(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805306
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】複数の構成素子支持領域を分離する溝構造を備えている構成素子支持体結合体及び複数の構成素子支持体領域の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/14 20060101AFI20151015BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20151015BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20151015BHJP
H01L 23/32 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
H01L23/14 S
H01L33/00 400
H01L23/12 F
H01L23/32 D
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-509608(P2014-509608)
(86)(22)【出願日】2011年5月6日
(65)【公表番号】特表2014-519699(P2014-519699A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】EP2011057334
(87)【国際公開番号】WO2012152307
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2013年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ダッハス
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−244689(JP,A)
【文献】
特開平02−163955(JP,A)
【文献】
特開平06−188525(JP,A)
【文献】
特開平04−150086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12 − 23/14
H01L 23/32 − 23/46
H01L 21/52
H01L 21/58
H01L 21/60
H01L 33/00
H01S 5/00 − 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構成素子を固定するために設けられている複数の構成素子支持体領域(10)を有している、構成素子支持体結合体(1)において、
前記構成素子支持体結合体は、第1の主面(21)を備えている支持体ボディ(2)を有しており、
前記支持体ボディの前記第1の主面側には、前記第1の主面に沿って延びている第1の方向に沿って延びる複数の第1の溝(31)を有している溝構造(3)が形成されており、前記第1の溝は該溝を横断する方向に延びる第2の方向において前記構成素子支持体領域を画定しており、
前記支持体ボディ上にはコーティング部(4)が形成されており、それにより前記構成素子支持体領域はそれぞれ、前記支持体ボディの少なくとも部分的にコーティングされた第1の主面と、前記溝構造の少なくとも部分的にコーティングされた側面(5)とを有しており、
前記支持体ボディは半導体材料を基礎としており、
前記第1の溝は前記第1の方向に沿って、前記支持体ボディにわたり部分的にしか延在しておらず、前記支持体ボディは一つに繋がっているものとして形成されており、
前記第1の主面とは反対側に位置している、前記支持体ボディの第2の主面(22)には前記コーティング部の材料は設けられていないことを特徴とする、構成素子支持体結合体。
【請求項2】
一つの構成素子支持体領域の少なくとも二つの側面がコーティングされている、請求項1に記載の構成素子支持体結合体。
【請求項3】
前記第2の方向に沿って隣接して配置されている複数の構成素子支持体領域は、前記一つに繋がっている支持体ボディにおける前記第1の溝の内の一つによって相互に隔離されている、請求項1又は2に記載の構成素子支持体結合体。
【請求項4】
前記第1の溝は垂直方向において前記支持体ボディを完全に貫通して延在している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構成素子支持体結合体。
【請求項5】
前記第1の溝は相互に平行に延びている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構成素子支持体結合体。
【請求項6】
前記構成素子支持体結合体上に固定された半導体構成素子を一緒に電気的に接触接続させることができるように、前記コーティング部は構造化されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の構成素子支持体結合体。
【請求項7】
複数の構成素子支持体領域(10)を製造するための方法において、
a)第1の主面(21)と、該第1の主面とは反対側に位置する第2の主面(22)とを有する支持体ボディ(2)を準備するステップと、
b)前記第1の主面に沿って延びている第1の方向に沿って延びる第1の溝(31)を有しており、且つ、該第1の溝(31)によって、前記第1の方向を横断する方向に延びる第2の方向において隣接して配置されている複数の構成素子支持体領域が少なくとも部分的に相互に離隔されている溝構造(3)を、前記支持体ボディにおいて前記第1の主面側に形成するステップと、
c)少なくとも部分的に前記第1の主面を覆い、且つ、少なくとも部分的に前記溝構造の側面(5)を覆うコーティング部(4)を形成するステップと、
d)前記支持体ボディを前記第2の主面側から、前記溝構造が少なくとも部分的に、前記第1の主面に対して斜め又は垂直に延びる方向において前記支持体ボディを完全に貫通するように薄くするステップと、
を備えており、
前記ステップb)において、前記溝構造を帯状に部分的にしか形成せず、
それにより、前記ステップd)の終了後に、前記支持体ボディが一つに繋がっていることにより、前記支持体ボディには複数の構成素子支持体領域が形成されている
ことを特徴とする、複数の構成素子支持体領域(10)を製造するための方法。
【請求項8】
前記ステップc)において、前記コーティング部をコーティング源を用いて形成し、
前記コーティング源の主コーティング方向は前記第1の主面の垂線に対して斜めに延びている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溝構造を乾式化学的な方法又は侵食によって形成する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記構成素子支持体領域を個別化する前に、構成素子を構成素子支持体領域に固定する、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記構成素子を個別化の前に駆動させる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構成素子支持体領域を有する構成素子支持結合体並びに複数の構成素子支持体領域の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオプトエレクトロニクス半導体チップのようなオプトエレクトロニクス構成素子は、更なる処理のために構成素子支持体に取り付けられることが多い。
【0003】
その種の構成素子支持体を例えばセラミック支持体として実施することができる。しかしながら、その種の構成素子支持体を用いても、例えば側面の直角性の精度に対する高い要求を満たすことは非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、精度に対する高い要求を満たす構成素子支持体の形成を簡略化することである。更には、構成素子支持体の製造を簡略化させる方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は独立請求項に記載されている構成によって解決される。別の実施の形態及び発展形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
一つの実施の形態によれば、構成素子支持体結合体は、有利にはオプトエレクトロニクス半導体構成素子を固定するために設けられている複数の構成素子支持体領域を有している。構成素子支持体結合体は、第1の主面を備えている支持体ボディを有している。支持体ボディの第1の主面側には、第1の方向に沿って、有利には相互に平行に延びる複数の第1の溝を有している溝構造が形成されている。第1の溝はその溝を横断する方向に延びる第2の方向において構成素子支持体領域を画定している。支持体ボディ上にはコーティング部が形成されており、それにより構成素子支持体領域はそれぞれ、支持体ボディの少なくとも部分的にコーティングされた第1の主面と、溝構造の少なくとも部分的にコーティングされた側面とを有している。
【0007】
一つの実施の形態によれば、複数の構成素子支持体領域を製造するための方法においては、第1の主面と、その第1の主面とは反対側の第2の主面とを備えた支持体ボディが準備される。溝構造は支持体ボディにおいて第1の主面側に形成され、その際、溝構造は第1の方向に沿って延びる複数の第1の溝を有しており、それらの第1の溝は第1の方向を横断する方向に延びる第2の方向において隣接して配置されている複数の構成素子支持体領域を少なくとも部分的に相互に離隔させる。少なくとも部分的に第1の主面を覆い、且つ、少なくとも部分的に溝構造の側面を覆うコーティング部が形成される。支持体ボディは第2の主面側において、溝構造が少なくとも部分的に、第1の主面に対して斜め又は垂直に延びる方向において支持体ボディを完全に貫通するように薄くされる。
【0008】
この方法は、前述の構成素子支持体の製造に非常に適している。
【0009】
従って、以下において構成素子支持体結合体と関連させて説明する特徴を方法に関しても考慮することができ、これは逆の場合にも当てはまる。
【0010】
一つの実施の形態によれば、溝構造は化学的な方法、特に乾式化学的な方法を用いて形成されるか、又は、侵食によって形成される。乾式化学的なの方法として、特に深彫り反応性イオンエッチング(Deep Reactive Ion Etching, DRIE)、又はこれを基礎とする方法、例えばアドバンスドシリコンエッチング(Advanced Silicon Etching, ASE)が適している。その種の方法を用いることにより、アスペクト比の高い溝、即ち、幅に比べて大きい深さを有することができる溝を形成することができる。
【0011】
つまり、各構成素子支持体領域の少なくとも一つの側面は、溝構造を形成する際に既に形成される。側面の角度を溝構造の形成時に非常に正確に調整することができ、それにより、例えば第1の主面に対して垂直な側面を備えた溝を非常に高い精度で製造することができる。
【0012】
支持体ボディは有利には半導体材料を基礎としている。例えば、シリコンはその廉価で広範な可用性に基づき特に適している。しかしながら、他の半導体材料、例えばヒ化ガリウム又はゲルマニウムも使用することができる。
【0013】
側面にわたり延在しているコーティング部を用いて、第1の主面上に固定されている半導体構成素子を簡単に電気的に接触接続させることができる。
【0014】
一つの変形実施形態においては、構成素子支持体領域の少なくとも二つの側面が少なくとも部分的にコーディングされる。コーティング部は構成素子支持体領域の全ての側面を少なくとも部分的に又は完全に覆うこともできる。即ち、支持体ボディの周囲全体にコーティング部が設けられている。
【0015】
一つの有利な実施の形態においては、コーティング部がコーティング源を用いて形成され、コーティング源の主コーティング方向は第1の主面の垂線に対して斜めに延びている。そのようにして、構成素子支持体領域の少なくとも一つの側面におけるコーティング部の形成は簡略化される。
【0016】
コーティング中に支持体を第1の主面の垂線に関して回転させることができる。そのようにして、構成素子支持体領域の複数の側面又は全ての側面のコーティングが簡略化される。
【0017】
構成素子支持体結合体の一つの変形実施形態においては、第1の溝が第1の方向に沿って、支持体ボディにわたり部分的にしか延在していない。換言すれば、第1の方向に沿った支持体ボディの延在部は、この第1の方向に沿った第1の溝の延在部よりも大きい。更に有利には、支持体ボディが繋がったものとして形成されている。即ち、全ての構成素子支持体領域を、機械的に安定した共通の一つの構成素子支持体結合体において準備することができる。
【0018】
一つの発展形態においては、第2の方向に沿って隣接して配置されている構成素子支持体領域が、繋がっている支持体ボディにおける複数の第1の溝の内の一つによって相互に隔離されている。
【0019】
一つの別の変形実施形態においては、溝構造が第2の方向に沿って、特に相互に平行に延びる複数の第2の溝を有しており、それらの第2の溝は第1の方向に沿って構成素子支持体領域を画定する。その種の溝構造においては、支持体ボディの二つ以上の側面、特に全ての側面を溝構造の形成時に形成することができる。構成素子支持体領域における構成素子支持体結合体を個別化するための付加的な個別化ステップを省略することができる。
【0020】
一つの有利な発展形態においては、構成素子支持体領域は共通の一つの補助支持体上、例えば粘着性シート上に配置されており、且つ、溝構造によって相互に離隔されている。即ち、構成素子支持体領域は個別化された形態で、例えばマトリクス状で、補助支持体上に存在している。例えばピックアンドプレイス(Pick and Place)法を用いた、構成素子支持体領域への半導体構成素子の実装は、ばらばらに存在している構成素子支持体に比べて容易になる。
【0021】
本方法の一つの実施の形態においては、溝構造が格子状に形成され、それにより、支持体ボディは薄くされると相互に離隔された構成素子支持体領域に個別化される。つまりこの場合には、構成素子支持体領域が個別化された構成素子支持体を表し、その製造のために、溝構造を形成して支持体ボディを薄くすること以外の別の個別化ステップは必要とされない。
【0022】
本方法の一つの別の変形実施形態においては、溝構造が帯状に形成され、また支持体は薄くされると、それぞれが複数の構成素子支持体領域を有する複数の構成素子支持体ストライプに分割される。続けて、一つの構成素子支持ストライプの複数の構成素子支持体領域を更なる個別化ステップにおいて構成素子支持体に個別化することができる。半導体構成素子が構成素子支持体に固定される前又は固定された後に個別化を行うことができる。例えば、機械的な個別化方法、例えば鋸引き、割裂又は破折、若しくはレーザ切断法が適している。
【0023】
本方法の別の変形実施形態においては、溝構造は部分的にしか帯状に形成されない。完全に分離された後にも、構成素子支持体は繋がった支持体ボディを有しており、この繋がった支持体ボディによって複数の構成素子支持体領域が形成されている。
【0024】
一つの有利な実施の形態においては、構成素子支持体領域が構成素子支持体結合体から構成素子支持体に個別化される前に、構成素子が構成素子支持体領域に固定される。
【0025】
即ち、構成素子の実装を未だ構成素子支持体結合体の状態において行うことができる。
【0026】
別の有利な実施の形態においては、構成素子が個別化の前に駆動される。この駆動開始でもって、例えば機能していない構成素子、又は短時間の駆動後に既に故障した構成素子を発見して、続けて選別することができる。有利には、複数の構成素子を同時に電気的に駆動させることができるように、構成素子支持体結合体におけるそれらの構成素子は相互に結線されている。
【0027】
更なる特徴、構成及び有用性は図面を参照する以下の実施例の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】構成素子支持体結合体の第1の実施例の概略的な平面図を示す。
【
図1B】構成素子支持体結合体の第1の実施例の所属の断面図を示す。
【
図2A】構成素子支持体結合体の第2の実施例の概略的な平面図を示す。
【
図2B】構成素子支持体結合体の第2の実施例の所属の断面図を示す。
【
図3A】構成素子支持体結合体の第2の実施例の概略的な平面図を示す。
【
図3B】構成素子支持体結合体の第1の実施例の所属の断面図を示す。
【
図4A】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図4B】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図4C】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図4D】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図4E】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図4F】構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図5A】構成素子支持体領域を製造するための方法の第2の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【
図5B】構成素子支持体領域を製造するための方法の第2の実施例の中間ステップの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図中、同一の構成要素、同種の構成要素又は同様に機能する構成要素には同一の参照番号を付している。
【0030】
図面及びそれらの図面に示した構成要素間の縮尺比は縮尺通りではないとみなすべきである。むしろ個々の構成要素は、より見易くするため、及び/又は、より良く理解するために過度に大きく示している場合もある。
【0031】
構成素子支持体結合体1の第1の実施例が概略的な平面図で、その一部が拡大されて
図1Aに示されており、また線分AA’に沿った所属の概略的な部分断面図が
図1Bに示されている。構成素子支持体結合体は支持体ボディ2を有しており、この支持体ボディ2を例えば半導体ウェハとして実施することができる。支持体ボディ2は有利には半導体材料、特にシリコンを基礎としている。それとは異なり、ヒ化ガリウム又はゲルマニウム等の他の半導体材料も使用することができる。
【0032】
支持体ボディ2の主延在面に対して垂直に延びる垂直方向においては、第1の主面21と第2の主面22との間に支持体ボディ2が延在している。第1の主面21側から、相互に平行に延びる複数の第1の溝31を含む溝構造3が形成されている。それらの第1の溝31は第1の方向に沿って延在している。垂直方向においては、第1の溝が支持体ボディ2を完全に貫通して延在している。第1の方向に沿って、第1の溝31は支持体ボディ2にわたり部分的にしか延在していないので、支持体ボディ2は第1の溝31が設けられているにもかかわらず繋がったものとして形成されている。換言すれば、支持体ボディ2はワンピースで構成されている。
【0033】
拡大図には四つの構成素子支持体領域10が示されている。第1の方向に対して垂直に延びる第2の方向に沿って、隣接する二つの構成素子支持体領域10が第1の溝31によって相互に離隔されている。第2の方向に沿って、個別化線8が示されている。この個別化線に沿って、第1の方向に沿って隣接する構成素子支持体領域10を個別化することができる。個別化を例えば機械的に、例えば割裂、破折又は鋸引きによって行うことができる。レーザ切断法も使用することができる。即ち個別化後には、各構成素子支持体領域が、溝構造3によって形成されている二つの側面5と、それら二つの側面5に対してそれぞれ垂直に位置しているか、又は少なくともそれら二つの側面5を横断する方向に位置している二つの側面とを有しており、後者の二つの側面は構成素子支持体結合体1の個別化の際に初めて構成素子支持体に生じる。
【0034】
第1の溝31によって、第2の方向に沿って構成素子支持体領域10の支持体ボディ2を画定する側面5が形成されている。支持体ボディ2上にはコーティング部4が形成されている。コーティング部4は第1の主面21上に部分的に延在しており、また両側面5上にも延在している。支持体ボディ2の第2の主面22にはコーティング部4の材料は設けられていない。
【0035】
各構成素子支持体領域10は、少なくとも一つの半導体構成素子、例えばオプトエレクトロニクス半導体チップ、例えばLED又はレーザダイオードをその第1の主面21側に固定するために設けられている。コーティング部4は有利には、構成素子支持体結合体1に固定された複数の半導体構成素子を一緒に電気的に接触接続させることができるように構造化されている。
【0036】
図示されている実施例においては、コーティング部4が第1の方向に沿って複数の構成素子支持体領域10にわたり帯状に延在している。構成素子支持体結合体に固定された複数の半導体構成素子を、特に一緒に駆動させることができる。つまり、機能していない半導体構成素子、又は、比較的短い駆動時間の経過後に既に故障した半導体構成素子、又は、所定の電子特性若しくはオプトエレクトロニクス特性を満たしていない半導体構成素子を容易に発見して、選別することができる。
【0037】
一時的な駆動が終わった後に、構成素子支持体領域10を個別化線8に沿って個別化することができる。即ち、個別化の際に隣接する構成素子支持体領域間の電気的な接続部は切断される。
【0038】
この個別化ステップによって、既に半導体構成素子が固定されている構成素子支持体が、構成素子支持体結合体から得られる。
【0039】
特に、半導体構成素子を簡単に固定するために、コーティング部4上に別のコーティング部、例えばはんだ層を形成することができる(
図1A及び
図1Bには明示的に図示していない)。
【0040】
コーティング部4の構成は広範な範囲で自由に変更することができる。特に、コーティング部が構造化されずに支持体ボディ2の第1の主面21全体にわたり延在していても良い。更には、一方の側面5のみがコーティング部4によって少なくとも部分的に覆われているように、コーティング部4を構成することもできる。
【0041】
更に、コーティング部を多層に構成することもできる。有利には、コーティング部4の少なくとも一つの層が金属、例えば銅、金、銀、アルミニウム、プラチナ、チタン又はタングステン、若しくはそれらの材料の内の少なくとも一つを有する金属合金を含有することができる。
【0042】
図2A及び
図2Bに示されている構成素子支持体結合体の第2の実施例は、
図1A及び
図1Bと関連させて説明した第1の実施例に実質的に相当している。第1の実施例とは異なり、第2の実施例による構成素子支持体は、溝構造3の第1の溝31によって形成されている帯状の領域15を有している。第1の溝31は第1の方向に沿って、支持体ボディ2の端部間にわたり完全に延在しているので、それぞれが複数の構成素子支持体領域10を備えている帯状の領域が相互に離隔された状態で存在している。
【0043】
帯状の領域15は共通の補助支持体6上に配置されている。補助支持体6には例えばシート、例えば粘着性シートが適している。第1の実施例と関連させて説明したように、半導体構成素子の固定前又は固定後に、構成素子支持体領域10を個別化線8に沿って複数の帯状領域15に個別化することができる。
【0044】
図3A及び
図3Bに示されている第3の実施例は、
図2A及び
図2Bと関連させて説明した第2の実施例に実質的に相当している。第2の実施例とは異なり、溝構造3は第2の方向に沿って延びる第2の溝32を有している。
【0045】
つまり溝構造3によって、個々の構成素子支持体領域10の支持体ボディ2は相互に完全に離隔されているが、更なる処理のために、例えば半導体構成素子の実装のために補助支持体6上に存在している。補助支持体6によって、構成素子支持体領域10は規則的な構造で、例えばマトリクス状に相互に並んで配置されている。ばらばらに存在している構成素子支持体と比較すると、例えばピックアンドプレイス法による、半導体構成素子の実装が容易になる。
【0046】
この実施例においては、個々の支持体ボディ2の全ての側面5にコーティング部4が設けられている。しかしながら、上記の図面と関連させて説明したように、コーティング部4は一つ又は二つの側面にのみ設けられていても良い。
【0047】
コーティング部4の支持体ボディ2側とは反対側には別のコーティング部7が形成されている。この別のコーティング部7を例えばはんだ層として形成することができる。例えば、別のコーティング部7は金、インジウム、スズ又は銀を含有することができる。上述の材料の内の少なくとも一つを有する金属合金、例えば金スズ合金も使用することができる。
【0048】
複数の構成素子支持体領域を製造するための方法の実施例が
図4Aから
図4Fに示されている。
図1Aから
図3Bと関連させて説明したような構成素子支持体結合体が平面図で示されている。
【0049】
垂直方向において第1の主面21と第2の主面22との間に延在している支持体ボディ2が準備される(
図4A)。第1の主面21側から、複数の第1の溝31を含む溝構造3が形成される。垂直方向においては、第1の溝31が支持体ボディ2を完全には貫通せずに延在している。
【0050】
溝構造の形成は有利には化学的に、特に乾式化学的に行われ、例えば深彫り反応性イオンエッチング又はASEを用いて行われる。それとは異なり、侵食法も使用することができる。
【0051】
図4Bに示されているように、コーティング源を用いてコーティング部4が形成される。矢印9はコーティング源の主コーティング方向を示唆している。主コーティング方向は第1の主面21の垂線に対して斜めに設定されている。そのようにして溝構造3の側面5のコーティングが簡略化される。コーティングのために例えばスパッタリング法又は蒸着法を使用することができる。
【0052】
上述の実施例とは異なり、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、コーティング部4を構造化して形成することもできる。
【0053】
図4Cに示されているように、コーティング部4上に別のコーティング部7を被着させることができる。別のコーティング部7を、コーティング部4と関連させて説明した方法を用いて形成することができる。択一的に、シルクスクリーン法を用いて、別のコーティング部を被着させることもできる。そのようにして、別のコーティング部の構造化された被着を簡単且つ廉価に実現することができる。
【0054】
支持体ボディ2の第1の主面21が一時的な支持体65に固定される(
図4D)。一時的な支持体65には例えばシートが適している。択一的に、固い支持体も使用することができる。
【0055】
少なくとも、溝構造3が垂直方向において支持体ボディを完全に貫通して延在するまで、第2の主面22側から、支持体ボディ2が薄くされる。支持体ボディ2を例えば機械的に、例えば研磨、ラッピング又ポリッシングによって薄くすることができる。続けて、第2の主面22側に補助支持体6を被着させることができる。続けて一時的な支持体65を剥がすことができる。
【0056】
図1A及び
図1Bと関連させて説明したような溝構造の構成では、支持体ボディ2は薄くされた後にも繋がったままであるので、従って補助支持体6を省略することもできる。
【0057】
図5A及び
図5Bに示されている方法の第2の実施例は、
図4A及び
図4Fと関連させて説明した第1の実施例に実質的に相当している。第1の実施例とは異なり、支持体ボディ2はコーティング中にその垂線に関して回転され、それによりコーティング部4は溝構造3の全ての側面5を覆うことができる。
【0058】
完成した構成素子支持体領域10が
図5Bに示されている。
【0059】
上述の方法を用いることにより、溝構造を形成する際に既に少なくとも一つの側面が生じる構成素子支持体を簡単且つ確実に製造することができる。そのようにして製造された構成素子支持体は、第1の主面に関する側面の精度が非常に高い点で優れている。特に、側面の傾斜角度は既に溝構造を形成する際に調整することができる。有利には、第1の主面21に対する傾斜角度は90°であり、最大で±5°の偏差が含まれる。しかしながら、製造すべき構成素子支持体に対する要求に応じて、90°とは異なる角度、特に10°以上85°以下の角度、例えば45°の角度も好適になり得る。
【0060】
更に、構成素子支持体領域10を簡単に構成素子支持体結合体に準備することができるので、半導体構成素子の実装、また更には、結合体における半導体構成素子の駆動開始も簡単に実施することができる。
【0061】
本発明は実施例に基づいた上記の説明によって制限されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴並びにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしても当てはまる。