(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記獲得するステップが、前記ターゲット・アンテナと前記複数のアンテナのうちの前記異なる1つとの間のチャネル推定を決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
前記ビーム形成が、前記ターゲット・アンテナに関連する送信側および受信側の周波数応答に基づいて、較正定数を決定し、前記ビーム形成が、前記較正係数に基づいて、前記位相誤差を除去する、請求項11に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくとも1つの実施形態は、複数のアンテナを有するネットワーク要素からの送信をビーム形成する方法に関する。
【0004】
一実施形態では、方法は、ネットワーク要素の複数のアンテナのうちのターゲット・アンテナで端末からのパイロット信号を受信するステップと、受信したパイロット信号に基づいて、ターゲット・アンテナについてのアップリンク・チャネル推定を決定するステップと、ターゲット・アンテナに関連する較正係数を獲得するステップと、を含む。較正係数は、ターゲット・アンテナと複数のアンテナのうちの異なる1つとの間のチャネル推定に基づく。方法は、決定されたアップリンク・チャネル推定および獲得された較正係数に基づいて、端末への少なくともターゲット・アンテナを使用する送信をビーム形成するステップをさらに含む。
【0005】
一実施形態では、獲得するステップは、較正係数をメモリから獲得する。
【0006】
一実施形態では、方法は、ターゲット・アンテナから複数のアンテナのうちの異なる1つまでのチャネルについての第1のチャネル推定を決定するステップと、複数のアンテナのうちの異なる1つからターゲット・アンテナまでのチャネルについての第2のチャネル推定を決定するステップと、第1および第2のチャネル推定に基づいて、較正係数を決定するステップと、較正係数をメモリ内に記憶するステップと、をさらに含む。
【0007】
一実施形態では、方法は、ターゲット・アンテナに関連する第1の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、複数のアンテナのうちの異なる1つに関連する第2の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、第1の送信周波数応答および受信周波数応答ならびに第2の送信周波数応答および受信周波数応答に基づいて、較正係数を決定するステップと、較正係数をメモリ内に記憶するステップと、をさらに含む。
【0008】
一実施形態では、獲得するステップは、ターゲット・アンテナと複数のアンテナのうちの異なる1つとの間のチャネル推定を決定するステップを含む。
【0009】
別の実施形態では、獲得するステップは、ターゲット・アンテナに関連する送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップを含む。
【0010】
一実施形態では、方法は、ターゲット・アンテナに関連する第1の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、複数のアンテナのうちの異なる1つに関連する第2の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、第1の送信周波数応答および受信周波数応答ならびに第2の送信周波数応答および受信周波数応答に基づいて、較正係数を決定するステップと、をさらに含み、獲得するステップは、決定された較正係数を獲得する。
【0011】
別の実施形態では、方法は、ターゲット・アンテナに関連する第1の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、複数のアンテナのうちの異なる1つに関連する第2の送信周波数応答および受信周波数応答を決定するステップと、第1の送信周波数応答および受信周波数応答ならびに第2の送信周波数応答および受信周波数応答に基づいて、較正係数を決定するステップと、をさらに含み、獲得するステップは、決定された較正係数を獲得する。
【0012】
一実施形態では、ビーム形成は、共役ビーム形成である。
【0013】
別の実施形態では、ビーム形成は、ゼロ・フォーシング・ビーム形成(zero forcing beamforming)である。
【0014】
一実施形態では、ビーム形成は、端末における受信信号強度をコヒーレントに増加させる。
【0015】
別の実施形態では、ビーム形成は、送信をビーム形成する際に位相誤差を除去することを含む。例えば、ビーム形成は、ターゲット・アンテナに関連する送信側および受信側の周波数応答に基づいて、較正定数を決定でき、ビーム形成は、較正係数に基づいて、位相誤差を除去する。
【0016】
方法の別の実施形態では、方法は、複数のアンテナで端末からのパイロット信号を受信するステップと、複数のアンテナで受信したパイロット信号に基づいて、複数のアンテナの各々に関連するアップリンク・チャネル推定を決定するステップと、決定されたアップリンク・チャネル推定および複数の較正係数に基づいて、複数のアンテナから端末への送信をビーム形成するステップとを含む。各較正係数は、複数のアンテナのうちのペアの間のチャネル推定に基づく。
【0017】
少なくとも1つの実施形態は、基地局に関する。
【0018】
基地局の一実施形態は、複数のアンテナと、複数のアンテナのうちのターゲットとなる1つに関連する少なくとも1つの較正係数を記憶するように構成されたメモリと、を含む。較正係数は、ターゲット・アンテナと複数のアンテナのうちの異なる1つとの間のチャネル推定に基づく。基地局は、端末からのターゲット・アンテナで受信されたパイロット信号に基づいて、ターゲット・アンテナについてのアップリンク・チャネル推定を決定するように構成されたプロセッサも含む。プロセッサは、決定されたアップリンク・チャネル推定および記憶された較正係数に基づいて、端末への少なくともターゲット・アンテナを使用する送信をビーム形成するように構成される。
【0019】
本発明は、もっぱら例として与えられ、したがって、本発明を限定しない、以下本明細書で与えられる詳細な説明と、同様の要素が同様の参照番号によって表される、添付の図面とから、より完全に理解されるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な例示的な実施形態が、いくつかの例示的な実施形態が示された添付の図面を参照して、今からより完全に説明される。
【0022】
例示的な実施形態は、様々な変更および代替形態を可能とするが、実施形態は、図面では例として示され、本明細書で詳細に説明される。しかし、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図がないことを理解されたい。反対に、例示的な実施形態は、本開示の範囲内にある、すべての変更形態、均等形態、および代替形態を包含するものとする。図の説明のどこであれ、同様の番号は、同様の要素を参照する。
【0023】
様々な要素を説明するために、本明細書では、第1、第2などの語が使用されることがあるが、これらの要素が、これらの語によって限定されるべきではない。これらの語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されるにすぎない。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で使用される場合、「および/または」という表現は、関連する列挙された項目の1つまたは複数からなるありとあらゆる組み合わせを含む。
【0024】
ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されると言われる場合、その要素は他の要素に直接的に接続もしくは結合でき、または介在要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接的に接続」または「直接的に結合」されると言われる場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の語(例えば、「間に」対「間に直接的に」、「隣接して」対「直接的に隣接して」など)も、同様に解釈されるべきである。
【0025】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としているにすぎず、限定的であることは意図していない。本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」プラス単数形は、文脈による別段の指摘が明らかにない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「includes(含む)」、および/または「including(含む)」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するばかりでなく、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加も排除しないことがさらに理解されよう。
【0026】
いくつかの代替実施では、述べられる機能/動作は、図で述べられる順序通りに行われないことがあることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの図は、含まれる機能/動作に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、または時には逆の順序で実行されてもよい。
【0027】
別段の定義がなされない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。例えば、一般に使用される辞書内で定義されている語などの、語は、関連技術分野の文脈におけるそれらの意味に矛盾しない意味を有すると解釈すべきであり、本明細書で明示的にそう定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されないことがさらに理解されよう。
【0028】
例示的な実施形態および対応する詳細な説明の一部は、コントローラによって実行されるアルゴリズムの観点から提示される。アルゴリズムは、この用語が本明細書で使用されるように、また一般に使用されるように、所望の結果に到達する自己矛盾のない一連のステップであると考えられている。ステップは、物理量の物理的操作を要求するステップである。必ずではないが、通常、これらの量は、記憶し、転送し、組み合わせ、比較し、および他の方法で操作することが可能な、光学的、電気的、または磁気的信号の形態を取る。主に共通使用の理由で、これらの信号をビット、値、要素、シンボル、文字、項、または数などと呼ぶと便利なことがあると分かっている。
【0029】
例示的な実施形態を完全に理解できるように、以下の説明では具体的な詳細が提供される。しかし、これらの具体的な詳細を欠いても、例示的な実施形態を実施できることが当業者には理解されよう。例えば、例示的な実施形態が不必要な詳細の中に埋もれてしまわないように、システムは、ブロック図で示すことができる。他の例では、例示的な実施形態が分かりにくくならないように、よく知られたプロセス、構造、および技法は、不必要な詳細を省いて示すことができる。
【0030】
以下の説明では、説明的な実施形態は、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む、プログラム・モジュールまたは機能プロセスとして実施でき、既存のネットワーク要素、既存のエンドユーザ・デバイス、および/または後処理ツール(例えば、モバイル・デバイス、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータなど)において既存のハードウェアを使用して実施できる、(例えば、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、ブロック図などの形式を取る)動作の挙動およびシンボル表現を参照して説明される。そのような既存のハードウェアは、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはコンピュータなどを含むことができる。
【0031】
別段の指摘が特になされない限り、または説明から明らかなように指摘がなされない限り、「処理する」または「計算する」または「算定する」または「決定する」または「表示する」などの用語は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理的、電子的な量として表現されるデータを操作および変換して、コンピュータ・システムのメモリもしくはレジスタ、または他のそのような情報記憶デバイス、伝送デバイス、もしくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表現される他のデータに変える、コンピュータ・システムまたは類似の電子コンピューティング・デバイスのアクションおよびプロセスのことを指す。
【0032】
フローチャートは、動作を順次プロセスとして説明することがあるが、動作の多くは、並列で、一斉に、または同時に実行できる。加えて、動作の順序は、並び替えることもできる。プロセスは、その動作が完了したときに終了させることができるが、図に含まれない追加のステップを有することもできる。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し元関数またはメイン関数への関数の復帰に対応し得る。
【0033】
例示的な実施形態のソフトウェア実施態様は、一般に、何らかの形態の有形の記憶装置(もしくは記録媒体)上に符号化され、または何らかのタイプの伝送媒体を介して実施されることにも留意されたい。本明細書で開示される場合、「記憶媒体」という用語は、リード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、磁気RAM、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス、および/または情報を記憶するための他の有形な機械可読媒体を含む、データを記憶するための1つまたは複数のデバイスを表すことができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定することなく、ポータブルまたは固定記憶デバイス、光記憶デバイス、ならびに命令および/またはデータを記憶、格納、または搬送することが可能な他の様々な媒体を含むことができる。
【0034】
さらに、例示的な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実施できる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実施される場合、必要なタスクを実行するプログラム・コードまたはコード・セグメントは、コンピュータ可読記憶媒体などの、機械またはコンピュータ可読媒体内に記憶できる。ソフトウェアで実施される場合、1つまたは複数のプロセッサが、必要なタスクを実行する。
【0035】
コード・セグメントは、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェア・パッケージ、クラス、または命令、データ構造、もしくはプログラム・ステートメントの任意の組み合わせに相当し得る。コード・セグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、またはメモリ内容を渡すこと、および/または受け取ることによって、別のコード・セグメントまたはハードウェア回路に結合できる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージ・パッシング、トークン・パッシング、ネットワーク送信などを含む任意の適切な手段を介して、渡すこと、転送すること、または送信することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「端末」という用語は、モバイル・ユーザ、移動局、モバイル端末、ユーザ、加入者、ワイヤレス端末、ユーザ機器、および/または遠隔局の同義語とすることができ、ワイヤレス通信ネットワーク内のワイヤレス・リソースの遠隔ユーザを表すことができる。したがって、端末は、ワイヤレスフォン、ワイヤレス対応ラップトップ、ワイヤレス対応機器などとすることができる。
【0037】
「基地局」という用語は、1つまたは複数のセル・サイト、基地局、ノードB、拡張ノードB、アクセス・ポイント、および/または無線周波数通信の任意の終端として理解できる。現在のネットワーク・アーキテクチャは、モバイル/ユーザ・デバイスとアクセス・ポイント/セル・サイトとの間の区別を考慮できるが、これ以降で説明される例示的な実施形態は、一般に、例えば、アドホックおよび/またはメッシュ・ネットワーク・アーキテクチャなど、その差異があまり明瞭ではないアーキテクチャに適用可能であり得る。
【0038】
基地局から端末への通信は、一般に、ダウンリンクまたは順方向リンク通信と呼ばれる。端末から基地局への通信は、一般に、アップリンクまたは逆方向リンク通信と呼ばれる。
【0039】
アーキテクチャ
図1は、一実施形態による、ワイヤレス通信システムの一部を示している。ここに示されるように、基地局10は、M個のアンテナからなる大規模なアンテナ・アレイ20を有する。例えば、Mは100個のアンテナとすることができるが、この数に限定されない。基地局10は、プロセッサ12(例えば、デジタル信号プロセッサ)と、メモリ・ユニット14も含む。メモリ・ユニット14は、よく知られた任意の記憶媒体とすることができる。プロセッサ12は、基地局10の動作および機能を制御し、メモリ・ユニット14内にデータなどを記憶する。基地局10の動作は、以下でより詳細に説明される。
【0040】
図1は、基地局10のカバレージ・エリア内の端末30も示している。本説明では、説明を容易にするため、各端末が1つのアンテナを有することを仮定する。しかし、実施形態は、単一のアンテナを有する端末に限定されず、実施形態は、2つ以上のアンテナを有する端末に容易に適用できる。理解されるように、基地局10のカバレージ・エリア内には、多くの端末が存在し得る。
図1にさらに示されるように、g
mkは、本説明では第kの端末と見なされる端末30と基地局アンテナm(m=1,...,M)との間の無線アップリンク・チャネルであり、h
mkは、アンテナmから端末kへの無線ダウンリンク・チャネルである。任意の所与の時間において、アップリンク・チャネルg
mkは、ダウンリンク・チャネルh
mkと同じである。先に述べたように、端末kからの1つのパイロット送信を用いて、基地局10は、端末kからM個のアンテナへのM個のアップリンク・チャネル
【数1】
を推定できる。
【数2】
は、次に説明される、基地局10および端末kにおける送信txチェーンおよび受信rxチェーンの影響を含むことに留意されたい。
【0041】
チャネル相反性を利用するために、基地局10は、送信チェーンおよび受信チェーンにおけるハードウェアの相違を考慮する。
図2は、端末の送信txチェーンのa’
kと、基地局アンテナmの受信rxチェーンのb
mとを考慮したアップリンク・チャネル
【数3】
を示しており、ここで、a’
kおよびb
mは、それぞれの周波数応答である。表記においてプライム記号が使用されているのは、端末30に関連する変数であることを示し、これらを基地局10に関連する変数から区別するためである。
【0042】
図3は、第mの基地局アンテナの送信txチェーンのa
mと、端末の受信rxチェーンのb’
kとを考慮したダウンリンク・チャネル
【数4】
を示しており、ここで、a
mおよびb’
kは、それぞれの周波数応答である。
【0043】
理論
次に、基地局10の動作の背後にある理論について説明し、それに続いて、基地局10の動作について説明する。
【0044】
送信される信号s
kに、各それぞれの基地局アンテナへの端末のアップリンク・チャネルの共役
【数5】
を乗算することによって、共役ビーム形成を適用すると仮定する。共役ビーム形成は、アップリンク・チャネル推定とダウンリンク・チャネル推定が同じであり、したがって、ダウンリンク・チャネルの影響を、送信される信号s
kに、各それぞれの基地局アンテナへの端末のアップリンク・チャネルの共役
【数6】
を乗算することによって除去できる、と仮定する。この理論によれば、以下が得られ、
【数7】
ここで、y
kは、端末で受信されるダウンリンク上の信号であり、n
kは、ノイズである。
【数8】
は、アンテナが異なれば異なるので、端末においてコヒーレント利得(coherent gain)は得られない。例示的な実施形態は、以下で説明するように、基地局のアンテナ間の較正を利用して、コヒーレント利得を獲得する。また、上記の数式は、共役ビーム形成のためのものであり、ゼロ・フォーシング・ビーム形成など、他のビーム形成技法に対しては、コヒーレント利得の欠落が存在することが理解されよう。
【0045】
動作
次に、基地局10の動作が、
図4に関して詳細に説明される。
図4は、一実施形態による、複数のアンテナを有するネットワーク要素からの送信をビーム形成するための方法のフローチャートを示している。示唆したように、方法は、
図1のアーキテクチャに関して説明されるが、方法がこのアーキテクチャに限定されるわけではないことが理解されよう。
【0046】
ここに示されるように、ステップS410において、基地局10は、第kの端末30からのパイロット信号をM個のアンテナ・アレイ20で受信する。ステップS420において、基地局10、より具体的には、プロセッサ12は、アレイ内の任意のアンテナmで受信されるパイロット信号に基づいて、アップリンク・チャネル推定
【数9】
を決定する。すなわち、基地局10は、M個のアップリンク・チャネル推定を決定でき、各々は、第kの端末とアンテナ・アレイ20内のM個のアンテナのうちの1つとの間のものである。しかし、説明を簡略にするために、方法は、第mのアンテナまたはターゲット・アンテナと呼ばれる、基地局のM個のアンテナのうちの1つに関して説明される。チャネル推定を決定するための任意のよく知られた方法が使用できる。決定されたアップリンク・チャネル推定は、メモリ・ユニット14内に記憶できる。
【0047】
次に、ステップS430において、プロセッサ12は、ターゲット・アンテナに関する較正係数を獲得する。較正係数は、ターゲット・アンテナとアレイ20内のM個のアンテナのうちの別の1つとの間の、アップリンク・チャネルおよびダウンリンク・チャネルについてのチャネル推定に基づく。
【0048】
一実施形態では、基地局10は、較正係数または複数の較正係数を決定し、その後、
図4の方法内で使用するために、較正係数をメモリ・ユニット14内に記憶する。別の実施形態では、較正係数は、獲得ステップS430の一部として決定できる。
【0049】
基地局10は、アレイ20内において1つまたは複数の基準アンテナを確立することによって、較正係数を決定できる。例えば、基地局アンテナ1が基準アンテナとして確立されていると仮定すると、各アンテナm>1に対して、順方向チャネルおよび逆方向チャネルは、それぞれ、G
m1およびH
m1と表される。チャネル推定の任意の方法が使用できる。例えば、G
m1およびH
m1は、RFチェーン較正のためのパイロットを送信することによって獲得できる。その後、較正係数C
m1は、以下の式(3)に従って決定され、
【数10】
ここで、
【数11】
および
【数12】
である。
【0050】
代替として、C
mおよびC
1は、任意のよく知られた方法に従って個々に推定でき、その後、C
m1を決定するために乗算できる。さらなる代替として、a
1、b
1、a
m、およびb
mは、任意のよく知られた方法に従って別々に推定でき、その後、C
m1を決定するために等式(3)に従って使用できる。すなわち、チャネル推定のRFベースの方法の代わりに、ハードウェア・ベースまたは他の代替方法を使用できる。
【0051】
上で示唆したように、アンテナ1またはアンテナ1のみを基準アンテナとして使用する代わりに、異なる基準アンテナまたは2つ以上の基準アンテナを使用できる。例えば、各組が異なる基準アンテナを有する、何組かの較正係数を決定できる。各組は、そのサブセットについて較正係数が決定される、M個のアンテナの異なるサブセットも有することができる。
【0052】
ステップS440において、基地局10は、ターゲット・アンテナについての決定されたアップリンク・チャネル推定およびターゲット・アンテナに関する較正係数に基づいて、端末30へのターゲット・アンテナmを使用するダウンリンク上の送信のビーム形成を実行する。理解されるように、ビーム形成は、一般に多数のアンテナを含み、そのうちの1つが、ターゲット・アンテナである。共役ビーム形成の例に戻ると、共役ビーム形成のために
【数13】
を乗算する代わりに、送信される信号s
kに
【数14】
または
【数15】
を乗算して、送信する。前者を使用する場合、等式(1)は、アンテナ・アレイ20のアンテナ1が基準アンテナであると仮定すると、
【数16】
となる。等式(4)から、M個の信号がすべて、コヒーレントに加算されることが分かる。
【0053】
較正係数に基づいたビーム形成が、共役ビーム形成に関して説明されたが、較正係数の使用は、ゼロ・フォーシングなど、任意のタイプのビーム形成にも等しく適用される。
【0054】
さらに、上述の説明は、アンテナ・アレイ20内のターゲット・アンテナに関するものであるが、
図4の方法は、アンテナ・アレイ20内の2つ以上のアンテナに同時に適用できることが理解されよう。
【0055】
位相誤差
式(4)によって示されるように、一定の位相回転項(phase rotation term)
【数17】
が存在し得る。これを扱う少なくとも2つの方法が存在する。
【0056】
一実施形態によれば、任意の位相誤差を補正するために、各データ送信のための位相補正パイロットを追加できる。しかし、実際には、これを必要としないことが多い。例えば、802.11またはLTEワイヤレス規格では、一般に、データ送信内に位相補正パイロットが存在する。これらのパイロットは、この残留位相誤差の補正を達成する。
【0057】
送信されるデータ・シンボル内に位相補正パイロットが存在しない場合、さらなる較正手法を使用して、式(4)内の位相誤差
【数18】
を除去できる。この手法では、基地局の基準アンテナ、例えば、アンテナ1と、端末kとの間のチャネルが較正される。ここでは、基地局10は、較正定数を
【数19】
と決定する。上で説明したように、a
1、b
1、a’
k、およびb’
kは、よく知られた任意の方法に従って個々に決定でき、その後、それらからD
1kが決定される。共役ビーム形成のために
【数20】
を乗算する代わりに、送信される信号s
kに
【数21】
を乗算する。ここで、
D
mk=D
1kC
m1 (6)
であることに留意されたい。
【0058】
等式(6)は、間接的なチャネル較正を表す。言い換えると、基地局アンテナが、基準基地局アンテナに対して較正され、基準基地局アンテナと端末との間のチャネルが較正された後、基地局10は、式(6)を使用して、任意の基地局アンテナと端末との間のチャネルを較正できる。
【0059】
間接的な較正を使用すると、共役ビーム形成は、
【数22】
となる。
【0060】
理解されるように、例示的な実施形態によるビーム形成は、完全にスケーラブルであり、端末からのフィードバックを必要としない。
【0061】
例示的な実施形態が上述のように説明されたが、例示的な実施形態を多くの方法で変形させ得ることは明らかである。そのような変形は、常に、例示的な実施形態の主旨および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、そのようなすべての変更は、当業者に明らかなように、特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。