損傷層が形成される。
【0035】
次に、
図14に示すように、電流遮断パターン706および低抵抗パターン708の上にドレイン電極704を形成し、ドレイン電極704上に第2基板702を形成または配置する。第2基板702は、支持基板に対応する。第2基板702の材質は、支特定の材質に限定されない。次に、
図15に示すように、第1基板810および半導体パターン822を除去する。このために、図中の矢印で示すように、第1基板810に向かって全面にレーザを照射する。レーザは、第1基板810および半導体パターン822を貫通するに十分なエネルギーで照射される。これにより、第1基板810とドリフト層710との間の境界面に損傷した領域830が生じる。次に、
図16に示すように、損傷した領域830に対して、図中の矢印で示すように、ドライエッチングを行って損傷した領域830が除去されるようにする。このドライエッチングは、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)方法を用いて行うことができる。
【0036】
次に、
図17に示すように、ドナー層714をパターニングしてp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の一部表面を露出させるホール722を形成する。このホール722は、通常のフォトリソグラフィおよびエッチング方法を用いて形成することができる。具体的には、ドナー層714の一部表面を露出させる開口部を有するレジストパターン(図示せず)をドリフト層710上に形成する。次に、レジストパターンをエッチングマスクとするエッチングでドナー層714の露出部分を除去してホール722を形成し、次に、レジストパターンを除去する。ホール722は、
図7に示すように、平面視で円形形状に形成されてもよく、あるいは、
図9に示すように、平面視で矩形形状に形成されてもよい。ホール722の間の間隔は、5μm以下となるようにする。
【0037】
次に、
図18に示すように、ホール722によって露出するp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712に対してパルスレーザを照射する。パルスレーザの照射によって、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712内のp型ドーパントであるマグネシウム(Mg)イオンは活性化され、マグネシウム(Mg)イオンと結合されていた水素(H)成分は除去される。パルスレーザ照射の場合、一般の熱処理よりは相対的にマグネシウムのような金属物質に対する温度上昇が大きくなく、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712に対してパルス的に照射される。そのため、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712内に形成される結晶欠陥を最小化することができる。このように、パルスレーザの照射は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712内の水素(H)成分を除去し、マグネシウム(Mg)イオンに対する活性化を行うことにより、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の特性を改善することができる。
【0038】
次に、
図19に示すように、ホール722の内部を金属層で満たして金属コンタクトプラグ724を形成する。金属コンタクトプラグ724は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712と良好なオーミックコンタクトを構成する。次に、
図20に示すように、金属コンタクトプラグ724およびドナー層714の上にソース電極716を形成する。そして、ドリフト層710の表面およびp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712の上部面上にゲート絶縁層718を形成する。次に、
図8に示すように、ゲート絶縁層718上にゲート電極層を形成する。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、ホールによって露出するp型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層に対して、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層712内のp型ドーパントであるマグネシウム(Mg)イオンは活性化し、マグネシウム(Mg)イオンと結合されていた水素(H)成分は除去するために、パルスレーザを照射する。パルスレーザ照射の場合、一般の熱処理よりは相対的にマグネシウムのような金属物質に対する温度上昇が大きくなく、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層に対してパルス的に照射される。そのため、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層内に形成される結晶欠陥を最小化することができる。このように、パルスレーザの照射は、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層内の水素(H)成分を除去し、マグネシウム(Mg)イオンに対する活性化を行うことにより、p型ガリウムナイトライド(GaN)電流障壁層の特性を改善することができる。
【0040】
本発明の思想又は範囲を逸脱しない限り、本発明において多様な変形及び変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。従って、本発明の変形及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある場合、本発明が前記変形及び変更を包括するように意図される。
【0041】
本出願は、優先権及び本明細書に完全に記載されているかのように全ての目的のために参考として援用される2013年7月11日に出願された韓国特許出願第10−2013−0081622号の利益を主張する。