【実施例1】
【0014】
<実施例1の構成>
まず、実施例1について、
図1〜
図14を用いて説明する。
【0015】
図1は、端末無線装置3が鉄道電気設備2の状態を周期的に計測し、鉄道1に搭載される集約無線装置4へ計測したデータを無線伝達するシステムの概略構成図である。ここで集約無線装置4と端末無線装置3は、無線パケット6を用いてデータの受け渡しが行われる。
図5に示すとおり無線パケット6には、データ要求パケット500、データパケット501、ACK応答パケット502の3種類ある。(各パケッ
トの詳細は後述)
【0016】
また
図1では、列車1に集約無線装置4が2台搭載されているが、列車1に搭載される集約無線装置4は、複数台であれば何台でも構わない。
【0017】
(鉄道電気設備)
鉄道電気設備2とは、き電線圧縮部、張力調整装置、柱上変圧器など鉄道の運行に関するもので、鉄道沿線に設置される設備のことである。
【0018】
(列車)
列車1は線路の上を走行する車両のことで、実施例1では鉄道電気設備2の状態を収集するために定期的に走行するものとする。
【0019】
図1に示すとおり、列車1には2台の集約無線装置4(以下、集約無線装置4−aと集約無線装置4−bとする)が搭載されているが、複数台であれば何台でもあっても構わない。
【0020】
図1に示すとおり、実施例1では速度9で端末無線装置3と接近する方向(右方向)で列車1が進んでいる例について記す。したがって、端末無線装置3は最初に集約無線装置4−aと通信を行い、続けて集約無線装置4−bと通信を行なう。
【0021】
(端末無線装置)
端末無線装置3は鉄道電気設備2の付近に設置され、周期的に鉄道電気設備2の状態を計測する。また、集約無線装置4が通信可能距離内に存在する場合は、計測結果である計測データ603を含むデータパケット501を集約無線装置4へ無線伝送する。(データパケット501の構成は後述)
【0022】
端末無線装置3は、端末無線装置は商用電源の供給ができない箇所に設置されることが多い。従って、電池やコンデンサや太陽電池、またはこれらを組み合わせて起動されるために極力省電力化することが要求される。そこで、端末無線装置3はアクティブモードとスリープモードを繰り返す間欠動作を行なう。
【0023】
(アクティブモード)
ここでアクティブモードとは、端末無線装置3の全ての機能が使用できる状態である。
【0024】
(スリープモード)
ここでスリープモードとは、記録部202、計測部203、無線通信部205、センサ206を停止させることにより、電池の消耗を防ぐモードのことである。スリープモードであっても、制御部201とクロック204は動作するので、スリープ時間設定情報702に記載される時刻になり次第、アクティブモードへ遷移することが可能である。(スリープ時間設定情報702に関しては後述)
【0025】
(集約無線装置)
集約無線装置4は列車1に搭載され、端末無線装置3と通信可能である場合は、端末無線装置3が計測した計測データ603を含むデータパケット501を受信する。
【0026】
(集約無線装置間距離)
既に記したとおり列車1には複数台の集約無線装置4が搭載されるが、集約無線装置4同士で通信可能エリアが重なる場合、パケットの衝突などによりデータ転送速度が低下する。本実施例では、集約無線装置4−aと集約無線装置4−bの離隔距離は、少なくとも端末無線装置3と集約無線装置4との通信可能距離より離隔することを前提とする。
【0027】
本実施例1では、列車1の最前部に集約無線装置4-aを、列車1の最後部に集約無線装置4-bを搭載している。
【0028】
また、本実施例1では、列車1は速度9で端末無線装置3に接近する方向(右方向)で走行しているものとする。従って端末無線装置3は最初に集約無線装置4-aと通信可能となるが、距離が離れていくことにより、端末無線装置3と集約無線装置4-aを通信不可能となる。さらに数秒後に、今度は端末無線装置3と集約無線装置4-bが通信可能となる状況を例とする。
【0029】
(データ処理装置)
データ処理装置5は、集約無線装置4が受信したデータパケット501を集約し、データベース402に記録する機能を有する。
【0030】
また、集約無線装置間距離8(集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの距離)と列車速度9から、端末無線装置3が集約無線装置4-aと通信不可能となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時刻を推測した後、集約無線装置4を経由して端末無線装置3にスリープ時間設定情報702として通知する機能を有する。
【0031】
(端末無線装置の構成)
図2は本実施例1の端末無線装置3の構成を示している。
図2に示すとおり、端末無線装置3は、制御部201、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206から構成される。以下、制御部201、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206の各機能について記す。
【0032】
(制御部)
端末無線装置3の制御部201は、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206を制御する機能を有する。制御部201の一連の動作については後述する。
【0033】
(記録部)
記録部202は、無線局ID601、計測番号602と計測データ603を記録するためのものである。計測番号602と計測データ603は、集約無線装置4に伝送が完了するまで記録される。
【0034】
(無線局ID)
ここで無線局ID601とは、端末無線装置3毎に一意で割り振られた識別番号である。集約無線装置4がデータパケット501を受信した際、無線局IDにより送信元を識別することが可能となる。
【0035】
(計測番号)
また計測番号602は、端末無線装置3が鉄道電気設備2の状態を計測する度に割り振られる識別番号である。端末無線装置3は、周期的に鉄道電気設備2の状態を計測するが、計測番号602により、いつ計測した計測データ603なのかを把握することができる。
【0036】
(計測データ)
また計測データ603とは、端末無線装置3がセンサ206を用いて計測した鉄道電気設備2の状態を含むデータである。
【0037】
(計測部)
端末無線装置3の計測部203は、センサ206を用いて鉄道電気設備2の状態を計測する機能を有する。計測結果は計測データ603として、記録部202に保存される。
【0038】
(センサ)
端末無線装置3のセンサ206は、鉄道電気設備2の状態を計測するために用いる。ここで記すセンサ206は、例えば温度センサであったり、変位センサであってもよく、即ち、鉄道電気設備2の種類により異なる。また
図2では、利便上、センサ206を1つしか記載していないが、1台の端末無線装置3に複数個のセンサ206が接続されていても構わない。
【0039】
(クロック)
端末無線装置3のクロック204は、鉄道電気設備2の状態を計測する時刻であるか判定するために用いられる。また、周期的にアクティブモードとスリープモードを繰り返す間欠動作を行なうためにも用いられる。
【0040】
(無線通信部)
端末無線装置3の無線通信部205は、集約無線装置4の無線通信部305と無線パケット6の受け渡しを行なう機能を有する。ここで
図5に示すとおり無線パケット6には、データ要求パケット500、データパケット501、ACK応答パケット502の3種類がある。以下、データ要求パケット500、データパケット501、ACK応答パケット502の詳細を記す。
【0041】
(データ要求パケット)
ここでデータ要求パケット500とは、集約無線装置4の通信可能距離内に端末無線装置3の有無を確認するために、集約無線装置4
が周期的に不特定の端末無線装置3
に向けて送信するパケットである。データ要求パケット500を受信した
端末無線装置3は、データ要求パケット500の送信元である
集約無線装置4にデータパケット501を返答する。
【0042】
既に記したとおり端末無線装置3は間欠動作を行なうため、端末無線装置3と集約無線装置4が通信可能距離内にあっても、端末無線装置3がスリープモード状態のときは、データ要求パケット500を受信することはできない。従って、端末無線装置3がアクティブモード状態のときにデータ要求パケット500を受信できるように、集約無線装置4は周期的にデータ要求パケット500を送信する。
【0043】
データ要求パケット500には、集約無線装置4ごとに一意で割り振られた無線局IDが記載されている。端末無線装置3がデータ要求パケット500を受信した際、データ要求パケット500に記載される無線局IDにより、どの集約無線装置4にデータパケット501を返答すればよいか把握することが可能となる。
【0044】
(データパケット)
ここでデータパケット501とは、端末無線装置3が計測した鉄道電気設備2の状態を集約無線装置4へ無線伝送するために用いられる。
図6に図示すとおり、データパケット501は、無線局ID601と、計測番号602と、計測データ603から構成される。
【0045】
(ACK応答パケット)
ここでACK応答パケット502とは、集約無線装置4が正常にデータパケット501を受信したことを、送信元の端末無線装置3に通知するためのパケットである。
図7に図示するとおり、ACK応答パケット502は、データパケット501を送信した端末無線装置3の無線局ID601、集約無線装置4-bの無線局ID701、スリープ時間設定情報702が記載される。
【0046】
(スリープ時間設定情報)
既に記したとおり本実施例1では、速度9で端末無線装置3と接近する方向(右方向)で列車1が進んでいる。したがって、端末無線装置3は最初に集約無線装置4−aと通信を行い、続けて集約無線装置4−bと通信を行なう。ここで端末無線装置3は、集約無線装置4-aと通信が不可となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまで、どの集約無線装置とも通信することができないから、端末無線装置3はスリープモードへ遷移することにより電池の消耗を防ぐ。
【0047】
しかしながら端末無線装置3は、集約無線装置4-aと通信が不可能となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時間を把握することはできない。従って、データ処理装置5でスリープ時間を記載したスリープ時間設定情報702を生成し、端末無線装置3へ伝達する。
【0048】
ここでスリープ時間設定情報702とは、端末無線装置3のスリープ時間を制御するための情報であり、集約無線装置4-aと通信が不可となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまで推定時間が記載されている。
【0049】
スリープ時間設定情報702は、列車速度9と集約無線装置間距離8(集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの間の距離)を加味し間欠周期推測部406により生成される。(間欠周期推測部406の詳細は後述)
【0050】
(集約無線装置の構成)
図3は本実施例1の集約無線装置4の構成例を示している。
図3に示すとおり、集約無線装置4は、制御部301、記録部302、入出力インタフェース303、クロック304、無線通信部305から構成される。以下、制御部301、記録部302、入出力インタフェース303、クロック304、無線通信部305の各機能について記す。
【0051】
(制御部)
集約無線装置4の制御部301は、記録部302、入出力インタフェース303、クロック304、無線通信部305を制御する機能を有する。制御部301の一連の動作については後述する。
【0052】
(記録部)
記録部302は、集約無線装置4がデータパケット501を受信した際、データパケット501に記載される無線局ID601、計測番号602、計測データ603を一時的に記録するためのものである。
【0053】
(入出力インタフェース)
集約無線装置4の入出力インタフェース303は、データ処理装置5にパケット受信通知信号800を送信し、さらに通知確認信号900を受信するために用いられる。
【0054】
(パケット受信通知信号)
ここでパケット受信通知信号800とは、集約無線装置4がデータ処理装置5にデータパケット501を受信した旨を通知するための信号である。
【0055】
図8は、パケット受信通知信号800の構成を示している。
図8に示すとおり、パケット受信通知信号800は、データパケット501の送信元である端末無線装置3の無線局ID601、計測番号602、計測データ603、パケット受信時刻情報601から構成される。
【0056】
(パケット確認信号)
ここでパケット受信通知信号900とは、データ処理装置5が集約無線装置4にパケット受信通知信号800を正常に受信した旨を通知するための信号である。
【0057】
図9は、パケット受信通知信号900の構成を示している。
図9に示すとおり、パケット受信通知信号800は、データパケット501の送信元である端末無線装置3の無線局ID601、集約無線装置4-bの無線局ID902、集約無線装置4-aの無線局ID903、スリープ時間設定情報601から構成される。
【0058】
(クロック)
集約無線装置4のクロック304は、データパケット501の受信時刻を取得するために用いられる。
【0059】
(無線通信部)
集約無線装置4の無線通信部305は、端末無線装置3の無線通信部205と無線パケット6の送受信を行なう機能を有する。
【0060】
(ケーブル)
ケーブル7は、データ処理装置5にパケット受信通知信号800を送信し、さらにデータ処理装置5から通知確認信号900を受信するためのケーブルであり、有線であっても無線であっても構わない。
【0061】
(データ処理装置の構成)
図4は、本実施例1のデータ処理装置5の構成例を示している。
図4に示すとおり、データ処理装置5は、制御部401、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405、間欠周期推測部406から構成される。以下、制御部401、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405、間欠周期推測部406の各機能について記す。
【0062】
(制御部)
データ処理装置5の制御部401は、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405、間欠周期推測部406を制御する機能を有する。制御部401の一連の動作については後述する。
【0063】
(データベース402)
データ処理装置5のデータベース402は、端末無線装置3が計測した計測データ603が蓄積される。また、計測データ603がどの端末無線装置3から、どのタイミングで計測された計測データ603であるか把握可能とするために、端末無線装置3の無線局ID601と計測番号602も合わせて蓄積される。
【0064】
(列車速度入手部)
データ処理装置5の列車速度入手部404は、列車から列車速度9に関する情報(車速パルスなど)を入手する機能を有する。列車から列車速度9を入手できない場合は、GPS(Global Positioning System)などを用いて列車速度9を求めても良い。
【0065】
(間欠周期設定部)
データ処理装置5の間欠周期推測部406は、列車速度入手部404により取得した列車速度9と集約無線装置間距離8(集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの間の距離)から、端末無線装置3が集約無線装置4-bと通信が不可となってから集約無線装置4-aと通信可能となるまでの時間(以下、スリープ時間設定情報702と記す)を推測する機能を有する。
【0066】
(スリープ時間設定情報の推測)
スリープ時間Tの推測式例を式1に示す。
【0067】
【数1】
ここで、T:スリープ時間、L:集約無線装置間距離8、v:列車速度である。
【0068】
(入出力インタフェース)
データ処理装置5の入出力インタフェース403は、集約無線装置4が通知したパケット受信通知信号800を受信する機能を有する。
【0069】
(入力部)
データ処理装置5の入力部405は、ユーザが集約無線装置間距離8(集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの間の距離)を入力するためのもので、キーボードなどや音声入力が用いられる。
【0070】
(ケーブル)
ケーブル7は、集約無線装置4がデータ処理装置5にパケット受信通知信号800を通知するためのケーブルである。
【0071】
(端末無線装置3の一連の動作)
図10は端末無線装置3の一連の動作について示している。これらの動作は、制御部201が、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206の各機能を制御することにより動作する。
【0072】
本実施例1では、速度9で端末無線装置3と接近する方向(右方向)で列車1が進んでいる例について記す。したがって、端末無線装置3は最初に集約無線装置4−aと通信を行い、続けて集約無線装置4−bと通信を行なう。
【0073】
(S1001)
制御部201は、クロック204から時刻情報を読み込み、鉄道電気設備2の状態を計測する時刻であるか判定する。ここで、予め決められた計測する時刻であると判定した場合、計測部203に計測指示を通知する。
【0074】
(S1002)
計測部203は、センサ206を用いて鉄道電気設備2の状態を計測する。ここで計測結果は、計測データ603として記録部202に記録される。
【0075】
(S1003)
制御部201は計測番号602の更新を行なう。計測番号602は、記録部202に記録される。
【0076】
(S1004)
集約無線装置4-aが送信するデータ要求パケット500を受信したしたかどうか判定する。
【0077】
(S1005)
データ要求パケット500を受信したと判定した場合は、データ要求パケット500から無線局IDを抽出し、送信元の集約無線装置4へデータパケット501を返答する。
【0078】
(S1006)
集約無線装置4からACK応答パケット502を受信したかどうか判定する。ここでACK応答パケット502とは、集約無線装置4が正常にデータパケット501を受信したことを、送信元の端末無線装置3に通知するためのパケットである。
【0079】
(S1007)
ACK応答パケット502を受信したと判定した場合は、続けて送る計測データ603があるかどうか判定する。続けて送る計測データ603がある場合は、集約無線装置4-aに向けてデータパケット501を送信する。
【0080】
(S1008)
ACK応答パケット502に記載されるスリープ時間設定情報702を抽出する。
【0081】
(S1009)
スリープ時間設定情報702を基に、スリープ時間を設定する。
【0082】
(S1010)
スリープモードへ遷移する。
【0083】
(S1011)
定期的にクロック204を参照し、アクティブモードへ遷移する時刻であるか判定する。
【0084】
(S1012)
アクティブモードへ遷移する時刻であると判定した場合は、アクティブモードへ遷移する。
【0085】
(S1013)
データパケット501の送信先を集約無線装置4−aから集約無線装置4−bへ変更する。
【0086】
端末無線装置3は、ACK応答パケット502の集約無線装置4-bの無線局ID701により、集約無線装置4−aの次にデータパケット501を送るべき集約無線装置を既知である。
【0087】
(集約無線装置4-aの一連の動作)
図11は本実施例1における集約無線装置4-aの一連の動作について示している。これらの動作は、制御部301が、記録部302、入出力インタフェース303、クロック304、無線通信部305を制御することにより動作する。
【0088】
(S1101)
集約無線装置4-aの制御部301は、データ要求パケット500を送信する時刻であるかクロック304で判定する。
【0089】
(S1102)
集約無線装置4-aの無線通信部305から、不特定の端末無線装置3に向けてデータ要求パケット500を送信する。
【0090】
(S1103)
端末無線装置3からデータパケット501を受信したか判定する。
【0091】
データパケット501を受信した場合は、集約無線装置4-aと通信可能距離内に端末無線装置3の存在がある場合である。データ要求パケット500を受信した端末無線装置3はデータパケット501を返答する。
【0092】
(S1104)
端末無線装置3からデータパケット501を受信した場合は、クロック304により受信時刻を取得する。受信時刻は、パケット受信時刻情報601として記録部302に記録される。
【0093】
(S1105)
パケット受信通知信号800を生成した後、データ処理装置5にパケット受信通知信号800を通知する。
【0094】
(S1106)
データ処理装置5から通知確認信号900を受信する。ここで、通知確認信号900とは、端末無線装置3の間欠動作の設定情報であるスリープ時間設定情報702が記載された信号である。
【0095】
データ処理装置5は、集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの間の距離8と列車速度9から、端末無線装置3が集約無線装置4-aと通信不可能となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時刻を推測した後、端末無線装置3にスリープ時間設定情報702として通知する。
【0096】
(S1107)
受信した通知確認信号900からスリープ時間設定情報702を抽出した後、ACK応答パケット502を生成する。無線通信部305から端末無線装置3に向けてACK応答パケット502を送信する。
【0097】
ここでACK応答パケット502とは、集約無線装置4が正常にデータパケット501を受信したことを、送信元の端末無線装置3に通知するためのパケットである。ACK返答15には、スリープ時間設定情報702が記載される。
【0098】
(データ処理装置5の一連の動作)
図12は本実施例1におけるデータ処理装置5の一連の動作について示している。これらの動作は、制御部401が、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405、間欠周期推測部406の各機能を制御することにより動作する。
【0099】
(S1201)
データ処理装置5は、集約無線装置4からパケット受信通知信号800の通知を受けるまで待機する。ここでパケット受信通知信号800とは、集約無線装置4がデータ処理装置5にデータパケット501を受信した旨を通知するための信号である。
図6は、パケット受信通知信号800の構成を示している。
図6に示すとおり、パケット受信通知信号800は、データパケット501の送信元である端末無線装置3の無線局ID601、計測番号602、計測データ603、パケット受信時刻情報601から構成される。
【0100】
(S1202)
集約無線装置4からパケット受信通知信号800を受信した場合、パケット受信通知信号800の無線局ID601、計測番号602、計測データ603を抽出し、これらをデータベース402に蓄積する。
【0101】
(S1203)
パケット受信通知信号800からパケット受信時刻情報601を抽出し、さらに列車速度入手部404から現時点の列車速度9を取得する。
【0102】
次に間欠周期推測部406により、集約無線装置4-bと通信が不可となった際に、集約無線装置4-aと通信可能となる時刻を推測する。ここで推測した結果は、スリープ時間設定情報702とする。
【0103】
(S1204)
スリープ時間設定情報702を記載した通知確認信号900を生成した後、集約無線装置4に送信する。
【0104】
集約無線装置4-aは通知確認信号900を受信(S1205)した後、通知確認信号900を基にACK応答パケット502を生成し端末無線装置3にACK応答パケット502を送信(S1206)する。
【0105】
ACK応答パケット502を受信した端末無線装置3は、ACK応答パケット502からスリープ時間設定情報702を抽出することにより、集約無線装置4-bと通信が不可となってから、集約無線装置4-aと通信可能となる時刻を把握することが可能となる。
【0106】
(補足)
上記実施例1の構成では、
図1に示すとおり集約無線装置4とデータ処理装置5が分離されているが、集約無線装置4内にデータ処理装置5の機能があっても良い。
【0107】
(効果)
上記実施例1の構成では、列車1に搭載する集約無線装置4−aと集約無線装置4−bの離隔距離を、少なくとも端末無線装置3と集約無線装置4との通信可能距離より離隔することにより集約無線装置同士のパケットの衝突を避けるようにした。また、最初に端末無線装置と集約無線装置4−aが通信を行なわせ、端末無線装置と集約無線装置4−aが通信を行なうことが不可能となった場合、続けて端末無線装置と集約無線装置4−bで通信することにより、より確実なデータ通信を行なうことが可能となった。
【0108】
また端末無線装置3は、集約無線装置4-aと通信が不可となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまで、どの集約無線装置とも通信することができないから、端末無線装置3はスリープモードへ遷移することにより電池の消耗を防ぐ。しかしながら端末無線装置3は、集約無線装置4-aと通信が不可となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時間を把握することはできない。従って、データ処理装置5でスリープ時間を記載したスリープ時間設定情報702を生成し、端末無線装置3へ伝達する方法について記した。
【0109】
さらにACK応答パケット502には、集約無線装置4-bの無線局ID701が記載されているので、端末無線装置3は集約無線装置4−aの次にデータパケット501を伝送する集約無線装置を把握することが可能であり、スリープ状態からアクティブ状態に遷移後、リンク接続等の処理を行うことなく、直ちに集約無線装置4−bへデータパケット501を伝送することが可能となる。
【実施例2】
【0110】
<実施例2の構成>
実施例2では、端末無線装置3に集約無線装置間距離8と列車速度9を伝達することにより、端末無線装置3自身が集約無線装置4-bと通信が不可となってから集約無線装置4-aと通信可能となるまでの時刻を推定する方法について記す。
【0111】
(端末無線装装置の構成)
端末無線装置3の構成を
図13に示す。
図13に示すとおり、端末無線装置3は、制御部201、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206、間欠周期推測部1301から構成される。記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206に関しては、実施例1で記した機能と同様の機能であでるので説明を省略する。
【0112】
(制御部201)
制御部201は、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206、間欠周期推測部1301を制御する機能を有する。
【0113】
(間欠周期推測部)
間欠周期推測部1301は、ACK応答パケット1500に記載される列車速度情報1501、集約無線装置間距離情報1502から端末無線装置3のスリープ時間を決定する。(ACK応答パケット1500の詳細は後述)
【0114】
(スリープ時間の推測)
間欠周期推測部1301は、列車速度9と集約無線装置間距離8(集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの間の距離)から、集約無線装置4-aと通信が不可となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時刻を推測する機能を有する。ここでスリープ時間Tの推測式例は式1と同じである。
【0115】
(集約無線装置の構成)
集約無線装置4は、上記実施例1で記したものと同一の構成であるから省略する。
【0116】
(データ処理装置の構成)
データ処理装置5の構成を
図14に示す。
図14に示すとおりデータ処理装置5は、制御部401、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405から構成される。データ処理装置5は、制御部401、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405の各機能は、上記実施例1と同様であるので省略する。
【0117】
(データ要求パケット500)
集約無線装置4の通信可能距離内に端末無線措置3の有無を確認するために、周期的に集約無線装置4が端末無線装置3に向けて送信する。データ要求パケット500を受信した端末無線装置3は、データ要求パケット500の送信元である集約無線装置4にデータパケット501を返答する。データ要求パケット500の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0118】
(データパケット)
データパケット501は、端末無線装置3が計測した鉄道電気設備2の状態を集約無線装置4へ無線伝送するために用いられる。データパケット501の構成は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0119】
(パケット受信通知信号)
データパケット501を受信した集約無線装置4-aは、データ処理装置5へパケット受信通知信号800を通知する。パケット受信通知信号800の構成は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0120】
(通知確認信号)
集約無線装置4-aが送信したパケット受信通知信号800を受信したデータ処理装置5は、計測データ603をデータベース402へ蓄積した後、集約無線装置4-aに通知確認信号1600を返答する。通知確認信号1600の構成を
図16に示す。
図16に示すとおり、通知確認信号1600は、端末無線装置3の無線局ID601、集約無線装置4-bの無線局ID701、列車速度情報1501、集約無線装置間距離情報1502から構成される。
【0121】
ここで列車速度情報1501は、列車速度入手部404により取得した列車速度9に関する情報が記載される。
【0122】
また集約無線装置間距離情報1502は、入力部405により予めユーザが集約無線装置間距離8を入力しておいた情報を用いる。
【0123】
(ACK応答パケット)
通知確認信号1600を受信した集約無線装置4-aは、ACK応答パケット1500を端末無線装置へ伝達する。
【0124】
ACK応答パケット1500の構成を
図15に示す。
図15に示すとおり、パケット受信通知信号1500は、端末無線装置3の無線局ID601、集約無線装置4-bの無線局ID701、列車速度情報1501、集約無線装置間距離情報1502から構成される。
【0125】
(端末無線装置3の一連の動作)
図17は端末無線装置3の一連の動作について示している。これらの動作は、制御部201が、記録部202、計測部203、クロック204、無線通信部205、センサ206、間欠周期推測部1301の各機能を制御することにより行われる。
【0126】
(S1701)
制御部201は、クロック204から時刻情報を読み込み、鉄道電気設備2の状態を計測する時刻であるか判定する。ここで、予め決められた計測する時刻であると判定した場合、計測部203に計測指示を通知する。
【0127】
(S1702)
計測部203は、センサ206を用いて鉄道電気設備2の状態を計測する。ここで計測結果は、計測データ603として記録部202に記録される。
【0128】
(S1703)
制御部201は計測番号602の更新を行なう。計測番号602は、記録部202に記録される。ここで計測番号602とは、端末無線装置3が鉄道電気設備2の状態を計測する度に割り振られる識別番号である。計測番号602により、いつ計測した計測データ603なのかを把握することができる。
【0129】
(S1704)
集約無線装置4が送信するデータ要求パケット500を受信したしたかどうか判定する。
【0130】
(S1705)
データ要求パケット500を受信したと判定した場合は、データ要求パケット500から集約無線装置4の無線局IDを抽出し、送信元の集約無線装置4へデータパケット501を返答する。
【0131】
(S1706)
集約無線装置4からACK応答パケット1500を受信したかどうか判定する。
【0132】
(S1707)
ACK応答パケット1500を受信したと判定した場合は、続けて送る計測データ603があるかどうか判定する。続けて送る計測データ603がある場合は、データパケット501を送信する。
【0133】
(S1708)
ACK応答パケット1500に記載される列車速度情報1501、集約無線装置間距離情報1502を抽出する。
【0134】
(S1709)
間欠周期推測部1301により、スリープ時間を推測する。ここで間欠周期推測部1301は、列車速度情報1501、集約無線装置間距離情報1502からスリープ時刻を推測する。
【0135】
(S1711)
スリープ時間をセットする。
【0136】
(S1712)
定期的にクロック204を参照し、アクティブモードへ遷移する時刻であるか判定する。
【0137】
(S1713)
アクティブモードへ遷移する時刻であると判定した場合は、アクティブモードへ遷移する。
【0138】
(S1714)
データパケット501の送信先を集約無線装置4−aから集約無線装置4−bへ変更する。
【0139】
端末無線装置3は、ACK応答パケット1500の集約無線装置4-bの無線局ID701により、集約無線装置4−aの次にデータパケット501を送るべき集約無線装置を既知である。
【0140】
(集約無線装置4の一連の動作)
図18は本実施例2における集約無線装置4の一連の動作について示している。これらの動作は、制御部301が、記録部302、入出力インタフェース303、クロック304、無線通信部305を制御することにより行われる。
【0141】
(S1801)
制御部301は、データ要求パケット500を送信する時刻であるかクロック304で判定する。
【0142】
(S1802)
無線通信部305からデータ要求パケット500を送信する。
【0143】
(S1803)
集約無線装置4と通信可能距離内に端末無線装置3がある場合、データ要求パケット500を受信した端末無線装置3はデータパケット501を返答する。そこで集約無線装置4は、端末無線装置3からデータパケット501を受信したか判定する。
【0144】
(S1804)
端末無線装置3からデータパケット501を受信した場合は、クロック304により受信時刻を取得する。受信時刻は、パケット受信時刻情報601として記録部302に記録される。
【0145】
(S1805)
パケット受信通知信号800を生成した後、データ処理装置5にパケット受信通知信号800を通知する。ここでパケット受信通知信号800とは、集約無線装置4がデータ処理装置5にデータパケット501を受信した旨を通知するための信号である。
【0146】
図6は、パケット受信通知信号800の構成を示している。
図6に示すとおり、パケット受信通知信号800は、データパケット501の送信元である端末無線装置3の無線局ID601、計測番号602、計測データ603、パケット受信時刻情報601から構成される
【0147】
(S1806)
データ処理装置5から通知確認信号1600を受信する。ここで、通知確認信号1600とは、端末無線装置3の間欠動作の設定情報であるスリープ時間設定情報702が記載された信号である。
【0148】
データ処理装置5は、集約無線装置4-aと集約無線装置4-bの距離8と列車速度9から、端末無線装置3が集約無線装置4-aと通信不可能となってから集約無線装置4-bと通信可能となるまでの時刻を推測した後、端末無線装置3にスリープ時間設定情報702として通知する。
【0149】
(S1807)
受信した通知確認信号1600からスリープ時間設定情報702を抽出した後、ACK応答パケット502を生成する。無線通信部305から端末無線装置3に向けてACK応答パケット502を送信する。
【0150】
ここでACK応答パケット502とは、集約無線装置4が正常にデータパケット501を受信したことを、送信元の端末無線装置3に通知するためのパケットである。ACK返答15には、スリープ時間設定情報702が記載される。
【0151】
(データ処理装置5の一連の動作)
図19は本実施例2におけるデータ処理装置5の一連の動作について示している。これらの動作は、制御部401が、データベース402、入出力インタフェース403、列車速度入手部404、入力部405、間欠周期推測部406の各機能を制御することにより動作する。
【0152】
(S1901)
データ処理装置5は、集約無線装置4からパケット受信通知信号800の通知を受けるまで待機する。
【0153】
(S1902)
集約無線装置4からパケット受信通知信号800を受信した場合、パケット受信通知信号800の無線局ID601、計測番号602、計測データ603を抽出し、データベース402に蓄積する。
【0154】
(S1903)
通知確認信号1600を生成した後、集約無線装置4に送信する。
【0155】
ここで通知確認信号1600に記載される列車速度情報1501は、列車速度入手部404により取得する。
【0156】
(補足)
以上の実施例2の構成では、
図1に示すとおり集約無線装置4とデータ処理装置5が分離されているが、しかしながら、本発明ではこれに限定されることなく、集約無線装置4内にデータ処理装置5の機能があっても良い。