(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5805280
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】巻き上げ機揚重機及びエレベータの製造方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20151015BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-161499(P2014-161499)
(22)【出願日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 真介
【審査官】
大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−034072(JP,A)
【文献】
特開2006−027749(JP,A)
【文献】
特表2007−516139(JP,A)
【文献】
特開2007−210703(JP,A)
【文献】
特開2013−245033(JP,A)
【文献】
特開2003−292263(JP,A)
【文献】
特開2012−188204(JP,A)
【文献】
実開平03−115752(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00− 7/12
B66B 11/02
B66B 17/16
B66B 17/20
B66B 17/26
B66F 7/00− 7/02
B66F 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームの上端部に設置され、巻き上げ機を載置する台座部と、
前記台座部を前記フレームに、カウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に摺動可能に設置する第1の移動装置と、
前記台座部に設置され、前記巻き上げ機を、前記昇降路の中心部から前記カウンターウエイトが近接して設置される前記昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる第2の移動装置と、
前記フレームに設けられ、ワイヤを固定する吊元部と、
前記フレームに設けられるバーと、
前記バーに設けられ、前記カウンターウエイトを位置決めするレールに前記バーを位置決めするローラーガイドと、
を備える巻き上げ機揚重機。
【請求項2】
前記第1の移動装置は、
前記台座部を上下方向に位置決めし、水平方向に摺動可能に支持するベアリングを備える請求項1記載の巻き上げ機揚重機。
【請求項3】
前記第2の移動装置は、
前記台座部の巻き上げ機を載置する面に設けられるベアリングである請求項1記載の巻き上げ機揚重機。
【請求項4】
カウンターウエイトを位置決めするレールに巻き上げ機揚重機を昇降可能に設置し、
前記巻き上げ機揚重機の台座部に巻き上げ機を載置し、
前記巻き上げ機揚重機の吊元部にワイヤを固定してワイヤによって引き上げることにより前記巻き上げ機揚重機を引き上げ、
第1の移動装置によって障害物を回避する方向に台座部ごと巻き上げ機を移動させ、
前記巻き上げ機揚重機の吊元部にワイヤを固定してワイヤによって引き上げることにより前記巻き上げ機揚重機をさらに引き上げ、
第2の移動装置によって前記巻き上げ機を設置場所に移動させるエレベータの製造方法。
【請求項5】
前記設置場所は昇降路内に設けられるやぐらの上であり、
前記やぐらは、
取り外し可能な第3の移動装置を備え、
前記巻き上げ機は、
前記第3の移動装置によって前記やぐらの上に移動される請求項4記載のエレベータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、巻き上げ機揚重機及びエレベータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、カゴ室と、カウンターウエイトと、カゴ室及びカウンターウエイトを連結するロープと、ロープを巻き上げる巻き上げ機を含む。
【0003】
巻き上げ機はエレベータの昇降路の上部に設置される。従って、エレベータを製造する場合、巻き上げ機を昇降路の最下階から最上階の設置場所まで揚重する必要がある。
【0004】
従来は、巻き上げ機が載置された台座に固定されたワイヤをウインチによって巻き上げて巻き上げ機を揚重していた。
【0005】
しかし、昇降路内の足場ややぐらの配置によっては、この足場ややぐらが障害となって巻き上げ機を設置場所に揚重することが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−245033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は昇降路内に足場ややぐらなどの障害物があっても巻き上げ機を容易に設置場所まで揚重できる巻き上げ機揚重機及びエレベータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、一実施形態はフレームと、フレームの上端部に設置され、巻き上げ機を載置する台座部と、台座部をフレームに、カウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に摺動可能に設置する第1の移動装置と、台座部に設置され、巻き上げ機を、昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる第2の移動装置と、フレームに設けられ、ワイヤを固定する吊元部と、フレームに設けられるバーと、バーに設けられ、カウンターウエイトを位置決めするレールにバーを位置決めするローラーガイドと、を備える巻き上げ機揚重機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】巻き上げ機揚重機が最下階付近に位置する場合を示す図である。
【
図7】巻き上げ機揚重機は最上階のやぐらの付近に位置する場合を示す図である。
【
図8】巻き上げ機を設置位置に移動させた状態を示す図である。
【
図9】巻き上げ機揚重機を使用した巻き上げ機の設置工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、巻き上げ機揚重機及びエレベータの製造方法の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
本実施形態の巻き上げ機揚重機の一実施形態は、フレームと、フレームの上端部に設置され、巻き上げ機を載置する台座部と、台座部をフレームに、カウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に摺動可能に設置する第1の移動装置と、台座部に設置され、巻き上げ機を、昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる第2の移動装置と、フレームに設けられ、ワイヤを固定する吊元部と、フレームに設けられるバーと、バーに設けられ、カウンターウエイトを位置決めするレールにバーを位置決めするローラーガイドと、を備える。
【0012】
エレベータは、乗客を乗せるカゴ室と、カウンターウエイトと、カゴ室とカウンターウエイトとをつなぐロープと、ロープを巻き上げる巻き上げ機301と、を昇降路内に備える。カウンターウエイトは昇降路の壁面のうち一つの壁面に近接して設置される。
【0013】
巻き上げ機301は、昇降路の最上階付近に設置され、ロープを巻き上げることによりカゴ室を昇降させる。
【0014】
巻き上げ機301を昇降路の最下階から最上階の設置位置まで揚重する際に巻き上げ機揚重機が使用される。
【0015】
図1は、巻き上げ機揚重機(以下、揚重機1という。)の背面斜視図である。
図2は、揚重機1の正面斜視図である。
図3は、揚重機1の右側面図である。
図4は、揚重機1の正面図である。
【0016】
図1乃至
図4に示すように、揚重機1は、台座部101と、一対のフレーム102と、バー103と、吊元部104と、を備える。
【0017】
一対のフレーム102は、揚重機1が昇降される方向に延び、互いに平行に設けられる。
【0018】
台座部101は、一対のフレーム102の上端部に、第1の移動装置102Aを介して設置される。第1の移動装置102Aは、台座部101をカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に摺動可能にフレーム102に設置する。
【0019】
台座部101は、巻き上げ機301を乗せることができるだけの面積を有する平面部を備える。平面部には、巻き上げ機301を昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる第2の移動装置101Aが設けられる。
【0020】
フレーム102には横方向に延びるバー103が設置される。バー103は上方から見ると背面方向に曲がるコの字形状をなしており、先端部にローラーガイド103Aを備える。
【0021】
ローラーガイド103Aはカウンターウエイトを位置決めするレール201(
図6参照。)に対して揚重機1を位置決めする。ローラーガイド103Aは、それぞれ3つのローラによってレールを把持する。
【0022】
揚重機1はフレーム102にバー103を一対備える。第1のバー103はフレーム102の中間付近に、また第2のバー103はフレーム102の下端に設置される。各バー103はフレーム102にボルトなどの締結具によって締結される。
【0023】
フレーム102の下端に設置されるバー103には、揚重機1を昇降させるワイヤを係止するための吊元部104が設置される。
【0024】
図5は、台座部101と第1の移動装置102Aを示す図である。
図5においてはフレーム102の図示を省略してある。
図5に示すように、台座部101は側面部にフレーム102方向に突出するフランジ部101Bを備える。
【0025】
第1の移動装置102Aはフランジ部101Bを上下方向から把持するベアリング102Bを備える。従って、台座部101は第1の移動装置102Aによって上下方向に対して位置決めされ、昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に摺動可能となる。
【0026】
台座部101は巻き上げ機301を乗せる平面部に第2の移動装置101Aを備える。第2の移動装置101Aは、例えば複数のベアリングを有する。第2の移動装置101Aは、ベルトコンベアであってもよい。
【0027】
第2の移動装置101Aは、第2の移動装置101Aは巻き上げ機301を摺動可能に載置する。
【0028】
図6は、揚重機1が昇降路の最下階付近に位置する場合を示す図である。
図6に示すように、巻き上げ機301は台座部101に載せられる。揚重機1はローラーガイド103Aによって、カウンターウエイトを位置決めする一対のレール201に支持される。
【0029】
吊元部104にはワイヤ401の一端が取り付けられ、ワイヤ401の他端はやぐらに取り付けられる。ワイヤ401の途中にはウインチ402が設けられる。
【0030】
ウインチ402がワイヤ401を巻き上げると揚重機1は昇降路を最上階方向に向かって移動する。
【0031】
図7は、揚重機1は昇降路の最上階のやぐら202の付近に位置する場合を示す図である。
図7に示すように、巻き上げ機301の設置位置がやぐら202の上部にある場合、やぐら202を避けて巻き上げ機301を揚重する必要がある。
【0032】
この場合、第1の移動装置102Aによって巻き上げ機301を台座部101ごと、やぐら202を避ける方向、すなわちカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に、矢印X1の方向に移動させ、さらにウインチ402によってワイヤ401を巻き上げる。
【0033】
従って、巻き上げ機301はやぐら202の上面と一致する高さまで揚重することができる。
【0034】
やぐら202の巻き上げ機301の設置位置には、ベアリングなどの第3の移動装置203を設置しておく。
【0035】
図8は、巻き上げ機301を設置位置に移動させた状態を示す図である。
図8に示すように、巻き上げ機301は、第2の移動装置101Aと第3の移動装置203によって、台座部101の上から設置位置の方向、すなわち昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に、矢印X2の方向に移動される。
【0036】
巻き上げ機301が設置位置に到達した場合、巻き上げ機301をジャッキによって持ち上げ、第3の移動装置203を取り除き、再度ジャッキによって巻き上げ機301を設置位置に下ろす。
【0037】
図9は、揚重機1を使用した巻き上げ機301の設置工程を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップ901において、作業員はまず昇降路の最下階付近に揚重機1を設置する。すなわち、カウンターウエイトを位置決めするレール201にローラーガイド103Aに設置し、揚重機1がレール201に沿って昇降できるようにレール201に取り付ける。
【0038】
ステップ902において、作業員は吊元部104とやぐら202を、ウインチ402を介してワイヤ401によって連結することにより、吊元部104をワイヤ401によってやぐら202から吊るす。
【0039】
ステップ903において、作業員は巻き上げ機301を揚重機1の台座部101に載置する。
【0040】
ステップ904において、作業員はウインチ402によってワイヤ401を巻き上げることにより、揚重機1を引き上げる。
【0041】
ステップ905において、作業員は台座部101を第1の移動装置102Aによって、カウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に移動させ、やぐら202を回避する。
【0042】
ステップ906において、作業員はウインチ402によってワイヤ401を巻き上げることにより、揚重機1をさらに引き上げる。
【0043】
ステップ907において、作業員は第2の移動装置101A及びやぐら202に設置される第3の移動装置203によって、巻き上げ機301を設置位置に、昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる。
【0044】
ステップ908において、作業員は巻き上げ機301をジャッキによって持ち上げ、第3の移動装置203を取り除き、再び巻き上げ機301を下す。
【0045】
以上のべたように、本実施形態の揚重機1は、やぐら202など障害物を避ける方向に第1の移動装置102Aによって台座部を移動させ、巻き上げ機301を設置位置の高さまで揚重し、第2の移動装置101Aによって巻き上げ機301を設置位置に移動させる。
【0046】
従って、昇降路内に足場ややぐらなどの障害物があっても巻き上げ機を容易に設置場所まで揚重できるという効果がある。
【0047】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1:巻き上げ機揚重機
101:台座部
101A:第2の移動装置
102:フレーム
102A:第1の移動装置
103:バー
104:吊元部
301:巻き上げ機
【要約】
【課題】昇降路内に足場ややぐらなどの障害物があっても巻き上げ機を容易に設置場所まで揚重できる巻き上げ機揚重機及びエレベータの製造方法を提供する。
【解決手段】巻き上げ機揚重機は、フレームと、フレームの上端部に設置され、巻き上げ機を載置する台座部と、台座部をフレームに、カウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面から昇降路の中心部に向かって水平方向に摺動可能に設置する第1の移動装置と、台座部に設置され、巻き上げ機を、昇降路の中心部からカウンターウエイトが近接して設置される昇降路の壁面に向かって水平方向に移動させる第2の移動装置と、フレームに設けられ、ワイヤを固定する吊元部と、フレームに設けられるバーと、バーに設けられ、カウンターウエイトを位置決めするレールにバーを位置決めするローラーガイドと、を備える。
【選択図】
図1